以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
まず本発明の一実施の形態における給湯装置の構成について図1〜図4を用いて説明する。
主に図1および図2を参照して、本実施の形態の給湯装置1は、排気吸引燃焼方式の潜熱回収型の給湯装置である。この給湯装置1は、バーナ2と、一次熱交換器3と、二次熱交換器4と、排気ボックス5と、ファン6と、排気管7と、排水トラップ8と、筺体9と、配管10〜16とを主に有している。
バーナ2は、燃料ガスを燃焼させることにより燃焼ガスを生じさせるためのものである。バーナ2にはガス供給配管11が接続されている。このガス供給配管11はバーナ2に燃料ガスを供給するためのものである。このガス供給配管11には、たとえば電磁弁よりなるガス弁(図示せず)が取り付けられている。
バーナ2の上方には点火プラグ2aが配置されている。この点火プラグ2aは、バーナ2に設けられたターゲット(図示せず)との間で点火スパークを生じさせることにより、バーナ2から噴き出された燃料空気混合気に火炎を生じさせるためのものである。バーナ2は、ガス供給配管11から供給された燃料ガスを燃焼することによって熱量を発生する(これを、燃焼動作という)。
主に図2を参照して、一次熱交換器3は顕熱回収型の熱交換器である。この一次熱交換器3は、複数の板状のフィン3bと、その複数の板状のフィン3bを貫通する伝熱管3aと、フィン3bおよび伝熱管3aを内部に収容するケース3cとを主に有している。一次熱交換器3は、バーナ2で発生する燃焼ガスとの間で熱交換を行なうものであり、具体的にはバーナ2の燃焼動作により発生した熱量によって一次熱交換器3の伝熱管3a内を流れる湯水を加熱するためのものである。
主に図2および図3を参照して、二次熱交換器4は潜熱回収型の熱交換器である。この二次熱交換器4は、一次熱交換器3よりも燃焼ガスの流れの下流側に位置し、一次熱交換器3と互いに直列に接続されている。このように本実施の形態の給湯装置1は潜熱回収型の二次熱交換器4を有しているため潜熱回収型の給湯装置となっている。
二次熱交換器4は、ドレン排出口4aと、伝熱管4bと、側壁4cと、底壁4dと、上壁4gとを主に有している。伝熱管4bは、螺旋状に巻き回されることによって積層されている。側壁4c、底壁4dおよび上壁4gは、伝熱管4bの周囲を取り囲むように配置されている。
二次熱交換器4においては、一次熱交換器3で熱交換された後の燃焼ガスとの熱交換によって伝熱管4b内を流れる湯水が予熱(加熱)される。この過程で燃焼ガスの温度が60℃程度まで下がることで、燃焼ガス中に含まれる水分が凝縮して潜熱を得ることができる。また二次熱交換器4で潜熱が回収されて燃焼ガス中に含まれる水分が凝縮することによりドレンが発生する。
底壁4dは一次熱交換器3と二次熱交換器4との間を区画するためのものであり、一次熱交換器3の上壁でもある。この底壁4dには開口部4eが設けられており、この開口部4eにより一次熱交換器3の伝熱管3aが配置された空間と二次熱交換器4の伝熱管4bが配置された空間とが連通している。図2の白矢印で示すように、開口部4eを通じて燃焼ガスは一次熱交換器3から二次熱交換器4へ流れることが可能である。この実施の形態では簡単化のために二次熱交換器4の底壁4dと一次熱交換器3の上壁とを共通のものとしたが、一次熱交換器3と二次熱交換器4の間に排気集合部材を接続してもよい。
また上壁4gには開口部4hが設けられており、この開口部4hにより二次熱交換器4の伝熱管4bが配置された空間と排気ボックス5の内部空間とが連通している。図2の白矢印で示すように、開口部4hを通じて燃焼ガスは二次熱交換器4から排気ボックス5の内部空間内へ流れることが可能である。
ドレン排出口4aは側壁4cまたは底壁4dに設けられている。このドレン排出口4aは、側壁4c、底壁4dおよび上壁4gによって取り囲まれた空間の最も低い位置(給湯装置の設置状態において鉛直方向の最も下側の位置)であって伝熱管4bの最下端部よりも下側に開口している。これにより二次熱交換器4で生じたドレンを、図2および図3において黒矢印で示すように底壁4dおよび側壁4cを伝ってドレン排出口4aに導くことが可能である。
