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JP5858169B2 - 物理量検出装置及びこれを用いた電動パワーステアリング装置 - Google Patents

物理量検出装置及びこれを用いた電動パワーステアリング装置 Download PDF

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Description

本発明は、トルク、角度等の物理量を検出する物理量検出部と検出した物理量が入力される制御部とを有する物理量検出装置及びこれを用いた電動パワーステアリング装置に関する。
従来、例えば、電動パワーステリング装置においては、物理量検出部となるトルクセンサで検出した操舵トルクを制御部となる制御装置に供給し、この制御装置で、操舵トルクに応じてステアリング系に操舵補助力を伝達する電動モータに流す電流を制御するようにしている。
この種の電動パワーステアリング装置では、トルクセンサで検出した操舵トルクに基づいて電動モータに供給する電流を制御する関係で、トルクセンサの異常検出を行うようにしている。
このようなトルクセンサの異常を検出するために、従来、例えばトルク検出手段の検出結果に基づいて故障検出を行う故障検出手段を備えた磁歪式トルクセンサ及び電動ステアリング装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、回転軸に装備され当該回転軸に加わるトルクに対応して所定の電気信号を出力するトルクセンサと、このトルクセンサから出力される所定の電気信号をセンサ回路信号として出力するセンサ回路と、このセンサ回路の出力を信号処理しトルク検出信号として出力信号処理回路とを備えたトルク検出装置において、前記信号処理回路に、前記センサ回路信号に基づいて作動し前記センサ回路からの信号出力の異常動作発生の有無を監視する異常状態監視回路を並設し、この異常状態監視回路で、センサ回路信号にかかる信号が発振状態であると判定したときにハイレベル又はローレベルの異常発生信号をパワーステアリングコントローラに出力するようにしたトルク検出装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特許第4572227号公報 特許第3791253号公報
ところで、上記特許文献1及び特許文献2に記載された従来例にあっては、トルク検出手段の検出結果に基づいて故障検出を行うか、またはトルクセンサから出力される所定の電気信号をセンサ回路信号として出力センサ回路の信号異常を検出するようにしている。
しかしながら、上記両従来例にあっては、トルクセンサあるいはトルク検出装置の内部で算出されたトルクの異常を検出するようにしており、トルクセンサあるいはトルク検出装置のトルク検出信号を制御装置に供給する伝送路の異常については検出することができないという未解決の課題がある。
そこで、本発明は上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、物理量検出部と制御部との間の信号伝送系の異常を検出することが可能な物理量検出装置及びこれを使用した電動パワーステアリング装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明に係る物理量検出装置の第1の態様は、物理量を検出して物量検出信号を出力する物理量検出部と、該物理量検出部から出力される物理量が伝送路を介して入力され、当該物理量に基づいて制御を行う制御部とを備えた物理量検出装置である。そして、前記物理量検出部は、前記物理量検出信号及び前記制御部との間の伝送系の異常を検出する診断信号をノイズフィルタを介して前記制御部に出力し、前記制御部は診断信号を受信したときに、当該診断信号に基づいて前記伝送系の異常を判定する異常判定部を備え、前記異常判定部は、受信した前記診断信号の立ち上がり及び立ち下がりの少なくとも一方の変化状態を検出することにより、前記ノイズフィルタの異常を判断する
また、本発明に係る物理量検出装置の第2の態様は、前記物理量検出部は、前記物理量検出信号と前記診断信号とを切り換える信号切換部を備えている。
また、本発明に係る物理量検出装置の第3の態様は、前記物理量検出部は、電源投入時に所定期間前記診断信号を出力する。
また、本発明に係る物理量検出装置の第の態様は、前記物理量検出部が、一定時間毎に所定期間前記診断信号を出力するようにしている。
また、本発明に係る物理量検出装置の第の態様は、前記物理量検出部は、前記診断信号として前記物理量検出信号に対して識別可能な信号としている。
また、本発明に係る物理量検出装置の第の態様は、前記制御部が、前記物理量検出部に対して診断信号出力要求を出力するように構成され、前記物理量検出部が、前記診断信号出力要求を受信したときに前記診断信号を前記伝送路に出力する。
た、本発明に係る物理量検出装置の第7の態様は、前記物理量検出部が、前記物理量検出信号として物理量に応じたパルス幅のパルス幅変調信号を出力し、前記診断信号は前記パルス幅変調信号の有効範囲外のデューティ比に設定されている。
また、本発明に係る電動パワーステアリング装置の第1の態様は、上記第1の態様から上記第7の態様のいずれか1つの態様に記載された物理量検出装置を備え、当該物理量検出装置は、操舵トルク指令値を算出するために必要とする少なくとも1つの物理量を検出して物理量検出信号出力するとともに、前記診断信号を出力し、前記制御部は、前記物理量検出装置の物量検出信号に基づいて操舵トルク指令値を算出し、算出した操舵トルク指令値に基づいて操舵補助力を発生する電動モータを制御するとともに、診断信号を受信したときに前記伝送系の異常を判定する異常判定部を備えている。
本発明によれば、物理量検出部から物理量検出信号の他に診断信号を伝送路を介して制御部に出力し、制御部で物理量検出信号に基づいて制御を行うとともに、診断信号を受信したときに伝送系の異常判定を行う。このため、物理量検出信号の異常を判別することができるとともに、伝送系の信号伝送異常を正確に検出することができ、物理量検出装置の信頼性を向上させることができる。
