JP5729189B2 - ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents
ポリアミド樹脂組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5729189B2 JP5729189B2 JP2011158513A JP2011158513A JP5729189B2 JP 5729189 B2 JP5729189 B2 JP 5729189B2 JP 2011158513 A JP2011158513 A JP 2011158513A JP 2011158513 A JP2011158513 A JP 2011158513A JP 5729189 B2 JP5729189 B2 JP 5729189B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polyamide resin
- resin composition
- polyamide
- film
- acid
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
- Polyamides (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Description
メタキシリレンジアミンとアジピン酸とを重合して得られるポリアミド樹脂(以下「MXD6ポリアミド」ということもある。)は、ポリアミド6やポリアミド66等に比べて高強度、高弾性率、低吸水性であり、なおかつガスバリア性にも優れるため、更にポリエチレンテレフタレート、ポリアミド6、ポリエチレン及びポリプロピレン等の熱可塑性樹脂との共押出や共射出成形が可能であることから、広く利用されている。
本発明によれば、弾性率が高く、ガスバリア性がよく、吸水率が低く、しかも、柔軟性の改善された、ポリアミド樹脂組成物が得られる。
特に、本発明のポリアミド樹脂組成物を使用して得られる成形品は、フィルム、シートあるいはチューブ等として、各種用途での使用が期待される。
また、本発明のポリアミド樹脂組成物は、弾性率とガスバリア性に優れ、吸水しにくく、しかも柔軟性の改善されたポリアミド樹脂材料を提供するので、各種のフィルム、シート、積層フィルム、積層シート、チューブ、ホース、パイプ、中空容器、ボトル等の各種容器、各種部品等、種々の成形体に好適に使用することができる。
例えば、本発明のポリアミド樹脂組成物を用いて得られるフィルムは、高いレベルの実用的物性を示し、引張弾性率1000〜2500MPa、引張り伸び200〜500%、酸素透過係数0.5〜3.5cc・mm/m2・day・atm、吸水率0.1〜1.0%である。
ここでキシリレンジアミンが70モル%未満では、最終的に得られるポリアミド樹脂組成物のバリア性が十分でなく、セバシン酸又はアジピン酸が50モル%に満たないと、ポリアミド樹脂組成物が硬くなり加工性が悪くなる。
キシリレンジアミンは、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン又はこれらの混合物を使用することが好ましい。混合して使用する場合は、任意の割合にて使用できるが、耐熱性を重視する場合は、メタキシリレンジアミン0〜50モル%及びパラキシレンジアミン50〜100モル%が好ましく、フィルムする際の成形加工性を重視する場合は、メタキシリレンジアミン50〜100モル%及びパラキシレンジアミン0〜50モル%が好ましい。
ジアミン成分として、キシリレンジアミン以外のジアミンを用いる場合は、ジアミン構成単位の30モル%未満であり、好ましくは1〜25モル%、特に好ましくは5〜20モル%の割合で用いる。
また、安息香酸、プロピオン酸、酪酸等のモノカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等のカルボン酸無水物等も併用することもできる。
セバシン酸及びアジピン酸以外のジカルボン酸成分として、炭素原子数4〜20のα,ω−直鎖脂肪族ジカルボン酸以外のジカルボン酸を用いる場合は、成形加工性、バリア性の点から、イソフタル酸を用いることが好ましい。イソフタル酸の割合は、ジカルボン酸構成単位の30モル%未満であり、好ましくは1〜25モル%、特に好ましくは5〜20モル%の範囲である。
例えば、メタキシリレンジアミンとセバシン酸(又はアジピン酸)からなるポリアミド塩を水の存在下に、加圧下で昇温し、加えた水および縮合水を取り除きながら溶融状態で重合させる方法により製造される。また、メタキシリレンジアミンを溶融状態のセバシン酸(又はアジピン酸)に直接加えて、常圧下で重縮合する方法によっても製造される。この場合、反応系を固化させることの無いように、メタキシリレンジアミンを連続的に加えて、その間の反応温度が生成するオリゴアミド及びポリアミドの融点以上となるように反応系を昇温しつつ、重縮合が進められる。
