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JP5713851B2 - 積層成形品の成形方法 - Google Patents

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Description

本発明は積層成形品の成形方法並びに成形装置に関するものであり、特に、ドアトリム、リヤパーセルシェフ、リヤサイドトリム、ラゲージサイドトリム、ルームトリム等、自動車用内装部品に好適な積層成形品の成形方法並びに成形装置に関するものである。
この種、自動車用内装部品の成形方法並びに成形装置に関する技術は、従来から色々と提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
図9は車両のドアパネルの室内面に装着される自動車用ドアトリム1を示すものであり、図10は図9のC−C断面図である。同図において、自動車用ドアトリム1は、図9に示すように所要の形状に成形され、また形状保持性及びドアパネルへの取付剛性を備えた樹脂芯材2の表面に表面風合及びソフト感を付与する表皮3を貼付した積層成形品が使用されることが多い。また、その表皮3は、クロス、不織布の裏面にウレタン等を付与してなることが多い。
図11は、樹脂芯材2の表面に表皮3を貼付するようにしてなる前記ドアトリム1等の積層成形品を製造する、従来における成形装置の一構造例を示すものである。図11に示す成形装置は、成形金型6と、樹脂芯材2の材料を供給する材料供給機構としての射出用シリンダ7と、を備えている。また、成形金型6は、機能プレス機に連結される上型4と、この上型4と型締め・型開き可能な下型5とから構成されており、同図(b)に示すように下型5に射出用シリンダ7が連結され、この射出用シリンダ7から下型5に設けたマニホールド5a、ゲート5bを通じてキャビティ8内に溶融樹脂2aが供給されるようになっている。
次に、この成形装置を使用した成形方法を図11(a)〜(e)に従って説明する。まず、成形金型6における上型4を型開きした状態で、下型5の上に表皮3をセットして保持する(a)。次いで、上型4を下降操作して半閉じし、この状態で射出用シリンダ7から下型5に設けたマニホールド5a、ゲート5bを通じてキャビティ8内、すなわち表皮3の裏面と下型5の間に樹脂芯材2を形成するための溶融樹脂2aを所要量射出して供給する(b)。続いて、上型4をさらに下降操作し、表皮3と下型5の間で溶融樹脂2aを押し広げて所要形状の樹脂芯材2を形成するとともに、接着剤を使用することなく樹脂芯材2の表面に表皮3を貼着する(c)。また、樹脂芯材2が冷却したら上型を型開きし(d)、その後、取り出すと所要形状をしたドアトリム1が作製される。
特開2001−287237号公報。 特開2010−179485号公報。
しかしながら、図11に示した従来の成形方法では、溶融樹脂2aを表皮3の裏面に対しダイレクトに射出するため、表皮3にゲート跡(樹脂モレ、樹脂抜け等)が作られ、見映えを悪くする問題があった。
また、樹脂芯材2の成形時における樹脂圧により表皮3が過度の圧力を受ける。このため、布地仕様の場合には毛倒れが発生し、樹脂シートの場合には絞流出等、外観不良を招き易いという欠点が指摘されているとともに、ソフト感を損なう問題点があった。
さらに、ゲート跡や毛倒れが目立たないようにするのに、目付の高い表皮材料を使用する必要からコストアップになるという問題点があった。
また、さらに表皮の外周巻き込みを行う際、外周部分に接着剤を塗布して巻き込む必要があるため、作業工数の増加及び作業環境を悪化させる問題点があった。
そこで、本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、積層成形品の表面風合、並びにソフト感を維持することができるようにするとともに、設備の簡素化及び工数の短縮化並びに作業環境の改善ができるようにした積層成形品の成形方法を提供することを目的とする。
