以下、パチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)の一実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。ここで、図1はパチンコ機10の正面図であり、図2は斜視図であり、図3は右側面図である。また、図4は、内枠12及び前面枠セット14を開放した状態を示す斜視図である。但し、図4では便宜上、遊技盤30面上に配設される釘や役物、前面枠セット14に取付けられるガラスユニット137などを省略して示している。
図1乃至図4に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外郭を構成する固定枠としての外枠11を備えており、この外枠11の一側部に遊技盤取付枠としての内枠12が開閉可能に支持されている。外枠11は、例えば木製の板材により全体として矩形状に構成され、小ネジ等の離脱可能な締結具により各板材が組み付けられている。
内枠12の開閉軸線は、後述するハンドル18の設置箇所とは反対側、すなわちパチンコ機10の正面からみて左側において上下に沿って設定されており、この開閉軸線を軸心として内枠12が前方側に開放できるようになっている。内枠12は、外形が矩形状をなす青色の樹脂ベース38を主体に構成されており、当該樹脂ベース38の中央部には略楕円形状の窓孔39が形成されている。
また、内枠12の前面側には前面扉としての前面枠セット14が開閉可能に取付けられている。前面枠セット14は、内枠12と同様に、パチンコ機10の正面から見て左側において上下に沿って設定された開閉軸線を軸心として前方側に開放できるようになっている。尚、前面枠セット14は内枠12に支持されることとしてもよいし、外枠11に支持されることとしてもよいし、上端部及び下端部のうち一方が内枠12に支持され、他方が外枠11に支持されることとしてもよい。
前面枠セット14は、内枠12と同様に外形が矩形状をなし、閉鎖状態においては内枠12の前面側ほぼ全域を覆う。前面枠セット14の中央部には略楕円形状の窓部101が形成されている。これにより、前面枠セット14の窓部101及び内枠12の窓孔39を介して、内枠12の後面に装着される遊技盤30(遊技領域)を外部から視認可能となる。遊技盤30の詳細な構成については後述する。
前面枠セット14の前面側には、その下部中央において球受皿としての下皿15が設けられており、排出口16より排出された遊技球が下皿15内に貯留可能になっている。また、下皿15の手前側には、下皿15内から遊技球を排出するための球抜きレバー25が設けられている。
下皿15の右方には、手前側に突出した遊技球発射ハンドル(以下、単にハンドルという)18が設けられ、下皿15の左方には、灰皿26が設けられている。尚、ハンドル18には、図示しないタッチセンサや、ハンドル18の操作部の操作量を検出するための図示しない操作量検出手段が設けられている。
下皿15の上方には上皿19が設けられている。上皿19は、遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射装置(以下、単に発射装置という)70の方へ案内する球受皿である。なお、上皿19から溢れる遊技球は下皿15へ案内されるようになっている。
上皿19には球貸しボタン121と返却ボタン122とが設けられている。これにより、遊技場等において、パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)に紙幣やカード等を投入した状態で球貸しボタン121が操作されると、その操作に応じて貸出球が上皿19に供給される。一方、返却ボタン122は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。但し、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿19に遊技球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では球貸しボタン121及び返却ボタン122は不要である。
また、前面枠セット14の前面にはその周囲に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯、点滅のように発光態様が変更制御され遊技中の演出効果を高める役割を果たすものである。例えば、窓部101の周縁には、LED等の発光手段を内蔵した環状電飾部102が設けられ、該環状電飾部102の中央であってパチンコ機10の最上部には、同じくLED等の発光手段を内蔵した中央電飾部103が設けられている。本パチンコ機10では、中央電飾部103が大当たりランプとして機能し、大当たり時に点灯や点滅を行うことにより、大当たり中であることを報知する。さらに、中央電飾部103の左右側方には、所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ104が設けられている。また、各エラー表示ランプ104に隣接してスピーカSP(図8参照)が設けられるとともに、当該スピーカSPの前側にスピーカカバー24が取着されている。
また、上皿19の右方には、後述する証紙S1を視認できるよう透明樹脂が取付けられた小窓107が設けられている。
前面枠セット14の背面側にはガラスユニット137が取付けられている。ガラスユニット137は、従来の前後一対の矩形状の板ガラスが前後対を為して別々に取着されるものではなく、全体として丸形をなし、アッセンブリ化された上で取付けられている。
次に、内枠12(樹脂ベース38)について説明する。上述した通り、内枠12(樹脂ベース38)には、窓孔39の後側に遊技盤30が装着されている。遊技盤30は、その周縁部が内枠12(樹脂ベース38)の裏側に当接した状態で取着されている。従って、遊技盤30の前面部の略中央部分が樹脂ベース38の窓孔39を通じて内枠12の前面側に露出した状態となっている。
また、内枠12(樹脂ベース38)の下部、すなわち窓孔39(遊技盤30)の下方位置には、後側へ膨出した膨出部40が形成されている。この膨出部40の前面右側には、発射装置70が取付けられている。本実施形態では、発射装置70としてソレノイド式発射装置を採用している。また、膨出部40には、後述する払出機構部352から上記下皿15の排出口16へ繋がる球通路71が設けられている。また、発射装置70の発射レール70aと後述するレール50(外レール構成部52)との間には所定間隔の隙間があり、この隙間より下方にファール球通路72が形成されている。これにより、仮に、発射装置70から発射された遊技球が後述する戻り球防止部材53まで至らずファール球としてレール50を逆戻りする場合には、そのファール球がファール球通路72及び球通路71を介して下皿15に排出される。また、球通路71の下側にはハーネスカバー74が設けられている。これにより中継基板75と発射装置70とを接続するハーネス(図示略)をまとめている。
次に、遊技盤30の構成について図5を参照して説明する。遊技盤30には、一般入賞口31、可変入賞装置32、第1契機対応口(作動口)33、第2契機対応口34、可変表示装置ユニット35等がルータ加工によって形成された貫通穴に配設され、遊技盤30前面側から木ネジ等により取付けられている。周知の通り前記一般入賞口31、可変入賞装置32、第1契機対応口33に遊技球が入球(入賞)すると、それぞれに対応して設けられた検出スイッチの出力により、上皿19(または下皿15)へ所定数の賞球が払い出される。その他に、遊技盤30にはアウト口36が設けられており、各種入賞部(一般入賞口31、可変入賞装置32、第1契機対応口33)に入賞しなかった遊技球は、このアウト口36を通って遊技領域外へと排出される。また、遊技盤30には、遊技球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。
可変表示装置ユニット35には、第2契機対応口34の通過をトリガとして変動表示する普通図柄表示装置41と、第1契機対応口33への入賞をトリガとして変動表示する特別表示装置43と、特別表示装置43による変動表示に合わせて変動表示する可変表示装置としての装飾図柄表示装置42とが設けられている。
普通図柄表示装置41は複数の発光手段(LED)を内蔵しており、遊技球が第2契機対応口34を通過する毎に点灯表示態様が切換表示(変動表示)され、その変動表示が特定の点灯態様で数秒間停止した場合に第1契機対応口33が所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。この普通図柄表示装置41は、後述する主制御装置261によって直接的に表示内容が制御される。また、普通図柄表示装置41の変動表示中に、新たに遊技球が第2契機対応口34を通過した場合には、その分の普通図柄の変動表示は、その時点で行われている変動表示の終了後に行われる構成となっている。つまり、変動表示が待機(保留)されることとなる。この保留される変動表示の最大回数は、パチンコ機の機種毎に決められているが、本実施形態では4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ44にて点灯表示されるようになっている。
特別表示装置43は、普通図柄表示装置41の側方に設けられた複数の発光部により構成され、遊技球が第1契機対応口33を通過する毎に点灯する発光部の組合せが切換えられる(変動表示される)。そして、変動表示が停止したときに点灯している発光部の組合わせにより、大当たりか否かが確定的に表示される。この特別表示装置43についても、主制御装置261によって表示内容が直接的に制御される。また、特別表示装置43の変動表示中に新たに遊技球が第1契機対応口33に入賞した場合には、その分の変動表示は、その時点で行われている変動表示の終了後に行われる構成となっている。つまり、変動表示が待機(保留)されることとなる。この保留される変動表示の最大回数は、パチンコ機の機種毎に決められているが、本実施形態では4回まで保留され、その保留回数が保留ランプ46にて点灯表示されるようになっている。また、大当たり状態中に新たに遊技球が第1契機対応口33に入賞した場合、その分の変動表示についても保留される。
装飾図柄表示装置42は液晶表示装置として構成されており、後述するサブ制御装置262によって表示内容が制御される。すなわち、装飾図柄表示装置42においては、特別表示装置43にて表示される結果に対応させるように、主制御装置261からのコマンドに基づき、サブ制御装置262によって補助的な表示内容が決定され、後述する表示制御装置45によって表示が行われる。装飾図柄表示装置42には、例えば、上、中及び下の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄によって構成されており、これら図柄が図柄列毎にスクロールされるようにして装飾図柄表示装置42に変動表示され、その後、上図柄列→下図柄列→中図柄列の順に停止表示される。また、可変表示装置ユニット35には、装飾図柄表示装置42を囲むようにしてセンターフレーム47が配設されている。
可変入賞装置32は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たり(特別遊技状態の発生)の際に、遊技球が入賞しやすい開状態とされる。具体的には、所定時間の経過又は所定個数の入賞を1ラウンドとして、可変入賞装置32の大入賞口が所定回数(所定ラウンド数)繰り返し開放される。
また、遊技盤30には、発射装置70から発射された遊技球を遊技盤30上部へ案内するレール50が取付けられている。これにより、ハンドル18の回動操作に伴い発射された遊技球はレール50を通じて、遊技盤面上に形成された遊技領域内に案内される。レール50は内レール構成部51と外レール構成部52とからなる。
内レール構成部51の先端部分(図5の左上部)には戻り球防止部材53が取着されている。これにより、一旦、レール50から遊技盤30の上部へと案内された遊技球が再度レール50内に戻ってしまうといった事態が防止される。
また、本実施形態では、外レール構成部52が遊技盤30の右上部で途絶え、内レール構成部51が遊技盤30の右下部で途絶えている。このため、遊技領域は、レール50及び樹脂ベース38の窓孔39の内周面により画定される。但し、内外レール構成部51,52の並行部分を除く。
また、遊技盤30の右下隅部には証紙S1が貼着されている。証紙S1には、後述する証紙S3と同様に、製造番号や企業名など各種情報が記載されている。この証紙S1は、樹脂ベース20に形成された小窓73、及び、前面枠セット14に形成された上記小窓107を介して、パチンコ機10外部より視認することができる。