本発明を適用した電動パワーステアリング装置の概略構成図である。 本実施形態におけるトルクセンサ及びコントローラの構成を示すブロック図である。 トルクセンサの演算部で実行する信号切換処理手順の一例を示すフローチャートである。 操舵補助制御装置のマイクロコントロールユニットで実行する操舵補助制御処理手順の一例を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態を示すトルクセンサ及びコントローラの構成を示すブロック図である。 第2の実施形態における信号切換処理手順の一例を示すフローチャートである。 第2の実施形態における操舵補助制御処理手順の一例を示すフローチャートである。 第3の実施形態における操舵補助制御処理手順の一例を示すフローチャートである。 図8の診断信号受信処理の具体例を示すフローチャートである。 第3の実施形態の動作の説明に供する診断信号の受信状態を示す波形図である。 断線時の受信信号の受信状態を示す波形図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態を示す電動パワーステアリング装置の一例を示す全体構成図である。
この電動パワーステアリング装置では、ステアリングホイール1に運転者から作用される操舵力が入力軸2aと出力軸2bとを有するステアリングシャフト2に伝達される。このステアリングシャフト2は、入力軸2aの一端がステアリングホイール1に連結され、他端は物理量検出装置の検出部としてのトルクセンサ3を介して出力軸2bの一端に連結されている。
出力軸2bに伝達された操舵力は、ユニバーサルジョイント4を介してロアシャフト5に伝達され、さらに、ユニバーサルジョイント6を介してピニオンシャフト7に伝達される。このピニオンシャフト7に伝達された操舵力はステアリングギヤ8を介してタイロッド9に伝達され、図示しない転舵輪を転舵させる。ここで、ステアリングギヤ8は、ピニオンシャフト7に連結されたピニオン8aとこのピニオン8aに噛合するラック8bとを有するラックアンドピニオン形式に構成され、ピニオン8aに伝達された回転運動をラック8bで直進運動に変換している。
ステアリングシャフト2の出力軸2bには、操舵補助力を出力軸2bに伝達する操舵補助機構10が連結されている。この操舵補助機構10は、出力軸2bに連結した減速機構11と、この減速機構11に連結されて操舵系に対して操舵補助力を発生する電動モータ12とを備えている。
トルクセンサ3は、ステアリングホイール1に付与されて入力軸2aに伝達された操舵トルクを検出するもので、例えばパルス幅変調(PWM)出力型のセンサユニット3aを備えている。このセンサユニット3aは、トルクセンサ部3bと、演算部3cと、信号出力部3dと、電源回路3eとを備えている。
トルクセンサ部3bは、操舵トルクを入力軸2a及び出力軸2b間に介装した図示しないトーションバーの捩れ角変位に変換し、この捩れ角変位を例えば電流変化に変換して出力する。このトルクセンサ部3bの一例は、例えば特開2006−267045号公報に開示されているように、入力軸2a及び出力軸2bの何れか一方の外周面に形成した延長方向に延長する複数の突条と、この突条に対向するように他方に固定され円周方向に長方形の窓が形成された円筒部材と、この円筒部材の外周側に固定された回転軸に生じるトルクに応じて互いに逆方向にインピーダンスが変化する少なくとも2つの検出コイルと、これら2つの検出コイルに個別に直列に抵抗を接続して検出コイルのインピーダンス変化を検出するブリッジ回路と、このブリッジ回路に交流信号を供給する交流信号源とを有する。そして、ブリッジ回路の検出コイルの両端電圧を増幅してA/D変換してディジタル電圧信号として出力する。
また、演算部3cは、トルクセンサ部3bから出力されるディジタル電圧信号を入力し、このディジタル電圧信号に基づいて所定のトルク演算処理を行ってトルク検出値を算出し、算出したトルク検出値に応じた所定の有効範囲のデューティ比(例えば5〜95%)のパルス幅のトルク検出信号となるパルス幅変調(PWM)信号Stを形成する。
また、演算部3cでは、電源回路3eから電源電圧が供給開始されてから所定期間の間トルク検出信号となるパルス幅変調信号に代えて診断信号Sdを形成する。この診断信号Sdは、トルク検出信号となるパルス幅変調信号の有効範囲外となる1〜4%のデューティ比又は96〜99%のデューティ比に設定されており、トルク検出信号となるパルス幅変調信号Stに対して識別可能な信号とされている。
さらに、演算部3cは、パルス幅変調信号St及び診断信号Sdを切り換える信号切換部3caを備えている。この信号切換部3caは、電源回路3eから電源電圧が供給介しされてから所定期間の間診断信号Sdを選択し、所定期間の経過後はパルス幅変調信号Stを選択する。
この演算部3cでは、電源が投入されると図3に示す信号切換処理を実行する。この信号切換処理は、先ず、ステップS1の初期化処理で電源投入後の所定期間の診断期間であることを表す診断期間フラグF1を“1”にセットするとともに、診断期間を計数する変数Nを“0”にクリアする。
次いで、ステップS2で診断期間フラグF1が“1”にセットされているか否かを判定し、診断期間フラグF1が“1”にセットされているときには、ステップS3に移行し、前述したパルス幅変調(PWM)信号の有効範囲外となるデューティ比1〜4%又は96〜99%の何れかに設定されたパルス幅変調(PWM)信号でなる診断信号を信号出力部3dに出力してからステップS4へ移行する。
このステップS4では、診断期間を計数する変数Nを“1”だけインクリメントしてからステップS5に移行し、変数Nが予め設定した所定数Nsに達したか否かを判定する。この判定結果が、N<Nsであるときには前記ステップS2に戻り、N≧NsであるときにはステップS6に移行して、診断期間フラグF1を“0”にリセットしてからステップS2に戻る。
一方、ステップS2の判定結果が、診断期間フラグF1が“0”であるときには、ステップS7に移行して、トルクセンサ部3bから出力されるディジタル電圧信号を読込んでからステップS8に移行する。
このステップS8では、読込んだディジタル電圧信号の差分信号を演算し、差分信号を全波整流してから平均化するとともに中立電圧を調整してトルク検出値を算出するトルク検出値算出処理を行う。
次いで、ステップS9に移行して、算出したトルク検出値を基に例えばデューティ比算出マップを参照してデューティ比を算出し、算出したデューティ比のパルス幅変調信号Stを信号出力部3dに出力してから前記ステップS2に戻る。
この図3の信号切換処理が信号切換部3caに対応している。
信号出力部3dは、演算部3cから出力されるパルス信号幅変調信号をトルク検出信号としてノイズフィルタ3fを介して出力端子tsoに出力する。
