以下、本発明の各実施形態のマスタシリンダを説明する。
「第1実施形態」
第1実施形態のマスタシリンダについて図1〜図5を参照して説明する。このマスタシリンダは、図1に示すように、マスタシリンダ本体11と、マスタシリンダ本体11の鉛直方向上側に一体的に取り付けられる合成樹脂製のリザーバ12と、これらの隙間をシールする一対のゴム製のシール部材13,13とを有している。マスタシリンダ本体11は、図示略のブレーキペダルの操作量に応じた作動液圧を発生させて車輪に設けられたディスクブレーキあるいはドラムブレーキ等のホイールシリンダに供給する。リザーバ12は、作動液(作動流体)を貯蔵し必要に応じてマスタシリンダ本体11に供給する。
マスタシリンダ本体11は、底部15と、底部15の周縁部からその軸方向に伸びる筒部16とを有する有底筒状のシリンダ17を有している。このシリンダ17は、アルミニウム合金等の金属からなるもので、長手方向が例えば車両前後方向に沿う姿勢で車載されるようになっている。
マスタシリンダ本体11は、シリンダ17内の底部15とは反対側に摺動可能に挿入されるプライマリピストン(ピストン)21と、シリンダ17内の底部15側に摺動可能に挿入されるセカンダリピストン(ピストン)22とを有している。シリンダ17内には、セカンダリピストン22とシリンダ17の底部15と筒部16とでセカンダリ圧力室23が画成されている。また、シリンダ17内には、セカンダリピストン22とプライマリピストン21とシリンダ17の筒部16とでプライマリ圧力室24が画成されている。なお、図示は略すが、セカンダリピストン22とシリンダ17の底部15との間には、ブレーキペダルから入力がない非制動状態で、これらセカンダリピストン22とシリンダ17の底部15との間隔を決めるスプリングを含む間隔形成部が設けられている。また、セカンダリピストン22とプライマリピストン21との間にも、非制動状態で、これらセカンダリピストン22とプライマリピストン21との間隔を決めるスプリングを含む間隔形成部が設けられている。
そして、マスタシリンダ本体11においては、図示略のブレーキペダルの操作でプライマリピストン21がセカンダリピストン22側に摺動すると、シリンダ17内のプライマリ圧力室24の圧力が上昇する。この上昇した圧力が一方の系統のブレーキ配管に連結されたホイールシリンダに伝達される。また、このプライマリピストン21の摺動で図示略の間隔形成部を介してセカンダリピストン22がシリンダ17の底部15側に摺動することになる。これにより、シリンダ17内のセカンダリ圧力室23の圧力が上昇し、この圧力が他方の系統のブレーキ配管に連結されたホイールシリンダに伝達される。つまり、シリンダ17は、プライマリピストン21およびセカンダリピストン22が摺動することでホイールシリンダに伝達される圧力を発生するようになっている。
シリンダ17には、リザーバ12を接続させる一対の接続部28,28が並設されている。これら接続部28,28は、筒部16の軸方向の中間位置に、筒部16の径方向の外側に突出するように一体に形成されている。これら接続部28,28は、筒部16の円周方向の位置を互いに合わせて筒部16の軸方向の前後に離間して形成されており、それぞれ、内側にシリンダ17の筒部16の径方向に沿う接続穴29が形成されることで、シリンダ17の筒部16の径方向に沿う筒状をなしている。
リザーバ12は、液補給口30を有するリザーバ本体31と、液補給口30を開閉する着脱可能な蓋体32とを有している。リザーバ本体31は、外部からの作動液の補給用の上記した液補給口30と、液補給口30の下側にあって作動液を貯留する容器部33と、容器部33の下側に並設されシリンダ17の一対の接続部28,28に挿入されてシリンダ17に作動液を供給する一対の挿入部34,34とを有している。これら挿入部34,34は、互いに平行な筒状をなしてリザーバ本体31に一体形成されている。具体的には、容器部33から液補給口30とは反対側、言い換えれば、鉛直方向下方に突出して形成されている。
リザーバ12の一方の挿入部34は、シリンダ17の一方の接続部28に、一方のシール部材13を介して接続される。また、リザーバ12の他方の挿入部34は、シリンダ17の他方の接続部28に、他方のシール部材13を介して接続される。よって、マスタシリンダ本体11は、そのシリンダ17の一対の接続部28,28にて、リザーバ12からの作動液の供給を受ける。一対のシール部材13,13は、大略筒状をなしており、それぞれが、対応する接続部28とこれに挿入される挿入部34との間に設けられている。一対のシール部材13,13は、弾性を有しており、それぞれの接続部28および挿入部34間をシールする。
上記したシリンダ17の一方の接続部28への一方のシール部材13を介した一方の挿入部34の取り付けは、他方の接続部28への他方のシール部材13を介した他方の挿入部34の取り付けと、同じ構造になっている。このため、図2〜図5を参照しつつ、以下に、一方の接続部28と、一方のシール部材13と、一方の挿入部34と、これらの接合構造について、詳細に説明する。
