まず図1を参照して、本発明の部品実装検査装置を含んだ部品実装システムについて説明する。この部品実装システムを形成する部品実装ライン1は、基板2上に設定された複数の部品実装位置としての電極3のそれぞれに、部品としての電子部品4を実装した部品実装済み基板(以下、「実装基板5」と称する)を製造・検査するための各装置を連結して成る。
図1に示すように、部品実装ライン1は上流側(図1において左側)から印刷装置M1、印刷状態検査装置M2、複数の部品実装装置M3〜M5、及び実装部品検査装置M6の各装置を、基板搬送方向であるX方向に連結して構成されている。印刷装置M1は、部品実装のための基板2上に設定された複数の電極3上に接合材料としてのクリーム半田Pt(図2参照)を印刷する機能を有する。印刷状態検査装置M2は、電極3上にクリーム半田Ptが印刷された基板2の印刷状態を検査する機能を有する。部品実装装置M3〜M5は、クリーム半田Ptが印刷された基板2上に電子部品4を実装する機能を有する。実装部品検査装置M6は、電子部品4が実装された実装基板5を対象として電子部品4の実装状態の検査を行う機能を有する。これらの各装置は通信ネットワーク6を介して管理コンピュータ7に接続され、管理コンピュータ7は部品実装ライン1の各装置による実装・検査作業を統括して制御する。
また図1に示すように、本実施の形態における印刷状態検査装置M2、部品実装装置M3〜M5、実装部品検査装置M6は、それぞれ後述する一対の搬送コンベアを各装置の前側、後側にそれぞれ備えており、各装置の前側(図1における下側)において一の搬送コンベアが連結して形成される第1搬送ラインL1、各装置の後側(図1における上側)において他の搬送コンベアが連結して形成される第2搬送ラインL2上で各装置における所定の作業が同時並行的に行うことができるようになっている。このような構成を採用することで、実装基板の生産性を向上させることができる。
次に、図1〜3を用いて印刷装置M1について説明する。基台10の上面にはそれぞれ個別に制御され独立して印刷動作が可能な第1の印刷機構11A、第2の印刷機構11Bが、基板2の搬送方向であるX方向と直交するY方向に並んで配置されている。図2において、印刷機構11A,11Bは主としてマスク枠12に展張されたマスクプレート13と、マスクプレート13の上方に配設されたスキージヘッド14から成っている(便宜上、図1においてはスキージヘッド14の図示を省略している)。マスクプレート13には、印刷対象となる基板2上の電極3の形状・位置に対応してパターン孔13aが形成されており、マスクプレート13の上面にはクリーム半田供給装置(不図示)によってクリーム半田Ptが供給される。
図2において、スキージヘッド14は、板状のスキージ部材15が装着されたスキージホルダ16を昇降させるスキージ昇降機構17を水平なフレーム18に配設した構成となっている。フレーム18の上面に配設されたスキージ昇降機構17は、下部から下方に延出する昇降軸17aを有しており、昇降軸17aの下端部にはスキージホルダ16が固着している。
図2において、基台10の上方であってマスクプレート13の下方には、基板2をX方向に搬送する一対の基板搬送コンベア19が設けられている。一対の基板搬送コンベア19は支持台20上にてY軸方向に対向して設けられた一対のコンベア支持部材21によって支持されており、各コンベア支持部材21の上端には基板2を両側から挟み込むクランプ部材22が設けられている。
一対の基板搬送コンベア19上に基板2が保持された状態において、当該基板2の下方には基板支持機構23が配設されている。基板支持機構23は、支持台20上に設けられた第1昇降駆動部24によって昇降する下受け基部25に複数の下受けピン26を立設させた構成となっている。
図3において、第1昇降駆動部24の昇降軸24aに結合された下受け基部25の上面には、所定の規則配列で複数のピン保持孔25aが形成されており、ピン保持孔25aに下受けピン26を挿入することにより下受けピン26は下受け基部25に垂直姿勢で保持される。この下受けピン26は下受け基部25に対して着脱自在となっている。印刷作業を開始するにあたっては、作業員が基板2上の電極3の配置に応じて複数のピン保持孔25aのうち任意のピン保持孔25aに選択的に下受けピン26を挿入する。
図2において、基台10上には支持台20をX、Y方向に移動させるXテーブル27X、Yテーブル27Yが段積み状態で設けられており、上段のXテーブル27X上には、支持台20を昇降させる第2昇降駆動部28が設けられている。
