以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
2.第2の実施の形態
3.第3の実施の形態
4.第4の実施の形態
<1.第1の実施の形態>
[撮像装置の外観と撮像画像]
図1は、本発明を適用した撮像装置の一実施の形態としてのデジタルカメラの外観の例を示している。
図1のデジタルカメラ11は、メインレンズ31およびサブレンズ32の2つの光学系を備えている。メインレンズ31は、いわゆる標準レンズである。サブレンズ32は、広角レンズ(例えば、魚眼レンズ等)であり、その画角は、メインレンズ31と比較して十分広い。
図2は、デジタルカメラ11が撮像する撮像画像の表示例を示している。
図2に示されるように、デジタルカメラ11は、サブレンズ32を介して撮像した画像(サブ画像)に対して、歪補正等の補正処理を行い、所定の画像処理(画像をぼかす、輝度や彩度を下げる等)を施す。また、デジタルカメラ11は、メインレンズ31を介して撮像した画像(メイン画像)に対して、所定の画像処理(輝度や彩度を上げる等)を施す。そして、デジタルカメラ11は、メイン画像およびサブ画像の位置および画角を調整し、メイン画像とサブ画像とを合成した画像(合成画像)を、デジタルカメラ11の背面に設けられた、図示せぬ表示部に、例えば、図2に示されるように表示する。ユーザは、この図示せぬ表示部の表示内容を確認することで、撮像しようとする画角を認識することができる。
図2に示される合成画像は、所定の補正と画像処理が施されたサブ画像(広角画像)と、メイン画像(標準画像)とが、それぞれの画像における被写体の位置が一致するように合成されている。
[デジタルカメラの機能構成例]
次に、図3のブロック図を参照して、デジタルカメラ11の機能構成例について説明する。
図3のデジタルカメラ11は、メインレンズ31、サブレンズ32、撮像部51、歪補正部52、光軸補正部53、画像処理部54、撮像部55、画像処理部56、合成部57、および表示部58から構成される。
メインレンズ31およびサブレンズ32は、図1を参照して説明したものと同一であるので、その説明は省略する。
撮像部51は、撮像素子やA/D(Analog/Digital)変換部を含むように構成される。撮像部51は、サブレンズ32からの光を受光して光電変換することにより被写体を撮像し、得られたアナログの画像信号をA/D変換する。撮像部51は、A/D変換の結果得られたデジタルの画像データ(広角画像)を歪補正部52に供給する。
歪補正部52は、撮像部51からの広角画像(サブ画像)におけるサブレンズ32の歪を補正し、補正したサブ画像を光軸補正部53に供給する。
光軸補正部53は、サブレンズ32の光軸をメインレンズ31の光軸に合わせて、歪補正部52からのサブ画像において、サブ画像に合成されるメイン画像の位置を決定し、その位置を示す位置情報とともに、サブ画像を画像処理部54に供給する。
画像処理部54は、光軸補正部53からのサブ画像に対して、メイン画像より画質を下げるように所定の画像処理(ピクチャ、明るさ、色の濃さ、色合い、シャープネス等の調整)を施し、位置情報とともに、合成部57に供給する。
ここで、図4乃至図6のブロック図を参照して、3種類の画像処理部54の構成例について説明する。
図4は、第1の構成例であり、サブ画像にぼかし処理を施す画像処理部54の構成例を示している。
図4の画像処理部54は、RGB/YUV変換部61,LPF(Low Pass Filter)62、およびYUV/RGB変換部63から構成される。
RGB/YUV変換部61は、光軸補正部53から供給されたサブ画像としてのRGB信号を、以下の式(1)に基づいてYUV信号に変換する。
RGB/YUV変換部61は、変換したYUV信号のうちのY信号(輝度信号)をLPF62に供給するとともに、U,V信号(色差信号)をYUV/RGB変換部63に供給する。
LPF62は、RGB/YUV変換部61から供給されたY信号を平滑化処理することにより、高周波成分を除去し、YUV/RGB変換部63に供給する。
YUV/RGB変換部63は、LPF62からのY信号(Y')、および、RGB/YUV変換部61からのU,V信号を、以下の式(2)に基づいてRGB信号に変換する。
YUV/RGB変換部63は、変換したRGB信号(R’,G’,B’)をサブ画像として合成部57に供給する。
以上の構成により、画像処理部54は、サブ画像にぼかし処理を施すことができる。
図5は、第2の構成例であり、サブ画像の彩度を下げる画像処理部54の構成例を示している。
図5の画像処理部54は、RGB/HSV変換部71,彩度調整部(S調整部)72、およびHSV/RGB変換部73から構成される。
RGB/HSV変換部71は、光軸補正部53から供給されたサブ画像としてのRGB信号を、以下の式(3)に基づいてHSV信号に変換する。
式(3)において、MAXは、R,G,Bのうちの最大値を、MINは、R,G,Bのうちの最小値をそれぞれ示している。RGB/HSV変換部71は、変換したHSV信号のうちのS信号(彩度信号)をS調整部72に供給するとともに、H信号(色相信号)およびV信号(明度信号)をHSV/RGB変換部73に供給する。
S調整部72は、RGB/HSV変換部71から供給されたS信号に、所定の係数α(0<α<1)を乗じて、HSV/RGB変換部73に供給する。
HSV/RGB変換部73は、S調整部72からのS信号(S'=αS)、および、RGB/HSV変換部71からのH,V信号をRGB信号に変換する。
すなわち、Hi=[H/60] mod 6([x]:x以下の最大の整数、A mod B:A/Bの剰余),f=(H/60)-Hi,p=V(1-S),q=V(1-fS),t=V(1-(1-f)S)としたときに、HSV信号は、以下の式(4)に基づいて、RGB信号に変換される。
HSV/RGB変換部73は、変換したRGB信号(R’,G’,B’)をサブ画像として合成部57に供給する。
以上の構成により、画像処理部54は、サブ画像の彩度を下げることができる。
図6は、第3の構成例であり、サブ画像の明度を下げる画像処理部54の構成例を示している。
図6の画像処理部54は、RGB/HSV変換部81,明度調整部(V調整部)82、およびHSV/RGB変換部83から構成される。
RGB/HSV変換部81は、光軸補正部53から供給されたサブ画像としてのRGB信号を、上述した式(3)に基づいてHSV信号に変換し、変換したHSV信号のうちのV信号をV調整部82に供給するとともに、H信号およびS信号をHSV/RGB変換部83に供給する。
V調整部82は、RGB/HSV変換部81から供給されたV信号に、所定の係数β(0<β<1)を乗じて、HSV/RGB変換部83に供給する。
HSV/RGB変換部83は、V調整部82からのV信号(V'=βV)、および、RGB/HSV変換部81からのH,S信号を上述した式(4)に基づいてRGB信号に変換し、変換したRGB信号(R’,G’,B’)をサブ画像として合成部57に供給する。
以上の構成により、画像処理部54は、サブ画像の明度を下げることができる。