次に、パチンコ機10の背面の構成を図7に基づいて説明する。パチンコ機10にはその背面(実際には内枠12及び遊技盤30の背面)において、各種制御基板が上下左右に並べられるようにして、一部前後に重ねられるようにして配置されており、さらに、遊技球を供給する遊技球供給装置(払出機構)や樹脂製の保護カバー等が取り付けられている。本実施形態では、各種制御基板を2つの取付台に分けて搭載して2つの制御基板ユニットを構成し、それら制御基板ユニットを個別に内枠12又は遊技盤30の裏面に装着するようにしている。この場合において、主基板とサブ制御基板とを一方の取付台に搭載してユニット化すると共に、払出制御基板、発射制御基板及び電源基板を他方の取付台に搭載してユニット化している。ここでは便宜上、前者のユニットを「第1制御基板ユニット201」と称し、後者のユニットを「第2制御基板ユニット202」と称することとする。また、払出機構及び保護カバーも1ユニットとして一体化されており、一般に樹脂部分を裏パックと称することもあるため、ここではそのユニットを「裏パックユニット203」と称する。各ユニット201〜203の詳細な構成については後述する。
なお、第1制御基板ユニット201、第2制御基板ユニット202及び裏パックユニット203は、ユニット単位で工具等を用いずとも着脱できるよう構成されており、さらに、一部に支軸部を設けて内枠12又は遊技盤30の裏面に対して開閉できる構成となっている。
まず、遊技盤30の背面構成について説明する。上述したように遊技盤30の中央にはルータ加工によって形成された貫通穴に対して可変表示装置ユニット35が配設されている。この可変表示装置ユニット35に対し、センターフレーム47を背後から覆う樹脂製のフレームカバー213が後方に突出して設けられている。さらに、フレームカバー213の後端に、液晶表示装置たる装飾図柄表示装置42と表示制御装置45とが前後に重ねられた状態で着脱可能に取り付けられている。フレームカバー213内には、センターフレーム47に内蔵されたLED等を駆動するLED制御基板などが配設されている。
また、遊技盤30の裏面には、可変表示装置ユニット35を取り囲むようにして図示しない裏枠セットが取付けられている。この裏枠セットは、遊技盤30の裏面に張り付くようにして設けられる薄型の樹脂成形品であって、各種入賞口に入賞した遊技球を回収するための球回収機構を備えている。また、内枠12には、裏枠セット(遊技盤30)の下方位置において排出通路盤217が取付けられており、該排出通路盤217には排出球をパチンコ機10外部へ排出する排出シュート218が形成されている。従って、一般入賞口31等に入賞した遊技球は何れも裏枠セットの球回収機構を介して集合し、さらに排出通路盤217の排出シュート218を介してパチンコ機10外部に排出される。なお、アウト口36も同様に排出シュート218に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球も排出シュート218を介してパチンコ機10外部に排出される。なお、パチンコ機10が遊技ホールの島設備に設置された際には、図3に示すように、排出シュート218から排出される遊技球を受けて所定の排出部へと導く球受箱Yが排出シュート218の下方位置に配置される。
また、遊技盤30の裏面には、各種入賞口などの遊技球の通過を検出する入賞感知機構(検出スイッチ)などが設けられている。入賞感知機構にて各々検出された検出結果は、後述する主基板(主制御装置261)に取り込まれ、該主基板よりその都度の入賞状況に応じた払出指令(遊技球の払出個数)が払出制御基板に送信される。そして、該払出制御基板の出力により所定数の遊技球の払出が実施される。本実施形態のパチンコ機10では、各種入賞口毎に遊技球の入賞を電気的に感知して払出が直ちに行われる。
第1制御基板ユニット201は、主制御装置261と、サブ制御装置262とを具備している。主制御装置261は、主たる制御を司るCPU、遊技プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を含む主基板を具備しており、この主基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス263に収容されて構成されている。なお、基板ボックス263は、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印ユニットによって連結されており、基板ボックス263が開封された場合には、封印ユニットにおいて所定の痕跡が残るよう構成されている。これにより、基板ボックス263が不正に開封された旨を容易に発見することができる。なお、基板ボックス263には証紙S2が貼着されている。この証紙S2には、後述する証紙S3と同様に、製造番号や企業名など各種情報が記載されている。
また、サブ制御装置262は、主制御装置261(主基板)からの指示に従い各種演出制御を司るCPUや、各種プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等を含むサブ制御基板を具備しており、このサブ制御基板についても当該サブ制御基板に対応する基板ボックスに収容されて構成されている。
第2制御基板ユニット202は、払出制御装置311、発射制御装置312、電源装置313及びカードユニット接続基板314を具備している。払出制御装置311、発射制御装置312及び電源装置313は周知の通り制御の中枢をなすCPUや、その他ROM、RAM、各種ポート等を含む制御基板を具備しており、払出制御装置311の払出制御基板により、賞品球や貸出球の払出が制御される。また、発射制御装置312の発射制御基板により、遊技者によるハンドル18の操作に従い発射装置等の制御が行われ、電源装置313の電源基板により、各種制御装置等で要する所定の電源電圧が生成され出力される。
上記払出制御装置311、発射制御装置312及び電源装置313についても、それぞれに対応する基板ボックス315、316、317に収容されて構成されている。但し、発射制御装置312(基板ボックス316)は、電源装置313(基板ボックス317)の裏側に配置されている。また、払出制御装置311が収容される基板ボックス315には、前述した主制御装置261と同様に封印ユニットが設けられ、基板ボックス315の開封した痕跡が残るようになっている。
払出制御装置311には状態復帰スイッチ321が設けられている。例えば、払出モータ部の球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ321が押下されると、払出モータが正逆回転され、球詰まりの解消(正常状態への復帰)が図られる。
また、電源装置313にはRAM消去スイッチ323が設けられている。本パチンコ機10はバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰させることができる。従って、通常手順で(例えば遊技場の営業終了時に)電源遮断すると電源遮断前の状態が記憶保持されることから、電源投入時に初期状態に戻したい場合には、RAM消去スイッチ323を押しながら電源を投入する。
次に、裏パックユニット203の構成を説明する。裏パックユニット203は、樹脂成形された裏パック351と遊技球の払出機構部352とを一体化したものである。
裏パック351は例えばABS樹脂により一体成形されており、パチンコ機後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部354を有する。保護カバー部354は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示装置ユニット35を囲むのに十分な大きさを有する。但し、本実施形態では、前述のサブ制御装置262及び主制御装置261の一部も合わせて囲む構成となっている。
また、払出機構部352は、保護カバー部354を迂回するようにして配設されている。すなわち、保護カバー部354の上方には、上側に開口したタンク355が設けられており、このタンク355には遊技場の島設備から供給される遊技球が逐次補給される。タンク355の下方には、例えば横方向2列の球通路を有し下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール356が連結され、さらにタンクレール356の下流側には縦向きにケースレール357が連結されている。払出装置358はケースレール357の最下流部に設けられ、払出モータ358a等の所定の電気的構成により必要個数の遊技球の払出が適宜行われる。そして、払出装置358より払い出された遊技球は上記上皿19等に供給される。
さらに、払出機構部352には、払出制御装置311から払出装置358への払出指令の信号を中継する払出中継基板381が設置されると共に、外部より主電源を取り込む電源スイッチ基板382が設置されている。電源スイッチ基板382には、電圧変換器を介して例えば交流24Vの主電源が供給され、電源スイッチ382aの切替操作により電源ON又は電源OFFされる。
また、本実施形態では、前面枠セット14の施錠機構は、内枠12の施錠機構と一体的となっており、各施錠機構は、単一の施錠装置G1によって具現化されている。また、施錠装置G1は、前面枠セット14の前面側に露出するシリンダ錠196(図1等参照)を備えており、該シリンダ錠196の鍵穴に鍵を挿入し、一方側に回動操作する(第1の解錠操作をする)ことで内枠12を解錠することができ、他方側に回動操作する(第2の解錠操作をする)ことで前面枠セット14を解錠することができるようになっている。
尚、一般に、パチンコ機10の施錠装置G1は、内枠12を施錠・解錠する内枠施錠部と、前面枠セット14を施錠・解錠する扉施錠部と、シリンダ錠197の鍵操作と内枠施錠部及び扉施錠部とを連動させる連動部材とを備えている。従来、シリンダ錠196の鍵操作を行わなくても、連動部材をパチンコ機10の裏側から直接操作して、内枠施錠部や扉施錠部を解錠状態とすることのできる(内枠12を開放させて内枠12の裏側から連動部材を操作して前面枠セット14を解錠することのできる)施錠装置も存在するが、本実施形態の施錠装置G1は、鍵操作を行わない限り、シリンダ錠196のカムによって連動部材の動作が規制され、内枠施錠部や扉施錠部を解錠状態へと変化させることができない(例えば連動部材が動かない)構成となっている。すなわち、施錠装置G1の鍵を持っている者のみが内枠12及び前面枠セット14の解錠を行える構成であり、例えば、第1の解錠操作を行うことで内枠12を解錠して開放したとしても、第2の解錠操作を行わない限り前面枠セット14を解錠させることはできない。つまり、内枠12の前面側(前面枠セット14の後面側)に関しては、鍵を用いて前面枠セット14を解錠して開放させない限り、接触を図ることができない構成となっている。
次に、パチンコ機10の電気的構成について説明する。図8は、本パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。パチンコ機10の主制御装置261(主基板)には、演算装置である1チップマイコンとしてのCPU501が搭載されている。CPU501には、該CPU501により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM502と、そのROM502内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するメモリであるRAM503と、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路等が内蔵されている。
RAM503は、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータが保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM503には、各種のデータ等を一時的に記憶するメモリやエリアの他に、バックアップエリア503aが設けられている。
