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JP5851210B2 - 慣性駆動アクチュエータ - Google Patents

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JP5851210B2 JP2011247334A JP2011247334A JP5851210B2 JP 5851210 B2 JP5851210 B2 JP 5851210B2 JP 2011247334 A JP2011247334 A JP 2011247334A JP 2011247334 A JP2011247334 A JP 2011247334A JP 5851210 B2 JP5851210 B2 JP 5851210B2
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Description

本発明は、移動子を所定方向に移動させる慣性駆動アクチュエータに関するものである。
駆動軸に結合された電気機械変換素子に鋸歯状波駆動パルスを供給して駆動軸を軸方向に変位させ、この駆動軸に摩擦結合させた移動部材を軸方向に移動させるアクチュエータが知られている(以下、このようなアクチュエータを「インパクト駆動アクチュエータ」或いは「慣性駆動アクチュエータ」と称する)。
このようなインパクト駆動アクチュエータが、特許文献1に開示されている。図9(a)は、その構成を示す図である。振動部材103は支持部材101の立ち上がり部にあけられた穴に挿入され、振動部材103の軸方向に移動可能に配置されている。振動部材103の一端は圧電素子102の一端と固定され、圧電素子102の他端は支持部材101に固定されている。
このため、圧電素子102の振動に伴い振動部材103が軸方向に振動する。移動体104にも2つの穴が設けられており、振動部材103がその穴に挿入されている。更に移動体104には下方から板ばね105が取り付けられており、板ばね105に設けられている突起部が振動部材103に押付けられている。このように板ばね105による押圧によって、移動体104と振動部材103は互いに摩擦結合されている。
図9(b)、(c)に、インパクト駆動アクチュエータを駆動するための駆動波形を示す。図9(b)は移動体104を右に移動させるための駆動波形で、図9(c)は移動体104を左に移動させるための駆動波形である。これらの駆動波形を用いて、インパクト駆動アクチュエータの動作原理を説明する。なお、以下の説明では、圧電素子102が伸びる方向を左、縮む方向を右とする。
移動体104を右に動かす場合には、図9(b)に示す駆動波形を用いる。駆動波形は、急峻に立ち上がる部分と緩やかに立ち下がる部分を有している。駆動波形が急峻に立ち上がる部分では、圧電素子102が急激に伸びる。ここで、振動部材103は圧電素子102に固定されているため、振動部材103は、圧電素子102の急激な伸びに応じて急速に左に移動する。このとき、移動体104の慣性は振動部材103との間の摩擦結合力(板ばね105で押圧されている移動体104と振動部材103との間の摩擦力)に打ち勝つことから、移動体104は左には移動せず、その位置にとどまる。
次に、駆動波形が緩やかに立ち下がる部分では、圧電素子102が緩やかに縮む。振動部材103は、圧電素子102の緩やかな縮みに応じてゆっくりと右に移動する。この場合、移動体104の慣性は振動部材103との間の摩擦結合力に打ち勝つことができない。そのため、移動体104は振動部材103の移動と共に右に移動する。
一方、移動体104を左に動かす場合には、図9(c)に示す駆動波形を用いる。駆動波形は、緩やかに立ち上がる部分と急峻に立ち下がる部分を有している。駆動波形が緩やかに立ち上がる部分では、圧電素子102が緩やかに伸びる。この場合、振動部材103は、圧電素子102の緩やかな伸びに応じてゆっくりと左に移動する。この場合、移動体104の慣性は振動部材103との間の摩擦結合力に打ち勝つことができない。そのため、移動体104は振動部材103の移動と共に左に移動する。
次に、駆動波形が急峻に立ち上がる部分では、図9(b)で説明したように、移動体104の慣性は振動部材103との間の摩擦結合力に打ち勝つことから、移動体104は右には移動せず、その位置にとどまる。
なお、板ばね105が常に振動部材103を押し付けられていることにより、移動体104は振動部材103に摩擦で支持されている。よって、移動体104が停止している際にも、その位置は保持されている。
上記のように、インパクト駆動アクチュエータは、板ばね105による移動体104と振動部材103との摩擦結合と慣性を利用したアクチュエータであって、図9(b)、(c)に示す駆動波形を用いることで、移動体104を移動させることができるアクチュエータである。