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、所要形状に成形された樹脂芯材と該樹脂芯材の表面に表皮を貼付してなる積層成形品の成形方法において、成形金型における上下型のキャビティ内に熱溶融された樹脂材料を供給し、キャビティ形状に沿って前記樹脂芯材を所要形状に成形する芯材成形工程と、冷却される前の樹脂芯材を前記下型の上に保持して前記上下型を型開きし、かつ該樹脂芯材上に、裏面にくもの巣状ホットメルトシートを設けた前記表皮を供給して積層する表皮供給工程と、前記表皮を前記樹脂芯材の外表面に貼り合わせ、かつ冷却させるプレス・冷却工程と、からなる。
この積層成形品の成形方法によれば、上下型のキャビティ内に溶融樹脂を供給して所要形状の樹脂芯材を成形した後、上下型を開き、かつ、該樹脂芯材上に、くもの巣状ホットメルトシートを裏面に設けた表皮を載せ、次いで上下型を閉じてプレス・冷却すると、樹脂芯材の熱でホットメルトシートが溶けて樹脂芯材と表皮が貼着する。その後、冷却することにより貼着状態を強固に保持する。したがって、この方法では、溶融樹脂は表皮の裏面に対してダイレクトに射出されることがないので、表皮に射出成形によるゲート跡が作られることはない。また、表皮に付与するプレス圧力は、樹脂芯材に当接させるのに必要とする無負荷から超低圧で済む。さらに、樹脂芯材と表皮との貼着は、樹脂芯材の熱でホットメルトシートを溶かして貼着することができるので、別途、接着剤等を使用する必要はない。
上記積層成形品の成形方法において、前記芯材成形工程で前記樹脂芯材をショートショット状態で形成し、前記プレス・冷却工程において前記表皮の厚み分で余剰となった樹脂材料を前記ショートショットされた隙間内に流動充填させて前記所要形状の樹脂芯材を成形する、方法を採用できる。
この方法によれば、プレス・冷却工程でプレスする際、表皮の厚み分で余剰となった樹脂材料がショートショット状態にある隙間部分に流動充填されて正規の所要形状をした樹脂芯材を成形することができる。したがって、プレス・冷却工程でプレスする際、プレスで押し出された樹脂材料がショートショットされている隙間部分側に流動して逃がされることにより、表皮を押し潰す力が軽減され、プレスによる表皮のダメージを少なくすることができる。
上記積層成形品の成形方法において、前記成形金型における前記上型の一部を外側に移動可能に設け、前記プレス・冷却工程において前記表皮の厚み分を前記上型の一部の移動により吸収するようにした、方法を採用できる。
この方法によれば、プレス・冷却工程でプレスする際、表皮の厚み分で余剰となった材料が発生すると、上型の一部が外側に可動されて余剰となった材料の体積を吸収する。これにより、プレス・冷却工程でプレスする際における表皮を押し潰す力が軽減され、プレスによる表皮のダメージを少なくすることができる。
上記積層成形品の成形方法において、前記樹脂芯材の部分的に前記表皮を積層して二色成形するようにした、方法を採用できる。
この方法によれば、二色成形された積層成形品が得られる。
所要形状に成形された樹脂芯材と該樹脂芯材の表面に表皮を貼付してなる積層成形品の成形装置において、熱溶融状態で供給される樹脂材料を前記樹脂芯材として成形する処理と、裏面にくもの巣状ホットメルトシートを設けた前記表皮を前記樹脂芯材の外表面に貼り合わせて冷却する処理を、順に行うことが可能な上下の型でなる成形金型を有しなる。
この積層成形品の成形装置の構成によれば、上下型のキャビティ内に溶融樹脂を供給して所要形状の樹脂芯材を成形した後、上下型を開き、かつ、該樹脂芯材上に、くもの巣状ホットメルトシートを裏面に設けた表皮を載せ、次いで上下型を閉じてプレス・冷却すると、樹脂芯材の熱でホットメルトシートが溶けて樹脂芯材と表皮が貼着する。その後、冷却することにより貼着状態を強固に保持する。したがって、この構成では、溶融樹脂は表皮の裏面に対してダイレクトに射出されることがないので、射出成形によるゲート跡が作られることはない。また、表皮に付与するプレス圧力は、樹脂芯材に当接させるのに必要とする無負荷から超低圧で済む。さらに、樹脂芯材と表皮との貼着は、樹脂芯材の熱でホットメルトシートを溶かして貼着することができるので、別途、接着剤等を使用する必要はない。
