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JP5865645B2 - 容器詰味噌汁飲料及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、飲料としての味噌汁を容器に詰めてなる容器詰味噌汁飲料に関するものである。
味噌汁は、日本の食卓に欠かせない料理であり、一般的にはだし汁に具材を加え、味噌を溶いて調理される。しかしながら、生活スタイルの変化により、味噌汁を簡易的に食したいと希望する日本人が増えてきており、手軽に作ることのできる即席味噌汁が市場で定着している。即席味噌汁は、凍結乾燥によって水分を5%以下まで乾燥した味噌と、天然物調味料や化学調味料等とを混合し、さらに凍結乾燥又は熱風乾燥したネギ等の具材を加えた粉末タイプと、通常の味噌に水を加えて55〜70質量%程度となるように調整し、これに天然物調味料や化学調味料等とを混合し、商品によってはさらに具材を練り込んだものを加熱殺菌した生味噌タイプとが市場に定着している。しかし、即席味噌汁はいずれも熱湯を注いで攪拌する必要があり、依然として手間がかかるものであった。
このため、上記の手間を必要とせず、いつでも飲用できる味噌汁飲料として、味噌汁又は味噌汁風味飲料を容器に詰めて加熱殺菌した、容器詰味噌汁飲料又は容器詰味噌汁風味飲料が各種提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特開平5−56770号公報 特開平6−7123号公報 特開2000−83630号公報
しかし、このような容器詰味噌汁飲料等は一般的に加温販売されるため、加温条件(例えば、50〜70℃)にて長期間(例えば2週間程度)保管されることが多いが、このような加温保管により劣化し、いたみ臭や刺すような苦渋味が生じることがあった。また、容器詰味噌汁飲料の風味、例えば飲用したときの味噌感(味噌の香り立ちや味の余韻等)等について、さらなる改善が望まれていた。
そこで、本発明は、加温保管後においても劣化が抑制され、かつ風味が改善された容器詰味噌汁飲料を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、容器詰味噌汁飲料の味噌として麦味噌を使用することで、加温保管後における劣化が抑制されること、及び味噌全量に対して麦味噌を所定量添加することにより、加温保管後において風味が改善されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、第一に本発明は、味噌汁を容器に詰めてなる容器詰味噌汁飲料であって、前記味噌汁の味噌として麦味噌を含有し、前記味噌汁の味噌全量に対する前記麦味噌の含有量が1.0〜85質量%であることを特徴とする容器詰味噌汁飲料を提供する(発明1)。
上記発明(発明1)の容器詰味噌汁飲料は、加温保管後においても劣化が抑制され、かつ風味が改善されたものとなる。
上記発明(発明1)に係る容器詰味噌汁飲料は、加温販売用であることが好ましい(発明2)。
上記発明(発明1又は2)においては、前記味噌汁の味噌としてさらに米味噌を含有し、前記麦味噌と前記米味噌との質量比(麦味噌/米味噌)が0.01〜5であることが好ましい(発明3)。
上記発明(発明1又は2)においては、前記味噌汁の味噌としてさらに豆味噌を含有し、前記麦味噌と前記豆味噌との質量比(麦味噌/豆味噌)が0.25〜5.67であることが好ましい(発明4)。
上記発明(発明1〜4)においては、前記味噌汁がさらに糊料を含有することが好ましく(発明5)、前記味噌汁の水が脱気水であることが好ましい(発明6)。