このようにして、図4乃至図6を参照して説明してきた3種類の画像処理部54は、いずれにおいても、サブ画像の画質をメイン画像の画質より下げることができる。
図3の説明に戻り、撮像部55は、撮像素子やA/D変換部を含むように構成される。撮像部55は、メインレンズ31からの光を受光して光電変換することにより被写体を撮像し、得られたアナログの画像信号をA/D変換する。撮像部55は、A/D変換の結果得られたデジタルの画像データ(標準画像)を画像処理部56に供給する。
画像処理部56は、撮像部55からのメイン画像(標準画像)に対して、サブ画像より画質を上げるように所定の画像処理(ピクチャ、明るさ、色の濃さ、色合い、シャープネス等の調整)を施し、合成部57に供給する。
ここで、図7乃至図9のブロック図を参照して、3種類の画像処理部56の構成例について説明する。
図7は、第1の構成例であり、メイン画像の形や輪郭を強調する強調処理を施す画像処理部56の構成例を示している。
図7の画像処理部56は、RGB/YUV変換部91,HPF(High Pass Filter)92、増幅器93、加算器94、およびYUV/RGB変換部95から構成される。
RGB/YUV変換部91は、撮像部55からのメイン画像としてのRGB信号を、上述した式(1)に基づいてYUV信号に変換し、変換したYUV信号のうちのY信号をHPF92および加算器94に供給するとともに、U,V信号をYUV/RGB変換部95に供給する。
HPF92は、RGB/YUV変換部91から供給されたY信号の高周波成分を取り出し、増幅器93に供給する。増幅器93は、HPF92からのY信号の高周波成分をA(A>1)倍に増幅し、加算器94に供給する。加算器94は、RGB/YUV変換部91からのY信号に、増幅器93からの増幅されたY信号の高周波成分を加算して、YUV/RGB変換部95に供給する。
YUV/RGB変換部95は、加算器94からのY信号(Y')、および、RGB/YUV変換部91からのU,V信号を、上述した式(2)に基づいてRGB信号に変換し、変換したRGB信号(R’,G’,B’)をメイン画像として合成部57に供給する。
以上の構成により、画像処理部56は、メイン画像に強調処理を施すことができる。
図8は、第2の構成例であり、メイン画像の彩度を上げる画像処理部56の構成例を示している。
図8の画像処理部56は、RGB/HSV変換部101,彩度調整部(S調整部)102、およびHSV/RGB変換部103から構成される。なお、RGB/HSV変換部101およびHSV/RGB変換部103は、図5の画像処理部54に設けられたRGB/HSV変換部71およびHSV/RGB変換部73と同様の機能を備えるので、その説明は省略する。
すなわち、S調整部102は、RGB/HSV変換部101から供給されたS信号に、所定の係数α(α≧1)を乗じて、HSV/RGB変換部103に供給する。
以上の構成により、画像処理部56は、メイン画像の彩度を上げることができる。
図9は、第3の構成例であり、サブ画像の明度を上げる画像処理部56の構成例を示している。
図9の画像処理部56は、RGB/HSV変換部111,明度調整部(V調整部)112、およびHSV/RGB変換部113から構成される。なお、RGB/HSV変換部111およびHSV/RGB変換部113は、図6の画像処理部54に設けられたRGB/HSV変換部81およびHSV/RGB変換部83と同様の機能を備えるので、その説明は省略する。
すなわち、V調整部112は、RGB/HSV変換部111から供給されたV信号に、所定の係数β(β≧1)を乗じて、HSV/RGB変換部113に供給する。
以上の構成により、画像処理部56は、メイン画像の明度を上げることができる。
このようにして、図7乃至図9を参照して説明した3種類の画像処理部56は、いずれにおいても、メイン画像の画質をサブ画像の画質より上げることができる。
図3の説明に戻り、合成部57は、画像処理部54からの位置情報を基に、画像処理部56からのメイン画像と、画像処理部54からのサブ画像と合成し、合成した合成画像を表示部58に供給する。
表示部58は、合成部57からの合成画像を表示する。
[デジタルカメラの画像表示処理]
次に、図10のフローチャートを参照して、図3のデジタルカメラ11の画像表示処理について説明する。
ステップS11において、歪補正部52は、撮像部51からの広角画像(サブ画像)におけるサブレンズ32の歪を補正し、補正したサブ画像を光軸補正部53に供給する。
ここで、図11および図12を参照して、歪補正部52の歪補正処理について説明する。
図11は、歪補正によって得られる所定の大きさの補正画像における画素の画素位置(X,Y)と、歪補正される前のサブ画像(円周魚眼画像)における画素の画素位置(x,y)との対応を説明する図である。
図11に示されるように、円周魚眼画像の中心をxyz座標の原点として、円周魚眼画像を直径での切断面とした半径Rの上半球を考える。なお、補正画像は、点(0,0,R)で上半球に接しているものとする。
xyz座標の原点と点(X,Y,R)とを結んだ直線と、上半球の球面との交点を(x,y,z)とし、xyz座標の原点と交点(x,y,z)との距離をRとした場合、以下の式(5)が成り立つ。
すなわち、歪補正部52は、補正後の補正画像における点(X,Y)の画素値を、対応する補正前の円周魚眼画像における点(x,y)の画素値とすることで、補正画像を生成する。
なお、図12に示されるように、補正後の補正画像における点(X,Y)に対応する補正前の円周魚眼画像における点(x,y)が、画素の配置における格子点に位置しない場合、周囲の画素(画素値)a乃至dを補間して、点(x,y)の画素値としてもよい。補間の手法としては、バイリニア補間やバイキュービック補間等を用いる。図12において、バイリニア補間を用いた場合、点(x,y)における画素値pは、p=(1-t){(1-s)a+sb}+t{(1-s)c+sd}で求められる。
図10のフローチャートに戻り、ステップS12において、光軸補正部53は、サブレンズ32の光軸をメインレンズ31の光軸に合わせて、歪補正部52からのサブ画像において、サブ画像に合成されるメイン画像の位置を決定する。光軸補正部53は、その位置を示す位置情報と、サブ画像とを画像処理部54に供給する。
ここで、図13を参照して、光軸補正部53の光軸補正処理について説明する。
図13は、メインレンズ31の光軸の座標系(メインレンズ座標系)と、サブレンズ32の光軸の座標系(サブレンズ座標系)との関係を説明する図である。
図13において、ベクトルhは、デジタルカメラ11に配置されているメインレンズ31とサブレンズ32との、x-y平面における物理的な配置の差を表しており、回転量Rは、メインレンズ31の光軸と、サブレンズ32の光軸とのz軸を基準とした回転ずれ量を表している。すなわち、サブレンズ座標系におけるベクトルv'=(x',y',z')は、メインレンズ座標系におけるベクトルv=(x,y,z)を用いて、v'=Rv+hで表される。すなわち、サブレンズ座標系におけるベクトルv'は、ベクトルvを回転量Rだけ回転して、ベクトルhだけ平行移動したベクトルである。光軸補正部53は、この関係を用いて、サブレンズ32の光軸(座標)をメインレンズ31の光軸(座標)に合わせることができる。
