以下に本発明の実施の形態を説明するが、本発明の構成要件と、発明の詳細な説明に記載の実施の形態との対応関係を例示すると、次のようになる。この記載は、本発明をサポートする実施の形態が、発明の詳細な説明に記載されていることを確認するためのものである。従って、発明の詳細な説明中には記載されているが、本発明の構成要件に対応する実施の形態として、ここには記載されていない実施の形態があったとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、実施の形態が構成要件に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件以外の構成要件には対応しないものであることを意味するものでもない。
本発明の第1の側面の切削加工に用いられる取付具(例えば、図1の取付具1)は、ワーク(例えば、図4のワーク51)が削り出される母材(例えば、図1の母材31)を保持する保持手段(例えば、図1の保持部材21)と、保持手段によって保持されている母材からワークを切削するときであって、ワークとして形成されている第1の面に対向する第2の面を切削するとき、第1の面の形状の全部または一部を反転させた形状と略同一の形状に成形されている支持面をワークの第1の面に当接させることで、ワークを支持する、略直線上に保持手段に対向するように設けられている支持手段(例えば、図1の支持部材41)と、支持手段の支持面とワークの第1の面とを当接させた状態で、直線を中心とした回転方向の所望の角度にワークの姿勢を維持するように、保持手段および支持手段の角度位置を決定する決定手段(例えば、図1の角度位置決定部材22および角度位置決定部材44)とを備える。
本発明の第1の側面の切削加工に用いられる取付具には、第2の面の形状の一部を反転させた形状と略同一の形状に成形されている押圧面を第2の面の一部に当接させることで、ワークを支持面に押圧する押圧手段(例えば、図1の押圧部材42)をさらに設けることができる。
以下、図1乃至図6を参照して、本発明の実施の形態の取付具1を説明する。取付具1は、マシニングセンタなどの切削加工装置に、ワークを削り出すための母材を取り付ける。
図1は、取付具1の全体の構成を示す斜視図である。取付具1は、ベース11、ブロック12、ブロック13、保持部材21、角度位置決定部材22、押さえ23、支持部材41、押圧部材42、ピン43、角度位置決定部材44、および押さえ45からなる。保持部材21は、ワーク51(後述する)が削り出される母材31を保持する。この場合、ワーク51の大きさは、例えば、1mm以下とされる。
図1において、加工が行われる3次元空間(直交座標空間)を表すX軸、Y軸、およびZ軸からなる座標軸で示される方向のうち、図1中の左右方向はX軸方向を示し、図1中の右上と左下とを結ぶ方向はY軸方向を示し、図1中の上下方向はZ軸方向を示す。なお、右方向がX軸の正の方向であり、右上方向がY軸の正の方向であり、上方向がZ軸の正の方向である。なお、以下、Z軸の正の側を上側、Z軸の負の側を下側、Y軸の正の側を奥側、Y軸の負の方向を手前側、X軸の正の側を右側、X軸の負の側を左側とも称する。また、図2以降の図においても、同様に、X軸、Y軸、およびZ軸を示す。
図2は、保持部材21、母材31、支持部材41、押圧部材42、およびピン43の構成を拡大して示す斜視図である。図3は、母材31、支持部材41、押圧部材42、およびワーク51の構成をさらに拡大して示す斜視図である。
ベース11、ブロック12、ブロック13、保持部材21、角度位置決定部材22、押さえ23、支持部材41、押圧部材42、ピン43、角度位置決定部材44、および押さえ45は、それぞれ、金属で形成される。ベース11は、取付具1の基盤であり、ブロック12、ブロック13、保持部材21、角度位置決定部材22、押さえ23、支持部材41、押圧部材42、ピン43、角度位置決定部材44、および押さえ45を直接または間接に保持する。
ベース11には、ブロック12およびブロック13がそれぞれ固定される。ブロック12は、保持部材21、角度位置決定部材22、および押さえ23を保持する。ブロック13は、支持部材41、押圧部材42、ピン43、角度位置決定部材44、および押さえ45を保持する。例えば、ブロック12およびブロック13は、それぞれの上側の面と下側の面の四隅をZ軸方向に貫通し、ベース11の上側の面に設けられているねじ穴に螺合するボルトにより、ベース11に固定される。
ブロック12には、X軸方向に円筒状の穴が設けられ、その穴に保持部材21が挿入される。保持部材21の一端側は、ブロック12の穴の径と略同一の径の円筒形に形成されている。保持部材21の他端側は、円筒形の部分より細く成形され、その先端で、母材31を保持する。ブロック12の穴の径と保持部材21の円筒部分の径とは、略同一とされているので、隙間や遊びが生じることなく、ブロック12の穴によって保持部材21が回動自在に支えられる。また、保持部材21の母材31を保持する側が円筒形の部分より細く成形されているので、保持部材21は、ブロック12の穴に挿抜自在に装着できる。