まず、シリンダ17の接続部28について説明する。図2に示すように、接続部28は、開口端、つまり筒部16とは反対端の先端面35が接続穴29に直交する平坦な円環状をなして形成されている。また、接続部28の筒部16側の基端側底面36が接続穴29に直交する平坦な円形状をなして形成されている。
そして、接続部28は、その内周面に、嵌合凸部38と、中径部39と、大径部40と、小径部41とを有している。嵌合凸部38(第1内径部)は、接続部28の開口側つまり先端面35側に内側に突出する円環状に形成されている。中径部39(第2内径部)は、嵌合凸部38の軸方向の筒部16側つまり基端側に嵌合凸部38と隣り合って設けられ、嵌合凸部38よりも大径の内径寸法を有して形成されている。大径部40(第3内径部)は、中径部39の軸方向の筒部16側に中径部39と隣り合って設けられ、中径部39よりも大径の内径寸法を有して形成されている。小径部41(第4内径部)は、大径部40の軸方向の筒部16側に大径部40と隣り合って設けられ、嵌合凸部38、中径部39および大径部40のいずれの内径寸法よりも小径に形成されている。
嵌合凸部38は、先端テーパ面部44と、先端側円筒面部45と、小テーパ面部46と、段面部47とを有している。
先端テーパ面部44は、先端面35の内周縁部から筒部16側ほど小径となるテーパ状をなして筒部16側に延出する。先端側円筒面部45は、先端テーパ面部44の筒部16側の端縁部から一定径で筒部16側に延出する。小テーパ面部46は、先端側円筒面部45の筒部16側の端縁部から筒部16側ほど大径となるテーパ状をなして筒部16側に延出する。段面部47は、小テーパ面部46の筒部16側の端縁部から径方向外側に一定幅で広がる円環状をなす。
中径部39は、段面部47の大径側の端縁部から一定径で筒部16側に延出する中間円筒面部50を有している。この中間円筒面部50は、先端側円筒面部45よりも大径となっている。
大径部40は、テーパ面部53(縮径部)と、湾曲面部54と、テーパ面部55とを有している。
テーパ面部53は、中間円筒面部50の筒部16側の端縁部から筒部16側ほど大径となるテーパ状をなして筒部16側に延出する。言い換えれば、大径部40のテーパ面部53は、中径部39へ向けて徐々に縮径する。湾曲面部54は、テーパ面部53の筒部16側の端縁部から筒部16側ほど大径となった後、筒部16側ほど小径となるように、筒部16側に延出し、接続穴29の中心軸線を含む断面での断面形状が円弧状をなす。
テーパ面部55は、湾曲面部54の筒部16側の端縁部から筒部16側ほど小径となるテーパ状をなして筒部16側に延出する。テーパ面部55は、その最小径が、先端側円筒面部45および中間円筒面部50よりも小径となっており、中間円筒面部50の径以上の大径部分が大径部40を構成している。つまり、テーパ面部55は、中間円筒面部50の延長面の交線位置を境界に、湾曲面部54側が大径部40を、湾曲面部54とは反対側が小径部41を構成する。
小径部41は、上記したテーパ面部55の中間円筒面部50よりも小径の部分と、基端側円筒面部58と、基端側テーパ面部59とを有している。
基端側円筒面部58は、テーパ面部55の筒部16側の端縁部から一定径で筒部16側に延出する。よって、基端側円筒面部58は、中間円筒面部50よりも小径となっており、先端側円筒面部45よりも小径となっていて、小径部41は、嵌合凸部38よりも小径となっている。基端側テーパ面部59は、基端側円筒面部58の筒部16側の端縁部から筒部16側ほど小径となるテーパ状をなして筒部16側に延出して基端面36に繋がる。
接続部28の開口端の外周側には、先端面35の外周側の端縁部から軸方向の筒部16側ほど大径となるように面取り面60が形成されている。
なお、上記した先端面35、面取り面60、先端テーパ面部44、先端側円筒面部45、小テーパ面部46、段面部47、中間円筒面部50、テーパ面部53、湾曲面部54、テーパ面部55、基端側円筒面部58および基端側テーパ面部59は、すべて中心軸線を一致させている。よって、嵌合凸部38、中径部39、大径部40および小径部41も、すべて中心軸線を一致させており、これが接続穴29の中心軸線となっている。
次に、シリンダ17の接続部28への嵌合前であってリザーバ12の挿入部34の挿入前の自然状態にあるゴム製のシール部材13について説明する。図3に示すように、シール部材13は、筒状をなしており、軸方向一端の大径端面63とこれより小径の軸方向他端の小径端面64とが軸直交方向に広がる平坦な形状をなしている。
シール部材13は、その外周面に、大径の円環状の基端部68と、基端部68に軸方向に隣り合って設けられた、最小径が基端部68よりも小径で径方向内方に凹む円環状の嵌合凹部69(嵌合部)とを有している。また、嵌合凹部69の基端部68とは反対側に軸方向に隣り合って設けられた、嵌合凹部69の最小径よりも大径かつ基端部68よりも小径の筒状のシール筒部70を有している。