第二に本発明は、味噌汁を容器に詰めてなる容器詰味噌汁飲料の製造方法であって、前記味噌汁の味噌全量に対する麦味噌の含有量が1.0〜85質量%となるように、前記麦味噌を含有させることを特徴とする容器詰味噌汁飲料の製造方法を提供する(発明7)。
第三に本発明は、味噌汁を容器に詰めてなる容器詰味噌汁飲料の劣化抑制方法であって、前記味噌汁の味噌全量に対する麦味噌の含有量が1.0〜85質量%となるように、前記麦味噌を含有させることを特徴とする容器詰味噌汁飲料の劣化抑制方法を提供する(発明8)。
第四に本発明は、味噌汁を容器に詰めてなる容器詰味噌汁飲料の風味改善方法であって、前記味噌汁の味噌全量に対する麦味噌の含有量が1.0〜85質量%となるように、前記麦味噌を含有させることを特徴とする容器詰味噌汁飲料の風味改善方法を提供する(発明9)。
本発明の容器詰味噌汁飲料は、加温保管後においても劣化が抑制され、かつ風味が改善されたものとなる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態に係る容器詰味噌汁飲料は、味噌汁の味噌として麦味噌を含有するものである。
味噌は、日本の伝統的な調味料であって、大豆を主原料とし、米、麦、食塩、水などを加えて発酵させた発酵食品である。味噌の主な製造方法としては、大豆若しくは大豆及び米、麦等の穀類を蒸煮したものに、米、麦等の穀類を蒸煮して麹菌を培養したものを加え、さらに食塩及び水を加えて混合し、これを発酵及び熟成させる方法(米味噌、麦味噌など)と、大豆を蒸煮して麹菌を培養したもの若しくはこれに蒸煮した米、麦等の穀類を加えたものに、さらに食塩及び水を混合し熟成させる方法(豆味噌など)とが挙げられる。
本実施形態における味噌汁で使用する麦味噌は、大豆を蒸煮したものに、大麦又ははだか麦を蒸煮しこれに麹菌を培養して得られる麦麹を加え、さらに食塩及び水を加えて混合し、これを発酵及び熟成させた味噌である。
本実施形態においては、味噌汁の味噌全量に対する麦味噌の含有量は1.0〜85質量%であり、1.5〜70質量%であることが好ましく、1.5〜45質量%であることがより好ましく、3〜45質量%であることがさらに好ましい。
本実施形態における麦味噌の作用は必ずしも明らかではないが、本実施形態に係る容器詰味噌汁飲料は、味噌全量に対する麦味噌の含有量を上記範囲内にすることで、加温保管後においても劣化が抑制され、かつ風味が改善されたものとなる。
ここで、本明細書において容器詰味噌汁飲料の「劣化」とは、容器詰味噌汁飲料を加温条件(例えば、70℃)にて長期間(例えば2週間程度)保管した後に、容器詰味噌汁飲料にいたみ臭が発生すること、又は刺すような(刺激的な)苦渋味が生じることをいう。しかし、本実施形態の容器詰味噌汁飲料は、麦味噌を含有することで、加温保管後においても劣化が抑制されたものとなる。
また、本明細書において容器詰味噌汁飲料の「風味」とは、容器詰味噌汁飲料を飲用したときの味噌感、例えば味噌の香り立ちや味の余韻のことをいう。一般に、このような味噌感、すなわち容器詰味噌汁飲料の風味は、加温条件にて長期間保管することで低下してしまう。しかし、本実施形態の容器詰味噌汁飲料は、上記範囲で麦味噌を含有することで、米味噌又は豆味噌のみを使用した容器詰味噌汁飲料と比較して、加温保管後における風味が改善されるとともに、製造直後の容器詰味噌汁飲料や低温にて同期間保管した容器詰味噌汁飲料と比較しても、同等の風味を有するものとなる。
本実施形態における味噌汁は、さらに米味噌及び/又は豆味噌を含有することが好ましい。ここで、米味噌とは、大豆を蒸煮したものに、米を蒸煮しこれに麹菌を培養して得られる米麹を加え、さらに食塩及び水を加えて混合し、これを発酵及び熟成させた味噌である。米味噌は、その色により白味噌、淡色味噌、赤味噌等に分類される。また、豆味噌とは、大豆を蒸煮したものに、大豆を蒸煮しこれに麹菌を培養して得られる豆麹を加え、さらに食塩及び水を加えて混合し、これを発酵及び熟成させた味噌である。豆味噌としては、八丁味噌が主に知られている。本実施形態においては、いずれの米味噌又は豆味噌を使用しても良い。