保持部材21は、ワーク51が削り出される母材31を保持する。例えば、母材31が保持部材21にネジ止めされ、これにより、保持部材21は、母材31を保持する。なお、母材31の保持部材21への固定方法は、挟み込み、接着、溶接その他の固定方法のいずれでもよい。
母材31は、例えば、金属、樹脂、若しくはセラミックスまたはこれらを含む複合素材など、切削加工できる素材からなる。図3に示されるように、母材31の保持部材21に保持される側とは反対側が、ワーク51として削り出される。言い換えると、母材31の支持部材41側が、ワーク51として削り出される。
角度位置決定部材22は、正8角柱状に形成され、円筒形に形成されている保持部材21の中心軸とその正8角柱の中心軸とが一致するように、保持部材21に固定されている。角度位置決定部材22において、正8角柱の中心軸からそれぞれの側面の中央までの距離は、ブロック12の穴の中心から上面までの距離と同じとされている。
押さえ23は、ネジなどによりブロック12に固定される。押さえ23の下面は、平面とされているので、押さえ23をブロック12に固定すると、ブロック12の上面と角度位置決定部材22の正8角柱のいずれかの面とが同一面上に位置するように、ブロック12に対して角度位置決定部材22が固定されることになる。これにより、保持部材21は、円筒形に形成されている部分の中心軸に対して所定の角度で位置決めされることになる。角度位置決定部材22は、正8角柱状に形成されているので、母材31を保持する保持部材21は、45度毎に位置決めされる。言い換えれば、母材31を保持する保持部材21は、X軸を中心とする回転方向について、45度毎に位置決めされる。
また、ブロック13には、X軸方向に円筒状の穴が設けられ、その穴に支持部材41が挿入される。ここで、ブロック12およびブロック13がベース11に固定されている状態で、Z軸およびY軸方向におけるブロック13の穴の中心位置は、Z軸およびY軸方向におけるブロック12の穴の中心位置と同じとされる。また、ブロック12の円筒状の穴は、X軸方向に設けられ、ブロック13の円筒状の穴も、X軸方向に設けられているので、ブロック12の穴の中心軸およびブロック13の穴の中心軸は、X軸と一致する。
支持部材41の一端側は、ブロック13の穴の径と略同一の径の円筒形に形成されている。支持部材41の他端側は、円筒形の部分より細く成形され、その先端にはワーク51を支持するための支持面が成形される。ブロック13の穴の径と支持部材41の円筒部分の径とは、略同一とされているので、隙間や遊びが生じることなく、ブロック13の穴によって支持部材41が回動自在に支えられる。また、支持部材41の支持面が成形される側が円筒形の部分より細く成形されているので、支持部材41は、ブロック13の穴に挿抜自在に装着できる。
図2または図3に示されるように、支持部材41の他端側、すなわち、母材31側には、支持面が成形される。支持部材41は、母材31に成形されているワーク51を支持面で支持する。支持面の詳細は後述する。
図2に示されるように、押圧部材42は、ピン43によって支持部材41に装着され、母材31に成形されているワーク51を支持部材41に押圧する。押圧部材42には、押圧面が成形され、ワーク51は、押圧部材42の押圧面によって支持部材41に押圧される。押圧面の詳細は後述する。
ピン43は、螺合または凹凸の係合などにより、支持部材41に装着される。例えば、ピン43と支持部材41との間にバネなどの弾性体を挟むことにより、所定の力で押圧部材42を附勢することができる。すなわち、この場合、押圧部材42は、所定の力でワーク51を支持部材41に押圧する。
角度位置決定部材44は、正8角柱状に形成され、円筒形に形成されている支持部材41の中心軸とその正8角柱の中心軸とが一致するように、支持部材41に固定されている。角度位置決定部材44において、正8角柱の中心軸からそれぞれの側面の中央までの距離は、ブロック13の穴の中心からブロック13の上面までの距離と同じとされている。さらに、支持部材41の中心軸および角度位置決定部材44の中心軸は、保持部材21の中心軸および角度位置決定部材22の中心軸と一致している。すなわち、支持部材41の中心軸および角度位置決定部材44の中心軸、並びに保持部材21の中心軸および角度位置決定部材22の中心軸は、直線上に設けられている。
なお、支持部材41の中心軸および角度位置決定部材44の中心軸、並びに保持部材21の中心軸および角度位置決定部材22の中心軸は、概ね直線上に設けるようにすることができる。
