JP5865298B2 - シーソー式流体制御弁 - Google Patents
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Description
この発明は、揺動軸を支点に揺動するシーソー板により、第1流路の第1弁座と当接または離間する第1弁体と、第2流路の第2弁座と当接または離間する第2弁体とを共に移動させ、第1流路と第3流路との間の流体の流れと、第2流路と第3流路との間の流体の流れとを切り替えるシーソー式流体制御弁に関する。
サンプリングした検体(血液や尿等)を、試薬と反応させて検体を分析する医療用分析装置には、複数(一例として、装置1台に付き数十個)のシーソー式流体制御弁が装着されている。このシーソー式流体制御弁は、制御媒体である水を、高精度に流量制御することにより、サンプリングカップから供給される検体や試薬が、反応セルに、例えば、2〜10μL等という非常に微量な吐出量で分注される。このような医療用分析装置に装着されているシーソー式流体制御弁の一例として、特許文献1が開示されている。図25は、特許文献1に開示された電磁弁を示す説明図であり、第1弁座に対し第1弁が閉弁し、第2弁座に対し第2弁が開弁した状態を示す図である。
電磁弁101では、図25に示すように、第1係合棒132が第1弁130の第1支持部材131に設けられており、この第1係合棒132と係合する第1係合凹部161が、揺動軸168を支点に揺動するシーソー式レバー部材160の一方側に形成されている。また、揺動軸168を挟んで第1係合棒132とは反対側に、第2係合棒142が第2弁140の第2支持部材141に設けられており、この第2係合棒142と係合する第2係合凹部162がシーソー式レバー部材160の他方側に形成されている。
第1弁130による閉弁では、シーソー式レバー部材160が揺動軸168を支点に反時計回り方向に回動することにより、シーソー式レバー部材160の回転力は、その第1係合凹部161から第1支持部材131の第1係合棒132に伝達される。これにより、第1支持部材131が、シリンダブロック120の第1シリンダ121内を摺動しながら下降して、第1弁130のダイアフラム弁体150の第1弁体部151が第1弁座112に当接して閉弁する。よって、第1流路111と第3流路115との連通が遮断されて、流体は、第3流路115から第1流路111には流れない。その反対に、第2弁140は上昇するため、この第2弁140のダイアフラム弁体150の第2弁体部152が第2弁座114と離間して開弁し、第2流路113と第3流路115とが連通して、流体は、第3流路115から第2流路113に流れる。
一方、第2弁140による閉弁では、シーソー式レバー部材160が揺動軸168を支点に時計回り方向に回動することにより、シーソー式レバー部材160の回転力は、その第2係合凹部162から第2支持部材141の第2係合棒142に伝達される。これにより、第2支持部材141が、シリンダブロック120の第2シリンダ122内を摺動しながら下降して、第2弁140のダイアフラム弁体150の第2ダイアフラム弁体部154が第2弁座114に当接して閉弁する。よって、第2流路113と第3流路115との連通が遮断されて、流体は、第3流路115から第2流路113には流れない。その反対に、第1弁130は上昇するため、この第1弁130のダイアフラム弁体150の第1弁体部151が第1弁座112と離間して開弁し、第1流路111と第3流路115とが連通して、流体は、第3流路115から第1流路111に流れる。
しかしながら、特許文献1の電磁弁101(シーソー式流体制御弁)では、第1弁130及び第2弁140において、ピンである第1,第2係合棒132,142が、ピストンとして機能している第1,第2支持部材131,141に設けられていた。この第1,第2支持部材131,141は、シリンダブロック120の第1,第2シリンダ121,122内を摺動するため、第1,第2シリンダ121,122の公差、すなわち第1支持部材131と第1シリンダ121との隙間、第2支持部材141と第2シリンダ122との隙間等の影響により、第1,第2係合棒132,142(ピン)の位置にバラツキが生じていた。第1,第2係合棒132,142の位置にバラツキが生じると、シーソー式レバー部材160から第1支持部材131、第2支持部材141に受ける力の作用点の位置が変化し、シーソー式レバー部材160の支点を基点とする作用点までの距離が変化してしまう。これにより、第1弁130のダイアフラム弁体150の第1弁体部151と第1弁座112とのシール力や、第2弁140のダイアフラム弁体150の第2弁体部152と第2弁座114とのシール力が、変化する問題があった。
ところで、前述した医療用分析装置では、サンプリングした検体が、1回あたりの検体分析で、例えば、2〜10μL等という非常に微量に流量制御された吐出量で、反応セルに供給され、試薬と反応させて分析される。検体分析では、検体と試薬とが所定の比率で精度良く反応セルに分注されていないと、分析結果が大きく異なってしまうため、シーソー式流体制御弁には、検体(または試薬)の吐出量にバラツキを抑えた高精度な流量制御が必要とされている。このような医療用分析装置のメンテナンスで、装着されていた複数のシーソー式流体制御弁が、新しいシーソー式流体制御弁(製品)に交換されたときに、弁体のシール力の変化により、検体等の制御流量が変化してしまい、高い流量精度を維持できない問題があった。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、揺動軸を支点に揺動するシーソー板により、第1流路の第1弁座と当接または離間する第1弁体と、第2流路の第2弁座と当接または離間する第2弁体とを共に移動させ、第1流路と第3流路との間の流体の流れと、第2流路と第3流路との間の流体の流れとを切り替える流体制御弁において、流量制御する流体がたとえ微量な流量でも、第1流路と第3流路とを流れる流体の流量制御と、第2流路と第3流路とを流れる流体の流量制御とを、製品毎にバラツキがなく、それぞれ精度良く行うことができるシーソー式流体制御弁を提供することを目的とする。
本発明に係るシーソー式流体制御弁は、上記目的を達成するために、以下の構成を有する。
(1)揺動軸を支点に揺動するシーソー板と、第1流路に設けられた第1弁座と当接または離間する第1弁体と、第2流路に設けられた第2弁座と当接または離間する第2弁体と、第1流路と第2流路とに連通する第3流路と、を有し、シーソー板の揺動運動により、第1弁体と第2弁体とを共に移動させ、第1流路と第3流路との間の流体の流れと、第2流路と第3流路との間の流体の流れとを切り替えるシーソー式流体制御弁において、シーソー板に、第1弁体と係合する第1ピンが、支点の一方側の位置に固設されていると共に、第2弁体と係合する第2ピンが、支点を挟む第1ピンとは反対側の位置に固設されていること、を特徴とする。
(2)(1)に記載するシーソー式流体制御弁において、第1ピンと第2ピンをシーソー板に固設することにより、第1ピンの中心と支点との第1ピン間距離と、第2ピンの中心と支点との第2ピン間距離とが、変化しないこと、を特徴とする。
(3)(2)に記載するシーソー式流体制御弁において、第1ピン間距離と第2ピン間距離とが等距離に設定されていること、を特徴とする。
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載するシーソー式流体制御弁において、シーソー板は、少なくとも第1ピンに対し、支点から遠ざかる方向に延設された延設部を有すること、を特徴とする。
(5)(4)に記載するシーソー式流体制御弁において、シーソー板の長手方向に対し、延設部の先端部が、当該シーソー式流体制御弁の外部から視覚的に確認できる位置に配置されていること、を特徴とする。
(6)(5)に記載するシーソー式流体制御弁において、第1弁座に対する第1弁体の弁開度が少なくとも、先端部の位置に基づいて確認可能な弁開度確認手段を備えること、を特徴とする。
