JP5732162B2 - 光電変換素子及びその製造方法 - Google Patents
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Description
上述したように、太陽電池を図1に示すような構造にすることで、半導体層30に伝播した光の量に応じた電流よりも、多くの電流を発生させることができることを本発明者らは見出した。
ここで、金属製の微細構造体50の構造とは、多孔質薄膜501、例えば図3(a)、(b)、(c)に示すように、連続した金属薄膜に入射光の波長程度の開口を複数設けた多孔質膜構造とする。図3(a)は多孔質薄膜501の斜視図であり、図3(b)、(c)は上面図である。
ここで、微細構造体50端部近傍に発生する強い局在電場の様子を示す。一例としてAl多孔質薄膜501について述べる。Finite Diffrence Time Domain(FDTD)法によるシミュレーションを行った光学モデルを図4(a)に、その結果を図4(b)に示す。
図5(b)の結果から、多孔質薄膜501の開口間金属幅rが10nm以上の場合に局在電場が発生する。また、特にrが20nm以上500nm以下の場合に電場増強効果が強い事がわかっている。
微細構造体50として微小体510を用いた場合にも多孔質薄膜501の場合と同様のシミュレーションを行ったところ、微小体510が球である場合、直径r’が2nm以上1μm以下、すなわち体積が4nm3以上0.52μm3の場合に増強電場が強い事がわかっている。また特に、微小体510の径の平均値が10nm以上500nm以下、すなわち体積が520nm3以上6.5×10−2μm3の範囲である場合に電場増強効果がより強い。また、微小体510が球でない場合にも体積が4nm3以上0.52μm3以下であれば増強電場が強く、特に体積が520nm3以上6.5×10−2μm3の範囲である場合に電場増強効果がより強い事がわかっている。
微細構造体50の構造が上記した範囲である場合、単位面積あたりの電場をより強くするために、端部の密度が高い構造が好ましい。図7は、電場増強層40の微細構造体50を入射面側から見た俯瞰図であり、図7を用いて微細構造体の好ましい構造について説明する。
電場増強効果は表皮効果による電子の疎密に起因するため、微細構造体50の厚さdは、表皮厚程度である必要がある。表皮厚δ、すなわち振幅が1/eに減衰する電磁波の進入長は数2で表される。
また、例えば微細構造体50が多孔質薄膜501である場合、周期的に形成された開口である必要は必ずしも無く、擬周期開口、ランダムに形成された開口などでも本効果は得られる。故に、本発明は開口の配列を限定するものではない。また、開口の形状も円形に限らない。むしろ、開口面積が同じであっても、円形(図3(a))よりも星型(図3(b))やC字型(図3(c))などの形状である方が開口の外縁部(端部)の長さが長くなるので、電場増強効果の点からは有利である。一方、開口の形状が円形である場合には、微細構造体50の製造が容易である。
上述したような微細構造体50の構造によって、微細構造体50端部近傍の電場が増強されるが、その電場増強効果が光活性層31中に及ぶことによって光電変換効率の改良が達成される。このため、電場増強層40の配置が、半導体層30中の光活性層31に上記微細構造体50の少なくとも一部が含まれる配置である場合に局在電場をキャリア生成に更に有効に利用することができる。
以上、本発明の一実施形態による太陽電池の構造を、形状の観点から説明したが、このような構造を構成する材料は、従来知られている任意のものから選択して用いることができる。
太陽電池を構成する半導体層30の材料は種々のものが知られており、それらから任意のものを選択することができる。例えば材料として、単結晶、あるいは多結晶、あるいは微結晶、あるいはアモルファスSi、GaAsなどのIII−V族化合物半導体やII−VI族化合物半導体、カルコパイライト系化合物半導体を用いることができる。また、半導体層の材料として有機物を用いることもでき、具体的にはp型有機半導体、n型有機半導体、正孔輸送材料からなる。