加熱処理する方法として、例えば、回転ドラム等の回分式加熱装置を用いて、不活性ガス雰囲気中もしくは減圧下において、水の存在下で緩やかに加熱し、融着を回避しつつ結晶化させた後、更に加熱処理を行う方法、溝型攪拌加熱装置を用いて、不活性ガス雰囲気中で加熱し、結晶化させた後、ホッパー形状の加熱装置を用いて、不活性ガス雰囲気中で加熱処理する方法、溝型攪拌加熱装置を用いて結晶化させた後、回転ドラム等の回分式加熱装置を用いて加熱処理を行う方法等が挙げられる。
なかでも、回分式加熱装置を用いて、結晶化ならびに加熱処理を行う方法が好ましい。結晶化処理の条件としては、溶融重合で得られたポリアミド樹脂に対して1〜30質量%の水の存在下、かつ、0.5〜4時間かけて70〜120℃まで昇温することにより結晶化し、次いで、不活性ガス雰囲気中又は減圧下で、〔溶融重合で得られたポリアミド樹脂の融点−50℃〕〜〔溶融重合で得られたポリアミド樹脂の融点−10℃〕の温度で1〜12時間加熱処理する条件が好ましい。
また、ポリアミド樹脂(A)のガラス転移点は、50〜130℃の範囲であることが好ましい。ガラス転移点を上記範囲とすることによりガスバリア性が良好となる傾向にあり好ましい。
ポリアミド樹脂(A)の数平均分子量は、好ましくは6,000〜50,000であり、より好ましくは10,000〜43,000である。上記の範囲であると機械的強度及び成形性が良好な傾向となる。
なお、ポリアミド樹脂(A)には、上記のリン化合物の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、滑剤、艶消剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、核剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、着色防止剤、ゲル化防止剤等の添加剤等を加えることもできるが、以上に示したものに限定されることなく、種々の材料を混合して加えても良い。
ポリアミド12単位又はポリアミド11単位とポリエーテル単位から構成されるポリエーテル共重合ポリアミド(B)は、ポリアミド12単位(ドデカンアミド単位)又はポリアミド11単位(ウンデカンアミド単位)とポリオキシアルキレングリコールなどのポリエーテル単位とから主として構成される。通常は、ポリアミド12単位又はポリアミド11単位を含むポリアミド単位が15〜90質量%とポリエーテル単位が85〜10質量%とから主として構成される。本発明で用いるポリエーテル共重合ポリアミド(B)は、セグメント化共重合体であることが好ましい。
なお、軟化点とは、JIS K2207規格に準拠して測定される温度である。
また、ポリエーテル共重合ポリアミド(B)は、市販されており、これらの中から適宜選択してもよい。
有機ジイソシアネートとしては、具体的には、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアネート、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、メチレンビス(4,1−シクロへキシレン)=ジイソシアネート等を例示することができ、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジイソシアネート、メチレンビス(4,1−シクロヘキシレン)=ジイソシアネートが好ましい。
有機硫黄系化合物の分子量は、通常200以上、好ましくは500以上であり、その上限は通常3,000である。
銅化合物は、種々の無機酸又は有機酸の銅塩であって、後述のハロゲン化物を除くものである。銅としては、第1銅、第2銅の何れでもよく、銅塩の具体例としては、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅、リン酸銅、ステアリン酸銅の他、ハイドロタルサイト、スチヒタイト、パイロライト等の天然鉱物が挙げられる。
なお、ここでのポリアミド樹脂組成物及びポリアミド樹脂(A)の弾性率は、厚みが100μmのフィルムについて、その引張特性をJIS K7127及びK7161に準じて試験し、引張弾性率(MPa)を求めることにより、測定される。
具体的な装置は、東洋精機株式会社製ストログラフを使用し、試験片幅を10mm、チャック間距離を50mm、引張速度を50mm/分とし、測定温度を23℃、測定湿度を50%RHとして測定した。フィルムは、厚みが100μmで、無延伸フィルムである。