(1)揺動軸を支点に揺動するシーソー板と、第1流路に設けられた第1弁座と当接または離間する第1弁体と、第2流路に設けられた第2弁座と当接または離間する第2弁体と、第1流路と第2流路とに連通する第3流路と、を有し、シーソー板の揺動運動により、第1弁体と第2弁体とを共に移動させ、第1流路と第3流路との間の流体の流れと、第2流路と第3流路との間の流体の流れとを切り替えるシーソー式流体制御弁において、シーソー板に、第1弁体と係合する第1ピンが、支点の一方側の位置に固設されていると共に、第2弁体と係合する第2ピンが、支点を挟む第1ピンとは反対側の位置に固設されていること、を特徴とする。
(2)(1)に記載するシーソー式流体制御弁において、第1ピンと第2ピンをシーソー板に固設することにより、第1ピンの中心と支点との第1ピン間距離と、第2ピンの中心と支点との第2ピン間距離とが、変化しないこと、を特徴とする。
(3)(2)に記載するシーソー式流体制御弁において、第1ピン間距離と第2ピン間距離とが等距離に設定されていること、を特徴とする。
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載するシーソー式流体制御弁において、シーソー板は、少なくとも第1ピンに対し、支点から遠ざかる方向に延設された延設部を有すること、を特徴とする。
(5)(4)に記載するシーソー式流体制御弁において、シーソー板の長手方向に対し、延設部の先端部が、当該シーソー式流体制御弁の外部から視覚的に確認できる位置に配置されていること、を特徴とする。
(6)(5)に記載するシーソー式流体制御弁において、第1弁座に対する第1弁体の弁開度が少なくとも、先端部の位置に基づいて確認可能な弁開度確認手段を備えること、を特徴とする。
上記構成を有する本発明のシーソー式流体制御弁の作用・効果について説明する。
(1)揺動軸を支点に揺動するシーソー板と、第1流路に設けられた第1弁座と当接または離間する第1弁体と、第2流路に設けられた第2弁座と当接または離間する第2弁体と、第1流路と第2流路とに連通する第3流路と、を有し、シーソー板の揺動運動により、第1弁体と第2弁体とを共に移動させ、第1流路と第3流路との間の流体の流れと、第2流路と第3流路との間の流体の流れとを切り替えるシーソー式流体制御弁において、シーソー板に、第1弁体と係合する第1ピンが、支点の一方側の位置に固設されていると共に、第2弁体と係合する第2ピンが、支点を挟む第1ピンとは反対側の位置に固設されていること、を特徴とするので、例えば、当該シーソー式流体制御弁が、前述した医療用分析装置等に装着される。他方、本発明のシーソー式流体制御弁である製品一品毎には、第1弁体、第2弁体において、シーソー板の揺動により弁体を開閉方向に駆動させるためのピストンと、このピストンが摺動するシリンダとの隙間や、このシリンダの公差等に、寸法にバラツキがある。しかしながら、製品にこのような寸法のバラツキが生じていても、シーソー板の揺動時に、第1ピンから第1弁体に伝達される力の作用点(第1作用点)の位置と、第2ピンから第2弁体に伝達される力の作用点(第2作用点)の位置は、本発明のシーソー式流体制御弁の弁動作の度に変化せず、一定の位置に維持できる。すなわち、本発明のシーソー式流体制御弁の性能が安定する。
(1)揺動軸を支点に揺動するシーソー板と、第1流路に設けられた第1弁座と当接または離間する第1弁体と、第2流路に設けられた第2弁座と当接または離間する第2弁体と、第1流路と第2流路とに連通する第3流路と、を有し、シーソー板の揺動運動により、第1弁体と第2弁体とを共に移動させ、第1流路と第3流路との間の流体の流れと、第2流路と第3流路との間の流体の流れとを切り替えるシーソー式流体制御弁において、シーソー板に、第1弁体と係合する第1ピンが、支点の一方側の位置に固設されていると共に、第2弁体と係合する第2ピンが、支点を挟む第1ピンとは反対側の位置に固設されていること、を特徴とするので、例えば、当該シーソー式流体制御弁が、前述した医療用分析装置等に装着される。他方、本発明のシーソー式流体制御弁である製品一品毎には、第1弁体、第2弁体において、シーソー板の揺動により弁体を開閉方向に駆動させるためのピストンと、このピストンが摺動するシリンダとの隙間や、このシリンダの公差等に、寸法にバラツキがある。しかしながら、製品にこのような寸法のバラツキが生じていても、シーソー板の揺動時に、第1ピンから第1弁体に伝達される力の作用点(第1作用点)の位置と、第2ピンから第2弁体に伝達される力の作用点(第2作用点)の位置は、本発明のシーソー式流体制御弁の弁動作の度に変化せず、一定の位置に維持できる。すなわち、本発明のシーソー式流体制御弁の性能が安定する。
従って、本発明のシーソー式流体制御弁によれば、流量制御する流体が微量な流量でも、製品毎にバラツキがなく、精度良く流量制御を行うことができる、という優れた効果を奏する。
(2)(1)に記載するシーソー式流体制御弁において、第1ピンと第2ピンをシーソー板に固設することにより、第1ピンの中心と支点との第1ピン間距離と、第2ピンの中心と支点との第2ピン間距離とが、変化しないこと、を特徴とするので、シーソー板の支点を基点に、この第1作用点までの第1作用点間距離が一定に維持できると、この第1作用点において、揺動するシーソー板から第1弁体に掛かるトルクが一定にできるため、閉弁時に、第1弁体を第1弁座に押圧する第1押圧力(第1シール力)が、本発明のシーソー式流体制御弁の弁動作の度に変化せず、一定に維持できる。そのため、第1シール力の変化に起因して、第1弁体と第1弁座との間で流体漏れが、本発明のシーソー式流体制御弁で抑止できる。よって、流量制御する流体がたとえ微量でも、第1弁体の閉弁により、第1流路と第3流路とを流れる流体の流量制御が、本発明のシーソー式流体制御弁で、精度良く行うことができる。
また、シーソー板の支点を基点に、第2作用点までの第2作用点間距離が一定に維持できると、この第2作用点において、揺動するシーソー板から第2弁体に掛かるトルクが一定にできるため、閉弁時に、第2弁体を第2弁座に押圧する第2押圧力(第2シール力)が、本発明のシーソー式流体制御弁の弁動作の度に変化せず、一定に維持できる。そのため、第2シール力の変化に起因して、第2弁体と第2弁座との間で流体漏れが、本発明のシーソー式流体制御弁で抑止できる。よって、流量制御する流体がたとえ微量でも、第2弁体の閉弁により、第2流路と第3流路とを流れる流体の流量制御が、本発明のシーソー式流体制御弁で、精度良く行うことができる。
特に、本発明のシーソー式流体制御弁は、制御媒体である流体を高精度に流量制御することにより、前述したように、例えば、サンプリングした検体(血液や尿等)を、試薬と反応させて分析する医療用分析装置において、1回あたりの検体分析で、検体や試薬を、サンプリングカップから反応セルに、例えば、2〜10μL等という非常に微量な吐出量で分注するのに装着される。このような医療用分析装置のメンテナンスにより、本発明のシーソー式流体制御弁が新品に交換された場合でも、検体分析を行う工程において、本発明のシーソー式流体制御弁では、例えば、第3流路から第1流路(または第2流路の場合もある)等に流れる流体は、高精度に維持されたまま、流量制御できる。これにより、反応セルに注入する検体の分注量や、試薬の分注量のバラツキが、本発明のシーソー式流体制御弁の弁動作の度に生じるのを、小さく抑制できるため、検体と試薬とが、所定の比率で精度良く反応セルに分注することができ、検体の分析結果に悪影響を及ぼす要因の発生を抑制することができる。ひいては信頼性の高い検体分析が可能になる。
(3)(2)に記載するシーソー式流体制御弁において、第1ピン間距離と第2ピン間距離とが等距離に設定されていること、を特徴とするので、シーソー板により、第1弁体を第1弁座に押圧して閉弁させる第1押圧力と、第2弁体を第2弁座に押圧して閉弁させる第2押圧力とに、力のバラツキが抑制できる。すなわち、第1弁体の閉弁時における第1弁座への第1シール力と、第2弁体の閉弁時における第2弁座への第2シール力とが、互いに力のバランスを保ったまま、安定した状態になる。そのため、流量制御する流体がたとえ微量でも、第1流路と第3流路との間を流れる流体の流量制御と、第2流路と第3流路との間を流れる流体の流量制御とを、ほぼ均等な状態で行うことが可能になる。