電源回路3eは、後述する制御部としての操舵補助制御装置20からノイズフィルタ3gを介して供給される電源電圧を演算部3c及び信号出力部3dで使用する電圧に変換して、演算部3c及び信号出力部3dに出力する。
このトルクセンサ3から出力されるトルク検出信号Tは操舵補助制御装置20に入力される。
この操舵補助制御装置20は、車載のバッテリ21から電源供給されることによって作動し、ステアリング系に操舵力を付与する例えば3相ブラシレスモータで構成される電動モータ12を駆動制御する。バッテリ21の負極は接地され、その正極はエンジン始動を行うイグニッションスイッチ22を介して操舵補助制御装置20に接続されると共に、イグニッションスイッチ22を介さず直接操舵補助制御装置20に接続されている。
操舵補助制御装置20には、図2に示すように、トルクセンサ3で検出されたトルク検出信号Tがノイズフィルタ23を介して入力されるとともに、車速センサ24で検出した車速検出値Vsが車両内のコントローラを接続するネットワークである車両CAN(controller area network)25を介して入力される。
この操舵補助制御装置20は、例えばマイクロコンピュータで構成される制御部としてのマイクロコントロールユニット(MCU)31と、モータ駆動回路32と、FETゲート駆動回路33と、モータ電流検出回路34とを備えている。
マイクロコントロールユニット31は、各種センサの検出信号に基づいて操舵補助力を電動モータ12で発生するための各相電圧指令値を演算し、これに基づいてパルス幅変調(PWM)制御信号を生成する。
モータ駆動回路32は、電動モータ12を駆動する電界効果トランジスタ(FET)で構成されている。
FETゲート駆動回路33は、マイクロコントロールユニット31から出力されるPWM制御信号に基づいてモータ駆動回路32の電界効果トランジスタのゲート電圧を制御する。
モータ電流検出回路34は、電動モータ12の各相に供給される各相電流を検出する。
このモータ電流検出回路34は、モータ駆動回路32を構成するインバータ回路のU相アーム、V相アーム及びW相アームの負極側に介挿されたモータ電流検出用抵抗の両端電圧からU相、V相及びW相のモータ電流を検出する。
また、操舵補助制御装置20は、バッテリ21からの電力をモータ駆動回路32に供給する電源リレー35を有し、この電源リレー35の導通/非導通がマイクロコントロールユニット31によって制御される。また、操舵補助制御装置20は、車両CAN25とのインタフェース処理を行って車速検出値Vsを受信するCANインタフェース回路36を備えている。
さらに、操舵補助制御装置20は、バッテリ21にイグニッションスイッチ22を介して接続されるとともに、電源リレー35を介して接続される電源回路37を備えている。この電源回路37はバッテリ電圧(例えば12V)をマイクロコントロールユニット31やFETゲート駆動回路33で必要とする内部電圧(例えば5V)に降圧するレギュレータで構成されている。
この電源回路37から出力される内部電圧はマイクロコントロールユニット31、FETゲート駆動回路33、モータ電流検出回路34、CANインタフェース回路36等に内部電源として供給されるとともに、電源出力端子tpoを介してトルクセンサ3に供給される。
また、マイクロコントロールユニット31は、図2に示すように、トルクセンサ3との信号伝送路の異常を判定する異常判定部31aを備えている。そして、マイクロコントロールユニット31は図4に示す操舵補助制御処理を実行する。
この操舵補助制御処理は、イグニッションスイッチ22がオン状態となって、電源回路27からマイクロコントロールユニット31に電源が投入されたときに実行開始される。
すなわち、先ず、ステップS11で初期化処理を行って、診断状態フラグF2を“1”にセットするとともに、診断信号受診回数を計数する変数N2を“0”にクリアし、さらにタイマをセットして診断期間の計時を開始させると共に、電源リレー5を導通状態に制御する。
次いでステップS12に移行して、診断状態フラグF2が“1”にセットされているか否かを判定し、診断状態フラグF2が“1”にセットされているときにはステップS13に移行する。
このステップS13では、前述したトルクセンサ3の演算部3cから出力される所定デューティ比の診断信号を受診したか否かを判定し、診断信号を受診したときには、ステップS14に移行して診断信号受診回数を表す変数N2を“1”だけインクリメントしてからステップS15に移行し、診断信号を受診していないときには直接ステップS15へ移行する。
このステップS15では、タイマがタイムアップしたか否かを判定し、タイムアップしていないときには前記ステップS12へ戻り、タイムアップしたときにはステップS16へ移行して、変数N2が予め設定した設定値N2sに達したか否かを判定する。
このステップS16の判定結果が、N2≧N2sであるときにはトルクセンサ3とマイクロコントロールユニット31との間の信号伝送路が正常であると判断して診断状態フラグF2を“0”にリセットしてからステップS12へ戻る。
また、ステップS16の判定結果が、N2<N2sであるときにはトルクセンサ3及びマイクロコントロールユニット31間の信号伝送路に異常が発生しているものと判断してステップS18へ移行する。
このステップS18では、トルクセンサ異常警報信号を警報回路40へ出力して、警報回路40から音、光、画像情報等でなるトルクセンサ異常警報を報知してから操舵補助制御処理を終了する。ここで、トルクセンサ異常と判断した場合には、公知のトルク代替値を制御値に切換えて、アシスト継続させてもよい。
一方、ステップS12の判定結果が、診断状態フラグF2が“0”にリセットされているときにはステップS19に移行して、トルクセンサ3、車速センサ24、モータ電流検出回路34等の各種センサの検出値を読込み、次いでステップS20に移行して、操舵トルクT及び車速検出値Vsをもとに車速をパラメータとして操舵トルクと操舵補助電流指令値との関係を表す操舵補助電流指令値算出マップを参照して操舵補助電流指令値Irefを算出してからステップS21に移行する。
このステップS21では、算出した操舵補助電流指令値Irefに基づいてd−q軸電流指令値演算処理を実行してd軸電流指令値Idref及びq軸電流指令値Iqrefを算出し、次いでステップS22に移行して2相/3相変換処理を行って三相のモータ電流指令値Iuref〜Iwrefを算出する。
