添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態においては、一例として、コンピュータ(PC:パーソナルコンピュータ)に接続可能なデジタルカメラ(撮像装置)に本発明を適用する場合について説明する。
図1は、コンピュータに接続されるデジタルカメラを示すブロック図である。
デジタルカメラ10は、交換可能なレンズユニット12と、撮像素子26を具備するカメラ本体14とを備え、レンズユニット12のレンズユニット入出力部22とカメラ本体14のカメラ本体入出力部30とを介し、レンズユニット12とカメラ本体14とは電気的に接続される。
レンズユニット12は、レンズ16や絞り17等の光学系と、この光学系を制御する光学系操作部18とを具備する。光学系操作部18は、レンズユニット入出力部22に接続されるレンズユニットコントローラ20と、光学系を操作するアクチュエータ(図示省略)とを含む。レンズユニットコントローラ20は、レンズユニット入出力部22を介してカメラ本体14から送られてくる制御信号に基づき、アクチュエータを介して光学系を制御し、例えば、レンズ移動によるフォーカス制御やズーム制御、絞り17の絞り量制御、等を行う。
カメラ本体14の撮像素子26は、集光用マイクロレンズ、R(赤)G(緑)B(青)等のカラーフィルタ、及びイメージセンサ(フォトダイオード;CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)、CCD(Charge Coupled Device)等)を有する。この撮像素子26は、レンズユニット12の光学系(レンズ16、絞り17等)を介して照射される被写体像の光を電気信号に変換し、画像信号(原画像データ)をカメラ本体コントローラ28に送る。
本例の撮像素子26は、光学系を用いた被写体像の撮影により原画像データを出力し、この原画像データはカメラ本体コントローラ28の画像処理部に送信される。
カメラ本体コントローラ28は、図2に示すようにデバイス制御部34と画像処理部(画像処理装置)35とを有し、カメラ本体14を統括的に制御する。デバイス制御部34は、例えば、撮像素子26からの画像信号(画像データ)の出力を制御し、レンズユニット12を制御するための制御信号を生成してカメラ本体入出力部30を介してレンズユニット12(レンズユニットコントローラ20)に送信し、入出力インターフェース32を介して接続される外部機器類(コンピュータ60等)に画像処理前後の画像データ(RAWデータ、JPEGデータ等)を送信する。また、デバイス制御部34は、図示しない表示部(EVF:Electronic View Finder、背面液晶表示部)等、デジタルカメラ10が具備する各種デバイス類を適宜制御する。
一方、画像処理部35は、撮像素子26からの画像信号に対し、必要に応じた任意の画像処理を行うことができる。例えば、センサ補正処理、デモザイク(同時化)処理、画素補間処理、色補正処理(オフセット補正処理、ホワイトバランス処理、カラーマトリック処理、ガンマ変換処理(ガンマ補正処理部33)、等)、RGB画像処理(シャープネス処理、トーン補正処理、露出補正処理、輪郭補正処理、等)、RGB/YCrCb変換処理及び画像圧縮処理、等の各種の画像処理が、画像処理部35において適宜行われる。特に本例の画像処理部35は、光学系の点拡がり関数に基づく復元処理(点像復元処理)を画像信号(原画像データ)に対して行う点像復元制御処理部36を含む。点像復元処理の詳細は後述する。
なお、図1に示すデジタルカメラ10は、撮影等に必要なその他の機器類(シャッター等)を具備し、ユーザは、カメラ本体14に設けられるユーザインターフェース29を介して撮影等のための各種設定(EV値(Exposure Value)等)を適宜決定及び変更することができる。ユーザインターフェース29は、カメラ本体コントローラ28(デバイス制御部34及び画像処理部35)に接続され、ユーザによって決定及び変更された各種設定がカメラ本体コントローラ28における各種処理に反映される。
カメラ本体コントローラ28において画像処理された画像データは、入出力インターフェース32を介してコンピュータ60等に送られる。デジタルカメラ10(カメラ本体コントローラ28)からコンピュータ60等に送られる画像データのフォーマットは特に限定されず、RAW、JPEG、TIFF等の任意のフォーマットとしうる。したがってカメラ本体コントローラ28は、いわゆるExif(Exchangeable Image File Format)のように、ヘッダ情報(撮影情報(撮影日時、機種、画素数、絞り値等)等)、主画像データ及びサムネイル画像データ等の複数の関連データを相互に対応づけて1つの画像ファイルとして構成し、この画像ファイルをコンピュータ60に送信してもよい。
コンピュータ60は、カメラ本体14の入出力インターフェース32及びコンピュータ入出力部62を介してデジタルカメラ10に接続され、カメラ本体14から送られてくる画像データ等のデータ類を受信する。コンピュータコントローラ64は、コンピュータ60を統括的に制御し、デジタルカメラ10からの画像データを画像処理し、インターネット70等のネットワーク回線を介してコンピュータ入出力部62に接続されるサーバ80等との通信を制御する。コンピュータ60はディスプレイ66を有し、コンピュータコントローラ64における処理内容等が必要に応じてディスプレイ66に表示される。ユーザは、ディスプレイ66の表示を確認しながらキーボード等の入力手段(図示省略)を操作することで、コンピュータコントローラ64に対してデータやコマンドを入力することができる。これによりユーザは、コンピュータ60や、コンピュータ60に接続される機器類(デジタルカメラ10、サーバ80)を制御することができる。
サーバ80は、サーバ入出力部82及びサーバコントローラ84を有する。サーバ入出力部82は、コンピュータ60等の外部機器類との送受信接続部を構成し、インターネット70等のネットワーク回線を介してコンピュータ60のコンピュータ入出力部62に接続される。サーバコントローラ84は、コンピュータ60からの制御指示信号に応じ、コンピュータコントローラ64と協働し、コンピュータコントローラ64との間で必要に応じてデータ類の送受信を行い、データ類をコンピュータ60にダウンロードし、演算処理を行ってその演算結果をコンピュータ60に送信する。
各コントローラ(レンズユニットコントローラ20、カメラ本体コントローラ28、コンピュータコントローラ64、及びサーバコントローラ84)は、制御処理に必要な回路類を有し、例えば演算処理回路(CPU等)やメモリ等を具備する。また、デジタルカメラ10、コンピュータ60及びサーバ80間の通信は有線であってもよいし無線であってもよい。また、コンピュータ60及びサーバ80を一体的に構成してもよく、またコンピュータ60及び/又はサーバ80が省略されてもよい。また、デジタルカメラ10にサーバ80との通信機能を持たせ、デジタルカメラ10とサーバ80との間で直接的にデータ類の送受信が行われるようにしてもよい。
<点像復元処理>
次に、撮像素子26を介して得られる被写体像の撮像データ(画像データ)の点像復元処理について説明する。
以下の例においては、カメラ本体14(カメラ本体コントローラ28)において点像復元処理が実施される例について説明するが、点像復元処理の全部又は一部を他のコントローラ(レンズユニットコントローラ20、コンピュータコントローラ64、又はサーバコントローラ84等)において実施することも可能である。
点像復元処理は、光学系(レンズ16、絞り17等)を用いた被写体像の撮影により撮像素子26から取得される原画像データに対し、光学系の点拡がり関数に基づく復元フィルタを用いた復元処理を行って回復画像データを取得する処理である。
図3は、画像撮影から点像復元処理までの概略を示す図である。点像を被写体として撮影を行う場合、被写体像は光学系(レンズ16、絞り17等)を介して撮像素子26(イメージセンサ)により受光され、撮像素子26から原画像データDoが出力される。この原画像データDoは、光学系の特性に由来する点拡がり現象によって、本来の被写体像がボケた状態の画像データとなる。
ボケ画像の原画像データDoから本来の被写体像(点像)を復元するため、原画像データDoに対して復元フィルタFを用いた点像復元処理P10を行うことで、本来の被写体像(点像)により近い像(回復画像)を表す回復画像データDrが得られる。
点像復元処理P10で用いられる復元フィルタFは、原画像データDo取得時の撮影条件に応じた光学系の点像情報である点拡がり関数から、所定の復元フィルタ算出アルゴリズムP20によって得られる。図3における符号αは撮影条件に応じた点像情報を表し、この光学系の点像情報である点拡がり関数は、レンズ16の種類だけではなく、絞り量、焦点距離、ズーム量、像高、記録画素数、又は画素ピッチ等の各種の撮影条件によって変動しうるため、復元フィルタFを算出する際にはこれらの撮影条件が取得される。
図4は、点像復元処理の一例を示すブロック図である。
点像復元処理P10は、上述のように復元フィルタFを用いたフィルタリング処理によって原画像データDoから回復画像データDrを作成する処理であり、例えばN×M(N及びMは2以上の整数を表す)のタップによって構成される実空間上の復元フィルタFが処理対象の画像データに適用される。これにより、各タップに割り当てられるフィルタ係数と対応の画素データ原画像データDoの処理対象画素データ及び隣接画素データ)とを加重平均演算(デコンボリューション演算)することで、点像復元処理後の画素データ(回復画像データDr)を算出することができる。この復元フィルタFを用いた加重平均処理を、対象画素を順番に代えながら、画像データを構成する全画素データに適用することで、点像復元処理を行うことができる。図4における符号βは、処理対象画素データに適用するタップ(フィルタ係数)を表す。
N×Mのタップによって構成される実空間上の復元フィルタは、周波数空間上の復元フィルタを逆フーリエ変換することによって導出可能である。したがって、実空間上の復元フィルタは、基礎となる周波数空間上の復元フィルタを特定し、実空間上の復元フィルタの構成タップ数を指定することによって、適宜算出可能である。
次に、点像復元処理によって生じうる画質上の弊害について説明する。
図5は、被写体像中のエッジ部分(画像境界部分)の画質変化の一例を示す図であり、理想的な点像復元処理が画素値の飽和無し、かつクリッピング無しという条件下において行われる場合を示す。図5の符号1051は被写体像が本来有するコントラストを示し、符号1052は点像復元処理前の原画像データDoにおけるコントラストを示し、符号1053は点像復元処理後の回復画像データDrにおけるコントラストを示す。なお、図5の横方向(X方向)は被写体像中における位置(1次元位置)を示し、縦方向(Y方向)はコントラストの強弱を示す。
被写体像中における「コントラストの段差を持つエッジ部分」(図5の符号1051参照)は、上述したように撮影時の光学系の点拡がり現象によって撮影画像(原画像データDo)では画像ボケが生じ(図5の符号1052参照)、点像復元処理によって回復画像データDrが得られる(図5の符号1053参照)。
点像復元処理において、「実際の画像劣化特性(画像ボケ特性)」と「使用する復元フィルタの基礎となる点拡がり関数(PSF等)」とがマッチングしている場合、画像が適切に復元され、エッジ部分等が適切に復元された回復画像データDrを得ることができる(図5参照)。
しかしながら、実際の点像復元処理では、「実際の画像劣化特性(画像ボケ特性)」と「使用する復元フィルタの基礎となる点拡がり関数」とが完全にマッチングしない場合もある。
図6は、「実際の画像劣化特性(画像ボケ特性)」と「使用する復元フィルタの基礎となる点拡がり関数」とが完全にはマッチングしない場合の、原画像データ、回復画像データ、及びガンマ補正処理後の画像データの一例を示す図である。図6において横方向(X方向)は画像中の位置(一次元位置)を示し、縦方向(Y方向)は画素値を示す。「実際の画像劣化特性(画像ボケ特性)」と「使用する復元フィルタの基礎となる点拡がり関数」とが完全にはマッチングしない場合、コントラスト差が比較的大きなエッジ部分ではオーバーシュート及び/又はアンダーシュートが生じることがある(図6の符号1061及び符号1062参照)。このオーバーシュート及び/又はアンダーシュートによりの画質劣化が生じるケースであっても、画像再現性及び画像タフネス性(画像非破綻性)に優れた点像復元処理であれば、そのような画質劣化が視認できないか、又は目立たない程度に画質が回復された回復画像データDrを取得することが可能である。
