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JP5709298B2 - 塗装焼付硬化性および成形性に優れたAl−Mg−Si系アルミニウム合金板の製造方法 - Google Patents

塗装焼付硬化性および成形性に優れたAl−Mg−Si系アルミニウム合金板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は塗装焼付硬化性および成形性に優れ、特に自動車外板に適したAl−Mg−Si系アルミニウム合金板の製造方法に関する。
近年、排気ガス等による地球温暖化対策として、自動車の燃費向上のために、車体の軽量化が求められている。このため、自動車の車体、特に自動車外板用材料として、従来から使用されている鋼板に代わって、アルミニウム合金板の適用が増加している。
自動車外板用アルミニウム合金材としては、Al−Mg系アルミニウム合金やAl−Mg−Si系アルミニウム合金が使用されており、このうち、熱処理型合金であるAl−Mg−Si系アルミニウム合金は適切な条件で製造することにより塗装焼付硬化性を示す点で、自動車外板用としてAl−Mg系アルミニウム合金に比べて優れた特性をそなえている。
しかし、Al−Mg−Si系アルミニウム合金を、塗装焼付硬化性のみを重視した条件で製造した場合、製造途中で時効硬化し、製造完了直後の強度(以下、初期強度)が高くなるため、プレス成形やヘム加工(曲げ加工)時に割れが発生し易くなるという難点があり、Al−Mg−Si系アルミニウム合金を自動車外板用材料として適用するためには、塗装焼付硬化性と成形性という両特性を両立させなければならないという問題がある。
Al−Mg−Si系アルミニウム合金において、前記両特性を両立させようとする試みは、これまでにも検討されており、溶体化処理条件や予備時効条件等の工夫によりある程度両立可能な手法が提案されているが、これらの手法も両特性を完全に両立させるにはなお十分でなく、さらに改善が要求されている。
特開平8−74014号公報 特開2007−239005号公報 特開2002−206152号公報
本発明は、Al−Mg−Si系合金を自動車用外板用として適用する場合において、プレス成形やヘム加工(曲げ加工)時に割れが発生し易くなるという問題を解消するために、合金組成、溶体化処理条件、時効条件と塗装焼付硬化性、成形性との関係について試験、検討を重ねた結果としてなされたものであり、その目的は、塗装焼付硬化性および成形性に優れたAl−Mg−Si系アルミニウム合金板の製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成するための請求項1による塗装焼付硬化性および成形性に優れたAl−Mg−Si系アルミニウム合金板の製造方法は、質量%で、Si:0.5〜2.0%、Mg:0.2〜1.5%を含有し、さらにCu:1.0%以下、Zn:0.5%以下、Fe:0.5%以下、Mn:0.3%以下、Cr:0.3%以下、V:0.2%以下、Zr:0.15%以下、Ti:0.1%以下、B:0.005%以下のうち1種または2種以上を含有し、残部Alおよび不可避的不純物からなる組成を有するAl−Mg−Si系アルミニウム合金の板材を、480℃以上580℃以下の温度で溶体化処理し、2℃/秒以上の冷却速度で60℃未満の焼入れ温度まで冷却して、該焼入れ温度で1時間以内の時間保持した後、中間予備時効および予備時効を行い、中間予備時効は、前記焼入れ温度から2℃/分以上の昇温速度で予備時効温度よりも10℃高い温度以上120℃以下の中間予備時効温度まで加熱して、該中間予備時効温度で10分以内の時間保持し、予備時効は、前記中間予備時効温度から2℃/分以上の冷却速度で50℃以上140℃以下の予備時効温度まで冷却して、該予備時効温度で1分以上10時間以内の時間保持することを特徴とする。また、請求項2による塗装焼付硬化性および成形性に優れたAl−Mg−Si系アルミニウム合金板の製造方法は、請求項1において、前記中間予備時効を、予備時効温度よりも10℃高い温度以上100℃以下の温度で行うことを特徴とする。なお、以下の説明において、合金成分はいずれも質量%で示す。