バックアップエリア503aは、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくエリアである。バックアップエリア503aへの書き込みは、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停止信号の入力により起動されるNMI割込み処理(このNMI割込みにより、電源断時の主制御装置261の状態がRAM503のバックアップエリア503aに記憶される)によって停電の発生等による電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア503aに書き込まれた各値の復帰は、電源入時(停電解消による電源入を含む。以下同様)の復電処理において実行される。なお、CPU501のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源断時に、後述する停電監視回路542から出力される停電信号SK1が入力されるように構成されており、停電の発生により、停電処理(NMI割込み処理)が即座に実行される。
かかるROM502及びRAM503を内蔵したCPU501には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン504を介して入出力ポート505が接続されている。入出力ポート505には、後述するRAM消去スイッチ回路543、払出制御装置311、サブ制御装置262、特別表示装置43、普通図柄表示装置41、その他図示しないスイッチ等が接続されている。この構成により、上述した特別表示装置43および普通図柄表示装置41は、主制御装置261により直接的に制御される。一方、装飾図柄表示装置42は、サブ制御装置262を介して制御される。
サブ制御装置262(サブ制御基板)は、演算装置であるCPU551、該CPU551により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM552、該ROM552内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するメモリであるRAM553、入出力ポート554、バスライン555を備えるとともに、その他にも図示しない割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路等を備えている。RAM553は、CPU551による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するメモリである。
入出力ポート554には、バスライン555を介してCPU551、ROM552、RAM553が接続されるとともに、表示制御装置45が接続されている。さらに、入出力ポート554には、スピーカSP、各種電飾部及びランプ102〜104が接続されている。
サブ制御装置262のCPU551は、例えば主制御装置261から送信される指令信号(例えば変動パターンコマンド)に基づいて表示制御装置45に表示制御を実行させ、装飾図柄表示装置42に表示させる。なお、上記のように、本実施形態では、主制御装置261が制御する特別表示装置43にて大当たりか否かを表示するようになっており、サブ制御装置262が制御する装飾図柄表示装置42では、前記特別表示装置43の表示に合わせた表示が行われる。
また、払出制御装置311は、払出モータ358aにより賞球や貸し球の払出制御を行うものである。演算装置であるCPU511は、そのCPU511により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM512と、ワークメモリ等として使用されるRAM513とを備えている。
払出制御装置311のRAM513は、前述した主制御装置261のRAM503と同様に、パチンコ機10の電源のオフ後においても電源装置313からバックアップ電圧が供給されてデータが保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM513には、各種のデータ等を一時的に記憶するメモリやエリアの他に、バックアップエリア513aが設けられている。
バックアップエリア513aは、停電などの発生により電源が切断された場合において、電源の再入時にパチンコ機10の状態を電源切断前の状態に復帰させるべく、電源切断時のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくエリアである。このバックアップエリア513aへの書き込みは、NMI割込み処理によって電源切断時に実行され、逆にバックアップエリア513aに書き込まれた各値の復帰は、電源入時の復電処理において実行される。
かかるROM512及びRAM513を内蔵したCPU511には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン514を介して入出力ポート515が接続されている。入出力ポート515には、RAM消去スイッチ回路543、主制御装置261、発射制御装置312、払出モータ358aなどがそれぞれ接続されている。
発射制御装置312は、発射装置70による遊技球の発射を許可又は禁止するものであり、発射装置70は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、払出制御装置311から発射許可信号が出力されていること、遊技者がハンドル18をタッチしていることをセンサ信号により検出していること、発射を停止させる発射停止スイッチが操作されていないことを条件に、発射装置70が駆動され、ハンドル18の操作量に応じた強度で遊技球が発射される。
表示制御装置45は、サブ制御装置262からの指示に従い、装飾図柄表示装置42における装飾図柄の変動表示を実行するものである。この表示制御装置45は、CPU521と、プログラムROM522と、ワークRAM523と、ビデオRAM524と、キャラクタROM525と、画像コントローラ526と、入力ポート527と、出力ポート529と、バスライン530,531とを備えている。入力ポート527にはサブ制御装置262の入出力ポート554が接続されている。また、入力ポート527には、CPU521、プログラムROM522、ワークRAM523、画像コントローラ526が接続されている。また、画像コントローラ526にはバスライン531を介して出力ポート529が接続されており、その出力ポート529には液晶表示装置たる装飾図柄表示装置42が接続されている。
表示制御装置45のCPU521は、サブ制御装置262から送信される表示コマンドに基づいて装飾図柄表示装置42の表示を制御する。プログラムROM522は、そのCPU521により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶するメモリであり、ワークRAM523は、CPU521による各種プログラムの実行時に使用されるワークデータやフラグを一時的に記憶するメモリである。
ビデオRAM524は、装飾図柄表示装置42に表示される表示データを記憶するメモリであり、このビデオRAM524の内容を書き替えることにより、装飾図柄表示装置42の表示内容が変更される。キャラクタROM525は、装飾図柄表示装置42に表示される図柄などのキャラクタデータを記憶するメモリである。画像コントローラ526は、CPU521、ビデオRAM524、出力ポート529のそれぞれのタイミングを調整してデータの読み書きに介在すると共に、ビデオRAM524に記憶される表示データを所定のタイミングで読み出して装飾図柄表示装置42に表示させるものである。
また、電源装置313は、パチンコ機10の各部に電力を供給する電源部541と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路542と、RAM消去スイッチ323に接続されてなるRAM消去スイッチ回路543とを備えている。電源部541は、図示しない電源経路を通じて、主制御装置261や払出制御装置311等に対して各々に必要な動作電源を供給する。その概要としては、電源部541は、外部より供給される交流24ボルト電源を取り込み、各種スイッチやモータ等を駆動する+12V電源、ロジック用の+5V電源、RAMバックアップ用のバックアップ電源などを生成し、これら+12V電源、+5V電源及びバックアップ電源を主制御装置261や払出制御装置311等に対して供給する。なお、発射制御装置312に対しては払出制御装置311を介して動作電源(+12V電源、+5V電源等)が供給される。
停電監視回路542は、停電等の発生による電源断時に、主制御装置261のCPU501及び払出制御装置311のCPU511の各NMI端子へ停電信号SK1を出力する回路である。停電監視回路542は、電源部541から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断)の発生と判断して、停電信号SK1を主制御装置261及び払出制御装置311へ出力する。この停電信号SK1の出力によって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電の発生を認識し、停電時処理(NMI割込み処理)を実行する。
なお、電源部541は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、かかる停電時処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置261及び払出制御装置311は、停電時処理を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去スイッチ323のスイッチ信号を取り込み、そのスイッチ323の状態に応じて主制御装置261のRAM503及び払出制御装置311のRAM513のバックアップデータをクリアする回路である。RAM消去スイッチ323が押下された際、RAM消去スイッチ回路543は、RAM消去信号SK2を主制御装置261及び払出制御装置311に出力する。RAM消去スイッチ323が押下された状態でパチンコ機10の電源が投入されると(停電解消による電源入を含む)、主制御装置261及び払出制御装置311においてそれぞれのRAM503,513のデータがクリアされる。
さて、パチンコ機10の背面側では、図7に示すように内枠12(膨出部40)の下部が上記各ユニット201〜203によって覆われず、露出した状態となっている。そして、本実施形態では、この部位、詳しくはパチンコ機10の背面側から見て内枠12(膨出部40)の右下隅部において、証紙部材としての証紙S3が貼着された証紙貼着用ユニット400が取付けられている。本実施形態の証紙S3(証紙S1、S2)は、所定の遊技機管理団体が発行したものであり、当該証紙S3には、特定情報として、所定の遊技機管理団体の検査を受けたことを示す情報、前記管理団体が付した管理番号等が付されている。ちなみに、証紙S3(証紙S1、S2)は、前記管理団体に対して出荷する遊技機の台数を申請することでその数だけ発行され、また、各証紙S3には管理番号としてその他の証紙S3のいずれかに記された管理番号と連続した番号が記されている。
なお、証紙S3には、特定情報として、上記管理番号等のほかにも、遊技機の製造番号、遊技機の機種番号、企業名、製造年度及びこれらをコード化したQRコード(登録商標)が付されている。そして、これらの特定情報を遊技機メーカーや遊技ホールで記録・管理することによって、証紙S1が取付けられた遊技盤30、証紙S2が取付けられた主制御装置261、及び証紙S3が取付けられた内枠12を具備するパチンコ機10がどの遊技ホールに存在するのかが厳格に管理されている。尚、一般に、特定情報の管理作業は、効率の向上や納入ミスの防止を鑑み、遊技機メーカーにおいては、パチンコ機10の製造に際して各遊技ホールに納入される予定のパチンコ機10の特定情報が管理ソフト等に記録され、遊技ホールにおいては、パチンコ機10の納入に先立って遊技機メーカーから特定情報が通知された時点で、納入されるパチンコ機10の特定情報が管理ソフト等に記録される。
ここで、証紙貼着用ユニット400について図9〜図14を参照して詳しく説明する。証紙貼着用ユニット400は、証紙S3が貼着されるベース部材としての証紙プレート401と、証紙プレート401に貼着された証紙S3を覆うカバー部材としての保護カバー402とを備えている。証紙プレート401及び保護カバー402は合成樹脂材料により形成されている。具体的には、証紙プレート401は、黒色のABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂により構成されている。一方、保護カバー402は、証紙S3を視認可能なように透視性を有する透明又は半透明のPC(ポリカーボネート)樹脂により構成されている。
(証紙プレート401)