p型有機半導体としては、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリピロールおよびその誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、オリゴチオフェンおよびその誘導体、ポリビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリシランおよびその誘導体、側鎖または主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリンおよびその誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリンおよびその誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリチエニレンビニレンおよびその誘導体等が挙げられる。また、上記の共重合体を使用してもよく、例えば、チオフェン−フルオレン共重合体、フェニレンエチニレン−フェニレンビニレン共重合体等が挙げられる。
好ましいp型有機半導体としては、π共役を有する導電性高分子であるポリチオフェンおよびその誘導体である。ポリチオフェンおよびその誘導体は、チオフェン骨格を有する化合物であれば特に限定されない。ポリチオフェンおよびその誘導体の具体例としては、ポリ3−メチルチオフェン、ポリ3−ブチルチオフェン、ポリ3−ヘキシルチオフェン、ポリ3−オクチルチオフェン、ポリ3−デシルチオフェン、ポリ3−ドデシルチオフェン等のポリアルキルチオフェン;ポリ3−フェニルチオフェン、ポリ3−(p−アルキルフェニルチオフェン)等のポリアリールチオフェン;ポリ3−ブチルイソチオナフテン、ポリ3−ヘキシルイソチオナフテン、ポリ3−オクチルイソチオナフテン、ポリ3−デシルイソチオナフテン等のポリアルキルイソチオナフテン;ポリエチレンジオキシチオフェン等が挙げられる。また、カルバゾール、ベンゾチアジアゾールおよびチオフェンからなる共重合体であるPCDTBT(ポリ[N−9”−ヘプタ−デカニル−2,7−カルバゾール−アルト−5,5−(4’,7’−ジ−2−チエニル−2’,1’,3’−ベンゾチアジアゾール)])などの誘導体が、優れた光電変換効率を得られる化合物として知られている。
n型有機半導体としては、フラーレンおよびその誘導体が挙げられる。フラーレン誘導体は、フラーレン骨格を有する誘導体であれば特に限定されない。具体的には、C60、C70、C76、C78、C84等を基本骨格として構成される誘導体が挙げられる。フラーレン誘導体は、フラーレン骨格における炭素原子が任意の官能基で修飾されていてもよく、この官能基同士が互いに結合して環を形成していてもよい。フラーレン誘導体には、フラーレン結合ポリマーも含まれる。フラーレン誘導体における官能基としては、例えば、水素原子;水酸基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等のアルキル基;ビニル基等のアルケニル基;シアノ基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェニル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基、チエニル基、ピリジル基等の芳香族複素環基等が挙げられる。具体的には、C60H36、C70H36等の水素化フラーレン、C60、C70等のオキサイドフラーレン、フラーレン金属錯体等が挙げられる。上述した中でも、フラーレン誘導体として、60PCBM([6,6]−フェニルC61酪酸メチルエステル)または70PCBM([6,6]−フェニルC71酪酸メチルエステル)を使用することが特に好ましい。未修飾のフラーレンを使用する場合、C70を使用することが好ましい。
正孔輸送層の材料としては、PEDOT/PSS(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホネート))等のポリチオフェン系ポリマー、ポリアニリン、ポリピロール等の有機導電性ポリマーが挙げられる。
また、光電変換のための構造として、pn接合型、pin型、タンデム構造型などの半導体層を用いることができる。
次に、本発明の一実施形態である、太陽電池の製造方法について説明する。