特開2007−288828号公報
特許文献1に記載されているインパクト駆動アクチュエータは、板ばねにより振動部材103と移動体104に摩擦力を与えている。しかしながら、板ばねは常に振動部材と接触しているため、摩耗などの影響で所望の摩擦力が得られなくなる。そのため、特許文献1に記載されているインパクト駆動アクチュエータは、長期に亘って、安定した動作ができなくなるおそれがある。
本発明は、上記実情に鑑みなされたもので、磨耗等の影響が少なく、効率よく移動子を移動あるいは駆動でき、配線の耐久性が向上し、断線することが防止され長期間にわたり安定した駆動を行うことができる慣性駆動アクチュエータを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明による慣性駆動アクチュエータは、
第1の方向と第1の方向とは逆の第2の方向に微小変位を発生する変位手段と、
変位手段の微小変位によって往復運動する振動基板と、
振動基板の平面上に配置された移動子と、
振動基板の移動子が配置された側とは反対側に配置され、移動子に対し、振動基板の移動子に対向した向きに磁気吸引力又は磁気反発力が働くように磁界を発生する第1の磁界発生手段と、
移動子の少なくとも一部であり、第1の磁界発生手段が発生する磁束を誘導する第1のヨーク
振動基板の移動子に対向した向きと反対側に配置される第2のヨークと、を有し、
第2のヨークは、第1の磁界発生手段を覆う断面凹状の部材であり、第1の磁界発生手段が発生する磁束が、振動基板の移動子に対向した面と反対側の面にN極、S極、ともに集中するように、かつ、第1のヨークに向けて誘導されるように配置されており、
第1の磁界発生手段から発生する磁界を制御することによって、移動子と振動基板の間に働く摩擦力を制御し、移動子を駆動することを特徴とする。
また、本発明の好ましい態様によれば、第1の磁界発生手段とは別に移動子が振動基板に対向した方向に磁気吸引力または磁気反発力が働くように磁界を発生する第2の磁界発生手段をさらに有し、
第2のヨークは、第1の磁界発生手段とともに第2の磁界発生手段が発生する磁束も、固定子側の面にN極、S極、ともに集中するように、第2の磁界発生手段が発生する磁束を誘導するために、第2の磁界発生手段周辺に配置されており、
第1の磁界発生手段と第2の磁界発生手段のうち少なくとも1つの発生手段から発生する磁界を制御することによって、移動子と振動基板の間に働く摩擦力を制御し、移動子を駆動することが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、第1の磁界発生手段が電磁コイルであることが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、第2の磁界発生手段が永久磁石であることが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、変位手段が圧電素子であることが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、振動基板が非磁性体であることが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、振動基板が非磁性部と磁性部を有することが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、振動基板は、少なくとも一部が第1の磁界発生手段を有することが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、振動基板は、少なくとも一部が第2の磁界発生手段を有することが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、前記振動基板は、前記第2のヨークの機能を兼用することが望ましい。
また、本発明の好ましい態様によれば、前記移動子が永久磁石を有することが望ましい。
本発明によれば、磁気力を用いることで摩耗等の影響を少なくすることができ、さらにヨークを用いることから効率よく移動体(移動子)を移動あるいは駆動でき、配線の耐久性が向上し、断線することが防止され長期間にわたり安定した駆動を行うことができる慣性駆動アクチュエータを提供することができる。
第1実施形態の慣性駆動アクチュエータの構造を示す図であって、(a)は側面図、(b)は断面図である。(c)は変形例の断面図である。 第2実施形態の慣性駆動アクチュエータの構造を示す図であって、(a)は側面図、(b)は断面図である。 (a)〜(c)は、圧電素子と振動板との連結の構成例を示す図である。 第3実施形態の慣性駆動アクチュエータの断面図である。 第4実施形態の慣性駆動アクチュエータの断面図である。 第1実施形態の慣性駆動アクチュエータを駆動するときの駆動方法を示す図である。 (a)〜(c)は、第5実施形態の慣性駆動アクチュエータの構造を示す側面図である。 (a)〜(c)は、第5実施形態の慣性駆動アクチュエータを駆動するときの駆動方法を示す図である。 従来のインパクト駆動アクチュエータを示す図であって、(a)構成を示す図、(b)移動子を右に移動させるための駆動波形を示す図、(c)移動子を左に移動させるための駆動波形を示す図である。