主に図2および図4を参照して、排気ボックス5は二次熱交換器4とファン6との間の燃焼ガスの流れの経路を構成している。この排気ボックス5により、二次熱交換器4で熱交換された後の燃焼ガスをファン6へ導くことが可能である。排気ボックス5は、二次熱交換器4に取り付けられており、二次熱交換器4よりも燃焼ガスの流れの下流側に位置している。
排気ボックス5は、ボックス本体5aと、ファン接続部5bとを主に有している。ボックス本体5aの内部空間は、二次熱交換器4の開口部4hを通じて二次熱交換器4の伝熱管4bが配置された内部空間に連通している。ボックス本体5aのたとえば側部には、ボックス本体5aの内部空間に通じるように空気吸込み口5aaが設けられている。またボックス本体5aの上部から突き出すようにファン接続部5bが設けられている。このファン接続部5bはたとえば筒形状を有しており、その内部空間5baはボックス本体5aの内部空間と連通している。
主に図1および図2を参照して、ファン6は、二次熱交換器4を経由した(二次熱交換器4で熱交換された)後の燃焼ガスを吸引して給湯装置1の外部へ排出するためのものであり、給湯装置1の外部に位置する排気管7に接続されている。
このファン6は、排気ボックス5および二次熱交換器4よりも燃焼ガスの流れの下流側に位置している。つまり給湯装置1においては、バーナ2で生じた燃焼ガスの流れの上流側から下流側に沿って、バーナ2、一次熱交換器3、二次熱交換器4、排気ボックス5およびファン6の順で並んでいる。この配置において上記のとおりファン6で燃焼ガスを吸引して排気するため、本実施の形態の給湯装置1は排気吸引燃焼方式の給湯装置となっている。
ファン6は、羽根6aと、ファンケース6bと、駆動源6cと、回転軸6dとを主に有している。ファンケース6bは、ファンケース6bの内部空間とファン接続部5bの内部空間とが連通するように排気ボックス5のファン接続部5bに取り付けられている。これにより図2および図4の白矢印で示すように排気ボックス5のボックス本体5aからファン接続部5bを通じてファンケース6b内に燃焼ガスを吸引することが可能である。
主に図4を参照して、羽根6aは、ファンケース6bの内部に配置されている。この羽根6aは、駆動源6cに回転軸6dを介在して接続されている。これにより羽根6aは駆動源6cから駆動力を与えられることにより回転軸6dを中心として回転可能である。羽根6aの回転により、排気ボックス5内の燃焼ガスが羽根6aの内周側から吸引されて羽根6aの外周側へ排出可能である。
主に図1を参照して、排気管7は給湯装置1の外部に配置されており、かつファンケース6bの外周側に接続されている。このため、ファン6の羽根6aによって外周側へ排出された燃焼ガスを、排気管7を通じて給湯装置1の外部へ排出することが可能である。
主に図2を参照して、上記によりバーナ2で生じた燃焼ガスは、上記の羽根6aの回転によってファン6に吸引されることで、図中白矢印で示すように一次熱交換器3、二次熱交換器4および排気ボックス5をこの順で通過した後にファン6に達して給湯装置1の外部へ排気可能である。
主に図1を参照して、排水トラップ8は、ドレンで流路を水封可能な排水トラップであり、二次熱交換器4で生じたドレンを貯留するためのものである。排水トラップ8は、曲り部8aと曲り部8bとを主に有しており、排水トラップ8の一端は後述する配管10によって二次熱交換器4と通じており、排水トラップ8の他端は外部と連通するドレン排出用配管15と接続されている。
二次熱交換器4から排水トラップ8に流入したドレンは、曲り部8aの下部から貯留されていく。その水位が曲り部8aの下部に位置する流路の上端よりも高くなると、ドレン排出用配管15から排水トラップ8の曲り部8bに入った外気(給湯装置1の外部の空気)は、排水トラップ8の曲り部8aを通ってドレン排出管10a側に流れることができなくなる。この排水トラップ8の水封構造により、外気が排水トラップ8を抜けて給湯装置1の内部に入ることが防止される。
主に図1および図5を参照して、排水トラップ8と二次熱交換器4のドレン排出口4aとはドレン排出管10a、排水トラップ接続管10c、三方配管継手(配管接続部)10dにより接続されている。ドレン排出管10aの一方端は二次熱交換器4のドレン排出口4aに接続されており、他方端は三方配管継手10dの開口部10daに接続されている。また排水トラップ接続管10cの一方端は三方配管継手10dの開口部10dcに接続されており、他方端は排水トラップ8に接続されている。