たとえば、p型、n型またはi型の半導体層の形成過程で微細構造体50を形成することで、半導体層30中に微細構造体50を含む基板を作製し、該基板に不純物を部分的にドープしてもよい。
あるいは、p型、n型またはi型の半導体層の積層プロセスの途中に微細構造体50を形成するプロセスを設けてもよい。
光照射面電極10、裏面電極20は、接触する半導体層30とオーミック接触をとることができる材料であれば任意のものを採用することが出来る。具体的にはAg、Al、Ag/Tiなどが一般に利用されている。あるいは透明電極なども用いる事ができる。また、一般的に、半導体層30の光照射面に反射防止膜を設ける、または、テクスチャエッチング、BSFを利用するなど、光電変換層の表面・裏面を改良することによる高効率化が検討されている。本発明の一実施形態による太陽電池には、これらの改良を本発明による効果を損なわない限り、組み合わせることができる。
例えば、微細構造体50が多孔質薄膜501である場合、p型、n型またはi型の半導体層の表面に金属薄膜を形成させてから開口を設けてもよいし、あらかじめ開口を有する金属薄膜をp型あるいはn型あるいはi型の半導体層30に積層するのであってもよい。
多孔質薄膜501のもととなる金属薄膜上にレジストを塗布してレジスト層を形成させ、そのレジスト層の表面に微粒子の単粒子層を形成させ、その単粒子層をエッチングマスクとしてドット状のレジストパターンを形成させ、そのレジストパターンに無機物質を充填して、反転パターンマスクを形成させ、その反転パターンマスクを介して金属薄膜をエッチングして微細な開口を形成する方法。
多孔質薄膜501のもととなる金属薄膜上にブロックコポリマーを含む組成物を塗布して、ブロックコポリマー膜を形成させ、ブロックコポリマーのドット状のミクロドメインを生成させ、生成したドット状のミクロドメインをエッチングして反転パターンマスクを形成させ、その反転パターンマスクを介して金属薄膜をエッチングして微細な開口を形成させる方法。
形成させようとする多孔質薄膜501の形状に対応した微細凹凸パターンを表面に有するスタンパーを準備し、多孔質薄膜501のもととなる金属薄膜上にそのスタンパーを利用してレジストパターンを転写し、そのレジストパターンを介して金属薄膜にパターンを形成させる方法。
半導体層30層の上に直接レジストや無機物質によるパターンを形成させ、その隙間に金属を蒸着などにより堆積させて多孔質薄膜501とする方法。
また、例えば、微細構造体50が微小体510である場合、p型、n型またはi型の半導体層30の表面に金属薄膜層を形成させてから不連続部分を設けて微小体510を形成してもよいし、あらかじめ微小体510をp型あるいはn型あるいはi型の半導体層30に積層するのであってもよい。
微小体510のもととなる金属薄膜上にレジストを塗布してレジスト層を形成させ、そのレジスト層の表面に微粒子の単粒子層を形成させ、その単粒子層をエッチングマスクとしてレジストパターンを形成させ、そのレジストパターンを介して金属薄膜をエッチングして微小体510を形成する方法。
微小体510のもととなる金属薄膜上にブロックコポリマーを含む組成物を塗布して、ブロックコポリマー膜を形成させ、ブロックコポリマーのドット状のミクロドメインを生成させ、生成したミクロドメインのパターンを介して金属薄膜をエッチングして微小体510を形成する方法。
形成させようとする微小体510の形状に対応した微細凹凸パターンを表面に有するスタンパーを準備し、微小体510のもととなる金属薄膜上にそのスタンパーを利用してレジストパターンを転写し、そのレジストパターンを介して金属薄膜にパターンを形成する方法。
半導体層30の上に直接レジストや無機物質による開口パターンを形成させ、その開口に金属を蒸着などにより堆積させて微小体510とする方法。
基板となる半導体層30中に微小体510を析出させる方法。
多孔質薄膜501を形成する方法(A)〜(D)において隣り合う開口同士が連続した構造になるよう開口サイズを大きくすることで微小体510を形成する方法。
本実施例では、微小体510からなる電場増強層40を有する単結晶Si型太陽電池の製造方法及びその特性について説明する。