さらに、光軸補正部53は、歪補正部52からのサブ画像の中心付近の領域内の画像と、その領域に対応する、撮像部55からのメイン画像とのマッチングを行うことで、サブ画像に合成されるメイン画像の位置を決定する。
図10のフローチャートに戻り、ステップS13において、画像処理部54は、光軸補正部53からのサブ画像に対して、メイン画像より画質を下げるように所定の画像処理を施す。より具体的には、画像処理部54は、サブ画像の輝度、彩度、または明度を下げる。画像処理部54は、画質を下げたサブ画像を、光軸補正部53からの位置情報とともに、合成部57に供給する。ここで、画像処理部54は、サブ画像の輝度信号だけを抽出して、白黒画像を合成部57に供給するようにもできる。
ステップS14において、画像処理部56は、撮像部55からのメイン画像に対して、サブ画像より画質を上げるように所定の画像処理を施す。より具体的には、画像処理部56は、メイン画像の輝度、彩度、または明度を上げる。画像処理部56は、画質を上げたメイン画像を、合成部57に供給する。ここで、画像処理部56は、メイン画像の周囲に所定の色や線種の枠を付加して、合成部57に供給するようにもできる。
ステップS15において、合成部57は、画像処理部54からの位置情報を基に、画像処理部56からのメイン画像と、画像処理部54からのサブ画像と合成し、合成した合成画像を表示部58に供給する。
このとき、メイン画像は、サブ画像よりその大きさが小さい必要があるが、これは、撮像部51および撮像部55のそれぞれに備えられている撮像素子の大きさによる。
例えば、撮像部51および撮像部55それぞれに備えられている撮像素子の大きさが同一であった場合、異なる範囲の画像が同一の大きさの画像として生成されてしまう。したがって、メイン画像とサブ画像とを合成するためには、いずれかの画像の大きさを調整する必要がある。
ここで、図14を参照して、合成部57の合成処理におけるメイン画像とサブ画像の、画像の大きさの調整について説明する。
図14Aに示されるように、xyz座標の原点をメインレンズ31の位置としたときの、原点と、メイン画像Imを写すための撮像部55の撮像素子との距離(z軸方向)をfmとする。
また、図14Bに示されるように、xyz座標の原点をサブレンズ32の位置としたときの、原点と、サブ画像Isを写すための撮像部51の撮像素子との距離(z軸方向)をfsとする。
そして、ある被写体距離Zを考えたとき、図14Cに示されるように、メイン画像Imの撮像部55の撮像素子に写る範囲をlmとし、サブ画像Isの撮像部51に写る範囲をlsとす
る。また、撮像部51および撮像部55それぞれの撮像素子の大きさをlとする。
このとき、図14Cの関係から、以下の式(6)が得られる。
また、式(6)の関係から、メイン画像Imの大きさとサブ画像Isの大きさの比lm/lsは、以下の式(7)で求められる。
このとき、合成部57は、メイン画像Imの大きさをfs/fm倍することで、メイン画像I'mを生成し、サブ画像Isと合成する。
このようにして、図14Dに示されるように、メイン画像I'mがサブ画像Isよりその大きさが小さい合成画像が生成される。
なお、撮像部51および撮像部55の撮像素子の大きさが、同一であった場合に限らず、メイン画像Imとサブ画像Isの大きさの関係が、図14Dのようにならない場合には、メイン画像Imの大きさを所定数倍することで、メイン画像の大きさを調整することができる。
図10のフローチャートに戻り、ステップS16において、表示部58は、合成部57からの合成画像を表示する。
以上の処理によれば、図2で示したような、画質を下げた広角画像の中央に、撮影したい画角の標準画像が合成された合成画像が表示されるので、ユーザは、2つの構図の画像を同時に、簡単に確認することができる。
また、ユーザは、撮影したい画角の以外の構図を広角画像において確認することができるので、よりよい構図を探索することもできる。
以上においては、撮影したい画角以外の画像は、その画質を下げて、構図のみを確認させる構成について説明したが、撮影したい画角以外の画像に含まれる物体を強調して表示させるようにしてもよい。
<2.第2の実施の形態>
[デジタルカメラの構成例]
図15は、撮影したい画角以外の画像における物体を表示させるようにしたデジタルカメラの構成例を示している。なお、図15のデジタルカメラ121において、図3のデジタルカメラ11に設けられたものと同様の機能を備える構成については、同一名称および同一符号を付するものとし、その説明は、適宜省略するものとする。
すなわち、図15のデジタルカメラ121において、図3のデジタルカメラ11と異なるのは、物体検出部151および画像処理部152を新たに設け、合成部57に代えて、合成部153を設けた点である。
図15の光軸補正部53は、光軸補正したサブ画像、および、サブ画像におけるメイン画像が合成される位置を示す位置情報を、画像処理部54に供給する他、光軸補正したサブ画像を、物体検出部151に供給する。
物体検出部151は、光軸補正部53からのサブ画像において、物体を検出し、検出した物体を含む領域の画像(検出物体画像)を、サブ画像における位置を表す位置情報とともに、画像処理部152に供給する。
ここで、図16および図17を参照して、2種類の物体検出部151の構成例について説明する。
図16は、物体検出部151の第1の構成例を示している。
図16の物体検出部151は、フレームバッファ161、フレーム間差分算出部162、閾値処理部163、およびラベリング部164から構成されている。
フレームバッファ161は、光軸補正部53からのサブ画像をフレーム毎に記憶する。
フレーム間差分算出部162は、フレームバッファ161に記憶されている1フレーム前のサブ画像It-1を読み出し、そのサブ画像It-1と、光軸補正部53からの現フレームのサブ画像Itとから、画素毎に、画素値の差であるフレーム間差分値を算出する。フレーム間差分算出部162は、算出結果を閾値処理部163に供給する。
閾値処理部163は、フレーム間差分算出部162からのフレーム間差分値に基づいて、所定の閾値以上の差分値がある画素を1とし、所定の閾値に満たない差分値の画素を0として2値化する。また、閾値処理部163は、2値化画像を所定のブロックに分割し、ブロック毎に、ブロック内の画素値が1の画素をカウントし、そのカウント数に基づいて、所定の閾値以上のカウント数があるブロックを動きブロックとして検出する。そして、閾値処理部163は、その検出結果(動きブロック)をラベリング部164に供給する。
ラベリング部164は、閾値処理部163より供給された動きブロックに基づいて、ラベリング処理を行う。さらに、ラベリング部164は、ラベリングされた各ブロックを外側から囲む矩形(外接枠)を検出し、その検出結果を、検出物体画像として、画像処理部152に供給する。
以上の構成により、物体検出部151は、サブ画像において、動きのある物体を検出することができる。
図17は、物体検出部151の第2の構成例を示している。
