JP5731141B2 - アナログ信号入力装置 - Google Patents
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Description
このアナログ信号入力装置は、アナログ信号をA/D変換手段によってディジタル信号に変換して演算処理手段(マイコン)に取り込む装置であり、前記A/D変換手段の入力をマルチプレクサによって基準電圧源に切り替え、基準電圧源の電圧をA/D変換手段で変換して得たディジタル信号と、予め記憶してある初期値とを比較し、A/D変換手段の変換精度の劣化を検出するA/D変換監視手段を備えている。
更に、従来装置においては、A/D変換手段に入力させる基準電圧が、基準電圧源における1つの電圧値に限定されるため、基準電圧近傍の電圧域では所期の変換精度を維持できていれば、基準電圧から離れた電圧域で変換精度の劣化が発生していても、このような劣化を検知できないという問題があった。
図1は、本願発明に係るアナログ信号入力装置の第1実施形態を示すブロック図であり、このアナログ信号入力装置は、例えば、アナログの制御条件信号を入力して動作するディジタル電子リレーに用いられる。但し、アナログ信号入力装置の適用を、ディジタル電子リレーに限定するものではない。
図1に示すアナログ信号入力装置1は、マルチプレクサ(選択出力手段)2、アナログ入力回路(アナログ処理手段)3、A/D変換器(A/D変換手段)4、D/A変換器(D/A変換手段)5、CPU,RAM,ROMなどを含むマイクロコンピュータ(演算処理手段)6を備えている。
マルチプレクサ2は、外部からの制御条件信号であるアナログ信号A1と、D/A変換器5の出力であるアナログ信号A2とを入力し、マイコン6からの選択制御信号Sに応じて、アナログ信号A1とアナログ信号A2とのいずれか一方を出力する。
A/D変換器4は、アナログ入力回路3が出力するアナログ信号Afを入力し、このアナログ信号Afをディジタル信号D1に変換する。
D/A変換器5は、マイコン6が出力するディジタル信号D2を入力してアナログ信号A2に変換し、このアナログ信号A2をマルチプレクサ2に出力する。アナログ信号A2は、アナログ信号入力回路1の故障診断用として出力され、マイコン6は、アナログ信号A2をアナログ入力回路3に入力させたときに、A/D変換器4が出力するディジタル信号D1に基づいて、アナログ信号入力装置1における故障の有無を自己診断する。
図2のフローチャートにおいて、まず、ステップS101では、故障診断の実行タイミングであるか否かを判断する。故障診断の実行タイミングは、例えば、アナログ信号入力装置1を含むシステムの起動時や、起動後の一定時間毎とすることができ、また、外部からの診断指示信号を受信した時点とすることもできる。
次のステップS103では、マルチプレクサ2に対して、D/A変換器5が出力するアナログ信号A2の出力を指示する選択制御信号Sを出力する。
ステップS104では、アナログ信号A2をアナログ入力回路3に入力させた状態で、A/D変換器4が出力したディジタル信号D1を取り込む。
例えば、アナログ入力回路3が直流信号を通過させる回路である場合、ディジタル信号D2を一定電圧値として、アナログ信号A2として直流を出力させる。この場合、アナログ入力回路3でのアナログ処理後の電圧値を予め基準電圧値Vthとして求めておき、該基準電圧値Vthを含む正常範囲(許容範囲)内の電圧値が、ディジタル信号D1として取り込まれたか否かを判定する。
上記のように、マイコン6が既知のディジタル信号D2を出力し、このディジタル信号D2をD/A変換器5でアナログ信号A2に変換し、このアナログ信号A2を、マルチプレクサ2を介してアナログ入力回路3に出力することで、A/D変換器4が出力するディジタル信号D1は、D/A変換器5に出力したディジタル信号D2に対応する予定された信号になる。
特に、外部からのアナログ信号A1を処理するマルチプレクサ2,アナログ入力回路3,A/D変換器4を含む回路に故障が発生していると、アナログ信号A1のレベル(電圧)をマイコン6が正確に判断することができず、誤った制御出力を発生させることになってしまう。
そして、正常時であれば、更にステップS107へ進み、マルチプレクサ2に対して、外部からのアナログ信号A1の出力を指示する選択制御信号Sを出力し、外部からのアナログ信号A1を、アナログ入力回路3,A/D変換器4を介して取り込むようにする。
即ち、ステップS109では、外部から取り込んだ制御条件信号としてのアナログ信号A1に応じて制御出力(制御信号)を演算し、演算結果としての制御出力を外部に出力することで、外部機器(リレー)を制御する。
そして、故障発生時である場合には、更にステップS111へ進んで、制御出力を安全サイドに制御して保持させ(リレーを落下させる制御出力に保持させ)、外部からのアナログ信号A1に応じた出力制御を停止させる、フェイル処理を実行する。