まず、半導体基板としてp型Si基板を用意した。ここでは、Bドープ6×1015atom/cm3、厚さ380μmのp型単結晶Si基板30pを用意した(図8(a))。この単結晶p型Si基板の片側表面に熱拡散法によりn+層30nを形成させ、pn接合を形成した(図8(b))。熱拡散法の条件は、POCl3ガス雰囲気中において、1100℃、15分間とした。なお、本実施例においては、半導体基板として多結晶シリコンを用いてもよいし、不純物としてB、P以外の一般的に知られている不純物をドープしてもよい。また、ドーピングの方法として、イオン注入法を用いても良い。
次に、形成したpn接合近傍にSi基板30中に微小体510を形成した(図8(c))。Si基板に、加速エネルギー60keVのCuイオンビームを照射し、Cuイオンを注入した。この場合の飛程距離は約50nmと見積もられる。線量率45μA/cm2、積算線量3×1016ions/cm2で照射したところ、断面TEMの観測により、表面直下に約10nm程の微粒子空乏層が存在し、その下に10〜15nm径のCu微粒子(微小体510)が二次元的に分布していることが確認された。
以上の工程により、単結晶Siのp層とn層に挟まれた、複数のCu微小体がランダムに配列した電場増強層を得た。微小体一つあたりの径の平均は12nm(体積の平均は900nm3)、微小体の間隔の平均が10nmであった。
太陽電池セルにするためにn+型Si層30n表面に光照射面電極10、p型Si層30p表面に裏面電極20を作製した。電極の作製は、エポキシ系熱硬化型のAgペーストを用いたスクリーン印刷法により行った。電極の形状は、裏面電極20としては厚さ約40μmで一面に、光照射面電極10としては厚みが約40μm、幅が約200μmの細線電極を約2mmのピッチで複数本形成した(図8(d))。
上記のようにして作製した実施例1の太陽電池にAM1.5の擬似太陽光を照射し、室温における光電変換効率を評価した。その結果、光電変換効率は10.1%と良好な値を示した。このことから、電場増強層40の効果が現れていると言える。また、Cu以外の金属材料を微小体510の材料として用いた場合についても、同様の検討を行った。例えば、Auで10.5%、Agで10.6%を示し、本発明の効果が得られることが確認された。
実施例1と同様に単結晶Siのpn接合形成後、金属微粒子(微小体510)を析出せずに太陽電池セルを作製した場合の変換効率は8.9%であった。
本実施例では、多孔質薄膜501からなる電場増強層40を有する多結晶Si型太陽電池の製造方法及びその特性について説明する。本実施例では、多結晶Si基板上にAl薄膜をエッチングしてAl多孔質薄膜501を形成し、さらにCVDにより多結晶Siを堆積することで半導体層30中に多孔質薄膜501を形成した例について図9を使って述べる。
まず、半導体基板としてBドープ1015atom/cm3、厚さ300μmのp型多結晶Si基板30pを用意した(図9(a))。なお、本実施の形態においては、不純物としてB以外の一般的に知られている不純物をドープしてもよいし、n型基板を用意し、後にp層を形成してもよい。
次にSi基板上に微細構造体50を形成した。ここではAl多孔質薄膜501を作製した。まず、前述のSi基板p層30pの主面上にAlを真空蒸着により成膜して、30nmの厚みを有する薄膜520を形成した。
以上の工程によって、前記p層30p上に、厚み30nm、平均開口面積9.9×103nm2(開口径112nm)、平均開口率28.4%の開口を有するAl多孔質薄膜501を形成した(図9(l))。
作製したAl多孔質薄膜501上に50nm厚のn+多結晶Si層30nをプラズマCVD法で形成した。このシリコン薄膜推積層30nの形成条件は、基板温度400℃、原料ガスとしてSiH4、H2、及びPH3を用いた。このとき、Al多孔質薄膜501の開口中にはn+多結晶Si30nが充填された(図9(m))。
太陽電池セルにするためにn+型Si層30n表面に光照射面電極10、p型Si層30p表面に裏面電極20をスクリーン印刷法により作製した(図9(n))。電極の作製条件と仕様は実施例1と同様とした。