このように、支持部材41の中心軸および保持部材21の中心軸が、概ね直線上に設けられ、保持部材21の支持部材41側が、ワーク51が削り出される母材31を保持し、支持部材41の母材31側には、ワーク51を支持する支持面が成形される。すなわち、略直線上に支持部材41と保持部材21とが対向するように設けられている。
押さえ45は、ネジなどによりブロック13に固定される。押さえ45の下面は、平面とされているので、押さえ45をブロック13に固定すると、ブロック13の上面と角度位置決定部材44の正8角柱のいずれかの面とが同一面上に位置するように、ブロック13に対して角度位置決定部材44が固定されることになる。これにより、支持部材41は、円筒形に形成されている部分の中心軸に対して所定の角度で位置決めされることになる。角度位置決定部材44は、正8角柱状に形成されているので、支持部材41は、45度毎に位置決めできる。言い換えれば、ワーク51を支持する支持面が成形されている支持部材41は、X軸を中心とする回転方向について、45度毎に位置決めされる。
この場合、X軸を中心とする回転方向についての、支持部材41の角度は、保持部材21の角度と同一とされる。
なお、角度位置決定部材22または角度位置決定部材44は、正8角柱状に限らず、正6角柱状、正12角形状など、正多角柱状とすることができる。
また、ブロック12の側面のうち角度位置決定部材22側の側面に位置決め穴を設けて、角度位置決定部材22には位置決め穴を角度毎に設け、この2つの位置決め穴にピンを挿入することにより、角度位置決定部材22を位置決めし、保持部材21の中心軸に対する角度を決定するようにしてもよい。ブロック13および角度位置決定部材44についても同様である。さらに、ブロック12の穴、保持部材21、ブロック13の穴、支持部材41を正多角柱状として、中心軸に対する角度を決定するようにしてもよい。
略直線上に支持部材41と保持部材21とが対向するように設けられているので、母材31から微小なワーク51を削り出す場合、保持部材21または支持部材41が、ミルなどのツールの動きを妨げることがなく、また、保持部材21および支持部材41を所定の軸を中心に角度位置を変更させることができるので、より自由な3次元的な形状からなるワーク51であって、より微小なワーク51をより精度良く切削することができる。また、略直線上に支持部材41と保持部材21とが対向するように設けられているので、支持部材41が母材31に成形されているワーク51を支持面で支持した状態で、保持部材21および支持部材41を所定の軸を中心に角度位置を変更させることが簡単にできる。仮に、対向しないか、または略直線上にないとすると、角度位置を変更させると、支持した状態を維持することができないか、またはワークや支持部材の姿勢の調整に大変な手間がかかる。さらに、1つの切削加工装置において1回の取り付けで角度位置を変更できるので、複数回の取り付け、取り外しにより生じる位置決め誤差が生じることがなく、切削加工装置から生じる加工誤差の範囲内で切削加工ができるようになり、より微小なワーク51をより精度良く切削することができる。
次に、ワーク51、支持部材41の支持面、および押圧部材42に成形される押圧面の詳細を説明する。
図4は、母材31、支持部材41、押圧部材42、およびワーク51の形状をさらに拡大して示す斜視図である。図5は、図4の一点鎖線で示される断面Aにおける、支持部材41、押圧部材42、およびワーク51の断面の例を示す断面図である。
まず、ワーク51の所定の面(以下、被支持面と称する。)が母材31を切削することにより成形される。被支持面は、支持部材41がワーク51を支持する場合、支持部材41の支持面と当接する面である。そして、切削されて成形されたワーク51の被支持面の形状の一部を反転させた形状と同一の形状の支持面が支持部材41に成形される。ここで、反転させた形状とは、元の形状と合わせた場合、隙間が生じない形状をいう。従って、被支持面の形状を反転させた形状の支持面と被支持面とを合わせると、ほとんど隙間が生じない。
押圧部材42の母材31側(ワーク51側)には、押圧部材42を切削することで、ワーク51の面のうち、被支持面に対向する面(以下、被押圧面と称する。)の形状の一部を反転させた形状と同一の形状の押圧面が成形される。
例えば、図4または図5に示されるワーク51の面のうち、ワーク51の下向きの面である被支持面が母材31から切削されることにより成形される。この場合、保持部材21はX軸まわりで180度回転させられ、図4または図5に示される状態から、母材31が逆転した状態で、上向きとなった被支持面が切削される。
そして、例えば、支持部材41を切削することで、ワーク51の被支持面の形状の一部を反転させた形状と同一の形状の支持面が支持部材41に成形される。
また、取付具1から取り外した状態で押圧部材42の母材31側(ワーク51側)には、押圧部材42を切削することで、ワーク51の被押圧面の形状の一部を反転させた形状と同一の形状の押圧面が成形される。