また、予め、ポリアミド樹脂添加剤を高濃度で溶融混練してマスターバッチを製造し、その後ポリアミド樹脂で希釈して、所定の配合比の組成物を製造することも出来る。
フィルム又はシートを製造する代表的な製膜法としては、T型ダイから押し出されたフィルム又はシート状物の冷却固化をチルドロールによりキャストして冷却するTダイ法、環状スリットを有するダイからチューブ状物を押し出し、チューブ内に空気を吹き込み膨張させて空冷又は水冷し成形するインフレーション法などが挙げられる。この様にして成形されたフィルム/シートは、未延伸のまま、又は、一軸延伸、二軸延伸などの延伸工程を経て延伸フィルム/シートとして使用される。
また、単層であってもよいし、共押出やラミネート等による他の樹脂との積層であってもよい。
このような複合材を得るには、できるだけ薄いフィルムを使用することが好ましい。ポリアミド樹脂組成物を、例えば50μm以下の薄いフィルム状にするには、直接フィルム化することでもよく、またポリアミド樹脂組成物とポリオレフィン樹脂とを積層し、積層フィルムを得、これからポリオレフィン樹脂層を剥離して製造することも好ましい。
積層樹脂フィルムを製造する方法については、特に制限はなく、公知の方法を採用できる。好ましい方法を説明すると、ポリアミド樹脂組成物とポリオレフィン樹脂を、例えば、Tダイ共押出機、インフレ−ション共押出機等を使用して共押出成形して、ポリアミド樹脂組成物/ポリオレフィン樹脂積層フィルムを得る。
Tダイ共押出で製造する場合は、押出機により混練、押し出された各溶融樹脂は、2種2層あるいは2種3層に積層可能なTダイに導入され、その内部で積層され、溶融フィルムとしてTダイより押し出される。ここで、各層の層比は、種々の層比として設定することができ、押し出された溶融フィルムは、冷却ロールで加圧冷却されて所定膜厚に形成される。
積層フィルムの膜厚としては、ポリアミド樹脂組成物層が、5〜50μmであることが好ましく、より好ましくは10〜30μmである。この範囲であると積層フィルムの成形性が良好である。
また、ポリオレフィン樹脂層の厚みは、5〜50μm位であることが好ましく、より好ましくは10〜30μmである。ポリオレフィン樹脂層の厚みが上記範囲であると、積層樹脂フィルムの成形性が良好となる傾向にあり好ましい。また、積層フィルムを剥離する際に層間の剥離性が良好であり、ポリアミド樹脂組成物層の巻取り性が良好であり、巻きシワの無いポリアミド樹脂組成物からなるフィルムロールとしやすい傾向にあり好ましい。
ポリエチレン系樹脂の具体例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高圧法低密度ポリエチレン(HPLDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、低結晶性エチレン−1−ブテンランダム共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。これらは1種を単独で使用しても2種以上を併用しても良い。
また、ポリオレフィン樹脂はスリップ剤を含有しても良い。スリップ剤を含有することで、ポリオレフィン樹脂層/ポリアミド樹脂組成物層の2層フィルムあるいはポリオレフィン樹脂層/ポリアミド樹脂組成物層/ポリオレフィン樹脂層の3層積層フィルムの巻取りが容易になり、シワのない優れた品質の積層フィルムロールを得ることができ、それを剥離したポリアミド樹脂組成物フィルムもシワのないものとしやすい傾向となる。
得られるポリアミド樹脂組成物フィルムの膜厚は、薄いものが好ましく、5〜50μmであることが好ましく、より好ましくは10〜30μmである。
繊維材料(F)としては、植物繊維、炭素繊維、ガラス繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、セラミック繊維、アラミド繊維、ポリオキシメチレン繊維、芳香族ポリアミド繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、スチール繊維等の金属繊維などが挙げられる。なかでも、軽量でありながら、高強度、高弾性率であるという優れた特徴を有するため、炭素繊維が好ましく用いられる。
また、ポリアミド樹脂組成物との濡れ性、界面密着性を向上させるために、シランカップリング剤、収束剤又は表面処理剤(例えば、エポキシ系化合物、アクリル系化合物、イソシアネート系化合物、シラン系化合物、チタネート系化合物等の官能性化合物)で表面処理したものを用いるのも好ましい。