しかしながら、画質劣化が目立たない程度まで回復された回復画像データが点像復元処理によって得られたとしても、点像復元処理後の他の処理(ガンマ補正処理等の階調補正処理等)によって、回復画像データ中の画質劣化を強調して目立たせてしまうことがある。
例えば図6に示すように、点像復元処理によって生じるオーバーシュート及び/又はアンダーシュート自体は小さくその影響が視覚上特に目立たない場合であっても、その後にガンマ補正処理等の階調補正処理が行われるとオーバーシュート及び/又はアンダーシュートが必要以上に強調されることがある(図6の符号1063の「E1」及び「E2」参照)。特にシャドウ側のアンダーシュート部分は、その後のガンマ補正処理によって大きなゲイン(増幅率)が適用され、画像エッジ部において黒側に大きく偏った部分を構成する(図6の符号1063の「E2」参照)。この現象は、点像復元処理に限ったものではなく、真数空間の画像データに対する輪郭補正処理を行った結果、エッジ部分にオーバーシュートが発生した場合にも共通する。
したがって、点像復元処理を画像処理フローの一部として実際に設計する場合、点像復元処理自体だけではなく、点像復元処理前後の処理との関連を加味した総合的な画像処理フローの設計を行うことが好ましい。
図7〜図10は、画像処理部35(カメラ本体コントローラ28)における各種の画像処理フローを例示するブロック図である。図7は、ガンマ補正処理(階調補正処理)後に輝度データ(Y)に対して点像復元処理を行う例を示し、図8は、ガンマ補正処理後にRGBの色データに対して点像復元処理を行う例を示す。また図9は、ガンマ補正処理前にRGB色データに対して点像復元処理を行う例を示し、図10は、ガンマ補正処理前に輝度データ(Y)に対して点像復元処理を行う例を示す。
図7の例において、画像処理部35は、モザイクデータ(RAW画像データ;原画像データ)が入力されると、「画像の明るさを調整するオフセット補正処理41」、「画像のホワイトバランス(WB)を調整するWB補正処理42」、「画素補間処理によって全画素に関してRGB各色の色データを取得するデモザイク処理43」、「対数化処理による階調補正を行って画素データの階調を調整するガンマ補正処理44(階調補正ステップ;ガンマ補正処理部33)」、「RGB色データから輝度データ(Y)及び色差データ(Cb/Cr)を算出する輝度色差変換処理45」及び「画像データ(輝度データ)に対し、撮影に用いられた光学系の点拡がり関数に基づく復元フィルタを用いた点像復元処理を行う点像復元処理(復元処理ステップ)46」を順次行う。なお、色データは、モザイクデータ(原画像データ)を撮影取得した撮像素子26が有するカラーフィルタの色種類に対応し、輝度データ及び色差データは、公知の算出式によって色データから算出可能である。
一方、図8の例では、図7の画像処理例における輝度色差変換処理45と点像復元処理46との処理順序が入れ替わっている。したがって、図7の例ではガンマ補正処理(階調補正)44後の原画像データの輝度データに対して点像復元処理46が行われるが、図8の例では、ガンマ補正処理(階調補正)44された原画像データのRGB色データに対する点像復元処理46が点像復元制御処理部36で行われ、その後に輝度データ及び色差データが算出される。
図9の例では、図8の画像処理例におけるガンマ補正処理44と点像復元処理46との処理順序が入れ替わっている。したがって、図8に示す例ではガンマ補正処理44後に点像復元処理46が行われるが、図9に示す例ではガンマ補正処理44前に点像復元処理46が行われる。
図10の例では、オフセット補正処理41、WB補正処理42及びデモザイク処理43は図7〜図9の例と同じであるが、デモザイク処理43後に輝度色差変換処理45aが行われ、輝度データに対して点像復元処理46が行われた後に輝度データ及び色差データからRGB色データを算出する色信号変換処理47が行われる。そして、このRGB色データに対してガンマ補正処理44及び輝度色差変換処理45bが順次行われることで、輝度データ及び色差データが取得される。
なお、図7〜図10の各々は処理フローの一例を示すものに過ぎず、他の処理が必要に応じて任意の段階で行われてもよいし、図7〜図10に示す処理の一部が省略されてもよい。
各種の画像処理フロー間における点像復元処理効果の相違に関し、「階調補正処理(ガンマ補正処理)と点像復元処理」は、図11に示す関連性がある。
図11は、点像復元処理に対する「階調補正処理(ガンマ補正処理)」及び「色データ/輝度データ」の相関を示す図である。
図11の「真数(階調補正前)」が示す欄は、階調補正処理(ガンマ補正処理)前の画像データ(真数画像データ)に対して点像復元処理を行った場合の画像特性を示す(図9及び図10参照)。また、図11の「対数(階調補正後)」が示す欄は、階調補正処理(ガンマ補正処理)後の画像データ(対数画像データ)に対して点像復元処理を行った場合の画像特性を示す(図7及び図8参照)。また、図11の「色データ(RGB)」が示す欄は、色データ(RGBデータ)に対して点像復元処理を行った場合の画像特性を示し(図8及び図9参照)、「輝度データ(Y)」が示す欄は、輝度データに対して点像復元処理を行った場合の画像特性を示す(図7及び図10参照)。
真数の画像データと対数の画像データとを比較すると、理想系においては、真数画像データ(階調補正前画像データ)の点像復元の方が、対数画像データ(階調補正を含む対数化処理後画像データ)の点像復元よりも、画像復元性に優れている(図11の「理想系における復元性」参照)。
ここで言う理想系とは、「点像復元処理で使用する復元フィルタのタップ数が十分に大きく」、「計算ビット数が十分に大きく」、「光学系の実際のボケ特性と、画像処理部35が保持する光学系ボケ特性データとが一致している」、又は「画素値が飽和した飽和画素データを入力画像データ(原画像データ)が含まない」など、適切な点像復元処理を行うための条件が十分に満たされている理想的な系を指す。
一方、理想系からずれた実際の処理系では、対数画像データ(階調補正を含む対数化処理後画像データ)の点像復元の方が、真数画像データ(階調補正前画像データ)の点像復元よりも、点像復元画像(回復画像)におけるリンギングなどの副作用の出現程度が小さいことが実験により確認されている(図11の「理想系からずれた系における輝度系タフネス性(リンギング程度、等)」参照)。
理想系とは異なる現実の処理系において「真数画像データ(真数空間上の画像データ)に対する点像復元処理」よりも「対数画像データ(対数空間上の画像データ)に対する点像復元処理」の方がリンギングなどの副作用の出方が小さいのは、ガンマ補正処理を含む対数化処理後の画素データ(画像データ)では、低輝度部の階調が強調され(エンハンスされ)、高輝度部の階調が非強調とされることが一因である。また、点像復元処理によって画像のエッジ(境界部)にオーバーシュート及び/又はアンダーシュートが発生し、そのオーバーシュート及び/又はアンダーシュートが階調補正によって強調されることもリンギングなどの画像劣化を目立たせる一因である(図6参照)。
「色データ(RGBデータ)に対する点像復元処理」は、想定通り、すなわち保持している光学系の点拡がり関数情報等の劣化情報通りにRGB各色の色データ(色信号)が点像復元制御処理部36に入力されれば、効果的な色データ補正が可能である。その場合、「輝度データ(Yデータ)に対する点像復元処理」と比較して色収差などを効果的に軽減することができる(図11の「理想系における復元性」及び「色系補正能力」参照)。しかしながら、実際の入力信号の挙動が想定通りではない場合、色データ(RGBデータ)に対する点像復元処理では、不要な色付きを生じる箇所が増えて不自然な色合いが目立つなどの副作用が起きることがある(図11の「理想系からずれた系における色系タフネス性(色付き程度、滲み程度、等)」参照)。
ソフトウェア上での処理規模(処理系をハードウェア化する場合は処理回路の規模)についても、図11に示す違いがある。すなわち、真数画像データ(真数空間上の画像データ)よりも対数画像データ(対数空間上の画像データ)の点像復元処理の方が、演算処理が簡単であるため、処理規模が小さくなり、有利である。また、色データ(RGBデータ)に対する点像復元処理では3チャンネル(3ch)分の処理系が必要とされるが、輝度データ(Yデータ)に対する点像復元処理では1チャンネル(1ch)分の処理系で済むため、輝度データに対する点像復元処理の方が、演算処理が簡単になり処理規模をコンパクト化することが可能である。
したがって、実際の画像処理系では、図11に示す上述の各種特性を踏まえ、ユーザのニーズに応じた適切な系が構築されることが好ましい。例えば「入力される画像信号(画像データ)として様々なタイプのものが入力される」、「処理系をハード化する際にできるだけ小規模にする」、又は「実際の画像劣化情報と処理系で保持する画像劣化情報とが完全一致している保証がない」など、理想処理系から処理条件が外れる場合、対数の画像データに対する点像復元処理の方が、真数の画像データに対する点像復元処理よりも、画像タフネス性(画像非破綻性)に優れる。したがって、実際の画像処理系では、画像タフネス性を向上させる観点からは、点像復元処理を階調補正処理(ガンマ補正処理)の後段で実施することが好ましい。また、画像処理による副作用の抑制や処理系の小規模化を重視するのであれば、色データよりも輝度データに対して点像復元処理を施す画像処理系の方が好ましく、色再現性を重視するのであれば、輝度データよりも色データに対して点像復元処理を施す画像処理系の方が好ましい。
ガンマ補正処理を含む対数化処理による階調補正を行う場合、復元フィルタ自体は、対数化処理前の画像データに対応したフィルタ係数から成っていてもよいし、対数化処理後の画像データに対応したフィルタ係数から成っていてもよい。
「階調補正を含む対数化処理後の画像データの画素値(対数の画素データ)」に対し、敢えて「階調補正前、すなわち対数化処理前の画素値である真数の画素データに対応したフィルタ係数から成る復元フィルタ」を適用して回復処理(点像復元処理)を行う場合、回復画像(復元画像)で生じた画質劣化(リンギング等)に対するタフネス性が向上し、回復画像上でリンギングを目立たせないようにできる。これは、対数化処理後の画素データ(画像データ)では、低輝度部の階調が強調され(エンハンスされ)、高輝度部の階調が非強調とされるからである。
図12は、ガンマ補正処理を含む対数化処理による処理前データと処理後データとの間の関係の一例を示す図(グラフ)である。図12の横軸は処理前データ(ガンマ補正処理入力データ「IN」)を示し、縦軸は処理後データ(ガンマ補正処理出力データ「OUT」)を示し、グラフ中の実線がガンマ補正処理階調カーブを示す。
一般的な画像データに対する点像復元処理において、点像復元処理による効果が視覚的に認識され易いのは、コントラストの低い領域であり、ガンマ補正処理階調カーブにおいて直線で近似できる「画素値のレベル差の比較的小さい領域」である(図12の「A」参照)。一方、コントラストの高い領域、つまりガンマ補正処理階調カーブにおいて曲線部を構成する「画素値のレベル差が比較的大きい領域」では、元々のコントラストが高くボケも認識されにくい(図12の「B」参照)。
さらに、コントラストの高い領域のうち飽和画素を含む領域で、画素値が真数である画素データ(階調補正前の画素データ)に対して点像復元処理を行い、その後に階調補正(ガンマ補正処理を含む対数化処理)を行うと、アンダーシュート及び/又はオーバーシュートが階調処理によって強調されることによりリンギングが目立ち易くなる。一方、対数化処理後の画素データに対して点像復元処理を行う場合、対数化処理により高いコントラストが圧縮され、点像復元処理によるリンギングの強度が低減される。
つまり、対数化処理後の画素データに対し、画素値が真数の画素データに対応したフィルタ係数から成る復元フィルタを使って回復処理(点像復元処理)を行うことで、一般的に視認されやすい低コントラスト領域に対しては遜色なく点像復元処理を施すことができる一方で、点像復元処理によってリンギングが生じ易い高コントラスト領域ではリンギングの強調度合いを低減することが可能である。
