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JP5892852B2 - プログラマブルロジックデバイス - Google Patents

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Description

本明細書で開示する発明は、半導体装置に関する。
なお、本明細書等において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指し、半導体素子、電気光学装置、記憶装置、信号処理装置、半導体回路及び電子機器は全て半導体装置である。
LSIに代表される半導体集積回路は、製造時に回路構成を固定され、一般的に製造後に回路構成を変更することができない。これに対して、プログラマブルロジックデバイス(PLD:Programmable Logic Device)と呼ばれる半導体集積回路は、複数の論理回路からなる論理ブロックを単位として、各論理ブロックが配線を介して電気的に接続される構造となっている。プログラマブルロジックデバイスでは、各論理ブロックの回路構成を電気的に制御することができる。
これにより、プログラマブルロジックデバイスは、製造後も設計変更を行うことが可能となるので、プログラマブルロジックデバイスを用いることにより、半導体集積回路の設計、開発に費やされる期間及びコストを大幅に削減させることができる。
プログラマブルロジックデバイスには、CPLD(Complex PLD)、FPGA(Field Programmable Gate Array)と呼ばれるものも存在する。いずれにおいても、論理ブロックに設けられているメモリ部に格納されたデータ(コンフィグレーションデータ)にしたがってスイッチの切換を行うプログラマブルスイッチによって各論理ブロックの回路構成を制御している。つまり、各プログラマブルスイッチにデータをプログラミングすることで、プログラマブルロジックデバイスの回路構成を変更することができる。
当該メモリ部には、SRAM等の揮発性メモリが主に用いられている。また、その一方で、例えば、特許文献1では、当該メモリ部に、フラッシュメモリのようにフローティングゲートトランジスタからなる不揮発性メモリを用いる技術が開示されている。
また、アナログ素子を含む機能ブロックによってアレイを構成することで、プログラマブルとしたアナログ回路の開発も行われている。例えば、特許文献2では、アナログ素子であるキャパシタを複数並列に接続し、その容量値を可変としたプログラマブルキャパシタアレイが開示されている。
特開2004−15060号公報 特開平9−27732号公報
近年、電子機器の消費電力の低減は重要な課題として取りあげられており、電子機器に用いられる半導体集積回路の低消費電力化も強く求められている。そこで消費電力低減のために、半導体装置全体またはその一部への電源電位の供給を一時的に遮断し、必要な時にのみ必要な回路ブロックにおいて電源電位の供給を選択する駆動方法が提案されている。
プログラマブルロジックデバイスにおいて、プログラマブルスイッチのメモリ部にフローティングゲートトランジスタを用いてメモリ部の不揮発化を図る場合、電源電位の供給を一時的に遮断しても回路ブロックに保存されたデータは保持される。しかしながら、データを書き込む際にはフローティングゲートに電子を注入するので、高い電位が必要となり、書き込みに長い時間を必要とするという問題がある。また、当該書き込みの際に生じるトンネル電流によりフローティングゲートのゲート絶縁層が劣化するという問題もある。さらに、フローティングゲートトランジスタは、データの読み出しまたは書き込み時間が遅いため、断続的な動作には不向きである。
また、デジタル回路を含むプログラマブルロジックデバイスと比較して、アナログ回路(アナログ素子)を含むプログラマブル回路は普及が遅れているものの、回路の省スペース化、低コスト化、設計の自由度の向上のために、その開発が望まれている。
上述の問題に鑑み、電源電位の供給が遮断されたときでもデータの保持が可能で、且つ、低消費電力化が可能なプログラマブルなアナログデバイスを提供することを課題の一とする。
開示する発明の一態様では、アナログ素子を含むユニットセルを複数有するプログラマブル回路において、ユニットセル毎に導通または非導通の切り替えを行う。また、当該ユニットセルのスイッチとして、オフ電流を十分に小さくすることができる第1のトランジスタと、ゲート電極が第1のトランジスタのソース電極又はドレイン電極と電気的に接続された第2のトランジスタと、を含む構成とし、当該第2のトランジスタのゲート電位によってユニットセルの導通または非導通を制御する。より具体的には、例えば以下の構成とすることができる。
本発明の一態様は、並列に接続された複数のユニットセルと、ユニットセルのそれぞれと電気的に接続された複数のビット線と、ユニットセルのそれぞれと電気的に接続された複数のワード線と、入力信号線と、出力信号線と、を含むプログラマブル回路を有し、ユニットセルの一は、第1のゲート電極、第1のソース電極、及び第1のドレイン電極を含み、酸化物半導体を含んで構成される第1のトランジスタと、第2のゲート電極、第2のソース電極、及び第2のドレイン電極を含む第2のトランジスタと、アナログ素子と、を有し、ワード線と、第1のゲート電極と、は電気的に接続され、第1のソース電極又は第1のドレイン電極の一方は、ビット線と電気的に接続され、第1のソース電極又は第1のドレイン電極の他方は、第2のゲート電極と電気的に接続され、アナログ素子の一方の電極は、入力信号線と電気的に接続され、アナログ素子の他方の電極は、第2のソース電極又は第2のドレイン電極の一方と電気的に接続され、第2のソース電極又は第2のドレイン電極の他方は、出力信号線と電気的に接続され、第2のゲート電極に与えられる電位によって、ユニットセルそれぞれの導通又は非導通を制御することで、プログラマブル回路から出力されるアナログ値を可変とする半導体装置である。
また、本発明の他の一態様は、マトリクス状に接続された複数のユニットセルと、ユニットセルのそれぞれと電気的に接続された複数のビット線と、ユニットセルのそれぞれと電気的に接続された複数のワード線と、入力信号線と、出力信号線と、を含むプログラマブル回路を有し、ユニットセルの一は、第1のゲート電極、第1のソース電極、及び第1のドレイン電極を含み、酸化物半導体を含んで構成される第1のトランジスタと、第2のゲート電極、第2のソース電極、及び第2のドレイン電極を含む第2のトランジスタと、アナログ素子と、を有し、ワード線と、第1のゲート電極と、は電気的に接続され、第1のソース電極又は第1のドレイン電極の一方は、ビット線と電気的に接続され、第1のソース電極又は第1のドレイン電極の他方は、第2のゲート電極と電気的に接続され、アナログ素子の一方の電極は、入力信号線と電気的に接続され、アナログ素子の他方の電極は、第2のソース電極又は第2のドレイン電極の一方と電気的に接続され、第2のソース電極又は第2のドレイン電極の他方は、出力信号線と電気的に接続され、第2のゲート電極に与えられる電位によって、ユニットセルそれぞれの導通又は非導通を制御することで、プログラマブル回路から出力されるアナログ値を可変とする半導体装置である。
上記の半導体装置のいずれかにおいて、アナログ素子は、容量素子、抵抗素子または光電変換素子であってもよい。
上記の半導体装置のいずれかにおいて、アナログ素子は、酸化物半導体を含んで構成されるのが好ましい。
プログラマブル回路を構成するユニットセルのスイッチとして、オフ電流を十分に小さくすることができる第1のトランジスタと、ゲート電極が第1のトランジスタのソース電極又はドレイン電極と電気的に接続された第2のトランジスタと、を含む構成とする。これによって、電源電位の供給が遮断されている間も、第2のトランジスタのゲート電極に保持されたユニットセルの切り替えデータを、長期間にわたって保持することができる。よって、プログラマブル回路全体またはその一部への電源電位の供給を一時的に遮断し、必要なときにのみ電源電位を供給することができるため、半導体装置の低消費電力化を図ることができる。
また、プログラマブル回路にアナログ素子を含むユニットセルを複数配置し、ユニットセル毎に導通または非導通を切り替えることで、プログラマブル回路全体におけるアナログ値を可変とすることができる。
本発明の一態様の半導体装置を説明する回路図。 本発明の一態様の半導体装置を説明する回路図。 本発明の一態様の半導体装置を説明する回路図。 本発明の一態様の半導体装置を説明する回路図。 本発明の一態様の半導体装置を説明する回路図。 本発明の一態様の半導体装置の作製工程を示す図。 本発明の一態様の半導体装置の作製工程を示す図。 本発明の一態様の半導体装置の作製工程を示す図。 本発明の一態様の半導体装置の作製工程を示す図。 携帯用の電子機器のブロック図。 電子書籍のブロック図。 酸化物材料の構造を説明する図。 酸化物材料の構造を説明する図。 酸化物材料の構造を説明する図。 酸化物材料の構造を説明する図。 計算によって得られた移動度のゲート電圧依存性を説明する図。 計算によって得られたドレイン電流と移動度のゲート電圧依存性を説明する図。 計算によって得られたドレイン電流と移動度のゲート電圧依存性を説明する図。 計算によって得られたドレイン電流と移動度のゲート電圧依存性を説明する図。 計算に用いたトランジスタの断面構造を説明する図。 酸化物半導体膜を用いたトランジスタ特性のグラフ。 試料Aおよび試料BのXRDスペクトルを示す図。 トランジスタのオフ電流と測定時基板温度との関係を示す図。 および電界効果移動度のV依存性を示す図。 基板温度としきい値電圧の関係および基板温度と電界効果移動度の関係を示す図。 測定に用いたトランジスタの平面図及び断面図。
以下では、実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
なお、本明細書等において、「ソース」または「ドレイン」の機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れかわることがある。このため、本明細書等においては、「ソース」または「ドレイン」の用語は入れかえて用いることができるものとする。
また、本明細書等において、「電気的に接続」とは、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限はない。例えば、「何らかの電気的作用を有するもの」には、電極や配線をはじめ、トランジスタなどのスイッチング素子、抵抗素子、インダクタ、容量素子(キャパシタ、コンデンサともいう)、その他の各種機能を有する素子などが含まれる。
図面等において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、理解の簡単のため、実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必ずしも図面等に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
また、本明細書等において、第1または第2などとして付される序数詞は便宜上用いるものであって、工程順または積層順を示すものではない。また、本明細書等において発明を特定するための事項として固有の名称を示すものではない。また、これらの序数詞は、構成要素の混同を避けるために付すものであり、数的に限定するものではない。
(実施の形態1)
本実施の形態では、開示する発明の一態様に係る半導体装置の回路構成について、図1及び図2を参照して説明する。なお、以下の説明において、同様の機能を有する配線が複数ある場合には、配線の名称の末尾に、_1、_2、_n等を付すことで区別している。
〈プログラマブル回路1〉
図1(A)に本実施の形態のプログラマブル回路330の構成を示す。プログラマブル回路330は、入力信号線INと出力信号線OUTとの間に、並列に接続された複数のユニットセルを有する。図1(A)では、ユニットセル320aとユニットセル320bとが並列に接続されている。但し、本発明の実施の形態はこれに限られず、3以上のユニットセルが並列に接続されていてもよい。
また、ユニットセル320(ユニットセル320a、ユニットセル320b)の各々は、ビット線B(ビット線B_1、ビット線B_2)及びワード線W(ワード線W_1、ワード線W_2)と電気的に接続されている。図1(A)では、ユニットセル320aとワード線W_1及びビット線B_1とがそれぞれ電気的に接続され、ユニットセル320bとワード線W_2及びビット線B_2とがそれぞれ電気的に接続されている。
ユニットセル320はそれぞれ、第1のトランジスタ340、第2のトランジスタ350及びアナログ素子310を含む。ユニットセル320に含まれる第1のトランジスタ340のゲート電極は、ワード線Wと電気的に接続され、第1のトランジスタ340のソース電極又はドレイン電極の一方は、ビット線Bと電気的に接続され、第1のトランジスタ340のソース電極又はドレイン電極の他方は、第2のトランジスタ350のゲート電極と電気的に接続される。また、アナログ素子310の一方の電極は、入力信号線INと電気的に接続され、アナログ素子310の他方の電極は、第2のトランジスタ350のソース電極又はドレイン電極の一方と電気的に接続され、第2のソース電極又はドレイン電極の他方は、出力信号線OUTと電気的に接続される。
ユニットセル320に適用可能なアナログ素子310としては、例えば、抵抗素子、容量素子、コイル、光電変換素子等がある。
入力信号線INからアナログ素子310に供給された電位は、第2のトランジスタ350がオン状態の場合に選択的に出力信号線OUTへ出力される。すなわち、第2のトランジスタ350のゲート電極に与えられる電位によって、各ユニットセル320におけるアナログ素子310のアナログ値の出力を制御することができる。また、プログラマブル回路330において、出力信号線OUTから出力されるアナログ値は、プログラマブル回路330に含まれる複数のユニットセル320によって合成されるため、各ユニットセル320からの出力を制御することによって、プログラマブル回路330のアナログ値を可変とすることができる。
ここで、第1のトランジスタ340には、オフ電流が極めて小さいトランジスタが適用される。例えば、酸化物半導体等のワイドバンドギャップ半導体を用いたトランジスタを用いることができる。このようなオフ電流が極めて小さいトランジスタを第1のトランジスタ340に適用すると、第1のトランジスタ340をオフ状態とすることで、第2のトランジスタ350のゲート電極の電位を極めて長時間にわたって保持することが可能である。
なお、第2のトランジスタ350の半導体材料については特に限定されない。アナログ素子の電位の出力速度を向上させるという観点からは、例えば、単結晶シリコンを用いたトランジスタなどのスイッチング速度の高いトランジスタを用いるのが好適である。または、第2のトランジスタ350を、第1のトランジスタ340と同様に酸化物半導体等のワイドバンドギャップ半導体を含む構成としてもよい。
以下に、図1(A)のプログラマブル回路330におけるデータの入出力の動作について説明する。
まず、ワード線Wの電位を第1のトランジスタ340がオン状態となる電位にして、第1のトランジスタ340をオン状態とする。これにより、ビット線Bの電位が第2のトランジスタ350のゲート電極に与えられる。次いで、入力信号線INからアナログ素子へ電位を供給する。ここで、第2のトランジスタ350のゲート電極に与えられた電位が第2のトランジスタ350のしきい値電圧以上であると、第2のトランジスタ350がオン状態となり、アナログ素子310へ供給された電位が出力信号線OUTへ出力される。例えば、第2のトランジスタ350がnチャネル型のトランジスタである場合ビット線Bを高電位(例えばVDD)とすると、第2のトランジスタ350がオン状態となり、アナログ素子310の電位が出力信号線OUTへ出力される。一方、ビット線Bを低電位(例えばGND)とすると、第2のトランジスタ350がオフ状態となり、アナログ素子310の電位は出力信号線OUTへ出力されず、当該ユニットセル320は非導通となる。なお、第2のトランジスタ350としてpチャネル型のトランジスタを用いてもよい。