前記フェイル処理には、ランプや警報などの警告手段を動作させる警報動作信号の出力や、故障診断履歴の記憶などの処理を含めることができる。
更に、アナログ入力回路3及びA/D変換器4の健全性を検証するために設けるマルチプレクサ2やD/A変換器5に劣化・故障が発生した場合にも故障判定を行って、制御出力を安全サイド(リレーを落下させる側)に制御するから、マルチプレクサ2やD/A変換器5に劣化・故障によって、アナログ入力回路3及びA/D変換器4の健全性を確認できない状態のまま、外部からのアナログ信号A1に基づいて出力制御(リレー動作)を行ってしまうことがない。
また、マイコン6が出力するディジタル信号D2は任意に設定でき、一定値に限定されないので、アナログ信号入力装置1を適用するシステムにおけるアナログ信号A1の出力範囲などに基づいて、ディジタル信号D2を最適値に設定できる。更に、ディジタル信号D2を複数種に切り替え、各ディジタル信号D2の出力状態それぞれで故障の有無を診断させることができ、これによって、より精度の高い故障診断が可能となる。
係る故障診断と、前述したディジタル信号D2(アナログ信号A2)に基づく故障診断とを組み合わせた実施形態を、図3のフローチャートに従って説明する。
ステップS201で、故障診断の実行タイミングであると判断すると、ステップS202へ進み、D/A変換器5に対して、診断用の基準信号としてのディジタル信号D2を出力する。
そして、ステップS204では、マルチプレクサ2の出力を零とした状態、即ち、アナログ入力回路3及びA/D変換器4の入力を零とした状態で、A/D変換器4が出力したディジタル信号D1を取り込む。
マルチプレクサ2の出力を停止させることで、アナログ入力回路3及びA/D変換器4の入力が零となるから、ディジタル信号D1が零又は零近傍の値となるのが正常状態であり、ディジタル信号D1が零又は零近傍の値でない場合には、マルチプレクサ2の出力が実際には停止してなく、マルチプレクサ2がアナログ信号A1又はアナログ信号A2を出力しているか、A/D変換器4の出力の異常シフトが発生しているものと推定できる。
尚、アナログ信号A1及びアナログ信号A2は、零ではないものとする。
ステップS206では、マルチプレクサ2に対して、D/A変換器5が出力するアナログ信号A2の出力を指示する選択制御信号Sを出力する。
ステップS208では、前述のステップS105と同様に、ステップS207で取り込んだディジタル信号D1が、D/A変換器5に出力したディジタル信号D2に見合う許容誤差範囲内(正常範囲内)の信号であるか否かを判定する。
正常時であれば、更にステップS210へ進み、マルチプレクサ2に対して、外部からのアナログ信号A1の出力を指令する選択制御信号Sを出力し、外部からのアナログ信号A1を、アナログ入力回路3,A/D変換器4を介して取り込むようにする。
一方、ディジタル信号D1が、D/A変換器5に出力したディジタル信号D2に見合う許容誤差範囲内の信号でない場合は、ステップS213へ進んで、マルチプレクサ2,アナログ入力回路3,A/D変換器4,D/A変換器5を含む回路に故障が発生していると判定する。
上記構成では、マルチプレクサ2からの出力を停止させた状態で診断し、更に、ディジタル信号D2をD/A変換して得たアナログ信号A2を、マルチプレクサ2から出力させた状態で診断するので、より高い診断精度を得ることができる。
図4に示す2重系のアナログ入力装置51は、マルチプレクサ(選択出力手段)52、アナログ入力回路(アナログ処理手段)53、第1MCU(マイクロ・コントローラ・ユニット)60、第2MCU(マイクロ・コントローラ・ユニット)70、フェイルセーフ照合回路90を備えている。
第1MCU60は、A/D変換器(第1A/D変換手段)61、D/A変換器(D/A変換手段)62、CPU,RAM,ROMなどを含むマイコン63(第1演算処理手段)を備えた1チップマイコンであり、第2MCU70は、A/D変換器(第2A/D変換手段)71、CPU,RAM,ROMなどを含むマイコン73(第2演算処理手段)を備えた1チップマイコンである。
尚、本実施形態では、診断のために用いるディジタル信号D2を、第1MCU60のD/A変換器62から出力させるので、第2MCU70にD/A変換器72を設けていないが、第1MCU60と第2MCU70とを同じデバイスで構成して、第1MCU60と第2MCU70との双方にD/A変換器を備えることができる。
アナログ入力回路53は、微分回路などの交流結合回路(直流除去回路)であってもよく、また、直流成分を通過させるアナログ回路であってもよい。
マイコン63,73は、A/D変換器61,71が出力するディジタル信号D1を入力し、該ディジタル信号D1を演算処理することで、外部機器(リレー)に出力する制御出力を決定する。