本実施形態における味噌汁が麦味噌と米味噌とを含有する場合、麦味噌と米味噌との質量比(麦味噌/米味噌)は、0.01〜5.67であることが好ましく、0.01〜5であることがより好ましく、0.03〜3であることがさらに好ましい。麦味噌と米味噌との質量比がこの範囲にあることで、加温保管後においても容器詰味噌汁飲料の劣化(加温いたみ臭や刺激的な苦渋味の発生等)がさらに抑制されるとともに、風味(味噌感等)がさらに改善されたものとなる。
本実施形態における味噌汁が麦味噌と豆味噌とを含有する場合、麦味噌と豆味噌との質量比(麦味噌/豆味噌)は、0.01〜5.67であることが好ましく、0.25〜5.67であることがより好ましく、0.6〜5であることがさらに好ましい。麦味噌と豆味噌との質量比がこの範囲にあることで、加温保管後においても容器詰味噌汁飲料の劣化がさらに抑制されるとともに、風味がさらに改善されたものとなる。
本実施形態の味噌汁における味噌の全使用量は、味噌汁中において3〜10質量%であることが好ましく、5〜8質量%であることがより好ましい。味噌の使用量が上記範囲内にあることにより、味噌の風味が良好な容器詰味噌汁飲料を得ることができる。
本実施形態に係る容器詰味噌汁飲料を製造するには、味噌及び調味料を水に溶解又は分散させて得られる味噌汁を、容器に充填すればよく、容器への充填前又は充填後に加熱殺菌処理に付す。
本実施形態の味噌汁において使用される水としては、純水、硬水、軟水、イオン交換水等のほか、これらの水を脱気処理した脱気水など、飲用に適した水が挙げられる。これらの水の中でも脱気水を使用することが好ましい。脱気水を使用することで、容器詰味噌汁飲料の酸化による劣化を防ぐことができ、飲用が可能な期間を長くすることが可能となる。
本実施形態における味噌汁は、通常は調味料を含有する。なお、本明細書における調味料には、だしも含まれるものとする。
上記調味料としては、特に限定されないが、鰹節、昆布、シイタケ、煮干し、ホタテ、シジミ、アサリ、ハマグリなど貝類等から調製された天然調味料又はその抽出物;グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム等の旨味調味料;食塩、にがり、塩化カリウム、塩化マグネシウム等の無機塩類等が挙げられる。
本実施形態の味噌汁における調味料の含有量は、容器詰味噌汁飲料としての味を損なわない範囲であれば特に限定されないが、通常、味噌汁中において0.5〜3質量%であることが好ましい。
本実施形態における味噌汁は、具材を含有しても良い。具材を含有することで、より味わい深く満足度の高い容器詰味噌汁飲料を提供することが可能となる。
上記具材としては、例えば、ネギ、ホウレンソウ、大根菜、野沢菜、水菜、キャベツ、レタス等の葉菜;オクラ、カボチャ等の果菜;タマネギ、ダイコン、カブ、ニンジン、ゴボウ、ジャガイモ、サトイモ、サツマイモ等の根菜;ナメコ、シイタケ、シメジ等のきのこ類;ノリ、ワカメ、ヒジキ等の海藻類;カニ、エビ、シジミ、アサリ等の魚介類;豚肉、鶏肉等の肉類;豆腐、油揚げ、こんにゃく、かまぼこ等の加工食品類等、種々のものを使用することができる。
本実施形態の味噌汁における具材の含有量は、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。具材の含有量がこの範囲にあることで、容器詰味噌汁飲料が飲用しやすいものとなる。
