JP5877812B2 - SiC単結晶の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の第1の実施の形態によるSiC単結晶の製造方法は、溶液成長法による。本製造方法は、準備工程と、生成工程と、成長工程とを備える。準備工程では、製造装置を準備する。生成工程では、Si−C溶液を生成する。成長工程では、SiC種結晶をSi−C溶液に接触させ、SiC単結晶を成長させる。以下、各工程の詳細を説明する。
準備工程では、溶液成長法に用いられる製造装置を準備する。図1は、本発明の第1の実施形態によるSiC単結晶の製造方法に用いられる製造装置10の模式図である。なお、図1に示す製造装置10は、溶液成長法に用いられる製造装置の一例である。したがって、溶液成長法に用いられる製造装置は、図1に示す製造装置10に限定されない。
次に、Si−C溶液15を生成する。先ず、チャンバ12内に不活性ガスを充填する。そして、高周波コイル18により、坩堝14内のSi−C溶液15の原料を融点以上に加熱する。坩堝14が黒鉛からなる場合、坩堝14を加熱すると、坩堝14から炭素が融液に溶け込み、Si−C溶液15が生成される。坩堝14の炭素がSi−C溶液15に溶け込むと、Si−C溶液15内の炭素濃度は飽和濃度に近づく。
次に、駆動源30により、シードシャフト28を降下し、SiC種結晶32をSi−C溶液15に接触させる。SiC種結晶32をSi−C溶液15に接触させたら、高周波コイル18により、Si−C溶液15を結晶成長温度に保持する。さらに、Si−C溶液15におけるSiC種結晶32の近傍を過冷却して、SiCを過飽和状態にする。
続いて、本発明の第2の実施形態によるSiC単結晶の製造方法について、説明する。本製造方法は、第1の実施形態による製造方法と比べて、成長工程が異なる。
結晶成長時には、Si−C溶液15の液面が低下する。その理由は、SiC種結晶34の結晶成長面34上において、SiC単結晶の成長が進行するからである。その他の理由としては、例えば、Si−C溶液15が蒸発することや、坩堝14からSi−C溶液15中に炭素が溶け出すことで坩堝14の減肉が起こり、坩堝14の容積が増加すること等がある。そのため、Si−C溶液15の液面が低下する速度は、SiC単結晶の成長界面が結晶成長に伴って下方に移動する速度よりも大きくなることが多い。それ故、結晶成長時には、SiC単結晶の成長界面とSi−C溶液15の液面との間に形成されるメニスカスの高さが大きくなることが多い。
Si−C溶液の原料の組成は、原子比で、Si:Cr=0.6:0.4であった。Si−C溶液におけるSiC種結晶近傍の温度(結晶成長温度)は、1940℃であった。SiC種結晶近傍の温度勾配は、15℃/cmであった。SiC種結晶は、4H多形のSiC種結晶であった。SiC種結晶の結晶成長面は、(000−1)面であった。SiC種結晶をSi−C溶液に接触させた後、SiC種結晶を0.5mm引き上げて、SiC種結晶の結晶成長面とSi−C溶液の液面との間にメニスカスを形成した。つまり、結晶成長を開始するときのメニスカス高さは、0.5mmであった。結晶成長を開始してから5時間経過した後、シードシャフトの位置を変更せずに、高周波コイルを降下させた。高周波コイルの降下速度は、0.2mm/hrであった。高周波コイルの降下速度は、Si−C溶液の液面と高周波コイルの高さ中心との高さ方向における離隔距離の変動幅が0.2mmとなるように設定した。具体的には、同じ製造条件でサンプルSiC単結晶を製造したときのサンプルSi−C溶液の液面低下量に基づいて設定した。成長時間は、25時間であった。つまり、高周波コイルを降下させていた時間は20時間であった。
実施例2の製造条件は、実施例1の製造条件と比べて、高周波コイルを降下させなかった。その代りに、坩堝を上昇させた。坩堝の上昇速度は、0.2mm/hrであった。坩堝の上昇速度は、Si−C溶液の液面と高周波コイルの高さ中心との高さ方向における離隔距離の変動幅が0.0mmとなるように設定した。具体的には、同じ製造条件でサンプルSiC単結晶を製造したときのサンプルSi−C溶液の液面低下量に基づいて設定した。