特に、画像処理装置(撮像装置等)が複数種類の階調補正(ガンマ補正処理等)を実行可能であり複数種類のガンマ補正処理階調カーブのデータを保持する場合、従来技術(特許文献2参照)では複数種類の階調補正毎に画素信号値の変化量の制限値を算出する必要がある。しかしながら、本方式によれば、階調補正後の画素データに点像復元処理をかけるため、階調補正の種類に応じた処理の切り替えも不要になる。
図13〜図14は、階調補正であるガンマ補正処理における入力値(IN)と出力値(OUT)との関係(ガンマ補正処理階調カーブ)を例示し、図13は風景撮影モード選択時に用いられるガンマ補正処理階調カーブの一例を示し、図14は人物撮影モード選択時に用いられるガンマ補正処理階調カーブの一例を示す。デジタルカメラ10(図1参照)等の撮像装置や画像処理装置は、階調補正処理(ガンマ補正処理)で使用するガンマ補正処理階調カーブを複数種類保持する場合、保持するガンマ補正処理階調カーブの中から撮影モードに応じた最適なガンマ補正処理階調カーブを選択する。このケースにおいて階調補正(ガンマ補正処理)前の画像データに対して点像復元処理を行う場合、階調補正毎に点像復元処理の制限値を求め、ガンマ補正処理の種類に応じて点像復元処理を切り替える必要がある(例えば特許文献2参照)。しかしながら、ガンマ補正処理後の画素データに対して点像復元処理を行う場合、ガンマ補正処理の種類に応じて点像復元処理を切り替える必要がない。したがって、処理の切り替えが不要となる「ガンマ補正処理後の画素データに対して点像復元処理を施すケース」において、復元フィルタを事前作成しておく場合には消費するメモリ量を抑えることができ、また復元フィルタを処理毎に逐次算出する場合には処理が容易になり計算時間を抑えることが可能となる。
一般にPSF(点拡がり関数)は入力が線形であることが前提とされ、この前提に基づく復元フィルタは、「線形の係数」つまり「真数の画素データに対応したフィルタ係数」から成る方が生成も容易である。
復元フィルタをガンマ補正処理(階調補正処理)前の画素値に対応したフィルタ係数によって構成することで、メモリ、処理時間、開発・設計負荷等を軽減することができ、実用上非常に効果的且つ有用である。
一方、階調補正を含む対数化処理後の画素値(対数の画素データ)に対し、対数化処理後の画素値(対数の画素データ)に対応したフィルタ係数から成る復元フィルタを使って回復処理(点像復元処理)を行うことで、点像復元処理で発生するリンギングによる画質劣化に対してタフネス性を向上でき、発生するリンギングを画像上で目立たせないようにできる。
すなわち、画素データが階調補正を含む対数化処理後の画素値(対数の画素データ)である場合、対数化処理後の画素値(対数の画素データ)に対応したフィルタ係数から成る復元フィルタを使って点像復元処理を行うことで、点像復元処理自体を正確に行うことが可能である。この場合、点像復元処理の対象画像データを「階調補正後の原画像データ」とすることで、階調補正を含む対数化処理により高いコントラストが圧縮され、点像復元処理により発生するリンギングの強度を低減することができる。
点像復元処理で使用する復元フィルタは、予め生成されていてもよいし、点像復元処理の実行に応じて逐次算出生成されてもよい。点像復元処理時の演算量を低減化する観点からは、復元フィルタを予め生成しておくことが好ましい。また、適応性に優れた復元フィルタを使用する観点からは、点像復元処理の実行時に復元フィルタを逐次算出することが好ましい。
復元フィルタを予め生成しておく場合、入力画素値(入力画像データ)に対するガンマ補正処理を含む対数化処理によって求められる画素値に基づいて演算を行うことで、復元フィルタのフィルタ係数を求めるようにしてもよい。復元フィルタの生成に用いられる画素値は、輝度値であってもよいし、RGB色データのうちの代表的に選択された1つのチャネルに関する画素値(例えばGの画素値)でもよい。また、復元フィルタの生成に用いられる画素値は、主要被写体の画素値であってもよいし、画面全体の平均値から求められる画素値であってもよい。
点像復元処理は、原画像データの振幅成分のみを復元して回復画像データを得る処理であってもよいし、原画像データの振幅成分及び位相成分を復元して回復画像データを得る処理であってもよい。すなわち、光学系のMTF(Modulation Transfer Function)/PTF(Phase Transfer Function)のうち少なくともいずれか一方に基づいて復元フィルタを算出することができる。なお、光学系のボケ特性は、いわゆる光学伝達関数(OTF:Optical Transfer Function)によって表現可能であり、OTFを逆フーリエ変換して得られる関数は点像分布関数(PSF:点拡がり関数)とも呼ばれる。MTFはOTFの絶対値成分であり、PTFは位相のズレを空間周波数の関数として表したものである。したがって、点像復元処理に用いられる復元フィルタは、光学系のOTF(MTF/PTF)やPSFに基づいて、適宜設計可能である。
<高輝度シーン画像に対する点像復元処理>
本件発明者は、上述の知見に加え、撮影シーンの明るさの分布(ダイナミックレンジ、ヒストグラムなどによって表現される)によって左右される点像復元処理の効果に着目して鋭意研究を重ねた結果、「撮影シーンの明るさ分布」と「点像復元処理によってもたらされうる画質劣化」との相関について新たな知見を得るに至った。
すなわち、ガンマ補正処理後の画像データのうち特に高輝度側(ハイライト側)のデータに関し、「光学系の点拡がり関数(PSF等)」と「画像データ」との間のマッチングのずれが大きくなり、点像復元処理による過補正等の画質劣化を招き易い。とりわけ、真数の画素データに対応したフィルタ係数から成る復元フィルタによる点像復元処理では、そのようなマッチングのずれがより大きくなる傾向があり、結果的に、点像復元処理によって画像データ(復元画像データ、回復画像データ)の画質低下を招くことがある。すなわち、撮影シーンの影響により画像データが全体的に明るい高輝度側に偏っている場合、画像全体における高輝度領域が占める割合が相対的に大きくなり、光学系の点拡がり関数とのマッチングのずれが大きい画像領域が増大する。したがって、高輝度側に偏っている画像データに対する点像復元処理では、過補正等が生じる領域が相対的に増え、画像全体として画質低下が目立ち易い。
このように、全体的に高輝度側に偏っているシーンの画像データであってガンマ補正処理後の画像データは、点拡がり関数に対するマッチングずれが大きい高輝度側の画素比率が大きい。そのような画像データに対し、点拡がり関数に対するマッチングずれが大きい「真数(ガンマ補正処理前の画像データ)に対応する復元フィルタ」による点像復元処理を適用すると、点像復元処理による画質劣化がより一層目立ち易い。加えて、そのような画像データは低輝度側の画素比率が少ないため、「ガンマ補正処理後の画像データに対してガンマ補正処理前の画像データに対応する復元フィルタを用いた点像復元処理」による有益な効果が弱くなってしまう場合もある。すなわち、「広ダイナミックレンジの画像データに関し、ガンマ補正処理後の画像データに対して真数に対応した復元フィルタによる点像復元処理を適用することで、飽和画素に起因するリンギングの発生を低減しつつ、低輝度側の画素で高精度な点像復元処理を可能にする」という効果が、想定よりも弱くなってしまう場合もある。
本件発明者は、上述の新たな知見を踏まえ、「被写体像の明るさに起因する画質劣化」や「撮影画像の明るさを左右する撮影条件に起因する画質劣化」を抑制しつつ、点拡がり関数に基づく復元処理を精度良く行うことを可能にする新たな技術を考案するに至った。
以下に、本発明の好ましい実施形態を例示する。
<第1実施形態>
本実施形態では、ガンマ補正処理を含む対数化処理によって階調補正された原画像データに対し、ガンマ補正処理の前の画像データに対応したフィルタ係数から成る復元フィルタを適用することで点像復元処理を行う場合について説明する。したがって、復元フィルタは真数に対応したフィルタ係数を有し、ガンマ補正処理後の原画像データに対して真数基準の復元フィルタを適用することで点像復元処理が行われる。
上述のように、画像データの高輝度側で「光学系の点拡がり関数に基づく復元フィルタの特性」と「ガンマ補正処理後の画像データの画質劣化」との間のマッチングのずれ量が大きくなるため、ガンマ補正処理後の画像データに対する点像復元処理(主に真数に対応した復元フィルタによる点像復元処理)は、過補正等による画質低下を招くことがある。
そのような高輝度側の画像データの画質劣化を低減するため、本実施形態の点像復元制御処理部36は、ダイナミックレンジ、ヒストグラムなどにより表現される、撮影シーンの明るさの分布に基づいて、撮影画像データに対する点像復元処理の復元強度をコントロールする。すなわち、点像復元制御処理部36は、撮影画像データの明るさの分布特性に応じて点像復元処理の復元強度を調整し、点像復元処理によって過補正等が生じ易い明るさを持つ領域(高輝度領域)の割合が増える程、復元強度を弱める等のコントロールを行う。例えば、撮影シーンが高輝度側に偏っていると判別されたら、撮影シーンが高輝度側に偏っていない場合よりも復元強度が下げられたり、リンギング等の画質劣化を発生させ難い復元フィルタ(基底フィルタ、フィルタ係数)に切り替えて復元処理(ボケ画像補正処理)が行われたり、或いは復元処理自体が中止(スキップ)される。
なお、点像復元制御処理部36(特に後述の復元処理部39)は、階調補正された原画像データ(ガンマ補正処理後の画像データ)の「輝度成分」に対して復元フィルタを適用することで復元処理を行ってもよいし、階調補正された原画像データの「色成分」に対して復元フィルタを適用することで復元処理を行ってもよい。
ここでいう「輝度成分」は、画像の明るさを直接的又は間接的に表しうる要素であり、特に限定されない。例えば、輝度信号(Y)及び色差信号によって画像データが表される場合の「輝度信号(Y)成分」や、明度次元(L*)及び補色次元によって画像データが表される場合の「明度次元(L*)成分」が、ここでいう「輝度成分」に含まれうる。また、画像の明るさの間接的な指標となりうる色成分を「輝度成分」として扱ってもよく、画像データの色成分のうち画像の明るさに最も寄与しうる色成分を「輝度成分」とすることも可能である。したがって、例えばRGB色データのうちのG色データを「輝度成分」としてもよい。同様に、ここでいう「色成分」とは、画像の色を直接的又は間接的に表しうる要素であり、特に限定されない。したがって、例えば撮像素子26のカラーフィルタに対応する色成分(例えばRGB等)の各々を、ここでいう「色成分」としてもよい。
以下の実施形態では、説明の都合上、原画像データの「輝度成分」に対して点像復元処理が行われるケースについて説明するが(図7参照)、原画像データの「色成分」に対して点像復元処理が行われるケース(図8参照)に対しても、同様の点像復元処理を行うことができる。以下、復元処理コントロールの具体例について説明する。
図15は、第1実施形態に係る点像復元制御処理部36の一例を示す機能ブロック図である。図15及び他の図に示される各種の画像処理ブロックは、必ずしも別体として設けられる必要はなく、一体的に構成されるハードウェア及び/又はソフトウェアによって複数の画像処理ブロックを実現してもよい。
本例の点像復元制御処理部36は、原画像データの輝度分布を取得する輝度分布取得部37と、復元処理を行う復元処理部39と、復元処理部39を制御して復元処理をコントロールする復元制御部38とを含む。
本例では、画像処理部35の他部(図2の「ガンマ補正処理部33(階調補正部)」参照)で原画像データに対してガンマ補正処理を含む対数化処理による階調補正が行われ、そのガンマ補正処理後の原画像データが点像復元制御処理部36に入力される。点像復元制御処理部36に入力されたガンマ補正処理後の原画像データは、輝度分布取得部37において解析されて輝度分布に関する情報(輝度分布情報)が取得される。輝度分布取得部37によって取得された輝度分布情報は復元制御部38に送られ、復元制御部38は、原画像データに対して適切な点像復元処理が行われるように、その輝度分布情報に基づいて復元処理部39を制御する。
特に本例では、原画像データ全体における高輝度領域(ハイライト領域)の割合に基づいて点像復元処理がコントロールされ、復元制御部38は、原画像データの輝度分布のうち閾値(第1の閾値)以上の輝度値の特性に基づいて、復元処理部39を制御する。この高輝度領域の割合に基づく復元処理コントロールの詳細は後述する。
