JP5723234B2 - 溶接熱影響部の靭性に優れた厚鋼板 - Google Patents
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但し、上式で[ ]は各元素の含有量(質量%)を示す。
酸化物の円相当径を2μm未満とすることで、IGB生成の促進によってHAZ靭性を促進することができる。酸化物の円相当径が2μm以上であると、HAZ高温加熱における液状化が十分に進行せず、IGBの生成量が減少し、HAZ靭性が低下する。また、酸化物の組成が、10%<Ti、Al<20%、5%<Ca<40%、5%<REM<50%、5%<Zr<40%という範囲から外れると、HAZにおける液状化→結晶化過程が進行せず、IGB生成が促進されなくなる。また、円相当径が2μm未満の酸化物が300個/mm2より少ないと、IGB生成の起点が不足するため、やはりIGBの生成量が減少し、十分なHAZ靭性が得られなくなる。
円相当径が2μm以上5μm未満の酸化物は、前記した規定の組成を有する円相当径が2μm未満の酸化物に比べてIGBの生成能が高いため、30個/mm2以上分散させることで、引張り強度80キロクラスの高強度鋼板においても、HAZ組織の微細化に著しい効果がある。一方で、個数密度が70個/mm2を超えると、脆性破壊起点としての悪影響が顕在化するため、70個/mm2以下に制御する必要がある。
円相当径が5μm以上の酸化物は、脆性破壊起点としてのHAZ靭性に大きな悪影響を及ぼすため、30個/mm2未満に制御する必要がある。
上記した要件を満足する本発明の厚鋼板、特に、酸素を除く構成元素が、質量%で、10%<Ti、Al<20%、5%<Ca<40%、5%<REM<50%、5%<Zr<40%である酸化物を含有し、且つ、その酸化物のうち、円相当径が2μm未満の酸化物が300個/mm2以上、円相当径が2μm以上5μm未満の酸化物が30〜70個/mm2、円相当径が5μm以上の酸化物が30個/mm2未満、夫々存在する厚鋼板を製造するためには、以下の製造要件を満足するようにして、厚鋼板を製造する必要がある。
ta=4−10×[Ca]/([Ti]+2[Al]+5[REM]+2[Zr]+0.01)
tb=25−40×[Ca]/([Ti]+2[Al]+5[REM]+2[Zr]+0.01)
但し、[Ca]、[Ti]、[Al]、[REM]、および[Zr]は、夫々Ca、Ti、Al、REM、およびZrの溶鋼への添加量(質量%)を示す。
B=[Of]×[Ti]/(0.25×[REM]+0.12×[Zr])
但し、[Of]はCa添加前の溶存酸素量(質量%)、[Ti]、[REM]、および[Zr]は、夫々Ti、REM、およびZrの溶鋼への添加量(質量%)を示す。
Al添加前の溶鋼中の溶存酸素量が0.002%より低い場合は、IGB生成の起点となる適切な組成を有する酸化物系介在物を必要量確保できなくなる。また、溶存酸素量が0.01%より高い場合は、円相当径が2μm以上の粗大介在物が増加し、HAZ靭性を劣化させてしまう。
この添加順序以外の順序で各元素を添加すると、IGB生成の起点となる適切な組成を有する酸化物系介在物を必要数確保できなくなる。特に、Caは脱酸力が極めて強いため、TiやAlに先立って添加すると、TiやAlと結びつく酸素が全てなくなってしまうことになる。
Ti添加からCa添加までの時間t1が3分よりも短くなると、Ca添加に先立つ酸化物の反応が十分に進行せず、IGB生成の起点となる適切な組成を有する酸化物系介在物を必要数確保できなくなる。また、この時間t1が20分より長くなると、Ca添加に先立つ酸化物の反応が過剰に進行し、IGB生成の起点となる適切な組成を有する酸化物系介在物を必要数確保できなくなる。
Ca添加から鋳込み開始までの時間t2は、酸化物の生成状況に影響を及ぼす要件であり(Caが他の酸化物から酸素を奪って酸化物を形成する時間)、この時間t2がta(分)以下になると、Ca添加後の酸化物反応が十分に進行せず、IGB生成の起点となる適切な組成を有する酸化物系介在物を必要数確保できなくなる。また、この時間t2がtb(分)以上になると、Ca添加後の酸化物の反応が過剰に進行し、IGB生成の起点となる適切な組成を有する酸化物系介在物を必要数確保できなくなる。尚、taとtbを求める式は、各元素の酸化物へのなり易さを考慮し、実験によって求められたものである。
鋳造時の1500〜1450℃における冷却時間t3が300秒を超えると、円相当径で5μm以上の粗大な酸化物系介在物の生成量が増加し、HAZ靭性が劣化することになる。