本実施形態の慣性駆動アクチュエータの構成による作用効果を説明する。なお、この実施形態によって本発明は限定されるものではない。すなわち、実施形態の説明に当たって、例示のために特定の詳細な内容が多く含まれるが、これらの詳細な内容に色々なバリエーションや変更を加えても、本発明の範囲を超えない。従って、以下で説明する本発明の例示的な実施形態は、権利請求された発明に対して、一般性を失わせることなく、また、何ら限定をすることもなく、述べられたものである。
(第1実施形態)
第1実施形態に係る慣性駆動アクチュエータを図1に示す。図1(a)は慣性駆動アクチュエータの側面図、図1(b)は図1(a)におけるA−Aで示す位置における断面図である。
第1実施形態の慣性駆動アクチュエータ100は、圧電素子(変位手段)3と、振動基板4と、移動子10と固定子20で構成されている。固定子20の上部に圧電素子3と振動基板4が位置し、振動基板4の上部に移動子10が位置する。移動子10は、第1のヨーク9の機能を有している。
圧電素子3と振動基板4は、共に板状の部材である。ここで、振動基板4には非磁性体の材料が用いられている。圧電素子3の一端と振動基板4の一端は機械的に連結されている。なお、機械的に連結する構成に限られず、接着でも良い。圧電素子3と振動基板4は、固定子20の上部に載置される。圧電素子3は微小変位を発生させ、振動基板4は微小変位によって往復運動する。
上記構成により、圧電素子3(変位手段)は、第1の方向と第1の方向とは逆の第2の方向に微小変位を発生する。圧電素子3の微小変位によって、振動基板4は往復運動する。移動子10は、振動基板4の平面上に配置されている。
図1(b)に示す断面図において、振動基板4の移動子10に対向した向きに、固定子20側に磁気吸引力又は磁気反発力が働くように磁界を発生するコイル11(第1の磁界発生手段)が設けられている。コイル11は、例えばコイル芯に巻いた電磁コイルである。
また、コイル11の周囲には、コイル11が発生する磁束がN極、S極ともに集中するように、コイル11が発生する磁束を誘導する第2のヨーク12、22(磁束誘導部材)が形成されている。ここで、コイル11を巻きつけるための部材は、第2のヨーク12の機能を兼用している。
第2のヨーク12、22は、コイル11が発生する磁束が、固定子20側の面(所定の位置)にN極、S極、ともに集中するように、コイル11から発生する磁界を制御することによって、移動子10と振動基板4の間に働く摩擦力を制御し、移動子10を駆動する。
このような構成によれば、コイル11が固定子20側に設けられているため、移動子10に配線が存在しない。このため、配線の耐久性が向上し、断線することが防止され長期間にわたり安定した駆動ができる。また、配線が存在していないので、負担が発生せず安定した駆動を行うことができるので望ましい。
コイル11(第1の磁界発生手段)とは別に、移動子10が振動基板4に対向した方向に磁気吸引力または磁気反発力が働くように磁界を発生する永久磁石21(第2の磁界発生手段)をさらに設ける構成をとることができる。
第2のヨーク22は、コイル11(第1の磁界発生手段)とともに永久磁石21(第2の磁界発生手段)が発生する磁束も、固定子20側の面(所定の位置)にN極、S極、ともに集中するように、永久磁石21(第2の磁界発生手段)が発生する磁束を誘導するために、永久磁石21(第2の磁界発生手段周辺)に対して配置されている。
そして、コイル11(第1の磁界発生手段)と永久磁石21(第2の磁界発生手段)のうち少なくとも1つの発生手段から発生する磁界を制御することによって、移動子10と振動基板4の間に働く摩擦力を制御し、移動子10を駆動する。
さらに、具体的に説明する。図1(b)に示すように、固定子20は、コイル11、第2のヨーク(磁束誘導部材)12、22と、さらに、永久磁石21(第2の磁界発生手段)で構成されている。永久磁石21は直方体の部材で、一方の面側(上側面)がN極、他方の面側(下側面)がS極となっている。また、本実施例では、コイル11は、その長手方向の長さが、永久磁石21の長手方向の長さとほぼ同じである。第2のヨーク22は箱状の部材である。永久磁石21はN極側の面を上にして、第2のヨーク22の内側に載置されている。この永久磁石21は、第2のヨーク22の底面部に固定されている。これにより、磁束の外部への漏れ防止の効果を奏することができる。