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載するシーソー式流体制御弁において、シーソー板は、少なくとも第1ピンに対し、支点から遠ざかる方向に延設された延設部を有すること、を特徴とするので、梃子の原理により、シーソー板が揺動軸を支点に揺動すると、シーソー板の延設部が支点から遠ざかる方向に位置することから、延設部は、支点を中心とする円弧状により大きく増幅されて変位する。そのため、シーソー板の揺動時に、延設部の変位のうち、第1弁体の移動方向に沿う高さ方向の移動量は、少なくとも第1弁座に対し開閉する第1弁体のストロークより大きくなる。延設部において、シーソー板の長手方向の距離が大きくなると、その距離に比例して延設部の変位は大きくなるため、第1弁体のストロークが、例えば、0.3mm程度等と、非常に小さい場合であっても、人が、第1弁座に対する第1弁体の弁開度を、増幅された延設部の変位に基づいて、容易に判別することができる。同時に、支点と第1ピンとの第1ピン間距離と、支点と第2ピンとの第2ピン間距離との関係に基づき、第2弁座に対する第2弁体の弁開度についても、増幅された延設部の変位に基づいて、容易に判別することができる。
(5)(4)に記載するシーソー式流体制御弁において、シーソー板の長手方向に対し、延設部の先端部が、当該シーソー式流体制御弁の外部から視覚的に確認できる位置に配置されていること、を特徴とするので、本発明のシーソー式流体制御弁は、第1弁座に対する第1弁体の弁開度、第2弁座に対する第2弁体の弁開度について、例えば、ソレノイドにおけるコイルへの通電時にランプを点灯させて電気的に表示する等、電気信号を用いた弁開度電気表示手段を備えるシーソー式流体制御弁に比して、部品点数を削減でき、コストが低減できる。また、このような弁開度電気表示手段を備えたシーソー式流体制御弁では、例えば、電気信号の接点不良、スイッチの接触不良等の電気的な不具合に起因して、弁体における実際の弁開度が、弁開度電気表示手段により表示された内容と異なることが生じる場合がある。これに対し、本発明のシーソー式流体制御弁では、シーソー板は、第1ピンを介して第1弁体と、第2ピンを介して第2弁体とそれぞれ直接係合しているため、第1弁座に対する第1弁体の弁開度、第2弁座に対する第2弁体の弁開度が、シーソー板の揺動運動による機械的手段により、上述した電気的不具合に起因した誤判別要因を排除して、より確かに把握できる。また、当該シーソー式流体制御弁のメンテナンス性が向上する。
(6)(5)に記載するシーソー式流体制御弁において、第1弁座に対する第1弁体の弁開度が少なくとも、先端部の位置に基づいて確認可能な弁開度確認手段を備えること、を特徴とするので、作業者は、例えば、当該シーソー式流体制御弁を覆うカバーのうち、シーソー板の延設部の先端部周辺を覆う無色透明な樹脂製のカバーに、シーソー板の揺動位置(第1弁体の弁開度、第2弁体の弁開度)に対応するスケールや、弁開度の状態を異なる色で識別して表示したインジケータ等の弁開度確認手段により、第1弁体の弁開度と第2弁体の弁開度とをそれぞれ、定量的に簡単に確認することができる。
(実施形態)
以下、本発明に係るシーソー式流体制御弁について、実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。本実施形態のシーソー式流体制御弁は、サンプリングした検体(血液や尿等)を、試薬と反応させて分析する医療用分析装置に装着され、1回あたりの検体分析で、このような検体や試薬を、2〜10μLという非常に微量に流量制御された吐出量で反応セルに分注する目的で用いられる。
以下、本発明に係るシーソー式流体制御弁について、実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。本実施形態のシーソー式流体制御弁は、サンプリングした検体(血液や尿等)を、試薬と反応させて分析する医療用分析装置に装着され、1回あたりの検体分析で、このような検体や試薬を、2〜10μLという非常に微量に流量制御された吐出量で反応セルに分注する目的で用いられる。
はじめに、シーソー式流体制御弁の構成について説明する。図1は、実施形態に係るシーソー式流体制御弁を示す説明図であり、第1弁座に対し第1弁体が閉弁し、第2弁座に対し第2弁体が開弁した状態を示す図である。図2は、図1中、A部の拡大図である。図3は、図1と同様の説明図であり、第1弁座に対し第1弁体が開弁し、第2弁座に対し第2弁体が閉弁した状態を示す図である。なお、本実施形態では、図1に示すように、第1弁体は、コイル74への通電OFF状態で、閉弁(NC:Normal Closed)であり、第2弁体は、コイル74への通電OFF状態で、開弁(NO:Normal Open)である。
シーソー式流体制御弁1は、図1〜図3に示すように、揺動軸68を支点に揺動するシーソー板60と、第1流路11に設けられた第1弁座12と当接または離間する第1弁体30と、第2流路13に設けられた第2弁座14と当接または離間する第2弁体40と、第1流路11と第2流路13とに連通する第3流路15と、を有する。このシーソー式流体制御弁1は、シーソー板60の揺動運動により、第1弁体30と第2弁体40とを共に移動させ、第1流路11と第3流路15との間の流体FLの流れと、第2流路13と第3流路15との間の流体FLの流れとを切り替える流体制御弁である。
シーソー式流体制御弁1は、大別してアクチュエータ部2と弁体駆動部3とからなる電磁弁である。アクチュエータ部2では、固定鉄心71と可動鉄心72が、筒状のコイルボビン73内に同軸上に設けられ、コイル74がこのコイルボビン73の周りに配設されている。可動鉄心72は、コイル74への通電がOFF状態では、固定鉄心71と離間し、通電がON状態になると、固定鉄心71に吸着する。コイル74の外周は、コア75により覆われ、コイル74と電気的に接続するリード線76は、コア75外部に配線されている。コイルボビン73とコア75は、平板状の駆動部支持部材78に立設され、この駆動部支持部材78は、弁体駆動部3に構成されるシリンダブロック20に載置して固定されている。また、駆動部支持部材78と可動鉄心72の先端部の間には、可動鉄心72を固定鉄心71と離間する方向に付勢する第1復帰バネ38が設けられている。本体カバー79は、コア75全体とシリンダブロック20の一部を覆い被せ、コア75外部に引き出されたリード線76が、ブッシュ77により液密状態で、本体カバー79の貫通孔からその外部に配線されている。
次に、弁体駆動部3について説明する。弁体駆動部3は、ボディ10、シリンダブロック20、第1弁体30、第2弁体40、ダイアフラム弁体部50、シーソー板60等からなる。図4は、シーソー式流体制御弁に構成されるボディを、図1中、B矢視位置から見た平面図である。
ボディ10は、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK:Polyetheretherketone) 等、樹脂の中でも耐熱性や耐食性が比較的高い樹脂からなり、医療用分析装置90の流体制御弁取付け部(図示せず)への取り付け面となる平面状の装置取付け面10aと、その反対側のシリンダブロック取付け面10bとを有する略板状部材である。このボディ10には、第1流路11、第3流路15、及び第2流路13が、一列状の配置形態で形成されている。第3流路15は、第1流路11または第2流路13の一方と連通可能となっている。ボディ10の装置取付け面10aは、第1流路11と、第2流路13と、第3流路15とからそれぞれ流体漏れのないよう、専用のガスケットによりシールされて、医療用分析装置90の流体制御弁取付け部に装着される。
ボディ10は、図2及び図4に示すように、シリンダブロック取付け面10bの一部を凹設した凹設部を有し、この凹設部内には、第1弁座12が第1流路11の周囲に、第2弁座14が第2流路13の周囲に、それぞれ形成されている。第1流路11と第2流路13との間に形成された第3流路15の周囲は、第1流路11と第3流路15との連通により形成される第1弁室35の一部であり、第2流路13と第3流路15との連通により形成される第2弁室45の一部でもある共通弁室部19となっている。後述するダイアフラム弁体部50の第1ダイアフラム弁体部51の第1フランジ部52を支持する第1弁体支持部18Aが、第1弁座12の周囲に、このダイアフラム弁体部50の第2ダイアフラム弁体部54の第2フランジ部55を支持する第2弁体支持部18Bが、第2弁座14の周囲に、それぞれ形成されている。