上記のようにして作製した実施例2−1の太陽電池を実施例1と同様に評価した。その結果、光電変換効率は6.5%と良好な値を示した。このことから電場増強層40の効果が現れていると言える。本実施例ではp層30pを先に形成した場合を述べたが、n層30nを基板として微細構造体50、ついでp層30pを形成しても本実施例の効果は変わらない。また、Al以外の金属材料を多孔質薄膜501の材料として用いた場合についても、同様の検討を行った。例えば、Auで6.7%、Agで6.8%、Cuで6.1%の光電変換効率を示し、本実施例の効果が得られることが確認された。また、ここでの多孔質薄膜501の作製方法は上記した手法であればいずれでも可能であり、その手法を限定しない。
本実施例では、実施例2−1における金属製の多孔質薄膜501の代わりにAu微小体510層を形成した例について図10を使って説明する。
実施例2−1同様、半導体基板としてp型多結晶Si基板30pを用意した。
ここでは、ブロックコポリマーの相分離を用いた方法で作成したAu微小体510について述べる。
実施例2−1、実施例2−2と同様の方法で光照射面電極10を備えた多結晶Siのp型基板30pを作製した。次いで、微細構造体50を形成せずに、n+層30n、裏面電極20を順次積層し太陽電池セルを作製した場合、光電変換効率は6.0%であった。
Si基板として多結晶p型Si薄膜を用いる場合を図11を使って説明する。基板となるp型Si薄膜30pは、SiO2表面に裏面電極20を形成した基板100上に、ジクロロシラン、H2及びN2を用いたプラズマCVDにより形成した。基板温度400℃で膜厚1μmの多結晶Si薄膜30pが得られた(図11(a))。ついで実施例2−1と同様にAl多孔質薄膜501(図11(b))、n+層30nの堆積を行い(図11(c))、その上に光照射面電極10を装着し、太陽電池を作製した(図11(d))。上記のようにして作製した実施例3−1の太陽電池を実施例1と同様に評価した。その結果、光電変換効率は4.9%と良好な値を示した。また同時に、金属薄膜520としてAu以外の金属材料を用いた場合についても、同様の実験を行った。例えば、Auで5.0%、Agで5.0%、Cuで4.7%の光電変換効率を示し、本発明の効果が得られることが確認された。
実施例3−1の多結晶Si薄膜太陽電池におけるAl多孔質薄膜501をAu微小体510に置き換えた太陽電池を作製した。Au微小体510は、実施例2−2と同様の方法でp層30pとn+層30nの境界に作製した。実施例1と同様の評価を行ったところ、光電変換効率は4.9%と良好な値を示した。また同時に、金属薄膜520としてAu以外の金属材料を用いた場合についても、同様の実験を行った。例えば、Alで4.8%、Agで4.9%、Cuで4.6%の光電変換効率を示し、本発明の効果が得られることが確認された。
実施例3−1、実施例3−2と同様の方法でSiO2基板上に裏面電極20、多結晶Siのp型薄膜基板30pを作製した。次いで、微細構造体50を形成せずに、n+層30n、光照射面電極10を順次積層して太陽電池セルを作製した場合、光電変換効率は4.2%であった。
本実施例では、アモルファスSiのpin構造のp層30pとi層30iの間にAu多孔質薄膜501を形成させた。ここでは、p型基板30p上のAu薄膜をエッチングしてAu多孔質薄膜501を形成し、i層30i、n層30nを積層することで半導体層中に微細構造体50を形成した例について図12を使って述べる。
最初の工程として、透光性を有するガラス基板100上に酸化錫(SnO2)を主成分とする膜を膜厚約500nm〜800nm、熱CVD装置にて約500℃で成膜処理し、光照射面電極10を形成した。このとき、光照射面電極10の表面は適当な凹凸のあるテクスチャーが形成される。次いで、プラズマCVD装置を用いてp層30pを成膜した。p層30pは、SiH4ガスとH2ガスとを主原料に、B2H6をドーピングガスとして混入し、光照射面電極10の上に20nm成膜された(図12(a))
(p型Si基板上にAu多孔質膜)