図17の物体検出部151は、顔検出部171から構成されている。
顔検出部171は、光軸補正部53からのサブ画像Itから顔を検出し、顔を検出する領域である顔検出領域の位置および大きさに基づいて顔画像を抽出して、検出物体画像として、画像処理部152に供給する。例えば、顔検出部171は、様々な方向を向いている顔の顔画像を学習し、サブ画像Itにおいて、その顔検出領域内と同じ大きさの領域の画像と、学習した顔画像とを比較し、顔であるか否かを評価することで、顔を検出する。
以上の構成により、物体検出部151は、サブ画像において、人の顔を検出することができる。
なお、上述の説明においては、物体検出部151は、動きのある物体、または、人(顔)を検出する構成としたが、これに限らず、所定のオブジェクト(自動車、建造物等)を検出するようにしてもよい。
図15の説明に戻り、画像処理部152は、物体検出部151からの検出物体画像に対して、サブ画像より画質を上げるように所定の画像処理(ピクチャ、明るさ、色の濃さ、色合い、シャープネス等の調整)を施し、位置情報とともに、合成部153に供給する。
ここで、図18のブロック図を参照して、画像処理部152の構成例について説明する。
図18は、検出物体画像に強調処理を施す画像処理部152の構成例を示している。
図18の画像処理部152は、RGB/YUV変換部181,HPF182、増幅器183、加算器184、およびYUV/RGB変換部185から構成される。なお、RGB/YUV変換部181,HPF182、増幅器183、加算器184、およびYUV/RGB変換部185は、図7の画像処理部56に設けられたRGB/YUV変換部91,HPF92、増幅器93、加算器94、およびYUV/RGB変換部95と同様の機能を備えるので、その説明は省略する。
以上の構成により、画像処理部152は、検出物体画像に強調処理を施すことができる。
図15の説明に戻り、合成部153は、画像処理部54からの位置情報を基に、画像処理部56からのメイン画像と、画像処理部54からのサブ画像とを合成する。さらに、合成部153は、画像処理部152からの位置情報を基に、合成した合成画像のサブ画像に対応する領域に、物体検出部151からの検出物体画像を合成し、その合成画像を表示部58に供給する。
[デジタルカメラの画像表示処理]
次に、図19のフローチャートを参照して、図15のデジタルカメラ121の画像表示処理について説明する。なお、図19のフローチャートにおけるステップS31乃至S33,S36の処理は、図10のフローチャートを参照して説明したステップS11乃至S14の処理と同様であるので、その説明は省略するものとする。
すなわち、ステップS34において、物体検出部151は、光軸補正部53からのサブ画像において、物体を検出する物体検出処理を行う。物体検出部151は、検出した物体を含む領域の画像(検出物体画像)を、サブ画像における位置を表す位置情報とともに、画像処理部152に供給する。
ここで、図20のフローチャートを参照して、ステップS34の物体検出処理に対応する、動きのある物体を検出する物体検出処理の例を説明する。
ステップS51において、フレーム間差分算出部162は、フレームバッファ161に記憶されている1フレーム前のサブ画像It-1を読み出し、そのサブ画像It-1と、光軸補正部53からの現フレームのサブ画像Itとから、画素毎に、フレーム間差分値を算出する。フレーム間差分算出部162は、算出結果を閾値処理部163に供給する。
ステップS52において、閾値処理部163は、フレーム間差分算出部162からのフレーム間差分値に基づいて、所定の閾値以上の差分値がある画素を1とし、所定の閾値に満たない差分値の画素を0として2値化する。また、閾値処理部163は、2値化画像を所定のブロックに分割し、ブロック毎に、ブロック内の画素値が1の画素をカウントし、そのカウント数に基づいて、所定の閾値以上のカウント数があるブロックを動きブロックとして検出する。そして、閾値処理部163は、その検出結果(動きブロック)をラベリング部164に供給する。
ステップS53において、ラベリング部164は、閾値処理部163より供給された動きブロックに基づいて、ラベリング処理を行う。さらに、ラベリング部164は、ラベリングされた各ブロックを外側から囲む矩形(外接枠)を検出し、その検出結果を、検出物体画像として、画像処理部152に供給する。
以上の処理によれば、サブ画像において、動きのある物体を検出することができる。
また、ステップS34の物体検出処理においては、人の顔を検出するようにしてもよい。
ここで、図21のフローチャートを参照して、人の顔を検出する物体検出処理の例を説明する。
ステップS61において、顔検出部171は、光軸補正部53からのサブ画像Itから顔を検出し、顔を検出する領域である顔検出領域の位置および大きさに基づいて顔画像を抽出して、検出物体画像として、画像処理部152に供給する。
以上の処理によれば、サブ画像において、人の顔を検出することができる。
なお、図20,21のフローチャートを参照して説明した物体検出処理は、デジタルカメラ121の物体検出部151を、図16,17で説明した構成を併せ持つようにすることで、並列に実行するようにできる。
図19のフローチャートに戻り、ステップS35において、画像処理部152は、物体検出部151からの検出物体画像に対して、サブ画像より画質を上げるように所定の画像処理を施し、位置情報とともに、合成部153に供給する。より具体的には、画像処理部152は、検出物体画像の輝度、彩度、または明度を上げる。画像処理部152は、画質を上げた検出物体画像を、合成部153に供給する。ここで、画像処理部152は、検出物体画像の周囲に所定の色の枠を付加して、合成部153に供給するようにもできる。
そして、ステップS37において、合成部153は、画像処理部54からの位置情報を基に、画像処理部56からのメイン画像と、画像処理部54からのサブ画像とを合成する。さらに、合成部153は、画像処理部152からの位置情報を基に、合成した合成画像のサブ画像に対応する領域に、物体検出部151からの検出物体画像を、例えば、図22で示されるように合成し、その合成画像を表示部58に供給する。
図22は、検出物体画像を強調表示させた合成画像の例を示している。
図22においては、図2で示された合成画像に加え、合成画像のサブ画像に対応する領域に、検出物体画像201および検出物体画像202が表示されている。
図22において、検出物体画像201は、動きのある物体としての犬の画像であり、図16の物体検出部151が、物体(犬)を検出し、画像処理部152が、検出物体画像201の画質を上げることで、合成画像において強調表示される。
また、検出物体画像202は、人の画像であり、図17の物体検出部151が、人の顔を検出し、画像処理部152が、検出物体画像202の画質を上げることで、合成画像において強調表示される。
このようにして、合成画像に、撮影したい画角(メイン画像)以外の画像に含まれる物体が強調された画像が強調表示されるので、予め焦点位置を固定した状態で静止画像を取り込む、いわゆる「置きピン」の撮影を行う場合に、メイン画像に、所望の被写体以外の物体がフレームインすることがあっても、その物体を合成画像上で確認できるので、シャッタのタイミングが計りやすくなる。