次に、印刷動作について説明する。印刷装置M1の上流側に設けられた一対の基板搬送コンベア29A(図1参照)によって搬入される基板2は基板搬送コンベア19に受け渡された後、所定の印刷位置まで搬送される。所定の印刷位置まで搬送された基板2は、第1昇降駆動部24によって下受け基部25が基板2の下方から上昇(図2の矢印a)することによって、当該下受け基部25に保持された下受けピン26によって下受けされる。即ち、下受けピン26は基板2を下面から支持するバックアップ支持部材となっている。
この後さらに基板2を所定の高さまで上昇させたならば、クランプ部材22によって基板2をその両側から挟み込む。基板2を挟み込んだ状態でさらに下受け基部25を上昇させることにより、基板2の上面とクランプ部材22の上面を同一の高さにする。この後、第2昇降駆動部28によって支持台20を基台10に対して上昇(図2の矢印b)させることによって基板2の上面をマスクプレート13の下面に接触させる。この状態でクリーム半田Ptが供給されたマスクプレート13上でスキージ移動手段(不図示)によって2つのスキージ部材15をY方向に摺動させることより、パターン孔13aを介して基板2の各電極3上にクリーム半田Ptが転写(印刷)される。
各電極3上にクリーム半田Ptが転写されたら、下受け基部25がマスクプレート13に対して下降することによって基板2がマスクプレート13から離版する。その後、各電極3上にクリーム半田Ptが転写された基板2は、印刷装置M1の下流側に設けられた一対の基板搬送コンベア29B(図1参照)に受け渡され、下流の印刷状態検査装置M2に搬送される。
次に、図1を用いて印刷状態検査装置M2について説明する。印刷状態検査装置M2は基台30上にY軸方向に延びたY軸移動テーブル31と、Y軸移動テーブル31に対してY方向に移動自在な2つのX軸移動テーブル32と、X軸移動テーブル32に対してX軸方向に移動自在な2つのプレート33から成るヘッド移動機構を有し、このヘッド移動機構の各プレート33には、撮像視野を下方に向けた検査カメラを備えた印刷状態検査ヘッド34がそれぞれ設けられている。また基台30の上面の中央には、第1搬送ラインL1、第2搬送ラインL2の一部を構成して印刷装置M1から受け渡された基板2を基板搬送方向(X方向)に搬送する一対の基板搬送コンベア35が、印刷状態検査装置M2の前後にそれぞれ設けられている。
印刷状態検査装置M2は、上流側の印刷装置M1から受け渡された基板2を基板搬送コンベア35によって搬送して位置決めし、ヘッド移動機構によって検査カメラを移動させて基板2上の各電極3を上方から撮像する。そして、撮像された各電極3の画像に基づいて画像認識を行い、各電極3にクリーム半田Ptが正常に印刷されているか否かの印刷状態検査を行う。
次に、図4〜図6を参照して部品実装装置M3〜M5の構成を説明する。なお、部品実装装置M3〜M5は同一構造であるので、代表して部品実装装置M3について説明する。図4、図5において、基台40の上面の中央には、第1搬送ラインL1、第2搬送ラインL2を構成してX方向に延びた一対の基板搬送コンベア41が部品実装装置M3の前側・後側にそれぞれ設けられている。一対の基板搬送コンベア41は、基台40上にてY軸方向に対向して設けられた一対のコンベア支持部材42によって支持されている。各コンベア支持部材42の上端には、基板搬送コンベア41の上方に張り出して位置する一対の基板端部押え部材42aが設けられている。
図5に示すように、一対の基板搬送コンベア41上に基板2が保持された状態において、当該基板2の下方には基板支持機構43が配設されている。基板支持機構43は前述した印刷装置M1の基板支持機構23と同様の構成となっており、昇降駆動部44によって昇降する下受け基部45に複数の下受けピン46を立設させた構成となっている。図3に示すように、昇降駆動部44の昇降軸44aに結合された下受け基部45の上面には、所定の規則配列で複数のピン保持孔45aが形成されており、ピン保持孔45aに下受けピン46を挿入することにより下受けピン46は下受け基部45に垂直姿勢で保持される。この下受けピン46は下受け基部45に対して着脱自在となっている。部品実装作業を開始するにあたっては、作業員が基板2の上面の電極3の配置に応じて複数のピン保持孔45aのうち任意のピン保持孔45aに選択的に下受けピン46を挿入する。基板2の下面に部品が実装されている場合は、この部品と干渉しないように下受けピン46を配置する。
図5に示すように、昇降駆動部44を駆動して下受け基部45を基板2に対して下方から上昇させると(矢印c)、複数の下受けピン46の上端部に基板2の下面2aが当接し、さらに下受け基部45を上昇させると、基板2はその上面が基板端部押え部材42aの下面に当接した位置で停止する。これにより、基板2は実装作業高さ位置に保持される。即ち、下受けピン46は上述した印刷装置M1における下受けピン26と同様に、基板2を下面から支持するバックアップ支持部材となっている。