上記積層成形品の成形装置の構成において、前記樹脂芯材の成形処理時、前記上下型で形成されるキャビティ内に、前記樹脂材料をショートショット状態で供給し、前記プレス・冷却工程における処理の際、前記表皮の厚み分で余剰となった樹脂材料を前記ショートショット状態の隙間内に流動させて該隙間を無くすようにした、構成を採用できる。
この構成によれば、プレス・冷却工程でプレスする際、プレスで押し出された樹脂材料がショートショットされている隙間部分側に流動して逃がされることにより、表皮を押し潰す力が軽減され、プレスによる表皮のダメージを少なくすることができる。
上記積層成形品の成形装置の構成において、前記成形金型における前記上型の一部は、前記プレス・冷却工程における処理の際、外側へ移動して前記表皮へのプレス圧力を吸収するようにした、構成を採用できる。
この構成によれば、プレス・冷却工程でプレスする際、表皮の厚み分で余剰となった材料が発生すると、上型の一部が外側に可動されて、その余剰となった材料の体積を吸収する。これにより、プレス・冷却工程でプレスする際における表皮を押し潰す力が軽減され、プレスによる表皮のダメージを少なくすることができる。
本発明によれば、射出成形によるゲート跡が作られることはないので、見映えを向上させることができる。また、表皮に付与するプレス圧力は、樹脂芯材に当接させるのに必要とする無負荷から超低圧で済むので、毛倒れを少なくして積層成形品の表面風合い並びにソフト感を向上させることができる。さらに、樹脂芯材と表皮との貼着は、樹脂芯材の熱でホットメルトシートを溶かして貼着することができるので、別途、接着剤等を使用する必要がなく、設備の簡素化及び工数の短縮化並びに作業環境の改善等が可能になる。
本発明に係る積層成形品の成形方法を適用して製作した自動車用ドアトリムを示す正面図である。 図1のA−A線断面図である。 本発明の一実施形態を実施する積層成形品の成形装置の概略構成と成形工程の実施例を示す説明図である。 本発明に係る積層成形品の成形装置の概略構成と成形工程の一変形例を示す説明図である。 本発明に係る積層成形品の成形装置の概略構成と成形工程の他の変形例を示す説明図である。 本発明に係る積層成形品の成形方法を適用して製作した自動車用ドアトリムの他の実施形態を示す正面図である。 図6のB−B線断面図である。 図6,図7に示した積層成形品の成形装置の概略構成と成形工程を示す説明図である。 従来の自動車用ドアトリムを示す正面図である。 図9のC−C線断面図である。 従来の積層成形品の成形装置の概略構成と成形工程の一例を示す説明図である。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という)について詳細に説明する。
図1は車両のドアパネルの室内面に装着される自動車用ドアトリム11を示すもので、図2は図1のA−A線断面図である。同図において、自動車用ドアトリム11は、図1に示すように所要の形状に成形されている。また、自動車用ドアトリム11は、形状保持性及びドアパネルへの取付剛性を備えた樹脂芯材12の表面に表面風合及びソフト感を付与する表皮13を貼付した積層成形品として形成されて、使用に供される。
なお、ドアトリム11には、例えば、インサイドハンドルユニット14、アームレスト15、プルハンドルユニット16、パワーウインドウスイッチユニット17、ドアポケット18、スピーカグリル19等の各種機能部品が取り付けられている。
また、本実施例では、樹脂芯材12として、ポリプロピレン樹脂にタルクを混入した材料が使用されているが、使用できる樹脂材料としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アイオノマー系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂等がある。
一方、表皮13としては、例えば、トップ層としてTPOシートが使用され、その裏面に裏打ちされたクッション層としてはポリプロピレンフォームが使用されている。なお、トップ層として、塩ビシート、クロス、不織布等の布地シート、また、クッション層として、ポリエチレンフォーム、ポリウレタンフォームを代替することができる。
そして、本発明方法を適用して製作したドアトリム11は、表皮13の表面風合が良好、すなわち、トップ層に形成された絞模様が美麗に現出しているとともに、クッション層のソフト感が生かされた優れたクッション性能を実現したドアトリムを提供できるものである。
次に、このような積層成形品としてのドアトリム11を製造するための、より具体的成形装置及び方法を説明する。
図3は、本発明に係る成形装置の概略構成と成形工程の第1実施例を示すものである。図3に示す成形装置は、成形金型21と、樹脂芯材12を形成する溶融樹脂12aを供給する材料供給機構としての射出用シリンダ22とを備えている。また、成形金型21は、機能プレス機(図示せず)に連結される上型23と、この上型23と型締め・型開き可能な下型24とから構成されて、同図(b)に示すように下型24に射出用シリンダ22が連結され、この射出用シリンダ22から下型24に設けたマニホールド24a、ゲート24bを通じてキャビティ26内に溶融樹脂12aが供給されるようになっている。
次に、この成形装置を使用した成形方法を図3(a)〜(f)に従って説明する。まず、成形金型21における上型23と下型24を閉じ(a)、続いて射出用シリンダ22から下型24に設けたマニホールド24a、ゲート24bを通じてキャビティ26内に、樹脂芯材12を形成するための溶融樹脂12aを所要量射出して供給する(b)。この工程は芯材成形工程となり、ほぼ所要形状をした樹脂芯材12が形成される。また、この芯材成形工程では、射出された溶融樹脂12aの冷却は行わない。もしくはごくわずかだけ冷却を行う。
次いで、表皮供給工程に移り、上型23を上昇操作して型開きする(c)。この型開きされたとき、樹脂芯材12は下型24上に保持されている。また、この樹脂芯材12は固化されておらず、その表面温度は80℃〜180℃である。続いて、樹脂芯材12の上から下型24上に前記表皮13を積層する(d)。この表皮13は、図示しないが裏面(接合面側)に接着剤の役割を果たすくもの巣状ホットメルトシートが仮付けして設けられている。このくもの巣状ホットメルトシートは、融点(軟化点)が70℃〜180℃で、例えば変形ポリエステル繊維(変形PET)によって作られており、フィルム状でも繊維状でも差し支えない。また、網目状ホットメルトであってもよい。
次いで、プレス・冷却工程に移り、再び上型23を下降操作して閉じ、表皮13と樹脂芯材12との間を圧接させ、かつ冷却して最終成形を行う(e)。このプレス・冷却工程では、樹脂芯材12の表面温度がくもの巣状ホットメルトシートの融点よりも高いことから、表皮13が樹脂芯材12に圧接された際、くもの巣状ホットメルトシートが溶けて樹脂芯材12と表皮13との間を接着結合する。また、その後、冷却することにより強力に接着する。これにより、所要形状をしたドアトリム11が形成される。
また、プレス・冷却処理が終了したら、再び上型23を上昇操作して型開きし、樹脂芯材12と表皮13が一体化されたドアトリム11、すなわち積層成形品を成形金型21から取り出す。
このように、本発明の方法及び装置によれば、上下型23,24のキャビティ26内に溶融樹脂を供給して所要の形状をした樹脂芯材12を成形した後、上下型23,24を開き、かつ、該樹脂芯材12上に、くもの巣状ホットメルトシートを裏面に設けた表皮13を載せ、次いで上下型23,24を閉じてプレス・冷却すると、樹脂芯材12の熱でホットメルトシートが溶けて樹脂芯材12と表皮13が貼着する。その後、冷却することにより貼着状態を保持することができる。