請求項による塗装焼付硬化性および成形性に優れたAl−Mg−Si系アルミニウム合金板の製造方法は、請求項1において、前記(1)の中間予備時効の後、2℃/分以上の冷却速度で予備時効温度未満の温度まで冷却し、該温度から2℃/分以上の昇温速度で50℃以上140℃以下の予備時効温度まで加熱し、該予備時効温度で1分以上10時間以内の時間保持する予備時効を行うことを特徴とする。
本発明によれば、塗装焼付硬化性および成形性に優れ、特に自動車外板用として好適なAl−Mg−Si系アルミニウム合金板の製造方法が提供される。
本発明における合金成分の意義および限定理由について説明する。
Si:
Siは、塗装焼付硬化性を得るために必要な合金成分であり、Mg−Si系化合物を形成して強度を高めるよう機能する。Siの好ましい含有量は0.5〜2.0%の範囲であり、0.5%未満では塗装焼付処理(150〜200℃の温度範囲内で20分保持する熱処理)で十分な塗装焼付硬化性が得られず、2.0%を超えると、初期強度が高くなり、プレス成形性や曲げ加工性が劣化する。Siのさらに好ましい含有量は0.8〜1.2%の範囲である。
Mg:
Mgは、Siと同様に塗装焼付硬化性を得るために必要な合金成分であり、Mg−Si系化合物を形成して強度を高めるよう機能する。Mgの好ましい含有量は0.2〜1.5%の範囲であり、0.2%未満では塗装焼付処理(150〜200℃の温度範囲内で20分保持する熱処理)で十分な塗装焼付硬化性が得られず、1.5%を超えると、初期強度が高くなり、プレス成形性や曲げ加工性が劣化する。Mgのさらに好ましい含有量は0.3〜0.7%の範囲である。
Cu:
Cuは、強度を高め、成形性を向上させるよう機能する。Cuの好ましい含有量は1.0%以下の範囲であり、1.0%を越えると初期強度が高くなり、プレス成形性や曲げ加工性が低下し、また、耐食性も劣化する。
Zn:
Znは、表面処理時のりん酸亜鉛処理性を向上させるよう機能する。Znの好ましい含有量は0.5%以下の範囲であり、0.5%を超えると耐食性が劣化する。
Fe、Mn、Cr、V、Zr:
上記の元素は、強度を高め、結晶粒を微細化して成形加工時の肌荒れを防止するよう機能する。好ましい含有量はFe0.5%以下、Mn0.3%以下、Cr0.3%以下、V0.2%以下、Zr0.15%以下の範囲であり、それぞれ上限を超えると、粗大な金属間化合物が生成してプレス成形性や曲げ加工性が劣化する。
Ti、B:
TiおよびBは、鋳造組織を微細化して成形性を向上させるよう機能する。好ましい含有量はTi0.1%以下、B0.005%以下の範囲であり、それぞれ上限を超えると、粗大な金属間化合物が生成してプレス成形性や曲げ加工性が劣化する。
上記の組成を有するAl−Mg−Si系合金の製造工程について説明すると、上記の組成を有するAl−Mg−Si系アルミニウム合金を溶解、鋳造し、得られた鋳塊を、常法に従って均質化処理、熱間圧延、必要に応じて中間焼鈍を行いながら所定の厚さまで冷間圧延する。
溶体化処理、焼入れ、焼入れ後の室温時効:
冷間圧延されたAl−Mg−Si系アルミニウム合金板材は塗装焼付硬化性を得るために、先ず溶体化処理および焼入れ(T4処理)を行う。溶体化処理は480℃以上580℃以下の温度範囲で行う。480℃未満ではSiおよびMgの固溶が不十分となり、塗装焼付硬化性が低下する。また、580℃を超えると、SiおよびMgの固溶は十分であるが、局所的に融解するおそれがあり、安定した板材の製造を行うことができない。