ポリアミド樹脂組成物フィルムと繊維材料(F)を積層する工程が、ポリアミド樹脂組成物フィルムとボビンに巻かれた繊維材料(F)を開繊しながら加圧する工程をとる場合、あるいはボビンに巻かれたモノフィラメント状の繊維材料(F)を繰出しながら加圧する工程を取る場合は、繊維材料(F)の直径は1〜300μmが好ましく、2〜200μmがより好ましく、3〜100μmがさらに好ましい。この範囲であると、得られる複合材の強度が良好になる傾向にある。
得られる積層物の厚みは、繊維材料(F)層が5〜300μmが好ましく、より好ましくは10〜250μm程度であり、ポリアミド樹脂組成物層は5〜50μmが好ましく、より好ましくは7〜30μmであり、特に好ましくは10〜25μmである。
加熱加圧は、ポリアミド樹脂組成物フィルム/繊維材料の積層物を、複数枚以上重畳した重畳物に対して、行うのが好ましい。例えば、ポリアミド樹脂組成物フィルム/繊維材料積層物の少なくとも2枚、好ましくは5枚以上を、その両外側がポリアミド樹脂層になるように重ね合せた重畳物に対して加熱加圧するのが望ましい。
上記熱処理は、複合材を金型から取り出した後に行うこともできるし、金型内で行うこともできる。金型内で行う際は複合材を成形した金型とは別の金型内で処理しても良いし、同一の金型の温度を熱処理に適した温度に変化させて処理することもできる。
このような複合材は、熱可塑性樹脂材料からなるので、これをそのまま、あるいは所望の形状・サイズに切断して、これを成形材料として使用し、これを金型に入れて成形し、各種の成形品を得ることが可能である。
本発明におけるポリアミド樹脂(A)として、以下の製造例で製造したものを使用した。
<製造例1(ポリメタキシリレンセバカミド(MXD10)の合成)>
反応缶内でセバシン酸(伊藤製油製、TAグレード)を170℃にて加熱し溶融した後、内容物を攪拌しながら、メタキシリレンジアミン(三菱ガス化学(株)製、MXDA)をセバシン酸とのモル比が1:1になるように徐々に滴下しながら、温度を240℃まで上昇させた。滴下終了後、260℃まで昇温した。反応終了後、内容物をストランド状に取り出し、ペレタイザーにてペレット化した。得られたペレットをタンブラーに仕込み、減圧下で固相重合し、分子量を調整したポリアミド樹脂を得た。
下記の方法で測定されたポリアミド樹脂(MXD10)の融点は191℃、ガラス転移点は60℃、数平均分子量は30,000、酸素透過係数は0.8cc・mm/m2・day・atmであった。
以下、このポリアミド樹脂を、「MXD10」と略記する。
攪拌機、分縮器、冷却器、温度計、滴下装置及び窒素導入管、ストランドダイを備えた反応容器に、精秤したセバシン酸(伊藤製油製、TAグレード)8950g(44mol)、次亜リン酸ナトリウム一水和物13.7401g(ポリアミド樹脂中のリン原子濃度として300ppm)、酢酸ナトリウム10.6340gを秤量して仕込んだ。なお、次亜リン酸ナトリウムと酢酸ナトリウムのモル比は1.0である。反応容器内を十分に窒素置換した後、窒素で0.3MPaに加圧し、攪拌しながら160℃に昇温してセバシン酸を均一に溶融した。
次いでパラキシリレンジアミン(PXDA)6026g(44mol)を攪拌下で170分を要して滴下した。この間、内温は281℃まで連続的に上昇させた。滴下工程では圧力を0.5MPaに制御し、生成水は分縮器及び冷却器を通して系外に除いた。分縮器の温度は145〜147℃の範囲に制御した。パラキシリレンジアミン滴下終了後、0.4MPa/hrの速度で降圧し、60分間で常圧まで降圧した。この間に内温は299℃まで昇温した。その後0.002MPa/minの速度で降圧し、20分間で0.08MPaまで降圧した。その後攪拌装置のトルクが所定の値となるまで0.08MPaで反応を継続した。0.08MPaでの反応時間は10分であった。その後、系内を窒素で加圧し、ストランドダイからポリマーを取り出してこれをペレット化しポリアミド樹脂を得た。得られたポリアミド樹脂PXD10の融点は290℃、ガラス転移点は75℃であった。数平均分子量は25000、酸素透過係数は2.5cc・mm/m2・day・atmであった。
以下、このポリアミド樹脂を、「PXD10」と略記する。
製造例1において、メタキシリレンジアミンをメタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンの3:7混合物(モル比)とし、混合キシリレンジアミンをセバシン酸とのモル比が1:1になるように徐々に滴下しながら、温度を260℃まで上昇させた。滴下終了後、280℃まで昇温した以外は製造例1と同様にして、ポリアミド樹脂を得た。
下記記載の方法で測定されたポリアミド樹脂(MPXD10−1)の融点は258℃、ガラス転移点は70℃、数平均分子量は20,000、酸素透過係数は2cc・mm/m2・day・atmであった。
以下、このポリアミド樹脂を、「MPXD10−1」と略記する。
