JP5850291B2 - フラビンアデニンジヌクレオチド依存性グルコースデヒドロゲナーゼの温度依存性を改善する方法 - Google Patents
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Description
また、特許文献1にはAspergillus terreus(アスペルギルス・テレウス)由来FADGDHの遺伝子配列、アミノ酸配列が記載されている。
また、特許文献2にはAspergillus oryzae由来FADGDHが、特許文献3にはAspergillus oryzae由来FADGDHを改変し、熱安定性が向上した改変型FADGDHが記載されている。特許文献4にはAspergillus oryzae由来FADGDHおよびAspergillus terreus由来FADGDHを改変し、熱安定性およびキシロース作用性を改善した改変型FADGDHが記載されている。
グルコースセンサーによっては、このような温度による反応性変動を見込んで、補正機能が組み込まれているものもあるが、その機能は完全なものではない。
公知のFADGDHにはキシロースに対して作用するものがある。キシロースは、糖質の消化吸収試験に使用される単糖である。そのためキシロース吸収試験を実施している患者が血糖センサーを使用した場合、血中のグルコースだけではなくキシロースにも反応するため、測定値が本来のグルコース濃度よりも高値を示すことが問題となる。
本願発明において「温度依存性値」とは、改変前のFADGDHの25℃における活性値を37℃における活性値で割った値を1としたときに、各改変体において同様に活性値を測定し同様の計算を行った値を、さらに改変前のFADGDHの値で割ったものである。
温度依存性値が1.1であれば、計算上、37℃と25℃の間での差が約30%となり、25℃と30℃での差は12〜13%程度に縮まると推定される。これをデータのばらつきの最大値と最小値の差と考えると、プラスマイナス6〜7%程度に収まることになり好ましい。
さらに、温度依存性が1.2であれば、37℃と25℃の間での差が24%程度となり、25℃と30℃での差は10%程度に縮まると推定される。これをデータのばらつきの最大値と最小値の差と考えると、プラスマイナス5%程度に収まることになり、より好ましい。
また、本発明者らは、特許文献1に記載のFADGDHのキシロース作用性を検討し(特許文献4参照)、該FADGDHのキシロース作用性は、グルコースに対する反応性を100%とした場合、10%程度反応することを見出した。即ち、このFADGDHを使用したグルコース濃度を測定した場合、測定値の正確性を損ねてしまうという欠点があることが判明した。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、公知のFADGDHの特定のアミノ酸を他のアミノ酸に置換することで、改変前のFADGDHよりも温度依存性が改善し、且つ、キシロース作用性も低減する改変型FADGDHを見出し、本発明を完成させた。
項1.
以下の(A1)または(A2)のタンパク質。
(A1)配列番号2に記載のFAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼ(FADGDH)のアミノ酸配列において、下記(a)に示されるアミノ酸置換のいずれかを含むアミノ酸配列を含むタンパク質:
(a)G59A、G59C、G59D、G59F、G59H、G59K、G59L、G59M、G59N、G59P、G59Q、G59S、G59T、G59W、G59Y、R82A、R82C、R82H、R82K、R82Q、R82V、R82Y、V108A、V108D、V108E、V108F、V108H,V108L、V108M、V108Q、V108R、V108S、V108T、F505D、F505L、F505M、F505N、F505Q、F505R、F505Y;
(A2)以下の(i)〜(iii)を満たすタンパク質;
(i) 配列番号2に示されるアミノ酸配列と少なくとも60%の相同性を有するアミノ酸配列において下記(b)のアミノ酸を有するアミノ酸配列を含む、
(b)59A、59C、59D、59F、59H、59K、59L、59M、59N、59P、59Q、59S、59T、59W、59Y、82A、82C、82H、82K、82Q、82V、82Y、108A、108D、108E、108F、108H,108L、108M、108Q、108R、108S、108T、505D、505L、505M、505N、505Q、505R、505Y
(ii) グルコースデヒドロゲナーゼ活性を有する、
(iii) 配列番号2のアミノ酸配列を有するタンパク質よりも改善された温度依存性を有する。
項2.
以下の(B1)または(B2)のタンパク質。
(B1)配列番号2に記載のFAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼ(FADGDH)のアミノ酸配列において、下記(c)に示されるアミノ酸置換のいずれかを含むアミノ酸配列を含むタンパク質:
(c)G59C,G59D、G59K、G59M、G59Q、G59S、G59T、R82H、R82Q、V108M、V108T、F505Y;
(B2)以下の(i)〜(iii)を満たすタンパク質;
(i) 配列番号2に示されるアミノ酸配列と少なくとも60%の相同性を有するアミノ酸配列において下記(d)のアミノ酸を有するアミノ酸配列を含む、
(d)59C、59D、59K、59M、59Q、59S、59T、82H、82Q、108M、108T、505Y
(ii) グルコースデヒドロゲナーゼ活性を有する、
(iii) 配列番号2のアミノ酸配列を有するタンパク質よりも低下したキシロース作用性を有する。
項3.
以下の(C1)または(C2)のタンパク質。
(C1)配列番号2に記載のFAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼ(FADGDH)のアミノ酸配列において、下記(e)に示されるアミノ酸置換のいずれかを含むアミノ酸配列を含むタンパク質:
(e)G59C、G59D、G59K、G59M、G59Q、G59S、G59T、R82H、R82Q、V108M、V108T、F505Y;
(C2)以下の(i)〜(iii)を満たすタンパク質;
(i) 配列番号2に示されるアミノ酸配列と少なくとも60%の相同性を有するアミノ酸配列において下記(f)のアミノ酸を有するアミノ酸配列を含む、
(f)59C、59D、59K、59M、59Q、59S、59T、82H、82Q、108M、108T、505Y
(ii) グルコースデヒドロゲナーゼ活性を有する、
(iii) 配列番号2のアミノ酸配列を有するタンパク質よりも改善された温度依存性を有し、かつ、低下したキシロース作用性を有する。
項4.
項1〜3のいずれかに記載のタンパク質をコードする遺伝子。
項5.
項4に記載の遺伝子を含むベクター。
項6.
項5に記載のベクターで形質転換された形質転換体。
項7.