[Ti]/([REM]+[Zr])で求められる値が0.8を下回ると、弱脱酸元素であるTiに比べ、強脱酸元素であるREM、Zrの添加量が多くなる。このような添加量であると、溶鋼中のフリー酸素濃度が低下し、続くCa添加時における酸化物成長速度が低下するため、円相当径が2μm以上5μm未満の酸化物を30個/mm2以上確保することができなくなる。一方、[Ti]/([REM]+[Zr])で求められる値が11.8以上になると、逆に円相当径が2μm以上5μm未満の酸化物が70個/mm2を超えてしまう。
また、発明者らは、前記酸化物の制御に加えて、厚鋼板に微細なTi含有窒化物を適切な個数以上含有させることで、HAZ熱サイクル中のオーステナイト粒粗大化をピン止めにより抑制し、HAZ組織を微細化することで靭性向上に寄与できること、特にHAZ靭性の平均値を向上させることができることを見出した。
上記した要件を満足する本発明の厚鋼板、即ち、円相当径が0.05μm未満のTi含有窒化物を5.0×106個/mm2以上含有する厚鋼板を製造するためには、前記した製造要件に加えて、以下の製造要件を満足するようにして、厚鋼板を製造する必要がある。
圧延前の加熱温度が1050℃を下回ると、十分な個数のTi含有窒化物が析出しない。一方、圧延前の加熱温度が1200℃を上回ると、Ti含有窒化物の粗大化が進行し、所定のサイズを有する粒子が十分に得られなくなる。
Ti含有窒化物は、圧延中にも歪誘起で析出する。900℃以上での圧下率が40%を下回ると、歪量が不足し、所定の分散を得られなくなる。また、900℃未満では、Ti拡散が十分に進行しなくなるため、たとえ圧下率が確保されていても、同様に所定の分散を得られなくなる。
次に、本発明の厚鋼板における化学成分組成について説明する。本発明の厚鋼板は、酸化物、Ti含有窒化物の分散状態等が適切であっても、夫々の化学成分(元素)の含有量が適正範囲内でなければ、母材(厚鋼板)の特性とHAZを良好にすることができない。従って、本発明の厚鋼板では、夫々の化学成分の含有量が、以下に説明する範囲内にあることも要件とする。これらの化学成分のうち、酸化物を構成するAl、Ca、Ti等の含有量は、その作用効果から明らかなように、酸化物を構成する量を含めたものである。尚、下記の化学成分の含有量(%)は全て質量%を示す。
Cは、鋼板の強度を確保するための必須元素である。Cの含有量が0.03%より低い場合は、必要な強度を確保できなくなる。一方で、Cの含有量が過剰になると、硬質な島状マルテンサイト(MA)が多く生成して母材の靭性劣化を招くことになる。従って、Cの含有量は0.12%以下とする必要がある。Cの含有量の好ましい下限は0.04%、好ましい上限は0.10%である。
Siは、鋼板の強度を確保するための有効な元素である。また、Ti活量を上昇させる作用があり、少量の添加はHAZ靭性の向上に有効なTiNの微細分散を促進する。しかしながら、過剰に添加すると、硬質な島状マルテンサイト(MA)が多く生成してHAZ靭性に悪影響を及ぼす。従って、Siの含有量は0.02〜0.50%とする。好ましい下限は0.05%、より好ましい下限は0.10%、更に好ましい下限は0.20%であり、好ましい上限は0.40%、より好ましい上限は0.30%である。
Mnは、鋼板の強度を確保するのに有用な元素であり、こうした効果を有効に発揮させるには1.4%以上含有させる必要がある。しかし、3.0%を超えて過剰に含有させるとHAZの強度が上昇しすぎてHAZ靭性に悪影響を及ぼすので、Mnの含有量は1.4〜3.0%とする。好ましい下限は1.5%、より好ましい下限は1.6%、更に好ましい下限は1.8%であり、好ましい上限は2.8%、より好ましい上限は2.5%である。
Pは、粒界破壊を起こし易く靭性に悪影響を及ぼす不純物元素であるので、その含有量はできるだけ少ないことが好ましい。母材およびHAZの靭性を確保するという観点からして、Pの含有量は0.03%以下に抑制する必要があり、好ましくは0.02%以下とする。しかし、工業的に鋼中のPを0%にすることは困難である。
Sは、Mn硫化物を形成して母材の靭性を劣化させる元素であるので、その含有量はできるだけ少ないことが好ましい。母材の靭性を確保するという観点からして、Sの含有量は0.015%以下に抑制する必要があり、好ましくは0.010%以下とする。しかし、工業的に鋼中のSを0%にすることは困難である。