図16は、復元処理部39の一例を示す機能ブロック図である。本例の復元処理部39は点像復元処理ユニット53を構成するフィルタ適用部51及びゲイン調整部52を有し、点像復元処理ユニット53を構成する各部が協働して点像復元処理が行われる。
フィルタ適用部51は、原画像データに対して復元フィルタを適用して復元画像データを取得する。ゲイン調整部52は、原画像データと復元画像データとの差分の増幅率の調整を行って増幅率調整後差分値を求め、この増幅率調整後差分値と原画像データとから回復画像データを取得する。
図17は、フィルタ適用部51及びゲイン調整部52によって行われる点像復元処理(フィルタ適用処理及びゲイン調整処理)の一例を示す制御回路図である。
まずフィルタ適用部51において、復元フィルタFが原画像データDoに適用され(フィルタ適用処理Pf)、復元画像データDr1が算出される。原画像データDoに適用される復元フィルタFは、光学系(レンズ16、絞り17等)の点拡がり関数(PSF、OTF、MTF、又はPTF等)に基づくものであれば特に限定されず、実空間フィルタであっても周波数空間フィルタであってもよい(図4参照)。
その後、ゲイン調整部52において、フィルタ適用処理前後の画像データの差分が導出され(差分導出処理Pd)、この差分に対する増幅率(復元ゲイン)の調整が行われる(ゲイン調整処理Pg)。すなわち図17に示すように、差分導出処理Pdでは、フィルタ適用処理Pfを経た復元画像データDr1と原画像データDoとの差分データΔD(ΔD=Dr1−Do)が算出される。そしてゲイン調整処理Pgでは、この差分データΔDの増幅率(復元ゲイン)Gの調整が行われて増幅率調整後差分値(G×ΔD)が算出され、この増幅率調整後差分値(G×ΔD)と原画像データDoとの加算処理Paが行われて回復画像データDr2が算出される(Dr2=Do+G×ΔD)。なお点像復元処理として、上記手法と同様な他の手法を採用してもよく、例えば次のような処理としてもよい。復元フィルタFが原画像データDoに適用され(フィルタ適用処理Pf)、復元画像データDr1が算出される。その後、ゲイン調整処理Pgとしてこの復元画像データDr1に増幅率(復元ゲイン)Gの調整が行われ(Dr1×G)、これと原画像データDoに(1−G)が乗算されたものとの加算処理Paが行われて回復画像データDr2が算出されるようにしてもよい。
このように、点像復元処理による復元強度は、フィルタ適用処理Pfにおける復元フィルタ(フィルタ係数)Fと、ゲイン調整処理Pgにおける増幅率(復元ゲイン)Gとに応じて変動する。そのため、点像復元処理の復元強度の調整は、「フィルタ適用処理Pfで用いる復元フィルタ(フィルタ係数)の切り替え」及び/又は「ゲイン調整処理Pgにおける増幅率(復元ゲイン)Gの変更」によって実行可能である。
例えば「点像復元処理の復元強度を下げる」処理には、「通常の復元フィルタを用いる場合よりも、原画像データからの差が小さい(復元の程度が弱い)復元画像データDr1が得られる他の復元フィルタ、すなわち異なるフィルタ係数に切り替えたフィルタ適用処理Pf」及び「通常の増幅率(復元ゲイン)Gを用いる場合よりも、増幅率調整後差分値(G×ΔD)が小さくなる(増幅の程度が弱くなる)他の増幅率を用いたゲイン調整処理Pg」が含まれうる。復元制御部38は、復元処理部39(フィルタ適用部51及びゲイン調整部52)を制御してこれらの処理(フィルタ切替処理及び増幅率変更処理)のうちの少なくともいずれか一方を行うことで、点像復元処理の復元強度を下げることができる。
図18は、フィルタ適用部51の一例を示す機能ブロック図である。本例のフィルタ適用部51は、光学系データ取得部55、フィルタ選択部56、復元演算処理部57及び復元フィルタ記憶部58を有する。
光学系データ取得部55は、光学系(レンズ16、絞り17等)の点拡がり関数を示す光学系データを取得する。この光学系データは、フィルタ選択部56における復元フィルタの選択基準となるデータであり、処理対象の原画像データの撮影取得時に使用された光学系の点拡がり関数を直接的又は間接的に示す情報であればよい。したがって、例えば光学系の点拡がり関数(PSF、OTF(MTF、PTF))自体を光学系データとしてもよいし、光学系の点拡がり関数を間接的に示す光学系の種類、例えば、撮影時に使用したレンズユニット12(レンズ16)の型番等を光学系データとしてもよい。
フィルタ選択部56は、光学系データ取得部55が取得した光学系データに基づき、復元フィルタ記憶部58に記憶されている復元フィルタのうち、原画像データの撮影取得に用いられた光学系の光学系データに対応する復元フィルタを選択する。フィルタ選択部56によって選択された復元フィルタの情報は、フィルタ選択データとして復元演算処理部57に送られる。
なおフィルタ選択部56は、復元フィルタ記憶部58が記憶する復元フィルタの種類情報(復元フィルタ記憶情報)を把握しているが、フィルタ選択部56による復元フィルタ記憶情報の把握手法は特に限定されない。例えば、フィルタ選択部56は、復元フィルタ記憶情報を記憶する記憶部(図示省略)を有していてもよく、復元フィルタ記憶部58に記憶される復元フィルタの種類情報が変更される場合、フィルタ選択部56の記憶部に記憶される復元フィルタ記憶情報も変更されるようにしてもよい。また、フィルタ選択部56は、復元フィルタ記憶部58に接続されて直接的に「復元フィルタ記憶部58が記憶する復元フィルタの情報」を把握するようにしてもよいし、復元フィルタ記憶情報を把握する他の処理部(メモリ等)から復元フィルタ記憶情報を把握するようにしてもよい。
またフィルタ選択部56は、原画像データの撮影取得に用いられた光学系の点拡がり関数に対応する復元フィルタを選択すればよく、その選択手法は特に限定されない。例えば、光学系データ取得部55からの光学系データが点拡がり関数を直接的に示す場合、フィルタ選択部56は、その光学系データが示す点拡がり関数に対応する復元フィルタを選択する。また光学系データ取得部55からの光学系データが点拡がり関数を間接的に示す場合、フィルタ選択部56は、「点拡がり関数を間接的に光学系データ」から、処理対象の原画像データの撮影取得に用いられた光学系の点拡がり関数に対応する復元フィルタを選択する。
復元演算処理部57には、ガンマ補正処理後の原画像データとして輝度データ及びフィルタ選択データが入力される。復元演算処理部57は、フィルタ選択データに基づいて、原画像データの取得に用いられた光学系の光学系データに対応するフィルタ係数を有する復元フィルタを復元フィルタ記憶部58から読み出す。そして、復元演算処理部57は、光学系データに基づいて選択され読み出された復元フィルタを用いて点像復元処理を行い、原画像データから復元画像データを算出取得する。
復元フィルタ記憶部58は予め生成された復元フィルタを記憶しており、復元フィルタ記憶部58に記憶される復元フィルタは、復元演算処理部57によって適宜読み出される。なお、復元フィルタ記憶部58に記憶される復元フィルタの種類情報は、フィルタ選択部56によって取得され、フィルタ選択部56における復元フィルタの選択は、復元フィルタ記憶部58が記憶する復元フィルタの中から行われる。なお、本例の復元フィルタ記憶部58に記憶される復元フィルタは、ガンマ補正処理前の画像データ(真数の画像データ)に対応したフィルタ係数によって構成されている。
このように図18に示すフィルタ適用部51によれば、複数種類の復元フィルタが予め生成されて復元フィルタ記憶部58に記憶され、光学系データに基づいて最適な復元フィルタが選択されて点像復元処理に使用される。なお、点像復元処理に使用する復元フィルタは、点像復元処理の際に逐次算出されてもよい。
図19は、フィルタ適用部51の他の例を示す機能ブロック図である。本例のフィルタ適用部51は、原画像データの取得に用いられた光学系の光学系データに基づいて復元フィルタを逐次生成し、生成した復元フィルタを用いて点像復元処理を行う。
すなわち、本例のフィルタ適用部51は、フィルタ選択部56(図18参照)の代わりにフィルタ算出部59を有し、復元フィルタ記憶部58を含まない。
本例のフィルタ算出部59は、光学系データ取得部55からの光学系データに基づいて、処理対象の原画像データの撮影取得に用いられた光学系の点拡がり関数を取得し、この取得した点拡がり関数に対応する復元フィルタを算出する。フィルタ算出部59で算出された復元フィルタは、復元演算処理部57に送られ、復元演算処理部57における原画像データの点像復元処理に使用される。
なお、フィルタ算出部59による復元フィルタの算出手法は特に限定されない。例えば、「処理対象の原画像データの撮影取得に用いられた光学系の点拡がり関数」自体を光学系データ取得部55からフィルタ算出部59に光学系データとして送り、フィルタ算出部59は、この光学系データから任意の手法で復元フィルタを算出生成してもよい。また、フィルタ算出部59が、光学系の点拡がり関数のデータを光学系の種類毎に予め記憶する記憶部(図示省略)を有する場合、「処理対象の原画像データの撮影取得に用いられた光学系の種類」を示す光学系データを光学系データ取得部55からフィルタ算出部59に送り、フィルタ算出部59は、この光学系データから光学系の種類を判定し、判定した種類の光学系の点拡がり関数のデータを記憶部(図示省略)から読み出し、読み出した点拡がり関数のデータから復元フィルタを算出生成するようにしてもよい。
したがって、復元フィルタを切り替えることで点像復元処理の復元強度を調整するケースでは、光学系の特性を示す光学系データに対応する復元フィルタとは異なる復元フィルタが選択(図18の「フィルタ選択部56」参照)又は算出(図19の「フィルタ算出部59」参照)されるように、復元制御部38は復元処理部39を制御する。
次に、本実施形態に係る復元処理の制御例について説明する。
図20は、第1実施形態に係る点像復元処理を含む画像処理の流れを示すフローチャートである。本例では、点像復元処理に先立って、画像処理部35(ガンマ補正処理部33)におけるガンマ補正処理が原画像データに対して行われる(図20のS11:階調補正ステップ)。ガンマ補正処理後の原画像データは点像復元制御処理部36に入力され、輝度分布取得部37によってガンマ補正処理後の原画像データの輝度分布が取得される(S12:輝度分布取得ステップ)。
そして復元制御部38は、輝度分布取得部37によって取得された原画像データの輝度分布に基づき、ガンマ補正処理後の原画像データが高輝度シーン(ハイライトシーン)の輝度状態(第1の輝度状態)を満たすか否かを判別する(S13)。
ここでいう「高輝度シーンの輝度状態」とは、画像データの輝度状態が高輝度側に偏っている状態であって、点像復元処理を行った場合に画質劣化、すなわち過補正等が生じ易い状態或いは目立ち易い状態をいう。したがって、高輝度シーンか否かの判定手法は種々の観点から規定することが可能である。なお、「高輝度シーンか否かの判定手法」の詳細は後述する。
原画像データが高輝度シーンの輝度状態を満たす場合(S13のY)、復元制御部38は復元処理部39を制御し、点像復元処理の復元強度が調整され(S14)、調整後の復元強度に基づく点像復元処理が復元処理部39で行われる(S15)。具体的には、復元制御部38は、原画像データが高輝度シーンの輝度状態にある場合には、原画像データが高輝度シーンの輝度状態を満たさない場合よりも点像復元処理による復元強度を下げるように、復元処理部39を制御する。なお、図20には、原画像データが高輝度シーンの輝度状態にある場合には点像復元処理の復元強度を下げる例が示されているが、復元制御部38は、原画像データが高輝度シーンの輝度状態にある場合には原画像データに対する点像復元処理を行わないように、復元処理部39を制御してもよい。
点像復元処理の復元強度の調整は、復元フィルタの切り替え、すなわちフィルタ係数の変更、又は点像復元処理前後の画像データの差分の復元ゲイン(増幅率)の変更、或いはそれら両方によって行うことができる(図17参照)。したがって、復元制御部38は、原画像データが高輝度シーンの輝度状態を満たす場合には、復元処理部39(フィルタ適用部51)を制御して復元フィルタのフィルタ係数を調整することで、原画像データが高輝度シーンの輝度状態を満たさない場合よりも点像復元処理による復元強度を下げてもよい。また、復元制御部38は、原画像データが高輝度シーンの輝度状態を満たす場合には、復元処理部39(ゲイン調整部52)増幅率(復元ゲイン)を調整することで、原画像データが高輝度シーンの輝度状態を満たさない場合よりも復元処理による復元強度を下げてもよい。