より詳細には、例えば、図4または図5に示されるように、同じ幅の枠が残るようにより小さい正方形を中抜きした板状の正方形に、所定の角度で同様の正方形を合わせて開いた屏風状としたワーク51を支持する場合、ワーク51の下向きの被支持面のうち、先端側(左側)の下向きに開いた枠の部分の内側(下側)の形状を反転させた形状(三角柱を横置きにした形状)に支持部材41の支持面が成形される。また、例えば、この場合、ワーク51の上向きの被押圧面のうち、先端側(左側)の下向きに開いた枠の部分の外側(上側)の形状を反転させた形状に押圧部材42の押圧面が成形される。
そして、支持部材41の支持面をワーク51の下向きの被支持面に当接させることで、支持部材41はワーク51を支持する。例えば、図4または図5に示されるように、三角柱を横置きにした形状とされた支持面をワーク51の先端側(左側)の下向きに開いた枠の部分の内側(下側)に当接させることで、支持部材41はワーク51を支持する。この場合、支持部材41は、ワーク51が変形しない力で支持面をワーク51の被支持面に当接させることで、ワーク51を支持する。
支持部材41の支持面の形状が、ワーク51の被支持面の形状を反転させたものと同一なので、ワーク51を歪ませることなく、支持部材41はワーク51を支持することができる。
なお、支持部材41は、支持面をワーク51の被支持面に当接させることで、ワーク51の変形によりワーク51の位置に所望のオフセット(例えば、上方向のオフセット)が生じるようにワーク51を支持するようにしてもよい。この場合、支持部材41はワーク51をより強固に支持することができ、支持部材41とワーク51との間にずれや隙間が生じにくくなる。
ワーク51が支持部材41によって支持されている状態で、ワーク51の被押圧面が切削される。例えば、図4または図5に示されるように、ワーク51が支持部材41によって支持されている状態で、ワーク51の上向きの面、すなわち、下向きの面に対向する面である被押圧面が切削される。
ワーク51が支持部材41によって支持されているので、ワーク51が微小であっても、例えば、ミルなどのツールで被押圧面が削がれる力や押される力などにより、ワーク51が歪むことがなく、また、ワーク51が振動することがなくなり、より精度良く切削加工できる。
この場合、まず、押圧部材42が用いられることなく、被押圧面の部分のうち、仮に押圧部材42を用いたときに押圧面によって隠れてしまう部分が切削される。そして、その後、押圧部材42が用いられる。すなわち、押圧部材42が、ピン43によって支持部材41に装着され、押圧部材42は、押圧面をワーク51の被押圧面の一部(既に、切削により成形されている。)に当接させることで、ワーク51を支持面に押圧する。
例えば、図4または図5に示されるように、V字型の溝状とされた押圧面をワーク51の先端側(左側)の下向きに開いた枠の部分の外側(上側)に当接させることで、押圧部材42は、ワーク51を支持面に押圧する。
そして、ワーク51が支持部材41によって支持され、また、押圧部材42によって押圧されている状態で、被押圧面の残りの部分が切削される。
押圧部材42の押圧面の形状が、ワーク51の被押圧面の形状を反転させたものと同一なので、ワーク51を歪ませることなく、押圧部材42はワーク51を押圧することができる。
ワーク51が支持部材41によって支持されると共に、押圧部材42がワーク51を支持部材41の支持面に押圧するので、ワーク51を歪ませることなく、より強くワーク51を保持することができる。従って、ワーク51が微小であっても、例えば、ミルなどのツールで被押圧面が削がれる力や押される力などにより、ワーク51が歪むことがなく、また、ワーク51が振動してしまうことがなくなり、より精度良く切削加工できる。
さらに、ワーク51が支持部材41によって支持され、また、押圧部材42によって押圧されている状態で、例えば、図4の点線Bに沿って、ワーク51が母材31から切り離される。
このとき、ワーク51は、支持部材41と押圧部材42とに挟持されるので、ワーク51が微小であっても、ワーク51を紛失してしまうことが防止できる。
なお、支持面は、ワーク51の被支持面の形状の全部を反転させた形状と同一の形状としてもよい。
さらに、図6に示されるように、支持部材41の支持面に複数の突起を設けて、ワーク51の被支持面の一部を複数の点で支持するように成形してもよい。このようにすることで、支持するときにワーク51に生じる応力をより小さくすることができる。すなわち、支持部材41は、被支持面の形状の全部または一部を反転させた形状と略同一の形状に成形されている支持面をワーク51の被支持面に当接させることで、ワーク51を支持するようにしてもよい。なお、押圧部材42の押圧面に複数の突起を設けて、ワーク51の被押圧面の一部を複数の点で支持するように成形してもよい。すなわち、押圧部材42は、被押圧面の形状の一部を反転させた形状と略同一の形状に成形されている押圧面を被押圧面の一部に当接させることで、ワーク51を支持面に押圧するようにしてもよい。