次いで、ステップS23に移行して、モータ電流指令値Iuref〜Iwrefからモータ電流Iu〜Iwを減算して電流偏差ΔIu〜ΔIwを算出し、次いでステップS24に移行して、電流偏差ΔIu〜ΔIwについてPI制御処理を行って電圧指令値Vuref〜Vwrefを算出してからステップS25へ移行する。
このステップS25では、算出した電圧指令値Vuref〜Vwrefに基づいてデューティ比を演算してからパルス幅変調処理を行ってゲート制御信号を形成し、次いでステップS26に移行して、形成したゲート制御信号をFETゲート駆動回路33に出力してから前記ステップS19へ戻る。
この図4の処理において、ステップS11〜ステップS18の処理が異常判定部31aに対応している。
なお、電源リレー35は、マイクロコントロールユニット31の各種制御処理が終了した状態で非通電状態に復帰される。
次に、上記第1の実施形態の動作を説明する。
今、車両が停止していて、イグニッションスイッチ22がオフ状態であり、電源リレー35も非通電状態であるものとすると、この状態では、操舵補助制御装置20の電源回路37にバッテリ21からの電力が供給されておらず、電源回路37から内部電圧が出力されていない。このため、マイクロコントロールユニット31、モータ駆動回路32、FETゲート駆動回路33、モータ電流検出回路34、警報回路40等が非作動状態となっており、電動モータ12も回転停止状態にある。
同様に、トルクセンサ3も操舵補助制御装置20の電源回路37から内部電源が電源回路3eに供給されていないので、トルクセンサ部3b、演算部3c及び信号出力部3dが非作動状態となっている。
この状態から運転者がイグニッションスイッチ22をオン状態としてエンジンを始動すると、バッテリ21からの電力がイグニッションスイッチ22を介して電源回路37に供給される。このため、電源回路37から例えば5Vの内部電圧がマイクロコントロールユニット31、FETゲート駆動回路33、モータ電流検出回路34、警報回路40等に供給され、これらが作動状態となる。
これと同時に、電源回路37から出力される内部電圧が電源出力端子tpo、電源入力端子tpiを通じ、ノイズフィルタ3gを通じてトルクセンサ3の電源回路3eに供給される。このため、電源回路3eから内部電圧がトルクセンサ部3b、演算部3c及び信号出力部3dに出力され、これらが作動状態となる。
このとき、トルクセンサ3の演算部3cで前述した図3に示す信号切換処理が実行開始され、先ず、初期化処理を行って、診断期間フラグF1を“1”にセットすると共に、診断期間を計数する変数Nを“0”にクリアする(ステップS1)。
次いで、診断期間フラグF1が“1”にセットされているので、ステップS2からステップS3に移行して、通常の操舵トルク検出値を表すパルス幅変調(PWM)信号の有効範囲外となる所定デューティ比の診断信号を信号出力部3dに出力する。
その後、診断期間を計数する変数Nを“1”だけインクリメントし(ステップS4)、次いで診断期間変数Nが所定数Nsに達したか否かを判定し(ステップS5)、診断期間変数Nが所定数に達するまで診断信号の出力を繰り返す。
一方、操舵補助制御装置20では、同様にマイクロコントロールユニット31で図4に示す操舵補助制御処理が実行開始され、初期化処理で診断状態フラグF2が“1”にセットされると共に、診断信号受信回数を表す変数N2を“0”にクリアし、さらに診断期間を設定するタイマをセットする(ステップS11)
次いで、診断状態フラグF2が“1”にセットされているので、ステップS12からステップS13に移行して、トルクセンサ3から所定デューティ比の診断信号を受信したか否かを判定する。このとき、診断信号を受信したときには診断信号受信回数を表す変数N2を“1”だけインクリメントしてからタイマがタイムアップしたか否かを判定し、タイマがセットされたばかりであるので、ステップS12に戻る。
そして、上記ステップS12〜S15の診断信号の受信回数の計数処理をタイマがタイムアップするまで即ちトルクセンサ3の演算部3cで設定された診断期間が経過するまで繰り返し実行される。
そして、診断期間が経過すると、トルクセンサ3の演算部3cで実行しているトルク演算処理では、診断期間フラグF1が“0”にリセットされ(ステップS6)、これによりステップS2からステップS7に移行して、通常のトルクセンサ部3bからブリッジ回路の出力電圧を読込み、これら出力電圧の差分電圧を全波整流処理してから平均化すると共に、中立電圧を調整してトルク検出値を算出するトルク検出値演算処理を行う(ステップS8)。
そして、算出したトルク検出値をもとにデューティ比算出マップを参照してトルク検出値に応じたデューティ比を算出し、算出したデューティ比のパルス幅変調(PWM)信号を信号出力部3dに出力し、この信号出力部3dからパルス幅変調(PWM)信号をトルク検出信号として出力端子tsoに出力する。
同様に、操舵補助制御装置20のマイクロコントロールユニット31では、電源投入時から診断期間の間診断信号の受信処理を繰り返して、診断信号を受信する毎に診断信号受信回数を表す変数N2をインクリメントしている。このため、トルクセンサ3のセンサユニット3aと操舵補助制御装置20のマイクロコントロールユニット31との間の信号伝送系に異常がない場合には、診断信号受信回数を表す変数N2が所定値N2s以上となっている。したがって、タイマがタイムアップしたときにステップS15からステップS16を経てステップS17に移行して、診断状態フラグF2が“0”にリセットされる。
したがって、ステップS12に戻ったときに、ステップS12からステップS19へ移行して、トルク検出信号T、車速検出値Vs、モータ電流検出値等の読込を行い、読込んだトルク検出信号T及び車速検出値Vsに基づいて操舵補助電流指令値算出マップを参照して操舵補助電流指令値Irefを算出する(ステップS20)。
そして、算出した操舵補助電流指令値Irefに基づいてd−q軸指令値演算処理を行って、d軸電流指令値Idref及びq軸電流指令値Iqrefを算出し(ステップS22)、次いで、算出したd軸電流指令値Idref及びq軸電流指令値Iqrefを2相/3相変換処理して3相のモータ電流指令値Iuref〜Iwrefを算出する(ステップS23)。