また、原画像データに対する点像復元処理を行わないようにする手法も、特に限定されない。例えば、フィルタ適用部51及びゲイン調整部52を実質的にスキップして後段に原画像データを送ってもよいし、点像復元処理前後の画像データ(原画像データ及び回復画像データ)が変わらないような復元フィルタ及び復元ゲイン(増幅率)を用いた点像復元処理がフィルタ適用部51及びゲイン調整部52で行われてもよい。
一方、原画像データが高輝度シーンの輝度状態にない場合(S13のN)、復元制御部38は復元処理部39を制御し、点像復元処理の復元強度の調整は行われず、通常の復元強度に基づく点像復元処理が復元処理部39で行われる(S15)。すなわち、光学系の特性を示す光学系データに対応する復元フィルタ及び復元ゲイン(増幅率)を用いた点像復元処理が、復元処理部39(フィルタ適用部51及びゲイン調整部52)において行われる。
<高輝度シーン>
次に、画像データの輝度と点像復元処理による画質劣化(過補正等)との関係について説明する。
図21は、ガンマ補正処理(対数化処理)による処理前データと処理後データとの間の関係の一例を示す図(グラフ)であり、特に過補正等による画質劣化を生じ易い領域を説明するための図である。図21の横軸はガンマ補正処理前データ(ガンマ補正処理入力データ「IN」)を示し、縦軸はガンマ補正処理後データ(ガンマ補正処理出力データ「OUT」)を示す。また、図21の符号「RL」は低輝度領域を示し、符号「RM」は中輝度領域を示し、符号「RH」は高輝度領域(ハイライト領域)を示す。なお、図21のグラフ中の実線によって示されるガンマ補正処理階調カーブは一例に過ぎず、低輝度領域RL、中輝度領域RM及び高輝度領域RHの区別は、相対的な関係を示すものに過ぎず、各領域の具体的な位置等については一義的に解釈されるべきではない。
点像復元処理によって過補正等による画質劣化を生じ易い領域は、ガンマ補正処理特性を考慮すると、低輝度領域RL及び中輝度領域RMよりも高輝度領域RHに存在する。例えば、輝度信号(Y)/色差信号(CrCb)によって画像データが表される場合の輝度信号(Y)成分が、最高輝度値に対して80%以上の値を示す高輝度領域RHにおいて、点像復元処理よる画質劣化が目立ち易い。ただし、実際のガンマ補正処理では輝度領域(低輝度領域、中輝度領域、高輝度領域等)毎に特有のガンマ補正処理階調カーブが適用されることがあるため、点像復元処理による画質劣化が目立つ範囲は、ガンマ補正処理特性に応じて変動しうる。例えば「低輝度領域ではガンマ補正処理によるゲイン量を抑えることでノイズの見栄えを改善し、中輝度領域ではガンマ補正処理によるゲイン量を増大してメリハリ感を強調し、高輝度領域ではガンマ補正処理によるゲイン量を抑えることで階調変化を緩やかにする」ガンマ補正処理階調カーブに基づいて、ガンマ補正処理を行うことが可能である。このガンマ補正処理階調カーブに基づくガンマ補正処理が行われる場合、高輝度領域のうち階調変化を緩やかにするためにガンマ補正処理によるゲイン量が抑えられるポイント(ニーポイント;図21の符号「N」参照)よりも高輝度側の領域において、点像復元処理よる画質劣化(過補正等)が目立ち易いと判断しうる。
<高輝度領域の割合に基づく復元処理コントロール>
図22〜図24は、点像復元処理よる画質劣化(過補正等)が生じ易い輝度領域と、画像データにおける輝度分布とを示す図である。図22は、ガンマ補正処理を含む対数化処理による処理前データと処理後データとの間の関係の一例を示す図(グラフ)であり、横軸はガンマ補正処理前データ(ガンマ補正処理入力データ「IN」)を示し、縦軸はガンマ補正処理後データ(ガンマ補正処理出力データ「OUT」)を示す。図23及び図24の各々は、原画像データの輝度分布例を示し、図23は点像復元処理よる画質劣化(過補正等)が生じ易い輝度分布例を示し、図24は点像復元処理よる画質劣化(過補正等)が生じ難い輝度分布例を示す。なお、図23及び図24の横軸は輝度値を示し、紙面に向かって右側ほど大きな輝度値(高輝度)を示し、左側ほど小さな輝度値(低輝度)を示す。また、図23及び図24の縦軸は頻度を示し、紙面に向かって上側ほど原画像データにおける対応輝度値の出現頻度が高いことを示し、下側ほど対応輝度値の出現頻度が低いことを示す。
上述のように、図22の符号「R」で示される高輝度領域において、点像復元処理よる画質劣化(過補正等)が生じ易い。したがって、図23に示すように、原画像データの輝度分布が高輝度領域に偏っている場合には、点像復元処理よる画質劣化(過補正等)が目立ち易い。そのため、例えばスポットタイプのAE(Automatic Exposure)機構(顔認識型の自動露出機構(顔AE)等)によって画像のうち特定領域は高輝度側に偏っていないと判断される場合であっても、画像全体として高輝度側に偏った輝度分布を原画像データが有する場合は、点像復元処理よる画質劣化(過補正等)が目立ち易い。しかしながら、本実施形態によれば、点像復元処理よる画質劣化(過補正等)が目立ち易い画像データであっても、点像復元処理による復元強度が下げられ、或いは点像復元処理が行われず、点像復元処理よる画質劣化(過補正等)を有効に防ぐことができる。
一方、図24に示すように原画像データの輝度分布が高輝度側に偏っていない場合には、点像復元処理よる画質劣化(過補正等)が目立ち難い。本実施形態によれば、点像復元処理よる画質劣化(過補正等)が目立ち難いそのような画像データに対しては、通常の点像復元処理が行われ、画質が良好に回復された回復画像データを得ることができる。
<高輝度シーンの具体例>
本例では、上述のように、原画像データが高輝度側に偏っているか否か(すなわち原画像データが高輝度シーンに該当するか否か)に応じて復元強度の調整がコントロールされ、点像復元処理よる画質劣化(過補正等)が効果的に防がれる。原画像データが高輝度側に偏っているか否か、すなわち原画像データが高輝度シーンに該当するか否かの判断は、点像復元処理よって画質劣化が生じる或いは目立つ可能性の高い輝度分布(明るさの分布)に基づいて行うことが可能である。
具体的には、原画像データが高輝度側に偏っているか否か(すなわち原画像データが高輝度シーンに該当するか否か)の判断手法として、「原画像データの輝度分布(明るさの分布)の頻度ピーク位置の輝度値が閾値(第1の閾値)以上か否か」、「原画像データの輝度分布(明るさの分布)の第1の閾値以上の輝度値の割合が第2の閾値以上か否か」等を基準とする手法が挙げられる。
復元制御部38は、例えば、原画像データを構成する画素の輝度毎の頻度を示す輝度分布において頻度のピーク(図23の符号「P」参照)を示す輝度値(図23の符号「Lp」参照)に基づき、復元処理部39を制御して点像復元処理をコントロールすることが可能である。より具体的には、復元制御部38は、原画像データを構成する画素の輝度毎の頻度を示す輝度分布において頻度のピークを示す輝度値が閾値(第1の閾値)以上の場合には、原画像データが高輝度シーンの輝度状態を満たすと判別してもよい。
このように「原画像データの輝度分布(明るさの分布)の頻度ピーク位置の輝度値が閾値(第1の閾値)以上か否か」を基準とする場合、最高輝度値の80%程度をここで用いる閾値に設定してもよい。例えば輝度値が0〜255の256階調で表現可能な場合、最高輝度値の80%程度に相当する輝度値「205」を閾値として採用しうる。したがって復元制御部38は、「原画像データの輝度分布の頻度ピーク位置の輝度値が「205」以上の場合」には原画像データが高輝度シーンに該当すると判別し、「原画像データの輝度分布の頻度ピーク位置の輝度値が「205」よりも小さい場合」には原画像データが高輝度シーンには該当しないと判別することも可能である。
また復元制御部38は、例えば原画像データを構成する画素の輝度毎の頻度を示す輝度分布における第1の輝度値以上の画素の占める割合に基づき、復元処理部39を制御して点像復元処理をコントロールしてもよい。より具体的には、復元制御部38は、原画像データを構成する画素の輝度毎の頻度を示す輝度分布における第1の閾値以上の輝度値の画素の占める割合が第2の閾値以上の場合には、原画像データが高輝度シーンの輝度状態を満たすと判別してもよい。
このように「原画像データの輝度分布(明るさの分布)の第1の閾値以上の輝度値の割合が第2の閾値以上か否か」を基準とする場合、最高輝度値の80%程度を第1の閾値として採用し、画素数全体の50%程度を第2の閾値として採用しうる。例えば輝度値が0〜255の256階調で表現可能な場合、最高輝度値の80%程度に相当する輝度値「205」を第1の閾値として採用し、原画像データを構成する画素数全体の50%の画素数
を第2の閾値として採用してもよい。したがって復元制御部38は、「原画像データの輝度分布の輝度値「205」以上の画素数の割合が画像全体の画素数の50%以上の場合」には原画像データが高輝度シーンに該当すると判別し、「原画像データの輝度分布の輝度値「205」以上の画素数の割合が画像全体の画素数の50%よりも小さい場合」には原画像データが高輝度シーンには該当しないと判別してもよい。
<第2実施形態>
本実施形態において、上述の第1実施形態と同様の構成及び作用については、説明を省略する。
図25は、第2実施形態に係る点像復元制御処理部36の一例を示す機能ブロック図である。
本実施形態の点像復元制御処理部36は、輝度分布取得部37(図15参照)の代わりに、原画像データを取得した際の光学系の露出量である撮影露出量を取得する撮影露出量取得部90を有する。
復元制御部38は、撮影露出量取得部90が取得する撮影露出量に基づき、復元処理部39を制御して点像復元処理をコントロールする。具体的には、復元制御部38は、適正露出量取得部91によって取得される適正露出量と撮影露出量との差に基づき、復元処理部39を制御して復元処理をコントロールする。
ここでいう「撮影露出量」は、デジタルカメラ(撮像装置)10における撮影時の露出量であり、原画像データを取得した際の撮影条件(絞り値(F値)及びシャッタースピードの組み合わせ)に応じて変動しうる値である。
一方、「適正露出量」は、適正であると推測される露出量であり、露出計(図示省略)による測光モードに応じて定められてもよい。この適正露出量は、適正露出量取得部91によって任意の手法で取得される。例えば適正露出量が予め決められている場合には、その予め決められた適正露出量をメモリ(図示省略)に記憶しておき必要に応じて適正露出量が読み出されて取得されてもよい。また、適正露出量が撮影条件等に応じて変動する場合には、適正露出量取得部91において適正露出量を算出取得してもよい。取得された適正露出量の情報は、適正露出量取得部91から撮影露出量取得部90に送られる。
なお、露出計は特に限定されず、TTL(Through The Lens)方式の露出計のようにカメラ本体14に露出計が内蔵されてもよいし、カメラ本体14に露出計が外付けされてもよい。また、被写体の反射光を測定する反射光式露出計が使われてもよいし、被写体の反射光以外の光を測定する入射光式露出計が使われてもよい。また、測光モードも特に限定されず、画像全体にわたって測光する多分割測光モード、画像中央部を重点的に測光する中央重点平均測光モード、被写体の極めて狭い部分に基づいて測光するスポット測光モード、或いは他の測光モードが使われてもよい。
撮影露出量取得部90は、任意の手法によって撮影露出量を取得することが可能であり、例えば撮影露出量がメモリ(図示省略)に記憶されている場合にはそのメモリから直接的に撮影露出量を取得してもよいし、原画像データ、露出計による測光値、撮影条件等のデータから撮影露出量を間接的に算出取得してもよい。特に、撮影露出量はユーザによって個別的に変更可能であるため、例えばユーザがシャッタースピードや絞り値(F値)をマニュアルで設定する場合や露出設定(EV値)をマニュアルで設定或いは変更する場合、撮影露出量が適正露出量とは異なる値となりうる。
適正露出量は、画像が暗くなり過ぎたり明るくなり過ぎたりすることを防ぐ観点から導出される適正な露出量である。しかしながら、実際には、種々の要因から適正露出量は必ずしも適正な値ではなかったり、適正露出量がユーザの嗜好やニーズに合わないケースもある。したがって、ユーザによる撮影露出量の変更機能は、適正露出量の不完全さを補完してユーザの嗜好やニーズに応じた撮影を実現するためにデジタルカメラ10(ユーザインターフェース29、カメラ本体コントローラ28等)に搭載される機能である。