また、ビット線Bの電位を第2のトランジスタ350のゲート電極に格納した後、当該ビット線Bの電位を保持した状態で、ワード線Wの電位を第1のトランジスタ340がオフ状態となる電位として、第1のトランジスタ340をオフ状態とすることで、新たな電位を供給することなく第2のトランジスタ350のゲート電極に与えられた電位を保持することができる。第1のトランジスタ340は、酸化物半導体のようなワイドバンドギャップ半導体を用いて構成されており、オフ電流が極めて低いので、第2のトランジスタ350のゲート電極に与えられた所定の電位が極めて長期間にわたって保持される。これにより、ユニットセル320の導通状態または非導通状態(アナログ素子310に供給された電位を出力信号線OUTへ供給する状態又は供給しない状態)を電源電位の供給なしで保持することができる。
このように、プログラマブル回路330を構成するユニットセル320のスイッチとして、オフ電流を十分に小さくすることができる第1のトランジスタ(例えば、酸化物半導体のようなワイドバンドギャップ半導体を用いたトランジスタ)と、ゲート電極が第1のトランジスタのソース電極又はドレイン電極と電気的に接続された第2のトランジスタと、を含む構成とし、当該第2のトランジスタのゲート電位によってユニットセルの導通または非導通を制御する。これによって、電源電位の供給が遮断されている間も、第2のトランジスタのゲート電極に保持されたユニットセル320の切り替えデータを長期間にわたって保持することができる。よって、プログラマブル回路330全体またはその一部への電源電位の供給を一時的に遮断し、必要なときにのみ電源電位の供給することができるため、半導体装置の低消費電力化を図ることができる。
また、プログラマブル回路330にユニットセル320を複数配置し、ユニットセル320毎に導通または非導通を切り替えることで、プログラマブル回路330全体におけるアナログ値を可変とすることができる。例えば、図1(A)においては、ユニットセル320a及びユニットセル320b双方が導通する場合、ユニットセル320aまたはユニットセル320bのどちらか一方が導通する場合、ユニットセル320a及びユニットセル320bの双方が非導通の場合の3通りのアナログ値を出力することができる。よって、汎用性の高いプログラマブル回路330を構成することができる。
なお、図1(A)に示すプログラマブル回路330において、ユニットセル320に代えて、図1(B)のユニットセル321を適用してもよい。ユニットセル321は、第1のトランジスタ340、第2のトランジスタ352、第3のトランジスタ360、第4のトランジスタ342、インバータ370及びアナログ素子310を含む。第2のトランジスタ352はnチャネル型のトランジスタであり、第3のトランジスタ360はpチャネル型のトランジスタである。また、第4のトランジスタ342は、第1のトランジスタ340と同様に、例えば酸化物半導体等のワイドバンドギャップ半導体を含んで構成されており、オフ電流を十分に小さくすることができるトランジスタである。
図1(B)において、アナログ素子310の一方の電極は、入力信号線IN(図示せず)と電気的に接続される。第2のトランジスタ352及び第3のトランジスタ360のソース電極又はドレイン電極の一方は、アナログ素子310の他方の電極と互いに電気的に接続され、第2のトランジスタ352及び第3のトランジスタ360のソース電極又はドレイン電極の他方は、出力信号線OUT(図示せず)と互いに電気的に接続されている。また、第1のトランジスタ340及び第4のトランジスタ342のゲート電極は、ワード線Wと電気的に接続され、第1のトランジスタ340のソース電極又はドレイン電極の一方は、ビット線Bと電気的に接続される。第4のトランジスタ342のソース電極又はドレイン電極の一方は、インバータ370を介してビット線Bと電気的に接続されており、第4のトランジスタ342のソース電極又はドレイン電極の一方には、ビット線Bの反転信号が供給される。また、第1のトランジスタ340のソース電極又はドレイン電極の他方は、第2のトランジスタ350のゲート電極と電気的に接続され、第4のトランジスタ342のソース電極又はドレイン電極の他方は、第3のトランジスタ360のゲート電極と電気的に接続される。
図1(A)に示すユニットセル320のように、第2のトランジスタ350のゲート電極の電位のみでユニットセルの導通または非導通が決定される場合、当該第2のトランジスタ350のゲート電極の電位を維持するためには、第2のトランジスタ350のソース電極又はドレイン電極に係る最大電位(または最小電位)よりも、第2のトランジスタ350のしきい値電圧分高い(または低い)電位を、そのゲート電極にかける必要がある。しかしながら、図1(B)に示す構成を用いることにより、第2のトランジスタ352及び第3のトランジスタ360の双方のゲート電極に電位を保持することが可能であるため、しきい値電圧分の電圧降下(または電圧上昇)を考慮して電位を増加させる必要がなくなる。よって、プログラマブル回路をより低消費電力化することができる。
〈プログラマブル回路2〉
図2(A)に図1とは異なる本実施の形態のプログラマブル回路332の構成を示す。プログラマブル回路332は、入力信号線INと出力信号線OUTとの間に、マトリクス状に接続されたユニットセル320a、ユニットセル320b、ユニットセル320c及びユニットセル320dを有する。但し、本発明の実施の形態はこれに限られず、5以上のユニットセルを有していてもよい。
また、図2(A)において、ワード線W_11は、ユニットセル320aとユニットセル320cにおいて共通化して設けられており、同様に、ワード線W_12は、ユニットセル320bとユニットセル320dにおいて共通化して設けられている。また、ビット線B_11は、ユニットセル320aとユニットセル320bにおいて共通化して設けられており、同様に、ビット線B_21は、ユニットセル320cとユニットセル320dにおいて共通化して設けられている。図2(A)に示すように、ユニットセル320をマトリクス状に配置し、行毎にワード線Wを設け、列毎にビット線Bを設けることで、一意のユニットセル320を指定してデータを書き込むことが可能である。但し、ワード線Wまたはビット線Bの接続は図2(A)の配置に限られるものではない。
プログラマブル回路332に含まれる各ユニットセル320の構成は、図1(A)のプログラマブル回路330と同様であり、ユニットセル320それぞれの導通または非導通は、ユニットセル320に含まれる第2のトランジスタ350のゲート電極に与えられる電位によって制御することができる。より具体的には、入力信号線INから、ユニットセル320のアナログ素子310に供給された電位は、第2のトランジスタ350がオン状態の場合に選択的に出力信号線OUTへ出力される。なお、図1(A)のユニットセル320に代えて、図1(B)のユニットセル321と組み合わせてもよい。
また、プログラマブル回路332において、出力信号線OUTから出力されるアナログ値は、プログラマブル回路332に含まれる複数のユニットセル320によって合成されるため、各ユニットセル320からの出力を制御することによって、プログラマブル回路332のアナログ値を可変とすることができる。
図2(A)に示すプログラマブル回路332においては、ユニットセル320a乃至ユニットセル320dの全てが導通する場合、ユニットセル320a乃至ユニットセル320dのうちの3つのユニットセルが導通する場合、ユニットセル320a乃至ユニットセル320dのうちの2つのユニットセルが導通する場合、ユニットセル320a乃至ユニットセル320dの全てが非導通の場合の4通りのアナログ値を出力することができる。よって、汎用性の高いプログラマブル回路332を構成することができる。また、プログラマブル回路332がm行×n列(但し、m及びnはそれぞれ2以上の整数)のマトリクス状に配置されたユニットセル320を有する場合、図1(A)に示すプログラマブル回路330の様に(m×n)個のユニットセルを並列に接続する場合と比較して、配線の本数を削減することができ、より小型化且つ低消費電力化を図ることが可能となる。
なお、ユニットセル320をマトリクス状に接続する場合には、図2(B)に示すプログラマブル回路333のように、列毎に出力信号線OUTを設けてもよい。図2(B)に示す構成とすることで、例えば、プログラマブル回路333がm行×n列のマトリクス状に配置されたユニットセル320を有し、k列目(2≦k≦n、kは整数)に含まれるユニットセル320が全て非導通となる場合であっても、当該プログラマブル回路333において、その他の列から出力されたアナログ値を得ることが可能となる。なお、図2(B)に示すプログラマブル回路は、出力信号線OUTを複数(ユニットセル320の列毎に)有する以外は、プログラマブル回路332と同様の構成とすることができる。
以上示したように、本実施の形態のプログラマブル回路は、ユニットセル320の導通または非導通の制御を、第2のトランジスタ350のオン状態またはオフ状態の切り替えによって行い、当該第2のトランジスタ350のゲート電位は、オフ電流の十分に小さいワイドバンドギャップ半導体(例えば、酸化物半導体)を含む第1のトランジスタ340を介して供給される。これによって、電源電位の供給が遮断されている間も長期間にわたって、ユニットセル320の導通状態又は非導通状態に係るデータを保持することができるため、低消費電力化を図ることができる。また、ユニットセル320の導通状態又は非導通状態に係るデータを保持することで、電源電位を再度供給した際に、当該データを再度書き込みする必要がないため、揮発性メモリを用いた場合と比較して電源投入後のプログラマブル回路の起動時間を短縮することができる。
また、本実施の形態のプログラマブル回路に含まれるユニットセル320は、酸化物半導体等のワイドバンドギャップ半導体を用いた第1のトランジスタ340のスイッチングによって制御されるため、メモリ部にフローティングゲートを用いて電子注入でコンフィギュレーションデータを書き込む場合と比較して、電荷を注入するための高電圧が不要である。また、フローティングゲートに電子注入を行うときに生じたトンネル電流によるゲート絶縁層の劣化の問題も生じないので、データの書き換え可能回数を増やすことができる。
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1で示したプログラマブル回路330の適用例を示す。なお、本実施の形態で示すアナログ素子を、プログラマブル回路332に適用可能であることはいうまでもない。また、本実施の形態で示す以外のアナログ素子を本発明の一態様に係るプログラマブル回路に適用してもよい。
〈適用例1〉
図3(A)に、図1(A)で示したプログラマブル回路330において、アナログ素子310として容量素子312を含むプログラマブル回路334を示す。
プログラマブル回路334は、入力信号線INと出力信号線OUTとの間に、並列に接続されたユニットセル322a及びユニットセル322bを有する。ユニットセル322(ユニットセル322a、ユニットセル322b)は、図1(A)で示したユニットセル320においてアナログ素子310として、容量素子312を有する構成である。容量素子312の一方の電極は、入力信号線INと電気的に接続され、容量素子312の他方の電極は、第2のトランジスタ350のソース電極又はドレイン電極の一方と電気的に接続される。その他の構成は、ユニットセル320と同様である。
図3(A)に示すプログラマブル回路334は、ユニットセル322に含まれる第2のトランジスタのゲート電極の電位を制御することによって、プログラマブル回路334から出力される容量値を可変とすることができるため、容量値を調節して回路の最適化を行うことが可能となる。なお、プログラマブル回路334に含まれるユニットセル322の数が多い程、出力可能な容量値が多様化するため好ましい。
プログラマブル回路334は、例えば、図3(B)に示すように、アンテナ回路400の一部として設けることができる。図3(B)に示すアンテナ回路400において、プログラマブル回路334に含まれる複数の容量素子312は、共振容量として機能する。通常、アンテナ回路に設けられる共振容量は、配線をレーザカット等によって加工することにより共振容量の値を設定して、共振周波数を調節しているが、製造工程のばらつきにより、実際の共振周波数が所望の共振周波数からずれる場合がある。また、共振容量の値が固定されているため、アンテナ回路の汎用性が低い。一方、本実施の形態で示すアンテナ回路400は、プログラマブル回路334を有することで、共振容量の値をユニットセル322に含まれる第2のトランジスタ350のオン状態またはオフ状態の切り替えによって可変とすることが可能であるため、アンテナ回路400の共振周波数を精度よく調整することができる。また、当該アンテナ回路400の汎用性を向上させることができる。
さらに、プログラマブル回路334に含まれる容量素子312を、第1のトランジスタ340と同様の半導体材料(例えば、酸化物半導体)を含む構成とすることで、プログラマブル回路334の作製工程の簡略化及び作製時間の短縮化を図ることができるため好ましい。これによって、半導体装置の製造コストを削減することができる。また、第1のトランジスタ340、第2のトランジスタ350及び容量素子312に含まれる半導体材料を全て同じ半導体材料としてもよい。
〈適用例2〉
図4(A)に、図1(A)で示したプログラマブル回路330において、アナログ素子310として抵抗素子314を含むプログラマブル回路336を示す。
プログラマブル回路336は、入力信号線INと出力信号線OUTとの間に、並列に接続されたユニットセル324a及びユニットセル324bを有する。ユニットセル324(ユニットセル324a、ユニットセル324b)は、図1(A)で示したユニットセル320においてアナログ素子310として、抵抗素子314を有する構成である。抵抗素子314の一方の電極は、入力信号線INと電気的に接続され、抵抗素子314の他方の電極は、第2のトランジスタ350のソース電極又はドレイン電極の一方と電気的に接続される。その他の構成は、ユニットセル320と同様である。
図4(A)に示すプログラマブル回路336は、ユニットセル324に含まれる第2のトランジスタのゲート電極の電位を制御することによって、プログラマブル回路336から出力される抵抗値を可変とすることができるため、抵抗値を調節して回路の最適化を行うことが可能となる。なお、プログラマブル回路336に含まれるユニットセル324の数が多い程、出力可能な抵抗値が多様化するため好ましい。
プログラマブル回路336は、例えば、図4(B)に示すように、抵抗分割回路402の一部として用いることができる。プログラマブル回路336を抵抗分割回路402の一部として用いることで、当該抵抗分割回路402の精度を向上させることができる。また、抵抗分割回路402の出力を容易に変更することが可能となるため、抵抗分割回路402の汎用性を向上させることができる。
さらに、プログラマブル回路336に含まれる抵抗素子314を、第1のトランジスタ340と同様の半導体材料(例えば、酸化物半導体)を含む構成とすることで、プログラマブル回路336の作製工程の簡略化及び作製時間の短縮化を図ることができるため好ましい。これによって、半導体装置の製造コストを削減することができる。また、第1のトランジスタ340、第2のトランジスタ350及び抵抗素子314に含まれる半導体材料を全て同じ半導体材料としてもよい。
〈適用例3〉
図5に、図1(A)で示したプログラマブル回路330において、アナログ素子310として光電変換素子316を含むプログラマブル回路338を示す。
プログラマブル回路338は、入力信号線INと出力信号線OUTとの間に、並列に接続されたユニットセル326a及びユニットセル326bを有する。ユニットセル326(ユニットセル326a、ユニットセル326b)は、図1(A)で示したユニットセル320においてアナログ素子310として、光電変換素子316を有する構成である。光電変換素子316の一方の電極は、入力信号線INと電気的に接続され、光電変換素子316の他方の電極は、第2のトランジスタ350のソース電極又はドレイン電極の一方と電気的に接続される。その他の構成は、ユニットセル320と同様である。
図5に示すプログラマブル回路338は、ユニットセル326に含まれる第2のトランジスタのゲート電極の電位を制御することによって、プログラマブル回路338からの出力を制御することができる。