このように、保持部材21は、ワーク51が削り出される母材31を保持する。支持部材41は、保持部材21によって保持されている母材31からワーク51を切削するときであって、ワーク51として形成されている被支持面に対向する被押圧面を切削するとき、被支持面の形状の全部または一部を反転させた形状と略同一の形状に成形されている支持面をワーク51の被支持面に当接させることで、ワーク51を支持する。略直線上に保持部材21と支持部材41とが対向するように設けられている。
略直線上に支持部材41と保持部材21とが対向するように設けられているので、母材31から微小なワーク51を削り出す場合、保持部材21または支持部材41が、ミルなどのツールの動きを妨げることがなく、また、保持部材21および支持部材41を所定の軸を中心に角度位置を変更させることができるので、より自由な3次元的な形状からなるワーク51であって、より微小なワーク51をより精度良く切削加工することができる。また、略直線上に支持部材41と保持部材21とが対向するように設けられているので、支持部材41がワーク51を支持面で支持した状態で、保持部材21および支持部材41を所定の軸を中心に角度位置を変更させることが簡単にできる。
支持部材41の支持面の形状が、ワーク51の被支持面の形状を反転させたものと略同一なので、ワーク51を歪ませることなく、支持部材41はワーク51を支持することができる。
ワーク51が支持部材41によって支持されているので、ワーク51が微小であっても、例えば、ミルなどのツールで被押圧面が削がれる力や押される力などにより、ワーク51が歪むことがなく、また、ワーク51が振動することがなくなり、より精度良く切削加工できる。
押圧部材42は、被押圧面の形状の一部を反転させた形状と略同一の形状に成形されている押圧面を被押圧面の一部に当接させることで、ワーク51を支持面に押圧する。
押圧部材42の押圧面の形状が、ワーク51の被押圧面の形状を反転させたものと同一なので、ワーク51を歪ませることなく、押圧部材42はワーク51を押圧することができる。
ワーク51が支持部材41によって支持されると共に、押圧部材42がワーク51を支持部材41の支持面に押圧するので、ワーク51を歪ませることなく、より強くワーク51を保持することができる。従って、ワーク51が微小であっても、例えば、ミルなどのツールで被押圧面が削がれる力や押される力などにより、ワーク51が歪むことがなく、また、ワーク51が振動してしまうことがなくなり、より精度良く切削加工できる。
角度位置決定部材22および角度位置決定部材44は、支持部材41の支持面とワーク51の被支持面とを当接させた状態で、直線を中心とした回転方向の所望の角度にワーク51の姿勢を維持するように、保持部材21および支持部材41の角度位置を決定する。
従って、母材31およびワーク51の姿勢を所望の角度にすることができるので、より自由な3次元的な形状からなるワーク51であって、より微小なワーク51をより精度良く切削加工することができる。また、1つの切削加工装置において1回の取り付けで角度位置を変更できるので、複数回の取り付け、取り外しにより生じる位置決め誤差が生じることがなく、切削加工装置から生じる加工誤差の範囲内で切削加工ができるようになり、より微小なワーク51をより精度良く切削することができる。
次に、図7を参照して、本発明の実施の形態の切削加工装置101を説明する。切削加工装置101は、所定の母材からワークを切削するマシニングセンタなどの切削加工装置である。
図7は、切削加工装置101の構成を示す斜視図である。切削加工装置101は、ベース111、ブロック112、ブロック113、保持部材121、支持部材141、押圧部材142、ピン143、駆動軸151、および従動軸152を備える。保持部材121は、ワークが削り出される母材131を保持する。
ベース111、ブロック112、ブロック113、保持部材121、支持部材141、押圧部材142、およびピン143は、それぞれ、金属で形成される。ベース111は、ブロック112、ブロック113、保持部材121、支持部材141、押圧部材142、およびピン143を直接または間接に保持する基盤である。
ベース111には、ブロック112およびブロック113がそれぞれ固定される。ブロック112は、保持部材121を保持する。ブロック113は、支持部材141、押圧部材142、およびピン143を保持する。例えば、ブロック112およびブロック113は、それぞれの上側の面と下側の面の四隅をZ軸方向に貫通し、ベース111の上側の面に設けられているねじ穴に螺合するボルトにより、ベース111に固定される。