シリンダブロック20は、シリンダブロック取付け面10bに載置して固定されている。シリンダブロック20には、可動鉄心72の先端側の一部と第1復帰バネ38を収容する第1上部空間が形成されており、後述する第1弁体30の第1ピストン31を摺動させる第1シリンダ21が、この第1上部空間より縮径されて、この第1上部空間に連通している。また、後述する第2弁体40の第2ピストン41を摺動させる第2シリンダ22が、シリンダブロック中間部23を挟み、第1上部空間と第1シリンダ21に隣接する位置に形成されている。この第2シリンダ22のうち、第2弁体40より上方に位置する第2上部空間には、第2復帰バネ48が配設されている。第2復帰バネ48は、その両端を、第2弁体40の第2ピストン41と駆動部支持部材78で支持されており、第2弁体40を第2弁座14と近接する方向に付勢する。シリンダブロック中間部23には、揺動軸68が軸支されている。
次に、第1弁体30、第2弁体40について説明する。第1弁体30と第2弁体40は、ダイアフラム弁体部50に連結された状態になっている。図5は、シーソー式流体制御弁の第1,第2弁体に構成されるダイアフラム弁体部を下方から見た平面図であり、図6は、図5中、C−C矢視断面図である。
ダイアフラム弁体部50は、図5及び図6に示すように、大別して第1ダイアフラム弁体部51と、第2ダイアフラム弁体部54とからなり、2つのダイアフラム弁を一体成形されたものである。第1ダイアフラム弁体部51と第2ダイアフラム弁体部54とは、実質的に同じ形状であり、フランジ中央部53で繋がっている。
具体的には、フランジ中央部53は、第1ダイアフラム弁体部51の第1ダイアフラム弁膜部51Aと第2ダイアフラム弁体部54の第2ダイアフラム弁膜部54Aを繋ぐ球面形状に形成されている。このフランジ中央部53は、シリンダブロック20のシリンダブロック中間部23の先端で、逆凹形状のフランジ中央固定端部24により保持されている。
第1ダイアフラム弁体部51は、その弁本体部に、第1弁座12と当接する第1弁座当接面51aと、第1弁体30の第1接続部33を包み込んで連結させる第1ダイアフラム弁体係合部51Bとを有している。この弁本体部の周囲には、第1ダイアフラム弁膜部51Aが環状に形成され、フランジ中央部53を回避する略C字型形状の第1フランジ部52が、第1ダイアフラム弁膜部51Aの周りに形成されている。第1ダイアフラム弁体部51は、フランジ中央固定端部24によりフランジ中央部53を保持された状態で、ボディ10を介して第1フランジ部固定部材25とシリンダブロック20との間に第1フランジ部52を挟持することにより、固着されている。
第2ダイアフラム弁体部54は、その弁本体部に、第2弁座14と当接する第2弁座当接面54aと、第2弁体40の第2接続部43を包み込んで連結させる第2ダイアフラム弁体係合部54Bとを有している。この弁本体部の周囲には、第2ダイアフラム弁膜部54Aが環状に形成され、フランジ中央部53を回避する略C字型形状の第2フランジ部55が、第2ダイアフラム弁膜部54Aの周りに形成されている。第2ダイアフラム弁体部55は、フランジ中央固定端部24によりフランジ中央部53を保持された状態で、ボディ10とシリンダブロック20との間に第2フランジ部55を挟持することにより、固着されている。
図7は、シーソー式流体制御弁の第1弁体及び第2弁体における第1,第2ピストンと第1,第2接続部を示す図であり、第1,第2ピストンを正面図で、第1,第2接続部を断面図で示した説明図である。
第1弁体30は、図2及び図7に示すように、樹脂製、またはアルミニウム等の軽金属製の第1ピストン31と、この第1ピストン31に接続する樹脂製の第1接続部33と、ダイアフラム弁体部50の第1ダイアフラム弁体部51とからなる。第1ピストン31は、その軸心方向(図2の上下方向)に直交する向き(図2中、紙面に垂直方向)に穿孔された第1ピン係合孔32H(貫通孔または止り孔)を有している。第1接続部33は、第1ピストン31下面に設けられ、第1ピストン31より径小で下方に延び、最下端部で拡径した凸形状に形成され、第1ダイアフラム弁体部51の第1ダイアフラム弁体係合部51Bと係合される。
また、第2弁体40は、図2及び図7に示すように、樹脂製、またはアルミニウム等の軽金属製の第2ピストン41と、この第2ピストン41に連結する樹脂製の第2接続部43と、ダイアフラム弁体部50の第2ダイアフラム弁体部54とからなる。第2ピストン41は、その軸心方向(図2の上下方向)に直交する向きに穿孔された第2ピン係合孔42H(貫通孔または止り孔)を有している。第2接続部43は、第2ピストン41下面に設けられ、第2ピストン41より径小で下方に延び、最下端部で拡径した凸形状に形成され、第2ダイアフラム弁体部54の第2ダイアフラム弁体係合部54Bと係合される。
次に、シーソー板60について説明する。図8は、実施形態に係るシーソー式流体制御弁のシーソー板を示す平面図であり、図8に示すシーソー板の側面図を、図9に示す。シーソー板60は、例えば、アルミニウム合金、チタン合金等、金属の中でも、比較的軽量で耐食性を有する金属からなる板状部材である。シーソー板60は軸孔61Hを有し、シリンダブロック20のシリンダブロック中間部23に軸支された揺動軸68が、この軸孔61Hから外れない取付け形態で挿通されており、シーソー板60が、揺動軸68(軸孔61H)の軸心を支点Sに、揺動運動する構造になっている。
シーソー板60には、第1弁体30の第1ピストン31の第1ピン係合孔32Hと係合可能な第1ピン63が、支点S(軸孔61Hの軸心)の一方側(図8及び図9中、左側)の位置に固設されている。また、第2弁体40の第2ピストン41の第2ピン係合孔42Hと係合可能な第2ピン65が、この支点Sを挟む第1ピン63とは反対側(図8及び図9中、右側)の位置に固設されている。シーソー板60では、第1ピン63の中心63cと支点Sとの第1ピン間距離P1と、第2ピン65の中心65cと支点Sとの第2ピン間距離P2(=P1)とが、等距離に設定されている。図21は、実施形態に係るシーソー式流体制御弁の作用を説明する模式図である。
すなわち、シーソー式流体制御弁1では、図21に示すように、シーソー板60に揺動運動が伴っても、第1ピン63における第1弁体30の第1ピストン31に伝達させる力の作用点E1(第1ピン63の中心63c)と、シーソー板60の支点S(揺動軸68の軸心)との第1作用点間距離SE1が、変化しない。これと共に、シーソー板60に揺動運動が伴っても、第2ピン65における第2弁体40の第2ピストン41に伝達させる力の作用点E2(第2ピン65の中心65c)と、シーソー板60の支点Sとの第2作用点間距離SE2が、変化しない。
また、シーソー板60は、少なくとも第1ピン63に対し、支点Sから遠ざかる方向に延設された延設部62を有している。シーソー板60の長手方向Lに対し、延設部62の距離は、第1ピン間距離P1、第2ピン間距離P2より大きくなっており、図2に示すように、延設部62の先端部62Tが、当該シーソー式流体制御弁1の外部から視覚的に確認できる位置に配置されている。
具体的に説明する。図10は、実施形態に係るシーソー式流体制御弁に構成されるインジケータカバーを、図1中、左側から右側に見た側面図であり、弁開度確認手段を説明する図である。延設部62は、シリンダブロック20より外側(図2中、左側)で、シリンダブロック取付け面10bと本体カバー79の端部との間に位置している。図2及び図10に示すように、シリンダブロック取付け面10bと本体カバー79のこの端部との間には、樹脂製で無色透明のインジケータカバー80が取り付けられている。これにより、作業者は、延設部62の先端部62Tに記された先端部目盛62Tmを、インジケータカバー80外部から透視できる。また、本実施形態では、弁開度確認手段81が、インジケータカバー80に設けられている。弁開度確認手段81は、第1弁座12に対する第1弁体30の弁開度V1と、第2弁座14に対する第2弁体40の弁開度V2を、シーソー板60の先端部62Tの位置に基づいて確認可能とする手段である。