以上の処理によれば、画質を下げた広角画像の中央に、撮影したい画角の標準画像が合成されるとともに、撮影したい画角以外の画像に含まれる物体が強調された画像が合成された合成画像が表示される。したがって、ユーザは、2つの構図の画像を同時に、簡単に確認することができるとともに、撮影したい画角以外の画像に含まれる物体を確認することができる。
なお、上述した説明においては、サブ画像のみにおいて、物体を検出する構成としたが、メイン画像においても、物体を検出する構成としてもよい。このような構成とすることで、サブ画像とメイン画像とでまたがって表示されるような物体を検出することができるので、例えば、その物体を、サブ画像内では強調し、メイン画像内では画質を下げるようにすることが可能となる。これにより、メイン画像に、所望の被写体以外の物体がフレームインした場合であっても、その物体の表示を目立たなくさせることができる。
以上においては、ユーザが撮影したい画角を中心とした合成画像を表示する構成について説明したが、より適切な構図で撮影させる画角を合成画像に表示させるようにしてもよい。
<3.第3の実施の形態>
[デジタルカメラの構成例]
図23は、ユーザに、より適切な構図で撮影させる画角を合成画像に表示させるようにしたデジタルカメラの構成例を示している。なお、図23のデジタルカメラ221において、図15のデジタルカメラ121に設けられたものと同様の機能を備える構成については、同一名称および同一符号を付するものとし、その説明は、適宜省略するものとする。
すなわち、図23のデジタルカメラ221において、図15のデジタルカメラ121と異なるのは、構図解析部251、推奨構図抽出部252を新たに設け、画像処理部152および合成部153に代えて、画像処理部253および合成部254を設けた点である。
図23の物体検出部151は、光軸補正部53からのサブ画像において、物体を検出し、検出した物体の、サブ画像における位置を表す位置情報と、サブ画像とを、構図解析部251に供給する。
構図解析部251は、物体検出部151からのサブ画像と、サブ画像内の物体の位置情報とに基づいて、サブ画像内の物体の配置に対応した構図を解析し、決定する。例えば、構図解析部251は、複数の構図パターンを予め記憶しており、パターンマッチングにより、その構図パターンの中から、サブ画像内の物体の配置に最も近い構図パターンを選択し、サブ画像に対応した構図(推奨構図)とする。構図解析部251は、決定した構図を示す構図情報(例えば、構図の輪郭である矩形の左上の位置および右下の位置)を、サブ画像とともに、推奨構図抽出部252に供給する。
推奨構図抽出部252は、構図解析部251からの構図情報とサブ画像とに基づいて、サブ画像から推奨構図の画像(推奨構図画像)を抽出し、構図情報とともに、画像処理部253に供給する。
画像処理部253は、画像処理部56と同様の機能を備えており、推奨構図抽出部252からの推奨構図画像に対して、サブ画像より画質を上げるように所定の画像処理(ピクチャ、明るさ、色の濃さ、色合い、シャープネス等の調整)を施し、構図情報とともに、合成部254に供給する。
合成部254は、画像処理部54からの位置情報を基に、画像処理部56からのメイン画像と、画像処理部54からのサブ画像と合成する。さらに、合成部254は、画像処理部253からの構図情報を基に、合成した合成画像のサブ画像に対応する領域に、画像処理部253からの推奨構図画像を合成し、その合成画像を表示部58に供給する。
[デジタルカメラの画像表示処理]
次に、図24のフローチャートを参照して、図23のデジタルカメラ221の画像表示処理について説明する。なお、図24のフローチャートにおけるステップS71乃至S74,S78の処理は、図10のフローチャートを参照して説明したステップS31乃至S34,S36の処理と同様であるので、その説明は省略するものとする。
ステップS75において、構図解析部251は、物体検出部151からのサブ画像と、サブ画像内の物体の位置情報とに基づいて、サブ画像内の物体の配置に対応した構図を解析し、推奨構図を決定する。例えば、構図解析部251は、複数の構図パターンを予め記憶しており、パターンマッチングにより、その構図パターンの中から、サブ画像内の物体の配置に最も近い構図パターンを選択し、サブ画像に対応した推奨構図とする。構図解析部251は、決定した構図を示す構図情報を、サブ画像とともに、推奨構図抽出部252に供給する。
図25は、構図解析部251によって決定される推奨構図の例を示している。
図25に示される構図は、3分割構図と呼ばれる構図で、垂直線と水平線との交点(図中、塗りつぶしの丸印)のいずれかの位置に物体(被写体)をおくことで、バランスのとれた画像(写真)となることが知られている。なお、構図解析部251によって決定される構図(構図パターン)は、3分割構図に限らず、左右の広がりを持たせたいときに用いられる水平線構図、垂直方向を強調したいときに用いられる垂直線構図、同じものや似ているものが2つ並んでいるときに用いられる対比構図等、複数用意されているものとする。
図24のフローチャートに戻り、ステップS76において、推奨構図抽出部252は、構図解析部251からの構図情報とサブ画像とに基づいて、サブ画像から推奨構図画像を抽出し、構図情報とともに、画像処理部253に供給する。
ステップS77において、画像処理部253は、推奨構図抽出部252からの推奨構図画像に対して、サブ画像より画質を上げるように所定の画像処理を施し、構図情報とともに、合成部254に供給する。ここで、画像処理部253は、推奨構図画像の周囲に所定の色や線種の枠を付加して、合成部254に供給するようにもできる。
そして、ステップS79において、合成部254は、画像処理部54からの位置情報を基に、画像処理部56からのメイン画像と、画像処理部54からのサブ画像とを合成する。さらに、合成部254は、画像処理部253からの構図情報を基に、合成した合成画像のサブ画像に対応する領域に、画像処理部253からの推奨構図画像を、例えば、図26で示されるように合成し、その合成画像を表示部58に供給する。
図26は、推奨構図を表示させた合成画像の例を示している。
図26においては、図2で示された合成画像に加え、その合成画像上に、推奨構図が、その輪郭を表す破線によって示されている。
上述した説明では、推奨構図内の画像の画質は、サブ画像の画質より高くされるものとしたが、メイン画像(現在の画角)の一部と推奨構図の一部とが重なる場合、これらの区別がつかなく恐れがある。そこで、図26に示されるように、推奨構図として、単に、その輪郭(画角)を表示するのみとしてもよい。
以上の処理によれば、合成画像に推奨構図を表示させることができる。
このようにして、合成画像に、推奨構図を表示するようにしたので、ユーザは、撮影(記録)しようとしている構図より適切な構図を確認することが可能となる。