図9、図12、図13等に示すように、証紙プレート401は、平板状をなす略長方形状のプレート本体404を備えている。プレート本体404の表面(後面)は証紙S3の貼着面404aとなる。
プレート本体404の上辺部及び背面視左辺部には、プレート本体404の周縁部に沿って後方に突出するリブ406が形成されている。尚、リブ406によって、遊技ホールの島設備の球受箱Y(図3参照)やハーネスなどが保護カバー402に接触するのを抑制することができ、保護カバー402にキズや汚れ等が付くのを低減することができる。また、リブ406が、プレート本体404の背面視右辺部及び下辺部には形成されていないことによって、証紙S3の貼着作業性の向上を図ることができる。
また、プレート本体404の後面には、上辺部及び背面視左辺部に沿って形成されたリブ406から所定距離を隔てた位置において後方に突出する略L字状の位置決め部405が設けられている。貼着面404aに証紙S3を貼着する際には、当該証紙S3のコーナー部を位置決め部405に合わせて貼着することにより、証紙S3の貼着位置を適切な位置とすることができる。
さらに、プレート本体404の背面視左端部には、プレート本体404の前面側において略平板状のプレート側係止片414が一体形成されている。プレート側係止片414は、プレート本体404の前面から前方に突出するとともに、プレート本体404の背面視左辺部より左方へ突出している。尚、詳しくは後述するが、プレート側係止片414は、後述する取付凹部390の挿入孔392に挿通され、内枠12(膨出部40)の前面に係止される。
また、プレート本体404のうち、プレート本体404の背面視左辺部に沿って形成されたリブ406と、位置決め部405との間には、前後に貫通する略矩形状の貫通孔416が形成されている。当該貫通孔416の形成部位は、プレート本体404とプレート側係止片414との重畳部位に相当し、貫通孔416は、プレート本体404の後面からプレート側係止片414の前面にまで貫通して形成されている。尚、貫通孔416には、後述する保護カバー402のカバー側係止片425が挿通され(貫通状態とされ)、プレート側係止片414の前面に、カバー側係止片415の係止爪426が係止される。
加えて、プレート本体404の背面視右辺部には、下辺部近傍位置においてプレート本体404の前面から前方に突出するとともに、プレート本体404の背面視右辺部より右方へ突出する係止突部418が一体形成されている。尚、詳しくは後述するが、係止突部418は、内枠12(膨出部40)に形成された取付凹部390の背面視右側に形成された開口部393を介して、内枠12(膨出部40)の前面に係止される。本実施形態では、プレート側係止片414及び係止突部418がベース側係止部に相当する。
(保護カバー402)
図10、図12、図13等に示すように、保護カバー402は、取付状態において証紙プレート401の貼着面404aと対向する略平板状のカバー本体421を備えており、当該カバー本体421により貼着面404aのほぼ全域が被覆される。
また、カバー本体421の上辺部、両側辺部、及び下辺部には、カバー本体421の周縁部に沿って前方に突出形成されたリブ422が設けられている。また、証紙貼着用ユニット400の取付状態においては、証紙プレート401のリブ406の内側面と、リブ422とが当接状態とされるとともに、プレート本体404の下辺部及び背面視右辺部と、カバー本体421の下辺部及び背面視右辺部(に沿って形成されたリブ422)とが一致する。
さらに、カバー本体421の背面視左辺部の略中央には、前方に突出するカバー側係止片425が設けられている。カバー側係止片425の先端部には、背面視左方(カバー本体421外側)に突出する係止爪426が形成されている。当該カバー側係止片425は、証紙プレート401の貫通孔416に挿通状態とされ、係止爪426がプレート側係止片414の前面に係止されている(図11(b)、図14参照)。
加えて、カバー本体421の背面視左辺部には、カバー側係止片425の上方及び下方位置において、切欠き状の凹部427が形成されている。これは、カバー側係止片425を撓みやすくさせるためのものであり、これによりカバー側係止片425の貫通孔416への挿入や貫通孔416からの取外しが容易となる。
また、カバー本体421の背面視右辺部の略中央には、当該右辺部より右方へ延出形成された固定部431が設けられている。当該固定部431は、後述する取付凹部390の周縁部よりも外周側(背面視右方)に位置し、内枠12(膨出部40)の後面と当接状態とされている。また、固定部431には固定手段としての破断ねじNを挿通するためのねじ孔432が形成されている。当該ねじ孔432の内周面には雌ねじが形成されている。
さらに、固定部431には、ねじ孔432よりも前面視左側(背面視右側)において前方に突出する係止部433が設けられている。係止部433の先端部には、前面視左方に突出する爪部434が形成されている。当該係止部433は、後述する切除用スリット397に挿通され、内枠12(膨出部40)の前面に爪部434が係止される。本実施形態では、カバー側係止片425及び係止部433がカバー側係止部に相当する。また、ねじ孔432を具備する固定部431がカバー側固定部に相当する。
(取付凹部390)
図11〜図13等に示すように、内枠12(膨出部40)の右下隅部には、前方に凸となり、証紙貼着用ユニット400が嵌め込まれる略矩形状の取付凹部390が形成されている。図14に示すように、本実施形態では、取付凹部390の深さは膨出部40の肉厚程度であり、証紙貼着用ユニット400の取付状態において、取付凹部390の底面(後方に臨む面)と証紙プレート401(プレート本体404)の前面とが面で当接状態とされることで、証紙プレート401の前面と、内枠12(膨出部40)の前面とが略面一となる。また、保護カバー402の前側(リブ422)は取付凹部390の内側に収容されるが、後側(カバー本体421)は取付凹部390よりも後方に突出している。
取付凹部390には、証紙プレート401のプレート側係止片414と対向する位置において、プレート側係止片414を挿入させるための挿入孔392が形成されている。当該挿入孔392は、取付凹部390を構成する壁部を単に前後に貫通しているだけではなく、取付凹部390の前方から見て右側の辺部を一部切り欠くようにして(取付凹部390の側壁部が形成されないようにして)前面視右方にも開口して形成されている。これにより、プレート側係止片414を当該挿入孔392に挿通させた後、証紙プレート401を背面視左方に変位させて、プレート側係止片414の先端部を内枠12(膨出部40)の前面に係止させることができるようになっている。
また、取付凹部390は、背面視右側の部位が開口しており、当該部位においては、取付凹部390を区画する壁部(底壁部、上壁部、下壁部、及び側壁部)が存在しない。このため、取付凹部390の取付けられた証紙プレート401の前面視左側の部位が当該開口部393を介して前方に露出した状態となり、当該露出部位を前方から押圧することで、比較的容易に証紙プレート401を取外すことができる。また、取付凹部390に取付けられた証紙プレート401の係止突部418は当該開口部393を介して内枠12(膨出部40)の前面に係止されている。
さらに、内枠12(膨出部40)には、前方から見て、取付凹部390の左方において、前方に突出するボス395が設けられている。また、ボス395及び内枠12(膨出部40)を前後に貫通するボス孔396が形成されている。保護カバー402の取付状態においては、ボス孔396と、固定部431に形成されたねじ孔432とが前後に連通した状態となる。さらに、ボス395の前面側では、ボス孔396の周囲がテーパ状に構成され、破断ねじNの取付時には、破断ねじNの頭部がボス395の内周側に収まり、破断ねじNの頭部がボス395から突出しない構成となっている。本実施形態では、ボス395(ボス395及び内枠12のうちボス孔396が形成された部位)が取付側固定部に相当する。
尚、破断ねじNは、ドライバー(工具)の先端と係合する十字穴(工具係合部)が形成された部位を取り除くことのできるねじであり、螺着後、十字穴が形成された部位が取り除かれることで、ドライバーにより破断ねじNを取外すことが不可能となる。また、取付状態にある破断ねじNの頭部がボス395の内周側に位置する上、破断ねじNとボス395の内周面との間にはほとんど隙間がないため、破断ねじNの頭部をプライヤー等で挟んで回転させ、破断ねじNを取外すといった行為を防止することができる。
また、内枠12(膨出部40)には、ボス395を囲むようにして、ニッパー等の工具の先端部を挿通させることのできる切除用スリット397(切除孔)が形成されている。そして、隣接する切除用スリット397間の部位(切除用スリット397と開口部393との間の部位)を破断することによってボス395を内枠12(膨出部40)から切除することができる。さらに、本実施形態では、切除用スリット397の後側は、保護カバー402の固定部431によって覆われている(図11(a)、図14参照)。このため、証紙貼着用ユニット400(保護カバー402)の取付状態においては、切除用スリット397は前方にのみ露出している。尚、本実施形態では、取付凹部390、ボス395、切除用スリット397、及びこれらの周縁部が被取付部に相当する。また、切除用スリット397及び切除用スリット397間の部位が解除作業部(破断部)に相当する。さらに、固定部431のうち切除用スリット397を後方から覆う部位(ねじ孔432の周縁部)が被覆部に相当する。
次に、証紙貼着用ユニット400を内枠12(取付凹部390)へ取付ける手順について、メーカー出荷時における取付手順を一例に説明する。
先ず、証紙プレート401のプレート側係止片414を、取付凹部390の挿入孔392に対して後方から挿通させるとともに、プレート側係止片414の先端部を内枠12(膨出部40)の前面に係止させる。さらに、取付凹部390に対して証紙プレート401を、プレート本体404の前面と取付凹部390の底面とが当接するまで押込み、証紙プレート401の係止突部418を、取付凹部390の開口部393を介して内枠12(膨出部40)の前面に係止させる。以上のようにして、証紙プレート401が取付凹部390に取付けられる。尚、上記のように、係止突部418は、プレート本体404のうちリブ406の形成されていないコーナー部位に対応して形成されているため、係止突部418の係止に際し、プレート本体404が比較的スムースに弾性変形する。
証紙プレート401の取付後、証紙プレート401の貼着面404aに証紙S3を貼着する。この際、内枠12が青色であるのに対し、証紙プレート401は黒色であるので、作業者は、証紙プレート401の位置すなわち貼着位置を見付けやすくなり、作業性が向上する。
上述したように証紙S3が貼着されるとともに、上記証紙S1,S2が貼着されたパチンコ機10は、流れ作業の中の一工程においてカメラ等の撮像手段により各証紙S1〜S3の記載内容が個々に読み取られ、出荷先等と合わせて管理ソフトに登録される。仮に、この段階で証紙プレート401に貼着された証紙S3が保護カバー402により覆われていると、光の反射等により、その記載内容を読み取りにくくなる場合もあるため、本実施形態では、保護カバー402の取付作業は、パチンコ機10(内枠12等)の登録後において行われる。
その後、保護カバー401のカバー側係止片425を、証紙プレート401の貫通孔416及び取付凹部390の挿入孔392に対して後方から挿通させるとともに、プレート側係止片414の前面に係止爪426を係止させる。さらに、保護カバー401の固定部431に設けられた係止部433を、ボス395の周縁部において内枠12(膨出部40)に形成された切除用スリット397に挿通させるとともに、爪部434を内枠12(膨出部40)の前面に係止させる。以上のようにして、保護カバー402が取付凹部390に取付けられる。
続いて、内枠12(膨出部40)の前面側における作業に移り、ボス395の前方から破断ねじNをボス孔396に挿通するとともに、固定部431に形成されたねじ孔432に破断ねじNを螺着させる。そして、破断ねじNのうち十字穴が形成された部位を除去することで、証紙貼着用ユニット400の取付けが完了する。
尚、証紙貼着用ユニット400の取付けが完了したパチンコ機10は包装され(シュリンクフィルムによりパッケージされ)、当該包装体の表面に出荷先が印字され、出荷先等が厳格に管理された状態で出荷される。
次に、証紙貼着用ユニット400(証紙S3が貼着された証紙プレート401)を取外す際の手順について説明する。