次いで、算出したモータ電流指令値Iuref〜Iwrefから個別にモータ電流検出値Iu〜Iwを減算して電流偏差ΔIu〜ΔIwを算出し(ステップS23)、算出した電流偏差ΔIu〜ΔIwをPI制御処理して電圧指令値Vuref〜Vwrefを算出し(ステップS24)、算出した電圧指令値Vuref〜Vwrefに基づいてパルス幅変調処理してゲート制御信号を形成し(ステップS25)、形成したゲート制御信号をFETゲート駆動回路33に出力する(ステップS26)。
これにより、FETゲート駆動回路33からゲート制御信号がモータ駆動回路32に出力されて、このモータ駆動回路32から3相のモータ電流Iu〜Iwが電動モータ12に出力される。これによって、電動モータ12が回転駆動されて操舵トルク検出値に応じた操舵補助トルクを発生し、この操舵補助トルクが減速機構11を介してステアリングシャフト2の出力軸2bに伝達される。したがって、ステアリングホイール1を軽い操舵力で操舵することができる。
一方、電源投入時の診断処理で、診断信号受信回数を表す変数N2が予め設定した所定値N2s未満であるときには、トルクセンサ3の演算部3c及び操舵補助制御装置20のマイクロコントロールユニット31間の信号伝送系に異常が発生しているものと判断する。
このため、タイマがタイムアップして診断期間が終了した時点でステップS16からステップS18に移行して、トルクセンサ異常警報信号を警報回路40に出力してから操舵補助制御処理を終了する。この警報回路40では、音、光、画像情報等による警報を発して運転者にトルク検出値伝送系の異常を運転者に報知する。トルクセンサ異常と判断した場合には、公知のトルク代替値を制御に切換えて、アシストを継続させてもよい。
この結果、マイクロコントロールユニット31で読込む操舵トルク検出信号が異常である状態で操舵補助制御処理を実行することを確実に防止することができる。
このように、上記第1の実施形態によると、トルクセンサ3の演算部3cで、少なくとも電源投入開始時に、操舵補助制御装置20の制御部となるマイクロコントロールユニット31に対する診断信号を生成して出力し、マイクロコントロールユニット31側で診断信号を正常に受信したか否かを判定するようにしている。このため、トルクセンサ3の演算部3cと、マイクロコントロールユニット31との間のノイズフィルタ3f及び14を含めた信号伝送系の異常を正確に検出することができ、電動パワーステアリング装置の信頼性を向上させることができる。
しかも、異常診断を行う場合に使用する診断信号が通常のトルク検出信号を出力するパルス幅変調(PWM)信号の有効範囲(デューティ比5〜95%)外のデューティ比1〜4%又は96〜99%を使用するので、マイクロコントロールユニット31の診断処理時に診断信号の受信を正確に判断することができる。
さらに、通常動作時にトルクセンサ3の演算部3cから誤って診断信号が出力されても、マイクロコントロールユニット31でトルク検出信号として認識することはなく、誤動作を生じるおそれを回避することができる。
また、診断信号の出力演算処理及び診断信号の受信演算処理をそれぞれソフトウェア処理で行うようにしているので、既存の信号伝送系の診断機能を有さない電動パワーステアリング装置でもトルクセンサ3の演算部3c及び操舵補助制御装置20のマイクロコントロールユニット31のプログラムを変更するだけで、容易に適用することができる。
なお、上記第1の実施形態においては、電源投入時にトルクセンサ3の演算部3cから診断信号を出力し、操舵補助制御装置20のマイクロコントロールユニット31で診断信号を受信する場合について説明したが、これに限定されるものではない。
すなわち、トルクセンサ3の演算部3cで、電源投入後から一定時間T1毎に診断期間フラグF1を“1”に設定して診断信号出力処理(ステップS2〜S6)を行って診断信号を所定期間出力する。
そして、操舵補助制御装置20のマイクロコントロールユニット31で、電源投入後から演算部3cと同一の一定時間T1毎に診断状態フラグF2を“1”に設定するとともに、タイマをセットすることにより、所定期間診断信号の判定処理(ステップS12〜S18)を行う。
この診断信号の判定処理で、診断信号の受信状態に基づいてトルクセンサ3の演算部3cと操舵補助制御装置20のマイクロコントロールユニット31との間の信号伝送系の異常の有無を判定するようにしてもよい。この場合の診断信号の出力期間は、連続的に出力されるトルク検出信号による操舵補助制御に与える影響を少なくする短い期間に設定することが好ましい。
次に、本発明の第2の実施形態について図5を伴って説明する。
この第2の実施形態では、操舵補助制御装置20側からトルクセンサ3に対して診断信号の送出を要求することができるようにしたものである。
すなわち、第2の実施形態では、図5に示すように、操舵補助制御装置20のマイクロコントロールユニット31とトルクセンサ3の演算部3cとの間に診断信号送出要求信号を送信する信号伝送路41が設けられている。
また、トルクセンサ3の演算部3cで実行する信号切換処理で、図6に示すように、ステップS9の次に、操舵補助制御装置20のマイクロコントロールユニット31から診断信号送出要求信号を受信したか否かを判定するステップS31が設けられている。
そして、ステップS31の判定結果が診断信号送出要求信号を受信していないときには前記ステップS2に戻り、診断信号送出要求信号を受信したときにはステップS32に移行して、診断期間フラグF1を“1”にセットしてから前記ステップS2に戻るように変更されている。
さらに、操舵補助制御装置20のマイクロコントロールユニット31で実行する操舵補助制御処理で、図7に示すように、ステップS26の次に、操舵トルク検出値が“0”又はその近傍の不感帯範囲内の値であるか否かを判定するステップS41が追加されている。
このステップS41の判定結果が、操舵トルク検出値が零又はその近傍の不感帯以外の値であるときにはステップS42に移行して、後述する変数N3を“0”にクリアしてから前記ステップS19に戻る。一方、操舵トルク検出値が“0”又はその近傍の不感帯内の値であるときには、中立位置での保舵状態であると判断してステップS43に移行し、保舵状態の継続時間を計時する変数N3を“1”だけインクリメントしてからステップS44に移行する。
このステップS44では、変数N3が予め設定した所定値N3sに達したか否かを判定し、N3<N3sであるときには前記ステップS19に戻り、N3≧N3sであるときにはステップS45に移行して、診断信号送出要求信号を信号伝送路41に送出する。次いで、ステップS46に移行して診断状態フラグF2を“1”にセットすると共に、タイマをセットしてから前記ステップS12に移行する。
この第2の実施形態によると、前述した第1の実施形態と同様に、電源投入時にトルクセンサ3の演算部3cと操舵補助制御装置20のマイクロコントロールユニット31との間の信号伝送路の初期異常診断を行い。さらに、操舵補助制御装置20のマイクロコントロールユニット31の操舵補助制御処理で、操舵トルク検出値が“0”又はその近傍の不感帯内である状態を所定時間継続したときに、マイクロコントロールユニット31からトルクセンサ3の演算部3cに対して診断信号送出要求信号を送出して、トルクセンサ3の演算部3cから診断信号を送出させることができる。
このため、操舵補助制御装置20の作動中にトルクセンサ3の演算部3cと操舵補助制御装置20のマイクロコントロールユニット31との間の信号伝達系の異常診断を行うことができ、電源投入後でも異常診断を行うことができ、より信頼性を向上させることができる。
なお、上記第2の実施形態においては、トルク検出信号が“0”又はその近傍の不感帯内の値であるときに診断信号送出要求信号を、信号伝送路41を介してトルクセンサ3の演算部3cに送信する場合について説明したが、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明では、ステアリングホイール1の操舵角を検出する操舵角センサを有する場合に、操舵角が直進状態を表す中立位置(=“0”)の状態を所定時間継続したときに診断信号送出要求信号を送信してもよく、要は補助操舵制御処理に影響を与えないときに診断信号送出要求信号を送信すればよい。また、一定時間毎に診断信号送出要求信号を送信してもよい。
次に、本発明の第3の実施形態について図8及び図9を伴って説明する。
この第3の実施形態では、トルクセンサ3のトルクセンサ部3aと操舵補助制御装置20のマイクロコントロールユニット31との間に介挿されているノイズフィルタ3f及び23の異常を検出するようにしたものである。
すなわち、第3の実施形態では、前述した第1の実施形態における図2のマイクロコントロールユニット31の異常判定部31aでノイズフィルタ3f及び23の異常を検出する。
すなわち、マイクロコントロールユニット31は、図8に示す操舵補助制御処理を実行する。
この操舵補助制御処理では、前述した図4の操舵補助制御処理において、ステップS13及びS14の処理が診断信号受信処理を行うステップS50が設けられている。
このステップS50の診断信号受信処理は、図9に示すように、まず、ステップS51で、受信信号が0Vから立ち上がったか否かを判定し、受信信号が立ち上がらない場合にはそのまま診断信号受信処理を終了して図8のステップS15に移行する。
また、ステップS51の判定結果が、受信信号が立ち上がった場合には、ステップS52に移行して、ソフトウェアカウンタで構成される立ち上がりカウンタを起動して受信信号の立ち上がり時間より短い一定周期でカウントを開始させる。
次いで、ステップS53に移行して、受信信号レベルが電源電圧となる例えば5Vの設定レベルに到達したか否かを判定する。このステップS53では、受信レベルが設定レベルに達していないときには、受信レベルが設定レベルに到達するまで待機し、受信レベルが設定レベルに到達したときはステップS54移行する。
このステップS54では、立ち上がりカウンタのカウント値Tn1を読込み、次いでステップS55に移行して、読込んだカウント値Tn1がノイズフィルタ3f及び23が共に正常な状態でのカウント値より小さい値に予め設定された設定カウント値Tnsより小さいか否かを判定する。
このステップS55の判定は、受信信号の立ち上がりが急峻であるか否かを判定するものである。すなわち、ノイズフィルタ3f及び23は通常ローパスフィルタで構成され、積分要素として作用するので、ノイズフィルタ3f及び23が正常であるときには、図10に点線図示のように、受信信号の立ち上がりが比較的緩やかな変化率で立ち上がるが、ノイズフィルタ3f及び23に異常が発生してフィルタとしての動作が行えない状態となると、積分要素が作用しなくなるため、図10で実線図示のように立ち上がりが急峻になる。
したがって、受信信号が0Vから設定レベルとなる5Vまで立ち上がる時間を立ち上がりカウンタで計時することにより、そのカウント値からノイズフィルタ3f及び23の良否を判定することができる。
そして、ステップS55の判定結果がTn1<Tnsであるときには、ノイズフィルタ3f及び23の何れか一方に異常が生じたものと判断してステップS56に移行して、ノイズフィルタ3f及び23が異常であることを表すフィルタ異常フラグFNA1を“1”にセットしてからステップS58に移行し、Tn1≧Tnsであるときにはノイズフィルタ3f及び23が正常であると判断してステップS57に移行して、フィルタ異常フラグFNA1を“0”にリセットしてからステップS58に移行する。
ステップS58では、受信信号が立ち下がり状態となったか否かを判定し、受信信号が立ち下がらないときには受信信号が立ち下がるまで待機し、受信信号が立ち下がったときには、ステップS59に移行する。
このステップS59では、ソフトウェアカウンタで構成される立ち下がりカウンタを起動して、受信信号の立ちがり時間より短い一定周期でカウントを開始させ、次いでステップS60に移行して、立ち上がりカウンタのカウントを停止させてからステップS61に移行する。この受信信号の立ち下がり時点で立ち上がりカウンタのカウントを停止させることにより、立ち上がりカウンタのカウント値が受信信号のオン区間の時間Tonを表すことになる。
ステップS61では、受信信号レベルが0Vに到達したか否かを判定し、受信信号レベルが0Vに到達していないときには、受信信号レベルが0Vに到達するまで待機し、受信信号レベルが0Vに到達したときにはステップS62に移行する。
このステップS62では、立ち下がりカウンタのカウント値Tn2を読込み、次いでステップS63に移行して、読込んだカウント値Tn2がノイズフィルタ3f及び23が共に正常な状態でのカウント値より小さい値に予め設定された設定カウント値Tnsより小さいか否かを判定する。
このステップS63の判定は、受信信号の立ち下がりが急峻であるか否かを判定するものである。すなわち、ノイズフィルタ3f及び23が正常であるときには、図10に点線図示のように、受信信号の立ち下がりが比較的緩やかな変化率で立ち下がるが、ノイズフィルタ3f及び23に異常が発生してフィルタとしての動作が行えない状態となると、積分要素が作用しなくなるため、図10で実線図示のように立ち下がりが急峻になる。