なお、コイル11は永久磁石21(あるいは第2のヨーク22)に対して常時固定されている。そのため、コイル11は移動子10の移動に伴って移動することはない。したがって、コイル11へ接続されている配線が動くことがない。
このように、永久磁石21を設けることにより、コイル11に電流を流していないときも移動子10に常に保持力が作用する。このため、慣性駆動アクチュエータの系全体が傾いても安定した駆動ができる。
(第1実施形態の変形例)
また、図1(b)に示した構成に対して、図1(c)に示すような断面構成とすることもできる。図1(c)に示す慣性駆動アクチュエータ150は、永久磁石21を有していない。このため、移動子10は、振動基板4に対して、重力により載置される状態となる。
次に、慣性駆動アクチュエータ100の動作について説明する。なお、駆動原理(駆動方法)については図6で説明する。
上記のような構成において、例えば、紙面上方向にN極が発生するように、コイル11に電流を流す。すると、第2のヨーク12の中央上部P1にはN極が集中し、中央下部P2にはS極が集中する。
ここで、コイル11の両側には第2のヨーク22が配置されている。そのため、コイル11で発生した磁束の外部への漏れを、第2のヨーク22によって抑えることができる。
第2のヨーク22の中央下部P3にはN極が集中する。第2のヨーク22の2つの上端部P4にはS極が集中する。
それに対向し、移動子10では、第1のヨーク9の中央部P5には逆極性であるS極が誘起される。また、移動子10の2つの両端部P6にはN極が集中する。
その結果、移動子10に対して紙面下側に向かって、強い磁気吸着力が発生する。
ここで、コイル11と、永久磁石21は、第1のヨーク9と第2のヨーク22で囲まれている状態になる。そのため、コイル11と永久磁石21で発生した磁束の外部への漏れを、第1のヨーク9と第2のヨーク22によって抑えることができる。
一方、上述した磁束の関係とは反対に、第2のヨーク12の中央上部P1にS極が集中するように、コイル11に電流を流した場合は、磁気吸着力が減少する。また、コイル11に流す電流を変えることによって、移動子10の振動基板4に対する垂直抗力の強さを変えることができる。このようにすることで、移動子10と振動基板4の摩擦力を制御することが可能となる。
このように、本実施形態の慣性駆動アクチュエータ100では、移動子10と固定子20の各々で磁束の外部への漏れを抑制し、これによりS極やN極を所定の領域に集中させることができる。よって、移動子10と固定子20の間に、紙面下側に向かって効率的に磁気吸着力を発生させることができる。
以上述べたように、本実施形態の慣性駆動アクチュエータ100では、移動子10の移動あるいは駆動に磁気力を用いている。すなわち、本実施形態の慣性駆動アクチュエータ100は、駆動したときに磨耗が生じる弾性体のような部材を使っていない。そのため、移動子10を移動あるいは駆動させても磨耗が生じない。その結果、長期間にわたって、安定して移動子10を移動あるいは駆動する(所望の位置に移動させることや、所望の位置で保持する)ことができる。更に、本実施形態の慣性駆動アクチュエータ100では、ヨークを用いていることから、外部への磁束漏れを抑制できる。これにより、磁気吸着力や磁気反発力を効率よく発生させることができる。このため、簡単かつ低コストな構成でありながら、移動子10を効率よく移動あるいは駆動できる。
さらに加えて、上述したように、移動子10に配線が存在しないため、配線の耐久性が向上し、断線することが防止され長期間にわたり安定した駆動ができる。また、配線が存在していないので、負担が発生せず安定した駆動を行うことができるので望ましい。
(変形例)
また、図1(b)に示した構成に対して、図1(c)に示すような断面構成とすることもできる。図1(c)に示す慣性駆動アクチュエータ150は、永久磁石21を有していない点が上述の第1実施形態と異なる。このため、移動子10は、振動基板4に対して、重力により載置される状態となる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る慣性駆動アクチュエータについて説明する。
図2(a)は慣性駆動アクチュエータ200の側面図、図2(b)は図2(a)におけるA−Aで示す位置における断面図である。第1実施形態の慣性駆動アクチュエータ100と同じ構成については同一の番号を付し、その説明は省略する。
第2実施形態の慣性駆動アクチュエータ200は、圧電素子3と、移動子10と、振動基板40で構成されている。振動基板40の上部に移動子10が位置する。そして、圧電素子3の一端と振動基板40の一端は機械的に連結されている。
なお、圧電素子3と、振動基板40とを連結する構成例の詳細に関しては、後述する。