ブロック112には、X軸方向に円筒状の穴が設けられ、その穴に保持部材121が挿入される。保持部材121の一端側は、ブロック112の穴の径と略同一の径の円筒形に形成されている。保持部材121の他端側は、円筒形の部分より細く成形され、その先端で、母材131を保持する。ブロック112の穴の径と保持部材121の円筒部分の径とは、略同一とされているので、隙間や遊びが生じることなく、ブロック112の穴によって保持部材121が回動自在に支えられる。また、保持部材121の母材131を保持する側が円筒形の部分より細く成形されているので、保持部材121は、ブロック112の穴に挿抜自在に装着できる。
保持部材121は、ワークが削り出される母材131を保持する。例えば、母材131が保持部材121にネジ止めされ、これにより、保持部材121は、母材131を保持する。なお、母材131の保持部材121への固定方法は、挟み込み、接着、溶接その他の固定方法のいずれでもよい。
母材131は、例えば、金属、樹脂、若しくはセラミックスまたはこれらを含む複合素材など、切削加工できる素材からなる。母材131の保持部材121に保持される側とは反対側が、ワークとして削り出される。言い換えると、母材131の支持部材141側が、ワークとして削り出される。この場合、ワークの大きさは、例えば、1mm以下とされる。
また、ブロック113には、X軸方向に円筒状の穴が設けられ、その穴に支持部材141が挿入される。ここで、ブロック112およびブロック113がベース111に固定されている状態で、Z軸およびY軸方向におけるブロック113の穴の中心位置は、Z軸およびY軸方向におけるブロック112の穴の中心位置と同じとされる。また、ブロック112の円筒状の穴は、X軸方向に設けられ、ブロック113の円筒状の穴も、X軸方向に設けられているので、ブロック112の穴の中心軸およびブロック113の穴の中心軸は、X軸と一致する。
支持部材141の一端側は、ブロック113の穴の径と略同一の径の円筒形に形成されている。支持部材141の他端側は、すなわち、支持部材141の母材131側は、円筒形の部分より細く成形され、その先端にはワークを支持するための支持面が成形される。支持部材141の支持面は、支持部材41の支持面と同様に成形されるので、その詳細な説明は省略する。
ブロック113の穴の径と支持部材141の円筒部分の径とは、略同一とされているので、隙間や遊びが生じることなく、ブロック113の穴によって支持部材141が回動自在に支えられる。また、支持部材141の支持面が成形される側が円筒形の部分より細く成形されているので、支持部材141は、ブロック113の穴に挿抜自在に装着できる。
押圧部材142は、ピン143によって支持部材141に装着され、母材131に成形されているワークを支持部材141に押圧する。押圧部材142には、押圧面が成形され、ワークは、押圧部材142の押圧面によって支持部材141に押圧される。押圧部材142の押圧面は、押圧部材42の押圧面と同様に成形されるので、その詳細な説明は省略する。
ピン143は、螺合または凹凸の係合などにより、支持部材141に装着される。例えば、ピン143と支持部材141との間にバネなどの弾性体を挟むことにより、所定の力で押圧部材142を附勢することができる。すなわち、この場合、押圧部材142は、所定の力でワークを支持部材141に押圧する。
支持部材141の中心軸は、保持部材121の中心軸と一致している。すなわち、支持部材141の中心軸および保持部材121の中心軸は、直線上に設けられている。なお、支持部材141の中心軸および保持部材121の中心軸は、概ね直線上に設けるようにすることができる。
このように、支持部材141の中心軸および保持部材121の中心軸が、概ね直線上に設けられ、保持部材121の支持部材141側が、ワークが削り出される母材131を保持し、支持部材141の母材131側には、ワークを支持する支持面が成形される。すなわち、略直線上に支持部材141と保持部材121とが対向するように設けられている。
駆動軸151は、ブロック112および保持部材121に結合され、ベース111、ブロック112、ブロック113、保持部材121、支持部材141、押圧部材142、およびピン143の全体をX軸を中心に回動(回転)させるように駆動する。従動軸152は、ブロック113および支持部材141に結合され、駆動軸151の駆動に従動して回動(回転)するように、ベース111、ブロック112、ブロック113、保持部材121、支持部材141、押圧部材142、およびピン143の全体をX軸を中心に回動(回転)自在に保持する。駆動軸151の回転軸(回動軸)および従動軸152の回転軸(回動軸)は、支持部材141の中心軸および保持部材121の中心軸と一致している。