基端部68は、一端側円筒面部73と、一端側段面部74と、中間円筒面部75と、中間段面部76とを有している。
一端側円筒面部73は、大径端面63の外周縁部から一定径で小径端面64側に延出する。一端側段面部74は、一端側円筒面部73の小径端面64側の端縁部から径方向内側に一定幅で広がる円環状をなす。
中間円筒面部75は、一端側段面部74の小径側の端縁部から一定径で小径端面64側に延出する。よって、中間円筒面部75は、一端側円筒面部73よりも小径となっている。中間段面部76は、中間円筒面部75の小径端面64側の端縁部から径方向内側に一定幅で広がる円環状をなす。
ここで、基端部68は、その最小径が、図2に示す接続部28の開口側端部の外径よりも大径となっている。つまり、基端部68の一端側円筒面部73、一端側段面部74および中間円筒面部75の径は、いずれも、接続部28の先端面35の外径よりも大径となっており、面取り面60の外径よりも大径となっている。
嵌合凹部69は、中間段面部76の小径側の一部と、湾曲面部79と、最小径円筒面部80と、湾曲面部81と、他端側段面部82とを有している。
湾曲面部79は、中間段面部76の小径側の端縁部から小径端面64側ほど小径となるように小径端面64側に延出し、シール部材13の中心軸線を含む断面での断面形状が円弧状をなす。
最小径円筒面部80は、湾曲面部79の小径側の端縁部から一定径で小径端面64側に延出する。よって、最小径円筒面部80は、一端側円筒面部73および中間円筒面部75よりも小径となっている。
湾曲面部81は、最小径円筒面部80の小径端面64側の端縁部から小径端面64側ほど大径となるように小径端面64側に延出し、シール部材13の中心軸線を含む断面での断面形状が円弧状をなす。他端側段面部82は、湾曲面部81の小径端面64側の端縁部から径方向外側に一定幅で広がる円環状をなす。
ここで、嵌合凹部69の最小外径は、図2に示す接続部28の嵌合凸部38の最小内径よりも大径となっている。つまり、嵌合凹部69の最小径円筒面部80は、嵌合凸部38の先端側円筒面部45よりも大径となっている。また、嵌合凹部69の軸方向の幅は、接続部28の嵌合凸部38の軸方向長さよりも広くなっている。つまり、嵌合凹部69の中間段面部76と他端側段面部82との間の軸方向の距離は、接続部28の先端面35と段面部47との間の軸方向の距離よりも長くなっている。
シール筒部70には、2本の同外径のリブ85,86とこれらの間にあってこれらよりも小外径のリブ87とが形成されている。シール筒部70は、リブ85の外表面を構成する凸面部88と、リブ87の外表面を構成する凸面部89と、リブ86の外表面を構成する凸面部90と、他端側円筒面部91と、他端側テーパ面部92とを有している。
凸面部88は、他端側段面部82の外径側の端縁部から小径端面64側ほど大径となるように拡径した後、小径端面64側ほど小径となるように縮径しつつ、小径端面64側に延出する。凸面部88は、シール部材13の中心軸線を含む断面での断面形状が円弧状をなす。
凸面部89は、凸面部88の小径端面64側の端縁部から小径端面64側ほど大径となるように拡径した後、小径端面64側ほど小径となるように縮径しつつ、小径端面64側に延出する。凸面部89も、シール部材13の中心軸線を含む断面での断面形状が円弧状をなす。
凸面部90は、凸面部88の小径端面64側の端縁部から小径端面64側ほど大径となるように拡径した後、小径端面64側ほど小径となるように縮径しつつ、小径端面64側に延出する。凸面部90も、シール部材13の中心軸線を含む断面での断面形状が円弧状をなす。
他端側円筒面部91は、凸面部90の小径端面64側の端縁部から一定径で小径端面64側に延出する。他端側テーパ面部92は、他端側円筒面部91の小径端面64側の端部から小径端面64側ほど小径となるように小径端面64側にテーパ状に延出して小径端面64に繋がる。
シール筒部70の最大外径は、接続部28の中径部39よりも大径となっている。つまり、シール筒部70の凸面部88,90の外径は、接続部28の中間円筒面部50の径よりも大径となっている。
シール筒部70の軸方向長さは、接続部28の中径部39の軸方向長さよりも長く、中径部39と大径部40とを合わせた軸方向長さと略同等になっている。言い換えれば、シール筒部70の軸方向長さは、接続部28の中径部39と大径部40と小径部41とを合わせた軸方向長さよりも短くなっている。シール筒部70の他端側段面部82と小径端面64との間の軸方向長さは、接続部28の段面部47と、テーパ面部55の中間円筒面部50の延長面の交線位置との間の軸方向長さと同等であり、接続部28の段面部47とテーパ面部55の基端側円筒面部58側の端部との間の軸方向長さよりも短くなっている。
シール部材13の内周部には、複数、具体的には2本のリブ95,96が形成されている。シール部材13の内周面は、一端側テーパ面部99と、一端側段面部100と、一端側湾曲面部101と、一端側円筒面部102と、リブ95の外表面を構成する凸面部103と、中間円筒面部104と、リブ96の外表面を構成する凸面部105と、他端側円筒面部106とを有している。