第1MCU60と第2MCU70との間を、I/Oポート80で接続し、互いの処理結果(診断結果及び取り込んだディジタル信号D1を含む)を読み込むことができるようになっている。
アナログ信号A2は、故障診断用として出力され、アナログ信号A2をアナログ入力回路3に入力させたときに、A/D変換器61,71が出力するディジタル信号D1に基づいて、マイコン63,73が故障の有無をそれぞれに診断する。
フェイルセーフ照合回路90は、論理回路を有し、第1MCU60が出力する制御出力と、第2MCU70の制御出力とを入力して照合し、出力が正常である場合のみリレーを動作させるようにする。
尚、本実施形態では、第1MCU60がアナログ信号A2をマルチプレクサ2に出力し、かつ、第1MCU60がマルチプレクサ2に選択制御信号Sを出力するが、第1MCU60と第2MCU70とのいずれか一方が診断用のアナログ信号A2をマルチプレクサ2に出力し、他方がマルチプレクサ2に選択制御信号Sを出力する構成とすることができる。
図5のフローチャートにおいて、ステップS301〜ステップS315は、第1MCU60(マイコン63)が実施する処理を示し、ステップS401〜ステップS407及びステップS411〜ステップS414は、第2MCU70(マイコン73)が実施する処理を示す。
ステップS301で、故障診断の実行タイミングであると判断すると、ステップS302へ進み、D/A変換器5に対して、診断用の基準信号としてのディジタル信号D2を出力する。ディジタル信号D2は、マイコン63が備えるメモリに予め故障診断用として記憶してある任意のデータである。
これにより、ディジタル信号D2はD/A変換器62でアナログ信号A2に変換され、アナログ信号A2は、マルチプレクサ52からアナログ入力回路53に出力され、更に、アナログ入力回路53を通過したアナログ信号Afが、第1MCU60側のA/D変換器61及び第2MCU70側のA/D変換器71でそれぞれにディジタル信号D1に変換されることになる。
そして、ステップS305では、前述のステップS105と同様に、ステップS304で取り込んだディジタル信号D1が、D/A変換器62に出力したディジタル信号D2に見合う許容誤差範囲内(正常範囲内)の信号であるか否かを判定する。
ここで、ステップS304で取り込んだディジタル信号D1が、D/A変換器62に出力したディジタル信号D2に見合う許容誤差範囲内の信号であれば、ステップS306へ進み、マルチプレクサ52,アナログ入力回路53,A/D変換器61,D/A変換器62を含む回路が正常であると判定する。
上記の故障診断は、第2MCU70(マイコン73)側でも同時に並行して実施され、ステップS401では、A/D変換器71が出力したディジタル信号D1を取り込み、次のステップS402では、前述のステップS105と同様に、ステップS401で取り込んだディジタル信号D1が、第1MCU60側でD/A変換器62に出力したディジタル信号D2に見合う許容誤差範囲内(正常範囲内)の信号であるか否かを判定する。
一方、ステップS401で取り込んだディジタル信号D1が、第1MCU60側でD/A変換器62に出力したディジタル信号D2に見合う許容誤差範囲内の信号でない場合、ステップS404へ進み、マルチプレクサ52,アナログ入力回路53,A/D変換器71,D/A変換器62を含む回路のいずれかに故障が発生しているものと判定する。
第2MCU70(マイコン73)側での診断結果を取り込んだ第1MCU60側では、ステップS309(照合手段)において、自身が正常であると診断し、かつ、第2MCU70でも正常であると診断しているか、換言すれば、正常であるという診断結果で一致しているか否かを判断する。
一方、第1MCU60側と第2MCU70側との双方が正常であると判定している場合には、正常であるとする診断結果が正しいものと判断し、ステップS311へ進み、マルチプレクサ52に対して、外部からのアナログ信号A1の出力を指示する選択制御信号Sを出力する。
即ち、ステップS406(照合手段)において、自身が正常であると診断し、かつ、第1MCU60でも正常であると診断しているか、換言すれば、正常であるという診断結果で一致しているか否かを判断する。
第1MCU60側での診断結果の照合によって、双方が正常診断していると判断して、ステップS311で外部からのアナログ信号A1の取り込みを指示すると、第1MCU60側と第2MCU70側との双方で、外部からのアナログ信号A1をアナログ入力回路53で処理した後のアナログ信号AfをA/D変換して得たディジタル信号D1を取り込み、かつ、他方が取り込んだディジタル信号D1を読み込む処理を並行して行う(ステップS312、ステップSS411)。