項6に記載の形質転換体を培養し、グルコースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質を採取することを特徴とするグルコースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質を生産する方法。
項8.
項1〜3のいずれかに記載のタンパク質を含むグルコースアッセイキット。
項9.
項1〜3のいずれかに記載のタンパク質を含むグルコースセンサー。
項10.
項1〜3のいずれかに記載のタンパク質を含むグルコース測定法。
本発明のタンパク質は、温度依存性だけでなく、キシロースに対する作用性も低減されている。よって、基質特異性という観点からも本発明のタンパク質は血中のグルコース濃度測定に優れている。
本発明の方法により、上記のような優れた特性を有する新規なタンパク質を効率的に製造することが可能である。
本明細書において、アミノ酸配列を構成するアミノ酸はアルファベット1文字又は3文字で表記される。例えば、グリシンは、Gly又はGと表記される。アミノ酸配列上のアミノ酸の位置は、番号を用いて特定される。例えば、59番目のグリシンがアラニンに置換されている場合は、「G59A」と表記する。また、「59A」は、変異の有無を問わず、59位(又は59番目)のアミノ酸がAla(A)であることを示す。配列番号1、配列番号2、配列番号3において、アミノ酸の表記は、メチオニンを1として番号付けされている。
本願発明の一実施形態は、以下に記載されるタンパク質である。
配列番号1または配列番号2に記載のFADGDHのアミノ酸配列において、59位、82位、108位、505位のうちいずれか、もしくは、それと同等の位置においてアミノ酸置換を有する、改変前よりも温度依存性が改善した改変型FADGDH。
(A1)配列番号2に記載のFAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼ(FADGDH)のアミノ酸配列において、下記(a)に示されるアミノ酸置換のいずれかを含むアミノ酸配列を含むタンパク質:
(a)G59A、G59C、G59D、G59F、G59H、G59K、G59L、G59M、G59N、G59P、G59Q、G59S、G59T、G59W、G59Y、R82A、R82C、R82H、R82K、R82Q、R82V、R82Y、V108A、V108D、V108E、V108F、V108H,V108L、V108M、V108Q、V108R、V108S、V108T、F505D、F505L、F505M、F505N、F505Q、F505R、F505Y;
(A2)以下の(i)〜(iii)を満たすタンパク質;
(i) 配列番号2に示されるアミノ酸配列と少なくとも60%の相同性を有するアミノ酸配列において下記(b)のアミノ酸を有するアミノ酸配列を含む、
(b)59A、59C、59D、59F、59H、59K、59L、59M、59N、59P、59Q、59S、59T、59W、59Y、82A、82C、82H、82K、82Q、82V、82Y、108A、108D、108E、108F、108H,108L、108M、108Q、108R、108S、108T、505D、505L、505M、505N、505Q、505R、505Y
(ii) グルコースデヒドロゲナーゼ活性を有する、
(iii) 配列番号2のアミノ酸配列を有するタンパク質よりも改善された温度依存性を有する。
配列番号1または配列番号2に記載のFADGDHのアミノ酸配列において、59位、82位、108位、505位のうちいずれか、もしくは、それと同等の位置においてアミノ酸置換を有する、改変前よりもキシロース作用性が低下した改変型FADGDHもまた
、本願発明の一実施形態である。
(B1)配列番号2に記載のFAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼ(FADGDH)のアミノ酸配列において、下記(c)に示されるアミノ酸置換のいずれかを含むアミノ酸配列を含むタンパク質:
(c)G59C,G59D、G59K、G59M、G59Q、G59S、G59T、R82H、R82Q、V108M、V108T、F505Y;
(B2)以下の(i)〜(iii)を満たすタンパク質;
(i) 配列番号2に示されるアミノ酸配列と少なくとも60%の相同性を有するアミノ酸配列において下記(d)のアミノ酸を有するアミノ酸配列を含む、
(d)59C、59D、59K、59M、59Q、59S、59T、82H、82Q、108M、108T、505Y
(ii) グルコースデヒドロゲナーゼ活性を有する、
(iii) 配列番号2のアミノ酸配列を有するタンパク質よりも低下したキシロース作用性を有する。
配列番号1または配列番号2に記載のFADGDHのアミノ酸配列において、59位、82位、108位、505位のうちいずれか、もしくは、それと同等の位置においてアミノ酸置換を有する、改変前よりも温度依存性が改善し、且つ、キシロース作用性が低下した改変型FADGDHもまた、本願発明の一実施形態である。
(C1)配列番号2に記載のFAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼ(FADGDH)のアミノ酸配列において、下記(e)に示されるアミノ酸置換のいずれかを含むアミノ酸配列を含むタンパク質:
(e)G59C、G59D、G59K、G59M、G59Q、G59S、G59T、R82H、R82Q、V108M、V108T、F505Y;
(C2)以下の(i)〜(iii)を満たすタンパク質;
(i) 配列番号2に示されるアミノ酸配列と少なくとも60%の相同性を有するアミノ酸配列において下記(f)のアミノ酸を有するアミノ酸配列を含む、
(f)59C、59D、59K、59M、59Q、59S、59T、82H、82Q、108M、108T、505Y
(ii) グルコースデヒドロゲナーゼ活性を有する、
(iii) 配列番号2のアミノ酸配列を有するタンパク質よりも改善された温度依存性を有し、かつ、低下したキシロース作用性を有する。
本願において、温度依存性とは、タンパク質が存在する環境の温度変化に伴って、そのタンパク質が有するグルコースデヒドロゲナーゼ活性が変動する性質を意味する。温度依存性が改善されているとは、環境温度の変化に伴う酵素活性の変化が小さく、幅広い温度条件下で、より一定の酵素活性を保持することを意味する。
温度依存性が改善されているかどうかは、配列番号2で示されるアミノ酸配列から成るFADGDHの温度依存性を基準に判断され、具体的には以下の(1)〜(5)に従って判断される。
(1)37℃、24時間処理後における活性値(U/ml)を測定し、これをAとする。(2)25℃、24時間処理後における活性値(U/ml)を測定し、これをBとする。(3)Aを100%としたときのBの相対値(%)を計算し、これをCとする。
(4)配列番号2のFADGDHのCの値を1とし、(A1)タンパク質等の改変型タンパク質のCの相対値を求める。これをDとする。(Dを、温度依存性比、ともよぶ。)
(5)下記の実施例1に示されるように配列番号2のFADGDHの25℃における酵素活性は、37℃における酵素活性を100%とすると、63%である。よって、改変型のタンパク質のCの値が、63%よりも大きい場合、Dの値は1よりも大きいことになる。即ち、改変型FADGDHのDの値は、1を起点として1.59に近づく程、温度依存性が低く、改善されていることになる。
本発明のタンパク質は、改善された温度依存性を有するため、少なくとも1よりも大きいDの値を有する。好ましくは、Dの値は、1.02以上であり、より好ましくは、1.05以上、更に好ましくは、1.1以上、更に好ましくは、1.15以上、更に好ましくは1.2以上、更に好ましくは1.25以上、更に好ましくは1.3以上である。