光電変換素子の光電変換効率は、光電変換素子に照射される光エネルギーのうち、電気エネルギーへと変換される割合を指すため、複数の光電変換素子を有する回路において一部の領域への光照射エネルギーが低い場合、回路全体としては光電変換効率が低下してしまう。しかしながら本実施の形態で示すプログラマブル回路338においては、ユニットセル326毎に導通または非導通を制御することが可能であるため、光照射エネルギーの低い領域に設けられたユニットセル326を非導通とすることで、プログラマブル回路338全体としての、光電変換効率を低下させることなく動作させることができる。
さらに、プログラマブル回路338に含まれる光電変換素子316を、第1のトランジスタ340と同様の半導体材料(例えば、酸化物半導体)を含む構成とすることで、プログラマブル回路338の作製工程の簡略化及び作製時間の短縮化を図ることができるため好ましい。これによって、半導体装置の製造コストを削減することができる。また、第1のトランジスタ340、第2のトランジスタ350及び光電変換素子316に含まれる半導体材料を全て同じ半導体材料としてもよい。
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態においては、実施の形態1または2に示すプログラマブル回路に含まれるトランジスタの作製方法について、図6乃至図9を用いて説明する。本実施の形態では、例として、酸化物半導体を含んで構成されるトランジスタ110と、nチャネル型のトランジスタ112との作製方法について具体的に説明する。なお、酸化物半導体を含んで構成されるトランジスタ110は、図1(A)における第1のトランジスタ340に相当し、nチャネル型のトランジスタ112は、図1(A)における第2のトランジスタ350に相当する。図6乃至図9において、A−Bに示す断面図は、酸化物半導体を含んで構成されるトランジスタ110、nチャネル型のトランジスタ112が形成される領域の断面図に相当し、C−Dに示す断面図は、酸化物半導体を含んで構成されるトランジスタ110のソース電極又はドレイン電極の一方とnチャネル型のトランジスタ112のゲート電極とが接続されたノードにおける断面図に相当する。
まず、図6(A)に示すように、p型の半導体基板201に素子分離領域203を形成する。
p型の半導体基板201としては、p型の導電型を有する単結晶シリコン基板(シリコンウェハー)、化合物半導体基板(SiC基板、GaN基板等)を用いることができる。
また、p型の半導体基板201の代わりに、SOI(Silicon On Insulator)基板として、鏡面研磨ウェハーに酸素イオンを注入した後、高温加熱することにより、表面から一定の深さに酸化層を形成させるとともに、表面層に生じた欠陥を消滅させて作られた所謂SIMOX(Separation by Implanted Oxygen)基板や、水素イオン注入により形成された微小ボイドの熱処理による成長を利用して半導体基板を劈開するスマートカット法や、ELTRAN法(Epitaxial Layer Transfer:キヤノン社の登録商標)等を用いて形成したSOI基板を用いてもよい。
素子分離領域203は、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)法又はSTI(Shallow Trench Isolation)法等を用いて形成する。
また、同一基板上にpチャネル型のトランジスタを形成する場合、例えば、図1(B)に示す第3のトランジスタ360やインバータ370を同一基板上に作製する場合、p型の半導体基板201の一部にnウェル領域を形成してもよい。nウェル領域は、リン、ヒ素等のn型を付与する不純物元素を添加して形成される。
なお、ここでは、p型の半導体基板を用いているが、n型の半導体基板を用いて、pチャネル型のトランジスタを形成してもよい。その場合、n型の半導体基板にp型を付与するホウ素等の不純物元素が添加されたpウェル領域を形成して、同一基板上にnチャネル型のトランジスタを形成してもよい。
次に、図6(B)に示すように、半導体基板201上にゲート絶縁膜207およびゲート電極209を形成する。
熱処理を行い半導体基板201の表面を酸化した酸化シリコン膜を形成する。又は、熱酸化法により酸化シリコン膜を形成した後に、窒化処理を行うことによって酸化シリコン膜の表面を窒化させることにより、酸化シリコン膜と酸素と窒素を有するシリコン膜(酸化窒化シリコン膜)との積層構造で形成する。次に、酸化シリコン膜又は酸窒化シリコン膜の一部を選択的にエッチングして、ゲート絶縁膜207を形成する。若しくは、厚さ5〜50nmの酸化シリコン、酸化窒化シリコン、高誘電率物質(high−k材料ともいう)であるタンタル酸化物、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化チタンなどの金属酸化物、酸化ランタンなどの希土類酸化物又はハフニウムシリケート等を、CVD法、スパッタリング法等を用いて形成した後、選択的に一部をエッチングして、ゲート絶縁膜207を形成する。
ゲート電極209は、タンタル、タングステン、チタン、モリブデン、クロム、ニオブ等から選択された金属、又はこれらの金属を主成分とする合金材料若しくは化合物材料を用いることが好ましい。また、リン等の不純物を添加した多結晶シリコンを用いることができる。また、金属窒化物膜と上記の金属膜の積層構造でゲート電極209を形成してもよい。金属窒化物としては、窒化タングステン、窒化モリブデン、窒化チタンを用いることができる。金属窒化物膜を設けることにより、金属膜の密着性を向上させることができ、剥離を防止することができる。
ゲート電極209は、導電膜をスパッタリング法、CVD法等により形成した後、該導電膜の一部を選択的にエッチングして形成される。
ここでは、熱処理を行い、半導体基板201の表面を酸化した酸化シリコン膜を形成し、該酸化シリコン膜上に窒化タンタル膜及びタングステン膜が積層された導電膜をスパッタリング法により形成した後、酸化シリコン膜及び導電膜のそれぞれ一部を選択的にエッチングして、ゲート絶縁膜207およびゲート電極209を形成する。
なお、高集積化を実現するためには、ゲート電極209の側面にサイドウォール絶縁層を有しない構成とすることが望ましい。一方で、トランジスタの特性を重視する場合には、ゲート電極209の側面にサイドウォール絶縁層を設けることもできる。
次に、図6(C)に示すように、半導体基板201にn型を付与する不純物元素を添加して、n型の不純物領域211a、n型の不純物領域211bを形成する。また、同一基板上にnウェル領域を形成している場合、当該領域にp型を付与する不純物元素を添加してp型の不純物領域を形成する。n型の不純物領域211a、n型の不純物領域211bおよびp型の不純物領域におけるn型を付与する不純物元素及びp型を付与する不純物元素の濃度は、1×1019/cm以上1×1021/cm以下である。n型を付与する不純物元素及びp型を付与する不純物元素は、イオンドーピング法、イオン注入法等を適宜用いて、半導体基板201及びnウェル領域に添加する。
また、ゲート電極209の側面にサイドウォール絶縁層を設ける場合、当該サイドウォール絶縁層と重畳する領域に、n型の不純物領域211a、n型の不純物領域211bおよびp型の不純物領域とは異なる不純物濃度の不純物領域を形成することができる。
次に、図6(D)に示すように、半導体基板201、素子分離領域203、ゲート絶縁膜207およびゲート電極209上に、スパッタリング法、CVD法等により、絶縁膜215および絶縁膜217を形成する。
絶縁膜215および絶縁膜217は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、窒化アルミニウムなどを用いればよく、積層又は単層で設ける。なお、絶縁膜215をCVD法により形成することで、絶縁膜215の水素含有量が高まる。このような絶縁膜215を用いて熱処理を行うことにより、半導体基板を水素化し、水素によりダングリングボンドを終端させ、当該半導体基板中の欠陥を低減することができる。
また、絶縁膜217として、BPSG(Boron Phosphorus Silicon Glass)などの無機材料、又は、ポリイミド、アクリルなどの有機材料を用いて形成することで、絶縁膜217の平坦性を高めることができる。
絶縁膜215又は絶縁膜217を形成した後、n型の不純物領域211a、n型の不純物領域211bおよびp型の不純物領域に添加された不純物元素を活性化するための熱処理を行う。
以上の工程により、図6(D)に示すように、nチャネル型のトランジスタ112を作製することができる。
次に、絶縁膜215および絶縁膜217の一部を選択的にエッチングして、開口部を形成する。次に、開口部にコンタクトプラグ219aおよびコンタクトプラグ219bを形成する。代表的には、スパッタリング法、CVD法等により導電膜を形成した後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法やエッチングなどにより平坦化処理を行い、導電膜の表面の不要な部分を除去して、コンタクトプラグを形成する。
コンタクトプラグ219aおよびコンタクトプラグ219bとなる導電膜は、WFガスとSiHガスからCVD法でタングステンシリサイドを形成し、開口部に導電膜を埋め込むことで形成される。
次に、絶縁膜217及びコンタクトプラグ219aおよびコンタクトプラグ219b上に、スパッタリング法、CVD法等により絶縁膜を形成した後、該絶縁膜の一部を選択的にエッチングし、溝部を有する絶縁膜221を形成する。次に、スパッタリング法、CVD法等により導電膜を形成した後、CMP法やエッチングなどにより平坦化処理を行い、該導電膜の表面の不要な部分を除去して、配線223aおよび配線223bを形成する(図7(A)参照)。
ここで、配線223a及び配線223bは、それぞれトランジスタ112のソース電極又はドレイン電極して機能し、図1(A)に示すアナログ素子310の一方の電極又は出力信号線OUTとそれぞれ電気的に接続される。
絶縁膜221は、絶縁膜215と同様の材料を用いて形成することができる。
配線223aおよび配線223bとして、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、又はタングステンからなる単体金属、又はこれを主成分とする合金を単層構造又は積層構造として用いる。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する二層構造、タングステン膜上にチタン膜を積層する二層構造、銅−マグネシウム−アルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜と、そのチタン膜上に重ねてアルミニウム膜を積層し、さらにその上にチタン膜を形成する三層構造などがある。なお、酸化インジウム、酸化錫又は酸化亜鉛を含む透明導電材料を用いてもよい。
平坦化された絶縁膜221、配線223aおよび配線223bを用いることで、後に形成する酸化物半導体を含むトランジスタにおける電気特性のばらつきを低減することができる。また、歩留まり高く酸化物半導体を含むトランジスタを形成することができる。
次に、熱処理又はプラズマ処理により、絶縁膜221、配線223aおよび配線223bに含まれる水素を脱離させることが好ましい。この結果、後の熱処理において、後に形成される絶縁膜及び酸化物半導体膜中に水素が拡散することを防ぐことができる。なお、熱処理は、不活性雰囲気、減圧雰囲気又は乾燥空気雰囲気にて、100℃以上基板の歪み点未満で行う。また、プラズマ処理は、希ガス、酸素、窒素又は酸化窒素(亜酸化窒素、一酸化窒素、二酸化窒素など)を用いる。
次に、絶縁膜221、配線223a及び配線223b上に、スパッタリング法、CVD法等により、絶縁膜225を形成する。絶縁膜225としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化イットリウム、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウムを単層又は積層して形成する。また、絶縁膜225として、加熱により酸素の一部が脱離する酸化絶縁膜を用いて形成することが好ましい。加熱により酸素の一部が脱離する酸化絶縁膜としては、化学量論比を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化絶縁膜を用いる。加熱により酸素の一部が脱離する酸化絶縁膜は、加熱により酸素が脱離するため、後の工程で行う加熱により酸化物半導体膜に酸素を拡散させることができる。
また、絶縁膜225は、CMP処理などを行って平坦化を図ることが望ましい。絶縁膜225の表面の平均面粗さ(Ra)は、1nm以下、好ましくは0.3nm以下、より好ましくは0.1nm以下とする。
なお、本明細書などにおいて平均面粗さ(Ra)とは、JISB0601:2001(ISO4287:1997)で定義されている中心線平均粗さ(Ra)を、測定面に対して適用できるよう三次元に拡張したものであり、基準面から指定面までの偏差の絶対値を平均した値で表現される。
平均面粗さ(Ra)は、測定データの示す面である測定面をZ=F(X,Y)で表すとき、基準面から指定面までの偏差の絶対値を平均した値で表現され、次の式で与えられる。
ここで、指定面とは、粗さ計測の対象となる面であり、座標(X,Y)(X,Y)(X,Y)(X,Y)の4点で表される四角形の領域とし、指定面が理想的にフラットであるとしたときの面積をSとする。また、基準面とは、指定面の平均の高さにおける、XY平面と平行な面のことである。つまり、指定面の高さの平均値をZとするとき、基準面の高さもZで表される。平均面粗さ(Ra)は原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)にて評価可能である。
上記CMP処理は、1回行ってもよいし、複数回行ってもよい。複数回に分けてCMP処理を行う場合は、高い研磨レートの一次研磨を行った後、低い研磨レートの仕上げ研磨を行うのが好ましい。このように研磨レートの異なる研磨を組み合わせることによって、絶縁膜225の表面の平坦性をさらに向上させることができる。
また、絶縁膜225を平坦化させる処理としては、プラズマ処理を用いることもできる。プラズマ処理は、真空のチャンバーに不活性ガス、例えばアルゴンガスなどの希ガスを導入し、被処理面を陰極とする電界をかけて行う。その原理としてはプラズマドライエッチ法と同等であるが、不活性ガスを用いて行う。すなわち、このプラズマ処理は、被処理面に不活性ガスのイオンを照射して、スパッタリング効果により表面の微細な凹凸を平坦化する処理である。このことから、当該プラズマ処理を「逆スパッタ処理」と呼ぶこともできる。
このプラズマ処理時、プラズマ中には電子とアルゴンの陽イオンが存在し、陰極方向にアルゴンの陽イオンが加速される。加速されたアルゴンの陽イオンは被処理面をスパッタする。このとき、該被処理面の凸部から優先的にスパッタされる。被処理面からスパッタされた粒子は、被処理面の別の場所に付着する。このとき、該被処理面の凹部に優先的に付着する。このように凸部を削り、凹部を埋めることで被処理面の平坦性が向上する。なお、プラズマ処理とCMP処理と併用することにより絶縁膜225のさらなる平坦化を図ることができる。
なお、当該プラズマ処理によって、絶縁膜225表面に付着した酸素、水分、有機物などの不純物をスパッタリングの効果で除去することも可能である。
なお、酸化物半導体の成膜を行う前に、成膜室の加熱および排気を行って、成膜室中の水素、水、水酸基、水素化物などの不純物を除去しておくことが好ましい。特に成膜室の内壁に吸着して存在するこれらの不純物を除去することが重要である。ここで、熱処理は、例えば、100℃以上450℃以下で行えばよい。また、処理室の排気は、ドライポンプなどの粗引きポンプと、スパッタイオンポンプ、ターボ分子ポンプ及びクライオポンプなどの高真空ポンプとを適宜組み合わせて行うとよい。ターボ分子ポンプは大きいサイズの分子の排気が優れる一方、水素や水の排気能力が低い。さらに、水の排気能力の高いクライオポンプまたは水素の排気能力の高いスパッタイオンポンプを組み合わせることが有効となる。またこのとき、不活性ガスを導入しながら不純物の除去を行うと、排気するだけでは脱離しにくい水などの脱離速度をさらに大きくすることができる。このような処理を行って酸化物半導体の成膜前に成膜室の不純物を除去することにより、酸化物半導体への水素、水、水酸基、水素化物などの混入を低減することができる。