したがって、受信信号が電源電圧である5Vから0Vまで立ち下がる時間を立ち下がりカウンタで計時することにより、そのカウント値からノイズフィルタ3f及び23の良否を判定することができる。
そして、ステップS63の判定結果がTn2<Tnsであるときには、ノイズフィルタ3f及び23の何れか一方に異常が生じたものと判断してステップS64に移行して、ノイズフィルタに異常が発生した状態であることを表すフィルタ異常フラグFNA2を“1”にセットしてから前記ステップS66に移行し、Tn2≧Tnsであるときにはノイズフィルタ3f及び23が正常であると判断してステップS65に移行してフィルタ異常フラグFNA2を“0”にリセットしてからステップS66に移行する。
ステップS66では、受信信号が再度立ち上がったか否かを判定し、受信信号が立ち上がっていないときには受信信号が立ち上がるまで待機し、受信信号が立ち上がったときにはステップS67に移行する。
ステップS67では、立ち下がりカウンタを停止させてからステップS68に移行する。このときの立ち下がりカウンタのカウント値Tn2が受信信号のオフ区間の継続時間Toffを表す。
ステップS68では、停止されている立ち上がりカウンタのカウント値Tn1で表される受信信号のオン区間の継続時間Tonと、立ち下がりカウンタのカウント値Tn2で表される受信信号のオフ区間の継続時間Toffとに基づいて下記(1)式の演算を行って受信信号のデューティ比Dを算出してからステップS69に移行する。
D=Ton/(Ton+Toff) …………(1)
ステップS69では、算出したデューティ比Dが設定された診断信号Sdのデューティ比に該当するか否かを判定することにより、受信信号が診断信号であるか否かを判定し、受信信号ではないときにはそのまま診断信号受信処理を終了して図8のステップS15に移行する。
一方、ステップS69の判定結果が診断信号である場合には、ステップS70に移行して、フィルタ異常フラグFNA1及びFNA2の何れかが“1”にセットされているか否かを判定し、フィルタ異常フラグFNA1及びFNA2の何れかが“1”にセットされているときにはステップS71に移行して、警報回路40に対して、ノイズフィルタの異常を表す警報信号を出力してからステップS72に移行し、フィルタ異常フラグFNA1及びFNA2の双方が“0”にリセットされているときには直接ステップS72に移行する。
このステップS72では、診断信号の受信回数を表す変数N2を“1”だけインクリメントしてから診断信号受信処理を終了して図8のステップS15に移行する。
この第3の実施形態によると、電源投入時に、図9に示す診断信号受信処理で、ステップS51〜S54で受信信号の立ち上がり時間Tn1を測定すると共に、ステップS58〜S62で受信信号の立ち下がり時間Tn2を測定するようにしている。
これら立ち上がり時間Tn1及び立ち下がり時間Tn2は、受信信号の立ち上がり及び立ち下がりの変化率すなわち傾きを表している。したがって、ノイズフィルタ3f及び23が正常であるときには、図10で点線図示のように、診断信号を受信したときに、診断信号の立ち上がり及び立ち下がりが緩やかで変化率が小さく、立ち上がり時間Tn1及び立ち下がり時間Tn2が設定時間Tnsより長くなり、ノイズフィルタ3f及び23が正常であると判断することができる。
しかしながら、例えばノイズフィルタ3f及び23が共に異常となると、受信した診断信号は、図10で実線図示のように、立ち上がり及び立ち下がりが急峻となり、ステップS54で読込んだ立ち上がりカウンタのカウント値Tn1は設定カウント値Tnsより小さくなると共に、ステップS62で読込んだ立ち下がりカウンタのカウント値Tn2も設定カウント値Tnsより小さくなる。
このため、ステップS56でフィルタ異常フラグFNA1が“1”にセットされると共に、ステップS64でフィルタ異常フラグFNA2が“1”にセットされる。
そして、その後に、受信信号が再度立ち上がると、ステップS66からステップS67に移行して、立ちがりカウンタを停止させ、ステップS68で停止している立ち上がりカウンタのカウント値Tn1すなわちオン時間Tonと停止している立ちがりカウンタのカウント値Tn2すなわちオフ時間Toffとに基づいて前記(1)式の演算を行ってデューティ比Dを算出する。
そして、算出したデューティ比Dがトルク検出信号となるパルス幅変調信号Stのデューティ比の有効範囲外であるときに診断信号であると判断することができ、診断信号であると判断したときには、ステップS70に移行して、フィルタ異常フラグFNA1又はFNA2が“1”にセットされているか否かを判定する。この判定結果が、フィルタ異常フラグFNA1及びFNA2の何れかが“1”にセットされているものであるときにはステップS71に移行し、警報回路40にノイズフィルタの異常を表す警報信号を出力して、警報を発する。
また、フィルタ異常フラグFNA1及びFNA2の双方が“0”にリセットされているときには、ノイズフィルタ3f及び23が正常であると判断する。
一方、図11で実線図示のように、受信信号が0Vとから立ち上がらない場合には、ステップS51からそのまま診断信号受信処理を終了することになる。このため、受信信号が立ち上がらない状態が継続した場合には、診断信号の受信回数を表す変数N2が“0”を維持するので、受信トルクセンサ部3aと操舵補助制御装置20のマイクロコントロールユニット31との間が断線状態であると判断することができる。
なお、上記第3の実施形態では、ノイズフィルタ3f及び23が正常であるか否かを判断するために、受信信号の立ち上がり状態として0Vから設定電圧5Vに達するまでの時間を測定し、受信信号の立ち下がり状態を設定電圧5Vから0Vに達するまでの時間を測定した。しかしながら、本発明は上記構成に限定されるものではなく、立ち上がり又は立ち下がりを検出した時点から一定時間後の電圧を検出して受信信号の立ち上がり状態及び立ち下がり状態を判断するようにしてもよく、さらには、受信信号が一定電圧まで立ち上がる時間及び受信信号が一定電圧まで立ち下がる時間をそれぞれ計測するようにしても良い。要は受信信号の立ち上がり時及び立ち下がり時の変化率に応じた値を検出できれば良いものである。さらに、受信信号の立ち上がり状態及び立ち下がり状態の双方を測定する場合に限らず、何れか一方を測定するようにしてもよい。