また排気ボックス5の空気吸込み口5aaには空気通路管10bの一方端が接続されており、空気通路管10bの他方端は三方配管継手10dの開口部10dbに接続されている。
三方配管継手10dは、合流領域10d1(図5中のハッチングで示す領域)と、ドレン排出管10a側の流路10da1と、空気通路管10db側の流路10db1と、排水トラップ接続管10dc側の流路10dc1とを有している。ドレン排出管10a側の流路10da1は、合流領域10d1と開口部10daとの間の三方配管継手10d内の流路である。空気通路管10b側の流路10db1は、合流領域10d1と開口部10dbとの間の三方配管継手10d内の流路である。排水トラップ接続管10c側の流路10dc1は、合流領域10d1と開口部10dcとの間の三方配管継手10d内の流路である。
このように三方配管継手10dは、空気通路管10bとドレン排出管10aとを合流させる流路(空気通路管側の流路10db1、ドレン排出管側の流路10da1、および合流領域10d1)を有し、かつ合流後の流路を給湯装置1の外部と通じる排出経路に接続させる流路(排水トラップ接続管10c側の流路10dc1)を有している。本実施の形態において、排出経路は主に排水トラップ接続管10c、ドレン排出用配管15および排水トラップ8により構成される。また合流領域10d1は、3つの流路(ドレン排出管10a側の流路10da1、空気通路管10b側の流路10db1、および排水トラップ接続管10c側の流路10dc1)が合流する領域である。
上記のドレン排出管10a、空気通路管10b、排水トラップ接続管10cおよび三方配管継手10dによって、排水トラップ8から分岐して二次熱交換器4と排気ボックス5との双方に接続されたドレン・空気用の配管10が構成される。
また図5に示すように、三方配管継手10dは、合流領域10d1の高さ位置Cが、空気吸込み口5aaの高さ位置Bよりも低くなる位置に配置されている。また、三方配管継手10dは、高さ位置Cと高さ位置Bとの高低差による水頭圧(mmH2O)が空気吸込み口5aaに生じる最大負圧(mmH2O)の絶対値Fよりも大きくなるような高さ位置に配置されている。
ここで「合流領域10d1の高さ位置C」は、ドレン排出管10a側の流路10da1が合流領域10d1に接続される箇所の最下端の高さ位置および空気通路管10b側の流路10db1が合流領域10d1に接続される箇所の最下端の高さ位置のいずれか低い方の高さ位置を意味する。本実施の形態では、図1および図5に示すように、ドレン排出管10a側の流路10da1の下端のほうが排水トラップ接続管10c側の流路10dc1の上端との最短距離が小さい(かつドレン排出管10a側の流路10da1の下端と排水トラップ接続管10c側の流路10dc1の上端とが一致している)。このため本実施の形態において、高さ位置Cは、ドレン排出管10a側の流路10da1の下端となる。また「空気吸込み口5aaの高さ位置B」は、空気吸込み口5aaの下端の高さ位置である。
なお、配管10における各部の「上端」および「下端」とは、その高さ位置がファン6の高さ位置により近い端部が「上端」となり、ファン6の高さ位置により遠い端部が「下端」となる。また給湯装置1の設置状態において、鉛直方向の最も下側の位置が「下端」に相当し、最も上側の位置が「上端」に相当する。
ドレン排出管10aはドレン排出口4aから三方配管継手10dまで水平か下り勾配になっていることが好ましい。これにより、二次熱交換器4からドレンを排水トラップ8側へスムーズに流すことが可能となる。
主に図1および図2を参照して、給水配管12は二次熱交換器4の伝熱管4bの一方端に接続されており、出湯配管13は一次熱交換器3の伝熱管3aの一方端に接続されている。また、一次熱交換器3の伝熱管3aの他方端と二次熱交換器4の伝熱管4bの他方端とは接続配管14により相互に接続されている。上記のガス供給配管11、給水配管12および出湯配管13の各々は、たとえば給湯装置1の上部において外部に通じている。またバーナ2、一次熱交換器3、二次熱交換器4、排気ボックス5、ファン6、排水トラップ8などは、筺体9内に配置されている。