すなわち、インジケータカバー80には、弁開度確認手段81として、第1弁体30の第1弁体の弁開度V1のスケールと、第2弁体40の第2弁体の弁開度V2のスケールが記されている。弁開度V1のスケールは、第1弁体30において、第1弁座12に当接して閉弁した状態を意味する「閉」と、第1弁座12と離間して開弁した状態を意味する「開」と、シーソー板60の支点S位置の高さを意味する「S」とを有し、「開」と「閉」との間のストローク量として記されている。また、弁開度V2のスケールは、第2弁体40において、第2弁座14に当接して閉弁した状態を意味する「閉」と、第2弁座14と離間して開弁した状態を意味する「開」と、シーソー板60の支点S位置の高さを意味する「S」とを有し、「開」と「閉」との間のストローク量として記されている。第1弁体30が閉弁状態になれば、第2弁体40は開弁状態になり、第1弁体30が開弁状態になれば、第2弁体40は閉弁状態になるため、弁開度V1のスケールと弁開度V2のスケールとでは、「開」と「閉」の位置が互いに反対になっている。
シーソー式流体制御弁1の弁開度は、シーソー板60の先端部62Tの先端部目盛62Tmが、弁開度V1のスケールと弁開度V2のスケールに対し、どこの位置を指しているかを確認することにより、判別できる。例えば、先端部62Tが、図10の実線で示す位置にあれば、先端部62Tの先端部目盛62Tmは、弁開度V1のスケールでは「閉」を、弁開度V2のスケールでは「開」を、それぞれ指しているので、第1弁体30が閉弁状態に、第2弁体40は開弁状態にあることが判別できる。その反対に、先端部62Tが、図10の二点鎖線で示す位置にあれば、先端部62Tの先端部目盛62Tmは、弁開度V1のスケールでは「開」を、弁開度V2のスケールでは「閉」を、それぞれ指しているので、第1弁体30が開弁状態に、第2弁体40は閉弁状態にあることが判別できる。
次に、シーソー式流体制御弁1の動作について説明する。シーソー式流体制御弁1では、コイル74への通電がOFF状態のとき、図1に示すように、可動鉄心72が、第1復帰バネ38の付勢力により固定鉄心71と離間して下降する。これと同時に、シーソー板60は、揺動軸68を支点Sに反時計回り方向に回動し、シーソー板60の第1ピン63が、第1弁体30の第1ピストン31の第1ピン係合孔32Hに係合されたまま、第1ダイアフラム弁体部51と連結するこの第1ピストン31を、下向きに押圧して下降させる。これにより、第1弁体30の第1ダイアフラム弁体部51が第1弁座12に当接して閉弁し、第1流路11と第3流路15との連通が遮断されて、流体FLは、第3流路15から第1流路11には流れない。その一方で、シーソー板60の第2ピン65が、第2弁体40の第2ピストン41の第2ピン係合孔42Hに係合されたまま、第2復帰バネ48の付勢力に抗して、第2ダイアフラム弁体部54と連結するこの第2ピストン41を、上向きに押圧して上昇させる。そのため、第2弁体40の第2ダイアフラム弁体部54が、第2弁座14と離間して開弁し、第2流路13と第3流路15とが連通して、流体FLは、第3流路15から第2流路13に向けて流れる。
また、コイル74への通電がON状態のとき、図3に示すように、可動鉄心72が、第1復帰バネ38の付勢力に抗して固定鉄心71に吸着され上昇する。これと同時に、第2復帰バネ48の付勢力により、第2ダイアフラム弁体部54と連結する第2ピストン41を、シーソー板60の第2ピン65が、第2弁体40の第2ピストン41の第2ピン係合孔42Hに係合されたまま、下向きに押圧して下降させる。そのため、第2弁体40の第2ダイアフラム弁体部54が第2弁座14に当接して閉弁し、第2流路13と第3流路15との連通が遮断されて、流体FLは、第3流路15から第2流路13には流れない。その一方、シーソー板60は、揺動軸68を支点Sに時計回り方向に回動し、シーソー板60の第1ピン63が、第1弁体30の第1ピストン31の第1ピン係合孔32Hに係合されたまま、この第1ピストン31を、上向きに押圧して上昇させる。これにより、第1弁体30の第1ダイアフラム弁体部51が、第1弁座12と離間して開弁し、第1流路11と第3流路15とが連通して、流体FLは、第3流路15から第1流路11に向けて流れる。
次に、本実施形態のシーソー式流体制御弁1を装着した医療用分析装置において、検体分析で行われる一連の工程について、説明する。図11は、医療用分析装置において検体分析で行われる一連の工程を説明する図である。図11に示す分注第1工程の工程図を図12に、分注第2工程の工程図を図13に、分注第3工程の工程図を図14に、分注第4工程の工程図を図15に、分注第5工程の工程図を図16に、それぞれ示し、図17は、図11に示す洗浄工程の工程図である。
医療用分析装置90は、シーソー式流体制御弁1、シリンジ91、プランジャ92、プローブ93等を備え、サンプリングした検体(血液や尿等)を試薬と反応させて検体の分析を行うものである。その検体分析の一連の工程として、図11に示すように、分注第1工程M1、分注第2工程M2、分注第3工程M3、分注第4工程M4、分注第5工程M5、及び洗浄工程M6が、この順序で行われる。医療用分析装置90では、分注第1工程M1、分注第2工程M2、分注第3工程M3、及び分注第4工程M4は、検体と試薬に対し、それぞれ別々に分けて行われ、分注第5工程M5は、1つの反応セルに、所定比率で精度良く分注された検体と試薬とを、反応させる。1つの検体分析が終了すると、洗浄工程M6から分注第1工程M1に再び戻り、次の検体分析に備え、このような検体分析が複数回にわたって繰り返される。
分注第1工程M1は、図12に示すように、純水槽からシーソー式流体制御弁1(一例として、第3流路15から第1流路11に流れる流路)を通じて供給された純水WT(流体FLに対応)で、シリンジ91内とプローブ93内とを満たす。次いで、分注第2工程M2は、図13に示すように、シーソー式流体制御弁1において、第1弁体30の閉弁により、純水槽からシリンジ91内への純水WTの供給を遮断する。このとき、第1弁体30の閉弁により、純水WTが、プローブ93の先端位置で精度良く水切れされていることが重要である。その理由として、第1弁体30の弁動作のバラツキや、第1弁座12に対する第1弁体30のシール力のバラツキに起因して、流量制御する純水WTの体積が変化してしまうと、プローブ93の先端付近で水切れされる位置が変化してしまい、分注第4工程M4では、検体や試薬の分注量にバラツキが生じて、検体分析が高精度に実施できないからである。
次いで、分注第3工程M3は、図13に示すように、純水槽からシリンジ91内への純水WTの供給を遮断した状態で、シリンジポンプのプランジャ92を引き、プローブ93の先端から空気ARを吸引して、水切りされた純水WTの水面とプローブ93の先端位置との間に空気AR層を設ける。分注された検体または試薬と、プローブ93内の純水WTとの混合を防ぐためである。
次いで、分注第4工程M4は、図14に示すように、純水槽からシリンジ91内への純水WTの供給を遮断した状態で、プランジャ92をさらに引き、サンプリングカップ94から検体SM(または試薬SM)を、例えば、2〜10μL等という非常に微量な流量で、プローブ93先端から吸い上げる。これにより、検体SM(または試薬SM)は、空気AR層によりプローブ93内の純水WTと隔離して、プローブ93内の先端で保持される。
次いで、分注第5工程M5は、図16に示すように、純水槽からシリンジ91内への純水WTの供給を遮断した状態で、恒温槽95内において、プローブ93先端を反応セル96内に挿入し、プランジャ92を押す。これにより、シリンジ91及びプローブ93内の純水WTを介して、プローブ93内で保持された検体SM(または試薬SM)が、反応セル96内に吐出する。そして、医療用分析装置90が、反応セル96内に分注された検体SMと試薬SMとを混合させた混合物SCの反応に基づき、所定の方法により検体SMの分析を行う。