先ず、内枠12(膨出部40)の前面側において、切除用スリット397に工具(ニッパー等)等の先端部を挿通し、内枠12(膨出部40)のうち切除用スリット397間の部位を工具で切断(破断)する。これにより、ボス395が内枠12(膨出部40)から切り離され、保護カバー402をボス395及び破断ねじNごと取付凹部390から取外すことが可能となる。すなわち、カバー側係止片425を弾性変形させつつ、カバー側係止片425とプレート側係止片414との係止状態を解除することで、保護カバー402を取付凹部390から取外すことができる。ちなみに、内枠12の後面側からでは、切除用スリット397が固定部431によって覆われているため、切除用スリット397間の部位を破断することは不可能である。すなわち、証紙貼着用ユニット400の取外しに際しては、先ず前面枠セット14を解錠して開放する必要があり、施錠装置G1の鍵を持っている者のみが証紙貼着用ユニット400を取外すことができる。
また、上記のように保護カバー402を取外した後、証紙プレート401のうち取付凹部390の開口部393から前方に臨む部位を後方に押圧し、プレート本体404を弾性変形させつつ、係止突部418と内枠12(膨出部40)との係止状態を解除する。それから、プレート側係止片414を取付凹部390の挿入孔392から抜き取ることで、証紙プレート401を無傷で取付凹部390から取外すことができる。
以上詳述したように、本実施形態では、内枠12(膨出部40)に形成された切除用スリット397間の部位を破断することによって、保護カバー402を破断ねじN及びボス395ごと内枠12から取外すことができ、ひいては、証紙S3が貼着された証紙プレート401を内枠12から取外すことができる。さらに、破断の痕跡が形成されるのは内枠12(膨出部40)であるため、証紙プレート401及び証紙S3は無傷で取外すことができる。このため、出荷等に際して故障や破損等が発見されたパチンコ機10に取付けられている証紙S3を取外して別のパチンコ機10に付け替えることができる。従って、遊技ホールへの納入等に際して証紙S3が貼着された内枠12の交換の必要が生じた場合に、別途の証紙S3を用意したり、遊技ホールに納入されるパチンコ機10の証紙S3に付された管理番号等が変わったりしてしまうといった事態を回避することができる。結果として、証紙S3の管理番号等を用いてパチンコ機10を管理する上での利便性の向上等を図ることができる。
また、上記のように、証紙S3が貼着された証紙プレート401は取外し可能であるが、証紙プレート401を取外すためには、内枠12に破断の痕跡を形成する必要が生じる。このため、正規のパチンコ機10に取付けられた証紙S3を、不正に改造されたパチンコ機10に付け替えるといった不正行為を抑止したり、早期に発見したりすることができる。
さらに、証紙S3は、保護カバー402によって被覆されている。このため、遊技ホールの島設備の球受箱Yやハーネス等が証紙S3に触れ、証紙S3に記載された文字等が擦れて判別できなくなってしまうといった事態を防止することができる。
また、切除用スリット397の存在により、証紙貼着用ユニット400の取外しに際して、所期の位置で比較的容易にボス395を内枠12から切り離す(分離させる離脱させる)ことができる。結果として、作業性の向上を図りつつ、より確実に証紙プレート401及び証紙S3を傷付けることなく内枠12から取外すことができる。
さらに、切除用スリット397の後側は、固定部431によって被覆されており、切除用スリット397(切除用スリット397間の部位)は、内枠12の前面側、すなわち、保護カバー402が取付けられた面(証紙S3を視認できる面)とは反対面側から接触可能に構成されている。従って、保護カバー402を取外した上で、証紙プレート401を取外して入手するためには、内枠12の前後両面側において作業を行う必要が生じるため、不正に保護カバー402が取外されてしまうといったおそれを抑制することができる。特に、内枠12の前面側における作業は、前面枠セット14を解錠して開放させる必要が生じるため、施錠装置G1の鍵がなければ保護カバー402を取外すことすらできず、かかる作用効果が一層確実に奏される。加えて、証紙貼着用ユニット400(取付凹部390)は、内枠12のコーナー部近傍に設けられているため、内枠12の前後両面側において行われる保護カバー402の取外し作業を比較的容易に行うことができる。
また、本実施形態の証紙プレート401は、プレート側係止片414及び係止突部418を備えており、当該証紙プレート401単体でも内枠12(取付凹部390)に対して取付可能に構成されている。このため、保護カバー402や破断ねじNが取付けられないと証紙プレート401の取付状態を保持することができないような構成に比べ、証紙貼着用ユニット400の取付け及び取外しに際しての作業性の向上を図ることができる。また、保護カバー402の取付前の段階でも証紙プレート401を所期の位置に保持しておくことができるため、製造ラインにおいて、保護カバー402を取付ける前に行われる証紙S3の読取り作業を効率的かつ正確に行うことができ、結果的に生産性の向上を図ることができる。
さらに、本実施形態の保護カバー402はカバー側係止片425及び係止部433を備えており、破断ねじNを螺着させなくても、当該保護カバー402の内枠12への取付状態を保持可能に構成されている。従って、破断ねじNが取付けられるまで保護カバー402を押えておくといった必要がなくなり、保護カバー402及び破断ねじNの取付作業性の向上を図ることができる。特に、本実施形態では、保護カバー402の取付作業と破断ねじNの取付作業とが内枠12を挟んで反対側で行われるため、かかる作用効果が一層確実に奏される。
尚、カバー側係止片425及び係止部433は、内枠12(膨出部40)の前面に係止されており、基本的に前面枠セット14を開放させないと、係止状態を解除することはできないが、保護カバー402が力任せに無理やり引っ張られるなどした場合、前記係止状態が解除され、保護カバー402が外れてしまうおそれがある。これに対し、本実施形態では、保護カバー402及び内枠12は破断ねじNにより連結されている。このため、カバー側係止片425及び係止部433だけで保護カバー402を内枠12に固定する場合に比べ、保護カバー402が無理やり取外されてしまうといった事態を抑止することができる。
また、本実施形態では、証紙貼着用ユニット400の取付スペースが内枠12の開閉軸寄りに設けられている。このため、証紙貼着用ユニット400の取外しに際しては内枠12や前面枠セット14を比較的大きく開放しなければならず、従って、遊技ホールの営業中に証紙貼着用ユニット400を不正に取外すといった行為を抑止することができる。また、膨出部40において、球通路71、ファール球通路72、発射装置70等の取付スペースを確保しやすくなる。
加えて、証紙プレート401の周縁部に沿ってリブ406が設けられているため、証紙プレート401の取外しに際して証紙プレート401を落下させてしまった場合等において、証紙プレート401に貼着された証紙S3が損傷してしまうといった事態を抑制することができる。
また、本実施形態では、内枠12の前面側から内枠12(膨出部40)に形成された切除用スリット397や、取付凹部390の背面視右側に形成された開口部393を介して証紙貼着用ユニット400を視認することができる。従って、前面枠セット14を開放させることで、遊技盤30の前面に取付けられた証紙S1の取付状態を確認することができる上、内枠12の前面側から、内枠12(膨出部40)に形成されたボス395が切除されていないか否か(切除用スリット397において内枠12が破断されていないか否か)や、取付凹部390の背面視右側に形成された開口部393を介して証紙貼着用ユニット400が残存しているか否かを確認することで、証紙S3の取付状態を確認することができる。このため、内枠12を開放させなくても、遊技盤30面上の球詰まりを解消するために前面枠セット14を開放した際に、証紙S1及び証紙S3の取付状態の確認を同時に行うこともでき、防犯性を高めることができる。
なお、上述した実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
(a)上記実施形態では、固定手段として一度取付けたら取外せない破断ねじNが内枠12の前面側から取付けられているが、内枠12の後面側から取付けられる構成としてもよい。但し、破断作業を行うことで証紙プレート401を内枠12から取外すことができるようになる部位(解除作業部)である切除用スリット397(切除用スリット397間の部位)は、上記実施形態のように、固定部431に後方から覆われるなどして、内枠12の後方からでは接触不可能に構成されることとする。
(b)上記実施形態では、取付凹部390に取付けられた証紙プレート401を前方から押圧して後方に変位させることで取外し可能に構成されているが、証紙プレート401を左右方向又は上下方向にスライドさせることで取外し可能に構成してもよい。以下、態様例について、図15を参照して説明する。
図15(b)に示すように、証紙プレート821は、証紙S3が貼着される平板状のプレート本体822と、プレート本体822の上辺部、下辺部、背面視左辺部に沿って後方に突設されるプレートリブ823と、プレート本体822の背面視左辺部から背面視左方に突出するプレート側係止部824とを備えている。
図15(c)に示すように、保護カバー831は、証紙プレート821に貼着された証紙S3を後方から覆う平板状のカバー本体832と、カバー本体832の周縁部から前方に突設されたカバーリブ833(図15(d)参照)と、カバー本体832の背面視右辺部に沿って設けられたカバーリブ833から背面視右方に突出するカバー側固定部834とを備えている。
カバー側固定部834は、前後に貫通するねじ孔837を有する略円筒状の固定部本体836と、固定部本体836とカバー本体832とを連結する連結部838とを備えている。また、カバー側固定部834の後面側では、ねじ孔837の周囲がテーパ状に構成されており、これにより、カバー側固定部834の後方からねじ孔837に固定手段としての破断ねじNを螺着し、破断ねじNの十字穴形成部位を除去することで、破断ねじNの頭部がカバー側固定部834の内周側に収まる構成となっている。
さらに、保護カバー831は、カバー本体832の背面視左辺部に沿って設けられたカバーリブ833から背面視左方に突出する係止突起839を備えている。当該係止突起839は、プレート本体822の背面視左辺部に沿って設けられたプレートリブ823に形成された係止孔826に係止される。
図15(a)に示すように、内枠12には、証紙プレート821の取付位置において、内枠12の後面から後方に突出する略コ字状の取付側係止部841が設けられている。当該取付側係止部841の内周側には、背面視右方から証紙プレート821のプレート側係止部824が挿通され、当該取付側係止部841によってプレート側係止部824の後面(及び上面、下面)が係止される構成となっている。さらに、取付側係止部841を貫通したプレート側係止部824の先端部は、内枠12の後面と当接状態とされる。また、内枠12には、取付状態にある保護カバー831のカバー側固定部834と対向する位置において、前記ねじ孔837と連通する取付孔842が形成されている。尚、取付孔842には雌ねじが形成されている。加えて、内枠12には、取付孔842を囲むようにして、複数の切除用スリット843が形成されている。当該切除用スリット843は、その後部がカバー側固定部834(固定部本体836)によって覆われている(図15(d)参照)。
そして、証紙S3が貼着された証紙プレート821の係止孔826に保護カバー831の係止突起839を係止させて証紙プレート821と保護カバー831とを組付けるとともに、証紙プレート821を背面視右方から取付側係止部841に挿通させる。その後、内枠12の後面側から破断ねじNをねじ孔837及び取付孔842に挿通・螺着させ、破断ねじNの十字穴が形成された部位を除去することで、図15(d)に示すように、証紙プレート821及び保護カバー831が内枠12に取付けられる。
また、証紙プレート821及び保護カバー831を取外す場合には、内枠12のうち切除用スリット843間の部位を破断して内枠12から取付孔842の周縁部を切り離し、保護カバー831を破断ねじN及び取付孔842周縁部ごと内枠12から取外す。尚、証紙プレート821及び保護カバー831の取付状態において、係止突起839の後面と係止孔826との間には若干の隙間が形成されており、カバー本体832のうち係止突起839が設けられた一側部とは反対側の他側部側(背面視右側)を後方に引っ張ることで、保護カバー831を証紙プレート821から取外せる構成となっている。そして、証紙プレート821を背面視右方にスライドさせることで、証紙プレート821を内枠12から取外すことができる。