本実施形態における味噌汁は、味噌成分等の不溶性固形分の水中における分散性又は安定性を向上させるために、糊料(安定剤及び増粘剤を包含する)を含有することが好ましい。味噌汁では、時間の経過とともに味噌成分が沈澱するため上清が透明になるが、糊料を含有することにより、時間が経過しても味噌成分が沈澱し難く、味噌汁を均質な状態に維持することができる。
糊料としては、例えば、結晶セルロースや微小繊維状セルロース等のセルロース、ペクチン、ゼラチン、コラーゲン、寒天、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、大豆多糖類、アラビアガム、グァーガム、キサンタンガム、タマリンドシードガム、ジェランガム等が挙げられるが、pHと粘度の観点から、セルロースが好ましく、特に結晶セルロースが好ましい。
本実施形態の味噌汁における糊料の含有量は、味噌汁中において0.02〜0.5質量%であることが好ましく、0.1〜0.3質量%であることが特に好ましい。糊料の含有量がこの範囲にあることで、上記の沈殿防止効果が得られるとともに、味噌汁の粘性が高すぎず、飲用しやすい容器詰味噌汁飲料となる。
また、本実施形態における味噌汁は、上記の他に、必要に応じて、味噌汁の製造に一般的に使用される各種添加剤が配合されていてもよい。このような添加剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、酸化防止剤、香料、各種エステル類、有機酸類、有機酸塩類、無機酸類、無機酸塩類、無機塩類、色素類、保存料、pH調整剤、乳化剤、品質安定剤等が挙げられる。
本実施形態に係る容器詰味噌汁飲料において使用される容器としては、金属缶、PETボトル、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶等の通常用いられる飲料用容器であればよいが、中でも金属缶であることが好ましい。金属缶を使用することで、本実施形態に係る容器詰味噌汁飲料を加温販売することが容易となる。なお、本実施形態に係る容器詰味噌汁飲料は、通常は希釈せずにそのまま飲用できるものであるが、これに限定されるものではない。
本実施形態に係る容器詰味噌汁飲料において、上記味噌汁は、容器への充填前又は充填後に、上述した加熱殺菌処理に付される。例えば、容器として金属缶や瓶を使用した場合には、味噌汁を容器に充填し、脱気・密封した後、加熱殺菌処理を行う。また、容器としてPETボトルや紙容器を使用した場合には、味噌汁を加熱殺菌処理した後、所定の温度まで冷却してから容器に充填し、密封する。
加熱殺菌処理は、通常、食品衛生法に定められた殺菌条件で行う。具体的には、味噌汁を金属缶等の容器に充填・密封した後、例えば、120〜128℃で10〜30分間(さらに必要に応じて0.10〜0.16MPaになるよう加圧し)、加熱処理を行う。また、味噌汁をPETボトル等の容器に充填する前に、例えば、プレート式熱交換器等を用いて、120〜150℃で1〜数十秒間、加熱処理を行う。加熱処理条件は、味噌汁を十分に殺菌するために、F値が20以上となるように設定することが好ましい。ここでF値とは、加熱殺菌効果を評価する値であり、基準温度(121.1℃)に規格化した場合の加熱時間(分)に相当する。
また、本実施形態においては、加熱殺菌後の容器詰味噌汁飲料におけるBrix(Bx)が2〜8であることが好ましく、3〜6であることがより好ましい。ここで、Bxは一般に糖度を表す指標であるが、本実施形態においては、Bxを用いて容器詰味噌汁飲料における可溶性固形分量を換算することができる。本実施形態に係る容器詰味噌汁飲料は、Bxが上記範囲にあることで、味噌汁の風味(例えば、味噌感)が十分に得られ、かつ濃すぎずに飲みやすい味噌汁飲料となる。なお、容器詰味噌汁飲料のBxは、常法に従って屈折計にて測定することができる。また、本実施形態に係る容器詰味噌汁飲料のBxは、使用する各種味噌、風味だし、調味料等の配合量を調整することにより、上記範囲に設定することが可能である。