Alは、Ti、Ca、REM、Zrに先立ち添加することによって、IGBの生成に有効な酸化物を形成する上で有用な元素である。しかしながら、その含有量が過剰であると粗大酸化物が生成して母材およびHAZの靭性が劣化するので、0.07%以下に抑える必要がある。Alの含有量の好ましい下限は0.005%、より好ましい0.01%であり、好ましい上限は0.06%、より好ましい上限は0.04%である。
Crは、鋼板の強度確保に有効な元素であり、強度確保のため0.5%以上添加する必要がある。しかし、過剰に添加すると、HAZ強度の過大な上昇を招き、HAZの靭性に悪影響を及ぼすため、2.0%以下に抑える必要がある。Crの含有量の好ましい下限は0.6%、より好ましい0.7%であり、好ましい上限は1.8%、より好ましい上限は1.6%である。
Tiは、Alの添加後、Ca、REMやZrに先立ち添加することによって、IGBの生成に有効な酸化物を形成してHAZ靭性の向上に寄与する元素である。こうした効果を有効に発揮させるためには、0.010%以上含有させる必要がある。しかしながら、その含有量が過剰であると粗大酸化物が多く生成してHAZ靭性を劣化させるので、0.080%以下に抑える必要がある。Tiの含有量の好ましい下限は0.012%、好ましい上限は0.060%である。
REM(希土類元素)は、Tiの添加後、Caの添加に先立って添加することで、IGBの生成に有効な酸化物を形成し、HAZ靭性の向上に寄与する元素である。こうした効果は、それらの含有量が増加するにつれて増大するが、こうした効果を有効に発揮させるためには、0.0003%以上含有させる必要がある。しかし、過剰に含有させると、酸化物が粗大になって母材およびHAZの靭性を劣化させるため、0.02%以下に抑えるべきである。REMの含有量の好ましい下限は0.0005%、好ましい上限は0.015%である。
Zrは、REMと同様にTiの添加後、Caの添加に先立って添加することで、IGBの生成に有効な酸化物を形成し、HAZ靭性の向上に寄与する元素である。こうした効果は、それらの含有量が増加するにつれて増大するが、こうした効果を有効に発揮させるためには、0.0003%以上含有させる必要がある。しかし、過剰に含有させると、酸化物が粗大になって母材およびHAZの靭性を劣化させるため、0.02%以下に抑えるべきである。Zrの含有量の好ましい下限は0.0005%、好ましい上限は0.015%である。
Caは、Ti、REM、Zrの添加後、3〜20分後に添加することによって、IGBの生成に有効な酸化物を形成してHAZ靭性の向上に寄与する元素である。こうした効果を有効に発揮させるためには、0.0005%以上含有させる必要がある。しかしながら、その含有量が過剰であると粗大酸化物が生成して母材およびHAZの靭性が劣化するので0.010%以下に抑える必要がある。Caの含有量の好ましい下限は0.0008%、好ましい上限は0.008%である。
Nは、高温で溶け残る窒化物(Ti含有窒化物)を形成することによって、母材およびHAZの靭性を確保する上で有用な元素である。その含有量を0.002%以上とすることで、所望のTi含有窒化物を確保することができる。しかし、その含有量が過剰になると、固溶N量が増大して歪時効によって母材およびHAZの靭性が劣化するので0.020%以下に抑える必要がある。Nの含有量の好ましい下限は0.003%、好ましい上限は0.018%である。
Ni、Cu、およびMoは、いずれもが鋼板の高強度化に有効な元素であり、その効果はそれらの含有量が増加するにつれて増大する。こうした効果を有効に発揮させるためには、いずれも0.05%以上含有させることが好ましい。しかし、それらを過剰に含有させると、強度の過大な上昇を招き、HAZ靭性に悪影響を及ぼすため、いずれも2.0%以下に抑えることが好ましい。これらの元素の含有量のより好ましい下限はいずれもが0.1%、更に好ましい下限はいずれもが0.15%であり、より好ましい上限はいずれもが1.8%、更に好ましい上限はいずれもが1.6%である。
NbおよびVは、炭窒化物として析出し、γ粒の粗大化を抑制することで、母材靭性を良好にするのに有効な元素である。その効果はそれらの含有量が増加するにつれて増大するが、こうした効果を有効に発揮させるためには、いずれも0.002%以上含有させることが好ましい。しかし、それらを過剰に含有させると、HAZ組織の粗大化を招き、HAZ靭性を劣化させるため、いずれも0.10%以下に抑えることが好ましい。それらの含有量のより好ましい下限はいずれもが0.005%、より好ましい上限はいずれもが0.08%である。