一端側テーパ面部99は、大径端面63の内周縁部から小径端面64側ほど小径となるテーパ状をなして小径端面64側に延出する。一端側段面部100は、一端側テーパ面部99の小径端面64側の端縁部から径方向内側に一定幅で広がる円環状をなす。一端側湾曲面部101は、一端側段面部100の内周縁部から小径端面64側ほど小径となるように小径端面64側に延出し、シール部材13の中心軸線を含む断面での断面形状が円弧状をなす。一端側円筒面部102は、一端側テーパ面部99の小径端面64側の端縁部から一定径で小径端面64側に延出する。
凸面部103は、一端側円筒面部102の小径端面64側の端縁部から小径端面64側ほど大径となるように拡径した後、小径端面64側ほど小径となるように縮径しつつ、小径端面64側に延出する。凸面部103は、シール部材13の中心軸線を含む断面での断面形状が円弧状をなす。中間円筒面部104は、凸面部103の小径端面64側の端縁部から一端側円筒面部102と同じ一定径で小径端面64側に延出する。凸面部105は、中間円筒面部104の小径端面64側の端縁部から小径端面64側ほど大径となるように拡径した後、小径端面64側ほど小径となるように縮径しつつ、小径端面64側に延出する。凸面部105は、シール部材13の中心軸線を含む断面での断面形状が円弧状をなす。
他端側円筒面部106は、凸面部105の小径端面64側の端縁部から一端側円筒面部102および中間円筒面部104と同じ一定径で小径端面64側に延出して小径端面64に繋がる。
シール部材13の大径端面63、小径端面64、一端側円筒面部73、一端側段面部74、中間円筒面部75、中間段面部76、湾曲面部79、最小径円筒面部80、湾曲面部81、他端側段面部82、凸面部88、凸面部89、凸面部90、他端側円筒面部91、他端側テーパ面部92、一端側テーパ面部99、一端側段面部100、一端側湾曲面部101、一端側円筒面部102、凸面部103、中間円筒面部104、凸面部105および他端側円筒面部106は、すべて中心軸線を一致させており、これがシール部材13の中心軸線となっている。中間円筒面部104、凸面部105および他端側円筒面部106は、シール筒部70の内周面を構成している。
次に、シール部材13よりも剛性の高い合成樹脂からなる挿入部34について説明する。図4に示すように、リザーバ本体31の容器部33の下面には、上方に凹む収容凹部110が形成されており、この収容凹部110の中央から挿入部34が鉛直方向下方となる方向に突出している。なお、収容凹部110は、挿入部34の中心軸線に直交する円環状の根元面部111と、根元面部111の大径側の端縁部から根元面部111と直交して下方に延出する一定径の円筒面部112とを有している。
挿入部34は、収容凹部110の根元面部111から先端近傍まで略一定径で延出する円筒状の円筒状部113と、円筒状部113の収容凹部110とは反対の先端側から径方向外側に延びる鍔部114とを有する形状をなしている。
円筒状部113は、容器部33内と連通するその内周面116が一定径をなしており、その外周面が、根元湾曲面部117と、主円筒面部118とを有している。根元湾曲面部117は、収容凹部110の根元面部111との境界位置にあって鍔部114側ほど小径となるように鍔部114側に延出し、挿入部34の中心軸線を含む断面での断面形状が円弧状をなす。主円筒面部118は、根元湾曲面部117の小径側の端縁部から一定径で根元面部111と垂直をなして延出する。円筒状部113の根元面部111とは反対の先端面119は根元面部111と平行をなす。
鍔部114は、係止段面部120と、係止円筒面部121と、先端テーパ面部122とを有している。係止段面部120は、主円筒面部118の先端面119側の端縁部から径方向外側に一定幅で広がる円環状をなす。係止円筒面部121は、係止段面部120の外径側の端縁部から一定径で先端面119側に延出する。先端テーパ面部122は、係止円筒面部121の先端面119側の端縁部から先端面119側ほど小径となるように先端面119側に延出して先端面119に繋がる。
内周面116と、根元湾曲面部117と、主円筒面部118と、係止段面部120と、係止円筒面部121と、先端テーパ面部122と、先端面119とが、すべて中心軸線を一致させており、これが挿入部34の中心軸線となっている。挿入部34の中心軸線は、収容凹部110の根元面部111および円筒面部112の中心軸線とも一致しており、収容凹部110の根元面部111に直交している。
ここで、挿入部34の鍔部114を除く範囲の軸方向長さ、つまり、根元湾曲面部117および主円筒面部118の軸方向長さ、言い換えれば、根元面部111と係止段面部120との間の軸方向長さは、シール部材13の軸方向の全長よりも長くなっている。また、挿入部34の主円筒面部118の径は、シール部材13の一端側円筒面部102、中間円筒面部104および他端側円筒面部106の径と同等になっており、凸面部103,105の最小径よりも大径となっている。また、鍔部114の外径、つまり、係止円筒面部121の径は、シール部材13の一端側円筒面部102、中間円筒面部104および他端側円筒面部106の径よりも大径となっている。また、鍔部114の先端テーパ面部122の最小径は、シール部材13の一端側湾曲面部101の最大径よりも小径となっている。また、収容凹部110の最大径つまり円筒面部112の径は、シール部材13の基端部68の最大外径つまり一端側円筒面部73の径と同等になっている。
挿入部34の鍔部114の外径、つまり、係止円筒面部121の径は、接続部28の環状の嵌合凸部38の内径つまり先端側円筒面部45の径よりも小径となっている。言い換えれば、接続部28の内周面の先端側に設けられた嵌合凸部38は、鍔部114の外径より大径の環状をなしている。
次に、接続部28とシール部材13と挿入部34との接合構造についてその接合手順に沿って説明する。
まず、図5(a)に示すように、接続部28にシール部材13が嵌合される。このとき、シール部材13は、そのシール筒部70を接続部28の中径部39および大径部40に締め代をもって嵌合させるとともに、その嵌合凹部69に接続部28の嵌合凸部38を締め代をもって嵌合させる。また、その基端部68を接続部28の先端面35に当接させることになる。具体的に、図3に示すシール部材13の中間段面部76が、図2に示す接続部28の先端面35に当接し、図3に示すシール部材13の最小径円筒面部80が、図2に示す接続部28の先端側円筒面部45に当接し、図3に示すシール部材13の他端側段面部82が、図2に示す接続部28の段面部47に当接する。また、図3に示すシール部材13の凸面部88および凸面部89が変形して、図2に示す接続部28の中間円筒面部50に当接し、図3に示すシール部材13の凸面部90および他端側円筒面部91が変形して、図2に示す接続部28のテーパ面部53、湾曲面部54およびテーパ面部55に当接し、図3に示すシール部材13の他端側テーパ面部92が、図2に示す接続部28のテーパ面部55に当接する。
次に、図5(a)から図5(b)、さらに図5(c)に示すように、接続部28に保持されたシール部材13に、リザーバ本体の31の挿入部34が挿入される。このとき、まず、挿入部34は、図5(a)に示す先端側の鍔部114の先端テーパ面部122においてシール部材13の一端側湾曲面部101に当接し、その後、鍔部114の係止円筒面部121が、シール部材13の、一端側湾曲面部101、一端側円筒面部102、凸面部103、中間円筒面部104、凸面部105および他端側円筒面部106に順次接触し、これらの接触部分およびその近傍を径方向外側に押し潰し、かつ軸方向に引っ張りながら嵌合していく。その際に、図5(b)に示すように、シール部材13は、中径部39(第2内径部)の前方の大径部40(第3内径部)で径方向外側への変形がより許容されることになり、鍔部114への摺動抵抗を弱めることになる。また、鍔部114で押されることにより外側に変形したシール部材13の部分が大径部40(第3内径部)に収まることになるため、鍔部114の抵抗となる挿入方向前方へのはみ出し量を抑制することになり、この点からも鍔部114への摺動抵抗を弱めることになる。このように、本実施形態においては、大径部40(第3内径部)を有していることにより、挿入部34に鍔部114を設けても、リザーバ12をマスタシリンダ本体11に組み付けづらくなることがない。
そして、図5(c)に示すように鍔部114が、シール部材13を越えると、シール部材13は、挿入部34に締め代をもって密着する。つまり、接続部28に保持されたシール部材13に、挿入部34が適正に挿入されると、図3に示すシール部材13の内周側の一端側円筒面部102、凸面部103、中間円筒面部104、凸面部105および他端側円筒面部106が、締め代をもって、図4に示す挿入部34の主円筒面部118に当接する。このとき、シール部材13の外周側のシール筒部70は、接続部28の中径部39および大径部40に締め代をもって当接する。
また、このとき、図5(c)に示すように、シール部材13の基端部68がリザーバ本体31の収容凹部110に収容される。つまり、図3に示すシール部材13の大径端面63が、図4に示す収容凹部110の根元面部111に当接し、図3に示すシール部材13の一端側円筒面部73が、図4に示す収容凹部110の円筒面部112に当接する。
また、このとき、図5(c)に示すように、鍔部114が、シール部材13の小径端面54から離間して、接続部28の小径部41に軸方向位置を重ね合わせて径方向に対向する。言い換えれば、接続部28の小径部41は、鍔部114に対向可能な位置に設けられている。なお、鍔部114の位置は、基端部68の変形量や挿入部34のシール部材13への挿入位置によって前後し、位置によっては、接続部28の小径部41の基端側円筒面部58に径方向に対向しない状態となる可能性があるが、少なくとも基端部68を収容凹部110と接続部28とで圧縮するまで挿入部34を挿入すれば、鍔部114が接続部28の基端側円筒面部58に軸方向位置を重ね合わせて径方向に対向する状態となることが可能となるように設定されている。
ここで、上記した特許文献1に記載の技術では、マスタシリンダ本体の接続部(ボス部)の先端に内径側に突出する爪部を設け、シール部材に外径側に突出して爪部の軸方向内側に係止される筒状部を設けるとともに、リザーバの挿入部(接続脚部)の先端部に外径側へ拡がる鍔部を設けて、この鍔部をシール部材の軸方向内側に係止させる構造となっている。このような構造の場合、ボス部からの接続脚部の外れを規制するためには、鍔部の延出量を大きくする必要があるが、鍔部の延出量を大きくすると、ボス部の内周面に接触するシール部材を大きく変形させる必要があり、マスタシリンダ本体へのリザーバの組み付け性が低下、ひいては、製造効率が低下してしまうことになる。このため、特許文献1に記載の技術では、鍔部を偏心させることで、特に作動液の真空充填時の外れを規制しつつ、組み付け性の改善を図るようになっている。しかしながら、特許文献1に記載の技術では、ボス部からの接続脚部の外れを十分に規制することができるとは言えなかった。他方で、組み付け性の改善を図りつつボス部からの接続脚部の外れを規制するために、マスタシリンダ本体に対してリザーバをピンで連結することにより、マスタシリンダ本体に対してリザーバを保持することが行われているが、ピンを用いると、部品点数が増大し、組み付け工数が増大してしまう。
これに対して、第1実施形態のマスタシリンダは、マスタシリンダ本体11の接続部28に、嵌合凸部38の基端側にこれより大径の中径部39が設けられ、この中径部39の基端側に、この中径部39より大径の大径部40を設けられている。これにより、接続部28の中径部39で係止されているシール部材13に、リザーバ本体31の挿入部34の径方向外側に延びる鍔部114を嵌合させる際に、シール部材13が鍔部114で押圧されると、大径部40がシール部材13の径方向へのより大きな変形を許容することになる。これにより、シール部材13の挿入部34への摺動抵抗を弱めることになる。また、シール部材13の鍔部114で押されることにより外側に変形した部分が大径部40に収まることになるため、鍔部114の抵抗となる挿入方向前方へのはみ出し量を抑制することになり、この点からも鍔部114への摺動抵抗を弱めることになる。よって、鍔部114の径方向の延出量を大きくして作動液の充填時等に接続部28から挿入部34が外れてしまうことを規制しても、リザーバ12のシリンダ17への良好な組み付け性を得ることができ、製造効率の向上を図ることができる。したがって、リザーバ12とシリンダ17とをピンで連結する構造を採用することなく、接続部28にシール部材13を介して挿入部34を挿入することのみで連結する構造を採用しても、接続部28からの挿入部34の外れを規制することができる。
また、接続部28が、上記した大径部40のさらに基端側に、鍔部114に対向可能となるように、嵌合凸部38より小径の小径部41を有しているため、例え、シール部材13が鍔部114で想定以上に引っ張られることがあっても、鍔部114と小径部41との間に入り込むことを規制でき、シール部材13の損傷を抑制できる。
また、接続部28の大径部40は、中径部39へ向けて徐々に縮径するテーパ面部53を有しているため、作動液の充填時に作動液の圧力により、リザーバ本体31の挿入部34が抜け方向に移動して、鍔部114がシール部材13の小径端面64に当接してシール部材13を抜け方向に押圧すると、シール筒部70がテーパ面部53の案内で径方向内側に移動するように変形し挿入部34との隙間を閉じ挿入部34への接触圧を高め摩擦力を高めることになる。これにより、挿入部34の接続部28からの抜けをさらに規制することができる。
「第2実施形態」
次に、第2実施形態のマスタシリンダを主に図6および図7に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
第2実施形態においては、第1実施形態のシール部材13のシール筒部70に対して一部相違したシール筒部70Aを有するシール部材13Aが用いられている。第2実施形態のシール部材13Aは、第1実施形態のリブ86は設けられておらず、その外周面のシール筒部70Aの先端部にシール筒部70Aより大径、つまりリブ85よりも大径の円環状の突出部131が設けられている。つまり、シール筒部70Aは、リブ85の外表面を構成する凸面部88と、リブ87の外表面を構成する凸面部89と、突出部131の外表面を構成する、段面部132、湾曲面部133およびテーパ面部134を有している。
段面部132は、凸面部88の小径端面64側の端縁部から軸直交方向に沿って径方向外側に広がる。湾曲面部133は、段面部132の大径側の端縁部から小径端面64側ほど大径となるように拡径した後、小径端面64側ほど小径となるように縮径しつつ、小径端面64側に延出する。湾曲面部133は、シール部材13Aの中心軸線を含む断面での断面形状が円弧状をなす。テーパ面部134は、湾曲面部133の小径端面64側の端縁部から小径端面64側ほど小径となるように縮径しつつ小径端面64側に延出して小径端面64に繋がる。
シール筒部70Aの最大外径つまり突出部131の最大外径は、接続部28の中径部39よりも大径となっている。また、突出部131の体積V1と、大径部40の内側のシール逃げ空間の容積をV2とすると、V1<V2に設定されている。さらに、基端部68の中間段面部76と突出部131の最大外径位置との間の軸方向長さは、接続部28の先端面35と大径部40の最大内径位置との間の軸方向長さよりも短くなっており、基端部68の中間段面部76と突出部131の段面部132との間の軸方向長さは、接続部28の先端面35と、中径部39と大径部40との境界位置との間の軸方向長さよりも短くなっている。つまり、シール筒部70Aの突出部131は、接続部28の中径部39と軸方向に位置が重なり合うようになっている。
次に、接続部28とシール部材13Aと挿入部34との接合構造についてその接合手順に沿って説明する。
まず、図7(a)に示すように、接続部28にシール部材13Aが嵌合される。このとき、シール部材13Aは、そのシール筒部70Aの突出部131を接続部28の中径部39に当接させることになり、その嵌合凹部69に接続部28の嵌合凸部38を嵌合させ、その基端部68を接続部28の先端面35に当接させることになる。具体的に、図6に示すシール部材13Aの中間段面部76が、図2に示す接続部28の先端面35に当接し、図6に示すシール部材13Aの最小径円筒面部80が、図2に示す接続部28の先端側円筒面部45に当接し、図6に示すシール部材13の湾曲面部133が、図2に示す接続部28の中間円筒面部50に当接する。
次に、図7(a)から図7(b)、さらに図7(c)、図7(d)に示すように、接続部28に保持されたシール部材13Aに、リザーバ本体の31の挿入部34が挿入される。このとき、まず、挿入部34は、図7(a)に示す先端側の鍔部114の先端テーパ面部122においてシール部材13Aの一端側湾曲面部101に当接し、その後、鍔部114の係止円筒面部121が、シール部材13Aの、一端側湾曲面部101、一端側円筒面部102、凸面部103、中間円筒面部104、凸面部105および他端側円筒面部106に順次接触し、これらの接触部分およびその近傍を径方向外側に押し潰し、かつ軸方向に引っ張りながら、嵌合する。すると、シール筒部70Aが、突出部131を主として大径部40内に配置するようにして、図7(b)に示すように中径部39および大径部40に嵌合する。その際に、シール部材13Aは、中径部39の前方の大径部40で突出部131を含むシール筒部70Aの径方向外側への変形がより許容されることになり、鍔部114への摺動抵抗を弱めることになる。また、シール部材13の鍔部114で押されることにより外側に変形した突出部131を含むシール筒部70Aが大径部40に収まることになるため、鍔部114の抵抗となる挿入方向前方へのはみ出し量を抑制することになり、この点からも鍔部114への摺動抵抗を弱めることになる。
そして、鍔部114が、図7(c)に示すように、シール部材13Aを越えると、シール部材13Aは、挿入部34に締め代をもって密着する。接続部28に保持されたシール部材13Aに、挿入部34が適正に挿入されると、図6に示すシール部材13Aの一端側円筒面部102、凸面部103、中間円筒面部104、凸面部105および他端側円筒面部106が、締め代をもって、図4に示す挿入部34の主円筒面部118に当接する。このとき、図7(c)に示すように、シール筒部70Aは、接続部28の中径部39および大径部40に当接することになるが、図6に示す突出部131は、接続部28との上記した寸法関係から、その後の使用状態では、その少なくとも一部が中径部39に接触し、残りの一部が大径部40に接触する。つまり、組み付け時に収容凹部110と接続部28とで基端部68を圧縮し、一時的に突出部131の全体が大径部40に接触する状態となることがあっても、その後、基端部68が弾性力で戻ってリザーバ本体31の位置が落ち着いた使用状態において、突出部131は、少なくとも一部が中径部39に接触する状態になる。
第2実施形態のマスタシリンダによれば、シール部材13Aのシール筒部70Aの先端部にシール筒部70Aより大径の突出部131を設けたため、作動液の充填時に作動液の圧力により、リザーバ本体31の挿入部34が抜け方向に移動して、鍔部114がシール部材13Aの小径端面64に当接してシール部材13を抜け方向に押圧すると、突出部131を有するシール筒部70Aがテーパ面部53の案内で径方向内側に移動するように変形し挿入部34との隙間を閉じ挿入部34への接触圧を高め摩擦力を一層高めることになる。これにより、挿入部34の接続部28からの抜けを規制することができる。
また、突出部131の少なくとも一部が、使用状態で接続部28の中径部39に接触するように設けられているため、シール部材13Aは中径部39から径方向内方、つまり挿入部34へ接触する方向に常に押圧される。これにより、シール部材13Aが使用状態で挿入部34を押圧することになり、使用状態での挿入部34の接続部28からの抜けを規制することができる。
「第3実施形態」
次に、第3実施形態のマスタシリンダを主に図8および図9に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
第3実施形態においては、第1実施形態の接続部28に対して一部相違した大径部40Bおよび小径部41Bを有する接続部28Bが用いられている。第3実施形態の接続部28Bの大径部40Bおよび小径部41Bは、第1実施形態のテーパ面部55にかえて、湾曲面部141を有している。
湾曲面部141は、湾曲面部54の筒部16側の端縁部から筒部16側ほど小径となる円弧状をなして筒部16側に延出し、接続穴29の中心軸線を含む断面での断面形状が円弧状をなす。湾曲面部141は、その曲率半径が湾曲面部54の曲率半径よりも大きく、湾曲面部54から離れるほど曲率半径が大きくなる形状をなしている。湾曲面部141は、基端側円筒面部58に繋がる部分が、接続穴29の軸直交方向に沿っている。言い換えれば、湾曲面部141は、基端側円筒面部58に直交するように繋がっている。
次に、接続部28Bとシール部材13と挿入部34との接合構造についてその接合手順に沿って説明する。
まず、第1実施形態と同様、接続部28Bにシール部材13が嵌合される。このとき、シール部材13は、図9(a)に示すように、そのシール筒部70を中径部39および大径部40Bに当接させることになる。
次に、図9(a)から図9(b)に示すように、第1実施形態と同様に、接続部28Bに保持されたシール部材13に、リザーバ本体の31の挿入部34が挿入される。その際に、挿入部34の鍔部114がシール部材13を想定以上に引っ張ることがあっても、基端側円筒面部58に対し直交するように湾曲する湾曲面部141がシール部材13に当接して、鍔部114と小径部41Bの基端側円筒面部58との間に入り込むことを規制する。
以上の第3実施形態のマスタシリンダによれば、小径部41Bの大径部40B側の湾曲面部141が基端側円筒面部58に直交するように繋がるため、組み付け時に、例えシール部材13が鍔部114で想定以上に引っ張られることがあっても、この部分が鍔部114と小径部41Bとの間に入り込むことをさらに規制でき、シール部材13の損傷を一層抑制できる。
以上に述べた実施形態によれば、ピストンが摺動し圧力を発生するシリンダと、前記シリンダに作動流体を供給するリザーバと、前記シリンダに設けられ前記リザーバを接続する筒状の接続部と、前記リザーバに設けられ前記接続部に挿入される筒状の挿入部と、前記接続部と前記挿入部との間に設けられ、弾性を有してこれら接続部および挿入部間をシールする筒状のシール部材と、からなるマスタシリンダにおいて、前記挿入部は、先端側に径方向外側へ拡がる鍔部を有し、前記接続部は、その内周面の先端側に設けられ前記鍔部の外径より大径の環状の第1内径部と、該第1内径部の基端側に設けられ該第1内径部より大径の第2内径部と、該第2内径部の基端側にあって該第2内径部より大径の第3内径部とを有し、前記シール部材は、前記接続部の先端面に当接する大径の基端部と、前記接続部の第1内径部が嵌合する環状の嵌合部と、該嵌合部における前記基端部と軸方向反対側の位置に設けられ前記挿入部と前記接続部の第2内径部とに当接するシール筒部とを有する。これにより、シール部材の挿入部への摺動抵抗を弱めることになる。よって、鍔部の径方向の延出量を大きくして挿入部の接続部からの外れを規制しても、良好な組み付け性を得ることができる。また、接続部が、大径部のさらに基端側に、鍔部に対向可能となるように、嵌合凸部より小径の小径部を有しているため、例えシール部材が鍔部で想定以上に引っ張られることがあっても、この部分が鍔部と小径部との間に入り込むことを規制でき、シール部材の損傷を抑制できる。
また、前記シール部材は、その外周面に、前記シール筒部の先端部に該シール筒部より大径の突出部を設けたため、挿入部の接続部からの外れを規制できる。
また、前記接続部の前記第3内径部は、前記第2内径部へ向けて徐々に縮径する縮径部を有するため、挿入部が接続部に対し抜け方向に移動して、鍔部がシール部材を抜け方向に押圧すると、シール部材が縮径部の案内で径方向内側に移動するように変形し挿入部への接触圧を高め摩擦力を高めることになる。これにより、挿入部の接続部からの抜けを規制することができる。
また、前記突出部の少なくとも一部が、使用状態で前記第2内径部に接触するように設けられているため、シール部材が使用状態で挿入部を押圧することになり、使用状態での挿入部の接続部からの抜けを規制することができる。
なお、上記各実施の形態では、マスタシリンダの接続部28にシール部材13とリザーバの挿入部34とを接続するだけで、抜け止めを行うものを示したが、特許文献1のようなピン等によってマスタシリンダとリザーバを締結するマスタシリンダに本願発明を適用しても良い。これにより、仮に、メンテナンス時等にピン等の挿入を忘れても、マスタシリンダからリザーバが抜けてしまうことを防止できる。