また、本実施形態においては、加熱殺菌後の容器詰味噌汁飲料におけるpHが5.0〜6.5であることが好ましく、5.2〜6.0であることがより好ましい。容器詰味噌汁飲料におけるpHがこの範囲にあることで、味噌の香り立ちが良くなるとともに、加温保管後の風味(味噌感等)がさらに改善されたものとなる。なお、容器詰味噌汁飲料のpHは、常法に従ってpHメーターにて測定することができる。また、本実施形態に係る容器詰味噌汁飲料のpHは、使用する各種味噌やpH調整剤の配合量等を調整することにより、上記範囲に設定することが可能である。
以上説明した本実施形態に係る容器詰味噌汁飲料は、加温保管後においても劣化が抑制され、かつ風味が改善されたものとなる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
〔容器詰味噌汁飲料の製造(1)〕
容器詰味噌汁飲料における最終濃度が表1に示す濃度になるように、味噌、風味だし、調味料、糊料、乳化剤及び重曹を水に添加し、スチール190g容量缶に充填し、脱気密封後、125.5℃にて28分間(F値=77に相当)、加圧加熱殺菌処理を行い、容器詰味噌汁飲料を得た(試料1〜5)。
<試験例1>Brix及びpHの測定
試料1〜5の各容器詰味噌汁飲料(サンプル)について、屈折計(アタゴ社製,DD−7)を用い、各サンプルを屈折計のプリズム上に薄く塗布し、Bxを測定した。また、また、pHメーターを用いてpHを測定した。結果を表1に示す。
<試験例2>官能評価
試料1〜5の各容器詰味噌汁飲料(サンプル)について、製造直後、5℃にて2週間保管(低温保管)した後、及び70℃にて2週間(加温保管)した後に、官能評価試験を行った。かかる官能評価試験は、飲料の開発を担当する訓練された5人のパネラーにより、製造直後、低温保管後又は加温保管後に50〜60℃に保温したサンプル20mLを試飲することにより行った。次に示す基準で、加温によるいたみ臭、刺激的な苦渋味、味噌の香り立ち、及び味噌の味の余韻の4項目に関し、5段階にて評価した。最も多かった評価を表1に示す。
=加温いたみ臭の評価=
5:感じない又はきわめて弱い
4:弱い
3:やや強い
2:強い
1:極めて強い
=刺激的苦渋味の評価=
5:感じない又はきわめて弱い
4:弱い
3:やや強い
2:強い
1:極めて強い
=味噌の香り立ちの評価=
5:おおいに良好
4:良好
3:概ね良好
2:弱い又は味噌らしくない
1:極めて味噌らしくない
=味噌の味余韻の評価=
5:おおいに良好
4:良好
3:概ね良好
2:弱い又は味噌らしくない
1:極めて味噌らしくない
また、加温いたみ臭及び刺激的苦渋味の各評点を合計し、加温劣化の評点を算出した。また、味噌の香り立ち及び味余韻の各評点を合計し、味噌感の評点を算出した。さらに、加温保管後の加温劣化の評点及び味噌感の評点を合計することにより、加温保管後の総合点を算出した。結果を表1に示す。
Figure 0005865645
表1に示すように、米味噌や豆味噌のみを使用した容器詰味噌汁飲料は、加温による劣化(加温によるいたみ臭や刺激的な苦渋味の発生)が顕著であった。また、製造直後や低温保管後の風味(味噌の香り立ちや味の余韻)は優れていたものの、加温保管後では風味が低下していた。これに対し、麦味噌を使用した容器詰味噌汁飲料は、製造直後や低温保管後の味噌感は十分とはいえなかったが、加温による劣化が認められなかった。
〔容器詰味噌汁飲料の製造(2)〕
容器詰味噌汁飲料における最終濃度が表2に示す濃度になるように、味噌、風味だし、調味料、糊料、乳化剤及び重曹を水に添加した以外は上述と同様に、容器詰味噌汁飲料を製造した(試料6〜10)。