したがって、この成形方法及び成形装置では、溶融樹脂12aは表皮13の裏面に対してダイレクトに射出されることがないので、表皮13に射出成形によるゲート跡が作られることがなく、見映えを向上させることができる。また、表皮13に付与するプレス圧力は、樹脂芯材12に当接させるのに必要とする無負荷から超低圧で済むので、毛倒れを少なくしてドアトリム11の表面風合い並びにソフト感を向上させることができる。さらに、樹脂芯材12と表皮13との貼着は、樹脂芯材12の熱でホットメルトシートを溶かして貼着することができるので、別途、接着剤等を使用する必要はなく、設備の簡素化及び工数の短縮化並びに作業環境の改善等が可能になる。
図4は、図3に示す実施例の一変形例を示すものである。そして、図3の実施例と同一の構成部分は同一符号を付して説明すると、図4に示す変形例は、キャビティ26内のセクションaの部分の板厚Tを、セクションbの板厚tに表皮13のクリアランスαを加えた大きさ、すなわち(t+α)にしてなるものである。
また、芯材成形工程においては、上下型23,24で形成されるキャビティ26内に隙間27が設けられるようにして溶融樹脂12aをショートショット状態で供給する。そして、プレス・冷却工程における処理の際、表皮13の厚みα分で余剰となった溶融樹脂をショートショット状態の隙間27側に流動させて、その隙間27を無くすようにしたものである。
このような方法及び装置構成にすると、プレス・冷却工程でプレスする際、プレスで押し出された溶融樹脂12aがショートショットされている隙間27の部分へ流動して逃がされるので、表皮13を押し潰す力が軽減され、プレスによる表皮13のダメージを少なくすることができる。
図5は、図3に示す実施例の他の変形例を示すものである。図3の実施例と同一の構成部分は同一符号を付して説明すると、図5に示す変形例は、キャビティ26内のセクションa及びセクションbの部分の各板厚を、図3の実施例の場合と同様にそれぞれ板厚tとしてなる。そして、図3の実施例の場合と異なる点は、キャビティ26のセクションbを構成している上型23の一部の型部分23a(以下、「可動型部分23a」という)を外側に移動可能に設けたものである。
そして、プレス・冷却工程でプレスする際、表皮13の厚み分で余剰になった溶融樹脂12aが発生すると、上型23の一部である可動型部分23aが外側に可動されて、その余剰となった溶融樹脂12aの体積分を吸収する。これにより、プレス・冷却工程でプレスする際における表皮13を押し潰す力が軽減され、プレスによる表皮13のダメージを少なくすることができる。なお、可動型部分23aは、キャビティ26内から樹脂芯材12及び表皮13が取り除かれると、元の位置に復帰する。
図6〜図8は本発明に係る積層成形品の成形方法を適用して製作した自動車用ドアトリムの他の実施形態を示すもので、図6はそのドアトリムの正面図、図7は図6のB−B線断面図、図8は図6,図7に示した積層成形品の成形装置の概略構成と成形工程を示す説明図である。
図6及び図7に示す自動車用ドアトリム31は、所要形状に成形され、形状保持性及びドアパネルへの取付剛性を備えた樹脂芯材12の表面に表面風合及びソフト感を付与する表皮13を貼付した積層成形品で、かつ、一部に中接表皮付き二色成形品32を設けたものである。
次に、この成形装置を使用した二色成形方法を図8(a)〜(f)に従って説明する。中接表皮付き二色成形品32を設けたドアトリム31を成形する成形装置及び成形工程の場合も、成形装置の構成及び工程は図3に示す成形装置及び成形工程と基本的に同一である。まず、成形金型41における上型43と下型44を閉じ(a)、続いて射出用シリンダから下型44に設けたマニホールド、ゲートを通じてキャビティ46内に、樹脂芯材12を形成するための溶融樹脂12aを所要量射出して供給する(b)。この工程は芯材成形工程となり、ほぼ所要形状をした樹脂芯材12が形成される。また、この芯材成形工程では、射出された溶融樹脂12aの冷却は行わない。(少しの冷却をする場合もある)