製造例1において、メタキシリレンジアミンをメタキシリレンジアミンとパラキシリレンジアミンの7:3混合物(モル比)とした以外は製造例1と同様にして、ポリアミド樹脂を得た。
下記記載の方法で測定されたポリアミド樹脂(MPXD10−2)の融点は215℃、ガラス転移点は63℃、数平均分子量は28,000、酸素透過係数は1.4cc・mm/m2・day・atmであった。
以下、このポリアミド樹脂を、「MPXD10−2」と略記する。
・ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)
三菱ガス化学製、商品名「MXナイロンS6007」
融点240℃、ガラス転移点85℃、数平均分子量40000、相対粘度2.65
以下、このポリアミド樹脂を、「MXD6」と略記する。
宇部興産社製、商品名「UBESTA XPA 9055X1」
ポリエーテル共重合ポリアミド12、ショアD硬度55、融点164℃
以下、このポリアミド樹脂を、「PE/N12」と略記する。
島津製作所(株)製DSC−60を用いて、示差走査熱量測定(DSC)法により測定した。測定条件は、約5mgのサンプルを30〜300℃まで10℃/minの条件で昇温し、300℃で2分間保持した後、30℃まで20℃/minの速度で降温する。次いで、10℃/minの条件で昇温し、融点、ガラス転移点を測定した。
東ソー(株)製HLC−8320GPCを用いて、GPC測定によりPMMA換算値として求めた。なお、測定用カラムはTSKgel SuperHM−Hを用い、溶媒にはトリフルオロ酢酸ナトリウムを10mmol/L溶解したヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)を用い、測定温度は40℃とした。また、検量線は6水準のPMMAをHFIPに溶解させて測定し作成した。
脂環式ポリカルボジイミド化合物、日清紡績社製、商品名「カルボジライトLA−1」
以下、このカルボジイミド化合物を、「カルボジイミド」と略記する。
安定剤(D):
塩化銅/ヨウ化カリウム混合物
塩化銅:ヨウ化カリウム=1:10(質量比)の混合物
以下、「CuCl/KI」と略記する。
なお、表1〜2における(C)、(D)成分の使用量は、ポリアミド樹脂(A)100質量に対する質量部である。
上記の各成分を、後記表1、表2に記した割合(各ポリアミド樹脂の割合は質量%、添加剤の配合量は樹脂成分合計100質量部に対する質量部)でドライブレンドし、シリンダー径30mmのTダイ付き単軸押出機(プラスチック工学研社製、PTM−30)に供給した。シリンダー温度260℃、スクリュー回転数30rpmの条件で溶融混練を行った後、Tダイを通じてフィルム状物を押出し冷却ロール上で固化し、厚さ100μmのフィルムを得た。
得られたフィルムを用いて、下記記載の各種評価を行った。結果を表1〜2に示す。
実施例1において、ペレット製造の際のシリンダー温度を各ポリアミド樹脂の融点+25℃としてポリアミド樹脂組成物のペレットを製造し、フィルム製造時のシリンダー温度を各ポリアミド樹脂の融点+25℃としてフィルムを製造した以外は、実施例1と同様にして、評価を行った。
評価結果を表2に示す。
なお、実施例及び比較例において、測定・評価方法は、下記のとおりである。
(1)引張弾性率(単位:MPa)
フィルムの引張特性をJIS K7127及びK7161に準じて試験し、引張弾性率(MPa)を求めた。なお、装置は東洋精機株式会社製ストログラフを使用し、試験片幅を10mm、チャック間距離を50mm、引張速度を50mm/minとし、測定温度を23℃、測定湿度を50%RHとして測定した。
フィルムの引張特性をJIS K7127及びK7161に準じて試験し、フィルム破壊時のひずみを求め、その値を引張り伸びとした。なお、装置は東洋精機株式会社製ストログラフを使用し、試験片幅を10mm、チャック間距離を50mm、引張速度を50mm/minとし、測定温度を23℃、測定湿度を50%RHとして測定した。
フィルムを23℃の条件で蒸留水に浸漬し24時間経過後、表面の水分をふき取った後、カールフィシャー水分計にて主要成分の樹脂の融点より10℃低い温度で加熱し、吸水率の測定を行った。
23℃、75%RHの雰囲気下にて、JIS K7126に準じてフィルムの酸素透過係数(cc・mm/m2・day・atm)を測定した。測定は、モダンコントロールズ社製、OX−TRAN2/21を使用した。値が低いほど、ガスバリア性が良好であることを示す。
[複合材の製造]
上記実施例4で製造したPE/N12入りMXD10ポリアミド樹脂組成物(MXD10系ポリアミドという。)を、30mmφのスクリューを有する単軸押出機にて溶融押出しし、また、高圧法低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製、商品名「ノバテックUF421」)を、30mmφのスクリューを有する単軸押出機にて溶融押出しし、500mm幅のTダイを介して共押出成形し、450mm幅のポリエチレン層(30μm厚)/MXD10系ポリアミド層(25μm厚)の2層キャストフィルムを得た。