移動子10は、第1のヨーク9の機能を有している。なお、移動子10の構造は第1実施形態の移動子10と同じなので、説明を省略する。本実施形態の移動子10も、第1実施形態の移動子10と同様の役割をする。
また、振動基板40は、永久磁石21と第2のヨーク12、22で構成されている。振動基板40は、第1実施形態の固定子20と同様の役割をし、振動基板4の役割も果たす。
本実施形態においては、第1実施形態の振動基板4を有していない点が上述した第1実施形態と異なる。代わりに、振動基板40は、コイル11、永久磁石21と第2のヨーク12、22で構成されている。振動基板40は、第1実施形態の固定子20と同様の役割をし、振動基板4の役割も果たす。
また、コイル11は、振動基板40側に配置されている。このため、上述したように、移動子10に配線が存在しないため、配線の耐久性が向上し、断線することが防止され長期間にわたり安定した駆動ができる。また、配線が存在していないので、負担が発生せず安定した駆動を行うことができるので望ましい。
このように、本実施形態の慣性駆動アクチュエータ200は、第1実施形態の慣性駆動アクチュエータ100と同じ作用を行う部材を備えているので、第1実施形態の慣性駆動アクチュエータ100と同様の効果を奏する。更に、本実施形態の慣性駆動アクチュエータ200では、振動基板40に複数の役割を持たせているので、アクチュエータサイズの小型化が可能となる。
次に、本実施形態における、圧電素子3と、振動基板40とを連結する構成例を説明する。図3(a)、図3(b)、図3(c)は、圧電素子3と、振動基板40とを連結する3つの異なる構成を示している。なお、図3(a)、図3(b)では、圧電素子3の厚みと振動基板40の厚みが異なっているが(圧電素子3の厚みの方が振動基板40の厚みよりも厚いが)、図3(c)と同じように、両者の厚みが同じになるようにしてもよい。
図3(a)は、コイル11のみが圧電素子3と連結し振動する構成である。つまり、振動基板40は、少なくとも一部がコイル11(第1の磁界発生手段)を有する構成である。これによれば、振動基板40がコイル11であるため、簡易な構成とすることができる。
図3(b)は、コイル11と永久磁石21とが圧電素子3と連結し振動する構成である。ここで、圧電素子3と永久磁石21のみが連結して振動する構成でもよい。これにより、移動子10を常に一定の磁気吸引力で保持することができる。
図3(c)は、コイル11と永久磁石21とヨーク22とが圧電素子3と連結し振動する構成である。これにより、ヨークを用いていることから、外部への磁束漏れを抑制できる。したがって、磁気吸着力や磁気反発力を効率よく発生させることができる。このため、簡単かつ低コストである構成でありながら、移動子10を効率よく移動あるいは駆動できる。
図3(c)の構成のさらなる効果として、振動する際に上述の図3(a)、図3(b)の構成と比べて、全部の部材を振動させるので、振動方向に対して垂直に働く磁石の吸着力がないため、圧電素子3は小さい力でコイル11と永久磁石21とヨーク22を振動させることが出来る。
ここで、圧電素子3とヨーク22のみと連結する構成、または圧電素子3とヨーク22とコイル22のみとを接続する構成、または圧電素子3とヨーク22と永久磁石21のみが連結し振動する構成でもよい。
本実施形態の作用効果を説明する。慣性駆動アクチュエータ200では、移動子10の移動あるいは駆動に磁気力を用いている。すなわち、本実施形態の慣性駆動アクチュエータ100は、駆動したときに磨耗が生じる弾性体のような部材を使っていない。そのため、移動子10を移動あるいは駆動させても磨耗が生じない。その結果、長期間にわたって、安定して移動子10を移動あるいは駆動する(所望の位置に移動させることや、所望の位置で保持する)ことができる。更に、本実施形態の慣性駆動アクチュエータ100では、ヨークを用いていることから、外部への磁束漏れを抑制できる。これにより、磁気吸着力や磁気反発力を効率よく発生させることができる。このため、簡単かつ低コストな構成でありながら、移動子10を効率よく移動あるいは駆動できる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る慣性駆動アクチュエータ300について説明する。
図4は、図1(b)と同様の慣性駆動アクチュエータ300の断面図である。第1実施形態の慣性駆動アクチュエータと同じ構成については同一の番号を付し、その説明は省略する。
第3実施形態の慣性駆動アクチュエータ300は、圧電素子3(不図示)と、振動基板4と、移動子10と固定子20で構成されている。固定子20の上部に圧電素子3と振動基板4が位置し、振動基板4の上部に移動子10が位置する。
移動子10は、第1のヨーク12dと、永久磁石13で構成されている。すなわち、移動子10は、永久磁石13を有している。
一方、固定子20は、コイル11と、第2のヨーク12、22を有している。