すなわち、駆動軸151の回転軸および従動軸152の回転軸、並びに支持部材141の中心軸および保持部材121の中心軸は、直線上に設けられている。なお、駆動軸151の回転軸および従動軸152の回転軸、並びに支持部材141の中心軸および保持部材121の中心軸は、概ね直線上に設けるようにすることができる。
言い換えれば、駆動軸151および従動軸152は、略直線上に支持部材141と保持部材121とを対向させ、支持部材141の支持面とワークの被支持面とを当接させた状態で、直線を中心とした回転方向(例えば、図7の矢印Cに示される回転方向)のワークの角度位置を決めるように、保持部材121または支持部材141を変位させる。
このように、保持部材121は、ワークが削り出される母材131を保持する。支持部材141は、保持部材121によって保持されている母材131からワークを切削するときであって、ワークとして形成されている被支持面に対向する面を切削するとき、被支持面の形状の全部または一部を反転させた形状と略同一の形状に成形されている支持面をワークの被支持面に当接させることで、ワークを支持する。駆動軸151および従動軸152は、略直線上に支持部材141と保持部材121とを対向させ、支持部材141の支持面とワークの被支持面とを当接させた状態で、直線を中心とした回転方向のワークの角度位置を決めるように、保持部材121または支持部材141を変位させる。
略直線上に支持部材141と保持部材121とが対向するように設けられているので、母材131から微小なワークを削り出す場合、保持部材121または支持部材141が、ミルなどのツールの動きを妨げることがなく、また、保持部材121および支持部材141を所定の軸を中心に回転(回動)させることができるので、より自由な3次元的な形状からなる、より微小なワークをより精度良く切削加工することができる。
支持部材141の支持面の形状が、ワークの被支持面の形状を反転させたものと同一なので、ワークを歪ませることなく、支持部材141はワークを支持することができる。
ワークが支持部材141によって支持されているので、ワークが微小であっても、例えば、ミルなどのツールで被押圧面が削がれる力や押される力などにより、ワークが歪むことがなく、また、ワークが振動することがなくなり、より精度良く切削加工できる。
駆動軸151および従動軸152は、略直線上に支持部材141と保持部材121とを対向させ、支持部材141の支持面とワークの被支持面とを当接させた状態で、直線を中心とした回転方向のワークの角度位置を決めるように、保持部材121または支持部材141を変位させるので、母材131およびワークの姿勢を所望の角度にすることができ、従って、より自由な3次元的な形状からなる、より微小なワークをより精度良く切削加工することができる。
なお、ベース111を図示せぬ台座に固定し、駆動軸151を、保持部材121に結合し、駆動軸151が、ブロック112の穴で回動自在に支えられている保持部材121をX軸を中心に回動(回転)させるように駆動し、従動軸152に代えて駆動軸を設け、その駆動軸を支持部材141に結合し、ブロック113の穴で回動自在に支えられている保持部材121をX軸を中心に回動(回転)させるように駆動するようにしてもよい。
次に、図8を参照して、本発明の実施の形態の切削加工装置201を説明する。切削加工装置201は、所定の母材からワークを切削するマシニングセンタなどの切削加工装置である。
図8は、切削加工装置201の構成を示す斜視図である。切削加工装置201は、保持部材211、支持部材231、押圧部材232、ホルダ233、駆動軸241、および駆動軸242を備える。保持部材211は、ワークが削り出される母材221を保持する。
保持部材211、支持部材231、および押圧部材232は、それぞれ、金属で形成される。
保持部材211の一端側は、円筒形に形成され、保持部材211の他端側は、円筒形の部分より細く成形され、その先端で、母材221を保持する。保持部材211は、ワークが削り出される母材221を保持する。例えば、母材221が保持部材211にネジ止めされ、これにより、保持部材211は、母材221を保持する。なお、母材221の保持部材211への固定方法は、挟み込み、接着、溶接その他の固定方法のいずれでもよい。
母材221は、例えば、金属、樹脂、若しくはセラミックスまたはこれらを含む複合素材など、切削加工できる素材からなる。母材221の保持部材211に保持される側とは反対側が、ワークとして削り出される。言い換えると、母材221の支持部材231側が、ワークとして削り出される。この場合、ワークの大きさは、例えば、1mm以下とされる。
支持部材231の一端側は、円筒形に形成され、支持部材231の他端側、すなわち、支持部材231の母材221側は、円筒形の部分より細く成形され、その先端にはワークを支持するための支持面が成形される。支持部材231の支持面は、支持部材41の支持面と同様に成形されるので、その詳細な説明は省略する。