得られた2層フィルムを400mm幅にスリットし、ポリエチレン層とMXD10系ポリアミド層の界面を剥離しながら、それぞれロール状に巻き取り、長さ500mm、厚み25μm、幅400mmのロール状のMXD10系ポリアミド単層フィルムを得た。
次いで、得られた20cm×20cmに切断した積層物10枚を重ね合わせて重畳物とし、さらに前記MXD10系ポリアミド単層フィルムを重畳物最表面の炭素繊維層側に重ねて、260℃の金型で圧力1MPaにて熱プレス処理を行い、両表面がMXD10系ポリアミドの板状の成形品を得た。得られた成形品の炭素繊維含有率は40容量%であった。得られた成形品に、加熱オーブンにて、130℃×4分の熱処理を施した。
得られた成形品の引張り弾性率、そり量、熱水処理後の弾性率の評価を行った。
(1)引張弾性率:成形品を1cm×10cmの形状とし、JIS K7113に準じて引張試験を実施した。
(2)そり量:試料片(20cm×20cm)の中心より10cmの点でのそり量を測定した。なお、そり量とは、試料片の最大高さより試料片の厚みを引いたものである。そり量が少ないほど寸法安定性が良好であることを意味する。
(3)熱水処理後の弾性率:成形品を1cm×10cmの形状とし、100℃の沸水中で240時間浸漬後、引張試験を実施した。
この実施例9で示したように、本発明のポリアミド樹脂組成物と繊維材料(F)の積層物を加熱加圧して得られた複合材は、優れた弾性率、低そり性を有し、高温高湿度下での物性低下が少なく、優れたものであることがわかった。
また、本発明のポリアミド樹脂組成物のフィルムと繊維材料を積層し、積層物を加熱加圧したものは、従来の熱硬化性樹脂に比べて、リサイクル特性、成形性、生産性にも優れており、薄くても機械的強度に優れるため、製品としたときの軽量化が可能であり、得られる複合材は、各種部品等に利用でき、特に、電気・電子機器の部品、自動車部品・部材として好ましく使用できる。
以上、本発明のポリアミド樹脂組成物は、広範な分野で好ましく使用でき、産業上の利用性は非常に高いものがある。
Claims (12)
- ジアミン構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、ジカルボン酸構成単位の50モル%以上がセバシン酸又はアジピン酸に由来するポリアミド樹脂(A)を60〜99質量%と、ポリアミド12単位又はポリアミド11単位とポリエーテル単位から構成されるポリエーテル共重合ポリアミド(B)を40〜1質量%含有することを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
- キシリレンジアミンが、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン又はこれらの混合物であることを特徴とする請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
- さらに、カルボジイミド化合物(C)を、ポリアミド樹脂(A)100質量部に対し、0.1〜2質量部含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のポリアミド樹脂組成物。
- カルボジイミド化合物(C)が、脂肪族又は脂環式ポリカルボジイミド化合物であることを特徴とする請求項3に記載のポリアミド樹脂組成物。
- さらに、安定剤(D)を、ポリアミド樹脂(A)100質量部に対し、0.01〜1質量部含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 安定剤(D)が、無機系安定剤、芳香族第2級アミン系安定剤及び有機硫黄系安定剤から選ばれることを特徴とする請求項5に記載のポリアミド樹脂組成物。
- ポリアミド樹脂(A)が、メタキシリレンジアミンとセバシン酸とを重縮合して得られるポリアミド樹脂であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
- ポリアミド樹脂(A)が、メタキシリレンジアミンとアジピン酸とを重縮合して得られるポリアミド樹脂であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
- フィルムにした際の引張弾性率(E)が、ポリアミド樹脂(A)をフィルムにした際の引張弾性率(EA)に対し、70〜97%の弾性率を示すことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる成形品。