また、酸化物半導体膜をスパッタリング装置で成膜する前に、スパッタリング装置にダミー基板を搬入し、ダミー基板上に酸化物半導体膜を成膜して、ターゲット表面、又は防着板に付着した水素、水分を取り除く工程を行ってもよい。
次に、絶縁膜225上に、スパッタリング法、塗布法、印刷法、蒸着法、PCVD法、PLD法、ALD法又はMBE法等を用いて酸化物半導体膜227を形成する(図7(B)参照)。ここでは、酸化物半導体膜227として、スパッタリング法により、1nm以上50nm以下、好ましくは3nm以上20nm以下の厚さで酸化物半導体膜を形成する。酸化物半導体膜227の厚さを上記厚さとすることで、トランジスタの微細化に伴って発生するおそれのある短チャネル効果を抑制することができる。
酸化物半導体膜227に用いる酸化物半導体としては、少なくともインジウム(In)あるいは亜鉛(Zn)を含むことが好ましい。特にInとZnを含むことが好ましい。また、該酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすためのスタビライザーとして、それらに加えてガリウム(Ga)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてスズ(Sn)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてハフニウム(Hf)を有することが好ましい。また、スタビライザーとしてアルミニウム(Al)を有することが好ましい。
また、他のスタビライザーとして、ランタノイドである、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)のいずれか一種あるいは複数種を有してもよい。
例えば、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、二元系金属の酸化物であるIn−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物、In−Ga系酸化物、三元系金属の酸化物であるIn−Ga−Zn系酸化物(IGZOとも表記する)、In−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、四元系金属の酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物を用いることができる。また、上記酸化物半導体に酸化シリコンを含んでもよい。ここで、例えば、In−Ga−Zn系酸化物とは、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)を主成分として有する酸化物という意味であり、その組成比は問わない。また、InとGaとZn以外の金属元素が入っていてもよい。このとき、上記酸化物半導体においては、化学量論比に対し、酸素を過剰にすると好ましい。酸素を過剰にすることで酸化物半導体膜の酸素欠損に起因するキャリアの生成を抑制することができる。
また、酸化物半導体として、InMO(ZnO)(m>0、且つ、mは整数でない)で表記される材料を用いてもよい。なお、Mは、Ga、Fe、Mn及びCoから選ばれた一の金属元素又は複数の金属元素を示す。また、酸化物半導体として、InSnO(ZnO)(n>0、且つ、nは整数)で表記される材料を用いてもよい。
なお、酸化物半導体膜227において、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の濃度は、1×1018atoms/cm以下、さらに好ましくは2×1016atoms/cm以下であることが望ましい。アルカリ金属及びアルカリ土類金属は、酸化物半導体と結合するとキャリアが生成されることがあり、トランジスタのオフ電流の上昇の原因となるためである。
また、酸化物半導体膜227には、5×1018atoms/cm以下の窒素が含まれてもよい。
なお、酸化物半導体膜227に用いることが可能な酸化物半導体は、シリコン半導体よりもバンドギャップが広く、真性キャリア密度がシリコン半導体よりも低い、ワイドバンドギャップ半導体とする。このように、エネルギーギャップの広い酸化物半導体を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
酸化物半導体膜227は、単結晶構造であってもよいし、非単結晶構造であってもよい。後者の場合、アモルファス構造でも、多結晶構造でもよい。また、アモルファス中に結晶性を有する部分を含む構造でも、非アモルファス構造でもよい。
アモルファス状態の酸化物半導体は、比較的容易に平坦な表面を得ることができるため、これを用いてトランジスタを作製した際の界面散乱を低減でき、比較的容易に、比較的高い移動度を得ることができる。
また、結晶性を有する酸化物半導体では、よりバルク内欠陥を低減することができ、表面の平坦性を高めればアモルファス状態の酸化物半導体以上の移動度を得ることができる。表面の平坦性を高めるためには、平坦な表面上に酸化物半導体を形成することが好ましく、上述のように、絶縁膜225の表面の平均面粗さ(Ra)を、1nm以下、好ましくは0.3nm以下、より好ましくは0.1nm以下とし、その上に酸化物半導体膜227を形成することが好ましい。
ここでは、酸化物半導体膜227をスパッタリング法により形成する。
スパッタリング法に用いるターゲットとしては、例えば、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、二元系金属の酸化物であるIn−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物、In−Ga系酸化物、三元系金属の酸化物であるIn−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物、In−Hf−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物、四元系金属の酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn系酸化物、In−Hf−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Ga−Zn系酸化物、In−Sn−Al−Zn系酸化物、In−Sn−Hf−Zn系酸化物、In−Hf−Al−Zn系酸化物を用いることができる。
酸化物半導体としてIn−Ga−Zn−O系の材料を用いる場合、用いるターゲット中の金属元素の原子数比は、In:Ga:Zn=1:1:1、4:2:3、3:1:2、1:1:2、2:1:3、又は3:1:4などとすればよい。このような原子数比のIn−Ga−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物をターゲットとして用いることができる。また、ターゲットの組成比を上記のようにすることにより、多結晶又は後述するCAAC−OS膜が形成されやすくなる。
また、酸化物半導体としてIn−Sn−Zn−O系の材料を用いる場合、用いるターゲット中の金属元素の原子数比は、In:Sn:Zn=1:1:1、2:1:3、1:2:2、又は20:45:35などとすればよい。このような原子数比のIn−Sn−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物をターゲットとして用いることができる。また、ターゲットの組成比を上記のようにすることにより、多結晶膜又は後述するCAAC−OS膜が形成されやすくなる。
酸化物半導体としてIn−Zn−O系の材料を用いる場合、用いるターゲット中の金属元素の原子数比は、In:Zn=50:1〜1:2(モル数比に換算するとIn:ZnO=25:1〜1:4)、好ましくはIn:Zn=20:1〜1:1(モル数比に換算するとIn:ZnO=10:1〜1:2)、さらに好ましくはIn:Zn=15:1〜1.5:1(モル数比に換算するとIn:ZnO=15:2〜3:4)とする。例えば、In−Zn系酸化物半導体の形成に用いるターゲットは、原子数比がIn:Zn:O=X:Y:Zのとき、Z>1.5X+Yとする。このような原子数比のIn−Zn系酸化物やその組成の近傍の酸化物をターゲットとして用いることができる。
しかし、これらに限られず、必要とする半導体特性(移動度、しきい値、ばらつき等)に応じて適切な組成のものを用いればよい。また、必要とする半導体特性を得るために、キャリア濃度や不純物濃度、欠陥密度、金属元素と酸素の原子数比、原子間結合距離、密度等を適切なものとすることが好ましい。
例えば、In−Sn−Zn系酸化物では比較的容易に高い移動度が得られる。しかしながら、In−Ga−Zn系酸化物でも、バルク内欠陥密度を低減することにより移動度を上げることができる。
なお、例えば、In、Ga、Znの原子数比がIn:Ga:Zn=a:b:c(a+b+c=1)である酸化物の組成が、原子数比がIn:Ga:Zn=A:B:C(A+B+C=1)の酸化物の組成の近傍であるとは、a、b、cが、(a−A)+(b−B)+(c−C)≦rを満たすことを言う。rとしては、例えば、0.05とすればよい。他の酸化物でも同様である。
なお、スパッタリングガスは、希ガス(代表的にはアルゴン)雰囲気、酸素雰囲気、希ガス及び酸素の混合ガスを適宜用いる。なお、希ガス及び酸素の混合ガスの場合、希ガスに対して酸素のガス比を高めることが好ましい。また、スパッタリングガスは、酸化物半導体膜への水素、水、水酸基、水素化物などの混入を防ぐために、水素、水、水酸基、水素化物などの不純物が十分に除去された高純度ガスを用いた雰囲気とすることが望ましい。
スパッタリング法において、プラズマを発生させるための電源装置は、RF電源装置、AC電源装置、DC電源装置等を適宜用いることができる。
なお、酸化物半導体膜を成膜する処理室は、リークレートを1×10−10Pa・m/秒以下とすることが好ましく、それによりスパッタリング法により成膜する際、膜中への不純物の混入を低減することができる。このように、酸化物半導体膜の成膜工程において、更に好ましくは酸化絶縁膜の成膜工程において、処理室の圧力、処理室のリークレートなどにおいて、不純物の混入を極力抑えることによって、酸化物半導体膜に含まれる水素を含む不純物の混入を低減することができる。また、酸化絶縁膜から酸化物半導体膜への水素などの不純物の拡散を低減することができる。
なお、酸化物半導体膜は、単結晶、多結晶(ポリクリスタルともいう)又は非晶質などの状態をとる。酸化物半導体膜として、CAAC−OS(C Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)膜を用いてもよい。
CAAC−OS膜は、完全な単結晶ではなく、完全な非晶質でもない。CAAC−OS膜は、非晶質相に結晶部及び非晶質部を有する結晶−非晶質混相構造の酸化物半導体膜である。なお、当該結晶部は、一辺が100nm未満の立方体内に収まる大きさであることが多い。また、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)による観察像では、CAAC−OS膜に含まれる非晶質部と結晶部の境界は明確ではない。また、TEMによってCAAC−OS膜には粒界(グレインバウンダリーともいう)は確認できない。そのため、CAAC−OS膜は粒界に起因する電子移動度の低下が抑制される。
CAAC−OS膜に含まれる結晶部は、c軸がCAAC−OS膜の被形成面の法線ベクトル又は表面の法線ベクトルに平行な方向に揃い、且つab面に垂直な方向から見て三角形状又は六角形状の原子配列を有し、c軸に垂直な方向から見て金属原子が層状又は金属原子と酸素原子とが層状に配列している。なお、異なる結晶部間で、それぞれa軸及びb軸の向きが異なっていてもよい。本明細書において、単に垂直と記載する場合、85°以上95°以下の範囲も含まれることとする。また、単に平行と記載する場合、−5°以上5°以下の範囲も含まれることとする。
なお、CAAC−OS膜において、結晶部の分布が一様でなくてもよい。例えば、CAAC−OS膜の形成過程において、酸化物半導体膜の表面側から結晶成長させる場合、被形成面の近傍に対し表面の近傍では結晶部の占める割合が高くなることがある。また、CAAC−OS膜へ不純物を添加することにより、当該不純物添加領域において結晶部が非晶質化することもある。
CAAC−OS膜に含まれる結晶部のc軸は、CAAC−OS膜の被形成面の法線ベクトル又は表面の法線ベクトルに平行な方向に揃うため、CAAC−OS膜の形状(被形成面の断面形状又は表面の断面形状)によっては互いに異なる方向を向くことがある。なお、結晶部のc軸の方向は、CAAC−OS膜が形成されたときの被形成面の法線ベクトル又は表面の法線ベクトルに平行な方向となる。結晶部は、成膜することにより、又は成膜後に加熱処理などの結晶化処理を行うことにより形成される。
CAAC−OS膜を用いたトランジスタは、可視光や紫外光の照射による電気的特性の変化を抑制することができる。特に、上述のように、絶縁膜225の表面の平均面粗さ(Ra)を、1nm以下、好ましくは0.3nm以下、より好ましくは0.1nm以下とし、その上にCAAC−OS膜を形成することが好ましい。これにより、CAAC−OS膜の結晶性を向上させ、当該CAAC−OS膜を用いたトランジスタの移動度の向上を図ることができる。
CAAC−OS膜に含まれる結晶構造の一例について図12乃至図15を用いて詳細に説明する。なお、特に断りがない限り、図12乃至図15は上方向をc軸方向とし、c軸方向と直交する面をab面とする。なお、単に上半分、下半分という場合、ab面を境にした場合の上半分、下半分をいう。また、図12において、丸で囲まれたOは4配位のOを示し、二重丸で囲まれたOは3配位のOを示す。
図12(A)に、1個の6配位のInと、Inに近接の6個の4配位の酸素原子(以下4配位のO)と、を有する構造を示す。ここでは、金属原子が1個に対して、近接の酸素原子のみ示した構造を小グループと呼ぶ。図12(A)の構造は、八面体構造をとるが、簡単のため平面構造で示している。なお、図12(A)の上半分および下半分にはそれぞれ3個ずつ4配位のOがある。図12(A)に示す小グループは電荷が0である。
図12(B)に、1個の5配位のGaと、Gaに近接の3個の3配位の酸素原子(以下3配位のO)と、Gaに近接の2個の4配位のOと、を有する構造を示す。3配位のOは、いずれもab面に存在する。図12(B)の上半分および下半分にはそれぞれ1個ずつ4配位のOがある。また、Inも5配位をとるため、図12(B)に示す構造をとりうる。図12(B)に示す小グループは電荷が0である。
図12(C)に、1個の4配位のZnと、Znに近接の4個の4配位のOと、を有する構造を示す。図12(C)の上半分には1個の4配位のOがあり、下半分には3個の4配位のOがある。図12(C)に示す小グループは電荷が0である。
図12(D)に、1個の6配位のSnと、Snに近接の6個の4配位のOと、を有する構造を示す。図12(D)の上半分には3個の4配位のOがあり、下半分には3個の4配位のOがある。図12(D)に示す小グループは電荷が+1となる。
図12(E)に、2個のZnを含む小グループを示す。図12(E)の上半分には1個の4配位のOがあり、下半分には1個の4配位のOがある。図12(E)に示す小グループは電荷が−1となる。
ここでは、複数の小グループの集合体を中グループと呼び、複数の中グループの集合体を大グループと呼ぶ。
ここで、これらの小グループ同士が結合する規則について説明する。Inの上半分の3個のOは下方向に3個の近接Inを有し、下半分の3個のOは上方向に3個の近接Inを有する。Gaの上半分の1個のOは下方向に1個の近接Gaを有し、下半分の1個のOは上方向に1個の近接Gaを有する。Znの上半分の1個のOは下方向に1個の近接Znを有し、下半分の3個のOは上方向に3個の近接Znを有する。この様に、金属原子の上方向の4配位のOの数と、そのOの下方向にある近接金属原子の数は等しく、同様に金属原子の下方向の4配位のOの数と、そのOの上方向にある近接金属原子の数は等しい。Oは4配位なので、下方向にある近接金属原子の数と、上方向にある近接金属原子の数の和は4になる。従って、金属原子の上方向にある4配位のOの数と、別の金属原子の下方向にある4配位のOの数との和が4個のとき、金属原子を有する二種の小グループ同士は結合することができる。例えば、6配位の金属原子(In又はSn)が上半分の4配位のOを介して結合する場合、4配位のOが3個であるため、5配位の金属原子(Ga又はIn)又は4配位の金属原子(Zn)のいずれかと結合することになる。