次いで、洗浄工程M6は、プローブ93先端を洗浄槽97内に挿入した後、第1弁体30の開弁により、純水槽から第3流路15、第1流路11を通じてシリンジ91内に純水WTを供給し、この純水WTにより、洗浄槽97内でプローブ93先端付近の内外の壁面を洗浄する。これにより、プローブ93先端付近の内壁と外壁に付着している検体SM(または試薬SM、混合物SC)の残渣を除去して、プローブ93先端が浄化されるため、先の検体分析で用いた検体SM等の残渣が、その次の検体分析で用いられる検体SM等に混入するのを防止することができ、次の検体分析で、分析精度の低下を抑えることができる。
次に、医療用分析装置90において、実施形態に係るシーソー式流体制御弁1の接続例を、実施例1乃至3を挙げて具体的に説明する。図18は、実施例1として、実施形態に係るシーソー式流体制御弁が医療用分析装置に装着された接続例を示す配管回路図である。
(実施例1)
図18に示すように、シーソー式流体制御弁1において、第1流路11が、医療用分析装置90のシリンジ91に接続されてプローブ93と連通し、第3流路15が、ポンプ99Aを介して純水槽98と連通している。第2流路13は、不図示のシリンジ等と接続されている。本実施例1では、分注時には、コイル74への通電がOFF状態、ポンプ99Aの作動がOFF状態で、プランジャ92が押され、検体SM等がプローブ93から吐出する(分注第5工程M5、図16参照)。また、洗浄時には、コイル74への通電がON状態、ポンプ99Aの作動がON状態で、純水WTが、ポンプ99Aにより、純水槽98から第3流路15に供給され、第1流路11を通じてシリンジ91、プローブ93へと流れ、プローブ93先端から吐出する(洗浄工程M6、図17参照)。これと同時に、第3流路15に供給された純水WTが、第2流路13を通じて不図示のシリンジ等に供給される。
図18に示すように、シーソー式流体制御弁1において、第1流路11が、医療用分析装置90のシリンジ91に接続されてプローブ93と連通し、第3流路15が、ポンプ99Aを介して純水槽98と連通している。第2流路13は、不図示のシリンジ等と接続されている。本実施例1では、分注時には、コイル74への通電がOFF状態、ポンプ99Aの作動がOFF状態で、プランジャ92が押され、検体SM等がプローブ93から吐出する(分注第5工程M5、図16参照)。また、洗浄時には、コイル74への通電がON状態、ポンプ99Aの作動がON状態で、純水WTが、ポンプ99Aにより、純水槽98から第3流路15に供給され、第1流路11を通じてシリンジ91、プローブ93へと流れ、プローブ93先端から吐出する(洗浄工程M6、図17参照)。これと同時に、第3流路15に供給された純水WTが、第2流路13を通じて不図示のシリンジ等に供給される。
(実施例2)
図19は、実施例2に係る配管回路図である。図19に示すように、シーソー式流体制御弁1において、第1流路11が、医療用分析装置90のシリンジ91に接続されてプローブ93と連通し、第3流路15が、シリンジポンプ99Bと接続されている。第2流路13は、ポンプ99Aを介して純水槽98と連通している。なお、このポンプ99Aが接続されない場合もある。本実施例2では、分注時には、コイル74への通電がOFF状態、ポンプ99Aの作動がON状態で、純水WTが、ポンプ99Aにより、純水槽98から第2流路13に供給され、第3流路15を通じてシリンジポンプ99Bに流れ、分注第1工程M1が行われる。また、洗浄時には、コイル74への通電がON状態、ポンプ99Aの作動がOFF状態で、シリンジポンプ99Bのプランジャを押すことにより、純水WTが、第2流路13と分流した状態で、第3流路15から第1流路11を通じてシリンジ91、プローブ93へと流れ、プローブ93先端から吐出する(洗浄工程M6、図17参照)。
図19は、実施例2に係る配管回路図である。図19に示すように、シーソー式流体制御弁1において、第1流路11が、医療用分析装置90のシリンジ91に接続されてプローブ93と連通し、第3流路15が、シリンジポンプ99Bと接続されている。第2流路13は、ポンプ99Aを介して純水槽98と連通している。なお、このポンプ99Aが接続されない場合もある。本実施例2では、分注時には、コイル74への通電がOFF状態、ポンプ99Aの作動がON状態で、純水WTが、ポンプ99Aにより、純水槽98から第2流路13に供給され、第3流路15を通じてシリンジポンプ99Bに流れ、分注第1工程M1が行われる。また、洗浄時には、コイル74への通電がON状態、ポンプ99Aの作動がOFF状態で、シリンジポンプ99Bのプランジャを押すことにより、純水WTが、第2流路13と分流した状態で、第3流路15から第1流路11を通じてシリンジ91、プローブ93へと流れ、プローブ93先端から吐出する(洗浄工程M6、図17参照)。
(実施例3)
図20は、実施例3に係る配管回路図である。図20に示すように、シーソー式流体制御弁1において、第1流路11が、医療用分析装置90のプローブ93に接続され、第2流路13が、純水槽98と連通している。第3流路15は、医療用分析装置90のシリンジ91に接続されている。本実施例3では、純水WTが純水槽98から各管路内に行きわたっている状況の下、分注時には、コイル74への通電がON状態で、プランジャ92を押すことにより、純水WTが、第3流路15から第1流路11を通じてプローブ93に供給され、検体SM等がプローブ93から分注される(分注第5工程M5、図16参照)また、洗浄時には、コイル74への通電がOFF状態で、プランジャ92を引くことにより、純水WTが、純水槽98から第2流路13、第3流路15を通じてシリンジ91内に供給される。そして、コイル74への通電をON状態に切り替えた後、プランジャ92を押すことにより、純水WTが、第3流路15から第1流路11を通じてシリンジ91、プローブ93へと流れ、プローブ93先端から吐出する(洗浄工程M6、図17参照)。
図20は、実施例3に係る配管回路図である。図20に示すように、シーソー式流体制御弁1において、第1流路11が、医療用分析装置90のプローブ93に接続され、第2流路13が、純水槽98と連通している。第3流路15は、医療用分析装置90のシリンジ91に接続されている。本実施例3では、純水WTが純水槽98から各管路内に行きわたっている状況の下、分注時には、コイル74への通電がON状態で、プランジャ92を押すことにより、純水WTが、第3流路15から第1流路11を通じてプローブ93に供給され、検体SM等がプローブ93から分注される(分注第5工程M5、図16参照)また、洗浄時には、コイル74への通電がOFF状態で、プランジャ92を引くことにより、純水WTが、純水槽98から第2流路13、第3流路15を通じてシリンジ91内に供給される。そして、コイル74への通電をON状態に切り替えた後、プランジャ92を押すことにより、純水WTが、第3流路15から第1流路11を通じてシリンジ91、プローブ93へと流れ、プローブ93先端から吐出する(洗浄工程M6、図17参照)。
前述した構成を有する本実施形態のシーソー式流体制御弁1の作用・効果について、説明する。
本実施形態のシーソー式流体制御弁1では、揺動軸68を支点Sに揺動するシーソー板60と、第1流路11に設けられた第1弁座12と当接または離間する第1弁体30と、第2流路13に設けられた第2弁座14と当接または離間する第2弁体40と、第1流路11と第2流路13とに連通する第3流路15と、を有し、シーソー板60の揺動運動により、第1弁体30と第2弁体40とを共に移動させ、第1流路11と第3流路15との間の流体FLの流れと、第2流路13と第3流路15との間の流体FLの流れとを切り替えるシーソー式流体制御弁1において、シーソー板60には、第1弁体30と係合可能な第1ピン63が、支点Sの一方側の位置に固設されていると共に、第2弁体40と係合可能な第2ピン65が、支点Sを挟む第1ピン63とは反対側の位置に固設されていること、を特徴とするので、シーソー式流体制御弁1が、本実施形態のように、医療用分析装置90に装着される。他方、製品であるシーソー式流体制御弁1一品毎には、第1,第2シリンダ21,22の公差、第1,第2弁体40の第1,第2ピストン31,41と第1,第2シリンダ21,22との隙間等、寸法にバラツキがある。しかしながら、製品にこのような寸法のバラツキが生じていても、図21に示すように、シーソー板60の揺動時に、第1ピン63から第1弁体30に伝達される力の第1作用点E1の位置、第2ピンから第2弁体に伝達される力の第2作用点E2の位置は、シーソー式流体制御弁1の弁動作の度に変化せず、一定の位置に維持できる。すなわち、シーソー式流体制御弁1の性能が安定する。