図4において、部品実装装置M3の両側には、それぞれ部品供給部としての複数のテープフィーダ47が装着されている。テープフィーダ47は電子部品4を保持したキャリアテープ(不図示)をピッチ送りすることにより、電子部品4を部品取出位置47aに供給する機能を有する。
図4および図5において、基台40上にはY軸方向に延びたY軸移動テーブル48と、Y軸移動テーブル48に対してY方向に移動自在な2つのX軸移動テーブル49と、X軸移動テーブル49に対してX軸方向に移動自在な2つのプレート50から成るヘッド移動機構51が配設されており、2つのプレート50のそれぞれには実装ヘッド52が装着されている。実装ヘッド52は複数の保持ヘッドを備えた多連型ヘッドであり、それぞれの保持ヘッドの下端部には電子部品4を吸着して保持し個別に昇降可能な吸着ノズル52aが装着されている。また、実装ヘッド52にはX軸移動テーブル49の下面側に位置して一体的に移動する基板認識カメラ53が装着されている。さらに、テープフィーダ47と基板搬送コンベア41との間には、吸着ノズル52aに吸着保持された電子部品4を撮像する部品認識カメラ54が設けられている。
次に図6を参照して、制御系の構成を説明する。部品実装装置M3に備えられた制御部55は部品実装装置M3をそれぞれ構成する以下の各部を制御する。制御部55がヘッド移動機構51、実装ヘッド52、テープフィーダ47を制御することにより、基板搬送コンベア41により搬送される基板2に対して部品実装作業が実行される。また、制御部55が基板支持機構43を制御することにより、下受けピン46を上昇させて基板2を下面から下受け支持する基板支持作業が実行される。
制御部55には通信部56、入出力部としてのタッチパネル57及び記憶部58が接続されている。通信部56は図1に示す管理コンピュータ7を介して他装置との間で制御信号やデータの授受を行う。タッチパネル57は装置稼働のための操作入力や生産データ等の入力に用いられ、また制御部55からの出力情報を表示する。記憶部58は基板搬送動作や部品実装動作を実行するための必要な実装プログラムや生産情報を記憶する。
次に、部品実装装置M3における動作について説明する。部品実装装置M3の制御部55は上流側の装置から基板2が送られてきたことを検知すると、基板搬送コンベア41を動作させて基板2を受け取って搬送し、所定の部品実装位置に基板2を位置決めする。次いで、制御部55は昇降駆動部44を駆動して下受けピン46が装着された下受け基部45を基板2に対して下方から上昇(図5の矢印c)させることで、基板2の下面2aに下受けピン46の上端を当接させる。この状態でさらに下受け基部45が上昇すると、基板2は下受けピン46により下面2aを支持された状態のままその上面が基板端部押え部材42aの下面に当接した位置で停止する。基板2の上面が基板端部押え部材42aの下面に当接した位置で停止したならば、制御部55はヘッド移動機構51を駆動することにより基板認識カメラ53を基板2の上方に移動させて基板2を撮像し、基板2の位置ずれを検出する。
基板2の撮像後、制御部55は実装ヘッド52をテープフィーダ47の部品取出位置47a上に移動させ、部品取出位置47a上にて吸着ノズル52aを下降させることにより吸着ノズル52aに電子部品4を吸着保持させる。次いで制御部55は、電子部品4を保持した実装ヘッド52を部品認識カメラ54の上方に移動させ(図4参照)、部品認識カメラ54にて吸着ノズル52aに吸着保持された電子部品4を撮像して認識し、電子部品4の吸着ノズル52aに対する位置ずれを検出する。
位置ずれ検出後、制御部55は実装ヘッド52を基板2の上方に移動させて位置合わせし、吸着ノズル52aを基板2に対して下降させることにより電子部品4を基板2に実装する。このとき、制御部55は部品認識カメラ54による電子部品4の認識結果と、基板認識カメラ53による基板2の認識結果とを加味した実装位置補正を行って電子部品4を基板2の電極3上に実装する。部品実装装置M3〜M5のうち最下流に配設された部品実装装置M5にて実装作業を終えた実装基板5は、下流の実装部品検査装置M6に搬送される。
次に、実装部品検査装置M6について、図7〜図13を用いて説明する。図7および図8において、実装部品検査装置M6は、基台60と、基台60に設けられ電子部品4が実装された実装基板5の搬送及び実装基板5を検査位置に位置決めする一対の基板搬送コンベア61と、基台60に設けられたヘッド移動機構62と、ヘッド移動機構62によって移動される実装状態検査ヘッド63を備えて成る。また、基台60には入出力装置としてのタッチパネル64が備えられている。