これらの配位数を有する金属原子は、c軸方向において、4配位のOを介して結合する。また、このほかにも、層構造の合計の電荷が0となるように複数の小グループが結合して中グループを構成する。
図13(A)に、In−Sn−Zn−O系の層構造を構成する中グループのモデル図を示す。図13(B)に、3つの中グループで構成される大グループを示す。なお、図13(C)は、図13(B)の層構造をc軸方向から観察した場合の原子配列を示す。
図13(A)においては、簡単のため、3配位のOは省略し、4配位のOは個数のみ示し、例えば、Snの上半分および下半分にはそれぞれ3個ずつ4配位のOがあることを丸枠の3として示している。同様に、図13(A)において、Inの上半分および下半分にはそれぞれ1個ずつ4配位のOがあり、丸枠の1として示している。また、同様に、図13(A)において、下半分には1個の4配位のOがあり、上半分には3個の4配位のOがあるZnと、上半分には1個の4配位のOがあり、下半分には3個の4配位のOがあるZnとを示している。
図13(A)において、In−Sn−Zn−O系の層構造を構成する中グループは、上から順に4配位のOが3個ずつ上半分および下半分にあるSnが、4配位のOが1個ずつ上半分および下半分にあるInと結合し、そのInが、上半分に3個の4配位のOがあるZnと結合し、そのZnの下半分の1個の4配位のOを介して4配位のOが3個ずつ上半分および下半分にあるInと結合し、そのInが、上半分に1個の4配位のOがあるZn2個からなる小グループと結合し、この小グループの下半分の1個の4配位のOを介して4配位のOが3個ずつ上半分および下半分にあるSnと結合している構成である。この中グループが複数結合して大グループを構成する。
ここで、3配位のOおよび4配位のOの場合、結合1本当たりの電荷はそれぞれ−0.667、−0.5と考えることができる。例えば、In(6配位又は5配位)、Zn(4配位)、Sn(5配位又は6配位)の電荷は、それぞれ+3、+2、+4である。従って、Snを含む小グループは電荷が+1となる。そのため、Snを含む層構造を形成するためには、電荷+1を打ち消す電荷−1が必要となる。電荷−1をとる構造として、図12(E)に示すように、2個のZnを含む小グループが挙げられる。例えば、Snを含む小グループが1個に対し、2個のZnを含む小グループが1個あれば、電荷が打ち消されるため、層構造の合計の電荷を0とすることができる。
具体的には、図13(B)に示した大グループが繰り返されることで、In−Sn−Zn−O系の結晶(InSnZn)を得ることができる。なお、得られるIn−Sn−Zn−O系の層構造は、InSnZn(ZnO)(mは0又は自然数。)とする組成式で表すことができる。
また、このほかにも、四元系金属の酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn系酸化物や、三元系金属の酸化物であるIn−Ga−Zn系酸化物、In−Al−Zn系酸化物、Sn−Ga−Zn系酸化物、Al−Ga−Zn系酸化物、Sn−Al−Zn系酸化物や、In−Hf−Zn系酸化物、In−La−Zn系酸化物、In−Ce−Zn系酸化物、In−Pr−Zn系酸化物、In−Nd−Zn系酸化物、In−Sm−Zn系酸化物、In−Eu−Zn系酸化物、In−Gd−Zn系酸化物、In−Tb−Zn系酸化物、In−Dy−Zn系酸化物、In−Ho−Zn系酸化物、In−Er−Zn系酸化物、In−Tm−Zn系酸化物、In−Yb−Zn系酸化物、In−Lu−Zn系酸化物や、二元系金属の酸化物であるIn−Zn系酸化物、Sn−Zn系酸化物、Al−Zn系酸化物、Zn−Mg系酸化物、Sn−Mg系酸化物、In−Mg系酸化物や、In−Ga系酸化物、一元系金属の酸化物であるIn系酸化物、Sn系酸化物、Zn系酸化物などを用いた場合も同様である。
例えば、図14(A)に、In−Ga−Zn−O系の層構造を構成する中グループのモデル図を示す。
図14(A)において、In−Ga−Zn−O系の層構造を構成する中グループは、上から順に4配位のOが3個ずつ上半分および下半分にあるInが、4配位のOが1個上半分にあるZnと結合し、そのZnの下半分の3個の4配位のOを介して、4配位のOが1個ずつ上半分および下半分にあるGaと結合し、そのGaの下半分の1個の4配位のOを介して、4配位のOが3個ずつ上半分および下半分にあるInと結合している構成である。この中グループが複数結合して大グループを構成する。
図14(B)に3つの中グループで構成される大グループを示す。なお、図14(C)は、図14(B)の層構造をc軸方向から観察した場合の原子配列を示している。
ここで、In(6配位又は5配位)、Zn(4配位)、Ga(5配位)の電荷は、それぞれ+3、+2、+3であるため、In、ZnおよびGaのいずれかを含む小グループは、電荷が0となる。そのため、これらの小グループの組み合わせであれば中グループの合計の電荷は常に0となる。
また、In−Ga−Zn−O系の層構造を構成する中グループは、図14(A)に示した中グループに限定されず、In、Ga、Znの配列が異なる中グループを組み合わせた大グループも取りうる。
具体的には、図14(B)に示した大グループが繰り返されることで、In−Ga−Zn−O系の結晶を得ることができる。なお、得られるIn−Ga−Zn−O系の層構造は、InGaO(ZnO)(nは自然数。)とする組成式で表すことができる。
n=1(InGaZnO)の場合は、例えば、図15(A)に示す結晶構造を取りうる。なお、図15(A)に示す結晶構造において、図12(B)で説明したように、Ga及びInは5配位をとるため、GaがInに置き換わった構造も取りうる。
また、n=2(InGaZn)の場合は、例えば、図15(B)に示す結晶構造を取りうる。なお、図15(B)に示す結晶構造において、図12(B)で説明したように、Ga及びInは5配位をとるため、GaがInに置き換わった構造も取りうる。
酸化物半導体膜227をCAAC−OS膜とする場合は、酸化物半導体膜227を成膜する際に、基板温度が200℃を超えて700℃以下、好ましくは300℃を超えて500℃以下、より好ましくは400℃以上450℃以下となるように、基板を加熱する。このように、基板を加熱しながら酸化物半導体膜227を成膜することにより、酸化物半導体膜227をCAAC−OS膜とすることができる。
また、上記の温度範囲で加熱しながら、一原子層以上10nm以下、好ましくは2nm以上5nm以下の薄い膜厚の第1の酸化物半導体膜を成膜したのち、同様の方法で加熱しながらさらに厚い膜厚の第2の酸化物半導体膜を成膜し、第1の酸化物半導体膜と第2の酸化物半導体膜を積層して、CAAC−OS膜の酸化物半導体膜227を形成しても良い。
また、酸化物半導体膜227を非晶質構造とする場合は、酸化物半導体膜227を成膜する際に、基板の加熱を行わない、又は基板温度を200℃未満、より好ましくは180℃未満として基板を加熱する。このように、酸化物半導体膜227を成膜することにより、酸化物半導体膜227を非晶質構造とすることができる。
また、上記の方法で酸化物半導体膜を非晶質構造として成膜した後、250℃以上700℃以下、好ましくは400℃以上、より好ましくは500℃、さらに好ましくは550℃以上の温度で熱処理を行って、当該非晶質構造の酸化物半導体膜の少なくとも一部を結晶化し、CAAC−OS膜の酸化物半導体膜227を形成しても良い。なお、当該熱処理は不活性ガス雰囲気下で行うことができる。不活性ガス雰囲気としては、窒素、又は希ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン等)を主成分とする雰囲気であって、水、水素などが含まれない雰囲気を適用するのが望ましい。例えば、熱処理装置に導入する窒素や、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上、好ましくは7N(99.99999%)以上(すなわち、不純物濃度が1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とする。また、当該熱処理は、後述する脱水化又は脱水素化の熱処理などで兼ねることも可能である。
以上の方法において、成膜時の基板加熱温度が高いほど、得られる酸化物半導体膜227の不純物濃度は低くなる。また、酸化物半導体膜227中の原子配列が整い、高密度化され、多結晶膜又はCAAC−OS膜が形成されやすくなる。さらに、酸素ガス雰囲気で成膜することでも、希ガスなどの余分な原子が含まれないため、多結晶膜又はCAAC−OS膜が形成されやすくなる。ただし、酸素ガスと希ガスの混合雰囲気としてもよく、その場合は酸素ガスの割合は30体積%以上、好ましくは50体積%以上、さらに好ましくは80体積%以上とする。
酸化物半導体膜227形成後、酸化物半導体膜227に対して、熱処理を行ってもよい。熱処理を行うことによって、酸化物半導体膜227中に含まれる水素原子を含む物質をさらに除去することができる。当該熱処理は不活性ガス雰囲気下で行い、熱処理の温度は、300℃以上700℃以下、好ましくは450℃以上600℃以下、また、基板が歪み点を有する場合は基板の歪み点未満とする。不活性ガス雰囲気としては、窒素、又は希ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン等)を主成分とする雰囲気であって、水、水素などが含まれない雰囲気を適用するのが望ましい。例えば、熱処理装置に導入する窒素や、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上、好ましくは7N(99.99999%)以上(すなわち、不純物濃度が1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とする。
当該熱処理は、例えば、抵抗発熱体などを用いた電気炉に半導体基板201を導入し、窒素雰囲気下、450℃、1時間の条件で行うことができる。
また、熱処理装置は電気炉に限られず、加熱されたガスなどの媒体からの熱伝導、又は熱輻射によって、被処理物を加熱する装置を用いても良い。例えば、LRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)装置、GRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)装置等のRTA(Rapid Thermal Anneal)装置を用いることができる。LRTA装置は、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧水銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する装置である。GRTA装置は、高温のガスを用いて熱処理を行う装置である。ガスとしては、アルゴンなどの希ガス、又は窒素のような、熱処理によって被処理物と反応しない不活性気体が用いられる。なお、加熱処理装置としてGRTA装置を用いる場合には、その熱処理時間が短いため、650℃〜700℃の高温に加熱した不活性ガス中で基板を加熱してもよい。
また、上記熱処理で酸化物半導体膜227を加熱した後、同じ炉に高純度の酸素ガス、高純度のNOガス、又は超乾燥エア(CRDS(キャビティリングダウンレーザー分光法)方式の露点計を用いて測定した場合の水分量が20ppm(露点換算で−55℃)以下、好ましくは1ppm以下、好ましくは10ppb以下の空気)とすることが好ましい。特にこれらのガスには、水、水素などが含まれないことが好ましい。また、同じ炉に導入する酸素ガス又はNOガスの純度を、6N以上好ましくは7N以上(即ち不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。酸素ガス又はNOガスの作用によって、脱水化又は脱水素化処理による不純物の排除工程で低減してしまった酸化物半導体を構成する主成分材料の一つである酸素を供給することができる。
なお、上述の熱処理には水素や水などを除去する効果があるため、当該熱処理を、脱水化又は脱水素化などと呼ぶこともできる。当該熱処理は、例えば、酸化物半導体膜を島状に加工する前、ゲート絶縁膜の形成後などのタイミングにおいて行うことも可能である。また、このような脱水化又は脱水素化の熱処理は、一回に限らず複数回行っても良い。
次に、酸化物半導体膜227の一部を選択的にエッチングして、島状の酸化物半導体膜229を形成する。その後、酸化物半導体膜229上に、スパッタリング法、CVD法等により絶縁膜231を形成する。そして、絶縁膜231上にゲート電極233を形成する(図8(A)参照)。
絶縁膜231は、例えば酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウム又はGa−Zn系金属酸化物などを用いればよく、積層又は単層で設ける。また、絶縁膜231は、絶縁膜225に示すような、加熱により酸素が脱離する酸化絶縁膜を用いてもよい。絶縁膜231に加熱により酸素が脱離する膜を用いることで、後の加熱処理により酸化物半導体膜229に生じる酸素欠損を修復することができ、トランジスタの電気特性の劣化を抑制できる。
また、絶縁膜231として、ハフニウムシリケート(HfSiO)、窒素が添加されたハフニウムシリケート、窒素が添加されたハフニウムアルミネート、酸化ハフニウム、酸化イットリウムなどのhigh−k材料を用いることでゲート絶縁膜の厚さを薄くしてもゲートリークを低減できる。
絶縁膜231の厚さは、10nm以上300nm以下、より好ましくは5nm以上50nm以下、より好ましくは10nm以上30nm以下とするとよい。
ゲート電極233は、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステンから選ばれた金属元素、又は上述した金属元素を成分とする合金か、上述した金属元素を組み合わせた合金などを用いて形成することができる。また、マンガン、ジルコニウムのいずれか一又は複数から選択された金属元素を用いてもよい。また、ゲート電極233は、単層構造でも、二層以上の積層構造としてもよい。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にチタン膜を積層する二層構造、窒化チタン膜上にタングステン膜を積層する二層構造、窒化タンタル膜上にタングステン膜を積層する二層構造、チタン膜と、そのチタン膜上にアルミニウム膜を積層し、さらにその上にチタン膜を形成する三層構造などがある。また、アルミニウムに、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた元素の膜、又は複数組み合わせた合金膜、もしくは窒化膜を用いてもよい。
また、ゲート電極233は、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電性材料を適用することもできる。また、上記透光性を有する導電性材料と、上記金属元素の積層構造とすることもできる。
ゲート電極233は、印刷法又はインクジェット法により形成される。若しくは、スパッタリング法、CVD法、蒸着法等で導電膜を形成した後、該導電膜の一部を選択的にエッチングして形成される。
なお、ゲート電極233と絶縁膜231との間に、絶縁膜231に接する材料層として、窒素を含むIn−Ga−Zn−O膜や、窒素を含むIn−Sn−O膜や、窒素を含むIn−Ga−O膜や、窒素を含むIn−Zn−O膜や、窒素を含むSn−O膜や、窒素を含むIn−O膜や、金属窒化膜(InN、ZnNなど)を設けることが好ましい。これらの膜は5eV、好ましくは5.5eV以上の仕事関数を有し、トランジスタの電気特性のしきい値電圧をプラスにすることができ、所謂ノーマリーオフのスイッチング素子を実現できる。例えば、窒素を含むIn−Ga−Zn−O膜を用いる場合、少なくとも酸化物半導体膜229より高い窒素濃度、具体的には7原子%以上の窒素を含むIn−Ga−Zn−O膜を用いる。