尚、上記態様例のカバー側固定部834を、カバー本体832の上辺部又は下辺部に対応して設けることとしてもよい。この場合、証紙プレート401を取外す際の証紙プレート401の軌道上にカバー側固定部834が位置しないようになるため、カバー側固定部834の連結部838を破断して固定部本体836をカバー本体832から切り離すことで、カバー側固定部834によって阻害されることなく、証紙プレート821を背面視右方にスライドさせて取外すことができる。もちろん当該構成を採用する場合、切除用スリット843は必要ない。
(c)上記実施形態では、固定手段として破断ねじNが採用されているが、特に当該構成に限定されるものではない。以下、態様例について図面を参照して説明する。尚、図16では保護カバーの図示を省略する。
(c−1)図16(a)に示すように、証紙プレート861には、プレート本体862から証紙プレート861の取付方向である前方に延びる一対の延出部865と、各延出部865の略先端部から互いに離間する方向に突出する爪部866とを具備するプレート側係止部863が設けられている。また、各延出部865のうち爪部866の近傍位置には、延出部865の厚み方向に貫通する係止孔867が形成されている。尚、プレート側係止部863は、プレート本体862の外周縁よりも所定間隔を隔てて内側に設けられている。
また、内枠12には、プレート側係止部863が挿通される貫通孔871と、貫通孔871の周縁部から前方に突出する筒状部872とが設けられている。そして、貫通孔871及び筒状部872に対してプレート側係止部863を後方から挿通させ、プレート本体862と内枠12の後面とを当接させることで、爪部866が筒状部872の前端部に係止される。これにより、証紙プレート861が内枠12に取付けられる。本態様例では、プレート側係止部863がベース側係止部に相当し、筒状部872の前端部(貫通孔871の周縁部)がベース用被係止部に相当する。さらに、延出部865に形成された係止孔867が被係合部に相当する。
また、本態様例では、証紙プレート861(プレート側係止部863)に対し、固定手段としての固定部材881が取付けられる。図16(a)、(b)に示すように、固定部材881は、略円盤状の本体部883と、本体部883の略中央部から本体部883に対して垂直に延出する一対の規制片部884と、各規制片部884の先端部から互いに離間する方向に突出する係止爪885とを備えている。本実施形態では、一対の規制片部884が、一対のプレート側係止部863の間に前方から挿通され、係止爪885が係止孔867に係止される。また、当該係止状態においては、プレート側係止部863と規制片部884とが当接し、プレート側係止部863の変形が規制片部884によって規制される状態となっている。さらに、当該係止状態においては、プレート側係止部863の先端部と固定部材881の本体部883とが略当接しており、規制片部884を一対のプレート側係止部863の間の奥側(プレート本体862側)に変位させることができない状態となっている。尚、係止爪885の後方側の面(取付方向先端側の面:図16(a)では下側の面)は、規制片部884を押し込み易いように、固定部材881の取付方向に対して傾斜している。一方、係止爪885の前方側の面(係止孔867への係止面)は、固定部材881が証紙プレート861(プレート側係止部863)から脱落しないように、固定部材881の取付方向に対して直交している。
また、本体部883には、一対の規制片部884を囲むようにして、複数の切除孔886が形成されている。尚、本態様例では、係止爪885が係合部に相当し、規制片部884が変形規制部に相当し、切除孔886(及び本体部883のうち切除孔886間の部位887)が解除作業部(破断部)に相当する。
尚、図示は省略するが、保護カバーは、証紙プレート861や内枠12に対して着脱可能に取付けられている。
さて、証紙貼着用ユニット400の取付けに際しては、先ず、内枠12に形成された貫通孔871及び筒状部872に対してプレート側係止部863を後方から挿通し、爪部866を筒状部872に係止させる。これにより、証紙プレート861が内枠12に取付けられる。次に、保護カバー402を取付けてから、一対のプレート側係止部863の間に、固定部材881の規制片部884を前方から挿入し、係止爪885を延出部865の係止孔867に係止させる。これにより、固定部材881が証紙プレート861に取付けられる。この状態においては、上記のように、プレート側係止部863の変形が規制片部884によって規制され、証紙プレート861を内枠12から取外せない状態となっている。さらに、固定部材881に関しても、本体部883の存在により規制片部884を変形させることができないため、証紙プレート861から取外せない状態となっている。
また、証紙貼着用ユニット400を取外す場合には、固定部材881の本体部883の切除孔886間の部位887を破断し、本体部883から規制片部884を切り離す。これにより、図16(a)の二点鎖線で示すように、規制片部884(本体部883のうち切除孔886の内周側に位置する部位、規制片部884、及び係止爪885)を、一対のプレート側係止部863間の奥側(プレート本体862側)にまで押込むことが可能となる。このように、規制片部884を押込むことで、一対のプレート側係止部863の先端部位間において固定部材881(規制片部884)が存在しなくなり、プレート側係止部863の先端部位を撓ませて、証紙プレート861を内枠12から取外すことが可能となる。尚、証紙プレート861を取外した後は、一対のプレート側係止部863を広げるようにして弾性変形させることで、証紙プレート861から固定部材881を取外すことができる。すなわち、証紙プレート861を無傷で取り付け前の形態にすることができる。
以上のような構成を採用する場合であっても、上記実施形態と同様の作用効果が奏される。さらに、固定部材881を一対のプレート側係止部863の間に挿通させることだけ(ワンタッチ)で固定部材881を証紙プレート861に取付けることができるため、取付作業性の向上を図ることができる。
尚、上述はしなかったが、本体部883のうち複数の切除孔886によって囲まれる部位(切除孔886間の部位を破断した後に規制片部884側に残される部位)883aが前方(規制片部884が押込まれた状態においてプレート側係止部863の先端部側に位置する方)に向けて縮径するテーパ状に構成されている。この場合、規制片部884が押込まれた状態において、プレート側係止部863を比較的撓ませやすくなる。また、例えば、規制片部884が押込まれた状態において、プレート側係止部863を撓ませやすくするために、図16(c)に示すように規制片部884を屈曲形成し、規制片部884の本体部883との連接側の部位をプレート側係止部863から離間させてもよい。
(c−2)また、例えば、上記実施形態において、ボス孔396又はねじ孔432の一方を有底状に形成するとともに、ボス孔396及びねじ孔432に対して硬化性樹脂を充填して硬化させることで形成された硬化性樹脂層を設けることにより、保護カバー402と内枠12(膨出部40)とを連結することとしてもよい。当該構成を採用する場合においても、上記実施形態と同様の作用効果が奏される。尚、ボス395と固定部431との連接部においては、一方が他方の内側に入り込んでいること(上下左右方向にボス395と固定部431とが重なり合っていること)としてもよい。この場合、連接部において硬化性樹脂層が破断されてしまうといった事態を抑止することができる。
尚、硬化性樹脂とあるのは、当初液状又はペースト状をなし、充填後、硬化する性質を有する樹脂をいう。硬化性樹脂としては、(1)光硬化性樹脂…レーザ光等の光を照射することで硬化する樹脂、(2)紫外線硬化性樹脂…紫外線を照射することで硬化する樹脂、(3)その他…基板ボックス(連結手段)に悪影響を与えないものであれば、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂等が挙げられる。また、「光硬化性樹脂」としては、例えば、エポキシ系、オキセタン系等が挙げられる。「紫外線硬化性樹脂」としては、硬化機構が紫外線にのみよるものに限られるものではなく、空気中の湿度による硬化、金属イオンによる嫌気性硬化、若干の加熱による硬化、硬化触媒による硬化などの複合硬化によるものであってもよい。熱硬化性樹脂としては、例えばフェノール樹脂、メラニン樹脂、ユリア樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、アクリル、ABS等が挙げられる。
(c−3)また、例えば、ボス孔396及びねじ孔432に対し、金属製のピン等を取外し不可能に挿入することで、内枠12と保護カバー402とを連結することとしてもよい。また、ピン等を挿入した隙間に上記硬化性樹脂層を形成することとしてもよい。加えて、破断ねじNに代えて、取外す方向に回すことのできないワンウェイねじを採用してもよい。
(c−4)さらに、固定手段として、証紙プレート401に対して着脱可能に取付けられるものを採用してもよい。これらの構成を採用する場合、保護カバー402、内枠12、及び固定手段にも傷を付けることなく、証紙プレート401を取外すことができる。従って、リサイクル性やリユース性の向上を図ることができる。但し、当該固定手段を採用する場合、当該固定手段は内枠12の前面側からでないと取外せない構成とする。これにより、前面枠セット14を解錠しない限り、固定手段による証紙プレート401の固定状態を解除して証紙プレート401を取外すことが不可能となり、証紙プレート401を不正入手するといった行為を抑止することができる。
尚、態様例としては、普通のネジ(木ネジ等)を内枠12の前面側から証紙プレート401及び保護カバー402に螺着したり、証紙プレート401及び保護カバー402に形成された孔部に対し、内枠12の前面側からつまみ部を有するピンを差込んで証紙プレート401及び保護カバー402を連結し、内枠12の前面側からつまみ部を引っ張って前記ピンを取外し可能に構成したりすることとしてもよい。尚、固定手段として普通のネジを採用する場合、十字穴やすりわりが解除作業部に相当し、上記ピンを採用する場合、つまみ部が解除作業部に相当する。
また、例えば、上記(c−1)の固定部材881を、図17(a)、(b)に示すように、内枠12の前面側(図では上側)から取外し可能に構成することとしてもよい。ちなみに、図17(a)の固定部材881は一対のプレート側係止部863の間に挟まっているだけであり、図17(b)の固定部材881は、一対のプレート側係止部863の間に挟まっているとともに、内枠12の前面に対し、着脱可能な普通のネジ891で固定されている。尚、固定部材881のうち、一対のプレート側係止部863の間に差し込まれる部位が変形規制部に相当する。また、例えば、カバー側係止片425と、挿入孔392及び貫通孔416との間の隙間に、樹脂製のピンを内枠12の後側から差込み、カバー側係止片425の変形を防止する構成としてもよい。
(d)上記実施形態では、証紙プレート401にプレート側係止片414及び係止突部418が設けられているが、特にこのような構成に限定されるものではなく、その他の形状の係止手段等によって証紙プレート401を係止してもよいし、ネジ等の固定手段を使用して証紙プレート401を固定してもよい。また、これらを省略し、保護カバー402が取付けられることで初めて証紙プレート401が内枠12に対して保持可能になるよう構成してもよい。但し、保護カバー402を取付ける前の状態で証紙S3の読み取りなどを行う場合において証紙S3の位置ずれを防止するといった観点からすると、所定の係止手段(ベース側係止部)等を設けることが望ましい。
さらに、上記実施形態では、保護カバー402にカバー側係止片425及び係止部433が設けられているが、特にこのような構成に限定されるものではない。また、これらを省略し、破断ねじNが取付けられることで初めて保護カバー402が内枠12に対して保持可能になるよう構成してもよい。但し、破断ねじNの取付作業性の向上等を図るべく、所定の係止手段(カバー側係止部)等を設けることが望ましい。
(e)上記実施形態では、内枠12に取付けられる証紙S3について証紙貼着用ユニット400が適用されているが、これに代えて又は加えて、遊技盤30に取付けられる証紙S1や主制御装置261に取付けられる証紙S2に対応して証紙貼着用ユニット400を適用してもよい。