また、上記第3の実施形態では、前述した第1の実施形態にノイズフィルタの異常判定処理を適用した場合について説明したが、前述した第2の実施形態にノイズフィルタの異常判定処理を適用するようにしてもよい。
また、上記第1〜第3の実施形態においては、トルクセンサ3の演算部3cからトルク検出値をパルス幅変調(PWM)信号形式で出力する場合について説明したが、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明には、トルク検出値に応じたアナログやディジタルの電圧信号としたり、トルク検出値に応じたパルス間隔のパルス信号としたり等の任意の信号伝送方式を適用することができる。
また、上記第1〜第3の実施形態では、トルクセンサ3の演算部3c及び操舵補助制御装置20のマイクロコントロールユニット31でソフトウェア処理によって診断信号を生成し、生成した診断信号を受信することにより、信号伝送系の異常を検出する場合について説明した。
本発明は、上記構成に限定されるものではなく、トルクセンサ3側に別途テスト信号を出力するテスト信号形成回路を設けると共に、このテスト信号形成回路の診断信号と演算部3cで演算したトルク検出信号とを切り換える信号切換回路を設けるようにしてもよい。同様に、演算部3c及びマイクロコントロールユニット31をハードウェアで構成するようにしてもよい。
さらに、上記第1〜第3の実施形態においては、物理量として操舵トルクのみを検出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、物理量としての操舵角を検出する操舵角センサを設ける場合には、操舵角センサに前記センサユニット3aを適用するようにしてもよく、さらには物理量センサとして2種類以上の物理量を検出し、検出した物理量を時分割で操舵補助制御装置に供給するようにしてもよい。なお、検出する物理量としては、操舵トルク、操舵角に限らず、電流、電圧、圧力、液位等の任意の物理量の検出に本発明を適用することができる。
また、上記各実施形態においては、本発明における物理量検出装置を電動パワーステアリング装置に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、物量を検出する検出部と検出部で検出した物理量に基づいて制御を行う制御部とを備えた物理量検出装置あるいはこの物理量検出装置を使用して任意の制御対象を制御する制御装置に本発明を適用することができる。
1…ステアリングホイール、2…ステアリングシャフト、3…トルクセンサ、3a…センサユニット、3b…トルクセンサ部、3c…演算部、3d…信号出力部、3e…電源回路、3f,3g…ノイズフィルタ、10…操舵補助機構、11…減速機構、12…電動モータ、20…操舵補助制御装置、21…バッテリ、22…イグニッションスイッチ、23…ノイズフィルタ、24…車速センサ、25…車両CAN、31…マイクロコントロールユニット(MCU)、31a…異常判定部、32…モータ駆動回路、33…FETゲート駆動回路、34…モータ電流検出回路、35…電源リレー、36…CANインタフェース、37…電源回路、40…警報回路、41…信号伝送路

Claims (8)

  1. 物理量を検出して物量検出信号を出力する物理量検出部と、該物理量検出部から出力される物理量が伝送路を介して入力され、当該物理量に基づいて制御を行う制御部とを備えた物理量検出装置であって、
    前記物理量検出部は、前記物理量検出信号及び前記制御部との間の伝送系の異常を検出する診断信号をノイズフィルタを介して前記制御部に出力し、前記制御部は診断信号を受信したときに、当該診断信号に基づいて前記伝送系の異常を判定する異常判定部を備え
    前記異常判定部は、受信した前記診断信号の立ち上がり及び立ち下がりの少なくとも一方の変化状態を検出することにより、前記ノイズフィルタの異常を判断する
    ことを特徴とする物理量検出装置。
  2. 前記物理量検出部は、前記物理量検出信号と前記診断信号とを切り換える信号切換部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の物理量検出装置。
  3. 前記物理量検出部は、電源投入時に所定期間前記診断信号を出力することを特徴とする請求項1又は2に記載の物理量検出装置。
  4. 前記物理量検出部は、一定時間毎に所定期間前記診断信号を出力することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の物理量検出装置。
  5. 前記物理量検出部は、前記診断信号として前記物理量検出信号に対して識別可能な信号としていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の物理量検出装置。
  6. 前記制御部は、前記物理量検出部に対して診断信号出力要求を出力するように構成され、前記物理量検出部は、前記診断信号出力要求を受信したときに前記診断信号を前記伝送路に出力することを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の物理量検出装置。
  7. 前記物理量検出部は、前記物理量検出信号として物理量に応じたパルス幅のパルス幅変調信号を出力し、前記診断信号は前記パルス幅変調信号の有効範囲外のデューティ比に設定されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の物理量検出装置。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載された物理量検出装置を備え、当該物理量検出装置は、操舵トルク指令値を算出するために必要とする少なくとも1つの物理量を検出して物理量検出信号出力するとともに、前記診断信号を出力し、前記制御部は、前記物理量検出装置の物量検出信号に基づいて操舵トルク指令値を算出し、算出した操舵トルク指令値に基づいて操舵補助力を発生する電動モータを制御するとともに、診断信号を受信したときに前記伝送系の異常を判定する異常判定部を備えていることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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