従って、本実施形態のシーソー式流体制御弁1によれば、流量制御する流体FLが微量な流量でも、製品(シーソー式流体制御弁1)毎にバラツキがなく、精度良く流量制御を行うことができる、という優れた効果を奏する。
また、本実施形態のシーソー式流体制御弁1では、第1ピン63の中心63cと支点Sとの第1ピン間距離P1と、第2ピン65の中心65cと支点Sとの第2ピン間距離P2とを等距離に設定することにより、第1弁体30の作用点E1と支点Sとの第1作用点間距離SE1と、第2弁体40の作用点E2と支点Sとの第2作用点間距離SE2とが、変化しないこと、を特徴とするので、シーソー板60の支点Sを基点に、第1作用点E1までの第1作用点間距離SE1が一定に維持できると、この第1作用点E1において、シーソー板60から第1弁体30に掛かるトルクが一定にできるため、閉弁時に、第1弁体30を第1弁座12に押圧する第1押圧力(第1シール力)Fが、シーソー式流体制御弁1の弁動作の度に変化せず、一定に維持できる。そのため、第1シール力Fの変化に起因して、第1弁体30と第1弁座12との間で流体漏れが、シーソー式流体制御弁1で抑止できる。よって、流量制御する流体FLがたとえ微量でも、第1弁体30の閉弁により、第1流路11と第3流路15とを流れる流体FLの流量制御が、シーソー式流体制御弁1で、精度良く行うことができる。
また、シーソー板60の支点Sを基点に、第2作用点E2までの第2作用点間距離SE2が一定に維持できると、この第2作用点E2において、シーソー板60から第2弁体40に掛かるトルクが一定にできるため、閉弁時に、第2弁体40を第2弁座14に押圧する第2押圧力(第2シール力)Fが、シーソー式流体制御弁Fの弁動作の度に変化せず、一定に維持できる。そのため、第2シール力Fの変化に起因して、第2弁体40と第2弁座14との間で流体漏れが、シーソー式流体制御弁1で抑止できる。よって、流量制御する流体FLがたとえ微量でも、第2弁体40の閉弁により、第2流路13と第3流路15とを流れる流体FLの流量制御が、シーソー式流体制御弁1で、精度良く行うことができる。図22は、従来技術に係るシーソー式流体制御弁の作用を、第2弁側を代表して挙げて説明する模式図である。
本実施形態のシーソー式流体制御弁1と比較して、従来技術のシーソー式流体制御弁(製品)では、図22に示すように、第2係合棒142(ピンに相当)が、第2弁140の第2支持部材141(ピストンに相当)に設けられていた。第2支持部材141は、シリンダブロック120の第2シリンダ122(図25参照)内を摺動するため、第2シリンダ122の公差、第2支持部材141と第2シリンダ122との隙間等の影響により、第2係合棒142の位置にバラツキが生じていた。第2係合棒142の位置にバラツキが生じると、シーソー式レバー部材160から第2支持部材141に受ける力の作用点Ea(一例として先の弁動作),Eb(同じく、後の弁動作)の位置が、弁動作の前後で変化してしまい、シーソー式レバー部材160の支点S(揺動軸168の軸心)を基点とする作用点までの距離SEa,SEbが一定でない。
そのため、シーソー式流体制御弁では、先の弁動作において、第2弁140のダイアフラム弁体150の第2弁体部152と第2弁座114とのシール力Faと、後の弁動作において、第2弁140のダイアフラム弁体150の第2弁体部152と第2弁座114とのシール力Fbとが、変化していた。その結果、弁動作の前後で、シール力Faとシール力Fbのバラツキに起因して、第2弁140と第2弁座114との間で流体漏れが生じる虞があった。特に流量制御する流体が非常に微量な場合には、シーソー式流体制御弁において、第2弁体40の閉弁により、第2流路13と第3流路15とを流れる流体の流量制御が、シーソー式流体制御弁の弁動作の度に変化してしまい、精度良く行うことができなかった。
ところで、前述したように、本実施形態のシーソー式流体制御弁1は、制御媒体である純水WT(流体FL)を高精度に流量制御することにより、医療用分析装置90において、1回あたりの検体分析で、検体(血液や尿等)や試薬を、サンプリングカップから反応セルに、例えば、2〜10μL等という非常に微量な吐出量で分注するのに装着される。本実施形態のシーソー式流体制御弁1では、分注第1工程M1において、例えば、第3流路15から第1流路11(または第2流路13の場合もある)等に流れる純水WTは、高精度に維持されたまま、流量制御できる。これにより、反応セルに注入する検体の分注量や、試薬の分注量のバラツキが、シーソー式流体制御弁1の弁動作の度に生じるのを、小さく抑制できるため、検体と試薬とが、所定の比率で精度良く反応セルに分注することができ、検体の分析結果に悪影響を及ぼす要因の発生を抑制することができる。ひいては信頼性の高い検体分析が可能になる。
さらに、シーソー式流体制御弁1を1つとっても、シーソー板60により、第1弁体30を第1弁座12に押圧して閉弁させる第1押圧力Fと、第2弁体40を第2弁座14に押圧して閉弁させる第2押圧力Fとに、力のバラツキが抑制できる。すなわち、第1弁体30の閉弁時における第1弁座12への第1シール力Fと、第2弁体40の閉弁時における第2弁座14への第2シール力Fとが、互いに力のバランスを保ったまま、安定した状態になる。そのため、流量制御する流体FLがたとえ微量でも、第1流路11と第3流路15との間を流れる流体FLの流量制御と、第2流路13と第3流路15との間を流れる流体FLの流量制御とを、ほぼ均等な状態で行うことが可能になる。
また、本実施形態のシーソー式流体制御弁1では、シーソー板60は、少なくとも第1ピン63に対し、支点Sから遠ざかる方向に延設された延設部62を有すること、を特徴とするので、梃子の原理により、シーソー板60が揺動軸68を支点Sに揺動すると、シーソー板60の延設部62が支点Sから遠ざかる方向に位置することから、延設部62は、支点Sを中心とする円弧状により大きく増幅されて変位する。そのため、シーソー板60の揺動時に、延設部62の変位のうち、第1弁体30の移動方向に沿う高さ方向の移動量は、少なくとも第1弁座12に対し開閉する第1弁体30のストロークより大きくなる。延設部62において、シーソー板60の長手方向Lの距離が大きくなると、その距離に比例して延設部62の変位は大きくなるため、第1弁体30のストロークが、例えば、0.3mm程度等と、非常に小さい場合であっても、人が、第1弁座12に対する第1弁体30の弁開度V1を、増幅された延設部62の変位に基づいて、容易に判別することができる。同時に、支点Sと第1ピン63との第1ピン間距離P1と、支点Sと第2ピン65との第2ピン間距離P2(=P1)との関係に基づき、第2弁座14に対する第2弁体40の弁開度V2についても、増幅された延設部62の変位に基づいて、容易に判別することができる。
また、本実施形態のシーソー式流体制御弁1では、シーソー板60の長手方向Lに対し、延設部62の先端部62Tが、当該シーソー式流体制御弁1の外部から視覚的に確認できる位置に配置されていること、を特徴とするので、シーソー式流体制御弁1は、第1弁座11に対する第1弁体30の弁開度V1、第2弁座14に対する第2弁体40の弁開度V2について、例えば、ソレノイドコイルへの通電時にランプを点灯させて電気的に表示する等、電気信号を用いた弁開度電気表示手段を備えるシーソー式流体制御弁に比して、部品点数を削減でき、コストが低減できる。また、このような弁開度電気表示手段を備えたシーソー式流体制御弁では、例えば、電気信号の接点不良、スイッチの接触不良等の電気的な不具合に起因して、弁体における実際の弁開度が、弁開度電気表示手段により表示された内容と異なることが生じる場合がある。これに対し、本実施形態のシーソー式流体制御弁1では、シーソー板60は、第1ピン63を介して第1弁体30と、第2ピン65を介して第2弁体40とそれぞれ直接係合しているため、第1弁座11に対する第1弁体30の弁開度V1、第2弁座14に対する第2弁体40の弁開度V2が、シーソー板60の揺動運動による機械的手段により、上述した電気的不具合に起因した誤判別要因を排除して、より確かに把握できる。また、シーソー式流体制御弁1のメンテナンス性が向上する。