得られた試料6〜10の各容器詰味噌汁飲料(サンプル)について、試験例1と同様にBx及びpHを測定し、かつ試験例2と同様に官能評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 0005865645
表2に示すように、容器詰味噌汁飲料の味噌全量に対し麦味噌を少量配合するだけで、加温保管後の劣化(加温いたみ臭や刺激的苦渋味)が著しく抑制されることが明らかとなった。また、これらの容器詰味噌汁飲料は、加温保管後において風味(味噌感)が改善され、製造直後や低温保管後と比較しても同等の風味を呈し、嗜好的に大変好ましいものであった。
〔容器詰味噌汁飲料の製造(3)〕
容器詰味噌汁飲料における最終濃度が表3に示す濃度になるように、味噌、風味だし、調味料、糊料、乳化剤及び重曹を水に添加した以外は上述と同様に、容器詰味噌汁飲料を製造した(試料11〜18)。
得られた試料11〜18の各容器詰味噌汁飲料(サンプル)について、試験例1と同様にBx及びpHを測定し、かつ試験例2と同様に官能評価を行った。結果を表3に示す。また、比較のため、試料1及び3の結果を再掲する。
Figure 0005865645
表3に示すように、米味噌及び豆味噌のいずれにおいても、また味噌全量に対する麦味噌の含有量を様々に変化させても、加温保管後の劣化の抑制、風味の改善という、本発明の効果を奏することが明らかとなった。
本発明は、加温保管後においても劣化が抑制され、風味が改善された容器詰味噌汁飲料として有用であり、加温販売用容器詰味噌汁飲料として特に好適である。

Claims (7)

  1. 味噌汁を容器に詰めてなる加温販売用容器詰味噌汁飲料であって、
    前記味噌汁の味噌として麦味噌を含有し、
    前記味噌汁の味噌全量に対する前記麦味噌の含有量が1.0〜85質量%であるとともに、前記味噌汁はさらに糊料を含有する
    ことを特徴とする加温販売用容器詰味噌汁飲料。
  2. 前記味噌汁の味噌としてさらに米味噌を含有し、前記麦味噌と前記米味噌との質量比(麦味噌/米味噌)が0.01〜5であることを特徴とする請求項に記載の加温販売用容器詰味噌汁飲料。
  3. 前記味噌汁の味噌としてさらに豆味噌を含有し、前記麦味噌と前記豆味噌との質量比(麦味噌/豆味噌)が0.25〜5.67であることを特徴とする請求項に記載の加温販売用容器詰味噌汁飲料。
  4. 前記味噌汁の水が脱気水であることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の加温販売用容器詰味噌汁飲料。
  5. 味噌汁を容器に詰めてなる加温販売用容器詰味噌汁飲料の製造方法であって、
    前記味噌汁の味噌全量に対する麦味噌の含有量が1.0〜85質量%となるように、前記麦味噌を含有させ
    かつ、前記味噌汁にさらに糊料を含有させることを特徴とする加温販売用容器詰味噌汁飲料の製造方法。
  6. 味噌汁を容器に詰めてなる加温販売用容器詰味噌汁飲料の劣化抑制方法であって、
    前記味噌汁の味噌全量に対する麦味噌の含有量が1.0〜85質量%となるように、前記麦味噌を含有させ
    かつ、前記味噌汁にさらに糊料を含有させることを特徴とする加温販売用容器詰味噌汁飲料の劣化抑制方法。
  7. 味噌汁を容器に詰めてなる加温販売用容器詰味噌汁飲料の風味改善方法であって、
    前記味噌汁の味噌全量に対する麦味噌の含有量が1.0〜85質量%となるように、前記麦味噌を含有させ
    かつ、前記味噌汁にさらに糊料を含有させることを特徴とする加温販売用容器詰味噌汁飲料の風味改善方法。
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