押圧部材232は、ホルダ233によって支持部材231側に押圧されるように駆動され、これにより、母材221に成形されているワークを支持部材231に押圧する。押圧部材232には、押圧面が成形され、ワークは、押圧部材232の押圧面によって支持部材231に押圧される。押圧部材232の押圧面は、押圧部材42の押圧面と同様に成形されるので、その詳細な説明は省略する。
ホルダ233は、ソレノイドなどにより、押圧部材232を支持部材231側に押圧するように駆動する。
駆動軸241は、保持部材211に結合され、保持部材211をX軸を中心に回動(回転)させ、また、X軸方向に移動させるように駆動する。駆動軸241の回転軸(回動軸)は、保持部材211の中心軸と一致している。駆動軸242は、支持部材231に結合され、支持部材231、押圧部材232、およびホルダ233をX軸を中心に回動(回転)させ、また、X軸方向に移動させるように駆動する。駆動軸242の回転軸(回動軸)は、支持部材231の中心軸と一致している。
保持部材211によって保持されている母材221からワークを切削するときであって、ワークとして形成されている被支持面に対向する面を切削するとき、駆動軸241および駆動軸242は、支持部材231の支持面をワークの被支持面に当接させることで、支持部材231がワークを支持する位置に、保持部材211および支持部材231、押圧部材232、およびホルダ233を移動させる。
なお、駆動軸241の回転軸と保持部材211の中心軸とは、概ね直線上に設けるようにすることができ、また、駆動軸242の回転軸と支持部材231の中心軸とは、概ね直線上に設けるようにすることができる。
言い換えれば、駆動軸241および駆動軸242は、略直線上に支持部材231と保持部材211とを対向させ、支持部材231の支持面とワークの被支持面とを当接させた状態で、直線を中心とした回転方向(例えば、図8の矢印Cに示される回転方向)のワークの角度位置を決めるように、保持部材211または支持部材231を変位させる。
このように、保持部材211は、ワークが削り出される母材221を保持する。支持部材231は、保持部材211によって保持されている母材221からワークを切削するときであって、ワークとして形成されている被支持面に対向する面を切削するとき、被支持面の形状の全部または一部を反転させた形状と略同一の形状に成形されている支持面をワークの被支持面に当接させることで、ワークを支持する。駆動軸241および駆動軸242は、略直線上に支持部材231と保持部材211とを対向させ、支持部材231の支持面とワークの被支持面とを当接させた状態で、直線を中心とした回転方向のワークの角度位置を決めるように、保持部材211または支持部材231を変位させる。
略直線上に支持部材231と保持部材211とが対向するように設けられているので、母材221から微小なワークを削り出す場合、保持部材211または支持部材231が、ミルなどのツールの動きを妨げることがなく、また、保持部材211および支持部材231を所定の軸を中心に回転(回動)させることができるので、より自由な3次元的な形状からなる、より微小なワークをより精度良く切削加工することができる。
支持部材231の支持面の形状が、ワークの被支持面の形状を反転させたものと同一なので、ワークを歪ませることなく、支持部材231はワークを支持することができる。
ワークが支持部材231によって支持されているので、ワークが微小であっても、例えば、ミルなどのツールで被押圧面が削がれる力や押される力などにより、ワークが歪むことがなく、また、ワークが振動することがなくなり、より精度良く切削加工できる。
駆動軸241および駆動軸242は、略直線上に支持部材231と保持部材211とを対向させ、支持部材231の支持面とワークの被支持面とを当接させた状態で、直線を中心とした回転方向のワークの角度位置を決めるように、保持部材211または支持部材231を変位させるので、母材221およびワークの姿勢を所望の角度にすることができ、従って、より自由な3次元的な形状からなる、より微小なワークをより精度良く切削加工することができる。
ベース11、ブロック12、ブロック13、保持部材21、角度位置決定部材22、押さえ23、支持部材41、押圧部材42、ピン43、角度位置決定部材44、押さえ45、ベース111、ブロック112、ブロック113、保持部材121、支持部材141、押圧部材142、ピン143、保持部材211、支持部材231、および押圧部材232は、それぞれ、金属で形成されると説明したが、金属に限らず、樹脂、若しくはセラミックスまたはこれらを含む複合素材などから形成するようにしてもよい。
また、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。