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JP5712361B2 - アンテナ装置及びこれを搭載した携帯無線端末 - Google Patents

アンテナ装置及びこれを搭載した携帯無線端末 Download PDF

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Description

本発明はアンテナ装置及びこれを搭載した携帯無線端末に係り、特に、携帯端末用アレーアンテナに関する技術であって、近接した2つの素子間で低結合化を行い、結果として高いアンテナ効率を実現するものである。
携帯電話などの携帯無線端末は、電話機能や電子メール機能、インターネット等へのアクセス機能だけに留まらず、近距離無線通信機能、無線LAN機能、GPS機能、TV視聴機能、ICカード決済機能など、ますます多機能化が進んでいる。加えて、セルラー通信においては、高速かつ大容量の無線通信システムを実現する技術として、送信側、受信側に複数のアンテナを用いて通信を行う空間多重伝送(MIMO:Multi-Input Multi-Output)の搭載が予定されている。これは、複数の送信アンテナから時空間符号化した同じ信号を同帯域で送信することで空間多重を行い、複数の受信アンテナで受信して信号を分離することにより情報を抽出する。これにより、転送速度を向上させ、かつ大容量通信が可能となる。このような多機能化に伴って、携帯無線端末に搭載されるアンテナの数は増加傾向にあり、複数のアンテナ素子間の結合に伴うアンテナ性能の劣化が深刻な課題となっている。
一方、携帯無線端末では、デザイン性及び携帯性の観点からさらなる小型化、高集積化が望まれる中、装置の小型化を図りつつ、良好なアンテナ特性を維持するためには、アンテナ素子の配置及びアンテナ素子同士の結合に対して種々の工夫が必要となる。また、給電経路やアンテナ素子数をできる限り少なくし、結合劣化対策を施した高性能のアンテナシステムが求められる。
このようなアンテナ素子間の結合の問題に対応する従来の携帯無線機としては、例えば特許文献1及び非特許文献1に開示されているように、アレーアンテナ素子の給電部間を接続するように接続回路を挿入し、アンテナ間の相互結合インピーダンスをキャンセルすることで、アンテナ間の低相関を実現する構成が知られている。
米国特許出願公開第2008/0258991号明細書 国際公開第09/113142号パンフレット 日本国特開平7-288423号公報
"Decoupling and descattering networks for antennas", IEEE Transactions on Antennas and Propagation, vol.24 Issue 6, Nov. 1976
しかしながら、特許文献1及び非特許文献1に記載の従来構成では、接続素子606は、素子間の結合位相が逆位相となる電流分布を作り出すように動作させる為、素子間、または給電点間をキャパシタ、インダクタ、その他伝送線路、その組み合わせ等を接続し、低結合なアレーアンテナを得ていた。そのため、アンテナ間を接続する部品を配置しなくてはならず、構造的な制限、コスト増加という課題があった。
また、特許文献2に記載の従来構成では、アンテナ素子5のように箱型構成とすることで広帯域特性を実現していたが、MIMO実現のために必要な低結合化技術に関しては言及されていない。
また、特許文献3に記載の従来構成では、スリットの長さを調整することで、アンテナ素子そのものの共振周波数を調整しているが、2つのアンテナを近接させた時の低結合周波数を調整する手段については言及されていない。
本発明は、MIMO等への対応を目的とした2素子以上のアンテナがアレー状に搭載される携帯無線端末において、上記課題を解決するために、平面を折り返して構成した直方体型のアンテナ素子を複数、略平行に近接配置し、各直方体型のアンテナ素子にスリットを入れる構成により、アンテナ間を部品等で接続することなく低結合を実現し、低いアンテナ間相関係数、高いアンテナ効率を実現できるアレーアンテナ装置及びこれを搭載した携帯無線端末を提供することを目的とする。
本発明のアンテナ装置は、筐体と、前記筐体に設けられグランドパターンを有する回路基板と、前記筐体内に近接して配置され、導電性の略長方形の第一導体板と、前記第1導体板の幅方向の一辺を共有し、前記第一導体板に対して略90度に配置される略長方形の第二導体板と、前記第二導体板の前記第一導体板と共有する前記一辺に対向する幅方向の他の一辺を共有し、前記第一導体板と対向するように略90度に配置される略長方形の第三導体板とで構成された、第一アンテナ素子と、前記筐体内に近接して配置され、導電性の略長方形の第四導体板と、前記第四導体板の幅方向の一辺を共有し、前記第四導体板に対して略90度に配置される略長方形の第五導体板と、前記第五導体板の前記第四導体板と共有する前記一辺に対向する幅方向の他の一辺を共有し、前記第四導体板と対向するように略90度に配置される略長方形の第六導体板とで構成された、第二アンテナ素子と、を有し、前記第一アンテナ素子の前記第一導体板又は前記第二導体板又は前記第三導体板のいずれか1つ以上に所定の長さのスリットを少なくとも1つ設け、前記第二アンテナ素子の前記第四導体板又は前記第五導体板又は前記第六導体板のいずれか1つ以上に所定の長さのスリットを少なくとも1つ設け、前記第1アンテナ素子及び前記第2アンテナ素子は、前記回路基板上のグランドパターンと所定の間隔を隔てて互いに近接して略平行に配置されるとともに、前記回路基板に配置される第1の給電部及び第2の給電部に前記回路基板の1辺の両端にて電気的に接続され、前記スリットの位置及び長さが、第一の周波数帯域における前記第一アンテナ素子と前記第二アンテナ素子との間の相互結合をキャンセルするように調節される。
この構成により、アンテナ素子間を部品等で接続しなくとも、第一の周波数帯域で低結合なアレーアンテナを実現することができ、かつ、低いアンテナ間相関係数を実現することができ、かつ、アンテナ上を流れる電流経路を長くすることが可能となり、同等なアンテナ体積を有するアンテナと比較し、高いアンテナ効率を実現することが出来る。
また、本発明のアンテナ装置は、前記第一アンテナ素子が、第一インピーダンス整合回路を介して前記第一給電部と電気的に接続されるとともに、前記第二アンテナ素子が、第二インピーダンス整合回路を介して前記第二給電部と電気的に接続される。
この構成により、所望の周波数帯域において、より低結合かつ、整合が得られた、低いアンテナ間相関係数、高いアンテナ効率を得られる、アンテナ特性を実現できる。
また、本発明のアンテナ装置は、MIMO用のアンテナ装置である。
また、本発明のアンテナ装置を携帯無線端末に搭載する。
この構成により、携帯無線端末のアンテナ特性を向上させることができ、小型化を図ることができる。
本発明のアンテナ装置及びこれを搭載した携帯無線端末によれば、アンテナ素子間を近接配置した場合においても、アンテナ素子間を部品等で接続することなく、低結合なアレーアンテナ装置及びこれを搭載した携帯無線端末を実現することができる。
(a)〜(c)は、本発明の実施の形態1における携帯無線端末の構成図 (a)及び(b)は、本発明の実施の形態1における携帯無線端末の特性解析モデルを示す図 (a)〜(d)は、本発明の実施の形態1における携帯無線端末の第1の特性図 (a)〜(d)は、本発明の実施の形態1における携帯無線端末の第2の特性図 (a)〜(d)は、本発明の実施の形態2における携帯無線端末の構成図 従来の低結合アレーアンテナの構成図
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1(a)〜(c)は、本発明の実施の形態1における携帯無線端末の構成図である。図1(a)は、携帯端末を左側面から見た構成図であり、図1(b)は正面から見た図である。また、図1(c)は右側面から見た構成図である。
図1(a)〜(c)に示すように、携帯無線端末100の内部に配置された回路基板101には第一無線回路部102が構成されており、第一給電部104を通じて、導電性の金属で構成された第一アンテナ素子150に高周波信号が供給されている。
ここで、第一アンテナ素子150は、導電性の略長方形の第一導体板106と、第一導体板106の幅方向の一辺を共有し、略90度に配置される略長方形の第二導体板107と、第二導体板107の第一導体板106と共有する一辺に対向する幅方向の他の一辺を共有し、第一導体板106と対向するように略90度に配置される略長方形の第三導体板108とで構成される。
さらに、回路基板101には第二無線回路部103が構成されており、第二給電部105を通じて、導電性の金属で構成された第二アンテナ素子151に高周波信号が供給されている。
ここで、第二アンテナ素子151は、導電性の略長方形の第四導体板109と、第四導体板109の幅方向の一辺を共有し、略90度に配置される略長方形の第五導体板110と、第五導体板110の第四導体板109と共有する一辺に対向する幅方向の他の一辺を共有し、第一導体板106と対向するように略90度に配置される略長方形の第六導体板111とで構成される。
この構成により、第一アンテナ素子150及び第二アンテナ素子151は、各単体では、広帯域な周波数特性を得ることができる。しかしながら、第一アンテナ素子150及び第二アンテナ素子151は、携帯無線端末100の幅方向中央部で素子先端部分が所望中心周波数3.5GHzに対して0.02波長以下の距離で略平行に配置されている。このため、アンテナ素子間に相互結合が生じ、片方のアンテナ素子に流れた高周波電流が、もう片方のアンテナ素子に誘導電流として流れてしまうことで、結果としてアンテナの放射性能に劣化が生じてしまう。
そこで、第二導体板107及び第五導体板110に第一スリット116及び第二スリット117を設け、第三導体板108及び第六導体板111に第三スリット118及び第四スリット119を設けることで、アンテナ間の所望周波数帯域の相互結合をキャンセルする手段を用いる。第一スリット116及び第二スリット117は、第一アンテナ素子150と第二アンテナ素子151が近接する辺と対向する辺を開口としたスリットであり、第三スリット118及び第四スリット119は、第一アンテナ素子150と第二アンテナ素子151が近接する辺を開口としたスリットである。これらのスリットを設けることで、第一アンテナ素子150と第二アンテナ素子151の近接部分の任意の場所に素子間容量を形成でき、所定の周波数帯域における相互結合をキャンセルすることで、アンテナ素子間の結合劣化を改善できる。
さらに、第一アンテナ素子150は第一インピーダンス整合回路112を介して第一給電部104に接続されるとともに、第二アンテナ素子151は第二インピーダンス整合回路113を介して第二給電部105に接続される。第一インピーダンス整合回路112及び第二インピーダンス整合回路113を配置することで、第一アンテナ素子150のインピーダンス整合と第二アンテナ素子151のインピーダンス整合と、アンテナ素子間の相互結合の調整をより細かく行うことができ、より結合劣化を軽減する効果が高まる。
なお、図1(a)〜(c)の構成では第一アンテナ素子150及び第二アンテナ素子151を導電性の金属部品として説明しているが、一部もしくは全てをプリント基板上に構成した銅箔のパターンで構成しても同様な効果が得られる。
以上の構成により、所望周波数帯域において、第一給電部104と第二給電部105の間の通過特性であるSパラメータS12及びS21を低く抑えることができ、結合劣化を改善できる。
続いて、図1(a)〜(c)の具体的な構成について、性能を解析した事例を示す。
図2(a)及び(b)は、本発明の実施の形態1における携帯無線端末の特性解析モデルを示す図である。図2(a)は、正面から見た図である。また、図2(b)は、第一アンテナ素子150及び第二アンテナ素子151の展開図である。
図2(a)に示すように、回路基板101は、ガラスエポキシ(ガラエポ)製のプリント基板で構成されるが、ここでは長さ85mm、幅42mmの銅箔にて構成されていることとしてモデル化し、解析を行った。回路基板101では、第一給電部104及び第二給電部105を通じて、導電性の銅板で構成された第一アンテナ素子150及び第二アンテナ素子151に高周波信号が供給されている。
第一給電部104及び第二給電部105からは、第一の周波数帯域である2.0GHz及び第二の周波数帯域である5.0GHzを含む高周波信号が供給され、アンテナ素子間の相関係数、放射効率、Sパラメータである通過特性S21及び反射特性S11の解析を行った。
第一アンテナ素子150は、長さ6mm、幅19mmの第一導体板106と、長さ5.7mm、幅19mmの第二導体板107と、長さ6mm、幅19mmの第三導体板108とで構成される。第二導体板107は、第一導体板106に対して90度に配置されており、第二導体板107の幅方向の一辺は、第一導体板106の幅方向の一辺と共有されている。第三導体板108は、第一導体板106と対向するように配置されており、第三導体板108の幅方向の一辺は、第二導体板107の第一導体板106と共有する一辺に対向する幅方向の他の一辺と共有されている。
一方、第二アンテナ素子151は、長さ6mm、幅19mmの第四導体板109と、長さ5.7mm、幅19mmの第五導体板110と、長さ6mm、幅19mmの第六導体板111とで構成される。第五導体板110は、第四導体板109に対して90度に配置されており、第五導体板110の幅方向の一辺は、第四導体板109の幅方向の一辺と共有されている。第六導体板111は、第四導体板109と対向するように配置されており、第六導体板111の幅方向の一辺は、第五導体板110の第四導体板109と共有する一辺に対向する幅方向の他の一辺と共有されている。
第一アンテナ素子150及び第二アンテナ素子151は、回路基板101の端部に配置され、第一導体板106と第四導体板109は回路基板101と同一の平面に構成されている。第一アンテナ素子150と第二アンテナ素子151の素子が最も近接する平行部分の間隔は2mmであり、第一の周波数帯域2.0GHzと第二の周波数帯域5.0GHzの中心周波数である3.5GHzに対して0.02波長と極めて近接した間隔で配置されている。
図2(b)に示すように、第一アンテナ素子150及び第二アンテナ素子151にはスリットが配置される。
第二導体板107には第一スリット116が、第五導体板110には第二スリット117が配置されており、第一スリット116及び第二スリット117は第一アンテナ素子150と第二アンテナ素子151が近接する辺と対向する辺を開口としたスリットである。また、第三導体板108には第三スリット118が、第六導体板111には第四スリット119が配置されており、第三スリット118及び第四スリット119は第一アンテナ素子150と第二アンテナ素子151が近接する辺を開口としたスリットである。
これらのスリットは、第二導体板107、第五導体板110、第三導体板108及び第六導体板111の各短辺の中央に配置され、サイズはすべて1mm×18mmである。第一アンテナ素子150と第二アンテナ素子151は対称構造とし、スリット形状及び挿入位置においても第一スリット116と第二スリット117、第三スリット118と第四スリット119は対象形状となる。
スリットを導体板に設けることで、第一アンテナ素子150と第二アンテナ素子151はメアンダ形状となり、アンテナ素子全長が長くなるため共振周波数を低く出来る効果がある。
さらに、これらのスリットを設けることで、給電部から見た第一アンテナ素子150と第二アンテナ素子151の近接部分の位置が変化し、素子間の近接部分に構成される素子間容量を任意の位置に形成できる。このため、素子間容量を調整して所定の周波数帯域における相互結合をキャンセルすることで、アンテナ素子間の結合劣化を改善できる。
さらに、第一インピーダンス整合回路112及び第二インピーダンス整合回路113を各アンテナ素子の根元に配置することで、第一アンテナ素子150のインピーダンス整合と第二アンテナ素子151のインピーダンス整合と、アンテナ素子間の相互結合の調整をより細かく行うことができ、より結合劣化を軽減する効果を高めている。
図3(a)〜(d)は、本発明の実施の形態1における携帯無線端末の第1の特性図であり、図4(a)〜(d)は、本発明の実施の形態1における携帯無線端末の第2の特性図である。
図3(a)は、第一インピーダンス整合回路112と第二インピーダンス整合回路113を示したものである。第一インピーダンス整合回路112と第二インピーダンス整合回路113は同一構成である。図3(b)は、第一給電部104から見たS11波形、第一給電部104から第二給電部105への通過特性であるS12波形である。図3(c)は、第一アンテナ素子150におけるアンテナ効率であり、図3(d)は、第一アンテナ素子150と第二アンテナ素子151の間における相関係数を示したものであり、いずれも横軸は2GHzから5GHzまでの周波数特性を示している。
図3(a)に示すように、第一インピーダンス整合回路112、第二インピーダンス整合回路113では、アンテナ素子から給電部に対して順に、直列接続に12nH、回路基板のグランドパターンに対して9.8nH、直列接続に0.3pFを配置している。第一アンテナ素子150と第二アンテナ素子151は、対称構造である。また、第一アンテナ素子150及び第二アンテナ素子151が、同じインピーダンス特性を得るため、第一インピーダンス整合回路112及び第二インピーダンス整合回路113は、対称な回路構成としている。これにより、第一周波数帯域である2.66GHz及び第二周波数帯域である4.4GHzにおいて、アンテナのインピーダンス整合をとっている。
図3(b)は、Sパラメータである反射特性S11及び通過特性S21である。第一周波数帯域2.66GHz、第二周波数帯域4.4GHzにおいて、S11が−5dB以下であり、整合が得られていることが確認できる。図2(a)及び(b)の解析モデルは左右対称であることから、S22も同じく−5dB以下の低い値となっているが、ここではグラフを省略する。
さらに、通過特性であるS21も第一周波数帯域2.66GHz、第二周波数帯域4.4GHzにおいて、−5dB以下の低い値となっている。図2(a)及び(b)の解析モデルは左右対称であることから、S12も同じく−5dB以下の低い値となっているが、ここではグラフを省略する。
このように第一周波数帯域2.66GHz、第二周波数帯域4.4GHzにおいて、インピーダンス整合及びアイソレーションが確保でき、結合劣化が軽減されている様子が分かる。
図3(c)は、第一アンテナ素子150におけるアンテナ効率である。第一周波数帯域2.66GHzで−0.6dB、第二周波数帯域4.4GHzで−1.6dBのアンテナ効率が得られている。第一周波数帯域2.66GHz、第二周波数帯域4.4GHzにおいて、インピーダンス整合及びアイソレーションが確保できているため、−3dB以上の高いアンテナ効率が得られることが確認できる。
図2(a)及び(b)の解析モデルは左右対称であることから、第二アンテナ素子151も同等のアンテナ効率が確保できているが、ここではグラフを省略する。
図3(d)は、第一アンテナ素子150と第二アンテナ素子151の間における相関係数である。第一周波数帯域2.66GHz、第二周波数帯域4.4GHzにおいて、相関係数が0.2以下の低い値となっており、アレーアンテナとして優れた特性となっている。
このように、実施の形態1において、図3(a)の整合回路を用いた場合、第一アンテナ素子150及び第二アンテナ素子151を動作させて使用する第一周波数帯域、第二周波数帯域において低結合、整合を同時に満たすことが可能であり、高いアンテナ効率が得られる。さらに、低い相関係数も得られるため、通信容量の高いアレーアンテナを構成できる。
図4(a)は、図3(a)と異なる回路構成及び定数にて、第一インピーダンス整合回路112と第二インピーダンス整合回路113を構成したものである。図4(b)、図4(c)、図4(d)は、図3(b)、図3(c)、図3(d)と同一な特性を示しているため、ここでは説明を省略する。
図4(a)において、第一インピーダンス整合回路112及び第二インピーダンス整合回路113は、アンテナ素子から給電部に対して順に、回路基板のグランドパターンに対して4.0nH、直列接続に0.6pFを配置している。これは、周波数帯域2.7GHzから4.0GHzにおいて広帯域にインピーダンス整合が得られる構成である。
図4(b)より、周波数帯域2.7GHzから4.0GHzにおいて、S11が−10dB以下であり、広帯域に渡ってインピーダンス整合が得られていることが確認できる。図2(a)及び(b)の解析モデルは左右対称であることから、S22も−10dB以下の低い値となっているが、ここではグラフを省略する。
さらに、通過特性であるS21も周波数帯域2.7GHzから4.0GHzにおいて、略−5dB程度の低い値となっている。このように周波数帯域2.7GHzから4.0GHzにおいて、広帯域に渡ってインピーダンス整合及びアイソレーションが確保でき、結合劣化が軽減されている様子が分かる。