温度依存性の改善という観点から好ましいアミノ酸置換は、G59A、G59C、G59D、G59F、G59H、G59K、G59L、G59M、G59N、G59P、G59Q、G59S、G59T、G59W、G59Y、R82A、R82C、R82H、R82K、R82Q、R82V、R82Y、V108A、V108F、V108H,V108M、V108Q、V108R、V108S、V108T、F505D、F505L、F505M、F505N、F505Q、F505R、及びF505Yのいずれかである。これらのアミノ酸置換を有する改変型FADGDHは、1.02以上のDの値を有する。
より好ましいアミノ酸置換は、G59A、G59C、G59F、G59H、G59K、G59L、G59M、G59N、G59P、G59Q、G59S、G59T、G59W、G59Y、R82A、R82C、R82H、R82K、R82Q、R82V、R82Y、V108R、F505L、F505Q、F505R、及びF505Yのいずれかである。これらのアミノ酸置換を有する改変型FADGDHは、1.05以上のDの値を有する。
より好ましいアミノ酸置換は、G59C、G59F、G59H、G59K、G59L、G59M、G59N、G59Q、G59T、G59W、G59Y、R82C、R82H、R82Q、R82V、R82Y、F505Q、及びF505Rのいずれかである。これらのアミノ酸置換を有する改変型FADGDHは、1.1以上のDの値を有する。
更に好ましいアミノ酸置換は、G59C、G59F、G59L、G59M、G59T、G59Y、R82H、R82Y、F505Q及びF505Rのいずれかである。これらのアミノ酸置換を有する改変型FADGDHは、1.15以上のDの値を有する。
更に好ましいアミノ酸置換は、G59F、G59M、G59T、G59Y及びR82Yである。このアミノ酸置換を有する改変型FADGDHは、1.2以上のDの値を有する。
上記に例示した特定のアミノ酸は、(A1)タンパク質が有する温度依存性が改善されている限り、アミノ酸配列における異なる位置に複数存在してもよい。
一方、温度依存性の改善と併せて、キシロースに対する作用性が低減されている。
本発明において、キシロース作用性とは、グルコースを基質とした場合の反応速度とキシロースを基質とした場合の反応速度の相対比%(グルコースを100%とする。)で表される。配列番号2に示されるアミノ酸配列から成るFADGDHのキシロ−ス作用性の値を1とし、それぞれの改変型酵素の相対比%を計算する。よって、この値が小さいほど、キシロース作用性が低下していると判断される。
キシロースに対する作用性が低減されているという観点から好ましいアミノ酸の置換は、G59C,G59D、G59K、G59M、G59Q、G59S、G59T、R82H、R82Q、V108M、V108T、F505Yから成る群から選択されるいずれかである。これらのアミノ酸置換を有する改変型FADGDHは、キシロース作用性比が改変前と比べて0.97以下である。
より好ましいアミノ酸置換は、G59M、G59Q、R82H、R82Q、F505Yのいずれかである。これらのアミノ酸置換を有する改変型FADGDHは、キシロース作用性比が改変前と比べて0.9以下である。
より好ましいアミノ酸置換は、G59Mである。これらのアミノ酸置換を有する改変型FADGDHは、キシロース作用性比が改変前と比べて0.8以下である。
上記に例示した特定のアミノ酸は、(B1)タンパク質のキシロースに対する作用性が低減されている限り、アミノ酸配列における異なる位置に複数存在してもよい。
上記に例示した特定のアミノ酸は、(C1)タンパク質が有する温度依存性が改善されており、かつ、(C1)タンパク質のキシロースに対する作用性が低減されている限り、アミノ酸配列における異なる位置に複数存在してもよい。
また、配列番号2のアミノ酸配列において、163位のアルギニンがグリシンに置換され、551位のシステインがバリンに置換されたアミノ酸配列は野生型のFADGDHのアミノ酸配列(配列番号1)である。よって、(A1)のタンパク質は、上記特定のアミノ酸置換に加え、163番目のアミノ酸がグリシンに置換され、551番目のアミノ酸がバリンに置換されていてもよい。
(i) 配列番号2に示されるアミノ酸配列と少なくとも60%の相同性を含むアミノ酸配列において下記(b)に示されるアミノ酸置換のいずれかを含むアミノ酸配列を含む、
(b) 59A、59C、59D、59F、59H、59K、59L、59M、59N、59P、59Q、59S、59T、59W、59Y、82A、82C、82H、82K、82Q、82V、82Y、108A、108D、108E、108F、108H,108L、108M、108Q、108R、108S、108T、505D、505L、505M、505N、505Q、505R、505Y;
(ii) グルコースデヒドロゲナーゼ活性を有する、
(iii) 配列番号2のアミノ酸配列を有するタンパク質よりも改善された温度依存性を有する。
即ち、(A2)タンパク質は、配列番号2に示されるアミノ酸配列と少なくとも60%のアミノ酸の相同性を有するアミノ酸配列を含み、且つ、上記(b)で示される少なくとも一つのアミノ酸を含む。更に、(A2)タンパク質は、グルコースデヒドロゲナーゼ活性を保持し、配列番号2のFADGDHと比較して改善された温度依存性を有する。
(i) 配列番号2に示されるアミノ酸配列と少なくとも60%の相同性を有するアミノ酸配列において下記(d)のアミノ酸を有するアミノ酸配列を含む、
(d) 59C、59D、59K、59M、59Q、59S、59T、82H、82Q、108M、108T、505Y
(ii) グルコースデヒドロゲナーゼ活性を有する、
(iii) 配列番号2のアミノ酸配列を有するタンパク質よりも低下したキシロース作用性を有する。
即ち、(B2)タンパク質は、配列番号2に示されるアミノ酸配列と少なくとも60%のアミノ酸の相同性を有するアミノ酸配列を含み、且つ、上記(d)で示される少なくとも一つのアミノ酸を含む。更に、(B2)タンパク質は、グルコースデヒドロゲナーゼ活性を保持し、配列番号2のFADGDHと比較して低下したキシロース作用性を有する。
(i) 配列番号2に示されるアミノ酸配列と少なくとも60%の相同性を有するアミノ酸配列において下記(f)のアミノ酸を有するアミノ酸配列を含む、
(f) 59C、59D、59K、59M、59Q、59S、59T、82H、82Q、108M、108T、505Y
(ii) グルコースデヒドロゲナーゼ活性を有する、
(iii) 配列番号2のアミノ酸配列を有するタンパク質よりも改善された温度依存性を有し、かつ、低下したキシロース作用性を有する。
即ち、(C2)タンパク質は、配列番号2に示されるアミノ酸配列と少なくとも60%のアミノ酸の相同性を有するアミノ酸配列を含み、且つ、上記(f)で示される少なくとも一つのアミノ酸を含む。更に、(C2)タンパク質は、グルコースデヒドロゲナーゼ活性を保持し、配列番号2のFADGDHと比較して改善された温度依存性を有し、かつ、低下したキシロース作用性を有する。
より好ましい特定のアミノ酸は、59A、59C、59F、59H、59K、59L、59M、59N、59P、59Q、59S、59T、59W、59Y、82A、82C、82H、82K、82Q、82V、82Y、108R、505L、505Q、505R及び505Yから成る群より選択されるいずれかである。
より好ましい特定のアミノ酸は、59C、59F、59H、59K、59L、59M、59N、59Q、59T、59W、59Y、82C、82H、82Q、82V、82Y、505Q、及び505Rから成る群より選択されるいずれかである。
更に好ましい特定のアミノ酸は、59C、59F、59L、59M、59T、59Y、82H、82Y、505Q及び505Rから成る群より選択されるいずれかである。
更に好ましい特定のアミノ酸は、59F、59M、59T、59Y及び82Yから成る群より選択されるいずれかである。
上記に例示した特定のアミノ酸は、(A2)タンパク質が有する温度依存性が改善されている限り、アミノ酸配列における異なる位置に複数存在してもよい。
上記(d)に列挙される特定のアミノ酸の中でも、好ましいアミノ酸は、59C、59D、59K、59M、59Q、59S、59T、82H、82Q、108M、108T、505Yから成る群から選択されるいずれかである。