- 成形品が、フィルム、シート又はチューブであることを特徴とする請求項10に記載の成形品。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物からなるフィルムと繊維材料(F)を積層し、積層物を加熱加圧したものであることを特徴とする複合材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2011158513A JP5729189B2 (ja) | 2010-07-23 | 2011-07-20 | ポリアミド樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010165718 | 2010-07-23 | ||
JP2010165718 | 2010-07-23 | ||
JP2011158513A JP5729189B2 (ja) | 2010-07-23 | 2011-07-20 | ポリアミド樹脂組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2012041526A JP2012041526A (ja) | 2012-03-01 |
JP5729189B2 true JP5729189B2 (ja) | 2015-06-03 |
Family
ID=45898182
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2011158513A Active JP5729189B2 (ja) | 2010-07-23 | 2011-07-20 | ポリアミド樹脂組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5729189B2 (ja) |
Families Citing this family (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
FR2948377B1 (fr) * | 2009-07-23 | 2011-08-05 | Arkema France | Composition a base de polyamides, objet obtenu a partir d'une telle composition et leurs utilisations |
JP6229984B2 (ja) | 2013-03-08 | 2017-11-15 | ナガセケムテックス株式会社 | ポリアミド6の製造方法 |
FR3027907B1 (fr) * | 2014-11-05 | 2018-03-30 | Arkema France | Composition a base de polymere thermoplastique visqueuse et stable a la transformation, sa preparation et ses utilisations |
JP6841221B2 (ja) * | 2016-03-30 | 2021-03-10 | 東レ株式会社 | 繊維強化ポリアミド樹脂基材、その製造方法、それを含む成形品および複合成形品 |
US10717830B2 (en) * | 2016-05-13 | 2020-07-21 | Ykk Corporation | Polyamide resin composition for slide fastener, slide fastener component, and slide fastener provided with same |
JP6922519B2 (ja) * | 2017-07-27 | 2021-08-18 | 三菱瓦斯化学株式会社 | 樹脂組成物、成形品、繊維およびフィルム |
JP6583648B2 (ja) * | 2017-12-28 | 2019-10-02 | 宇部興産株式会社 | 積層構造体 |
JP7138015B2 (ja) * | 2018-11-06 | 2022-09-15 | 三菱瓦斯化学株式会社 | 繊維強化樹脂材料の製造方法 |
CN119217698A (zh) * | 2024-11-29 | 2024-12-31 | 安徽紫金新材料科技股份有限公司 | 一种高挺度牙膏包装管材的制备工艺 |
Family Cites Families (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5222094A (en) * | 1975-08-13 | 1977-02-19 | Toyobo Co Ltd | Process for producing block copolymers having xylylene groups |