本実施形態は、第1実施形態に比較して、移動子10側に永久磁石13が設けられている点が異なる。
このように、永久磁石13を設けることにより、コイル11に電流を流していないときも移動子10に常に保持力が作用する。このため、慣性駆動アクチュエータの系全体が傾いても安定した駆動ができる。
また、本実施形態においても、コイル11は、固定子20側に設けられている。このため、配線の耐久性が向上し、断線することが防止され長期間にわたり安定した駆動を行うことができる
(第4実施形態)
次に、第4実施形態に係る慣性駆動アクチュエータ400について説明する。
図5は、図1(b)と同様の慣性駆動アクチュエータ400の断面図である。第1実施形態の慣性駆動アクチュエータと同じ構成については同一の番号を付し、その説明は省略する。
第4実施形態の慣性駆動アクチュエータ400は、圧電素子3(不図示)と、振動基板4と、移動子10と固定子20で構成されている。固定子20の上部に圧電素子3と振動基板4が位置し、振動基板4の上部に移動子10が位置する。
第4実施形態の慣性駆動アクチュエータ400と第1実施形態の慣性駆動アクチュエータ100は、振動基板の構造が異なる。第1実施形態の振動基板4は、非磁性体のみで構成されている。
これに対して、本実施形態の振動基板4は、磁性体部41と非磁性体部42を有する。磁性体部はヨークとして機能する。磁性体部41は3つに分かれており、それぞれ振動基板4の中央と、中央を挟んだ両側に配置されている。中央の磁性体部41の位置は、第2のヨーク12とほぼ対向する位置である。また、両側の磁性体部41の位置は、第2のヨーク12の端とほぼ対向する位置である。
本実施形態の慣性駆動アクチュエータ400では、移動子10の第1のヨーク9により誘導された磁束と、固定子20の第2のヨーク12、22に誘導された磁束が、それぞれ振動基板4の磁性体部41を介して流れるため、磁束漏れをさらに抑制する効果がある。特に、第2のヨーク22の両端上部では、両者の間に両側の磁性体部41が存在するため、この間から外部への磁束漏れを大幅に抑制できる。
また、本実施形態においても、コイル11は、固定子20側に設けられている。このため、配線の耐久性が向上し、断線することが防止され長期間にわたり安定した駆動を行うことができる。
次に、上述した慣性駆動アクチュエータ100の駆動方法を説明する。
図6は、例えば、第1実施形態の慣性駆動アクチュエータ100を駆動するときの駆動方法を示している。図6において、横軸は時間を示し、縦軸は圧電素子3の変位を示している。図1(a)において、圧電素子3が紙面左方向に伸びた場合を正としている。
時刻0からAまでの間、圧電素子3は延伸している。この間は、コイル11に、紙面上方向にN極が発生するように電流を流す。すると、移動子10に対して振動基板4側に働く磁気吸着力が増加する。そのため、移動子10と振動基板4との間の摩擦は増加する。その結果、圧電素子3の延伸とともに振動基板4は紙面左方向に移動し、それとともに移動子10も紙面左方向に移動する。
次に、時刻Aから時刻Bまでの間、圧電素子3は収縮している。この間、コイル11に電流を流すのを止める。すると、移動子10に対してコイル11により発生する磁気吸着力が働かなくなる。そのため、移動子10と振動基板4との間の摩擦力は減少する。これは、振動基板4の動きに対して移動子10のすべる量が増加したことを意味する。その結果、圧電素子3の収縮とともに振動基板4が紙面右方向に移動しても、見かけ上、移動子10は移動した位置で静止した状態となる。このように、圧電素子3の収縮とともに、紙面右方向に移動する振動基板4に対して移動子10は左方向に滑るため、時刻0から時刻Bまでの間で、移動子10は紙面左方向に移動することとなる。同様のことを、時刻Bから時刻C、時刻Cから時刻Dというように繰り返すことにより、移動子10を紙面左方向に移動させていくことができる。
なお、移動子10の紙面右方向への移動は、コイル11に電流を流すタイミングを、図6と逆にすることにより可能である。すなわち、時刻0から時刻Aまでの間(振動基板4は延伸中)は、コイル11に電流を流さず、時刻Aから時刻Bまでの間(振動基板4は収縮中)に、コイル11に紙面上方向にN極が発生するように電流を流す。このようにすることで、移動子10を紙面右方向へ移動させことができる。
尚、上記の左移動の例では、時刻Aから時刻Bまでの間は、コイル11に電流を流すのを止めている。これに代わり、移動子10に対して振動基板4側に磁気反発力が働くように(あるいは、磁気吸着力が減少するように)、コイル11に電流を流してもよい。このようにすることで、移動子10の紙面左方向への移動が可能である。