以上においては、より適切な構図を表示するようにした、2つの撮像系を備えるデジタルカメラについて説明してきたが、1つのみの撮像系を備えるデジタルカメラにおいても、より適切な構図を表示させるようにすることができる。
ところで、近年、ハイビジョンテレビジョン受像機の普及に伴い、デジタルカメラ等の撮像装置によりアスペクト比(横縦比)が16:9である画像を撮像、記録して、ハイビジョンテレビジョン受像機で鑑賞したいという要求が高まっている。
そのため、図27に示されるような、アスペクト比が4:3(または3:2)である固体撮像素子(以下、単に撮像素子という)301を有する一般的な撮像装置には、アスペクト比が4:3(または3:2)である画像を撮像する標準モードと、アスペクト比が16:9である画像を撮像するパノラマモードとを備えるものがある。標準モードにおいては、撮像素子301全体を使用してアスペクト比が4:3(または3:2)である画像が撮像、表示、記録される。一方、パノラマモードにおいては、図27の撮像素子301における上側の領域311および下側の領域312の撮像素子を使用せずに、アスペクト比が16:9となる矩形領域313の撮像素子を使用してアスペクト比が16:9である画像が撮像、表示、記録される。
上述のような撮像装置において、いわゆるスルー画を表示するための表示部の表示領域は、図27の撮像素子301全体に対応した画像を表示するように構成されている。したがって、パノラマモードでユーザが被写体を撮影する場合、スルー画が表示部に表示される表示領域は、図27の撮像素子301全体のうちの矩形領域313に対応した領域となる。
そこで、以降においては、上述したような撮像装置におけるパノラマモードで、ユーザが撮影しようとしている構図より適切な構図を表示するようにした、1つのみの撮像系を備えるデジタルカメラについて説明する。
<4.第4の実施の形態>
[デジタルカメラの機能構成例]
図28は、1つのみの撮像系を備えるデジタルカメラの構成例を示している。
図28のデジタルカメラ411は、レンズ431、撮像部432、画像処理部433、切出し部434、抽出部435、合成部436、表示制御部437、表示部438、操作入力部439、記録制御部440、および記録部441から構成される。
レンズ431は、図1のデジタルカメラのメインレンズ31と同様、いわゆる標準レンズである。
撮像部432は、アスペクト比が4:3である、例えばCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子やA/D変換部を含むように構成される。撮像部432は、レンズ431からの光を受光して光電変換することにより被写体を撮像し、得られたアナログの画像信号をA/D変換する。撮像部432は、A/D変換の結果得られたデジタルの画像データ(以下、撮像画像という)を画像処理部433に供給する。
画像処理部433は、撮像部432からの撮像画像に対して、所定の画像処理を施す。画像処理部433は、撮像モードが、アスペクト比が4:3である画像を撮像する標準モードである場合、画像処理を施した撮像画像を、表示制御部437および記録制御部440に供給する。また、画像処理部433は、撮像モードが、アスペクト比が16:9である画像を撮像するパノラマモードである場合、画像処理を施した撮像画像を、切出し部434および抽出部435に供給する。
切出し部434は、画像処理部433から撮像画像が供給されると、その撮像画像から、撮像画像とサイズの異なる、アスペクト比が16:9となる画像を切出す。切出し部434は、切出した画像(切出し画像)を、必要に応じて、合成部436、表示制御部437、または記録制御部440に供給する。
抽出部435は、画像処理部433から撮像画像が供給されると、その撮像画像において、注目度の高い被写体を検出し、その被写体を含み、撮像画像とサイズの異なる、アスペクト比が16:9となる領域の画像を抽出する。抽出部435は、抽出した画像(抽出画像)を、必要に応じて、合成部436または記録制御部440に供給する。
合成部436は、切出し部434からの切出し画像と、抽出部435からの抽出画像とを合成し、合成した合成画像を表示制御部437に供給する。
表示制御部437は、表示部438を制御し、各種の画像を表示部438に表示させる。例えば、表示制御部437は、撮像モードが標準モードである場合、画像処理部433から供給された撮像画像を、表示部438に表示させる。また、表示制御部437は、撮像モードがパノラマモードである場合、切出し部434から供給された切出し画像、または、合成部436から供給された合成画像を、表示部438に表示させる。
表示部438は、表示制御部437の制御の下、適宜、各種の画像を表示する。
操作入力部439は、デジタルカメラ411に対する指示を入力するためにユーザに操作される。操作入力部439は、例えば、各種の操作ボタン、リモコン、タッチパネル、マイクロホン等から構成され、ユーザからの操作を受け付け、その操作内容を示す信号(情報)を、デジタルカメラ411の各ブロックに供給する。
記録制御部440は、記録部441を制御する。例えば、記録制御部440は、撮像モードが標準モードである場合、操作入力部439からの信号に基づいて、画像処理部433からの撮像画像を、記録部441に記録させる。また、記録制御部440は、撮像モードがパノラマモードである場合、操作入力部439からの信号に基づいて、切出し部434からの切出し画像および抽出部435からの抽出画像を、記録部441に記録させる。さらに、記録制御部440は、操作入力部439からの信号に基づいて、記録部441から画像を読み出して、表示制御部437に供給する。
記録部441は、記録制御部440の制御の下、適宜、各種の画像を記録する。
[デジタルカメラの画像表示処理]
次に、図29のフローチャートを参照して、図28のデジタルカメラ411の画像表示処理について説明する。なお、図29の画像表示処理は、ユーザによって、操作入力部439が、撮像モードとしてパノラマモードを選択する旨の操作を受け付けた場合に開始される。
ステップS111において、撮像部432は、被写体を撮像する。より具体的には、撮像部432は、レンズ431からの光を受光して光電変換することにより被写体を撮像し、得られたアナログの画像信号をA/D変換し、得られた撮像画像を画像処理部433に供給する。
ステップS112において、画像処理部433は、撮像部432からの撮像画像に対して、デモザイク処理、ホワイトバランス調整処理、ガンマ補正処理等の画像処理を施し、切出し部434および抽出部435に供給する。
ステップS113において、切出し部434は、画像処理部433から供給された撮像画像から、アスペクト比が16:9となる画像を切出し、その結果得られた切出し画像を合成部436に供給する。より具体的には、切出し部434は、画像処理部433からの、アスペクト比が4:3である撮像画像において、図27で説明した撮像素子301における矩形領域313に対応する部分の画像を切出す。