次に、本実施の形態の給湯装置の作用効果について図6に示す比較例と対比して説明する。
図6に示す比較例の給湯装置においては、排水トラップ8と二次熱交換器4とを互いに接続するドレン排出用の配管10は分岐していない。なお、これ以外の比較例の構成においては上述した本実施の形態の給湯装置の構成をほぼ同じであるため、その説明を繰り返さない。
この比較例の給湯装置は、図1に示す本実施の形態の給湯装置1と同様、排気吸引燃焼方式の給湯装置である。この方式の給湯装置においては、図1に示すように潜熱を回収するための二次熱交換器4よりもファン6が燃焼ガスの流れの下流側に配置されている。このため、排水トラップ8が水封されるまでの期間内においてはドレン排出経路(ドレン排出用配管15、排水トラップ8、排水トラップ接続管10c、三方配管継手10dおよびドレン排出管10a)を通じて給湯装置の外部の空気が二次熱交換器4の内部に取り込まれる。
このため、図6に示すようにドレン排出用の配管10内における上記の空気の流れる方向(図中白矢印)はドレンの排出方向(図中黒矢印)と逆方向である。よって、ドレンはドレン排出用の配管10を通じて排水トラップ8側へ排出されにくくなり、二次熱交換器4内に滞留しやすくなる。
仮に二次熱交換器4内のドレンの排出が進まずに貯留された場合、図2に示す開口部4eを通じて一次熱交換器3側へドレンがあふれ出ることも考えられる。この場合、あふれ出たドレンによって一次熱交換器3のたとえば銅よりなる伝熱管3aが腐食したり、たとえばステンレスよりなるバーナ2が腐食したり、バーナ2の火炎が消えるなどのおそれがある。
これに対して本実施の形態の給湯装置1によれば、図6に示すように一方端が排水トラップ8に接続された配管10の他方端が分岐して、二次熱交換器4と排気ボックス5との双方に接続されている。このため、給湯装置1の外部から給湯装置1の内部に入る空気は二次熱交換器4側へ入る空気と、排気ボックス5側へ入る空気とに分流する。これにより、二次熱交換器4側へ入る空気(ドレン排出管10aを通る空気)の流量を排水トラップ接続管10c内の流量よりも減らすことができる。よって、ドレンをドレン排出管10aを通じて排水トラップ8側へ排出することが容易となり、ドレンが二次熱交換器4内に滞留しにくくなる。
また図1に示すように空気通路管10bが排気ボックス5に接続されている。この排気ボックス5は二次熱交換器4よりもファン6の近くに位置している。このため、排気ボックス5の内部空間においては二次熱交換器4の内部空間よりも負圧が高くなる。これにより二次熱交換器4側へ入る空気の量を排気ボックス5側へ入る空気の量よりも少なくすることができるため、ドレンをドレン排出管10aから排出することがさらに容易となり、ドレンが二次熱交換器4内に滞留しにくくなる。
ところで、空気通路管10bは排気ボックス5に接続されているため、合流領域10d1、空気通路管10b側の流路10db1には、負圧が生じている。この負圧は、ドレンを合流領域から空気吸込み口5aaへ引き込もうとする力となる。
このため、二次熱交換器4内で発生したドレンがドレン排出管10aから排出されて合流領域10d1に到達たとしても、上記のような負圧により、ドレンが排水トラップ接続管10c側に流れることができずに、合流領域10d1、空気通路管10b側の流路10db1、空気通路管10b内、つまり配管10のうちの高さ位置Bと高さ位置Cとの間の流路に滞留する場合がある。
上記の場合、ドレン排出管10aからドレンが排出され続けることにより、高さ位置Bと高さ位置Cとの間の流路に滞留するドレンの量が増加していくことになる。この滞留するドレンの水位(上端の位置)が空気吸込み口5aaの高さ位置Bに到達してしまうと、ドレンが空気吸込み口5aaから排気ボックス5内に流入するおそれがある。排気ボックス5内に多量のドレンが導入された場合、ファン6の送風能力が低下したり、ファン6を腐食させたりするといった問題が生じる。
これに対して本実施の形態の給湯装置1によれば、図5に示すように三方配管継手10dは、高さ位置Cが空気吸込み口5aaの高さ位置Bよりも低くなる位置に配置される。、また三方配管継手10dは、高さ位置Cと高さ位置Bとの高低差による水頭圧(mmH2O)が、空気吸込み口5aaに生じる最大負圧(mmH2O)の絶対値Fよりも大きくなるように配置される。