上述のように、コイル11に電流を流さない場合、移動子10と振動基板4との間の摩擦力は減少し、その結果、振動基板4が紙面右方向に移動しても、見かけ上、移動子10は移動した位置で静止した状態となる、とした。しかしながら、移動子10(第1のヨーク9)、コイル11、第2のヨーク12、永久磁石13のスペック(材質、重さ、長さ等)を適宜選択すれば、コイルに電流を流さない場合であっても、移動子10と振動基板4との間の摩擦力をある程度維持することができる。
そこで、時刻0からAまでの間、コイル11に電流を流さないようにすると、圧電素子3の延伸とともに振動基板4を紙面左方向に移動させることができる。そして、時刻Aから時刻Bまでの間は、移動子10に対して振動基板4側に磁気反発力が働くように、コイル11に電流を流すようにする。このようにしても、移動子10を紙面左方向に移動させていくことができる。
また、例えば、第1実施形態の変形例の慣性駆動アクチュエータ150を駆動する場合は、次のようになる。時刻0からAまでの間、コイル11に、紙面上方向にN極が発生するように電流を流す。すると、移動子10と振動基板4との間の摩擦は増加する。その結果、圧電素子3の延伸とともに振動基板4は紙面左方向に移動し、それとともに移動子10も紙面左方向に移動する。
次に、時刻Aから時刻Bまでの間、コイル11に電流を流すのを止める。すると、移動子10と振動基板4との間の摩擦は減少する。その結果、圧電素子3の収縮とともに振動基板4が紙面右方向に移動しても、見かけ上、移動子10は移動した位置で静止した状態となる。このようにすることで、移動子10を紙面左方向へ移動させことができる。
なお、上述のようにコイル11に電流を流すタイミングを変えることで、移動子10を紙面右方向へ移動させことができることはいうまでもない。また、コイル11に流す電流の向きを逆にしても移動子10を移動させることはできる。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態に係る慣性駆動アクチュエータ500について説明する。
図7(a)は、慣性駆動アクチュエータ500の側面図、図7(b)は上面図、(c)は断面図である。また、図8(a)、(b)、(c)は、第5実施形態の慣性駆動アクチュエータ500を駆動するときの駆動方法を示している。
第5実施形態の慣性駆動アクチュエータ500は、第1実施形態の慣性駆動アクチュエータ100における移動子10を2つ備えている。すなわち、第5実施形態の慣性駆動アクチュエータ500は、圧電素子3と、振動基板4と、移動子10aと、移動子10bと固定子20で構成されている。固定子20の上部に圧電素子3と振動基板4が位置し、振動基板4の上部に移動子10aと、移動子10bが位置する。
慣性駆動アクチュエータ500の駆動方法について説明する。図8(a)、(b)、(c)において、横軸は時間を示し、縦軸は圧電素子3の変位を示している。図7(a)、(b)、(c)において、圧電素子3が紙面左方向に伸びた場合を正としている。
図7(c)の断面図に示すように、本実施形態においては、移動子10aが移動する範囲において、コイル11aを固定子20側に設けている。同様に、移動子10bが移動する範囲において、コイル11bを固定子20h側に設けている。即ち各移動子に対応したコイルが必要となる。
移動子10aの吸引力を変化させるときはコイル11aを使用する。移動子10bの吸引力を変化させるときはコイル11bを使用する。
時刻0から時刻Aまでの間、圧電素子3は延伸している。この間、移動子10aのコイル11aに電流を流さないでおく。この場合、移動子10aに対して磁気吸着力が働かなくなる。そのため、移動子10aは、その位置を変えずに静止したままである。一方、移動子10bのコイル11bに、紙面上方向にN極が発生するように電流を流す。この場合、図6で説明したように、移動子10bに対して振動基板4側に磁気吸着力が働く。そのため、移動子10bは紙面左方向に移動する。
次に、時刻Aから時刻Bまでの間、圧電素子3は収縮している。この間、移動子10aのコイル11aに、紙面上方向にN極が発生するように電流を流す。この場合、図6で説明したように、移動子10aに対して振動基板4側に磁気吸着力が働く。そのため、移動子10aは紙面右方向に移動する。一方、移動子10bのコイル11bに電流を流さないでおく。この場合、移動子10bに対して磁気吸着力が働かなくなる。そのため、移動子10bは、その位置を変えずに静止したままである。
以上のように、時刻0から時刻Aの間、移動子10aは静止し、移動子10bは紙面左方向、すなわち移動子10aに向かって移動する。一方、時刻Aから時刻Bまでの間、移動子10aは紙面右方向、すなわち移動子10bに向かって移動し、移動子10bは静止している。その結果、移動子10aと移動子10bを近づけることができる。また、時刻0から時刻Bまでの間の駆動方法を繰り返すことで、移動子10aと移動子10bを更に近づけることができる。また、駆動方法を変えれば、移動子10aと移動子10bを同一方向に移動させることや、移動子10aと移動子10bを離すようにすることもできる。