更に好ましい特定のアミノ酸は、59M、59Q、82H、82Q、505Yのいずれかである。
更に好ましいアミノ酸置換は、59Mである。
上記に例示した特定のアミノ酸は、(B2)タンパク質が有する温度依存性が改善されている限り、アミノ酸配列における異なる位置に複数存在してもよい。
上記に例示した特定のアミノ酸は、(C2)タンパク質が改善された温度依存性を有し、かつ、低下したキシロース作用性を有する限り、アミノ酸配列における異なる位置に複数存在してもよい。
また、本願明細書において、あるアミノ酸配列における配列番号1の54位と同等の位置は、GENETYXソフトで配列を比較したとき、配列番号1の54位と対応する位置をもって同等と判断する。同様に、アミノ酸配列における配列番号1の58位と同等の位置は、GENETYXソフトで配列の一次構造(例えばアラインメント)を比較したとき、配列番号1の58位と対応する位置をもって同等と判断する。必要に応じてさらに立体構造の知見などを参照しても良い。
具体的には、アスペルギルス・オリゼ野生株由来のFADGDHのアミノ酸配列とアスペルギルス・テレウス野生株由来のFADGDHのアミノ酸配列とのアライメントの比較データより、本発明の59位と同等の位置とは、アスペルギルス・テレウス野生株由来のFADGDHの55位のグリシンに相当する。また、本発明の82位と同等の位置とは、アスペルギルス・テレウス野生株由来のFADGDHの78位のアルギニンに相当する。また、本発明の108位と同等の位置とは、アスペルギルス・テレウス野生株由来のFADGDHの104位のアラニンに相当する。また、本発明の505位と同等の位置とは、アスペルギルス・テレウス野生株由来のFADGDHの501位のフェニルアラニンに相当する。
上記(c)において、配列番号1または配列番号2の少なくともいずれかとのアミノ酸配列の相同性は、好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。
上記F〜Hの(a)〜(c)のいずれかで表されるタンパク質において、アミノ酸が置換された位置以外の位置において、さらに、1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加(挿入)されたアミノ酸配列からなり、かつグルコースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質もまた、本願発明の一実施形態である。
なお、GENETYXソフトは、GENETYX CORPORATIONから販売されているVersion 6.1のものを使用した。
以下に、配列番号1で示される野生型のアスペルギルス・オリゼ由来のFADGDHを改変したFADGDH改変体の製造法を例示する。製造法は、特に限定されないが、以下に示すような手順で製造することが可能である。
FAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼを構成するアミノ酸配列を改変する方法としては、通常行われる遺伝情報を改変する手法が用いられる。すなわち、タンパク質の遺伝情報を有するDNAの特定の塩基を変換することにより、或いは特定の塩基を挿入または欠失させることにより、改変タンパク質の遺伝情報を有するDNAが作成される。DNA中の塩基配列を変換する具体的な方法としては、例えば市販のキット(Transformer Mutagenesis Kit;Clonetech社, EXOIII/Mung Bean Deletion Kit;Stratagene製, Quick
Change Site Directed Mutagenesis Kit;Stratagene製など)の使用、或いはポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)の利用が挙げられる。
Aspergillus oryzae由来のFADGDHとしては、配列番号1または配列番号2で表されるタンパク質が例示できる。
Aspergillus terreus由来のFADGDHとしては、配列番号3で表されるタンパク質が例示できる。
る。
本願発明の遺伝子は、上記改変前のタンパク質をコードする遺伝子の配列において、59位、82位、108位、505位のうちいずれかのアミノ酸、あるいはそれと同等の位置のアミノ酸をコードする部分が、他のアミノ酸をコードするように置換されている。
(a)タンパク質実験プロトコール第1巻 機能解析編,第2巻 構造解析編 (秀潤社) 西村善文,大野茂男 監修
(b)改訂 タンパク質実験ノート 上 抽出と分離精製 (洋土社) 岡田雅人,宮崎香 編集
また、以下に例示する方法によって進めることもできる。
また、適当な宿主微生物としては、組換えベクターが安定であり、かつ自立増殖可能で外来遺伝子の形質発現できるものであれば特に制限されない。エシェリヒア・コリーではエシェリヒア・コリーW3110、エシェリヒア・コリーC600、エシェリヒア・コリーHB101、エシェリヒア・コリーJM109、エシェリヒア・コリーDH5αなどを用いることができる。
ーから制限酵素やPCR法によりGDH遺伝子であるDNAを回収し、他のベクター断片と結合させることにより容易に実施できる。また、これらのベクターによる他の微生物の形質転換は、カルシウム処理によるコンピテントセル法やエレクトロポレーション法、プロトプラスト法などを用いることができる。
処理や等電点処理も有効な精製手段である。その後、吸着剤あるいはゲルろ過剤などによるゲルろ過、吸着クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィーを行うことにより、精製されたGDHを得ることができる。
[試験例]
<試薬>
50mM PIPES緩衝液pH6.5(0.1% TritonX−100を含む)
24mM PMS溶液
2.0mM 2,6−ジクロロフェノールインドフェノール(DCPIP)溶液
1M D−グルコース溶液
上記PIPES緩衝液21.9ml、DCPIP溶液1.0ml、PMS溶液2.0ml、D―グルコース溶液4.5mlを混合して反応試薬とする。
反応試薬3mlを37℃で5分間予備加温する。GDH溶液0.1mlを添加しゆるやかに混和後、水を対照に37℃に制御された分光光度計で、600nmの吸光度変化を5分記録し、直線部分から1分間あたりの吸光度変化(ΔODTEST)を測定する。盲検はGDH溶液の代わりにGDHを溶解する溶媒を試薬混液に加えて同様に1分間あたりの吸光度変化(ΔODBLANK)を測定する。これらの値から次の式に従ってGDH活性を求める。ここでGDH活性における1単位(U)とは、濃度200mMのD−グルコース存在下で1分間に1マイクロモルのDCPIPを還元する酵素量として定義している。また、25℃での活性値を測定する場合は、上記の37℃と表記した操作を25℃に変更して測定する。キシロースに対する反応性を測定する際は、上記の1M D−グルコース溶液の代わりに1M D−キシロースを使用すればよい。
活性(U/ml)=
{−(ΔODTEST−ΔODBLANK)×3.0×希釈倍率}/{16.3×0.1×1.0}
なお、式中の3.0は反応試薬+酵素溶液の液量(ml)、16.3は本活性測定条件におけるミリモル分子吸光係数(cm2/マイクロモル)、0.1は酵素溶液の液量(ml)、1.0はセルの光路長(cm)を示す。
本発明はまた、本発明に従う改変型FADGDHを含むグルコースアッセイキットを特徴とする。本発明のグルコースアッセイキットは、本発明に従う改変型FADGDHを少なくとも1回のアッセイに十分な量で含む。典型的には、キットは、本発明の改変型FADGDHに加えて、アッセイに必要な緩衝液、メディエーター、キャリブレーションカーブ作製のためのグルコース標準溶液、ならびに使用の指針を含む。本発明に従う改変型FADGDHは種々の形態で、例えば、凍結乾燥された試薬として、または適切な保存溶液中の溶液として提供することができる。