図4(c)は、第一アンテナ素子150におけるアンテナ効率である。周波数帯域2.7GHzから4.0GHzで−3dB以上である。周波数帯域2.7GHzから4.0GHzにおいて、S11が−10dB以下、S21が略−5dB程度とインピーダンス整合及びアイソレーションが確保できているため、広帯域で高いアンテナ効率が得られることが確認できる。
図2(a)及び(b)の解析モデルは左右対称であることから、第二アンテナ素子151も同等のアンテナ効率が確保できているが、ここではグラフを省略する。
図4(d)より、周波数帯域2.7GHzから4.0GHzにおいて、相関係数が0.3以下の低い値となっており、アレーアンテナとして優れた特性となっている。
このように、実施の形態1において、図4(a)の整合回路を用いた場合、第一アンテナ素子150及び第二アンテナ素子151を動作させて使用する広帯域な周波数帯域において低結合、整合を同時に満たすことが可能であり、高いアンテナ効率が得られる。さらに、低い相関係数も得られるため、通信容量の高いアレーアンテナを構成できる。
(実施の形態2)
図5(a)〜(d)は、本発明の実施の形態2における携帯無線端末の構成図である。図5(a)は、正面から見た図である。
図5(a)〜(d)において、図1(a)〜(c)と同じ構成については同じ符号を用い、説明を省略する。
第一アンテナ素子150及び第二アンテナ素子151に配置する、結合を低減させるためのスロット配置位置のバリエーションを図5(b)、図5(c)、図5(d)に示している。
図5(a)に示すように、回路基板101は、ガラスエポキシ(ガラエポ)製のプリント基板で構成されるが、ここでは長さ85mm、幅42mmの銅箔にて構成されている。
回路基板101では、第一給電部104及び第二給電部105を通じて、導電性の銅板で構成された第一アンテナ素子150及び第二アンテナ素子151に高周波信号が供給されている。
図5(b)は、第一アンテナ素子150の展開図であり、第一アンテナ素子150と第二アンテナ素子151のスロットは線対称に構成している。
図5(b)の構成では、第二導体板107に第一スリット116を設け、第五導体板110に第二スリット117を設ける。これらは第一アンテナ素子150と第二アンテナ素子151が近接する辺を開口としたスリットである。また、第三導体板108に第三スリット118を設け、第六導体板111に第四スリット119を設ける。これらは第一アンテナ素子150と第二アンテナ素子151が近接する辺と対向する辺を開口としたスリットである。
図5(c)の構成では、第二導体板107に第一スリット116を設け、第五導体板110に第二スリット117を設ける。これらは第一アンテナ素子150と第二アンテナ素子151が近接する辺と対向する辺を開口としたスリットである。また、第三導体板108に第三スリット118を設け、第六導体板111に第四スリット119を設ける。これらは第一アンテナ素子150と第二アンテナ素子151が近接する辺を開口としたスリットである。さらに、第一導体板106に第五スリット120を設け、第四導体板109に第六スリット121を設ける。これらは第一アンテナ素子150と第二アンテナ素子151が近接する辺を開口としたスリットである。
図5(d)の構成では、第二導体板107に第一スリット116を設け、第五導体板110に第二スリット117を設ける。これらは第一アンテナ素子150と第二アンテナ素子151が近接する辺を開口としたスリットである。また、第三導体板108に第三スリット118を設け、第六導体板111に第四スリット119を設ける。これらは第一アンテナ素子150と第二アンテナ素子151が近接する辺を開口としたスリットである。さらに、第一導体板106に第五スリット120を設け、第四導体板109に第六スリット121を設ける。これらは第一アンテナ素子150と第二アンテナ素子151が近接する辺と対向する辺を開口としたスリットである。
図5(b)、図5(c)、図5(d)に示す各アンテナ素子の構成により、給電部から見た第一アンテナ素子150と第二アンテナ素子151の近接部分の位置及び数が変化するとともに、素子間の近接部分に構成される素子間容量を任意の位置に形成できる。このため、素子間容量を調整して所定の周波数帯域における相互結合をキャンセルすることで、アンテナ素子間の結合劣化を改善できる。スリットは各導体板に2つ以上構成することも可能である。
以上の構成により、アンテナ素子間を部品等で接続することなく低結合化し、低アンテナ間相関、高アンテナ効率化する周波数の調整をより細かく行うことができ、より結合劣化を軽減する効果が高まる。
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2010年5月17日出願の日本特許出願(特願2010-112852)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明のアンテナ装置及びこれを搭載した携帯無線端末は、広い周波数帯域で低結合な特性が得られるアレーアンテナを実現することができるため、MIMO用携帯電話などの携帯無線端末に有用である。
100 携帯無線端末
101 回路基板
102 第一無線回路部
103 第二無線回路部
104 第一給電部
105 第二給電部
106 第一導体板
107 第二導体板
108 第三導体板
109 第四導体板
110 第五導体板
111 第六導体板
112 第一インピーダンス整合回路
113 第二インピーダンス整合回路
116 第一スリット
117 第二スリット
118 第三スリット
119 第四スリット
120 第五スリット
121 第六スリット
150 第一アンテナ素子
151 第二アンテナ素子

Claims (4)

  1. 筐体と、
    前記筐体に設けられグランドパターンを有する回路基板と、
    前記筐体内に近接して配置され、導電性の略長方形の第一導体板と、前記第一導体板の幅方向の一辺を共有し、前記第一導体板に対して略90度に配置される略長方形の第二導体板と、前記第二導体板の前記第一導体板と共有する前記一辺に対向する幅方向の他の一辺を共有し、前記第一導体板と対向するように略90度に配置される略長方形の第三導体板と、で構成された第一アンテナ素子と、
    前記筐体内に近接して配置され、導電性の略長方形の第四導体板と、前記第四導体板の幅方向の一辺を共有し、前記第四導体板に対して略90度に配置される略長方形の第五導体板と、前記第五導体板の前記第四導体板と共有する前記一辺に対向する幅方向の他の一辺を共有し、前記第四導体板と対向するように略90度に配置される略長方形の第六導体板と、で構成された第二アンテナ素子と、を備え、
    前記第一アンテナ素子の前記第一導体板又は前記第二導体板又は前記第三導体板のいずれか1つ以上に所定の長さのスリットを少なくとも1つ設け、
    前記第二アンテナ素子の前記第四導体板又は前記第五導体板又は前記第六導体板のいずれか1つ以上に所定の長さのスリットを少なくとも1つ設け、
    前記第一アンテナ素子と前記第二アンテナ素子とを対称構造とするとともに、各アンテナ素子を構成するいずれかの導体板に設けられる前記スリットを対称形状とし、
    前記第一アンテナ素子及び前記第二アンテナ素子は、前記回路基板上のグランドパターンと所定の間隔を隔てて互いに近接して略平行に配置されるとともに、前記回路基板に配置される第一給電部及び第二給電部に前記回路基板の1辺の両端にて電気的に接続され、
    前記スリットの位置及び長さが、第一の周波数帯域における前記第一アンテナ素子と前記第二アンテナ素子との間の相互結合をキャンセルするように調節されたことを特徴とするアンテナ装置。
  2. 前記第一アンテナ素子が、第一インピーダンス整合回路を介して前記第一給電部と電気的に接続されるとともに、前記第二アンテナ素子が、第二インピーダンス整合回路を介して前記第二給電部と電気的に接続される請求項1記載のアンテナ装置。
  3. 前記アンテナ装置は、MIMO用のアンテナ装置であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のアンテナ装置を備えた携帯無線端末。
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