真空チャンバからこの基板を取り出し、30nmの厚みを有するAuからなる金属薄膜520を真空蒸着した(図12(b))。次いで、i線用ポジ型熱硬化性レジストをスピンコートし、膜厚約150nmのレジスト層102を形成した。このレジスト層102に、鋳型であるスタンパーを用いて、設計した開口構造に対応した微細凹凸パターンを転写した。本例では、石英上に電子線リソグラフィーにて、深さ120nm、直径約300nmのホールが500nm周期の最密充填配列で並んだ表面構造を有するスタンパーを準備した。なお、太陽電池の製造方法では、スタンパーの材料及びスタンパーの微細凹凸構造作成手法は限定されない。例えば、スタンパーを前述した微粒子を用いた方法や、ブロックコポリマーを用いた方法により形成することも可能である。離型用処理として、前記スタンパー表面をパーフルオロポリエーテル等のフッ素系離型剤でコーティングし、スタンパーの表面エネルギーを低くすることで離型性を向上させた。前記レジスト層102に前記スタンパーを、ヒータープレートプレスを用いて、基板温度125℃、押印圧力6.7kN/cm2にて押し付け、1時間かけて室温に戻し、垂直に離型することでレジスト層102に鋳型の反転パターンを転写した。これにより、直径320nmの柱状突起が周期的に配列した構造を有する周期開口レジストパターン102が作成された(図12(c))。なお、本実施の形態は、熱ナノインプリントに限定されるものではなく、光インプリントやソフトインプリントなど、種々のインプリント技術を用いて同様のパターンを形成しても本実施の形態が提供する太陽電池の機能を損なうものではない。
再び基板をチャンバに入れ、Au多孔質薄膜501上にアモルファスSiのi層30i、n層30nを形成した。p層30p同様、プラズマCVD装置を用い、SiH4ガスによりi型Si層であるi層30iを300nm(図12(f))、PH3とSiH4混合ガスによりn層30nを30nm順次堆積し、pin型光電変換層60を形成させた(図12(g))。このとき、Au多孔質薄膜501の開口にはi型アモルファスSi30iが充填された。次いでn層30n表面に裏面電極20を装着した(図12(h))。
上記のようにして作製した太陽電池の変換効率を実施例1と同様に裏面電極20を装着し、光電変換効率の評価を行った。その結果、変換効率は4.8%と良好な値を示した。また同時に、金属薄膜520としてAu以外の金属材料を用いた場合についても、同様の検討を行った。例えば、Alで4.7%、Agで4.9%、Cuで4.7%を示し、本実施の形態の効果が得られることが確認された。
また、p層とi層の間だけでなく、i層とn層の間にもAu多孔質薄膜501を形成した場合、4.9%と良好な値を示した。同時に、金属薄膜520としてAu以外の金属材料を用いた場合についても、同様の検討を行った。例えば、Alで4.8%、Agで4.9%、Cuで4.7%を示し、本発明の効果が得られることが確認された。
本実施例では、実施例4−1のアモルファスSi太陽電池において、Au多孔質薄膜の代わりにAg微小体を利用した例について図13を使って述べる。
実施例4−1、4−2と同様の手法を用いて、金属微細構造体50を含まないアモルファスSi太陽電池を作製したところ、変換効率は4.5%であった。
本実施例では、プラズマCVDにより微結晶Siのpin構造を形成し、p層30pとi層30iの間にAg多孔質薄膜510を形成した場合について説明する。
最初の工程として、実施例4−1同様、ガラス基板100上に光照射面電極10を形成したものにp型の微結晶Si層30pを堆積した。微結晶Si層30pは,プラズマCVDを用いて,200℃以下の基板温度で形成した。微結晶Si層30pの作製には,H2で希釈されたSiH4を原料ガスとして、ドーピングガスとしてH2で希釈されたB2H6を使用した。
本実施例では、プラズマCVDにより微結晶Siのpin構造を形成し、p層30pとi層30iの間にAu微小体510を形成した。
実施例5−1、5−2と同様の手法を用いて、微細構造体501を含まない微結晶Si太陽電池を作製したところ、変換効率は4.1%であった。
本実施例では、多孔質薄膜501からなる電場増強層40を有するGaAsを用いた化合物半導体型太陽電池の製造方法及びその特性について図14を使って説明する。ここでは、多孔質薄膜501としてAl多孔質薄膜501を形成した。
本実施例では、微小体510からなる電場増強層40を有するGaAsを用いた化合物半導体型太陽電池の製造方法及びその特性について図15を使って説明する。ここでは、微小体510としてAl微小体を形成した。
実施例6−1、6−2と同様の手法を用いて、微細構造体50を含まないGaAsを用いた化合物半導体型太陽電池を作製したところ、変換効率は5.5%であった。