ステップS313で比較する2つのディジタル信号D1は、同じアナログ信号Afを異なるA/D変換器61,71で変換した値であり、2つのディジタル信号D1間には、A/D変換器61,71間における許容変換誤差による差が生じるが、前記変換誤差を超える差が生じている場合には、少なくとも一方のA/D変換器61,71に故障が発生している可能性がある。
尚、A/D変換器61,71の故障には、付属する基準電圧源Vref1,Vref2の故障(電圧レベルの変化)が含まれる。
一方、2つのディジタル信号D1間の差が充分に小さく、A/D変換器61,71間における許容変換誤差内であると判断した場合には、ステップS315へ進み、A/D変換器61が出力したディジタル信号D1を演算処理することで、外部に出力する制御出力を決定して出力する。
そして、2つのディジタル信号D1間に、A/D変換器61,71間における許容変換誤差(閾値)を超える差が発生している場合には、ステップS413へ進んで、制御出力として、リレーを落下させる安全サイドの出力(フェイル出力)を発生させる。
第1MCU60が出力する制御出力と、第2MCU70が出力する制御出力は、フェイルセーフ照合回路90に入力され、フェイルセーフ照合回路90は、少なくとも一方の制御出力が、リレーを落下させ、システムを安全サイドに導くフェイル出力である場合、最終的に出力する制御出力をフェイル出力とし、双方の制御出力がリレーを動作させる信号で一致している場合にのみ、最終的に出力する制御出力としてリレーを動作させる出力を発生する。
上記2重系のアナログ信号入力装置であれば、第1MCU60側で正常であると診断しても、第2MCU70側で故障の発生を診断すれば、制御出力を安全サイドに制御して保持させることができ、より一層のフェイルセーフを図ることができる。
更に、第1MCU60側で演算した制御出力と第2MCU70側で演算した制御出力とを比較し、両者が一致する場合に制御出力を外部に出力し、一致しない場合には、安全サイドの信号を出力させるので、制御出力の演算結果が相反する場合に、安全サイドではない制御出力を外部に出力してしまうことがなく、フェイルセーフを図ることができる。
また、診断用のアナログ信号A2をアナログ入力回路53に入力させている状態で、第1MCU60が取り込んだディジタル信号D1と、第2MCU70が取り込んだディジタル信号D1とを、第1MCU60と第2MCU70との少なくとも一方で比較し、A/D変換器61,71(基準電圧源Vref1,Vref2)に故障が発生しているか否かを診断できる。
2 マルチプレクサ(選択出力手段)
3 アナログ入力回路(アナログ処理手段)
4 A/D変換器(A/D変換手段)
5 D/A変換器(D/A変換手段)
6 マイコン(演算処理手段)
51 アナログ信号入力装置
52 マルチプレクサ(選択出力手段)
53 アナログ入力回路(アナログ処理手段)
60 第1MCU
61 A/D変換器(第1A/D変換手段)
62 D/A変換器(D/A変換手段)
63 マイコン(第1演算処理手段)
70 第2MCU
71 A/D変換器(第2A/D変換手段)
73 マイコン(第2演算処理手段)
Claims (5)
- アナログ信号をアナログ処理回路及びA/D変換器を介して演算処理手段に取り込むアナログ信号入力装置において、外部からのアナログ信号と前記演算処理手段が出力するディジタル信号をD/A変換器で変換した診断用アナログ信号とを入力し、前記演算処理手段の制御信号に応じて前記アナログ処理回路に出力する信号を選択する選択出力手段を備え、前記演算処理手段は、前記選択出力手段の全チャンネルをオフにしたときの前記A/D変換器の出力に基づく故障診断と前記診断用アナログ信号を前記アナログ処理回路に入力させたときの前記A/D変換器の出力に基づく故障診断とを行う、アナログ信号入力装置。
- 前記演算処理手段は、前記選択出力手段の全チャンネルをオフにしたときの前記A/D変換器の出力が第1所定範囲内であるときに、前記診断用アナログ信号を前記アナログ処理回路に入力させて故障診断を行う、請求項1記載のアナログ信号入力装置。
- 前記演算処理手段は、前記診断用アナログ信号を前記アナログ処理回路に入力させたときの前記A/D変換器の出力が第2所定範囲内であるときに、外部からのアナログ信号を前記選択出力手段から前記アナログ処理回路に入力させ、外部からのアナログ信号に応じた制御動作を行う、請求項2記載のアナログ信号入力装置。
- 前記演算処理手段は、前記選択出力手段の全チャンネルをオフにしたときの前記A/D変換器の出力が零を含む所定範囲内であるときに正常判定を行う、請求項1から3のいずれか1つに記載のアナログ信号入力装置。
- 前記演算処理手段は、零でない前記診断用アナログ信号を前記選択出力手段に入力させているときに前記選択出力手段の全チャンネルをオフにする、請求項1から4のいずれか1つに記載のアナログ信号入力装置。
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