本発明はまた、本発明に従う改変型FADGDHを用いるグルコースセンサーを特徴とする。電極としては、カーボン電極、金電極、白金電極などを用い、この電極上に本発明の酵素を固定化する。固定化方法としては、架橋試薬を用いる方法、高分子マトリックス中に封入する方法、透析膜で被覆する方法、光架橋性ポリマー、導電性ポリマー、酸化還元ポリマーなどがあり、あるいはフェロセンあるいはその誘導体に代表される電子メディエーターとともにポリマー中に固定あるいは電極上に吸着固定してもよく、またこれらを組み合わせて用いてもよい。典型的には、グルタルアルデヒドを用いて本発明の改変型FADGDHをカーボン電極上に固定化した後、アミン基を有する試薬で処理してグルタルアルデヒドをブロッキングする。
配列番号2のFADGDHを使用した。上述した方法によりFADGDH精製標品を調製し、38mM PIPES緩衝液(pH6.5)中で、所定の温度条件における活性測定を行った。図1に酵素活性の温度依存性曲線を示した。縦軸は、37℃における活性値を100%として、各温度における相対的な活性値を示している。37℃における活性値を100%とする場合に、25℃における活性値が約63%、5℃における活性値が約40%を示している。
FADGDHをコードする遺伝子(配列番号2)を含む組み換えプラスミドpAOGDH−M76で市販の大腸菌コンピテントセル(E.coli DH5a;TOYOBO社製)を形質転換し、アンピシリンを含んだ寒天培地(1%ポリペプトン、0.5%酵母エキス、0.5%NaCl、1.5%寒天;pH7.3)に塗布した後、30℃で一晩培養した。得られた形質転換体をアンピシリン(50mg/ml;ナカライテスク社製)を含んだ液体培地(1%ポリペプトン、0.5%酵母エキス、0.5%NaCl;pH7.3)を摂取し、30℃で一晩振とう培養した。得られた菌体から常法によりプラスミドを調整した。
該プラスミドを鋳型として、59番目のグリシンをアラニンに置換するよう設計した配列番号7の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、82番目のアルギニンをアラニンに置換するよう設計した配列番号8の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、108番目のバリンをアラニンに置換するよう設計した配列番号9の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチド、505番目のフェニルアラニンをアラニンに置換するよう設計した配列番号10の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチドをQuickChangeTMSite−Directed Mutagenesis Kit(STRATAGENE製)を用いて改変型FADGDHを作製した。
得られた改変型FADGDHで市販の大腸菌コンピテントセル(E.coli DH5a;TOYOBO社製)を形質転換し、アンピシリンを含んだLB寒天培地で37℃、16時間培養した。その後、改変型FADGDHのシングルコロニーを、アンピシリンを含んだLB液体培地に摂取し、30℃で一晩振とう培養した。得られた菌体から常法によりプラスミドを抽出した。抽出したプラスミドの当該部位をDNAシークエンサー(ABI PRISMTM 3700DNA Analyzer;Perkin−Elmer製)を用いて特定し、アラニンに置換した改変型FADGDHを取得した。その後、59番目のグリシンをアラニンに置換したプラスミドをpAOGDH−M76−G59A、82番目のアルギニンをアラニンに置換したプラスミドをpAOGDH−M76−R82A、108番目のバリンをアラニンに置換したプラスミドをpAOGDH−M76−V108A、505番目のフェニルアラニンをアラニンに置換したプラスミドをpAOGDH−M76−F505Aと命名した。
実施例3で取得したpAOGDH−M76−G59A、pAOGDH−M76−R82A、pAOGDH−M76−V108AおよびpAOGDH−M76−F505Aで市販の大腸菌コンピテントセル(E.coli DH5a;TOYOBO社製)を形質転換し、アンピシリンを含んだLB寒天培地で37℃、16時間培養した。その後、アラニン改変型FADGDHのシングルコロニーをアンピシリンを含んだLB液体培地に摂取し、30℃で一晩振とう培養した。その培養液の一部から遠心分離によって得られた菌体を回収し、50mMのリン酸緩衝液(pH6.0)中でガラスビーズを用いて該菌体を破砕することにより粗酵素液を調製した。
表1は、5ml LB培地/試験管,30℃,24時間培養した時のG59A、R82A、V108AおよびF505Aの温度依存性を比較した結果である。
改変部位と温度依存性を比較し、59部位、82部位、108部位をアラニンに置換することで改変前のFADGDHよりも温度依存性が改善する効果が確認されたことから59部位、82部位および108部位を候補とした。また、505部位については、アラニンに置換することで失活したが、アラニン以外の他のアミノ酸に置換することで温度依存性が改善する可能性があったため候補とした。
実施例2で使用したpAOGDH−M76を鋳型として、59番目のチロシンを他の19種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号11の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチドをQuickChangeTMSite−Directed Mutagenesis Kit(STRATAGENE製)を用いて改変型FADGDHを作製した。改変型FADGDHで市販の大腸菌コンピテントセル(E.coli DH5a;TOYOBO社製)を形質転換し、アンピシリンを含んだLB寒天培地で37℃、16時間培養した。その後、改変型FADGDHを有したシングルコロニーを、アンピシリンを含んだLB液体培地に摂取し、30℃で一晩振とう培養した。その後、1mlの培養液を摂取し、常法によりプラスミドを抽出した。抽出したプラスミドの当該部位をDNAシークエンサー(ABI PRISMTM 3700DNA Analyzer;Perkin−Elmer製)を用いて特定した。59部位をAに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−G59A、59部位をCに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−G59C、59部位をDに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−G59D、59部位をEに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−G59E、59部位をGに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−G59F、59部位をHに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−G59H、59部位をIに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−G59I、59部位をKに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−G59K、59部位をLに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−G59L、59部位をMに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−G59M、59部位をNに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−G59N、59部位をPに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−G59P、59部位をQに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−G59Q、59部位をRに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−G59R、59部位をSに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−G59S、59部位をTに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−G59T、59部位をVに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−G59V、59部位をWに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−G59W、59部位をYに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−G59Yと命名した。