本実施例では、多孔質薄膜501からなる電場増強層40を有するカルコパイライト(CIGS)系化合物半導体型太陽電池の作製方法について図16を使って説明する。本実施例では、まず、ソーダライムガラスからなる基板100に下部電極となるMo電極20を真空蒸着によって成膜した。下部電極20には、Moの他にTiやW等を使用してもかまわない。次に、Cu、In、Gaをスパッタリングで付着させ、プリカーサと呼ばれる層を形成させる。このプリカーサを炉に投入し、H2Seガスの雰囲気中で約500℃程度の温度でアニールすることにより、プリカーサがCIGS層30となった(図16(a))。
本例では、微小体510からなる電場増強層40を有するカルコパイライト系化合物半導体型太陽電池の作製方法について図17を使って説明する。ここでは、微小体510としてAu微小体510を形成した。
実施例7−1、7−2と同様の手法を用いて、微細構造体50を含まないカルコパイライト系化合物半導体型太陽電池を作製したところ、変換効率は6.4%であった。
Claims (7)
- 二つの電極層と、前記2つの電極層の間に積層された二つの半導体層とで形成される光電変換層と、
隣接する2つの前記半導体層の間に挟まれた金属製の微小体を複数個有する層とを備え、
前記各微小体の体積の平均が520nm3以上6.5×10−2μm3以下の範囲であり、隣り合う2つの前記微小体の間隔の平均は、100nm以上1μm以下であることを特徴とする光電変換素子。 - 前記半導体層の少なくともひとつが、有機物を含む、請求項1に記載の光電変換素子。
- 前記有機物が、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリピロールおよびその誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、オリゴチオフェンおよびその誘導体、ポリビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリシランおよびその誘導体、側鎖または主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリンおよびその誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリンおよびその誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリチエニレンビニレンおよびその誘導体、フラーレンおよびその誘導体、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリ(スチレンスルホネート)からなる群から選択される、請求項1または2に記載の光電変換素子。
- 第1の半導体層を形成する工程と、
前記第1の半導体層上に金属薄膜層を形成する工程と、
前記金属薄膜層上に凸凹パターンを有するマスクを形成する工程と、
前記マスクを用いて前記金属薄膜層から体積の平均が520nm3以上6.5×10−2μm3以下で、且つ隣り合う2つの間隔の平均が、100nm以上1μm以下である微小体を形成する工程と、
前記微小体上に第2の半導体層を形成する工程と、
を備えたことを特徴とする光電変換素子の製造方法。 - 請求項4記載のマスクを形成する工程は、スタンパーを使って前記金属薄膜層上にレジストパターンを形成する工程を有することを特徴とする請求項4に記載の光電変換素子の製造方法。
- 請求項4記載のマスクを形成する工程は、
前記金属薄膜層の少なくとも一部あるいは前記半導体層の少なくとも一部上にレジストを塗布してレジスト塗布層を形成する工程と、
前記レジスト塗布層の表面に微粒子の単粒子層を形成する工程と、
前記単粒子層をエッチングマスクとして微細凹凸パターンを有するレジストパターンを形成する工程と、
を有することを特徴とする請求項4に記載の光電変換素子の製造方法。 - 講求項4記載のマスクを形成する工程は、
前記金属薄膜層の少なくとも一部あるいは前記半導体層の少なくとも一部の上に中間層を形成する工程と、
前記中間層の表面にブロックコポリマーのミクロドメインを生成させる工程と、
を有することを特徴とする請求項4に記載の光電変換素子の製造方法。
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