これにより配管10のうちの高さ位置Bと高さ位置Cとの間の流路に留まるドレンに関し、その水位が空気吸込み口5aaの高さ位置Bに到達する前に、ドレン自身の水頭圧が絶対値Fよりも大きくなる。ドレン自身の水頭圧が絶対値Fよりも大きい場合、ドレンは排水トラップ接続管10c側の流路に容易に流れることができる。このため、本実施の形態に係る給湯装置1によれば、ドレンが空気吸込み口5aaから排気ボックス5内に流入することを抑制しつつ、ドレンを排水トラップ8側に排出されやすくすることができ、もってドレンを外部に円滑に排出することができる。
特に、排水トラップ8の水封構造が水封された後は、水封構造が水封される前とは異なり、図5に示す配管10のうちの高さ位置Bと高さ位置Cとの間の流路に対して図中下方から図中上方に向かう空気の流れ(図中白矢印で示す)がないため、さらにドレンの排出が容易となる。
また本実施の形態の給湯装置1において、高さ位置Cが、ドレン排出口4aの高さ位置Aよりも低く、かつ高さ位置Cと高さ位置Aとの高低差による水頭圧が、空気吸込み口5aaに生じる最大負圧の絶対値Fよりも大きくなる位置に配置されることが好ましい。ここで「ドレン排出口4aの高さ位置A」は、ドレン排出口4aの下端の高さ位置である。これは次の理由による。
排水トラップ8が水封される前の給湯装置1において、ドレン排出口4aからドレン排出管10aに排出されたドレンが、排水トラップ接続管10c側に流れずにドレン排出管10a側の流路10da1やドレン排出管10a、つまり配管10のうち高さ位置Aと高さ位置Cとの間の流路に滞留する場合がある。これは、ドレン排出管10a内にも負圧が生じているためである。この負圧は、高さ位置Aと高さ位置Cとの間の流路のドレンをドレン排出口4a側へ流そうとする力となる。
上記の場合、ドレン排出口4aからドレンが流れ続けることにより、高さ位置Aと高さ位置Cとの間の流路に滞留するドレンの量が増加していくことになる。この滞留するドレンの水位(上端の位置)がドレン排出口4aの高さ位置Aに到達してしまうと、ドレンがドレン排出口4aから二次熱交換器4内に流入するおそれがある。
これに対し、高さ位置Cが高さ位置Aよりも低く、かつ高さ位置Cと高さ位置Aとの高低差による水頭圧が、空気吸込み口5aaに生じる最大負圧の絶対値Fよりも大きくなる位置に三方配管継手10dが配置されている場合、ドレンの水位が高さ位置Aに到達する前に、ドレン排出管10a内の滞留しているドレンの水頭圧が、ドレン排出口4aに生じる最大負圧の絶対値よりも大きくなる。これは、二次熱交換器4が排気ボックス5よりも上流側に位置することにより、ドレン排出口4aに生じる最大負圧の絶対値は空気吸込み口5aaに生じる最大負圧の絶対値Fよりも小さくなるためである。
これにより配管10のうちの高さ位置Aと高さ位置Cとの間の流路に溜まるドレンに関し、その水位がドレン排出口4aの高さ位置Aに到達する前に、ドレン自身の水頭圧がドレン排出管10a内に生じている負圧の絶対値よりも大きくなる。ドレン自身の水頭圧がドレン排出管10a内に生じている負圧よりも大きい場合、ドレンは排水トラップ接続管10c側の流路に容易に流れることができる。したがって、二次熱交換4内にドレンが逆流するのを抑制することができ、もって、ドレンを外部に円滑に排出することができる。
上記の場合においても、水封構造が水封された後は、水封構造が水封される前とは異なり、図5に示す配管10のうちの高さ位置Aと高さ位置Cとの間の流路に対して図中下方から図中上方に向かう空気の流れがないため、さらにドレンの排出が容易となる。
通常、ファン吐出圧は60mmH2O〜100mmH2O(588.4Pa〜980.665Pa)である。このため、空気吸込み口5aaに生じる最大負圧の絶対値Fもまた60mmH2O〜100mmH2Oまたはそれより小さくなる。このため高さ位置Bと高さ位置Cとの高低差は60mmH2O以上であることが好ましく、高さ位置Aと高さ位置Cとの高低差もまた60mmH2O以上であることが好ましい。また、排気経路の異常等が起こる場合を想定すると、これらの高低差は100mmH2O以上であることがさらに好ましい。