一対の基板搬送コンベア61はX方向に延びた状態で実装部品検査装置M6の前側・後側にそれぞれ設けられており、各基板搬送コンベア61はそれぞれ第1搬送ラインL1、第2搬送ラインL2の一部を構成している。ヘッド移動機構62は基台60上にY軸方向に延びたY軸移動テーブル65と、Y軸移動テーブル65に対してY方向に移動自在な2つのX軸移動テーブル66と、X軸移動テーブル66に対してX軸方向に移動自在な2つのプレート67から成る。実装状態検査ヘッド63は各プレート67に取り付けられており、また撮像視野を下方に向けた検査カメラ63aを備えている。このため実装状態検査ヘッド63は、ヘッド移動機構62を構成するY軸移動テーブル65に対するX軸移動テーブル66のY方向への移動動作と、X軸移動テーブル66に対するプレート67のX方向への移動動作とを組み合わせることによって水平面内で移動させることができる。
基板搬送コンベア61による実装基板5の搬送動作は、実装部品検査装置M6が備える制御部68が有する機構制御部69が図示しないアクチュエータ等から成る基板搬送コンベア駆動部の作動制御を行うことによってなされ、また実装状態検査ヘッド63の移動動作は、同じく機構制御部69が前述のヘッド移動機構62の作動制御を行うことによってなされる。
次に図8を参照して、実装部品検査装置M6の制御系の構成について説明する。制御部68は機構制御部69、検査処理部70、記憶部71を有している。検査処理部70は画像処理部70a、良否検査部70b、カウント部70c、統計処理部70d、判断部70e、表示処理部70fから構成されている。また記憶部71はプログラム記憶部72、検査用データ記憶部73、検査済実装基板目標枚数記憶部74、実装不良累積データ記憶部75、実装不良判定割合しきい値記憶部76から構成されている。
制御部68には前述のタッチパネル64が接続されており、タッチパネル64からの入力信号が制御部68に入力され、タッチパネル64には制御部68からの出力情報が表示される。即ち、タッチパネル64の出力動作は制御部68によって制御される。
次に、記憶部71について説明する。プログラム記憶部72には、ヘッド移動機構62、実装状態検査ヘッド63による検査動作のための処理プログラムが記憶されている。検査用データ記憶部73には部品実装位置データ73a、実装部品データ73b、及び検査しきい値データ73cが記憶されている。部品実装位置データ73aは、基板2において電子部品4が実装される部品実装位置の基板2における座標位置を示すデータである。実装部品データ73bは、各部品実装位置に実装される電子部品4の種類を示すデータである。検査しきい値データ73cは、電子部品4の正規位置に対する許容位置ずれ量を定めたデータである。検査済実装基板目標枚数記憶部74は、後述する実装不良判定割合の算出に必要な検査済み実装基板5の目標となる枚数を記憶する。実装不良累積データ記憶部75は、統計処理部70dにて統計処理された各部品実装位置における実装不良累積データを記憶する。実装不良判定割合しきい値記憶部76は、後述する実装不良詳細画像83にて推定不良要因を表示するか否かのしきい値を記憶する。
次に、機構制御部69について説明する。機構制御部69は、基板搬送コンベア61、ヘッド移動機構62、検査カメラ63aを含む実装状態検査ヘッド63、及び実装状態検査ヘッド63の撮像制御を行うCCU(カメラコントロールユニット)77の検査処理実行に供する機構部78を制御する。
次に、検査処理部70について説明する。画像処理部70aはCCU77を介して実装状態検査ヘッド63によって撮像された実装基板5の画像データを受信し、所定の部品実装位置に対する電子部品4の位置ずれ検出等の所定の画像処理を行う。良否検査部70bは画像処理部70aによって処理された画像処理結果と、検査用データ記憶部73に記憶された各データとを比較することによって電極3に電子部品4が正常に実装されているか否かの部品実装状態の良否を判定し、判定結果を統計処理部70dに出力する。具体的には、電子部品4の所定の部品実装位置に対するずれ量が検査しきい値データ73cに記憶されているしきい値を超えている場合には実装不良と判定する。即ち、画像処理部70a及び良否検査部70bは撮像手段による撮像結果に基づいて実装状態の良否を判定して判定結果を出力する判定手段となっている。
この判定手段による判定結果の出力に際しては実装不良の判定のみならず、実装不良の種類も併せて出力する。具体的には、判定手段は電子部品4の実装位置が正規位置から外れた場合には「部品位置ずれNG」と判定し、部品実装位置に電子部品4が実装されていない場合には「部品無しNG」と判定し、電子部品4が表裏反転して実装された場合には「反転NG」と判定し、電子部品4の実装方向が誤った状態で実装された場合には「極性NG」と判定し、部品実装位置に異物が混入している場合には「異物NG」と判定する。