また、証紙貼着用ユニット400の取付位置も、上記実施形態のように内枠12の開閉軸側に限られるものではなく、例えば内枠12の開閉軸側とは反対側であってもよい。
さらに、上記実施形態では、内枠12(膨出部40)に取付凹部390が形成され、取付凹部390に対し、証紙貼着用ユニット400が取付けられているが、特にこのような構成に限定されるものではない。例えば、取付凹部390を省略するとともに、内枠12(膨出部40)に対し、プレート側係止片414、係止突部418、カバー側係止片425、及び係止部433とそれぞれ係止状態とされる係止手段を設けることとしてもよい。また、取付凹部390の周縁部(膨出部40の後面)よりも証紙貼着用ユニット400全体、或いは固定部431を除く部位が奥まった位置(前方)に配置されることとしてもよい。この場合、証紙貼着用ユニット400に傷や汚れがつきにくくなるとともに、パチンコ機10を構成する他の部材の取付けの妨げになるおそれも低減される。
(f)上記実施形態では、証紙部材として、紙製の証紙(証紙シール)S3等を採用しているが、例えば、貼着できない(シール部材でない)樹脂製のフィルム部材やICチップ等を採用し、係止爪等によって証紙プレート401に係止したり、ねじ等によって証紙プレート401に固定したり、接着剤等により証紙プレート401に貼着したりすることとしてもよい。加えて、証紙プレート401に付着された証紙S3を証紙プレート401から取外した場合、証紙プレート401及び証紙S3の少なくとも一方に所定の痕跡が形成されることとしてもよい。ちなみに、上記実施形態の証紙S3を剥がそうとした場合、証紙S3が破れたり、証紙S3に無数の皺が発生して証紙S3に記された特定情報が読み取り難くなったりする。
(g)証紙貼着用ユニット400の取付手順は上記実施形態の手順に限定されるものではない。例えば、予め証紙プレート401に証紙S3を貼着した状態で当該証紙プレート401を取付凹部390に取付ける構成としてもよい。また、例えば、ボス395を内枠12から切り離した後、証紙プレート401及び保護カバー402を同時に取外し可能に構成してもよいし、保護カバー402、証紙プレート401の順に取外し可能に構成してもよい。
(h)証紙プレート401及び保護カバー402の材質や色等は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、証紙プレート401を内枠12と同色のものとしてもよい。
(i)上記実施形態では、内枠12の前面側に、閉鎖状態においては内枠12の前面側ほぼ全域を覆う前面枠セット14が開閉可能に取付けられている。これに限らず、例えば、内枠12の前面側かつ遊技盤30を覆う第1扉体と、内枠12の前面側かつ遊技盤30より下方位置を覆う開閉部材としての第2扉体とを個別に備えた構成としてもよい。ちなみに、第2扉体(下枠セット)には、一般に下皿15やハンドル18が取付けられており、前面枠セット14を解錠して開放させることで、当該第2扉体を開放させることができるように構成されている(前面枠セット14の閉鎖時においては、第2扉体の解錠操作部が前面枠セット14によって覆われている)。
また、上記実施形態では、1つの鍵を用いて内枠12及び前面枠セット14を解錠・開放させることができる構成となっているが、内枠12及び前面枠セット14にそれぞれ個別に対応する鍵(施錠装置)を設け、前面枠セット14を解錠するためには、内枠12を解錠するための鍵とは別の鍵を用いて解錠させることとしてもよい。この場合、防犯性を向上させることができる。また、上記実施形態においては、例えば、前面枠セット14を開放させることで、遊技盤30の前面に取付けられた証紙S1の取付状態を確認することができる上、内枠12の前面側から、内枠12(膨出部40)に形成されたボス395が切除されていないか否か(切除用スリット397において内枠12が破断されていないか否か)や、取付凹部390の背面視右側に形成された開口部393を介して証紙貼着用ユニット400が残存しているか否かを確認することで、証紙S3の取付状態を確認することができる。このため、内枠12を開放させなくても、遊技盤30面上の球詰まりを解消するために前面枠セット14を開放した際に、証紙S1及び証紙S3の取付状態の確認を同時に行うこともでき、防犯性を高める(早期発見する)ことができる。
(j)上記実施形態とは異なるタイプのパチンコ機として実施してもよい。また、パチンコ機以外にも、アレンジボール機、それに類する雀球等の各種遊技機として実施することも可能である。
[付記]
上記実施形態から把握できる技術的思想について、以下に記載する。
パチンコ機等の遊技機には、各種遊技機管理団体が発行する証紙等が貼着されている。この証紙には、前記管理団体の検査を受けたことを示す情報や、前記管理団体が付した管理番号、企業名、遊技機の機種番号や製造番号、製造年度、これらをコード化したQRコード(登録商標)等のコード情報などが記されている。さらに、近年では、部品交換などリサイクル性の観点から、遊技盤、当該遊技盤が取付けられる遊技盤取付枠、当該遊技盤取付枠の背面側に搭載される制御機器などに対し個別に専用の証紙等が貼着されている。そして、かかる証紙等に記された管理番号等を遊技機メーカー及び遊技ホールの双方で記録・管理することによって、遊技機の出荷先等が厳格に管理されている(例えば、特開2000−135360号公報参照。)。特に、各種遊技機管理団体が発行する証紙に関しては、出荷する遊技機の台数を申請することでその分の証紙が発行される。さらに、申請した数だけ発行された証紙には、連続した異なる管理番号が付されている。
ところで、製造工場で証紙が貼着されてから、遊技ホールに納入されて稼働するまでの間に遊技機が故障したり、故障が発見されたりした場合、証紙が貼着された部材(遊技盤や遊技盤取付枠等)を交換する必要が生じる場合もある。この場合、証紙が貼着された部材を交換することによって、別途の証紙を用意する必要が生じる上、遊技ホールに納入される遊技機の証紙に付された管理番号等が変わってしまうため、遊技機の管理が不便になってしまうおそれがある。
尚、証紙が貼着された部材の交換の必要が生じる場合としては、証紙が貼着された部材自体が損傷した場合だけでなく、証紙が貼着された部材に取付けられる遊技機の構成部材が故障又は損傷し、損傷部位の特定が困難な場合や、故障部位だけの交換が困難又は不可能である場合も含まれる。
また、例えば、遊技盤取付枠に関しては、その前面側が前面扉等によって覆われ、その背面側には制御機器等が搭載されるため、証紙等は、制御機器等の搭載されていない背面下部のように比較的見やすい位置に貼着される。
しかしながら、遊技盤取付枠の背面側には、遊技盤前面の遊技領域より排出される遊技球(アウト球)を回収するための球回収機構が形成されており、当該球回収機構により回収された遊技球は排出シュートから遊技機外部へ排出される。そして、この遊技機が遊技ホールの島設備に設置された際には、排出シュートから排出される遊技球を受けて所定の排出部へと導く球受箱が排出シュートの下方位置に配置される。このため、証紙等が遊技盤取付枠の背面下部に直接貼着され、露出した状態となっていると、前記球受箱を設置する際に、誤って証紙等を傷つける恐れがあった。
さらに、遊技盤取付枠の背面側に搭載される制御機器等の中には、ハーネス等を介して外部機器と接続されるものもあるため、遊技盤取付枠の開閉等に伴いハーネス等が証紙等に触れる場合もある。ハーネス等が証紙等に繰り返し接触すると、証紙等に付された文字等が次第に擦れて判別できなくなるおそれがある。
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであり、その目的は、証紙等の保護を図るとともに、管理上の利便性を図ることのできる遊技機を提供することにある。
手段1.固定枠に対し一側部を中心に開閉可能に支持され、遊技盤が取付けられる遊技盤取付枠と、
特定情報を有する証紙部材と、
前記遊技盤取付枠又は前記遊技盤において形成された被取付部に取付けられ、前記証紙部材が付着されたベース部材と、
透視性を有するとともに、前記被取付部に取付けられて、前記ベース部材に付着された前記証紙部材を被覆するカバー部材と、
前記ベース部材及び前記カバー部材とは別体として構成され、前記被取付部に取付けられた前記ベース部材の取外しを防止する固定手段とを備え、
前記カバー部材、前記固定手段、及び、前記被取付部が形成される前記遊技盤取付枠又は前記遊技盤のうち少なくとも1つには、所定の作業を行うことによって、前記ベース部材を前記被取付部から取外し可能となる解除作業部が形成され、
前記解除作業部は、前記被取付部が形成された前記遊技盤取付枠又は前記遊技盤の前面及び後面のうち、前記証紙部材を取付ける作業(前記証紙部材の取付け及び取外しを行う作業)を行う面とは反対面側に設けられていることを特徴とする遊技機。
手段1によれば、カバー部材、被取付部、及び固定手段のうち少なくとも1つに形成された解除作業部に対して所定の作業を行うことによって、証紙部材が付着されたベース部材を被取付部(遊技盤取付枠又は遊技盤)から取外すことができる。さらに、例えば、解除作業部に対する所定の作業に際し、当該解除作業部に対して所定の痕跡が形成されるような構成であっても、解除作業部は、カバー部材、被取付部、及び固定手段のうち少なくとも1つに設けられているため、ベース部材及び証紙部材は無傷で取外すことができる。このため、出荷等に際して故障や破損等が発見された遊技機に取付けられている証紙部材を取外して別の遊技機に付け替えることができる。従って、遊技ホールへの納入等に際して証紙が貼着された部材の交換の必要が生じた場合に、別途の証紙部材を用意したり、遊技ホールに納入される遊技機の証紙部材に付された特定情報(管理番号等)が変わったりしてしまうといった事態を回避することができる。結果として、証紙部材の特定情報を用いて遊技機を管理する上での利便性の向上等を図ることができる。
また、上記のように、証紙部材が付着されたベース部材は取外し可能であるが、ベース部材を取外すためには、解除作業部に対する所定の作業を、被取付部(遊技盤取付枠又は遊技盤)のうち証紙部材を取付ける作業を行う面とは反対面側(被取付部を挟んで証紙部材の反対側)において行う必要が生じる。すなわち、ベース部材を取外して入手するためには、遊技盤取付枠又は遊技盤の前後両面側において作業を行う(前面及び後面のうち一方側において解除作業部の解錠作業を行い、他方側において証紙部材を取外す)必要が生じる。特に、遊技機が遊技ホールの島設備に設置された状態においては、遊技盤取付枠を開放させる必要が生じる。従って、不正にカバー部材が取外されてしまうといったおそれを抑制することができ、正規の遊技機に取付けられた証紙部材を、不正に改造された遊技機に付け替えるといった不正行為を抑止することができる。
さらに、証紙部材は、カバー部材によって被覆されているため、誤って証紙部材を傷つけてしまうといった不具合を低減することができる。
加えて、ベース部材又はカバー部材の取外しを防止する固定手段は、ベース部材及びカバー部材とは別体として構成されている。このため、例えば、ベース部材又はカバー部材と一体的に構成された係止手段によって固定手段を構成する場合に比べ、ベース部材又はカバー部材が力任せに無理やり取外されてしまうといった事態を抑止できる構成とすることができる。
尚、「証紙部材」には各種遊技機管理団体が発行する証紙部材が含まれる。また、この「証紙部材」には、紙製のいわゆる「証紙」のみならず、例えば樹脂製のフィルム部材やシート部材なども含まれる。さらに、「特定情報」には、前記管理団体の検査を受けたことを示す情報、前記管理団体が付した管理番号、企業名、遊技機の機種番号や製造番号、製造年度、これらをコード化したQRコード(登録商標)等のコード情報などが含まれる。また、上記「特定情報を有する」ことには、証紙部材に対し文字や数字等により特定情報が記載されることはもちろんのこと、所定の読取り手段により読み取ることのできるコード情報として特定情報が付されること(登録、記憶)などが含まれる。さらに、上記「付着」には、「貼着」や「接着」などは勿論のこと、係止爪等による「係止」や、ねじ等による「固定」なども含まれる。尚、カバー部材は、被取付部に対して直接取付けられていてもよいし、ベース部材を介して間接的に取付けられていてもよい。加えて、証紙部材(被取付部)は、遊技盤取付枠又は遊技盤のコーナー部近傍に設けられることとしてもよい。この場合、被取付部の表裏両面側において行われる取外し作業を比較的容易に行うことができる。