また図1に示す構成では、空気通路管10bは排気ボックス5のボックス本体5aに接続された構成について説明したが、空気通路管10bは二次熱交換器4からファン6に達するまでの燃焼ガスの流れの経路に接続されていればよい。ここで「二次熱交換器4からファン6に達するまでの燃焼ガスの流れの経路」とは、図1において二次熱交換器4および排気ボックス5内において燃焼ガスが流れる空間を意味する。また二次熱交換器4からファン6に達するまでの間に排気ボックス5以外の構成部材がある場合には、その構成部材内の燃焼ガスが流れる空間も含むものである。
たとえば図7に示すように、空気通路管10bは、排気ボックス5のボックス本体5aではなくファン接続部5bに接続されていてもよい。このように空気通路管10bを排気ボックス5のファン接続部5bに接続することにより、ボックス本体5aに接続する場合よりもファン6に近い位置で排気ボックス5に接続することができる。
これにより、ボックス本体5aに接続する場合よりも負圧の大きい領域内に空気通路管10bを開口させることができる。このため、排水トラップ8が水封されるまでの期間内において、ドレン排出管10aおよび空気通路管10bのうち空気通路管10bを通る空気の流量を多くでき、ドレン排出管10aを通る空気の流量をさらに減らすことができる。よってドレンをドレン排出管10aから排出することがさらに容易となる。
また図4を参照して、空気通路管10bは、二次熱交換器4からファン6に達するまでの燃焼ガスの流れの経路において、羽根6aに対して回転軸6dの軸線S−Sの方向に対向する領域R(図中ハッチングを入れた領域)内に開口していることが好ましい。具体的には、ファン接続部5bの内部空間5baと、その内部空間5baを回転軸6dの軸線S−Sの方向に延長した領域とを合わせた領域R(図中斜線のハッチングを入れた領域)内に空気通路管10bが開口していることが好ましい。
この領域Rにおいては、燃焼ガスを吸引するファン6の羽根6aに対向する領域であるため、負圧が大きくなる領域である。このため、この領域Rに空気通路管10bが開口していることにより、空気通路管10bを通って給湯装置1内に取り込まれる空気の流量を多くでき、その分、ドレン排出管10aを通る空気の流量をさらに減らすことができる。よって排水トラップ8が水封されるまでの期間内において、ドレンを排水トラップ接続管10cから排出することがさらに容易となる。
たとえば図7に示すように空気通路管10bを排気ボックス5のファン接続部5bに接続することにより、空気通路管10bを上記の負圧の大きくなる領域Rに開口することができる。
また本実施の形態では、上記のように排気吸引燃焼方式の給湯装置1が用いられているため排気管7の径が小さくなった場合でも、いわゆる排気押込み方式の給湯装置に対してバーナ2による燃焼動作を安定させることができる。以下、そのことについて説明する。
いわゆる排気押込み方式の給湯装置においては、燃焼ガスの流れの上流側から下流側に向かって、ファン、バーナ、一次熱交換器および二次熱交換器がこの順で配置されている。つまりバーナで生じた燃焼ガスがファンにより一次熱交換器および二次熱交換器を通って給湯装置の外部の排気管に流し込まれる。
ファンから押し出された燃焼ガスは、排気管に到達する前に一次熱交換器および二次熱交換器による流路抵抗を受けるため、排気管直前における燃焼ガスの送風圧はこの流路抵抗分だけ低くなる。このため、径の小さい排気管内に燃焼ガスを押し込むためにはファンによる送風圧を高くする必要がある。しかしファンの送風圧を高くすると、バーナケース内の内圧が高くなる。このため、バーナに供給される燃料ガスの供給圧が低い場合、燃焼動作が安定しなくなる。
これに対して本実施の形態の排気吸引燃焼方式によれば、燃焼ガスの流れの上流側から下流側に向かって、バーナ2、一次熱交換器3、二次熱交換器4およびファン6がこの順で配置されている。この方式では、ファン6よりも上流側では負圧となるため、排気管7の径が小さくなった場合でもバーナケース内の内圧を低く維持できることにより、バーナ2に供給される燃料ガスの供給圧が低くても燃焼動作を安定させることができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。