実施例3の製造条件は、実施例1の製造条件と比べて、高周波コイルの降下速度が異なった。また、高周波コイルを降下に併せて、坩堝を上昇させた。高周波コイルの降下速度は、0.1mm/hrであった。坩堝の上昇速度は、0.1mm/hrであった。高周波コイルの降下速度及び坩堝の上昇速度は、Si−C溶液の液面と高周波コイルの高さ中心との高さ方向における離隔距離の変動幅が0.2mmとなるように設定した。具体的には、同じ製造条件でサンプルSiC単結晶を製造したときのサンプルSi−C溶液の液面低下量に基づいて設定した。
実施例4の製造条件は、実施例1の製造条件と比べて、シードシャフトを降下させた。シードシャフトの降下は、高周波コイルの降下に併せて行った。シードシャフトの降下速度は、0.025mm/hrであった。シードシャフトの降下速度は、メニスカス高さの変動幅が0.3mmとなるように設定した。具体的には、同じ製造条件でサンプルSiC単結晶を製造したときの、サンプルSiC単結晶の成長厚み、及び、サンプルSi−C溶液の液面低下量に基づいて設定した。
比較例の製造条件は、実施例1の製造条件と比べて、高周波コイルを降下させなかった。つまり、高周波コイル、坩堝及びシードシャフトは、何れも、同じ位置にあった。
SiC単結晶を切断し、良好に成長したSiC単結晶の成長厚みを測定した。具体的には、研磨した切断面を光学顕微鏡で観察し、SiC多結晶を除き、さらに、溶媒の取り込み(インクルージョン)のないことが確認されたSiC単結晶の成長厚みを測定した。多結晶及びインクルージョンの確認は、倍率100倍で行った。SiC単結晶の成長厚みに基づいて、SiC単結晶の質を評価した。その結果を、表1に示す。
Claims (6)
- 溶液成長法によりSiC単結晶を製造する製造方法であって、
Si−C溶液の原料が収容される坩堝と、前記坩堝の側壁の周囲に配置される高周波コイルとを含む製造装置を準備する準備工程と、
前記坩堝内の原料を前記高周波コイルで加熱して溶融し、前記Si−C溶液を生成する生成工程と、
前記Si−C溶液に前記SiC種結晶を接触させ、前記SiC種結晶上で前記SiC単結晶を成長させる成長工程とを備え、
前記成長工程は、
前記坩堝及び前記高周波コイルの少なくとも一方を他方に対して高さ方向に相対移動させ、前記Si−C溶液の液面と前記高周波コイルの高さ中心との高さ方向における離隔距離の変動幅を所定の範囲内に維持する維持工程を含む、SiC単結晶の製造方法。 - 請求項1に記載の製造方法であって、
前記成長工程は、
前記維持工程よりも前において、前記SiC単結晶の成長界面と前記Si−C溶液の液面との間にメニスカスを形成する工程をさらに含む、製造方法。 - 請求項2に記載の製造方法であって、
前記製造装置は、前記SiC単結晶が取り付けられるシードシャフトを含み、
前記成長工程は、前記シードシャフト及び前記坩堝の少なくとも一方を他方に対して高さ方向に相対移動させることにより、前記メニスカスの高さの変動幅を所定の範囲内に維持する工程をさらに含む、製造方法。 - 請求項1〜3の何れか1項に記載の製造方法であって、
前記維持工程では、前記成長工程における前記Si−C溶液の液面高さの変動量に基づいて、前記坩堝及び前記高周波コイルの少なくとも一方を他方に対して高さ方向に相対移動させる、製造方法。 - 請求項1〜3の何れか1項に記載の製造方法であって、
前記維持工程では、経過時間に応じた前記Si−C溶液の液面高さの変動量に基づいて、前記坩堝及び前記高周波コイルの少なくとも一方を他方に対して高さ方向に相対移動させる、製造方法。 - 請求項5に記載の製造方法であって、
前記成長工程において前記SiC単結晶を成長させるときと同じ成長条件でサンプルSiC単結晶を成長させる工程と、
前記サンプルSiCを成長させるときに用いられるサンプルSi−C溶液の液面高さの変動量に基づいて、前記経過時間に応じた前記Si−C溶液の液面高さの変動量を求める工程とをさらに備える、製造方法。
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