なお、絶縁膜231の成膜後に、不活性ガス雰囲気下、又は酸素雰囲気下で熱処理を行ってもよい。熱処理の温度は、200℃以上450℃以下とするのが好ましく、250℃以上350℃以下とするのがより好ましい。このような熱処理を行うことによって、トランジスタの電気的特性のばらつきを軽減することができる。また、酸化物半導体膜229と接する絶縁膜225又は絶縁膜231が酸素を含む場合、酸化物半導体膜229に酸素を供給し、該酸化物半導体膜229の酸素欠損を補填することもできる。このように、上述の熱処理には酸素を供給する効果があるため、当該熱処理を、加酸化(加酸素化)などと呼ぶこともできる。
なお、本実施の形態では、絶縁膜231の形成後に加酸化の熱処理を行っているが、加酸化の熱処理のタイミングはこれに限定されるものではない。
上述のように、脱水化又は脱水素化の熱処理と加酸化の熱処理を適用し、酸化物半導体膜229中の不純物を低減し、酸素欠損を補填することで、酸化物半導体膜229をその主成分以外の不純物が極力含まれないように高純度化することができる。
次に、ゲート電極233をマスクとして、酸化物半導体膜229にドーパントを添加する処理を行ってもよい。この結果、図8(B)に示すように、ゲート電極233に覆われ、ドーパントが添加されない第1の領域235aと、ドーパントを含む一対の第2の領域235b、第2の領域235cを形成する。ゲート電極233をマスクにしてドーパントを添加するため、セルフアラインで、ドーパントが添加されない第1の領域235a、及びドーパントを含む一対の第2の領域235b、第2の領域235cを形成することができる。なお、ゲート電極233と重畳する第1の領域235aはチャネル領域として機能する。また、ドーパントを含む一対の第2の領域235b、第2の領域235cは、電界緩和領域として機能する。また、第1の領域235a、及びドーパントを含む一対の第2の領域235b、第2の領域235cを酸化物半導体膜235と示す。
酸化物半導体膜235の第1の領域235aは、水素濃度を5×1018atoms/cm未満、好ましくは1×1018atoms/cm以下、より好ましくは5×1017atoms/cm以下、さらに好ましくは1×1016atoms/cm以下とすることが好ましい。酸化物半導体及び水素の結合により、水素の一部がドナーとなり、キャリアである電子が生じてしまう。これらのため、酸化物半導体膜235の第1の領域235a中の水素濃度を低減することで、しきい値電圧のマイナスシフトを低減することができる。
ドーパントを含む一対の第2の領域235b、第2の領域235cに含まれるドーパントの濃度は、5×1018atoms/cm以上1×1022atoms/cm以下、好ましくは5×1018atoms/cm以上5×1019atoms/cm未満とする。
ドーパントを含む一対の第2の領域235b、第2の領域235cはドーパントを含むため、キャリア密度又は欠陥を増加させることができる。このため、ドーパントを含まない第1の領域235aと比較して導電性を高めることができる。なお、ドーパント濃度を増加させすぎると、ドーパントがキャリアの移動を阻害することになり、ドーパントを含む一対の第2の領域235b、第2の領域235cの導電性を低下させることになる。
ドーパントを含む一対の第2の領域235b、第2の領域235cは、導電率が0.1S/cm以上1000S/cm以下、好ましくは10S/cm以上1000S/cm以下とすることが好ましい。
酸化物半導体膜235において、ドーパントを含む一対の第2の領域235b、第2の領域235cを有することで、チャネル領域として機能する第1の領域235aの端部に加わる電界を緩和させることができる。このため、トランジスタの短チャネル効果を抑制することができる。
酸化物半導体膜229にドーパントを添加する方法として、イオンドーピング法又はイオンインプランテーション法を用いることができる。また、添加するドーパントとしては、ホウ素、窒素、リン、及びヒ素の少なくとも一以上がある。又は、ドーパントとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、及びキセノンの少なくとも一以上がある。又は、ドーパントとしては、水素がある。なお、ドーパントとして、ホウ素、窒素、リン、及びヒ素の一以上と、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、及びキセノンの一以上と、水素とを適宜組み合わしてもよい。
また、酸化物半導体膜229へのドーパントの添加は、酸化物半導体膜229を覆って、絶縁膜などが形成されている状態を示したが、酸化物半導体膜229が露出している状態でドーパントの添加を行ってもよい。
さらに、上記ドーパントの添加はイオンドーピング法又はイオンインプランテーション法などによる注入する以外の方法でも行うことができる。例えば、添加する元素を含むガス雰囲気にてプラズマを発生させて、被添加物に対してプラズマ処理を行うことによって、ドーパントを添加することができる。上記プラズマを発生させる装置としては、ドライエッチング装置やCVD装置、高密度CVD装置などを用いることができる。
この後、熱処理を行ってもよい。当該熱処理の温度は、代表的には、150℃以上450℃以下、好ましくは250℃以上325℃以下とする。又は、250℃から325℃まで徐々に温度上昇させながら加熱してもよい。
当該熱処理により、ドーパントを含む一対の第2の領域235b、第2の領域235cの抵抗を低減することができる。なお、当該熱処理において、ドーパントを含む一対の第2の領域235b、第2の領域235cは、結晶状態でも非晶質状態でもよい。
次に、図8(C)に示すように、ゲート電極233の側面にサイドウォール絶縁膜237、及びゲート絶縁膜239、並びに電極241a、電極241bを形成する。
サイドウォール絶縁膜237は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、窒化アルミニウムなどを用いればよく、積層又は単層で設ける。なお、サイドウォール絶縁膜237として、絶縁膜225と同様に、加熱により酸素の一部が脱離する酸化絶縁膜を用いて形成してもよい。
ここで、サイドウォール絶縁膜237の形成方法について説明する。
まず、絶縁膜231およびゲート電極233上に、後にサイドウォール絶縁膜237となる絶縁膜を形成する。絶縁膜は、スパッタリング法、CVD法等により形成する。また、当該絶縁膜の厚さは特に限定はないが、ゲート電極233の形状に応じる被覆性を考慮して、適宜選択すればよい。
次に、絶縁膜をエッチングすることによりサイドウォール絶縁膜237を形成する。該エッチングは、異方性の高いエッチングであり、サイドウォール絶縁膜237は、絶縁膜に異方性の高いエッチング工程を行うことでセルフアラインに形成することができる。
また、ドーパントを含む一対の第2の領域235b、第2の領域235cにおいて、電界緩和領域として機能する幅は、サイドウォール絶縁膜237の幅に対応し、またサイドウォール絶縁膜237の幅は、ゲート電極233の厚さにも対応することから、電界緩和領域の範囲が、所望の範囲となるように、ゲート電極233の厚さを決めればよい。
また、サイドウォール絶縁膜237の形成工程と共に、異方性の高いエッチングを用いて絶縁膜231をエッチングし、酸化物半導体膜235を露出させることで、ゲート絶縁膜239を形成することができる。
一対の電極241a、電極241bは配線223aおよび配線223bと同様の材料を適宜用いて形成することができる。なお、一対の電極241a、電極241bは配線としても機能させてもよい。
一対の電極241a、電極241bは、印刷法又はインクジェット法を用いて形成される。又は、スパッタリング法、CVD法、蒸着法等で導電膜を形成した後、該導電膜の一部を選択的にエッチングして、一対の電極241a、電極241bを形成する。
一対の電極241a、電極241bは、サイドウォール絶縁膜237及びゲート絶縁膜239の側面と接するように、形成されることが好ましい。即ち、トランジスタの一対の電極241a、電極241bの端部がサイドウォール絶縁膜237上に位置し、酸化物半導体膜235において、ドーパントを含む一対の第2の領域235b、第2の領域235cの露出部を全て覆っていることが好ましい。この結果、ドーパントが含まれる一対の第2の領域235b、第2の領域235cにおいて、一対の電極241a、電極241bと接する領域がソース領域及びドレイン領域として機能すると共に、サイドウォール絶縁膜237及びゲート絶縁膜239と重なる領域が電界緩和領域として機能する。また、サイドウォール絶縁膜237の長さにより電界緩和領域の幅が制御できるため、一対の電極241a、電極241bを形成するためのマスク合わせの精度を緩和することができる。よって、複数のトランジスタにおけるばらつきを低減することができる。
なお、本実施の形態では、ゲート電極233の側面に接してサイドウォール絶縁膜237を設けたが、本発明はこれに限られるものではなく、サイドウォール絶縁膜237を設けない構成とすることもできる。また、本実施の形態では、一対の第2の領域235b、第2の領域235cを形成した後でサイドウォール絶縁膜237を設けたが、本発明はこれに限られるものではなく、サイドウォール絶縁膜237を設けた後で一対の第2の領域235b、第2の領域235cを形成しても良い。このような構成とすることにより、第1の領域235aをサイドウォール絶縁膜237と重畳する領域まで広げることができる。
次に、図9(A)に示すように、スパッタリング法、CVD法、塗布法、印刷法等により、絶縁膜243及び絶縁膜245を形成する。
絶縁膜243、絶縁膜245は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、窒化アルミニウムなどを用いればよく、積層又は単層で設ける。なお、絶縁膜245として、外部への酸素の拡散を防ぐ絶縁膜を用いることで、絶縁膜243から脱離する酸素を酸化物半導体膜に供給することができる。外部への酸素の拡散を防ぐ絶縁膜の代表例としては、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム等がある。また、絶縁膜245として、外部からの水素の拡散を防ぐ絶縁膜を用いることで、外部から酸化物半導体膜への水素の拡散を低減することが可能であり、酸化物半導体膜の欠損を低減することができる。外部からの水素の拡散を防ぐ絶縁膜の代表例としては、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム等がある。また、絶縁膜243を、加熱により酸素の一部が脱離する酸化絶縁膜、外部への酸素の拡散を防ぐ絶縁膜と、酸化絶縁膜との3層構造とすることで、効率よく酸化物半導体膜へ酸素を拡散すると共に、外部への酸素の脱離を抑制することが可能であり、温度及び湿度の高い状態でも、トランジスタの特性の変動を低減することができる。
以上の工程により、図9(A)に示すように、酸化物半導体を含んで構成されるトランジスタ110を作製することができる。なお、上記トランジスタ110は、i型(真性半導体)又はi型に限りなく近い酸化物半導体膜235を有するため、極めて優れた特性を示す。
なお、本実施の形態でトランジスタ110をトップゲート構造としたが、本発明はこれに限られるものではなく、例えばボトムゲート構造としても良い。また、本実施の形態でトランジスタ110は、一対の電極241aおよび電極241bが、一対の第2の領域235bおよび第2の領域235cの上面の少なくとも一部と接する構成としているが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、一対の第2の領域235bおよび第2の領域235cが、一対の電極241aおよび電極241bの少なくとも一部と接する構成としても良い。また、酸化物半導体膜229に不純物領域を設けなくてもよい。
次に、絶縁膜215、絶縁膜217、絶縁膜221、絶縁膜225、絶縁膜243、絶縁膜245のそれぞれ一部を選択的にエッチングし、開口部を形成して、ゲート電極209、電極241aおよび電極241bのそれぞれ一部を露出する。次に、開口部に導電膜を成膜した後、該導電膜の一部を選択的にエッチングして、電極241bに接して配線249を、電極241aに接して配線250を形成する。配線249および配線250は、コンタクトプラグ219aおよびコンタクトプラグ219bに示す材料を適宜用いることができる。
ここで、配線249は、トランジスタ110のソース電極又はドレイン電極の一方とトランジスタ112のゲート電極209とを電気的に接続するノードとして機能する。また、配線250は、トランジスタ110のソース電極又はドレイン電極の他方として機能し、図1(A)に示すビット線Bと電気的に接続される。また、図9(B)では直接的に示していないが、トランジスタ110のゲート電極233も、図1(A)に示すワード線Wと電気的に接続されるものとする。
また、図9(B)においては、トランジスタ110のソース電極又はドレイン電極の一方(電極241b)と、トランジスタ112のゲート電極209と、が配線249を介して接続する構成としているが、本実施の形態はこれに限られるものではない。例えば、トランジスタ112上に設けられた絶縁膜の上面にトランジスタ112のゲート電極の上面が露出されるような構造とし、当該ゲート電極の上面に直接接するようにトランジスタ110のソース電極又はドレイン電極の一方を設ける構成としても良い。
以上の工程により、トランジスタ110およびトランジスタ112からなるユニットセルのスイッチを作製することができる。
以上に示すように、オフ電流を十分に小さくすることができる、酸化物半導体のようなワイドバンドギャップ半導体を含んで構成されるトランジスタを、プログラマブル回路に含まれるユニットセルのスイッチに用いることにより、電源電位の供給が遮断された場合でも、当該ユニットセルの導通又は非導通の切り替えデータを長期間にわたって保持することが可能となる。また、プログラマブル回路にアナログ素子を含むユニットセルを複数配置し、ユニットセル毎に導通または非導通を切り替えることで、プログラマブル回路全体におけるアナログ値を可変とすることができる。
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、先の実施の形態で示した酸化物半導体膜を有するトランジスタについて、電界効果移動度を理論的に導出し、当該電界効果移動度を用いてトランジスタ特性を導出する。
酸化物半導体に限らず、実際に測定される絶縁ゲート型トランジスタの電界効果移動度は、さまざまな理由によって本来の移動度よりも低くなる。移動度を低下させる要因としては半導体内部の欠陥や半導体と絶縁膜との界面の欠陥があるが、Levinsonモデルを用いると、半導体内部に欠陥がないと仮定した場合の電界効果移動度を理論的に導き出せる。
半導体本来の移動度をμ、測定される電界効果移動度をμとし、半導体中に何らかのポテンシャル障壁(粒界等)が存在すると仮定すると、次の式(1)で表現できる。
ここで、Eはポテンシャル障壁の高さであり、kがボルツマン定数、Tは絶対温度である。また、ポテンシャル障壁が欠陥に由来すると仮定すると、Levinsonモデルでは、次の式(2)で表現できる。
ここで、eは電気素量、Nはチャネル内の単位面積当たりの平均欠陥密度、εは半導体の誘電率、nは単位面積当たりのチャネルに含まれるキャリア数、Coxは単位面積当たりの容量、Vはゲート電圧、tはチャネルの厚さである。なお、厚さ30nm以下の半導体層であれば、チャネルの厚さは半導体層の厚さと同一として差し支えない。
線形領域におけるドレイン電流Iは、次の式(3)で表現できる。
ここで、Lはチャネル長、Wはチャネル幅であり、ここでは、L=W=10μmである。また、Vはドレイン電圧である。
式(3)の両辺をVgで割り、更に両辺の対数を取ると、次の式(4)となる。
式(4)の右辺はVの関数である。この式からわかるように、縦軸をln(Id/Vg)、横軸を1/Vgして実測値をプロットして得られるグラフの直線の傾きから欠陥密度Nが求められる。すなわち、トランジスタのI―V特性から、欠陥密度を評価できる。酸化物半導体としては、インジウム(In)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)の比率が、In:Sn:Zn=1:1:1のものでは欠陥密度Nは1×1012/cm程度である。
このようにして求めた欠陥密度等をもとに式(1)および式(2)よりμ=120cm/Vsが導出される。欠陥のあるIn−Sn−Zn酸化物で測定される移動度は40cm/Vs程度である。しかし、半導体内部および半導体と絶縁膜との界面の欠陥が無い酸化物半導体の移動度μは120cm/Vsとなると予想できる。
ただし、半導体内部に欠陥がなくても、チャネルとゲート絶縁物との界面での散乱によってトランジスタの輸送特性は影響を受ける。すなわち、ゲート絶縁物界面からxだけ離れた場所における移動度μは、次の式(5)で表現できる。
ここで、Dはゲート方向の電界、B、lは定数である。Bおよびlは、実際の測定結果より求めることができ、上記の測定結果からは、B=4.75×10cm/s、l=10nm(界面散乱が及ぶ深さ)である。Dが増加する(すなわち、ゲート電圧が高くなる)と式(5)の第2項が増加するため、移動度μは低下することがわかる。
半導体内部の欠陥が無い理想的な酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタの移動度μを計算した結果を図16に示す。なお、計算にはシノプシス社製デバイスシミュレーションソフト、Sentaurus Deviceを使用し、酸化物半導体のバンドギャップ、電子親和力、比誘電率、厚さをそれぞれ、2.8電子ボルト、4.7電子ボルト、15、15nmとした。これらの値は、スパッタリング法により形成された薄膜を測定して得られたものである。
さらに、ゲート、ソース、ドレインの仕事関数をそれぞれ、5.5電子ボルト、4.6電子ボルト、4.6電子ボルトとした。また、ゲート絶縁物の厚さは100nm、比誘電率は4.1とした。チャネル長およびチャネル幅はともに10μm、ドレイン電圧Vは0.1Vである。
図16で示されるように、ゲート電圧1V強で移動度100cm/Vs以上のピークをつけるが、ゲート電圧がさらに高くなると、界面散乱が大きくなり、移動度が低下する。なお、界面散乱を低減するためには、半導体層表面を原子レベルで平坦にすること(Atomic Layer Flatness)が望ましい。
このような移動度を有する酸化物半導体を用いて微細なトランジスタを作製した場合の特性を計算した結果を図17乃至図19に示す。なお、計算に用いたトランジスタの断面構造を図20に示す。図20に示すトランジスタは酸化物半導体層にnの導電型を呈する第2の領域1103bおよび第2の領域1103cを有する。第2の領域1103bおよび第2の領域1103cの抵抗率は2×10−3Ωcmとする。
図20(A)に示すトランジスタは、下地絶縁膜1101と、下地絶縁膜1101に埋め込まれるように形成された酸化アルミニウムよりなる埋め込み絶縁物1102の上に形成される。トランジスタは第2の領域1103b、第2の領域1103cと、それらに挟まれ、チャネル形成領域となる真性の第1の領域1103aと、ゲート電極1105を有する。ゲート電極1105の幅を33nmとする。
ゲート電極1105と第1の領域1103aの間には、ゲート絶縁膜1104を有し、また、ゲート電極1105の両側面にはサイドウォール絶縁膜1106aおよびサイドウォール絶縁膜1106b、ゲート電極1105の上部には、ゲート電極1105と他の配線との短絡を防止するための絶縁物1107を有する。サイドウォール絶縁膜の幅は5nmとする。また、第2の領域1103bおよび第2の領域1103cに接して、ソース電極1108aおよびドレイン電極1108bを有する。なお、このトランジスタにおけるチャネル幅を40nmとする。
図20(B)に示すトランジスタは、下地絶縁膜1101と、酸化アルミニウムよりなる埋め込み絶縁物1102の上に形成され、第2の領域1103b、第2の領域1103cと、それらに挟まれた真性の第1の領域1103aと、幅33nmのゲート電極1105とゲート絶縁膜1104とサイドウォール絶縁膜1106aおよびサイドウォール絶縁膜1106bと絶縁物1107とソース電極1108aおよびドレイン電極1108bを有する点で図20(A)に示すトランジスタと同じである。
図20(A)に示すトランジスタと図20(B)に示すトランジスタの相違点は、サイドウォール絶縁膜1106aおよびサイドウォール絶縁膜1106bの下の半導体領域の導電型である。図20(A)に示すトランジスタでは、サイドウォール絶縁膜1106aおよびサイドウォール絶縁膜1106bの下の半導体領域はnの導電型を呈する第2の領域1103bおよび第2の領域1103cであるが、図20(B)に示すトランジスタでは、真性の第1の領域1103aである。すなわち、第2の領域1103b(第2の領域1103c)とゲート電極1105がLoffだけ重ならない領域ができている。この領域をオフセット領域といい、その幅Loffをオフセット長という。図から明らかなように、オフセット長は、サイドウォール絶縁膜1106a(サイドウォール絶縁膜1106b)の幅と同じである。
その他の計算に使用するパラメータは上述の通りである。計算にはシノプシス社製デバイスシミュレーションソフト、Sentaurus Deviceを使用した。図17は、図20(A)に示される構造のトランジスタのドレイン電流(Id、実線)および移動度(μ、点線)のゲート電圧(Vg、ゲートとソースの電位差)依存性を示す。ドレイン電流Idは、ドレイン電圧(ドレインとソースの電位差)を+1Vとし、移動度μはドレイン電圧を+0.1Vとして計算したものである。
図17(A)はゲート絶縁膜の厚さを15nmとしたものであり、図17(B)は10nmとしたものであり、図17(C)は5nmとしたものである。ゲート絶縁膜が薄くなるほど、特にオフ状態でのドレイン電流Id(オフ電流)が顕著に低下する。一方、移動度μのピーク値やオン状態でのドレイン電流Id(オン電流)には目立った変化が無い。ゲート電圧1V前後で、ドレイン電流はメモリ素子等で必要とされる10μAを超えることが示された。
図18は、図20(B)に示される構造のトランジスタで、オフセット長Loffを5nmとしたもののドレイン電流Id(実線)および移動度μ(点線)のゲート電圧Vg依存性を示す。ドレイン電流Idは、ドレイン電圧を+1Vとし、移動度μはドレイン電圧を+0.1Vとして計算したものである。図18(A)はゲート絶縁膜の厚さを15nmとしたものであり、図18(B)は10nmとしたものであり、図18(C)は5nmとしたものである。
また、図19は、図20(B)に示される構造のトランジスタで、オフセット長Loffを15nmとしたもののドレイン電流Id(実線)および移動度μ(点線)のゲート電圧依存性を示す。ドレイン電流Idは、ドレイン電圧を+1Vとし、移動度μはドレイン電圧を+0.1Vとして計算したものである。図19(A)はゲート絶縁膜の厚さを15nmとしたものであり、図19(B)は10nmとしたものであり、図19(C)は5nmとしたものである。
いずれもゲート絶縁膜が薄くなるほど、オフ電流が顕著に低下する一方、移動度μのピーク値やオン電流には目立った変化が無い。
なお、移動度μのピークは、図17では80cm/Vs程度であるが、図18では60cm/Vs程度、図19では40cm/Vsと、オフセット長Loffが増加するほど低下する。また、オフ電流も同様な傾向がある。一方、オン電流にはオフセット長Loffの増加にともなって減少するが、オフ電流の低下に比べるとはるかに緩やかである。また、いずれもゲート電圧1V前後で、ドレイン電流はメモリ素子等で必要とされる10μAを超えることが示された。また、このように移動度の高いトランジスタを、先の実施の形態で示したプログラマブル回路に含まれるユニットセルのメモリ部に用いることにより、当該ユニットセルの切り替えデータの書き込みを高速で行うことができる。
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、先の実施の形態で示した酸化物半導体膜を有するトランジスタについて、特にIn、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体膜を有するトランジスタについて説明する。
In、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体をチャネル形成領域とするトランジスタは、該酸化物半導体を形成する際に基板を加熱して成膜すること、或いは酸化物半導体膜を形成した後に熱処理を行うことで良好な特性を得ることができる。なお、主成分とは組成比で5atomic%以上含まれる元素をいう。
In、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体膜の成膜後に基板を意図的に加熱することで、トランジスタの電界効果移動度を向上させることが可能となる。また、トランジスタのしきい値電圧をプラスシフトさせ、ノーマリーオフ化させることが可能となる。以下、In、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体膜を有するトランジスタを作製して各種測定を行った結果について説明する。
まず、本実施の形態で各種測定に用いたトランジスタの構造について図26を用いて説明する。図26(A)は、当該トランジスタの平面図であり、図26(B)は図26(A)の一点鎖線A−Bに対応する断面図である。
図26(B)に示すトランジスタは、基板600と、基板600上に設けられた下地絶縁膜602と、下地絶縁膜602上に設けられた酸化物半導体膜606と、酸化物半導体膜606と接する一対の電極614と、酸化物半導体膜606および一対の電極614上に設けられたゲート絶縁膜608と、ゲート絶縁膜608を介して酸化物半導体膜606と重畳して設けられたゲート電極610と、ゲート絶縁膜608およびゲート電極610を覆って設けられた層間絶縁膜616と、層間絶縁膜616に設けられた開口部を介して一対の電極614と接続する配線618と、層間絶縁膜616および配線618を覆って設けられた保護膜620と、を有する。ここで、一対の電極614は、当該トランジスタのソース電極およびドレイン電極として機能する。
基板600としてはガラス基板を、下地絶縁膜602としては酸化シリコン膜を、酸化物半導体膜606としてはIn−Sn−Zn−O膜を、一対の電極614としてはタングステン膜を、ゲート絶縁膜608としては酸化シリコン膜を、ゲート電極610としては窒化タンタル膜とタングステン膜との積層構造を、層間絶縁膜616としては酸化窒化シリコン膜とポリイミド膜との積層構造を、配線618としてはチタン膜、アルミニウム膜、チタン膜がこの順で形成された積層構造を、保護膜620としてはポリイミド膜を、それぞれ用いた。
なお、図26(A)に示す構造のトランジスタにおいて、ゲート電極610と一対の電極614との重畳する幅をLovと呼ぶ。同様に、酸化物半導体膜606に対する一対の電極614のはみ出しをdWと呼ぶ。
図21(A)〜図21(C)は、図26に示すトランジスタにおいて、チャネル長Lが3μm、チャネル幅Wが10μmである酸化物半導体膜と、厚さ100nmのゲート絶縁膜を用いたトランジスタの特性である。なお、Vは10Vとした。
図21(A)は基板を意図的に加熱せずにスパッタリング法でIn、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体膜を形成したときのトランジスタ特性である。このとき電界効果移動度は18.8cm/Vsecが得られている。一方、基板を意図的に加熱してIn、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体膜を形成すると電界効果移動度を向上させることが可能となる。図21(B)は基板を200℃に加熱してIn、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体膜を形成したときのトランジスタ特性を示すが、電界効果移動度は32.2cm/Vsecが得られている。
電界効果移動度は、In、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体膜を形成した後に熱処理をすることによって、さらに高めることができる。図21(C)は、In、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体膜を200℃でスパッタリング成膜した後、650℃で熱処理をしたときのトランジスタ特性を示す。このとき電界効果移動度は34.5cm/Vsecが得られている。
基板を意図的に加熱することでスパッタリング成膜中の水分が酸化物半導体膜中に取り込まれるのを低減する効果が期待できる。また、成膜後に熱処理をすることによっても、酸化物半導体膜から水素や水酸基若しくは水分を放出させ除去することができ、上記のように電界効果移動度を向上させることができる。このような電界効果移動度の向上は、脱水化・脱水素化による不純物の除去のみならず、高密度化により原子間距離が短くなるためとも推定される。また、酸化物半導体から不純物を除去して高純度化することで結晶化を図ることができる。このように高純度化された非単結晶酸化物半導体は、理想的には100cm/Vsecを超える電界効果移動度を実現することも可能になると推定される。
In、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体に酸素イオンを注入し、熱処理により該酸化物半導体に含まれる水素や水酸基若しくは水分を放出させ、その熱処理と同時に又はその後の熱処理により酸化物半導体を結晶化させても良い。このような結晶化若しくは再結晶化の処理により結晶性の良い非単結晶酸化物半導体を得ることができる。
基板を意図的に加熱して成膜すること及び/又は成膜後に熱処理することの効果は、電界効果移動度の向上のみならず、トランジスタのノーマリーオフ化を図ることにも寄与している。基板を意図的に加熱しないで形成されたIn、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体膜をチャネル形成領域としたトランジスタは、しきい値電圧がマイナスシフトしてしまう傾向がある。しかし、基板を意図的に加熱して形成された酸化物半導体膜を用いた場合、このしきい値電圧のマイナスシフト化は解消される。つまり、しきい値電圧はトランジスタがノーマリーオフとなる方向に動き、このような傾向は図21(A)と図21(B)の対比からも確認することができる。
なお、しきい値電圧はIn、Sn及びZnの比率を変えることによっても制御することが可能であり、組成比としてIn:Sn:Zn=2:1:3とすることでトランジスタのノーマリーオフ化を期待することができる。また、ターゲットの組成比をIn:Sn:Zn=2:1:3とすることで結晶性の高い酸化物半導体膜を得ることができる。
意図的な基板加熱温度若しくは熱処理温度は、150℃以上、好ましくは200℃以上、より好ましくは400℃以上であり、より高温で成膜し或いは熱処理することでトランジスタのノーマリーオフ化を図ることが可能となる。
熱処理は酸素雰囲気中で行うことができるが、まず窒素若しくは不活性ガス、又は減圧下で熱処理を行ってから酸素を含む雰囲気中で熱処理を行っても良い。最初に脱水化・脱水素化を行ってから酸素を酸化物半導体に加えることで、熱処理の効果をより高めることができる。また、後から酸素を加えるには、酸素イオンを電界で加速して酸化物半導体膜に注入する方法を適用しても良い。
酸化物半導体中及び積層される膜との界面には、酸素欠損による欠陥が生成されやすいが、かかる熱処理により酸化物半導体中に酸素を過剰に含ませることにより、定常的に生成される酸素欠損を過剰な酸素によって補償することが可能となる。過剰酸素は主に格子間に存在する酸素であり、その酸素濃度は1×1016/cm以上2×1020/cm以下とすれば、結晶に歪み等を与えることなく酸化物半導体中に含ませることができる。
また、熱処理によって酸化物半導体に結晶が少なくとも一部に含まれるようにすることで、より安定な酸化物半導体膜を得ることができる。例えば、組成比In:Sn:Zn=1:1:1のターゲットを用いて、基板を意図的に加熱せずにスパッタリング成膜した酸化物半導体膜は、X線回折(XRD:X−Ray Diffraction)でハローパタンが観測される。この成膜された酸化物半導体膜を熱処理することによって結晶化させることができる。熱処理温度は任意であるが、例えば650℃の熱処理を行うことで、X線回折により明確な回折ピークを観測することができる。