Bは、粗大なIGBの生成を抑制することで、母材およびHAZの靭性を向上させるのに有効な元素である。その効果はその含有量が増加するにつれて増大するが、こうした効果を有効に発揮させるためには、0.0003%以上含有させることが好ましい。しかし、その含有量が過剰になると、オーステナイト粒界でのBN析出を招き、母材およびHAZの靭性を劣化させるため、0.003%以下に抑えることが好ましい。Bの含有量のより好ましい下限は0.0005%、更に好ましい下限は0.0010%、最も好ましい下限は0.0015%であって、より好ましい上限は0.004%である。
以上の化学成分組成を満足した上で、本発明の厚鋼板は、D=62×[Mn]+27×[Ni]+111×[Cr]という式から求められるD値が、238<D<388を満足する必要がある(但し、前式で[ ]は各元素の含有量(質量%)を示す。)。このD値が238より低いと、酸化物起点のIGB生成が十分に得られなくなりHAZ靭性が低下してしまう。一方、D値が388より大きいと、HAZの強度が過大に上昇しHAZ靭性を確保できなくなる。
実施例1では、まず、表1および表2に示す各成分組成(尚、Al,Ti,REM,Zr,Caについては添加後の質量%を記載している。)の鋼を、真空溶解炉(VIF:150kg)によって溶製した後、その溶鋼を用いて鋳片(断面形状:150mm×250mm)を鋳造し、更にその鋳片を用いて熱間圧延を行うことで、板厚50mmの熱間圧延板を得た。
各厚鋼板の表面から深さt/4(t:板厚)の位置から試験片を切り出し(試験片の軸心がt/4の位置を通るように採取)、圧延方向および板厚方向に平行な断面を、Carl Zeiss社製の電界放射式走査型電子顕微鏡「SUPRA35(商品名)」(以下、FE−SEMと呼ぶ)を用いて観察した。その観察条件は、倍率:5000倍、観察視野:0.0024μm2、観察箇所:20箇所とした。画像解析によって、この観察視野中の各酸化物の面積を測定し、その面積から各酸化物の円相当径を算出した。尚、各酸化物が上記した成分組成を満足するものであることは、EDX(エネルギー分散型X線検出器)によって確認した。そして、円相当径が2μm未満となる酸化物の個数(N1)を1mm2相当の個数密度に換算して求めた。但し、円相当径が0.2μm以下となる酸化物については、EDXの信頼性が十分でないため、解析から除外した。
各厚鋼板の表面から深さt/4(t:板厚)の位置から試験片を切り出し(試験片の軸心がt/4の位置を通るように採取)、圧延方向および板厚方向に平行な断面を、FE−SEMを用いて観察した。その観察条件は、倍率:1000倍、観察視野:0.06μm2、観察箇所:20箇所とした。画像解析によって、この観察視野中の各酸化物の面積を測定し、その面積から各酸化物の円相当径を算出した。尚、各酸化物が上記した成分組成を満足するものであることは、EDX(エネルギー分散型X線検出器)によって確認した。そして、円相当径が2μm以上5μm未満となる酸化物の個数(N2)を1mm2相当の個数密度に換算して求めた。
各厚鋼板の表面から深さt/4(t:板厚)の位置から試験片を切り出し(試験片の軸心がt/4の位置を通るように採取)、圧延方向および板厚方向に平行な断面を、FE−SEMを用いて観察した。その観察条件は、倍率:1000倍、観察視野:0.06μm2、観察箇所:20箇所とした。画像解析によって、この観察視野中の各酸化物の面積を測定し、その面積から各酸化物の円相当径を算出した。尚、各酸化物が上記した成分組成を満足するものであることは、EDX(エネルギー分散型X線検出器)によって確認した。そして、円相当径が5μm以上となる酸化物の個数(N3)を1mm2相当の個数密度に換算して求めた。
各厚鋼板の表面から深さt/4(t:板厚)の位置から、12.5×32×55mmの試験片を切り出し、1400℃で5秒間保持した後、800℃〜500℃の冷却時間が200秒となるように速度を制御して冷却した。これは、角継ぎ手サブマージアーク溶接(入熱量:50kJ/mm)を模擬した熱サイクルである。これら試験片から、シャルピー衝撃試験片(JIS Z 2202のVノッチ試験片)を3本ずつ採取し、0℃でシャルピー衝撃試験を行い、吸収エネルギーvE0を測定した。これら各3本ずつのシャルピー衝撃試験測定結果から、最小の吸収エネルギーvE0(min)が70Jを超えるものを、HAZ靭性に優れると評価した。
各厚鋼板の表面から深さt/4(t:板厚)の位置から、圧延方向に直角にJIS Z 2201の4号試験片を採取し、JIS Z 2241の引張り試験を実施して、引張り強度TSを求めた。TS>780MPaを満たすものを強度に優れると評価した。
実施例2では、実施例1のNo.1、6、26、並びにそれらと略同様の成分組成(表5に示す。尚、Al,Ti,REM,Zr,Caについては添加後の質量%を記載している。)の鋼を、真空溶解炉(VIF:150kg)によって溶製した後、その溶鋼を用いて鋳片(断面形状:150mm×250mm)を鋳造し、更にその鋳片を用いて表6に示す要領で熱間圧延を行うことで、板厚50mmの熱間圧延板を得た。
各厚鋼板の表面から深さt/4(t:板厚)の位置から試験片を切り出し(試験片の軸心がt/4の位置を通るように採取)、圧延方向および板厚方向に平行な断面からTEMレプリカ試験片を作製し、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いてその断面を観察した。観察条件は、倍率:15万倍、観察視野:0.66μm×0.78μmで、4視野観察した。そして、EDX(エネルギー分散型X線検出器)によってTi、Nを含む粒子を判別してその粒子をTi含有窒化物とした。更に画像解析によって、この観察視野中のTi含有窒化物の面積を測定し、円相当径に換算して0.05μm未満のTi含有窒化物の個数を計測し、1mm2相当の個数密度に換算して求めた。但し、円相当径が0.01μm以下の粒子については、EDXの信頼性が十分でないため、解析から除外した。
HAZ靭性の評価のうち最小値については実施例1と同一の方法で評価したが、平均値は実施例1と同一の条件で作製された試験片から、シャルピー衝撃試験片(JIS Z 2202のVノッチ試験片)を3本ずつ採取し、−20℃でシャルピー衝撃試験を行い、吸収エネルギーvE−20を測定することで評価した。採取した各3本ずつのシャルピー衝撃試験測定結果より、吸収エネルギーの平均値vE−20(ave)を求め、吸収エネルギーvE−20(ave)が80Jを超えるものを、HAZ靭性に優れると評価した。
Claims (6)
- 質量%で、C:0.03〜0.12%、Si:0.02〜0.50%、Mn:1.4〜3.0%、P:0.03%以下(0%を含まない)、S:0.015%以下(0%を含まない)、Al:0.07%以下(0%を含む)、Cr:0.5〜2.0%、Ti:0.010〜0.080%、REM:0.0003〜0.02%、Zr:0.0003〜0.02%、Ca:0.0005〜0.010%、N:0.002〜0.020%を含有し、残部が鉄および不可避的不純物である厚鋼板であって、
D=62×[Mn]+27×[Ni]+111×[Cr]という式から求められるD値が、238<D<388を満足すると共に、
酸素を除く構成元素が、質量%で、10%<Ti、Al<20%、5%<Ca<40%、5%<REM<50%、5%<Zr<40%である酸化物を含有し、且つ、前記酸化物のうち、円相当径が2μm未満の酸化物が300個/mm2以上、円相当径が2μm以上5μm未満の酸化物が30〜70個/mm2、円相当径が5μm以上の酸化物が30個/mm2未満存在することを特徴とする溶接熱影響部の靭性に優れた厚鋼板。
但し、上式で[ ]は各元素の含有量(質量%)を示す。 - 酸素を除く構成元素が、質量%で、10%<Ti、Al<20%、8%<Ca<40%、5%<REM<50%、5%<Zr<40%であって、且つ、10%<REM+Zr<70%を満足し、更には、TiとCaの質量比が1超1.4未満である酸化物のうち、円相当径が2μm未満の酸化物が300個/mm2以上存在することを特徴とする請求項1記載の溶接熱影響部の靭性に優れた厚鋼板。
- 更に、円相当径が0.05μm未満のTi含有窒化物を5.0×106個/mm2以上含有することを特徴とする請求項1または2に記載の溶接熱影響部の靭性に優れた厚鋼板。
- 更に、質量%で、Ni:0.05〜2.0%、Cu:0.05〜2.0%、Mo:0.05〜2.0%よりなる群から選ばれる1種以上を含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の溶接熱影響部の靭性に優れた厚鋼板。
- 更に、質量%で、Nb:0.002〜0.10%および/またはV:0.002〜0.10%を含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の溶接熱影響部の靭性に優れた厚鋼板。
- 更に、質量%で、B:0.0003〜0.005%を含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の溶接熱影響部の靭性に優れた厚鋼板。
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