尚、固定手段は、ベース部材に直接当接して(直接固定して)ベース部材の取外しを防止する構成であってもよいし、カバー部材等に当接し、当該カバー部材等を介して間接的にベース部材の取外しを防止する構成であってもよい。例えば、前記カバー部材を前記被取付部に固定する固定手段を備え、前記カバー部材を前記被取付部から取外すことで前記ベース部材を前記被取付部から取外し可能となる構成であって、前記カバー部材、又は、前記被取付部が形成される前記遊技盤取付枠又は前記遊技盤には、破損させることによって、前記カバー部材を前記被取付部から取外し可能となる解除作業部が形成されていることとしてもよい。
また、「前記解除作業部は、前記被取付部が形成された前記遊技盤取付枠又は前記遊技盤の前面及び後面のうち、前記証紙部材を取外す方向(取外し方向に臨む面)とは反対側の面から接触可能であること」としてもよい。加えて、「取付ける」とあるのは、ネジ止め、接着・溶接などの固定、爪部による係合等が含まれる。
手段2.前記遊技盤取付枠の前面側において前記固定枠又は前記遊技盤取付枠に開閉可能に支持され、閉鎖状態において前記遊技盤取付枠の略全域を覆う前面扉と、
前記遊技盤取付枠及び前記前面扉の施錠及び解錠を行う施錠装置とを備え、
前記施錠装置に対し(専用の解錠手段を用いて)第1の解錠操作を行うことによって(のみ)、前記遊技盤取付枠を解錠することができ、
前記施錠装置に対し(専用の解錠手段を用いて)第2の解錠操作を行うことによってのみ、前記前面扉を解錠することができ、前記遊技盤取付枠の前面及び前記遊技盤の後面への接触が許容されることを特徴とする手段1に記載の遊技機。
手段2によれば、遊技盤取付枠や前面扉を解錠して開放させるためには、遊技盤取付枠及び前面扉にそれぞれ対応した施錠装置の解錠操作を行う必要がある。特に、遊技盤取付枠の前面側(前面扉の後面側)に関しては、前面扉を開放させた場合にのみ接触を図ることができる。このため、前面扉と遊技盤取付枠との間に証紙部材や解錠操作部が存在する場合、ベース部材を被取付部から取外して入手するためには、第2の解錠操作が必至である。従って、証紙部材の取外しを可能にしつつ、不正行為を低減できるといった上記手段1の作用効果が一層確実に奏される。
尚、「第2の解錠操作を行うことによってのみ、前記前面扉を解錠することができる」構成としては、専用の鍵や解錠装置を使用することによってのみ前面扉を解錠することができ、遊技機(遊技盤取付枠)の後面側から手作業で前面扉を解錠させることができない構成が挙げられる。尚、専用の解錠装置としては、例えば、遊技機(遊技盤取付枠)の後面側からでは接触不可能な位置において電気的に作動し、施錠装置を連動させて前面扉を解錠させることのできる解錠機構を作動させるための専用のリモートコントローラ等が挙げられる。
尚、証紙部材は、製造工場などにおいて確認しやすいように、遊技盤取付枠の後面側に(遊技盤取付枠を後方から見たときに視認可能に)設けられるとともに、前面扉を開放することで、解除作業部を視認可能(接触可能)に構成されていることとしてもよい。この場合、前面扉を開放した際に、証紙部材の取付状態についても確認することができ、防犯性の向上(証紙部材が取外されたことの早期発見)を図ることができる。また、前記遊技盤取付枠の略全域を覆う前面扉は、1つの扉部材により構成されてもよいし、複数の扉部材により構成されてもよい。
手段3.前記カバー部材、前記固定手段、及び、前記被取付部が形成される前記遊技盤取付枠又は前記遊技盤のうち少なくとも1つには、破損させることによって、前記ベース部材を前記被取付部から取外し可能となる前記解除作業部が形成されていることを特徴とする手段1又は2に記載の遊技機。
手段3によれば、カバー部材、固定手段、及び、被取付部が形成される遊技盤取付枠又は遊技盤のうち少なくとも1つに形成された解除作業部を破損させることによって、証紙部材が付着されたベース部材を被取付部(遊技盤取付枠又は遊技盤)から取外すことができる。もちろん、破損の痕跡が形成されるのは、カバー部材、被取付部、及び固定手段のうち少なくとも1つであるため、ベース部材及び証紙部材は無傷で取外すことができる。結果として、上記手段1の作用効果が確実に奏される。また、証紙部材を取外した場合に、カバー部材、固定手段、及び、被取付部が形成される遊技盤取付枠又は遊技盤のうち少なくとも1つに破損の痕跡が形成されるため、正規の遊技機に取付けられた証紙部材を、不正に改造された遊技機に付け替えるといった不正行為を抑止するといった作用効果が一層奏されるとともに、かかる不正行為が行われた場合には早期に発見することができる。
加えて、解除作業部の存在により、所期の位置で比較的容易に前記破損作業を行うことができる。結果として、作業性の向上を図りつつ、より確実にベース部材及び証紙部材を傷付けることなく被取付部から取外すことができる。
尚、「破損させる」とあるのは、変形(塑性変形)させたり、破断されたりすることを意味しており、ベース部材を取外し可能とする際には、解除作業部において、所定の痕跡が形成される。ちなみに、解除作業部を「変形」させてベース部材を取外した場合、解除作業部が変色したり一部破断(僅かに切れ目が生じる)されたり塑性変形したりして元の外観に戻らない(所定の痕跡が形成される)構成が挙げられる。また、破断することによって、前記ベース部材を前記被取付部から取外し可能となる破断部を解除作業部とした場合、当該破断部は、工具(ニッパー、カッター等)を用いて切断したり、手で折り取ったりすることができるように、前記カバー部材、前記固定手段、及び、前記被取付部が形成される前記遊技盤取付枠又は前記遊技盤のいずれかに予め形成される部位であることとしてもよい。さらに、この場合、例えば、破断部は、その他の部位よりも薄肉であることとしてもよい。
手段4.前記カバー部材を前記被取付部が形成された前記遊技盤取付枠又は前記遊技盤から取外すことで前記ベース部材を前記被取付部から取外し可能となる構成であって、
前記カバー部材は前記固定手段に固定されるカバー側固定部を備え、
前記被取付部は前記固定手段が固定される取付側固定部を備え、
前記取付側固定部が形成される前記遊技盤取付枠又は前記遊技盤には、破損させることによって、前記取付側固定部を前記被取付部が形成される前記遊技盤取付枠又は前記遊技盤から離脱させることのできる前記解除作業部が形成され、
前記カバー部材は、前記被取付部が形成された前記遊技盤取付枠又は前記遊技盤の前面及び後面のうち前記証紙部材を取付ける作業を行う(証紙部材の取付け及び取外しの作業を行う)面側から、前記取付側固定部に形成された前記解除作業部を覆う被覆部を備え、
前記解除作業部を破損させ、前記取付側固定部を前記被取付部が形成された前記遊技盤取付枠又は前記遊技盤から離脱させることで、前記固定手段による前記カバー部材の固定状態が解除され、前記カバー部材を前記遊技盤取付枠又は前記遊技盤から取外し可能となることを特徴とする手段3に記載の遊技機。
手段4によれば、カバー固定部をカバー部材から離脱させたり、取付側固定部を遊技盤取付枠又は遊技盤(被取付部)から離脱させたりすることで、カバー部材を遊技盤取付枠又は遊技盤から取外し、証紙部材が付着されたベース部材を無傷で取外すことができる。従って、上記手段1と同様の作用効果が奏される。尚、固定手段によるカバー部材の固定状態が解除された場合、カバー部材及びベース部材を順番に取外し可能としてもよいし、カバー部材及びベース部材を同時に取外せる構成であってもよい。尚、カバー部材は固定手段によって被取付部に対して取外し不可能に固定されていることとしてもよい。
手段5.前記固定手段は前記解除作業部を備え、
前記固定手段は、前記ベース部材に対して着脱可能に設けられ、
前記解除作業部は、前記遊技盤固定枠と前記前面扉との間に配置されていることを特徴とする手段2に記載の遊技機。
手段5によれば、カバー部材、被取付部、及び固定手段にも傷を付けることなく、ベース部材を取外すことができる。従って、リサイクル性やリユース性の向上を図ることができる。また、解除作業部は遊技盤固定枠と前面扉との間に配置されているため、解除作業部を操作するためには前面扉を開放させる必要がある。従って、着脱可能な固定手段を採用した場合においても、証紙部材の不正な取り外しを防止するといった作用効果が確実に奏される。尚、当該手段5の固定手段としては、普通のねじやピン等が挙げられる。
手段6.前記ベース部材は、前記被取付部に設けられたベース用被係止部と係止状態とされるベース側係止部を備え、当該ベース部材単体で前記被取付部に取付可能に構成されていることを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載の遊技機。
手段6によれば、ベース部材のみを被取付部に取付けた状態(カバー部材や固定手段を取付けていない状態)においても、ベース部材を所期の位置で確実に保持しておくことができる。従って、ベース部材、カバー部材、及び固定手段の取付作業性の向上を図ることができる。また、製造ラインにおいて、カバー部材を取付ける前の段階で、ベース部材に付着された証紙部材の読取りを行うことができ、カバー部材表面の光の反射等によって証紙部材に付された特定情報の読み取りが困難となることもなく、読取り作業の効率を向上させることができる。その上、ベース部材の位置ずれによって特定情報の読み取りが困難となることもなく、読み取りをより正確に行うことができる。さらに、例えば、カバー部材を取外した際に、ベース部材が被取付部から落下してしまうといった事態を防止することができる。従って、カバー部材及びベース部材(証紙部材)を取外す際の作業性の向上が図られる上、ベース部材が落下して証紙部材が損傷してしまうといった事態を防止することができる。
手段7.前記ベース部材は、前記被取付部に設けられたベース用被係止部と係止状態とされるベース側係止部を備え、
前記固定手段は、前記ベース部材に設けられた被係合部と係合状態とされる係合部と、前記係合部と前記被係合部との係合状態において前記ベース側係止部の変形を防止する変形規制部と、前記解除作業部とを備え、
前記解除作業部を破損させることで、前記ベース側係止部の変形が許容される位置まで前記変形規制部を変位させることが可能となることを特徴とする手段3に記載の遊技機。
手段7によれば、ベース部材は、被取付部に設けられたベース用被係止部と係止状態とされるベース側係止部を備えている。このため、上記手段6と同様の作用効果が奏される。また、本手段7によれば、取付状態にあるベース部材に対して、固定手段を取付けると解除作業部を破損させない限り、ベース部材を取外すことができない構成となっている。このため、上記手段3の作用効果が確実に奏される。
手段8.前記カバー部材は、前記被取付部に設けられたカバー用被係止部と係止状態とされるカバー側係止部を備え、前記固定手段によって固定状態とされなくても、当該カバー部材の前記被取付部への取付状態を保持可能に構成されていることを特徴とする手段1乃至7のいずれかに記載の遊技機。
手段8によれば、固定手段を取付けていない状態においても、カバー部材を所期の位置で確実に保持しておくことができる。従って、固定手段が取付けられるまでカバー部材を押えておくといった必要がなくなり、カバー部材、及び固定手段の取付作業性の向上を図ることができる。特に、カバー部材の取付作業と固定手段の取付作業とが被取付部を挟んで反対側で行われる構成においては、かかる作用効果が一層確実に奏される。
以下に、上記各手段が適用される各種遊技機の基本構成を示す。
A.上記各手段における前記遊技機は弾球遊技機であること。より詳しい態様例としては、「遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル)と、当該操作手段の操作に基づいて遊技球を弾いて発射する発射手段(発射モータ等)と、当該発射された遊技球が案内される遊技領域と、前記遊技領域内に配置された各入球手段(一般入賞口、可変入賞装置、作動口等)とを備えた弾球遊技機」が挙げられる。
B.上記各手段における前記遊技機は略鉛直方向に延びる遊技領域を備えた弾球遊技機であること。より詳しい態様例としては、「遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル)と、当該操作手段の操作に基づいて遊技球を弾いて発射する発射手段(発射モータ等)と、当該発射された遊技球が案内され、略鉛直方向に沿って延びる所定の遊技領域(例えば遊技領域は遊技盤面等により構成される)と、前記遊技領域内に配置された各入球手段(一般入賞口、可変入賞装置、作動口等)とを備え、前記遊技領域を流下する遊技球の挙動を視認可能に構成されてなる弾球遊技機」が挙げられる。
C.上記各手段における前記遊技機、又は、上記各弾球遊技機は、パチンコ機又はパチンコ機に準ずる遊技機であること。