このように適正露出量とは異なる値に撮影露出量を設定可能な場合、EV値が大きくなる(画像が明るくなる)ように撮影露出量が設定されると、撮影によって得られる画像(原画像データ)は、高輝度側に偏った高輝度シーンに該当し易くなる。
本実施形態では、撮影画像データ(原画像データ)が高輝度側に偏った高輝度シーンに該当し易くなる撮影露出量で原画像データが取得される場合に、点像復元処理の復元強度を下げたり点像復元処理を行わないようにすることで、点像復元処理による画質劣化(過補正等)が防がれる。
具体的には、復元制御部38は、原画像データを取得した際の撮影露出量と適正露出量との差が閾値(第3の閾値)以上かを判断し、判断結果に基づいて復元処理の強度をコントロールする。ここで用いられる閾値(第3の閾値)は、高輝度側に偏った画像(高輝度シーンに該当する画像)が撮影される可能性が高いか否かに応じて適宜決められ、適正露出量に対する撮影露出量の相対的な大きさによって決定可能である。
例えば、撮影露出量と適正露出量との差が閾値t3(第3の閾値)以上((撮影露出量−適正露出量)≧t3)の場合には、撮影露出量と適正露出量との差が閾値t3よりも小さい場合よりも、復元強度を弱めるように点像復元処理を行ったり、点像復元処理を行わずにスキップするように、復元制御部38は復元処理部39を制御してもよい。
また、撮影露出量と適正露出量との差の大きさに応じて、「通常の復元強度の点像復元処理」、「通常よりも復元強度を弱めた点像復元処理」及び「点像復元処理のスキップ」の各種処理を切り替えてもよい。例えば、撮影露出量と適正露出量との差が閾値t3(第3の閾値)よりも小さい場合((撮影露出量−適正露出量)<t3)には「通常の復元強度の点像復元処理」を行い、撮影露出量と適正露出量との差が閾値t3以上であって他の閾値t4(第4の閾値;ただし「t4>t3」)よりも小さい場合(t4>(撮影露出量−適正露出量)≧t3)には「通常よりも復元強度を弱めた点像復元処理」を行い、撮影露出量と適正露出量との差が閾値t4以上の場合(t4≦(撮影露出量−適正露出量))には「点像復元処理をスキップ」するように、復元制御部38は復元処理部39を制御してもよい。
なお、「撮影露出量と適正露出量との差」は、両者の絶対値の差に基づいてもよいし、両者の絶対値の差を示す他の指標に基づいてもよい。EV値の設定態様として、例えば適正露出量を基準に露出オーバー側及び/又は露出アンダー側に複数段のEV値候補が定められており、そのEV値候補の中からユーザが撮影露出量を適宜選択することができるケースがある。例えば、適正露出量(0)に加えて露出オーバー側に3段階(+1〜+3)及び露出アンダー側に3段階(−1〜−3)のEV値候補が定められ、これらのEV値候補(+3〜−3)の中から、ユーザが撮影露出量を適宜選択することができる場合がある。この場合、例えば「+2」を上述の閾値t3(第3の閾値)とし、この「+2」よりも小さなEV値候補(すなわち「−3〜+1」)がユーザによって選択された場合には「通常の復元強度の点像復元処理」を行い、「+2」以上のEV値候補(すなわち「+2〜+3」)がユーザによって選択された場合には「通常よりも復元強度を弱めた点像復元処理」を行うように、復元制御部38は復元処理部39を制御してもよい。また、例えば「+1」を上述の閾値t3(第3の閾値)として「+2」を上述の閾値t4(第4の閾値)とし、上述の態様と同様に、「通常の復元強度の点像復元処理」、「通常よりも復元強度を弱めた点像復元処理」及び「点像復元処理のスキップ」という各種処理を切り替えるように、復元制御部38は復元処理部39を制御してもよい。
なお、「原画像データが高輝度側に偏った高輝度シーンに該当し易くなる撮影露出量で原画像データが取得されたか否か」の判別に用いられる上述の閾値(第3の閾値及び第4の閾値)は、予め設定されていてもよいし、ユーザによって個別的に設定又は変更されてもよいし、撮影モード等の撮影条件に応じて設定又は変更されてもよい。
図26は、第2実施形態に係る点像復元処理を含む画像処理の流れを示すフローチャートである。図26には、撮影露出量と適正露出量との差が閾値(第3の閾値)以上の場合には、撮影露出量と適正露出量との差が閾値(第3の閾値)よりも小さい場合と比べて点像復元処理の復元強度を弱めたり、点像復元処理をスキップすることで、点像復元処理よる画質劣化(過補正等)を防ぐ場合の処理フロー例が示されている。
本例においても、点像復元処理に先立って、画像処理部(ガンマ補正処理部)35におけるガンマ補正処理が原画像データに対して行われる(図26のS21:階調補正ステップ)。
ガンマ補正処理後の原画像データは点像復元制御処理部36に入力され、適正露出量取得部91によって適正露出量が取得され、撮影露出量取得部90によって撮影露出量が取得される(S22:撮影露出量取得ステップ)。
そして、取得された適正露出量及び撮影露出量に基づき、復元制御部38は、撮影露出量と適正露出量との差が閾値(第3の閾値)以上か否かを判別する(S23)。このステップは、上述のように、撮影取得される原画像データが高輝度側に偏った高輝度シーンに該当し易くなる条件で撮影が行われたか否かを判別するステップであり、判別の基準となる閾値(第3の閾値)は適宜定められる。
撮影露出量と適正露出量との差が閾値(第3の閾値)以上の場合(S23のY)、復元制御部38は復元処理部39を制御し、点像復元処理の復元強度が調整され(S24)、調整後の復元強度に基づく点像復元処理が復元処理部39で行われる(S25)。具体的には、撮影露出量と適正露出量との差が閾値(第3の閾値)以上の場合には、撮影露出量と適正露出量との差が閾値(第3の閾値)よりも小さい場合よりも点像復元処理による復元強度を下げるように、復元制御部38は復元処理部39を制御する。なお、復元制御部38は、撮影露出量と適正露出量との差が閾値(第3の閾値)以上の場合には原画像データに対する点像復元処理を行わないように、復元処理部39を制御してもよい。
点像復元処理の復元強度の調整が、復元フィルタの切り替え、すなわちフィルタ係数の変更、又は点像復元処理前後の画像データの差分の復元ゲイン(増幅率)の変更、或いはそれら両方によって実施可能であることは、上述の第1実施形態の場合と同様である(図17参照)。同様に、原画像データに対する点像復元処理を行わない場合には、フィルタ適用部51及びゲイン調整部52を実質的にスキップして後段に原画像データを送ってもよいし、点像復元処理前後の画像データが変わらないような点像復元処理がフィルタ適用部51及びゲイン調整部52で行われてもよい。
一方、撮影露出量と適正露出量との差が閾値(第3の閾値)よりも小さい場合(S23のN)、復元制御部38は復元処理部39を制御し、点像復元処理の復元強度の調整は行われず、通常の復元強度に基づく点像復元処理が復元処理部39で行われる(S25)。
<変形例>
上述の実施形態では、画像(原画像データ)が高輝度側に偏っている場合や高輝度側に偏った画像(原画像データ)が撮影される可能性が高い場合に、点像復元処理よる画質劣化(過補正等)を防ぐため、点像復元処理の復元強度が通常よりも弱められたり、点像復元処理がスキップされる例が示されている。点像復元処理よる画質劣化(過補正等)を防ぐための画像処理はこれらの画像処理に限定されるものではなく、「通常よりも復元強度の弱い点像復元処理」や「点像復元処理のスキップ」に加え、他の画像処理が原画像データに対して行われてもよい。
例えば、復元処理部39は、点像復元処理ユニット53(フィルタ適用部51及びゲイン調整部52)に加え、ボケ画像補正処理部54を有していてもよい(図27参照)。ボケ画像補正処理部54は、点像復元処理ユニット53による点像復元処理とは異なるボケ画像補正処理を行い、光学系の点拡がり関数には基づかない画像処理を入力画像(原画像データ)に対して行う。このボケ画像補正処理として、例えば輪郭強調処理のように、入力画像(原画像データ)の高周波成分を持ち上げる(強調する)画像処理が挙げられる。
したがって、例えば原画像データの輝度分布に基づいて点像復元処理をコントロールする実施形態において(上述の「第1実施形態」参照)、原画像データが高輝度側に偏った高輝度シーンに該当すると判別される場合に、ボケ画像補正処理部54によるボケ画像補正処理を原画像データに対して行うことも可能である。すなわち、復元制御部38は復元処理部39を制御し、原画像データが高輝度側に偏った高輝度シーンの輝度状態を満たす場合には、通常よりも復元強度が弱い点像復元処理を行った画像データ(回復画像データ)に対し、さらにボケ画像補正処理部54によるボケ画像補正処理が行われてもよい。また、復元制御部38は復元処理部39を制御し、原画像データが高輝度シーンの輝度状態を満たす場合には、原画像データに対する点像復元処理をスキップし、ボケ画像補正処理部54によるボケ画像補正処理が原画像データに対して行われてもよい。
また、撮影露出量に基づいて点像復元処理をコントロールする実施形態において(上述の「第2実施形態」参照)、撮影露出量に基づいて、高輝度側に偏った高輝度シーンに該当する原画像データが取得される可能性が高いと判別される場合に、ボケ画像補正処理部54によるボケ画像補正処理を原画像データに対して行うことも可能である。すなわち、復元制御部38は復元処理部39を制御し、例えば撮影露出量と適正露出量との差が閾値以上である場合には、復元強度を通常よりも弱めた点像復元処理を行った画像データ(回復画像データ)に対し、さらにボケ画像補正処理部54によるボケ画像補正処理を行ってもよい。また、復元制御部38は復元処理部39を制御し、撮影露出量と適正露出量との差が閾値以上である場合には、原画像データに対する点像復元処理をスキップし、ボケ画像補正処理部54におけるボケ画像補正処理を原画像データに対して行ってもよい。
<他の変形例>
上述のデジタルカメラ10は例示に過ぎず、他の構成に対しても本発明を適用することが可能である。各機能構成は、任意のハードウェア、ソフトウェア、或いは両者の組合せによって適宜実現可能である。例えば、上述の各装置及び処理部(カメラ本体コントローラ28、画像処理部35、ガンマ補正処理部33、点像復元制御処理部36等)における画像処理方法(処理ステップ、処理手順)をコンピュータに実行させるプログラム、そのようなプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体(非一時的記録媒体)、或いはそのようなプログラムをインストール可能な各種のコンピュータに対しても、本発明を応用することが可能である。
<EDoFシステムへの適用例>
上述の実施形態における復元処理は、特定の撮影条件(例えば、絞り値、F値、焦点距離、又はレンズ種類等、及びこれらの組み合わせ)に応じて点拡がり(点像ボケ)を回復修正することで本来の被写体像を復元する画像処理であるが、本発明を適用可能な画像復元処理は上述の実施形態における復元処理に限定されるものではない。例えば、拡大された被写界(焦点)深度(EDoF:Extended Depth of Field(Focus))を有する光学系(撮影レンズ等)によって撮影取得された画像データに対する復元処理に対しても、本発明に係る復元処理を適用することが可能である。EDoF光学系によって被写界深度(焦点深度)が拡大された状態で撮影取得されるボケ画像の画像データに対して復元処理を行うことで、広範囲でピントが合った状態の高解像度の画像データを復元生成することができる。この場合、EDoF光学系の点拡がり関数(PSF、OTF、MTF、又はPTF、等)に基づく復元フィルタであって、拡大された被写界深度(焦点深度)の範囲内において良好な画像復元が可能となるように設定されたフィルタ係数を有する復元フィルタを用いた復元処理が行われる。
以下に、EDoF光学系を介して撮影取得された画像データの復元に関するシステム(EDoFシステム)の一例について説明する。なお、以下に示す例では、デモザイク処理後の画像データ(RGBデータ)から得られる輝度信号(Yデータ)に対して復元処理を行う例について説明するが、復元処理を行うタイミングは特に限定されず、例えば「デモザイク処理前の画像データ(モザイク画像データ)」や「デモザイク処理後であって輝度信号変換処理前の画像データ(デモザイク画像データ)」に対して復元処理が行われてもよい。
図28は、EDoF光学系を備える撮像モジュール101の一形態を示すブロック図である。本例の撮像モジュール(デジタルカメラ等)101は、EDoF光学系(レンズユニット)110と、撮像素子112と、AD変換部114と、復元処理ブロック(画像処理部)120とを含む。
図29は、EDoF光学系110の一例を示す図である。本例のEDoF光学系110は、単焦点の固定された撮影レンズ110Aと、瞳位置に配置される光学フィルタ111とを有する。光学フィルタ111は、位相を変調させるもので、拡大された被写界深度(焦点深度)(EDoF)が得られるようにEDoF光学系110(撮影レンズ110A)をEDoF化する。このように、撮影レンズ110A及び光学フィルタ111は、位相を変調して被写界深度を拡大させるレンズ部を構成する。
なお、EDoF光学系110は必要に応じて他の構成要素を含み、例えば光学フィルタ111の近傍には絞り(図示省略)が配設されている。また、光学フィルタ111は、1枚でもよいし、複数枚を組合せたものでもよい。また、光学フィルタ111は、光学的位相変調手段の一例に過ぎず、EDoF光学系110(撮影レンズ110A)のEDoF化は他の手段によって実現されてもよい。例えば、光学フィルタ111を設ける代わりに、本例の光学フィルタ111と同等の機能を有するようにレンズ設計された撮影レンズ110AによってEDoF光学系110のEDoF化を実現してもよい。
すなわち、撮像素子112の受光面への結像の波面を変化させる各種の手段によって、EDoF光学系110のEDoF化を実現することが可能である。例えば、「厚みが変化する光学素子」、「屈折率が変化する光学素子(屈折率分布型波面変調レンズ等)」、「レンズ表面へのコーディング等により厚みや屈折率が変化する光学素子(波面変調ハイブリッドレンズ、レンズ面上に位相面として形成される光学素子、等)」、「光の位相分布を変調可能な液晶素子(液晶空間位相変調素子等)」を、EDoF光学系110のEDoF化手段として採用しうる。このように、光波面変調素子(光学フィルタ111(位相板))によって規則的に分散した画像形成が可能なケースだけではなく、光波面変調素子を用いた場合と同様の分散画像を、光波面変調素子を用いずに撮影レンズ110A自体によって形成可能なケースに対しても、本発明は応用可能である。
図28及び図29に示すEDoF光学系110は、メカ的に焦点調節を行う焦点調節機構を省略することができるため小型化が可能であり、カメラ付き携帯電話や携帯情報端末に好適に搭載可能である。
EDoF化されたEDoF光学系110を通過後の光学像は、図28に示す撮像素子112に結像され、ここで電気信号に変換される。
撮像素子112は、所定のパターン配列(ベイヤー配列、GストライプR/G完全市松、X−Trans配列、又はハニカム配列、等)でマトリクス状に配置された複数画素によって構成され、各画素はマイクロレンズ、カラーフィルタ(本例ではRGBカラーフィルタ)及びフォトダイオードを含む。EDoF光学系110を介して撮像素子112の受光面に入射した光学像は、その受光面に配列された各フォトダイオードにより入射光量に応じた量の信号電荷に変換される。そして、各フォトダイオードに蓄積されたR・G・Bの信号電荷は、画素毎の電圧信号(画像信号)として順次出力される。
AD変換部114は、撮像素子112から画素毎に出力されるアナログのR・G・B画像信号をデジタルのRGB画像信号に変換する。AD変換部114によりデジタルの画像信号に変換されたデジタル画像信号は、復元処理ブロック120に加えられる。
復元処理ブロック120は、例えば、黒レベル調整部122と、ホワイトバランスゲイン部123と、ガンマ処理部124と、デモザイク処理部125と、RGB/YCrCb変換部126と、Y信号復元処理部127とを含む。
黒レベル調整部122は、AD変換部114から出力されたデジタル画像信号に黒レベル調整を施す。黒レベル調整には、公知の方法が採用されうる。例えば、ある有効光電変換素子に着目した場合、その有効光電変換素子を含む光電変換素子行に含まれる複数のOB光電変換素子の各々に対応する暗電流量取得用信号の平均を求め、その有効光電変換素子に対応する暗電流量取得用信号から該平均を減算することで、黒レベル調整が行われる。
ホワイトバランスゲイン部123は、黒レベルデータが調整されたデジタル画像信号に含まれるRGB各色信号のホワイトバランスゲインに応じたゲイン調整を行う。
ガンマ処理部124は、ホワイトバランス調整されたR、G、B画像信号が所望のガンマ特性となるように中間調等の階調補正を行うガンマ補正を行う。
デモザイク処理部125は、ガンマ補正後のR、G、B画像信号にデモザイク処理を施す。具体的には、デモザイク処理部125は、R、G、Bの画像信号に色補間処理を施すことにより、撮像素子112の各受光画素から出力される一組の画像信号(R信号、G信号、B信号)を生成する。すなわち、色デモザイク処理前は、各受光画素からの画素信号はR、G、Bの画像信号のいずれかであるが、色デモザイク処理後は、各受光画素に対応するR、G、B信号の3つの画素信号の組が出力される。
RGB/YCrCb変換部126は、デモザイク処理された画素毎のR、G、B信号を、輝度信号Yと色差信号Cr、Cbに変換し、画素毎の輝度信号Y及び色差信号Cr、Cbを出力する。
Y信号復元処理部127は、予め記憶された復元フィルタに基づいて、RGB/YCrCb変換部126からの輝度信号Yに復元処理を行う。復元フィルタは、例えば、7×7のカーネルサイズを有するデコンボリューションカーネル(M=7、N=7のタップ数に対応)と、そのデコンボリューションカーネルに対応する演算係数(復元ゲインデータ、フィルタ係数に対応)とからなり、光学フィルタ111の位相変調分のデコンボリューション処理(逆畳み込み演算処理)に使用される。なお、復元フィルタは、光学フィルタ111に対応するものが図示しないメモリ(例えばY信号復元処理部127が付随的に設けられるメモリ)に記憶される。また、デコンボリューションカーネルのカーネルサイズは、7×7のものに限らない。
次に、復元処理ブロック120による復元処理について説明する。図30は、図28に示す復元処理ブロック120による復元処理フローの一例を示す図である。
黒レベル調整部122の一方の入力には、AD変換部114からデジタル画像信号が加えられており、他の入力には黒レベルデータが加えられており、黒レベル調整部122は、デジタル画像信号から黒レベルデータを減算し、黒レベルデータが減算されたデジタル画像信号をホワイトバランスゲイン部123に出力する(S31)。これにより、デジタル画像信号には黒レベル成分が含まれなくなり、黒レベルを示すデジタル画像信号は0になる。
黒レベル調整後の画像データに対し、順次、ホワイトバランスゲイン部123、ガンマ処理部124による処理が施される(S32及びS33)。
ガンマ補正されたR、G、B信号は、デモザイク処理部125でデモザイク処理された後に、RGB/YCrCb変換部126において輝度信号Yとクロマ信号Cr、Cbに変換される(S34)。
Y信号復元処理部127は、輝度信号Yに、EDoF光学系110の光学フィルタ111の位相変調分のデコンボリューション処理を掛ける復元処理を行う(S35)。すなわち、Y信号復元処理部127は、任意の処理対象の画素を中心とする所定単位の画素群に対応する輝度信号(ここでは7×7画素の輝度信号)と、予めメモリなどに記憶されている復元フィルタ(7×7のデコンボリューションカーネルとその演算係数)とのデコンボリューション処理(逆畳み込み演算処理)を行う。Y信号復元処理部127は、この所定単位の画素群ごとのデコンボリューション処理を撮像面の全領域をカバーするよう繰り返すことにより画像全体の像ボケを取り除く復元処理を行う。復元フィルタは、デコンボリューション処理を施す画素群の中心の位置に応じて定められている。すなわち、近接する画素群には、共通の復元フィルタが適用される。さらに復元処理を簡略化するためには、全ての画素群に共通の復元フィルタが適用されることが好ましい。
図31の符号1311に示すように、EDoF光学系110を通過後の輝度信号の点像(光学像)は、大きな点像(ボケた画像)として撮像素子112に結像されるが、Y信号復元処理部127でのデコンボリューション処理により、図31の符号1312に示すように小さな点像(高解像度の画像)に復元される。
上述のようにデモザイク処理後の輝度信号に復元処理をかけることで、復元処理のパラメータをRGB別々に持つ必要がなくなり、復元処理を高速化することができる。また、飛び飛びの位置にあるR・G・Bの画素に対応するR・G・Bの画像信号をそれぞれ1単位にまとめてデコンボリューション処理するのでなく、近接する画素の輝度信号同士を所定の単位にまとめ、その単位には共通の復元フィルタを適用してデコンボリューション処理するため、復元処理の精度が向上する。なお、色差信号Cr・Cbについては、人の目による視覚の特性上、復元処理で解像度を上げなくても画質的には許容される。また、JPEGのような圧縮形式で画像を記録する場合、色差信号は輝度信号よりも高い圧縮率で圧縮されるので、復元処理で解像度を上げる必要性が乏しい。こうして、復元精度の向上と処理の簡易化及び高速化を両立できる。
以上説明したようなEDoFシステムの復元処理に対しても、本発明の各実施形態に係る点像復元処理を適用することが可能である。すなわち、復元処理ブロック120(Y信号復元処理部127)における復元処理において(図30のS35)、「原画像データの輝度分布を取得し、輝度分布のうち閾値(第1の閾値)以上の輝度値の特性に基づいて復元処理がコントロール」され、或いは「原画像データを取得した際の撮影露出量を取得し、この撮影露出量に基づいて復元処理がコントロール」されてもよい。
なお、上述の各実施形態では、点像復元制御処理部36が、デジタルカメラ10のカメラ本体14(カメラ本体コントローラ28)に設けられる態様について説明したが、コンピュータ60やサーバ80等の他の装置に点像復元制御処理部36が設けられてもよい。
例えば、コンピュータ60において画像データを加工する際に、コンピュータ60に設けられる点像復元制御処理部によってこの画像データの点像復元処理が行われてもよい。また、サーバ80が点像復元制御処理部を備える場合、例えば、デジタルカメラ10やコンピュータ60からサーバ80に画像データが送信され、サーバ80の点像復元制御処理部においてこの画像データに対して点像復元処理が行われ、点像復元処理後の画像データ(回復画像データ)が送信元に送信・提供されるようにしてもよい。
また、本発明を適用可能な態様はデジタルカメラ10、コンピュータ60及びサーバ80には限定されず、撮像を主たる機能とするカメラ類の他に、撮像機能に加えて撮像以外の他の機能(通話機能、通信機能、その他のコンピュータ機能)を備えるモバイル機器類に対しても適用可能である。本発明を適用可能な他の態様としては、例えば、カメラ機能を有する携帯電話機やスマートフォン、PDA(Personal Digital Assistants)、携帯型ゲーム機が挙げられる。以下、本発明を適用可能なスマートフォンの一例について説明する。
<スマートフォンの構成>
図32は、本発明の撮影装置の一実施形態であるスマートフォン201の外観を示すものである。図32に示すスマートフォン201は、平板状の筐体202を有し、筐体202の一方の面に表示部としての表示パネル221と、入力部としての操作パネル222とが一体となった表示入力部220を備えている。また、係る筐体202は、スピーカ231と、マイクロホン232、操作部240と、カメラ部241とを備えている。なお、筐体202の構成はこれに限定されず、例えば、表示部と入力部とが独立した構成を採用したり、折り畳み構造やスライド機構を有する構成を採用することもできる。
図33は、図32に示すスマートフォン201の構成を示すブロック図である。図33に示すように、スマートフォンの主たる構成要素として、無線通信部210と、表示入力部220と、通話部230と、操作部240と、カメラ部241と、記憶部250と、外部入出力部260と、GPS(Global Positioning System)受信部270と、モーションセンサ部280と、電源部290と、主制御部200とを備える。また、スマートフォン201の主たる機能として、基地局装置BSと移動通信網NWとを介した移動無線通信を行う無線通信機能を備える。
無線通信部210は、主制御部200の指示にしたがって、移動通信網NWに収容された基地局装置BSに対し無線通信を行うものである。係る無線通信を使用して、音声データ、画像データ等の各種ファイルデータ、電子メールデータなどの送受信や、Webデータやストリーミングデータなどの受信を行う。
表示入力部220は、主制御部200の制御により、画像(静止画像及び動画像)や文字情報などを表示して視覚的にユーザに情報を伝達し、表示した情報に対するユーザ操作を検出する、いわゆるタッチパネルであって、表示パネル221と、操作パネル222とを備える。
表示パネル221は、LCD(Liquid Crystal Display)、OELD(Organic Electro−Luminescence Display)などを表示デバイスとして用いたものである。操作パネル222は、表示パネル221の表示面上に表示される画像を視認可能に載置され、ユーザの指や尖筆によって操作される一又は複数の座標を検出するデバイスである。係るデバイスをユーザの指や尖筆によって操作すると、操作に起因して発生する検出信号を主制御部200に出力する。次いで、主制御部200は、受信した検出信号に基づいて、表示パネル221上の操作位置(座標)を検出する。
図32に示すように、本発明の撮影装置の一実施形態として例示しているスマートフォン201の表示パネル221と操作パネル222とは一体となって表示入力部220を構成しているが、操作パネル222が表示パネル221を完全に覆うような配置となっている。係る配置を採用した場合、操作パネル222は、表示パネル221外の領域についても、ユーザ操作を検出する機能を備えてもよい。換言すると、操作パネル222は、表示パネル221に重なる重畳部分についての検出領域(以下、表示領域と称する)と、それ以外の表示パネル221に重ならない外縁部分についての検出領域(以下、非表示領域と称する)とを備えていてもよい。
なお、表示領域の大きさと表示パネル221の大きさとを完全に一致させても良いが、両者を必ずしも一致させる必要は無い。また、操作パネル222が、外縁部分と、それ以外の内側部分の2つの感応領域を備えていてもよい。さらに、外縁部分の幅は、筐体202の大きさなどに応じて適宜設計されるものである。また、操作パネル222で採用される位置検出方式としては、マトリクススイッチ方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式、又は静電容量方式などが挙げられ、いずれの方式を採用することもできる。
通話部230は、スピーカ231やマイクロホン232を備え、マイクロホン232を通じて入力されたユーザの音声を主制御部200にて処理可能な音声データに変換して主制御部200に出力したり、無線通信部210あるいは外部入出力部260により受信された音声データを復号してスピーカ231から出力するものである。また、図32に示すように、例えば、スピーカ231を表示入力部220が設けられた面と同じ面に搭載し、マイクロホン232を筐体202の側面に搭載することができる。
操作部240は、キースイッチなどを用いたハードウェアキーであって、ユーザからの指示を受け付けるものである。例えば、図32に示すように、操作部240は、スマートフォン201の筐体202の側面に搭載され、指などで押下されるとオンとなり、指を離すとバネなどの復元力によってオフ状態となる押しボタン式のスイッチである。
記憶部250は、主制御部200の制御プログラムや制御データ、アプリケーションソフトウェア、通信相手の名称や電話番号などを対応づけたアドレスデータ、送受信した電子メールのデータ、WebブラウジングによりダウンロードしたWebデータや、ダウンロードしたコンテンツデータを記憶し、またストリーミングデータなどを一時的に記憶するものである。また、記憶部250は、スマートフォン内蔵の内部記憶部251と着脱自在な外部メモリスロットを有する外部記憶部252により構成される。なお、記憶部250を構成するそれぞれの内部記憶部251と外部記憶部252は、フラッシュメモリタイプ(flash memory type)、ハードディスクタイプ(hard disk type)、マルチメディアカードマイクロタイプ(multimedia card micro type)、カードタイプのメモリ(例えば、MicroSD(登録商標)メモリ等)、RAM(Random Access Memory)、又はROM(Read Only Memory)などの格納媒体を用いて実現される。
外部入出力部260は、スマートフォン201に連結される全ての外部機器とのインターフェースの役割を果たすものであり、他の外部機器に通信等(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)、IEEE1394など)又はネットワーク(例えば、インターネット、無線LAN、ブルートゥース(Bluetooth)(登録商標)、RFID(Radio Frequency Identification)、赤外線通信(Infrared Data Association:IrDA)(登録商標)、UWB(Ultra Wideband)(登録商標)、又はジグビー(ZigBee)(登録商標)など)により直接的又は間接的に接続するためのものである。
スマートフォン201に連結される外部機器としては、例えば、有/無線ヘッドセット、有/無線外部充電器、有/無線データポート、カードソケットを介して接続されるメモリカード(Memory card)やSIM(Subscriber Identity Module Card)/UIM(User Identity Module Card)カード、オーディオ・ビデオI/O(Input/Output)端子を介して接続される外部オーディオ・ビデオ機器、無線接続される外部オーディオ・ビデオ機器、有/無線接続されるスマートフォン、有/無線接続されるパーソナルコンピュータ、有/無線接続されるPDA、有/無線接続されるパーソナルコンピュータ、イヤホンなどがある。外部入出力部は、このような外部機器から伝送を受けたデータをスマートフォン201の内部の各構成要素に伝達することや、スマートフォン201の内部のデータを外部機器に伝送することが可能である。
GPS受信部270は、主制御部200の指示にしたがって、GPS衛星ST1〜STnから送信されるGPS信号を受信し、受信した複数のGPS信号に基づく測位演算処理を実行し、スマートフォン201の緯度、経度、高度からなる位置を検出する。GPS受信部270は、無線通信部210や外部入出力部260(例えば、無線LAN)から位置情報を取得できる時には、その位置情報を用いて位置を検出することもできる。
モーションセンサ部280は、例えば、3軸の加速度センサなどを備え、主制御部200の指示にしたがって、スマートフォン201の物理的な動きを検出する。スマートフォン201の物理的な動きを検出することにより、スマートフォン201の動く方向や加速度が検出される。係る検出結果は、主制御部200に出力されるものである。
電源部290は、主制御部200の指示にしたがって、スマートフォン201の各部に、バッテリ(図示しない)に蓄えられる電力を供給するものである。
主制御部200は、マイクロプロセッサを備え、記憶部250が記憶する制御プログラムや制御データにしたがって動作し、スマートフォン201の各部を統括して制御するものである。また、主制御部200は、無線通信部210を通じて、音声通信やデータ通信を行うために、通信系の各部を制御する移動通信制御機能と、アプリケーション処理機能を備える。
アプリケーション処理機能は、記憶部250が記憶するアプリケーションソフトウェアにしたがって主制御部200が動作することにより実現するものである。アプリケーション処理機能としては、例えば、外部入出力部260を制御して対向機器とデータ通信を行う赤外線通信機能や、電子メールの送受信を行う電子メール機能、Webページを閲覧するWebブラウジング機能などがある。
また、主制御部200は、受信データやダウンロードしたストリーミングデータなどの画像データ(静止画像や動画像のデータ)に基づいて、映像を表示入力部220に表示する等の画像処理機能を備える。画像処理機能とは、主制御部200が、上記画像データを復号し、係る復号結果に画像処理を施して、画像を表示入力部220に表示する機能のことをいう。
さらに、主制御部200は、表示パネル221に対する表示制御と、操作部240、操作パネル222を通じたユーザ操作を検出する操作検出制御を実行する。
表示制御の実行により、主制御部200は、アプリケーションソフトウェアを起動するためのアイコンや、スクロールバーなどのソフトウェアキーを表示する、或いは電子メールを作成するためのウィンドウを表示する。なお、スクロールバーとは、表示パネル221の表示領域に収まりきれない大きな画像などについて、画像の表示部分を移動する指示を受け付けるためのソフトウェアキーのことをいう。
また、操作検出制御の実行により、主制御部200は、操作部240を通じたユーザ操作を検出したり、操作パネル222を通じて、上記アイコンに対する操作や、上記ウィンドウの入力欄に対する文字列の入力を受け付けたり、或いは、スクロールバーを通じた表示画像のスクロール要求を受け付ける。
さらに、操作検出制御の実行により主制御部200は、操作パネル222に対する操作位置が、表示パネル221に重なる重畳部分(表示領域)か、それ以外の表示パネル221に重ならない外縁部分(非表示領域)かを判定し、操作パネル222の感応領域や、ソフトウェアキーの表示位置を制御するタッチパネル制御機能を備える。
また、主制御部200は、操作パネル222に対するジェスチャ操作を検出し、検出したジェスチャ操作に応じて、予め設定された機能を実行することもできる。ジェスチャ操作とは、従来の単純なタッチ操作ではなく、指などによって軌跡を描いたり、複数の位置を同時に指定したり、或いはこれらを組合せて、複数の位置から少なくとも1つについて軌跡を描く操作を意味する。
カメラ部241は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCCD(Charge−Coupled Device)などの撮像素子を用いて電子撮影するデジタルカメラである。また、カメラ部241は、主制御部200の制御により、撮像によって得た画像データを例えばJPEG(Joint Photographic coding Experts Group)などの圧縮した画像データに変換し、記憶部250に記録することができる、外部入出力部260や無線通信部210を通じて出力することができる。図32に示すにスマートフォン201において、カメラ部241は表示入力部220と同じ面に搭載されているが、カメラ部241の搭載位置はこれに限らず、表示入力部220の背面に搭載されてもよいし、或いは、複数のカメラ部241が搭載されてもよい。なお、複数のカメラ部241が搭載されている場合、撮影に供するカメラ部241を切り替えて単独にて撮影することができる、或いは、複数のカメラ部241を同時に使用して撮影することもできる。
また、カメラ部241はスマートフォン201の各種機能に利用することができる。例えば、表示パネル221にカメラ部241で取得した画像を表示することや、操作パネル222の操作入力のひとつとして、カメラ部241の画像を利用することができる。また、GPS受信部270が位置を検出する際に、カメラ部241からの画像を参照して位置を検出することもできる。さらには、カメラ部241からの画像を参照して、3軸の加速度センサを用いずに、或いは、3軸の加速度センサと併用して、スマートフォン201のカメラ部241の光軸方向を判断することや、現在の使用環境を判断することもできる。勿論、カメラ部241からの画像をアプリケーションソフトウェア内で利用することもできる。
その他、静止画又は動画の画像データにGPS受信部270により取得した位置情報、マイクロホン232により取得した音声情報、音声情報を主制御部等により音声テキスト変換を行ってテキスト情報となっている情報、又はモーションセンサ部280により取得した姿勢情報等などを付加して記憶部250に記録することが可能であり、外部入出力部260や無線通信部210を通じて出力することもできる。
上述のスマートフォン201において、点像復元処理に関連する上述の各処理部は、例えば主制御部200、記憶部250等によって適宜実現可能である。
本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の精神を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。