実際に、In−Sn−Zn−O膜のXRD分析を行った。XRD分析には、Bruker AXS社製X線回折装置D8 ADVANCEを用い、Out−of−Plane法で測定した。
XRD分析を行った試料として、試料Aおよび試料Bを用意した。以下に試料Aおよび試料Bの作製方法を説明する。
脱水素化処理済みの石英基板上にIn−Sn−Zn−O膜を100nmの厚さで成膜した。
In−Sn−Zn−O膜は、スパッタリング装置を用い、酸素雰囲気で電力を100W(DC)として成膜した。ターゲットは、In:Sn:Zn=1:1:1[原子数比]のIn−Sn−Zn−Oターゲットを用いた。なお、成膜時の基板加熱温度は200℃とした。このようにして作製した試料を試料Aとした。
次に、試料Aと同様の方法で作製した試料に対し熱処理を650℃の温度で行った。熱処理は、はじめに窒素雰囲気で1時間の熱処理を行い、温度を下げずに酸素雰囲気でさらに1時間の熱処理を行っている。このようにして作製した試料を試料Bとした。
図22に試料Aおよび試料BのXRDスペクトルを示す。試料Aでは、結晶由来のピークが観測されなかったが、試料Bでは、2θが35deg近傍および37deg〜38degに結晶由来のピークが観測された。
このように、In、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体は成膜時に意図的に加熱すること及び/又は成膜後に熱処理することによりトランジスタの特性を向上させることができる。
この基板加熱や熱処理は、酸化物半導体にとって悪性の不純物である水素や水酸基を膜中に含ませないようにすること、或いは膜中から除去する作用がある。すなわち、酸化物半導体中でドナー不純物となる水素を除去することで高純度化を図ることができ、それによってトランジスタのノーマリーオフ化を図ることができ、酸化物半導体が高純度化されることによりオフ電流を1aA/μm以下にすることができる。ここで、上記オフ電流値の単位は、チャネル幅1μmあたりの電流値を示す。
図23に、トランジスタのオフ電流と測定時の基板温度(絶対温度)の逆数との関係を示す。ここでは、簡単のため測定時の基板温度の逆数に1000を掛けた数値(1000/T)を横軸としている。
具体的には、図23に示すように、基板温度が125℃の場合には0.1aA/μm(1×10−19A/μm)以下、85℃の場合には10zA/μm(1×10−20A/μm)以下であった。電流値の対数が温度の逆数に比例することから、室温(27℃)の場合には0.1zA/μm(1×10−22A/μm)以下であると予想される。従って、オフ電流を125℃において1aA/μm(1×10−18A/μm)以下に、85℃において100zA/μm(1×10−19A/μm)以下に、室温において1zA/μm(1×10−21A/μm)以下にすることができる。
もっとも、酸化物半導体膜の成膜時に水素や水分が膜中に混入しないように、成膜室外部からのリークや成膜室内の内壁からの脱ガスを十分抑え、スパッタガスの高純度化を図ることが好ましい。例えば、スパッタガスは水分が膜中に含まれないように露点−70℃以下であるガスを用いることが好ましい。また、ターゲットそのものに水素や水分などの不純物が含まれていないように、高純度化されたターゲットを用いることが好ましい。In、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体は熱処理によって膜中の水分を除去することができるが、In、Ga、Znを主成分とする酸化物半導体と比べて水分の放出温度が高いため、好ましくは最初から水分の含まれない膜を形成しておくことが好ましい。
また、酸化物半導体膜成膜後に650℃の熱処理を行った試料のトランジスタにおいて、基板温度と電気的特性の関係について評価した。
測定に用いたトランジスタは、チャネル長Lが3μm、チャネル幅Wが10μm、Lovが片側3μm(合計6μm)、dWが0μmである。なお、Vは10Vとした。なお、基板温度は−40℃、−25℃、25℃、75℃、125℃および150℃で行った。ここで、トランジスタにおいて、ゲート電極と一対の電極との重畳する幅をLovと呼び、酸化物半導体膜に対する一対の電極のはみ出しをdWと呼ぶ。
図24に、I(実線)および電界効果移動度(点線)のV依存性を示す。また、図25(A)に基板温度としきい値電圧の関係を、図25(B)に基板温度と電界効果移動度の関係を示す。
図25(A)より、基板温度が高いほどしきい値電圧は低くなることがわかる。なお、その範囲は−40℃〜150℃で1.09V〜−0.23Vであった。
また、図25(B)より、基板温度が高いほど電界効果移動度が低くなることがわかる。なお、その範囲は−40℃〜150℃で36cm/Vs〜32cm/Vsであった。従って、上述の温度範囲において電気的特性の変動が小さいことがわかる。
上記のようなIn、Sn、Znを主成分とする酸化物半導体をチャネル形成領域とするトランジスタによれば、オフ電流を1aA/μm以下に保ちつつ、電界効果移動度を30cm/Vsec以上、好ましくは40cm/Vsec以上、より好ましくは60cm/Vsec以上とし、LSIで要求されるオン電流の値を満たすことができる。例えば、L/W=33nm/40nmのFETで、ゲート電圧2.7V、ドレイン電圧1.0Vのとき12μA以上のオン電流を流すことができる。
このようにオフ電流の低いトランジスタを、先の実施の形態で示したプログラマブルスイッチのメモリ部に用いることにより、電源電位の供給が遮断されたときでもコンフィギュレーションデータを保持することが可能となる。これにより、電源投入後のコンフィギュレーションデータの書き込みを省略することが可能となるので、論理ブロックの起動時間を短くすることができる。よって、ノーマリーオフの駆動方法を用いて、低消費電力化を図ることができるプログラマブルロジックデバイスを提供することができる。
また、このように移動度の高いトランジスタを、先の実施の形態で示したプログラマブルスイッチのメモリ部に用いることにより、コンフィギュレーションデータの書き込みを高速でおこなうことができるので、動的コンフィギュレーションを容易に行うことができるプログラマブルロジックデバイスを提供することができる。
また、このような特性であれば、Si半導体で作られる集積回路の中に酸化物半導体で形成されるトランジスタを混載しても、動作速度を犠牲にすることのないプログラマブルロジックデバイスを提供することができる。
(実施の形態6)
本発明の一態様に係るプログラマブル回路を用いることで、消費電力の低い電子機器を提供することが可能である。特に電力の供給を常時受けることが困難な携帯用の電子機器の場合、本発明の一態様に係る消費電力の低い半導体装置をその構成要素に追加することにより、連続使用時間が長くなるといったメリットが得られる。
本発明の一態様に係るプログラマブル回路を用いた半導体装置は、表示装置、パーソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digital Versatile Disc等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを有する装置)に用いることができる。その他に、本発明の一態様に係る半導体装置を用いることができる電子機器として、携帯電話、携帯型を含むゲーム機、携帯情報端末、電子書籍、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤー等)、複写機、ファクシミリ、プリンター、プリンター複合機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機などが挙げられる。
本発明の一態様に係るプログラマブル回路を用いた半導体装置を、携帯電話、スマートフォン、電子書籍などの携帯用の電子機器に応用した場合について説明する。
図10は、携帯用の電子機器のブロック図である。図10に示す携帯用の電子機器はRF回路421、アナログベースバンド回路422、デジタルベースバンド回路423、バッテリー424、電源回路425、アプリケーションプロセッサ426、フラッシュメモリ430、ディスプレイコントローラ431、メモリ回路432、ディスプレイ433、タッチセンサ439、音声回路437、キーボード438などより構成されている。ディスプレイ433は表示部434、ソースドライバ435、ゲートドライバ436によって構成されている。アプリケーションプロセッサ426はCPU427、DSP428、インターフェース429を有している。例えば、RF回路421、アナログベースバンド回路422、メモリ回路432、アプリケーションプロセッサ426、ディスプレイコントローラ431、音声回路437のいずれか又は全てに上記実施の形態で示したプログラマブル回路を採用することによって、消費電力を低減することができる。
図11は電子書籍のブロック図である。電子書籍はバッテリー451、電源回路452、マイクロプロセッサ453、フラッシュメモリ454、音声回路455、キーボード456、メモリ回路457、タッチパネル458、ディスプレイ459、ディスプレイコントローラ460によって構成される。マイクロプロセッサ453はCPU461、DSP462、インターフェース463を有している。例えば、音声回路455、メモリ回路457、マイクロプロセッサ453、ディスプレイコントローラ460のいずれか又は全てに上記実施の形態で示したプログラマブルロジックデバイスを採用することで、消費電力を低減することが可能になる。
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
110 トランジスタ
112 トランジスタ
201 半導体基板
203 素子分離領域
207 ゲート絶縁膜
209 ゲート電極
215 絶縁膜
217 絶縁膜
221 絶縁膜
225 絶縁膜
227 酸化物半導体膜
229 酸化物半導体膜
231 絶縁膜
233 ゲート電極
235 酸化物半導体膜
237 サイドウォール絶縁膜
239 ゲート絶縁膜
243 絶縁膜
245 絶縁膜
249 配線
250 配線
310 アナログ素子
312 容量素子
314 抵抗素子
316 光電変換素子
320 ユニットセル
321 ユニットセル
322 ユニットセル
324 ユニットセル
326 ユニットセル
330 プログラマブル回路
332 プログラマブル回路
333 プログラマブル回路
334 プログラマブル回路
336 プログラマブル回路
338 プログラマブル回路
340 トランジスタ
342 トランジスタ
350 トランジスタ
352 トランジスタ
360 トランジスタ
370 インバータ
400 アンテナ回路
402 抵抗分割回路
421 RF回路
422 アナログベースバンド回路
423 デジタルベースバンド回路
424 バッテリー
425 電源回路
426 アプリケーションプロセッサ
427 CPU
428 DSP
429 インターフェース
430 フラッシュメモリ
431 ディスプレイコントローラ
432 メモリ回路
433 ディスプレイ
434 表示部
435 ソースドライバ
436 ゲートドライバ
437 音声回路
438 キーボード
439 タッチセンサ
451 バッテリー
452 電源回路
453 マイクロプロセッサ
454 フラッシュメモリ
455 音声回路
456 キーボード
457 メモリ回路
458 タッチパネル
459 ディスプレイ
460 ディスプレイコントローラ
461 CPU
462 DSP
463 インターフェース
600 基板
602 下地絶縁膜
606 酸化物半導体膜
608 ゲート絶縁膜
610 ゲート電極
614 電極
616 層間絶縁膜
618 配線
620 保護膜
1101 下地絶縁膜
1102 絶縁物
1104 ゲート絶縁膜
1105 ゲート電極
1107 絶縁物
211a 不純物領域
211b 不純物領域
219a コンタクトプラグ
219b コンタクトプラグ
223a 配線
223b 配線
235a 領域
235b 領域
235c 領域
241a 電極
241b 電極
320a ユニットセル
320b ユニットセル
320c ユニットセル
320d ユニットセル
322a ユニットセル
322b ユニットセル
324a ユニットセル
324b ユニットセル
326a ユニットセル
326b ユニットセル
1103a 領域
1103b 領域
1103c 領域
1106a サイドウォール絶縁膜
1106b サイドウォール絶縁膜
1108a ソース電極
1108b ドレイン電極

Claims (5)

  1. プログラマブル回路を有し、
    前記プログラマブル回路は、第1乃至第8のトランジスタと、第1乃至第4のアナログ素子と、を有し、
    前記第1のトランジスタのゲートは、前記第2のトランジスタを介して第1のビット線と電気的に接続され、
    前記第1のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第1のアナログ素子を介して入力信号線と電気的に接続され、
    前記第3のトランジスタのゲートは、前記第4のトランジスタを介して前記第1のビット線と電気的に接続され、
    前記第3のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第2のアナログ素子を介して前記入力信号線と電気的に接続され、
    前記第5のトランジスタのゲートは、前記第6のトランジスタを介して第2のビット線と電気的に接続され、
    前記第5のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第3のアナログ素子を介して前記第1のトランジスタのソース又はドレインの他方と電気的に接続され、
    前記第5のトランジスタのソース又はドレインの他方は、出力信号線と電気的に接続され、
    前記第7のトランジスタのゲートは、前記第8のトランジスタを介して前記第2のビット線と電気的に接続され、
    前記第7のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第4のアナログ素子を介して前記第3のトランジスタのソース又はドレインの他方と電気的に接続され、
    前記第7のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記出力信号線と電気的に接続され、
    前記第1のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第4のトランジスタのソース又はドレインの他方と電気的に接続され、
    前記第2のトランジスタのゲートは、第1のワード線と電気的に接続され、
    前記第4のトランジスタのゲートは、第2のワード線と電気的に接続され、
    前記第6のトランジスタのゲートは、前記第1のワード線と電気的に接続され、
    前記第8のトランジスタのゲートは、前記第2のワード線と電気的に接続されることを特徴とする発明プログラマブルロジックデバイス。
  2. 請求項1において、
    前記第1、第3、第5及び第7のトランジスタは、チャネル形成領域に酸化物半導体を有することを特徴とするプログラマブルロジックデバイス。
  3. 請求項1において、
    前記第1、第3、第5及び第7のトランジスタは、チャネル形成領域に酸化物半導体を有し、
    前記第2、第4、第6及び第8のトランジスタは、チャネル形成領域にシリコンを有することを特徴とするプログラマブルロジックデバイス。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一において、
    前記第1のアナログ素子は、光電変換素子であるプログラマブルロジックデバイス。
  5. 請求項1乃至のいずれか一において、
    前記第1のアナログ素子は、酸化物半導体を含んで構成されるプログラマブルロジックデバイス。
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