例えば、図30の左側に示されるように、被写体が猫である撮像画像511(アスペクト比4:3)が得られた場合、切出し部434は、撮像画像511において、一点鎖線で示される領域の画像を切出し、図30の右側に示される切出し画像512を得る。図30に示されるように、アスペクト比が16:9である切出し画像512においては、被写体である猫は、全体的に上の方に位置しており、耳を含む頭頂部が欠けてしまっている。この切出し画像512は、パノラマモードで撮影、表示される画像として、決してよい構図の画像とは言えない。
上述したように、従来の、アスペクト比4:3である撮像素子を備えるデジタルカメラにおいて、ユーザがパノラマモードで被写体を撮影する場合、表示部に表示される画像は、撮像素子全体により撮像される撮像画像511に対して、図30の一点鎖線で示される領域の画像となる。このようなデジタルカメラを、その操作に慣れないユーザがパノラマモードで使用した場合、表示部には、図30の切出し画像512のような画像が表示され、記録されてしまう可能性がある。
図29のフローチャートに戻り、ステップS114において、抽出部435は、画像処理部433から供給された撮像画像において、注目度の高い被写体を検出する。抽出部435は、その被写体を含む、アスペクト比が16:9となる領域の画像を抽出し、その結果得られた抽出画像を合成部436に供給する。
より具体的には、抽出部435は、撮像画像の各領域における、輝度に関する情報を示す輝度情報マップ、色に関する情報を示す色情報マップ、エッジに関する情報を示すエッジ情報マップ、動きに関する情報を示す動き情報マップを生成する。
ここで、輝度情報マップ乃至動き情報マップのそれぞれを個々に区別する必要のない場合、単に情報マップと称するものとすると、これらの情報マップに含まれる情報は、被写体の含まれる領域により多く含まれる特徴の特徴量を示す情報とされる。そして、その情報が撮像画像の各領域に対応させて並べられたものが情報マップとされる。つまり、情報マップは、撮像画像の各領域における特徴量を示す情報であるといえる。
したがって、各情報マップにおける、より情報量の多い領域、つまり特徴量の多い領域に対応する撮像画像上の領域は、より被写体が含まれる可能性の高い領域となり、各情報マップにより撮像画像における被写体の含まれる領域を特定することができる。
そして、抽出部435は、輝度情報マップ、色情報マップ、エッジ情報マップ、および動き情報マップに基づいて、撮像画像において被写体の含まれる、アスペクト比が16:9となる領域を特定し、その領域の画像を抽出画像として抽出する。
例えば、図31の左側に示されるように、撮像画像511(アスペクト比4:3)が得られた場合、抽出部435は、撮像画像511において、被写体である猫を注目度の高い物体として検出し、その被写体を含むように、破線で示される領域(アスペクト比16:9)の画像を抽出して、図31の右側に示される抽出画像513を得る。図31に示されるように、被写体である猫は、アスペクト比が16:9である抽出画像513において、略中心に位置している。この抽出画像513は、パノラマモードで撮影、表示される画像として、よい構図の画像と言える。
なお、撮像画像から輝度、色、エッジなどの情報を抽出する方法は、例えば「Laurent Itti, Christof Koch, and Ernst Niebur, “A Model of Saliency-Based Visual Attention for Rapid Scene Analysis”」に詳細に記載されている。
図29のフローチャートに戻り、ステップS115において、合成部436は、被写体の位置が一致するように、切出し部434からの切出し画像と、抽出部435からの抽出画像とを合成し、合成した合成画像を表示制御部437に供給する。
ステップS116において、表示制御部437は、合成部436から供給された合成画像を、表示部438に表示させる。
図32は、表示部438に表示される合成画像の例を示している。
図32において、デジタルカメラ411の表示部438の表示領域は、アスペクト比4:3である。表示制御部437は、パノラマモードにおいては、表示部438の表示領域の上側の領域と下側の領域には黒い画像(いわゆる黒帯)を表示させることで、アスペクト比16:9の表示領域を形成する。
図32に示されるように、表示制御部437は、表示部438におけるアスペクト比16:9の表示領域に、合成画像のうちの切出し画像に対応する部分を表示させる。また、表示制御部437は、表示部438に、合成画像のうちの抽出画像に対応する部分を強調するように、図中破線で示される枠を表示させる。このとき、合成画像のうちの抽出画像に対応する部分のうちの、表示部438の表示領域の黒帯(上側)にかかる部分は、輝度の低い合成画像として表示される。なお、表示部438において表示される抽出画像は、図32のように枠によって強調される他、ユーザが抽出画像の表示範囲を確認できるように表示されればよい。
以上の処理によれば、1つのみの撮像系を備えるデジタルカメラのパノラマモードで、ユーザが撮影しようとしている構図の画像と、注目度の高い被写体が中央に位置する構図の画像とを併せて表示させることができるので、ユーザは、撮影(記録)しようとしている構図より適切な構図を確認することが可能となる。
なお、上述した処理においては、表示部438に、切出し画像と抽出画像とを併せて表示させるようにしたが、撮像画像と抽出画像とを併せて表示させるようにして、表示部438の表示領域の黒帯にかかる部分の輝度を低くするようにしてもよい。
以上においては、パノラマモードで、ユーザが撮影しようとしている構図の画像と、注目度の高い被写体が中央に位置する構図の画像とを併せて表示させる処理について説明したが、パノラマモードで、ユーザが撮影しようとしている構図の画像と、注目度の高い被写体が中央に位置する構図の画像とを記録させるようにしてもよい。
[デジタルカメラの画像記録処理]
ここで、図33のフローチャートを参照して、図28のデジタルカメラ411の画像記録処理について説明する。なお、図33の画像記録処理は、ユーザによって、操作入力部439が、撮像モードとしてパノラマモードを選択する旨の操作を受け付けた場合に開始される。
なお、図33のフローチャートにおけるステップS211乃至S214の処理は、ステップS213において、切出し画像が表示制御部437および記録制御部440に供給される点と、ステップS214において、抽出画像が記録制御部440に供給される点を除いて、図29のフローチャートにおけるステップS111乃至S114の処理と基本的に同様であるので、その説明は省略する。
ステップS215において、表示制御部437は、切出し部434から供給された切出し画像を、表示部438に表示させる。より具体的には、表示制御部437は、図32で説明したような、表示部438におけるアスペクト比16:9の表示領域に切出し画像を表示させる。このとき、表示部438の表示領域において、上側の領域と下側の領域には、黒帯が表示される。
ステップS216において、記録制御部440は、操作入力部439としてのシャッタボタンが押されたか否かを判定する。
ステップS216において、シャッタボタンが押されていないと判定された場合、処理はステップS211に戻り、これ以降の処理が繰り返される。
一方、ステップS216において、シャッタボタンが押されたと判定された場合、すなわち、操作入力部440からシャッタボタンが押された旨の信号が、記録制御部440に供給された場合、処理はステップS217に進む。
ステップS217において、記録制御部440は、操作入力部440からの信号に基づいて、切出し部434からの切出し画像および抽出部435からの抽出画像を、記録部441に記録させる。例えば、記録部441には、図30で説明した切出し画像512と、図31で説明した抽出画像513とが記録される。
従来のデジタルカメラにおいては、パノラマモードで、図30で説明した切出し画像512のような画像が、撮影に慣れないユーザが撮影しようとしている構図の画像であった場合、記録される画像も、図30で説明した切出し画像512のような画像となる。この場合、記録された画像に含まれない(欠けてしまっている)被写体の部分を生成して、よりよい構図の画像を得ることはできない。
以上の処理によれば、パノラマモードで、切出し画像と抽出画像とを記録させることができるので、撮影に慣れないユーザが撮影した構図の画像と、ユーザにとって撮影した構図より適切な構図の画像とを記録することが可能となる。
また、ユーザが撮影した構図の画像と、ユーザが撮影した構図より適切な構図の画像とが記録されるので、ユーザは2つの画像を比較することができ、ユーザが撮影技術の向上を図る一助となる。
上述した処理においては、切出し画像と抽出画像のそれぞれを記録部441に記録させるようにしたが、図29のフローチャートで説明した、切出し画像と抽出画像とを合成した合成画像を記録部441に記録させるようにしてもよい。
図34は、記録部441に記録される合成画像の例を示している。
図34の合成画像601においては、一点鎖線で示される部分が切出し画像に対応し、破線で示される部分が抽出画像に対応する。ここで、合成画像601を、3つの領域611乃至613に分けて考える。このとき、領域611は、切出し画像に存在せず、抽出画像に存在する部分であり、領域612は、切出し画像および抽出画像の両方に存在する部分であり、領域613は、切出し画像に存在し、抽出画像に存在しない部分である。
そこで、ユーザの操作により、操作入力部439から、切出し画像の再生(表示)を指示する旨の信号が供給された場合、記録制御部440は、合成画像601における領域612および領域613を読み出して表示制御部437に供給すればよい。また、ユーザの操作により、操作入力部439から、抽出画像の再生を指示する旨の信号が供給された場合、記録制御部440は、合成画像601における領域611および領域612を読み出して表示制御部437に供給すればよい。
このように、切出し画像と抽出画像とをそれぞれ再生(表示)させることを考慮した場合、切出し画像と抽出画像のそれぞれを記録部441に記録させなくとも、合成画像1枚を記録させるだけでよいので、記録部441の記録容量を削減することができる。
なお、合成画像601を生成しない場合には、領域611に対応する画像と切出し画像とを併せて記録するようにしてもよいし、抽出画像と領域613に対応する画像とを併せて記録するようにしてもよい。
また、上述した処理においては、操作入力部439としてのシャッタボタンが操作されたときに、抽出画像を記録するようにしたが、例えば、抽出画像の構図が、予め用意された3分割構図や水平線構図、放射線構図等の構図パターンとマッチングしたときに、抽出画像を記録するようにしてもよい。
これにより、ユーザがシャッタボタンを操作しなくても、よりよい構図の画像を記録することができる。
さらに、上述した処理においては、画像処理部433は、撮像部432の撮像素子全体から得られた画像データに対して、所定の画像処理を施すようにしたが、操作入力部439としてのシャッタボタンが操作されるまでは、図27の撮像素子301の領域313に対応する撮像素子から得られた画像データに対して画像処理を施すようにして、シャッタボタンが操作されたときに、撮像素子全体から得られた画像データに対して画像処理を施すようにしてもよい。
これにより、シャッタボタンが操作されるまでの画像処理部433の処理の負荷を低減させることができる。
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウェアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行する場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータ等に、プログラム記録媒体からインストールされる。
図35は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するコンピュータのハードウェアの構成例を示すブロック図である。
コンピュータにおいて、CPU(Central Processing Unit)901,ROM(Read Only Memory)902,RAM(Random Access Memory)903は、バス904により相互に接続されている。
バス904には、さらに、入出力インタフェース905が接続されている。入出力インタフェース905には、キーボード、マウス、マイクロホン等よりなる入力部906、ディスプレイ、スピーカ等よりなる出力部907、ハードディスクや不揮発性のメモリ等よりなる記憶部908、ネットワークインタフェース等よりなる通信部909、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等のリムーバブルメディア911を駆動するドライブ910が接続されている。
以上のように構成されるコンピュータでは、CPU901が、例えば、記憶部908に記憶されているプログラムを、入出力インタフェース905およびバス904を介して、RAM903にロードして実行することにより、上述した一連の処理が行われる。
コンピュータ(CPU901)が実行するプログラムは、例えば、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc)等)、光磁気ディスク、もしくは半導体メモリ等よりなるパッケージメディアであるリムーバブルメディア911に記録して、あるいは、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供される。
そして、プログラムは、リムーバブルメディア911をドライブ910に装着することにより、入出力インタフェース905を介して、記憶部908にインストールすることができる。また、プログラムは、有線または無線の伝送媒体を介して、通信部909で受信し、記憶部908にインストールすることができる。その他、プログラムは、ROM902や記憶部908に、あらかじめインストールしておくことができる。
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
また、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。