次いで、表皮供給工程に移り、上型43を上昇操作して型開きする(c)。この型開きされたとき、樹脂芯材12は下型44上に保持されている。また、この樹脂芯材12は固化されておらず、その表面温度は80℃〜180℃である。続いて、樹脂芯材12の上から下型44上に前記表皮13(図示せず)及び中接表皮付き二色成形品32を積層する(d)。この表皮13及び中接表皮付き二色成形品32は、図示しないが裏面(接合面側)に接着剤の役割を果たすくもの巣状ホットメルトシートがそれぞれ仮付けして設けられている。
次いで、プレス・冷却工程に移り、再び上型43を下降操作して閉じ、表皮13及び樹脂芯材12並びに中接表皮付き二色成形品32と樹脂芯材12との間をそれぞれ圧接させ、かつ冷却して最終成形を行う(e)。この場合も、プレス・冷却工程では、樹脂芯材12の表面温度がくもの巣状ホットメルトシートの融点よりも高いことから、中接表皮付き二色成形品32が樹脂芯材12に圧接された際、くもの巣状ホットメルトシートが溶けて中接表皮付き二色成形品32と樹脂芯材12の間、及び、表皮13と樹脂芯材12の間をそれぞれ接着結合する。また、その後、冷却することにより強力に接着する。これにより、所要形状をした中接表皮付き二色成形品32及び表皮13付きのドアトリム31が形成される。
また、プレス・冷却処理が終了したら、再び上型43を上昇操作して型開きし、ドアトリム31、すなわち積層成形品を取り出すと完了する。
なお、本発明は、これ以外にも本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
11 ドアトリム(積層成形品)
12 樹脂芯材
12a 溶融樹脂
13 表皮
21 成形金型
22 射出用シリンダ
23 上型
23a 可動型部分
24 下型
24a マニホールド
24b ゲート
26 キャビティ
27 隙間
31 ドアトリム(積層成形品)
32 二色成形品
41 成形金型
43 上型
44 下型
46 キャビティ

Claims (2)

  1. 所要形状に成形された樹脂芯材と前記樹脂芯材の表面に表皮を貼付してなる積層成形品の成形方法において、
    成形金型における上下型のキャビティ内に熱溶融された樹脂材料を供給し、キャビティ形状に沿って前記樹脂芯材を所要形状に成形する芯材成形工程と、
    冷却される前の前記樹脂芯材を前記下型の上に保持して前記上下型を型開きし、かつ前記樹脂芯材上に、裏面にくもの巣状ホットメルトシートを設けた前記表皮を供給して積層する表皮供給工程と、
    前記表皮を前記樹脂芯材の外表面に貼り合わせ、かつ冷却させるプレス・冷却工程と、を有し、
    前記芯材成形工程において前記樹脂芯材をショートショット状態で形成し、前記プレス・冷却工程において前記表皮の厚み分で余剰となった前記樹脂材料を前記ショートショットされた隙間内に流動充填させて前記所要形状の樹脂芯材を成形することを特徴とする積層成形品の成形方法。
  2. 所要形状に成形された樹脂芯材と前記樹脂芯材の表面に表皮を貼付してなる積層成形品の成形方法において、
    成形金型における上下型のキャビティ内に熱溶融された樹脂材料を供給し、キャビティ形状に沿って前記樹脂芯材を所要形状に成形する芯材成形工程と、
    冷却される前の前記樹脂芯材を前記下型の上に保持して前記上下型を型開きし、かつ前記樹脂芯材上に、裏面にくもの巣状ホットメルトシートを設けた前記表皮を供給して積層する表皮供給工程と、
    前記表皮を前記樹脂芯材の外表面に貼り合わせ、かつ冷却させるプレス・冷却工程と、を有し、
    前記成形金型における前記上型の一部を外側に移動可能に設け、前記プレス・冷却工程において前記表皮の厚み分を前記上型の一部の移動により吸収するようにしたことを特徴とする積層成形品の成形方法。
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