また、本実施形態のシーソー式流体制御弁1では、第1弁座12に対する第1弁体30の弁開度V1が少なくとも、シーソー板60延設部62の先端部62Tの位置に基づいて確認可能な弁開度確認手段81を備えること、を特徴とするので、作業者は、シーソー式流体制御弁1を覆う本体カバー79及びインジケータカバー80のうち、シーソー板60の延設部62の先端部62T周辺を覆う無色透明な樹脂製のインジケータカバー80に、シーソー板60の揺動位置(第1弁体30の弁開度V1、第2弁体40の弁開度V2)に対応するスケール等の弁開度確認手段81により、第1弁体30の弁開度V1と第2弁体40の弁開度V2とをそれぞれ、定量的に簡単に確認することができる。
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できる。
(1)例えば、実施形態では、シーソー式流体制御弁1を、医療用分析装置90に装着したが、本発明のシーソー式流体制御弁は、揺動軸を支点に揺動するシーソー板により、第1流路の第1弁座と当接または離間する第1弁体と、第2流路の第2弁座と当接または離間する第2弁体とを共に移動させ、第1流路と第3流路との間の流体の流れと、第2流路と第3流路との間の流体の流れを制御するものであれば、医療用分析装置に限らず、その他にも適宜適用可能である。
(2)また、実施形態では、実施例1乃至3において、シーソー式流体制御弁1の医療用分析装置90への接続例を挙げたが、医療用分析装置において、本発明のシーソー式流体制御弁が装着される接続形態は、図18乃至図20に示す配管回路図に限らず、適宜変更可能である。
(1)例えば、実施形態では、シーソー式流体制御弁1を、医療用分析装置90に装着したが、本発明のシーソー式流体制御弁は、揺動軸を支点に揺動するシーソー板により、第1流路の第1弁座と当接または離間する第1弁体と、第2流路の第2弁座と当接または離間する第2弁体とを共に移動させ、第1流路と第3流路との間の流体の流れと、第2流路と第3流路との間の流体の流れを制御するものであれば、医療用分析装置に限らず、その他にも適宜適用可能である。
(2)また、実施形態では、実施例1乃至3において、シーソー式流体制御弁1の医療用分析装置90への接続例を挙げたが、医療用分析装置において、本発明のシーソー式流体制御弁が装着される接続形態は、図18乃至図20に示す配管回路図に限らず、適宜変更可能である。
(3)また、実施形態では、弁開度確認手段81の一例として、シーソー板60の延設部62の先端部62Tに先端部目盛62Tmを、インジケータカバー80に第1弁体の弁開度V1等を記したが、弁開度確認手段は、実施形態に限定されるものではない。一例として、弁開度確認手段は、インジケータカバー80に対応するカバーに弁開度の状態を異なる色で識別して表示したインジケータでも良い。図23は、実施形態の変形例に係るシーソー式流体制御弁のシーソー板を示す説明図であり、図24は、実施形態の変形例に係るシーソー式流体制御弁を示す説明図である。
また、その他の例として、弁開度確認手段は、図23に示すように、シーソー板60Aの延設部62Aの先端部60Taに着色しておき、インジケータカバー80に対応するカバーで生じる屈折を利用する。そして、弁開度が「開」状態になると、着色が大きく広がるインジケータ等、シーソー板の延設部の先端部の位置を利用して、第1弁体等の弁開度が判断できるものであれば良い。勿論、図24に示すように、シーソー板60の延設部62の先端部の位置を、マイクロスイッチ、フォトセンサ等のセンサ180で検出(例えば、図24中、紙面裏側から紙面表側に向けて発光された光を延設部62の先端部に照射等)して第1弁体等の弁開度が判別できるものでも良い。または、シーソー板の延設部の先端部の位置を、先端部近傍でライトを照射し、その光を、シーソー板の延設部の先端部で遮断、または透過して、第1弁体等の弁開度が判別できるものでも良い。
(4)また、実施形態では、弁開度確認手段81等を、第1弁体30側にあるインジケータカバー80に設けたが、弁開度確認手段は、第1弁体側と第2弁体側の両側、または第2弁体側に、シーソー板の延設部の先端部に記した先端部目盛と共に、設けても良い。
(4)また、実施形態では、弁開度確認手段81等を、第1弁体30側にあるインジケータカバー80に設けたが、弁開度確認手段は、第1弁体側と第2弁体側の両側、または第2弁体側に、シーソー板の延設部の先端部に記した先端部目盛と共に、設けても良い。
1 シーソー式流体制御弁
11 第1流路
12 第1弁座
13 第2流路
14 第2弁座
15 第3流路
30 第1弁体
40 第2弁体
60,160 シーソー板
62,162 延設部
62T,160T 先端部
63 第1ピン
63c (第1ピンの)中心
65 第2ピン
65c (第2ピンの)中心
68 揺動軸
81 弁開度確認手段
181 センサ(弁開度確認手段)
S 支点
L (シーソー板の)長手方向
V1 第1弁体の弁開度
P1 第1ピン間距離
P2 第2ピン間距離
E1 第1弁体の作用点
E2 第2弁体の作用点
SE1 第1作用点間距離
SE2 第2作用点間距離
11 第1流路
12 第1弁座
13 第2流路
14 第2弁座
15 第3流路
30 第1弁体
40 第2弁体
60,160 シーソー板
62,162 延設部
62T,160T 先端部
63 第1ピン
63c (第1ピンの)中心
65 第2ピン
65c (第2ピンの)中心
68 揺動軸
81 弁開度確認手段
181 センサ(弁開度確認手段)
S 支点
L (シーソー板の)長手方向
V1 第1弁体の弁開度
P1 第1ピン間距離
P2 第2ピン間距離
E1 第1弁体の作用点
E2 第2弁体の作用点
SE1 第1作用点間距離
SE2 第2作用点間距離
Claims (6)
- 揺動軸を支点に揺動するシーソー板と、第1流路に設けられた第1弁座と当接または離間する第1弁体と、第2流路に設けられた第2弁座と当接または離間する第2弁体と、前記第1流路と前記第2流路とに連通する第3流路と、を有し、前記シーソー板の揺動運動により、前記第1弁体と前記第2弁体とを共に移動させ、前記第1流路と前記第3流路との間の流体の流れと、前記第2流路と前記第3流路との間の流体の流れとを切り替えるシーソー式流体制御弁において、
前記シーソー板に、前記第1弁体と係合する第1ピンが、前記支点の一方側の位置に固設されていると共に、前記第2弁体と係合する第2ピンが、前記支点を挟む前記第1ピンとは反対側の位置に固設されていること、
を特徴とするシーソー式流体制御弁。 - 請求項1に記載するシーソー式流体制御弁において、
前記第1ピンと前記第2ピンを前記シーソー板に固設することにより、前記第1ピンの中心と前記支点との第1ピン間距離と、前記第2ピンの中心と前記支点との第2ピン間距離とが、変化しないこと、
を特徴とするシーソー式流体制御弁。 - 請求項2に記載するシーソー式流体制御弁において、
前記第1ピン間距離と前記第2ピン間距離とが等距離に設定されていること、
を特徴とするシーソー式流体制御弁。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載するシーソー式流体制御弁において、
前記シーソー板は、少なくとも前記第1ピンに対し、前記支点から遠ざかる方向に延設された延設部を有すること、
を特徴とするシーソー式流体制御弁。 - 請求項4に記載するシーソー式流体制御弁において、
前記シーソー板の長手方向に対し、前記延設部の先端部が、当該シーソー式流体制御弁の外部から視覚的に確認できる位置に配置されていること、
を特徴とするシーソー式流体制御弁。 - 請求項5に記載するシーソー式流体制御弁において、
前記第1弁座に対する前記第1弁体の弁開度が少なくとも、前記先端部の位置に基づいて確認可能な弁開度確認手段を備えること、
を特徴とするシーソー式流体制御弁。
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