なお、図7および図8では、説明のために2個の移動子の構成とその駆動方法を例示したが、原理的には2個以上の移動子においても、同一の振動基板上で、それぞれを独立に駆動することが可能である。
また、本実施形態においても、コイル11が固定子20側に設けられているため、移動子10に配線が存在しない。このため、配線の耐久性が向上し、断線することが防止され長期間にわたり安定した駆動ができる。また、配線が存在していないので、負担が発生せず安定した駆動を行うことができるので望ましい。
なお、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変形例をとることができる。
以上のように、本発明は、長期に亘って、安定した動作、例えば、移動子を所望の位置に移動させることや、所望の位置で移動子を静止させることや、静止した状態を維持することができる慣性駆動アクチュエータに適している。
3 圧電素子
4、40、42 振動基板
9 ヨーク
10、10a、10b 移動子
11、11a、11b コイル
12、12a、12b、12d ヨーク
13、21 永久磁石
20 固定子
22 ヨーク
41 ヨーク部
100、200、300、400、500、600 慣性駆動アクチュエータ
101 支持部材
102 圧電素子
103 振動部材
104 移動体
105 板ばね

Claims (11)

  1. 第1の方向と前記第1の方向とは逆の第2の方向に微小変位を発生する変位手段と、
    前記変位手段の前記微小変位によって往復運動する振動基板と、
    前記振動基板の平面上に配置された移動子と、
    前記振動基板の前記移動子が配置された側とは反対側に配置され、前記移動子に対し、前記振動基板の前記移動子に対向した向きに磁気吸引力又は磁気反発力が働くように磁界を発生する第1の磁界発生手段と、
    前記移動子の少なくとも一部であり、前記第1の磁界発生手段が発生する磁束を誘導する第1のヨーク
    前記振動基板の前記移動子に対向した向きと反対側に配置される第2のヨークと、を有し、
    前記第2のヨークは、前記第1の磁界発生手段を覆う断面凹状の部材であり、前記第1の磁界発生手段が発生する磁束が、前記振動基板の前記移動子に対向した面と反対側の面にN極、S極、ともに集中するように、かつ、前記第1のヨークに向けて誘導されるように配置されており、
    第1の磁界発生手段から発生する磁界を制御することによって、前記移動子と前記振動基板の間に働く摩擦力を制御し、前記移動子を駆動することを特徴とする慣性駆動アクチュエータ。
  2. 前記第1の磁界発生手段とは別に前記移動子が前記振動基板に対向した方向に磁気吸引力または磁気反発力が働くように磁界を発生する第2の磁界発生手段をさらに有し、
    前記第2のヨークは、前記第1の磁界発生手段とともに前記第2の磁界発生手段が発生する磁束も、固定子側の面にN極、S極、ともに集中するように、前記第2の磁界発生手段が発生する磁束を誘導するために、前記第2の磁界発生手段周辺に配置されており、
    前記第1の磁界発生手段と前記第2の磁界発生手段のうち少なくとも1つの発生手段から発生する磁界を制御することによって、前記移動子と前記振動基板の間に働く摩擦力を制御し、前記移動子を駆動することを特徴とする請求項1に記載の慣性駆動アクチュエータ。
  3. 前記第1の磁界発生手段が電磁コイルであることを特徴とする請求項1または2に記載の慣性駆動アクチュエータ。
  4. 前記第2の磁界発生手段が永久磁石であることを特徴とする請求項2に記載の慣性駆動アクチュエータ。
  5. 前記変位手段が圧電素子であることを特徴とする請求項1または2に記載の慣性駆動アクチュエータ。
  6. 前記振動基板が非磁性体であることを特徴とする請求項1または2に記載の慣性駆動アクチュエータ。
  7. 前記振動基板が非磁性部と磁性部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の慣性駆動アクチュエータ。
  8. 前記振動基板は、少なくとも一部が前記第1の磁界発生手段を有することを特徴とする請求項2に記載の慣性駆動アクチュエータ。
  9. 前記振動基板は、少なくとも一部が前記第2の磁界発生手段を有することを特徴とする請求項2に記載の慣性駆動アクチュエータ。
  10. 前記振動基板は、前記第2のヨークの機能を兼用することを特徴とする請求項1または2に記載の慣性駆動アクチュエータ。
  11. 前記移動子が永久磁石を有することを特徴とする請求項1または2に記載の慣性駆動アクチュエータ。
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