JPS5927948A (ja) * | 1982-08-06 | 1984-02-14 | Toray Ind Inc | 樹脂組成物 |
JPS63137955A (ja) * | 1986-12-01 | 1988-06-09 | Mitsubishi Gas Chem Co Inc | 成形用ポリアミド樹脂組成物 |
JPH06335522A (ja) * | 1992-12-01 | 1994-12-06 | Terumo Corp | 血液適合性材料 |
JP3430881B2 (ja) * | 1997-07-04 | 2003-07-28 | 宇部興産株式会社 | 三元コポリアミド |
JP3900322B2 (ja) * | 1998-01-09 | 2007-04-04 | 東洋紡績株式会社 | ポリアミド系積層フイルム |
JP2006297894A (ja) * | 2005-03-24 | 2006-11-02 | Ube Ind Ltd | ポリアミド積層二軸延伸フィルム |
JP5581567B2 (ja) * | 2006-10-26 | 2014-09-03 | 三菱瓦斯化学株式会社 | バリア性に優れた熱可塑性樹脂組成物 |
EP1992659B1 (de) * | 2007-05-16 | 2016-07-20 | EMS-Patent AG | Polyamidformmassen-Schmelze zur Herstellung von transparenten Formteilen |
JP5407789B2 (ja) * | 2009-11-16 | 2014-02-05 | 三菱瓦斯化学株式会社 | 耐加水分解性に優れる熱可塑性樹脂組成物 |
-
2011
- 2011-07-20 JP JP2011158513A patent/JP5729189B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2012041526A (ja) | 2012-03-01 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5729189B2 (ja) | ポリアミド樹脂組成物 | |
US8603600B2 (en) | Polyamide resin compositions | |
JP4894982B1 (ja) | ポリアミド樹脂系複合材およびその製造方法 | |
JP6156150B2 (ja) | 成形品 | |
JP5581567B2 (ja) | バリア性に優れた熱可塑性樹脂組成物 | |
JP5240035B2 (ja) | バリア性に優れた積層体 | |
JP6108055B1 (ja) | 延伸フィルム、延伸フィルムの製造方法、および、ポリアミド樹脂組成物 | |
WO2008050793A1 (en) | Thermoplastic resin composition excellent in barrier property | |
CA2604553A1 (en) | Mxd. 10 polyamide-based barrier structures | |
JP5853446B2 (ja) | ポリアミド樹脂組成物 | |
JP5842824B2 (ja) | ポリアミド樹脂フィルム及びその製造方法 | |
JP5652025B2 (ja) | 複合材の製造方法および成形品 | |
JP2010248418A (ja) | バリア性に優れた熱可塑性樹脂組成物 | |
JP2010248417A (ja) | バリア性に優れた熱可塑性樹脂組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20120731 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20120809 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20140318 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20150310 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20150323 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 5729189 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |