まず本実施の形態の情報処理装置の外観構成例および回路構成例を説明する。ただし以下に示す情報処理装置は一例であり、他の種類の電子機器、端末装置であってもよい。
図1(a)は、情報処理装置10の前面を示す。情報処理装置10は、横長の筐体により形成され、ユーザが把持する左右の領域は、円弧状の外郭を有している。情報処理装置10の前面には、矩形のタッチパネル50が設けられる。タッチパネル50は、表示装置20と、表示装置20の表面を覆う透明な前面タッチパッド21から構成される。表示装置20は有機EL(Electro-Liminescence)パネルであり、画像を表示する。なお表示装置20は液晶パネルなどの表示手段であってもよい。前面タッチパッド21は、同時にタッチされた複数ポイントの検出機能をもつマルチタッチパッドであって、タッチパネル50はマルチタッチスクリーンとして構成される。
タッチパネル50の右側には、菱形の頂点にそれぞれ位置する△ボタン22a、○ボタン22b、×ボタン22c、□ボタン22d(以下、総称する場合には「操作ボタン22」とよぶ)が設けられ、タッチパネル50の左側には、上キー23a、左キー23b、下キー23c、右キー23d(以下、総称する場合には「方向キー23」とよぶ)が設けられる。ユーザは方向キー23を操作して、上下左右および斜方の8方向を入力できる。
方向キー23の下側には左スティック24aが設けられ、また操作ボタン22の下側には右スティック24bが設けられる。ユーザは左スティック24aまたは右スティック24b(以下、総称する場合には「アナログスティック24」とよぶ)を傾動して、方向および傾動量を入力する。筐体の左右頂部には、Lボタン26a、Rボタン26bが設けられる。操作ボタン22、方向キー23、アナログスティック24、Lボタン26a、Rボタン26bは、ユーザが操作する操作手段を構成する。
操作ボタン22の近傍に、前面カメラ30が設けられる。左スティック24aの左側および右スティック24bの右側には、それぞれ音声を出力する左スピーカ25aおよび右スピーカ25b(以下、総称する場合には「スピーカ25」とよぶ)が設けられる。また左スティック24aの下側にHOMEボタン27が設けられ、右スティック24bの下側にSTARTボタン28およびSELECTボタン29が設けられる。
図1(b)は、情報処理装置10の背面を示す。情報処理装置10の背面には、背面カメラ31および背面タッチパッド32が設けられる。背面タッチパッド32は、前面タッチパッド21と同様に、マルチタッチパッドとして構成される。情報処理装置10は、前面および背面において、2つのカメラおよびタッチパッドを搭載している。
図2(a)は、情報処理装置10の上面を示す。既述したように、情報処理装置10の上面の左右端側に、Lボタン26a、Rボタン26bがそれぞれ設けられる。Lボタン26aの右側には電源ボタン33が設けられ、ユーザは、電源ボタン33を押下することで、電源をオンまたはオフする。なお情報処理装置10は、操作手段が操作されない時間(無操作時間)が所定時間続くと、サスペンド状態に遷移する電力制御機能を有している。情報処理装置10がサスペンド状態に入ると、ユーザは電源ボタン33を押下することで、情報処理装置10をサスペンド状態からアウェイク状態に復帰させることができる。
ゲームカードスロット34は、ゲームカードを差し込むための差込口であり、この図では、ゲームカードスロット34がスロットカバーにより覆われている状態が示される。なおゲームカードスロット34の近傍に、ゲームカードがアクセスされているときに点滅するLEDランプが設けられてもよい。アクセサリ端子35は、周辺機器(アクセサリ)を接続するための端子であり、この図ではアクセサリ端子35が端子カバーにより覆われている状態が示される。アクセサリ端子35とRボタン26bの間には、ボリュームを調整するための−ボタン36aと+ボタン36bが設けられている。
図2(b)は、情報処理装置10の下面を示す。メモリカードスロット37は、メモリカードを差し込むための差込口であり、この図では、メモリカードスロット37が、スロットカバーにより覆われている状態が示される。情報処理装置10の下面において、音声入出力端子38、マイク39およびマルチユース端子40が設けられる。マルチユース端子40はUSB(Universal Serial Bus)に対応し、USBケーブルを介して他の機器と接続できる。
図2(c)は、情報処理装置10の左側面を示す。情報処理装置10の左側面には、SIMカードの差込口であるSIMカードスロット41が設けられる。
図3は、情報処理装置10の回路構成を示す。各構成はバス92によって互いに接続されている。無線通信モジュール71はIEEE802.11b/g等の通信規格に準拠した無線LANモジュールによって構成され、無線アクセスポイントなどを介してインターネットなどの外部ネットワークに接続する。なお無線通信モジュール71は、ブルートゥース(登録商標)プロトコルの通信機能を有してもよい。携帯電話モジュール72は、ITU(International Telecommunication Union;国際電気通信連合)によって定められたIMT−2000(International Mobile Telecommunication 2000)規格に準拠した第3世代(3rd Generation)デジタル携帯電話方式に対応し、携帯電話網4に接続する。SIMカードスロット41には、携帯電話の電話番号を特定するための固有のID番号が記録されたSIMカード74が挿入される。SIMカード74がSIMカードスロット41に挿入されることで、携帯電話モジュール72は、携帯電話網4との間で通信可能となる。
CPU(Central Processing Unit)60は、メインメモリ64にロードされたプログラムなどを実行する。GPU(Graphics Processing Unit)62は、画像処理に必要な計算を実行する。メインメモリ64は、RAM(Random Access Memory)などにより構成され、CPU60が使用するプログラムやデータなどを記憶する。ストレージ66は、NAND型フラッシュメモリ(NAND-type flash memory)などにより構成され、内蔵型の補助記憶装置として利用される。
モーションセンサ67は、情報処理装置10の動きを検出し、地磁気センサ68は、3軸方向の地磁気を検出する。GPS制御部69は、GPS衛星からの信号を受信し、現在位置を算出する。前面カメラ30および背面カメラ31は、画像を撮像し、画像データを入力する。前面カメラ30および背面カメラ31は、CMOSイメージセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor Image Sensor)によって構成される。
表示装置20は、有機EL表示装置であり、陰極および陽極に電圧を印加することで発光する発光素子を有する。省電力モードでは、電極間に印加する電圧を通常よりも低くすることで、表示装置20を減光状態とすることができ、電力消費を抑えられる。なお表示装置20はバックライトを備えた液晶パネル表示装置であってもよい。省電力モードでは、バックライトの光量を下げることで、液晶パネル表示装置を減光状態として、電力消費を抑えることができる。
インタフェース90において、操作部70は、情報処理装置10における各種操作手段を含み、具体的には、操作ボタン22、方向キー23、アナログスティック24、Lボタン26a、Rボタン26b、HOMEボタン27、STARTボタン28、SELECTボタン29、電源ボタン33、−ボタン36a、+ボタン36bを含む。前面タッチパッド21および背面タッチパッド32は、マルチタッチパッドであり、前面タッチパッド21は、表示装置20の表面に重ね合わせて配置される。スピーカ25は、情報処理装置10の各機能により生成される音声を出力し、マイク39は、情報処理装置10の周辺の音声を入力する。音声入出力端子38は、外部のマイクからステレオ音声を入力し、外部のヘッドホンなどへステレオ音声を出力する。
ゲームカードスロット34には、ゲームファイルを記録したゲームカード76が差し込まれる。ゲームカード76は、データの書込可能な記録領域を有しており、ゲームカードスロット34に装着されると、メディアドライブにより、データの書込/読出が行われる。メモリカードスロット37には、メモリカード78が差し込まれる。メモリカード78は、メモリカードスロット37に装着されると、外付け型の補助記憶装置として利用される。マルチユース端子40は、USB端子として利用でき、USBケーブル80を接続されて、他のUSB機器とデータの送受信を行う。アクセサリ端子35には、周辺機器が接続される。
本実施の形態において情報処理装置10は、ゲームや通信機能のほか、電子書籍、ビデオ、音楽など各種コンテンツを楽しむための携帯端末として機能する。コンテンツの電子データは、ネットワークを介してコンテンツ提供サーバからダウンロードされストレージ66に格納される。あるいはメモリカードスロット37に差し込まれるメモリカード78に格納されている。
そしてユーザからの出力要求に従い読み出され、適宜復号処理などが施されることにより、表示装置20やスピーカ25から出力される。本実施の形態では主に、電子書籍の閲覧に際し、操作部70、前面タッチパッド21を用いて表示画面を操作する手法に着目する。電子書籍の選択画面や閲覧画面の表示処理のうち一般的な技術を適用できる処理や構成については適宜説明を省略する。
図4は、情報処理装置10の機能ブロックを示す。情報処理装置10は、ユーザによる操作入力に係る情報を受け付ける操作受付部102、操作に従いコンテンツのデータを取得するコンテンツ取得部104、コンテンツのデータを提供するサーバ等と通信を確立する通信部106、コンテンツのデータを格納するコンテンツデータ記憶部108、コンテンツの閲覧画面を制御する閲覧画面制御部110、表示装置20への画面データの出力を制御する画像出力制御部124、スピーカ25への音声データの出力を制御する音声出力制御部126を含む。
ここで示す各機能ブロックは、ハードウエアコンポーネントでいえば、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
操作受付部102は、ユーザが情報処理装置10に対し行った操作の内容を示す信号を、既述の操作部70、前面タッチパッド21等の操作手段から受信する。コンテンツ取得部104は、ユーザが行った操作内容が、新たなコンテンツの電子データの取得を要求するものであった場合、要求されるコンテンツや取得先のコンテンツ提供サーバ等の情報を操作受付部102から受け取る。そして通信部106を介して該当コンテンツの電子データを取得する。ここで行われる操作手法、通信の確立、データ伝送の処理手順は、一般的なコンテンツデータのダウンロードに際し行われるものと同様でよい。取得したコンテンツのデータは識別情報と対応づけてコンテンツデータ記憶部108に格納する。
閲覧画面制御部110は、コンテンツデータ記憶部108からユーザが選択したコンテンツ、ここでは電子書籍の閲覧画面を、操作受付部102が受け付けたユーザの操作内容に従い制御する。閲覧画面制御部110は、表示するページを決定するページ送り管理部112、表示するページを画像として生成するページ画像生成部114、生成された画像のデータを記憶するページ画像データ記憶部120、表示中のページにおける表示領域を決定する表示領域管理部116、表示領域の移動に係る規則を記憶する移動規則記憶部118、表示領域の画像を描画する画像描画部122を含む。
一般的に、情報処理装置がコンテンツ提供サーバ等から購入してダウンロードするコンテンツのデータは、デジタル著作権管理、いわゆるDRM(Ditital Rights Management)の技術によって閲覧制限が施されている。そのためページ画像生成部114は、コンテンツデータ記憶部108に格納された電子書籍のデータの暗号を所定の鍵によって解き、ページごとの画像データとして、ページ番号とともにページ画像データ記憶部120に格納する。ページ画像生成部114は、ユーザが閲覧対象の電子書籍を選択した時点で、基本的には初頭ページから画像データの生成を開始する。ページ画像データ記憶部120はメインメモリ64等で構成し、生成された画像データを順次格納していく。
ページ送り管理部112は、ユーザが操作部70等を介してページを先に進めたり前のページに戻したりするページ送り操作を行ったら、それに従い表示すべきページを決定する。例えばLボタン26aまたはRボタン26bによって対応する側のページをめくる態様とすると、ページ送り管理部112は、この操作に従いページめくり後に表示すべきページの番号を特定する。ただし操作手段はこれに限らず、前面タッチパッド21を介してGUI(Graphical User Interface)を操作するなどでもよい。
表示領域管理部116は、ユーザが操作部70や前面タッチパッド21等を介して表示中のページのうち表示すべき領域を移動させる操作を行ったら、それに従い、表示領域の位置およびサイズを決定する。ページ画像の座標系における表示領域の4隅の座標などでもよい。例えば左スティック24aを画面のスクロール、右スティック24bを画面の拡大/縮小に利用する態様とすると、表示領域管理部116は、それらの傾動量および傾動方向に基づき、表示領域の位置およびサイズの時間変化を順次算出する。あるいは前面タッチパッド21に触れた指をスライドさせる操作に応じて画面をスライド方向へスクロール表示させたり、2本の指の間隔を広げたり狭めたりする操作に応じて画面を拡大/縮小させてもよい。これらの操作に応じた処理は一般的な技術を適用できる。
表示領域管理部116は上記のような任意方向へのスクロール処理に加え、ページ内であらかじめ設定された複数の表示領域を順次表示していく態様も実現する。例えばページ全体を網羅するように複数の表示領域に分けておくとともに表示順を定めておき、ユーザが先送り操作を行う都度、当該表示順に従い表示領域を次へ進めるようにスクロールする。このような構成において表示順を閲覧方向と対応させれば、ユーザはページの一部を拡大した状態のまま読み進めていくことができる。以後、このようにあらかじめ定めた表示領域を「規定表示領域」と呼ぶ。
移動規則記憶部118は、規定表示領域の位置およびサイズに係る情報、および表示順に係る情報を格納する。書籍の内容などによって適切な表示領域や表示順が異なるため、電子書籍の付加データとして供給されたものを、コンテンツデータ記憶部108から移動規則記憶部118にロードするようにしてもよい。あるいは本のサイズやカテゴリなどに対応づけてそれらの情報を準備しておき、電子書籍のデータに含まれる書誌情報に応じて選択するようにしてもよい。
画像描画部122は、ページ送り管理部112からなされた、新たなページを表示する旨の要求に従い、ページ画像データ記憶部120から当該ページの画像データを読み出して表示画像を描画する。このとき画像描画部122は、ページをめくるアニメーションを挿入することでページの切り替わりを動画で表現する。この際、当該アニメーションと同期させてページをめくる効果音を出力するようにしてもよい。また画像描画部122は、表示領域管理部116からからなされた、表示領域を変化させる旨の要求に従い、当該表示領域の画像を順次描画する。描画した画像は画像出力制御部124に送出する。
画像出力制御部124は、画像描画部122が描画した表示画像を、表示装置20の出力形式に応じたタイミングで出力制御する。ページをめくる効果音を出力する場合は、画像描画部122が音声出力制御部126にその旨を要求することで、音声出力制御部126が所定の音声信号をスピーカ25に出力する。
上述のとおりページ画像生成部114は、表示対象となる電子書籍が選択された時点で、ページ画像のデータを生成し始める。しかし選択直後にユーザが早送りでページを先に進めた場合などにおいて、ページ画像データ記憶部120に格納済みのページより表示すべきページが先に進んでしまうことが考えられる。すると画像描画部122は、読み出すべき画像データをページ画像生成部114が生成するまで待つことになる。その結果、早送りの途中で急にページめくりが遅くなるなどし、ユーザに違和感を与える可能性がある。
そこで、このような場合でもページめくりの速度を変化させないような手法を導入する。具体的には、ページ画像データ記憶部120に画像データが格納されていない範囲までページ送りが及んだ際、ページ送り管理部112はそれを検知し、画像データを生成するページを所定間隔で間引くようにページ画像生成部114に指示する。このとき画像描画部122は、間引かれたページを表示すべきタイミングで、その前、あるいは後の、画像データが生成済みのページをダミーで表示するように表示画像を描画する。
結果として、ページをめくるアニメーションの前後で同じページが複数回表示される状態が生じるが、早送り操作中であればそのような状態は視認されにくい。これによりページめくりの速度を維持しながら、一時的に画像データを生成すべきフレームレートを下げることができる。フレームレートを下げることによって、表示できるページの到達点はページめくりの回数に対応させることができるため、ページをざっと見ながら閲覧したいページのあたりをつける、といった早送りの目的には支障がない。なおページ画像生成部114は、間引いたページについても処理時間に余裕が生じたタイミングで随時、その画像データを生成していくことで、後の表示に備えておく。
図5は本実施の形態において表示する電子書籍閲覧画面の例を示している。同図の例では書籍の見開きを1画面に表示しており、画面150aは1ページ目、2ページ目を同時に表示している。この状態でユーザがRボタン26bを押下するなどして右側のページ(2ページ目)をめくる操作を行うと、画像描画部122はその旨の情報をページ送り管理部112から取得する。そして画面150bのように、右側のページをめくっていく動画を挿入したうえ、画面150cのようにページめくり後の3ページ目、4ページ目を描画する。
Lボタン26aを押下した場合は、同様にして左側のページをめくるように表示する。Lボタン26aやRボタン26bが所定時間以上、押され続けたときは、ページの早送り操作として、画面150aから150cまでの変遷、すなわちページめくり表示を所定のレートで高速に行う。ただし操作手段をこれに限る主旨ではない。また押下継続時間によってページめくりの速度を多段階で変化させてもよい。上述のように、画像データが生成されていないページまで表示が進んだら、画面150bのようにページをめくっていく動画を挿入しつつ、めくる前後に表示されるページを変化させない状態を発生させる。
図6は早送り操作時の画面の変化例を示している。態様(a)は画像データの生成を間引かない場合、態様(b)は画像データの生成を1つおきに間引いた場合に、ページめくり前後に表示される画面の変遷を、時間経過に対応させて示している。各矩形は、時刻t1、t2、t3、t4、t5、・・・におけるページめくりの各周期で表示される見開きの画面を示しており、矩形内の左右の数字が書籍のページに対応する。
態様(a)では、ページめくりの周期である時間ステップごとに、1/2ページ、3/4ページ、5/6ページ、7/8ページ、9/10ページ、・・・と、全てのページが順次表示される。この状態は早送りでない場合と同様である。一方、態様(b)の場合は、3/4ページ、7/8ページ、・・・と、見開きページを含む1画像おきに画像データの生成を間引いている。そのため、本来3/4ページを表示すべき時刻t1からt2の間で、次の画像である5/6ページがダミーとして表示される。同様に、本来、7/8ページを表示すべき時刻t3からt4の間で、次の画像である9/10ページがダミーとして表示される。結果として、5/6ページ、9/10ページは、2つの時間ステップで連続して表示される。
このようにしても、例えば時刻t2からt3やt4からt5のように1つおきの時間ステップで、態様(a)と同じ画像を表示できるため、ページめくりのタイミングに表示画像が追いついているように見せることができる。なお図6では、画像データの生成を1つおきに間引く例を示したが、情報処理装置の処理能力や早送り操作時に求められるページめくりの速度などに従い間引く画像の割合を適宜調整する。例えば複数の画像を連続で間引いてもよい。また、ダミーとして表示する画像は、間引く画像の前のページの画像でもよいし、別途用意したダミー用のページ画像でもよい。連続で画像を間引く場合、当該画像を表示すべき期間にダミーとして表示する画像を途中で切り替えてもよい。
図7はページ送り管理部112と画像描画部122が行うページ送り表示の処理手順のうち、主に早送り操作時の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、ユーザが選択した電子書籍のうちあるページを表す閲覧画面が表示されている状態から開始する。まずページ送り管理部112は、ユーザによって早送り操作がなされたか否かを監視する(S10)。なされていないうちは、表示中のページやその前後のページなどをユーザの操作に応じて表示しながら監視を続ける(S10のN)。
早送り操作がなされ(S10のY)、それによって表示すべきページが、ページ画像データ記憶部120に格納済みのページの範囲内にあれば(S12のY)、画像描画部122は図7の態様(a)のように画像を順番に描画する。これによりページを省略せずに早送りする(S14)。一方、格納されていない範囲までページが進んだら(S12のN)、図7の態様(b)のように、画像データの生成を間引きながら表示を切り替えていく(S16)。早送り操作が停止するまで、S12の判定に従いS14あるいはS16の処理を継続する(S18のN)。
ユーザが早送り操作を停止したら(S18のY)、ページ送り管理部112は、その時点で本来表示すべきページと、表示中のページとが合致しているか否かを確認する(S20)。ここで本来表示すべきページとは、ページを省略せずに表示した場合に表示されているべきページである。図6の例では、時刻t3からt4の時間ステップにおいて、本来、7/8ページが表示されているところ、画像を間引いた場合は9/10ページが表示されている。
このようなタイミングで早送り操作が停止した場合、画像描画部122は、本来表示すべきページと表示中のページが合致していないとして、ページをめくる動画を1回挿入してから画面を停止させる(S20のN、S22)。S20において合致していればそのまま画面を停止させる(S20のY)。このようにすることで、ページを省略せずに表示したか否かに関わらず、画像描画部122が管理するページめくりの回数と実際の表示ページとの対応が同じになるため、その後の処理を統一でき管理が容易である。S22の処理に代わり、表示中のダミーのページ画像を本来表示すべきページの画像に書き換えても同様の効果が得られる。
図8は、規定表示領域への表示の移動処理を説明するための図である。同図右側に示すように、見開きページ152など表示すべきページの画像に対し、あらかじめ複数の規定表示領域154a、154b、154c、154d、154e、154fを設定しておく。そして上述のとおり所定の先送り操作に従い、定められた順序で当該規定表示領域を順次表示していく。例えば規定表示領域154aを表示中になされた先送り操作に応じて、規定表示領域154bまで画面をスクロールさせる。さらに先へ進める操作がなされたら規定表示領域154cまでスクロールする。
結果として、画面にはページの一部が拡大した画像が表示され、その表示位置がページ内で段階的に移動する。これにより、ページ全体を俯瞰せずとも拡大した状態のまま、読み進めるのに最適な方向へ自動でスクロールする態様を実現できる。同図の場合、見開きページ152内の矢印で示すように、規定表示領域154a、154b、154c、154d、154e、154fの順、すなわち左ページを上から下へ進めたあと、右ページを上から下へ進めるように表示を移動させる。このような表示順に係る規則を、各規定表示領域の情報とともに移動規則記憶部118に格納しておく。
表示順は基本的に、本が読み進められる方向とする。したがって本が左開きか右開きか、縦書きか横書きか、によってその規則も異なる。同様に1つの規定表示領域の大きさも書籍の種類などに応じて適宜決定してよい。また同図に示すように、好適には隣り合う規定表示領域同士に重複領域156a、156b、156c、156dを設ける。これにより表示を次に進めても、前に表示されていた領域の一部が残るため、文章などが途切れることなく移動前後の関係も理解しやすい。例えば漫画のコマや吹き出しのように領域単位で読み進めていく書籍の場合は特に、領域が不用意に分割されて読みづらくなる不具合の発生を抑えることができる。
図8の左側の図は、このような規定表示領域の先送り操作の様子を示している。ここで矩形で示した画面158には、例えば規定表示領域154bが表示されている。この状態で指7により前面タッチパッド21に対しタップ操作をした場合、次の規定表示領域154cへ表示を進める。詳細には、前面タッチパッド21における指7による接触が、接触開始時の接触点から所定範囲内に留まった状態で所定時間内に終了したら、操作受付部102はタップ操作がなされたと判定する。そして表示領域管理部116が次の規定表示領域154cへスクロールされるように画像描画部122に要求する。これにより、指7が前面タッチパッド21から離れた時点でスクロールが開始され、次の規定表示領域154cが表示された時点でスクロールが停止する態様が実現される。なお前面タッチパッド21への接触は指7に限らずタッチペンなどでもよい。以後説明する操作も同様である。
このように前面タッチパッド21に対するタップ操作を利用すると、ドラッグ操作によって接触点に追随するように表示画像を移動させる自由スクロール操作と、状況に応じて使い分けることができる。ここでドラッグ操作とは、指7による接触が、接触開始時の接触点から所定時間内に所定範囲外に移動したときに判定される。なおタップ操作による画面スクロールは、次の規定表示領域へ移動させるスクロールに限らない。例えば表示領域を所定の画素数分、所定方向に移動させるスクロールでもよいし、タップ操作がなされた時に表示中であった領域の所定の割合分、所定方向に移動させるスクロールでもよい。いずれにしろ、スクロール量およびスクロール方向を移動規則記憶部118に格納しておく。
さらに前面タッチパッド21においてタップ操作がなされた位置によって、スクロール方向を変化させてもよい。例えば前面タッチパッド21の上方の所定領域内でタップ操作がなされた場合は上方向に所定量スクロールさせる。同様に下方の所定領域内、左側の所定領域内、右側の所定領域内にタップ操作がなされた場合はそれぞれ、下方向、左方向、右方向に所定量スクロールさせてもよく、それらの方向のいずれか2つ以上を組み合わせたりいずれかの方向のみとしてもよい。ページ画像の上端でさらに上方向へスクロールさせるタップ操作がなされたら、前のページ画像へ表示を切り替えてもよい。同様に、ページ画像の端でさらにページの外側へスクロールさせるタップ操作がなされたら、あらかじめ設定した規則に従い別のページ画像へ表示を切り替えてよい。
また上記「所定領域内」でもタップ操作がなされた位置に応じてスクロール量を段階的に切り替えてもよい。例えば「上方の所定領域内」の上半分の領域内でタップ操作がなされたら、下半分の領域内でタップ操作がなされたときより上方向へのスクロール量を大きくする。これらの規則も移動規則記憶部118に格納しておき、タップ操作がなされた位置に基づき表示領域管理部116がスクロール方向およびスクロール量を決定する。
このような規定表示領域間を移動させるスクロールなど、所定量、表示領域を送る操作手段として、さらに長押し操作を設ける。長押し操作は前面タッチパッド21における指7による接触が、接触開始時の接触点から所定範囲内に留まった状態が所定時間継続した時点で判定される。この時点、すなわち指7が前面タッチパッド21に触れている状態でまず、スクロールの予告動作を加える。その後、指7が前面タッチパッド21から離れたら、タップ操作と同様、所定方向へ所定量スクロールさせる。
例えば規定表示領域154bを表示中の場合、長押しが判定された時点で、次に表示すべき規定表示領域154cのある下側へ、表示領域を微少量移動させることにより、指を離したときのスクロール方向を予告する。これにより、指を触れた行為が表示領域の送り操作の準備であることをユーザが認識しやすく、無反応な場合と比較し安心感を与えられる。また触れた指を離したとき、どの方向へ表示領域が移動するか、ユーザが前もって知ることできる。
なお予告動作時のスクロール量は指を離したときの本来のスクロール量より小さくてもよいし、同じでもよい。指を離したときと異なる規則でスクロール量を決めてもよい。例えば所定の画素数分や表示中の領域の所定の割合分などでもよい。また予告動作として、一旦スクロールさせた後、逆方向にスクロールさせて表示領域を元に戻すようにしてもよい。長押し操作時の動作は、前述のタップ操作時の動作に予告動作を加えることにより、それに対するユーザによる判断の機会を与えたものとみなせる。したがって指を離したときのスクロールのバリエーションは、タップ操作について前述したのと同様でよい。ページ端での外側方向へのスクロールを予告する際は、実際のスクロールと同様に別のページ画像へ表示を切り替えてもよいし、ページ外のマージン領域を所定量表示してもよい。あるいは予告としてスクロールしないようにしてもよい。
図9は表示領域管理部116および画像描画部122による長押し操作時の表示領域移動処理の手順を示すフローチャートである。このフローチャートは、ユーザが選択した電子書籍のうち、あるページあるいはその一部を表す閲覧画面が表示されている状態から開始する。その状態でユーザが長押し操作を行ったら(S32)、表示領域管理部116は移動規則記憶部118に格納された情報に基づき、次に表示すべき規定表示領域までのスクロール方向を導出したうえ、スクロールの予告動作を行う(S34)。この時点でページ全体が表示されているときは、当該ページで最初に表示すべき規定表示領域を「次に表示すべき規定表示領域」とする。また規定表示領域と関わりなくページが拡大表示されていた場合は、その最近傍にある規定表示領域を「次に表示すべき規定表示領域」としてもよい。
あるいは規定表示領域のいずれかへ最初に移動する操作は、当該フローチャートに示した処理手順とは独立させ、別の操作手段により実施してもよい。このような規則も、移動規則記憶部118に格納しておく。上述のとおりS34における予告動作は、次の規定表示領域の方向等、指をそのまま離したときにスクロールさせるべき方向へ所定量スクロールさせる動作である。そしてユーザが、S32において接触させた指を所定範囲外へスライドさせることなく離したら(S36のN、S38のN)、表示領域管理部116の通知により、画像描画部122は次の規定表示領域等へ表示が移動するように表示画像を描画することによりスクロールを実施する(S40)。
指が所定範囲内で接触したままとまっているときはそのまま待機する(S36のN、S38のN)。一方、ユーザがS32において接触させた指を所定範囲外へスライドさせたら(S36のY)、S34で行った予告動作によるスクロールを元に戻す(S42)。そしてそのままユーザが指を離したら(S44のY)、長押し操作によるスクロールがキャンセルされたと認識し、処理を終了する(S46)。これにより、予告されたスクロールが望まない方向への移動であれば、ユーザはそのまま指をスライドさせてキャンセルすることが可能となる。
S42でスクロールを元に戻したあと、ユーザが指を離すことなく所定時間内に元の接触点もしくはその近傍の所定範囲内に接触点が戻ったら(S48のY)、当初の長押し操作が継続されていると認識し、再度、スクロールの予告動作を行う(S34)。接触点が元に戻らず、離れることもない期間は、そのいずれかとなるまで待機する(S44のN、S48のN)。なおS36で指のスライドが発生したら、接触点の移動に追随してページ画像を移動させる自由スクロール操作へ遷移させるようにしてもよい。
以上、述べた本実施の形態によれば、電子書籍など複数ページのデータを含むコンテンツを表示する際、早送り操作により表示すべきページが、画像データを生成済みページの範囲を超えた場合、画像データ生成対象のページを1画像おきなど所定の規則で間引く。そして間引いたページに代え、画像データを生成済みの近傍のページをダミーとして表示する。これにより画像データの生成が間に合っているか否かの見かけ上の違いは、ページの量感を含めてほとんど感じさせることなく早送り表示を行える。また表示できるページの到達点は元から画像データが生成されていた場合とほぼ同じにできるため、所望のページまで早送りさせたいユーザの要望に十分対応できる。
また、表示中のページにおいて規定しておいた表示領域を、ユーザの先送り操作によって順次表示していく構成を設ける。これにより、表示画像が拡大した状態であっても、現在位置や次に進むべき表示領域を見失ったりすることなく、適切な領域に表示を移動させることができる。このときの先送り操作にタッチパネルを利用し、指が触れて離れた時点で次の規定表示領域へスクロールさせるようにする。このとき、長押し操作が判定された時点で、スクロール予定の方向へ所定量移動させる予告動作を加える。これによりユーザは、規定表示領域の先送りが行われることを認識するとともに、スクロール方向を前もって知ることができる。それに基づき、当該スクロールを実行するかキャンセルするかをその時点で決めることができる。
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。上記実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。