実施例5と同様の方法で59部位を19種のアミノ酸に置換した改変型FADGDHの温度依存性とキシロース作用性を測定した。表2に改変型FADGDHの温度依存性とキシロース作用性の結果を示す。
表2は、5ml LB培地/試験管,30℃,24時間培養した時のG59部位を改変した改変型FADGDHの温度依存性及びキシロース作用性を比較した結果である。
59部位をAに置換した改変型FADGDH、59部位をCに置換した改変型FADGDH、59部位をDに置換した改変型FADGDH、59部位をFに置換した改変型FADGDH、59部位をHに置換した改変型FADGDH、59部位をKに置換した改変型FADGDH、59部位をLに置換した改変型FADGDH、59部位をMに置換した改変型FADGDH、59部位をNに置換した改変型FADGDH、59部位をPに置換した改変型FADGDH、59部位をQに置換した改変型FADGDH、59部位をSに置
換した改変型FADGDH、59部位をTに置換した改変型FADGDH、59部位をWに置換した改変型FADGDH、59部位をYに置換した改変型FADGDHで改変前のFADGDHより温度依存性が改善した。また、59部位をCに置換した改変型FADGDH、59部位をDに置換した改変型FADGDH、59部位をKに置換した改変型FADGDH、59部位をMに置換した改変型FADGDH、59部位をQに置換した改変型FADGDH、59部位をSに置換した改変型FADGDH、59部位をTに置換した改変型FADGDHは温度依存性が改善しただけではなく、改変前のFADGDHよりキシロース作用性も低下した。
実施例5と同様の方法で82部位を他の19種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号12の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチドを用いてのアミノ酸の至適化を行った。82部位をAに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−R82A、82部位をCに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−R82C、82部位をDに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−R82D、82部位をEに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−R82E、82部位をGに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−R82G、82部位をHに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−R82H、82部位をIに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−R82I、82部位をKに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−R82K、82部位をLに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−R82L、82部位をMに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−R82M、82部位をNに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−R82N、82部位をPに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−R82P、82部位をQに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−R82Q、82部位をFに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−R82F、82部位をSに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−R82S、82部位をTに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−R82T、82部位をVに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−R82V、82部位をWに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−R82W、82部位をYに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−R82Yと命名した。
実施例6と同様の方法で82部位を19種のアミノ酸に置換した改変型FADGDHの温度依存性とキシロース作用性を測定した。表3に改変型FADGDHの温度依存性とキシロース作用性の結果を示す。
表3は、5ml LB培地/試験管,30℃,24時間培養した時のR82部位を改変した改変型FADGDHの温度依存性及びキシロース作用性を比較した結果である。
82部位をAに置換した改変型FADGDH、82部位をCに置換した改変型FADGDH、82部位をHに置換した改変型FADGDH、82部位をKに置換した改変型FADGDH、82部位をQに置換した改変型FADGDH、82部位をVに置換した改変型FADGDH、82部位をYに置換した改変型FADGDHで改変前のFADGDHより温度依存性が改善した。また、82部位をHに置換した改変型FADGDH、82部位をQに置換した改変型FADGDHは温度依存性が改善しただけではなく、改変前のFADGDHよりキシロース作用性も低下した。
実施例5と同様の方法で108部位を他の19種のアミノ酸に置換するよう設計した配