カウント部70cは、判定手段によって実装の良否の判定を終えた検査済み実装基板5の枚数をカウントし、検査済み実装基板5の枚数が検査済実装基板目標枚数記憶部74に記憶された枚数に達したと判断した場合、統計処理部70dに対して後述する実装不良判定割合を算出するよう指令を出す。
統計処理部70dは判定手段による実装基板5毎の判定結果を累積集計し、所定の統計処理を行う。具体的には、部品実装位置毎に実装不良と判定された回数をカウントするとともに、実装基板5毎の各部品実装位置における実装不良の種類の割合を算出する。さらに統計処理部70dは、カウント部70cからの指令を受けて統計処理結果を実装不良累積データ記憶部75に出力するとともに、各部品実装位置において実装不良と判定された割合を算出し、算出結果を実装不良累積データ記憶部75に出力する。実装不良の判定割合は、各部品実装位置において実装不良と判定された回数から検査を終えた実装基板5の枚数を除算することによって算出される。即ち、統計処理部70dは判定手段において実装不良と判定された割合を部品実装位置毎に算出する実装不良判定割合算出手段となっている。
判断部70eは、統計処理部70dによって算出された各部品実装位置における実装不良の判定割合が、実装不良判定割合しきい値記憶部76に記憶されているしきい値を超えているか否かを判断する。そして、実装不良判定割合がしきい値を超えたと判断した場合、当該しきい値を超えたと判断された部品実装位置に対して後述する推定不良要因の表示処理を行うよう表示処理部70fに指令を出す。即ち、判断部70eは判定手段において実装不良と判定された割合が所定の条件を満たしたか否かを部品実装位置毎に判断する判断手段となっている。
表示処理部70fは、検査を受けた実装基板5の部品実装位置を示す画像をタッチパネル64に表示する。また、実装不良累積データ記憶部75に記憶された各部品実装位置における統計処理データを表示処理し、タッチパネル64に出力する。さらに、判断部70eによって実装不良判定割合が所定のしきい値を超えたと判断された部品実装位置に対して、後述する推定不良要因の表示処理を行う。
図9は、実装不良累積データ記憶部75に記憶されたデータを表示処理部70fによって表示処理してタッチパネル64に表示した画像を示している。タッチパネル64に表示される画像には基板2上にて実装不良と判定された箇所を部品実装位置毎に表示する部品実装位置マップ79が含まれている。
制御部68が行う部品実装位置マップ79における実装不良箇所の表示方法について詳しく説明する。タッチパネル64に表示された累積表示ボタン80を作業員が操作すると、表示処理部70fは部品実装位置マップ79に表示された実装基板の画像上において、実装不良が発生した部品実装位置に対して実装不良判定データを表示する。本実施の形態では実装不良判定データの表示方法として、部品実装位置マップ79にて実装不良と判定された部品実装位置にプロットマークPを用いて表示し、且つ実装不良の判定割合に応じてプロットマークPの色を異ならしめている。プロットマークPの色の割り当ては、タッチパネル64に表示されるカラー参照欄81によって確認することができる。これにより作業員は、部品実装位置マップ79上に表示されたプロットマークPの色をカラー参照欄81と対比することにより、実装不良の判定割合を視覚的に知ることができる。
なお、実装不良の判定割合に応じて割り当てられるプロットマークPの色、プロットマークPの色を割り当てる数値の範囲等は任意に設定可能である。そして制御部68は、作業員によってタッチパネル64に表示された累積リセットボタン82が操作された場合には、記憶した実装不良累積データをリセットし、その時点から判定結果の累積記憶を新たに開始する。
上記構成において、実装不良累積データ記憶部75は判定結果を複数の実装基板5について部品実装位置毎に累積記憶する記憶手段となっており、表示処理部70f及びタッチパネル64は、実装基板5における部品実装位置を部品実装位置マップ79として視覚的に画像表示する部品実装位置マップ表示手段となっている。また統計処理部70d及び表示処理部70fは、部品実装位置マップ79上において部品実装位置毎に累積記憶された判定結果を表示する判定結果累積表示手段を構成する。
部品実装位置マップ79上にて表示されるプロットマークPを作業員が選択すると、制御部68は当該プロットマークPにおける実装不良の詳細な情報を表示する実装不良詳細画像83をタッチパネル64に表示する。実装不良詳細画像83には、部品実装位置マップ79に表示された検査対象である実装基板5の品種を示す「基板No.」、多面取り基板の場合には当該部品実装位置が属するパターンを示す「パターンNo.」、選択した部品実装位置において実装された電子部品4の基板2における実装順序を示す「ブロックNo.」、選択した部品実装位置において電子部品4の実装作業を行った部品実装装置M3〜M5を示す「実装マシンNo.」、前記「実装マシンNo.」にて示された部品実装装置M3〜M5に備えられた複数の吸着ノズル52aのうち、選択した部品実装位置に実装された電子部品4の実装作業に用いられた吸着ノズル52aを示す「使用ノズルNo.」、選択した部品実装位置に実装された電子部品4を供給したテープフィーダ47を示す「供給フィーダNo.」、選択した部品実装位置における電子部品4の位置ずれや部品無し等、実装不良の具体的な内容を示す「不良内容」、及び「推定不良要因:下受けピンの配置不備」という文言が含まれる。
上述した実装不良詳細画像83のうち「不良内容」については、選択した部品実装位置における実装不良の内容は単位実装基板毎に異なる場合があるので、「部品位置ずれNG」、「部品無しNG」、「反転NG」、「極性NG」、「異物混入NG」の発生比率が円グラフとして表示される。これにより、各部品実装位置における実装不良の詳細を容易に把握することができる。また「推定不良要因:下受けピンの配置不備」の文言は、プロットマークPが表示された部品実装位置のうち、実装不良と判定された割合が、実装不良判定割合しきい値記憶部76に記憶されているしきい値を超えたと判断部70eが判断した部品実装位置に対して表示される。例えば、ある部品実装位置における実装不良の判定割合が41%を超えたと判断部70eが判断した場合、判断部70eはその判断結果を表示処理部70fに出力し、表示処理部70fが当該判断結果に基づきタッチパネル64に上記文言の表示処理を行う。なお、しきい値は作業員が任意に設定するようにしてもよい。
上述のように、基板2に電子部品4を実装して実装基板5を製造する電子部品実装においては、複数の部品実装位置にて実装NGが発生し得る。また、部品実装位置毎における実装NGの発生頻度や不具合の具体的な内容も様々である。このような実装NGの発生は実装基板5の品質に重大な影響を及ぼすので、実装NGの発生割合が高い部品実装位置が発生した場合、作業員は実装NGとなった原因をつきとめて迅速な対策をとる必要がある。ここで、制御部68によって実装不良詳細画像83に推定不具合要因が表示されるのは、実装不良と判定された原因の一つとして下受けピン46の配置状態が適切ではないことが考えられるものの、経験の浅い作業員はその原因を容易に理解することができず、具体的な対策を講じることができない傾向にあり、上記文言の表示に接した作業者は速やかに下受けピン46の配置不備を考慮した対策をとることができる。以下、この下受けピン46の配置不備によって発生し得る実装不良の内容とその対策方法について説明する。
図10(a)、(b)、(c)は、下受けピン46の配置不備によって実装NGが発生している状態の一例を示している。図10(a)にて図示する基板90は、複数の単位基板90aを単一基板に作り込んだ多面取り基板である。単位基板90aは分割スリット90bによって予め区分され、各単位基板90aは部分的に形成されたブリッジ部90cのみによって基板90の本体部と結合されている。
図10(b)に示すように、基板90において単位基板90aの下面以外の箇所に下受けピン46を配置すると、単位基板90aがその自重によって凹状に撓む場合がある。ここで、吸着ノズル52aの単位基板90aに対する下降距離(矢印d)は撓みのないフラットな状態の基板を前提として定められているので、単位基板90aが凹状に撓んだ状態のまま電子部品4の実装を行うと、吸着ノズル52aに吸着された電子部品4は単位基板90a上に形成された電極90dとの間で撓み量分の隙間を有した状態で吸着ノズル52aによる吸着が解除され、その結果、位置ずれを起こして実装される事態が発生し得る。
また図10(c)に示すように、単位基板90aが凹状に撓んでいない場合であっても、単位基板90aの下面が下受けピン46により支持されていない部品実装位置に電子部品4の実装を行うと、単位基板90aに対する電子部品4の下方への押圧力(矢印e)によって単位基板90aが凹状に撓み、この撓みに起因して電子部品4が位置ずれを起こして実装される事態が発生し得る。
このように、下受けピン46の配置が適切でないにも拘らず電子部品4の実装作業が続けられると、当該部品実装位置にて連続して実装不良が発生し得る。なお、下受けピン46の配置不備に起因する実装不良は、上記した基板90のような多面取り基板を用いた場合に限定されるものでなく、例えば極めて薄い樹脂製の基板に対して電子部品を実装する場合にも上記と同様のケースが生じ得る。
制御部68によって実装不良詳細画像83上に「推定不具合要因:下受けピンの配置不備」との表示がなされたら、作業員は実装不良詳細画像83上の「実装マシンNo.」、「使用ノズルNo.」、「供給フィーダNo.」等に表示される内容に基づいて、配置不備の指摘を受けている下受けピン46が配置されている実装作業箇所を特定し、下受けピン46の実際の配置状況を確認する。下受けピン46の配置が適切でない場合には、作業員は下受けピン46の配置の変更を行い、必要に応じて図11に示すように下受けピン46Aを追加して挿入する。
上記構成において、タッチパネル64及びその制御を行う制御部68は、判定手段において実装不良と判定された割合が所定の条件を満たした部品実装位置について、当該部品実装位置周辺のバックアップ支持部材の配置状況を確認する旨の報知を行う報知手段となっている。
次に、実装部品検査の実行フローについて図12、図13を用いて説明する。まず、制御部68は実装不良の判定割合を算出するために必要となる所定枚数分の実装基板5の検査データを取得する(ST1)。この実装基板5の検査データ取得のための実行フローについて、図12を用いて説明する。
図13に示すように、まず、機構制御部69が基板搬送コンベア61を制御することによって実装基板5を実装部品検査装置M6内に搬入する(ST11)。次いで、機構制御部69はヘッド移動機構62を駆動して実装状態検査ヘッド63を実装基板5上に移動させ、検査カメラ63aによって検査対象となる1つあるいは検査カメラ63aの撮像範囲に含まれる複数の部品実装位置を撮像することで実装基板5の実装部品画像を取得する(ST12)。即ち、実装状態検査ヘッド63は部品実装後の基板2において部品実装位置を撮像する撮像手段となっている。この実装部品画像を画像処理部70aによって画像処理し、この処理結果に基づいて良否検査部70bによって部品実装位置における実装状態の良否検査を行う(ST13)。
そして、良否検査部70bによって部品実装位置の実装状態の良否を判定し(ST14)、実装不良と判定した場合、良否検査部70bは当該部品実装位置及び実装不良の内容を含めた実装基板5の検査データを統計処理部70dに出力する(ST15)。そして、制御部68は1枚の実装基板5における全ての部品実装位置についての良否検査が終了したか否かを判断し(ST16)、全ての部品実装位置についての良否検査が終了していなければ、(ST12)に戻って未だ良否検査を行っていない他の部品実装位置における実装部品画像を取得して同様の処理を実行する。そして、制御部68は全ての部品実装位置の検査についての良否検査が終了したと判断した場合、実装基板5を実装部品検査装置M6から搬出する(ST17)。搬出された実装基板5はカウント部70cによってカウントされ、検査済実装基板目標枚数記憶部74に記憶された所定枚数分の実装基板5についての検査データを統計処理部70dが取得したか否かが判断される(ST18)。所定枚数分に達していなければ(ST11)に戻って実装基板5の検査を続行する。このように実装基板5の検査処理を反復実行することで、統計処理部70dは所定枚数分の実装基板の検査データを取得する。
図12に示すように、カウント部70cは所定枚数分の実装基板5についての検査データを統計処理部70dが取得したと判断したならば、統計処理部70dに対して実装基板5の各部品実装位置における実装不良の判定割合を算出するよう指令を出す。この指令を受けて統計処理部70dは実装不良の判定割合を算出し(ST2)、算出した各部品実装位置における実装不良の判定割合、各部品実装位置の実装不良回数、各部品実装位置における実装不良の種類の割合を含め、統計処理した実装不良の累積データを実装不良累積データ記憶部75に出力し、実装不良累積データ記憶部75はこれを記憶する。そして、表示処理部70fは実装不良累積データ記憶部75に記憶されたデータに基づいて、部品実装位置を含めた実装基板5の画像を部品実装位置マップ79上に表示する。
そして作業員がタッチパネル64上に表示される累積表示ボタン80を操作すると、表示処理部70fは実装不良累積データ記憶部75に記憶されたデータを、プロットマークPを用いて部品実装位置マップ79上に表示処理する。そして作業員が部品実装位置マップ79上に表示されたプロットマークPを操作すると、上述した実装不良詳細画像83が表示処理部70fによってタッチパネル64上に表示処理される。
この表示処理部70fによる実装不良詳細画像83の表示処理に際しては、判断部70eによってプロットマークPが表示された部品実装位置における実装不良の判定割合が所定のしきい値を超えているか否かが部品実装位置毎に判断され(ST3)、判断部70eがしきい値を超えていると判断した場合、判断結果は表示処理部70fに出力される。そして、表示処理部70fはこの判断結果を受けて実装不良詳細画像83にて推定不良要因を表示する処理を行う(ST4)。
実装不良詳細画像83上で上記文言の報知がなされたら、作業員は下受けピン46の配置不備の指摘を受けている部品実装装置M3〜M5における下受けピン46の配置状況を確認する。そして、作業員は状況に応じて下受けピン46を新たに追加して設定する等の措置をとる。実装部品検査を終え、不良が検出されなかった実装基板5は、下流側に接続されたリフロー装置91(図1参照)に搬入され、ここで実装基板5を加熱することにより基板2と電子部品4は半田接合される。
なお、部品実装ライン1においては設備面積の都合等により印刷状態検査装置M2が配設されない場合もあり得る。かかる場合、印刷状態の検査が行われないまま部品実装装置M3〜M5にて部品実装作業が行われるため、発生した実装不良の要因が部品実装装置M3〜M5での下受けピン46の配置不備ではなく、印刷装置M1での下受けピン26の配置不備によって生じたクリーム半田Ptの印刷不良に起因する場合もあり得る。したがって、印刷状態検査装置M2を含まない部品実装ライン1で製造された実装基板5の検査において上記推定不良要因の表示がなされた場合、印刷装置M1における下受けピン26の配置状況も併せて確認し、その不備が確認されたならば下受けピン26を新たに配置する等の措置をとる。
上記構成において、印刷装置M1、部品実装装置M3〜M5は、バックアップ支持部材により下面2aが支持された基板2の当該基板2上に設定された複数の部品実装位置に対して部品実装のための作業を行う部品実装用装置となっている。そして実装部品検査装置M6は、部品実装用装置を含む部品実装システムにより実装された実装基板5を対象として実装状態の検査を行う。
そして、バックアップ支持部材により下面が支持された基板の当該基板上に設定された複数の部品実装位置に対して部品実装のための作業を行う部品実装用装置を含む部品実装システムにより実装作業が行われた部品実装済み基板を対象として実装状態の検査を行う実装部品検査方法においては、部品実装後の基板において部品実装位置を撮像する撮像工程と、撮像工程における撮像結果に基づいて実装状態の良否を判定して判定結果を出力する判定工程と、判定結果を複数の基板について部品実装位置毎に累積記憶する記憶工程と、基板における部品実装位置を部品実装位置マップとして視覚的に画像表示する部品実装位置マップ表示工程と、部品実装位置マップ上において部品実装位置毎に累積記憶された判定結果を表示する判定結果累積表示工程と、判定工程において実装不良と判定された割合が所定の条件を満たしたか否かを部品実装位置毎に判断する判断工程と、判断手段において実装不良と判定された割合が所定の条件を満たしたと判断された部品実装位置について、当該部品実装位置の近傍の計測点の設定状況を確認する旨の報知を行う報知工程を含む形態となっている。
これにより、部品実装分野での経験が浅い作業員でも実装不良の具体的な原因を容易且つ迅速に理解し、下受けピン26,46の配置不備が指摘された部品実装位置周辺に対して下受けピン26,46を新たに追加する等の措置を速やかにとることができる。その結果、実装不良基板の発生を抑制して実装基板の生産性を向上せさることができる。
そして実装不良の発生傾向を分析することにより,実装不良の発生要因を実証的データに基づいて推定して、下受けピン26,46をより適正に設定することが可能となる。すなわち実装部品検査において求められた検査結果情報を有効に活用し、部品実装状態検査の有用性を向上させることができる。
前述した本実施の形態では、実装不良詳細画像83における推定不良要因の表示は、プロットマークPが表示された部品実装位置において実装不良と判定された割合が所定の条件を満たした場合に行うようにしているが、実装不良と判定された回数が所定の条件を満たした場合に行うようにしてもよい。つまり、検査済み実装基板5の枚数が検査済実装基板目標枚数記憶部74に記憶された枚数に達したとカウント部70cが判断したならば、統計処理部70dによって統計処理された各部品実装位置における実装不良と判定された回数が所定のしきい値を超えているか否かを判断部70eが判断し、所定のしきい値を超えていると判断したならば、表示処理部70fは実装不良詳細画像83にて上記推定不良要因を表示する処理を行う。即ち、本発明における判定手段(判定工程)は、実装不良と判定された割合又は回数が所定の条件を満たしたか否かを部品実装位置毎に判断するよう構成され、また報知手段(報知工程)は、判断手段(判定工程)において実装不良と判定された割合又は回数が所定の条件を満たしたと判断された部品実装位置について、当該部品実装位置の近傍の計測点の設定状況を確認する旨の報知を行うよう構成される。