列番号13の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチドを用いてのアミノ酸の至適化を行った。108部位をAに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−V108A、108部位をCに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−V108C、108部位をDに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−V108D、108部位をEに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−V108E、108部位をGに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−V108G、108部位をHに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−V108H、108部位をIに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−V108I、108部位をKに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−V108K、108部位をLに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−V108L、108部位をMに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−V108M、108部位をNに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−V108N、108部位をPに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−V108P、108部位をQに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−V108Q、108部位をRに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−V108R、108部位をSに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−V108S、108部位をTに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−V108T、108部位をFに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−V108F、108部位をWに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−V108W、108部位をYに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−V108Yと命名した。
実施例6と同様の方法で108部位を19種のアミノ酸に置換した改変型FADGDHの温度依存性とキシロース作用性を測定した。表4に改変型FADGDHの温度依存性とキシロース作用性の結果を示す。
表4は、5ml LB培地/試験管,30℃,24時間培養した時のV108部位を改変した改変型FADGDHの温度依存性及びキシロース作用性を比較した結果である。
108部位をAに置換した改変型FADGDH、108部位をDに置換した改変型FADGDH、108部位をEに置換した改変型FADGDH、108部位をFに置換した改変型FADGDH、108部位をFに置換した改変型FADGDH、108部位をHに置換した改変型FADGDH、108部位をLに置換した改変型FADGDH、108部位をMに置換した改変型FADGDH、108部位をQに置換した改変型FADGDH、108部位をRに置換した改変型FADGDH、108部位をSに置換した改変型FADGDH、108部位をTに置換した改変型FADGDHで改変前のFADGDHより温度依存性が改善した。また、108部位をMに置換した改変型FADGDH、108部位をTに置換した改変型FADGDHは温度依存性が改善しただけではなく、改変前のFADGDHよりキシロース作用性も低下した。
実施例5と同様の方法で505部位を他の19種のアミノ酸に置換するよう設計した配列番号14の合成オリゴヌクレオチドとそれに相補的な合成オリゴヌクレオチドを用いてのアミノ酸の至適化を行った。505部位をAに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−F505A、505部位をCに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−F505C、505部位をDに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−F505D、505部位をEに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−F505E、505部位をGに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−F505G、505部位をHに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−F505H、505部位をIに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−F505I、505部位をKに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−F505K、505部位をLに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−F505L、505部位をMに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−F505M、505部位をNに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−F505N、505部位をPに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−F505P、505部位をQに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−F505Q、505部位をRに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−F505R、505部位をSに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−F505S、505部位をTに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−F505T、505部位をVに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−F505V、505部位をWに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−F505W、505部位をYに置換した改変型FADGLDを有するプラスミドをpAOGDH−M76−F505Yと命名した。
実施例6と同様の方法で505部位を19種のアミノ酸に置換した改変型FADGDHの温度依存性とキシロース作用性を測定した。表5に改変型FADGDHの温度依存性とキシロース作用性の結果を示す。
表5は、5ml LB培地/試験管,30℃,24時間培養した時のF505部位を改変した改変型FADGDHの温度依存性及びキシロース作用性を比較した結果である。
505部位をDに置換した改変型FADGDH、505部位をLに置換した改変型FADGDH、505部位をMに置換した改変型FADGDH、505部位をNに置換した改変型FADGDH、505部位をQに置換した改変型FADGDH、505部位をRに置換した改変型FADGDH、505部位をYに置換した改変型FADGDHで改変前のFADGDHより温度依存性が改善した。また、505部位をYに置換した改変型FADGDHは温度依存性が改善しただけではなく、改変前のFADGDHよりキシロース作用性も低下した。
Claims (8)
- FAD依存性グルコースデヒドロゲナーゼ(FADGDH)において、以下の(A1)から(A4)のいずれかに示す改変を行うことにより、以下の[1]から[3]に示す計算方法により算出される温度依存性値を1.0を超えさせる方法。
[1]改変前のFADGDHの25℃における活性値を37℃における活性値で割った値を算出する。
[2]改変体において[1]と同様に活性値を測定し[1]と同様の計算を行った値を算出する。
[3][2]で得られた値を[1]で得られた値で割り、[1]で得られた値を1としたときの[2]で得られた値の相対値を算出する。
(A1)配列番号2に記載のFADGDHのアミノ酸配列において、下記(a)に示されるアミノ酸置換のいずれかの改変を行う:
(a)G59A、G59C、G59D、G59F、G59H、G59K、G59L、G59M、G59N、G59P、G59Q、G59S、G59T、G59W、G59Y、R82A、R82C、R82H、R82K、R82Q、R82V、R82Y、V108A、V108D、V108E、V108F、V108H、V108L、V108M、V108Q、V108R、V108S、V108T、F505D、F505L、F505M、F505N、F505Q、F505R、F505Y;
(A2)前記(A1)で示される改変を行ったFADGDHに、さらに1若しくは数個のアミノ酸の欠失、置換、付加若しくは挿入による改変を行う。
(A3)配列番号3に記載のFADGDHのアミノ酸配列において、下記(b)に示されるアミノ酸置換のいずれかの改変を行う:
(b)G79A、G79C、G79D、G79F、G79H、G79K、G79L、G79M、G79N、G79P、G79Q、G79S、G79T、G79W、G79Y、R102A、R102C、R102H、R102K、R102Q、R102V、R102Y、A128D、A128E、A128F、A128H、A128L、A128M、A128Q、A128R、A128S、A128T、F525D、F525L、F525M、F525N、F525Q、F525R、F525Y;
(A4)前記(A3)で示される改変を行ったFADGDHに、さらに1若しくは数個のアミノ酸の欠失、置換、付加若しくは挿入による改変を行う。 - FADGDHにおいて、以下の(C1)から(C4)のいずれかに示す改変を行うことにより、以下の[1]から[3]に示す計算方法により算出される温度依存性値を1.0を超えさせ、かつ、キシロース作用性を低下させる方法。
[1]改変前のFADGDHの25℃における活性値を37℃における活性値で割った値を算出する。
[2]改変体において[1]と同様に活性値を測定し[1]と同様の計算を行った値を算出する。
[3][2]で得られた値を[1]で得られた値で割り、[1]で得られた値を1としたときの[2]で得られた値の相対値を算出する。
(C1)配列番号2に記載のFADGDHのアミノ酸配列において、下記(e)に示されるアミノ酸置換のいずれかの改変を行う:
(e)G59C、G59D、G59K、G59M、G59Q、G59S、G59T、R82H、R82Q、V108M、V108T、F505Y;
(C2)前記(C1)で示される改変を行ったFADGDHに、さらに1若しくは数個のアミノ酸の欠失、置換、付加若しくは挿入による改変を行う。
(C3)配列番号3に記載のFADGDHのアミノ酸配列において、下記(f)に示されるアミノ酸置換のいずれかの改変を行う:
(f)G79C、G79D、G79K、G79M、G79Q、G79S、G79T、R102H、R102Q、A128M、A128T、F525Y;
(C4)前記(C3)で示される改変を行ったFADGDHに、さらに1若しくは数個のアミノ酸の欠失、置換、付加若しくは挿入による改変を行う。 - 請求項1の(A1)から(A4)のいずれか、または、請求項2の(C1)から(C4)のいずれかに示す改変が施されたタンパク質をコードする遺伝子を含むベクターで形質転換された形質転換体を培養し、グルコースデヒドロゲナーゼ活性を有するタンパク質を採取する工程を含む、FADGDHを生産する方法。
- 以下の(A1)から(A4)のいずれかに記載のFADGDH(ただし、(A3)におけるR102H、R102Vを除く)。
(A1)配列番号2に記載のFADGDHのアミノ酸配列において、下記(a)に示されるアミノ酸置換のいずれかが行われているFADGDH:
(a)G59A、G59C、G59D、G59F、G59H、G59K、G59L、G59M、G59N、G59P、G59Q、G59S、G59T、G59W、G59Y、R82A、R82C、R82H、R82K、R82Q、R82V、R82Y、V108A、V108D、V108E、V108F、V108H、V108L、V108M、V108Q、V108R、V108S、V108T、F505D、F505L、F505M、F505N、F505Q、F505R、F505Y;
(A2)前記(A1)で示されるFADGDHに、さらに1若しくは数個のアミノ酸の欠失、置換、付加若しくは挿入による改変を行ったFADGDHであり、かつ、以下の[1]から[3]に示す計算方法により算出される温度依存性値が1.0を超えるFADGDH。
[1]改変前のFADGDHの25℃における活性値を37℃における活性値で割った値を算出する。
[2]改変体において[1]と同様に活性値を測定し[1]と同様の計算を行った値を算出する。
[3][2]で得られた値を[1]で得られた値で割り、[1]で得られた値を1としたときの[2]で得られた値の相対値を算出する。
(A3)配列番号3に記載のFADGDHのアミノ酸配列において、下記(b)に示されるアミノ酸置換のいずれかが行われているFADGDH:
(b)G79A、G79C、G79D、G79F、G79H、G79K、G79L、G79M、G79N、G79P、G79Q、G79S、G79T、G79W、G79Y、R102A、R102C、R102H、R102K、R102Q、R102V、R102Y、A128D、A128E、A128F、A128H、A128L、A128M、A128Q、A128R、A128S、A128T、F525D、F525L、F525M、F525N、F525Q、F525R、F525Y;
(A4)前記(A3)で示されるFADGDHに、さらに1若しくは数個のアミノ酸の欠失、置換、付加若しくは挿入による改変を行ったFADGDHであり、かつ、前記温度依存性値が1.0を超えるFADGDH。 - 以下の(C1)から(C4)のいずれかに記載のFADGDH(ただし、(C3)におけるR102Hを除く)。
(C1)配列番号2に記載のFADGDHのアミノ酸配列において、下記(e)に示されるアミノ酸置換のいずれかが行われているFADGDH:
(e)G59C、G59D、G59K、G59M、G59Q、G59S、G59T、R82H、R82Q、V108M、V108T、F505Y;
(C2)前記(C1)で示されるFADGDHに、さらに1若しくは数個のアミノ酸の欠失、置換、付加若しくは挿入による改変を行ったFADGDHであり、以下の[1]から[3]に示す計算方法により算出される温度依存性値が1.0以上を超え、かつ、キシロース作用性が野生型より低下したFADGDH。
[1]改変前のFADGDHの25℃における活性値を37℃における活性値で割った値を算出する。
[2]改変体において[1]と同様に活性値を測定し[1]と同様の計算を行った値を算出する。
[3][2]で得られた値を[1]で得られた値で割り、[1]で得られた値を1としたときの[2]で得られた値の相対値を算出する。
(C3)配列番号3に記載のFADGDHのアミノ酸配列において、下記(f)に示されるアミノ酸置換のいずれかが行われているFADGDH:
(f)G79C、G79D、G79K、G79M、G79Q、G79S、G79T、R102H、R102Q、A128M、A128T、F525Y;
(C4)前記(C3)で示されるFADGDHに、さらに1若しくは数個のアミノ酸の欠失、置換、付加若しくは挿入による改変を行ったFADGDHであり、前記温度依存性値が1.0以上を超え、かつ、キシロース作用性が野生型より低下したFADGDH。 - 請求項4または5に記載のタンパク質を含むグルコースアッセイキット。
- 請求項4または5に記載のタンパク質を含むグルコースセンサー。
- 請求項4または5に記載のタンパク質の使用を含むグルコース測定法。
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