溶体化処理後の焼入れは、2℃/秒以上、より好ましくは20℃/秒以上の冷却速度で溶体化処理温度から60℃未満の焼入れ温度まで急冷することにより行われる。冷却速度が2℃/秒未満では、冷却中、粒界にSiやMg−Si系化合物が析出することに起因してプレス成形性や曲げ加工性が低下する。また、SiおよびMgの固溶が不十分となり、塗装焼付硬化性が低下する。焼入れ時の温度が60℃以上の場合には、焼入れ不足が発生し、十分な塗装焼付硬化性が得られなくなる。
焼入れ後、焼入れ温度で1時間以内の時間保持し、その後、中間予備時効および予備時効を行う。焼入れ温度での保持時間が1時間を超えると、時効硬化が進み、十分な塗装焼付硬化性が得られなくなる。さらに好ましい保持時間は10分以内である。
中間予備時効、中間予備時効後の冷却:
中間予備時効は、前記焼入れ温度から2℃/分以上、より好ましくは20℃/分以上の昇温速度で後述する予備時効温度よりも10℃高い温度以上150℃以下、より好ましくは120℃以下の中間予備時効温度まで加熱し、中間予備時効温度で10分以内の時間保持することにより行われる。中間予備時効温度への昇温速度が2℃/分未満では、時効硬化が進み、十分な塗装焼付硬化が得られない。中間予備時効温度が予備時効温度よりも10℃高い温度未満では、十分な中間予備時効効果が得られず、十分な塗装焼付硬化が達成できない。中間予備時効温度が150℃を超えると、初期強度が高くなり、十分な成形性が得られなくなる。
中間予備時効温度での保持時間は好ましくは10分以内、より好ましくは5分以内である。保持時間が10分を超えると、時効硬化が進み、十分な塗装焼付硬化性が得られなくなる。また、中間予備時効温度での保持時間が10分を超え、中間予備時効温度が140℃を超えた場合には、初期強度が高くなり、十分な成形性が得られなくなる。
中間予備時効後、中間予備時効温度から2℃/分以上の冷却速度で50℃以上140℃以下の予備時効温度まで冷却して予備時効を行う。または、2℃/分以上の冷却速度で予備時効温度未満の温度に冷却し、予備時効温度まで加熱して予備時効を行う。中間予備時効後の冷却速度が2℃/分未満では、時効硬化が進み、十分な塗装焼付硬化性が得られなくなる。
予備時効:
予備時効温度は50℃以上140℃以下が好ましい。50℃未満では、十分な予備時効効果が得られず、塗装焼付硬化が不十分となる。予備時効温度が140℃を超えると、初期強度が高くなり、十分な成形性が得られなくなる。予備時効の保持時間は1分以上10時間以内が好ましく、1分未満では、十分な予備時効効果が得られず、塗装焼付硬化が不十分となる。保持時間が10時間を超えると、初期強度が高くなり、十分な成形性が得られなくなる。
中間予備時効後、中間予備時効温度から2℃/分以上の冷却速度で予備時効温度未満の温度に冷却した場合には、冷却した温度から2℃/分以上、より好ましくは20℃/分以上の昇温速度で50℃以上140℃以下の予備時効温度まで加熱して予備時効を行う。昇温速度が2℃/分未満では、時効硬化が進み、十分な塗装焼付硬化が得られない。
本発明においては、前記の合金組成を有するAl−Mg−Si系アルミニウム合金材を、溶体化処理、焼入れ、中間予備時効、中間予備時効後の冷却、および予備時効からなる前記一連の工程で処理することにより、塗装焼付硬化性および成形性に優れたAl−Mg−Si系アルミニウム合金板を製造することができる。
以下、本発明の実施例を比較例と対比して説明し、その効果を実証する。なお、これらの実施例は、本発明の一実施態様を示すものであり、本発明はこれらに限定されない。
実施例1、比較例1
表1に示す組成を有するアルミニウム合金(発明材:A〜J、比較材:K〜T)をDC鋳造により造塊し、得られた鋳塊を、550℃で24時間均質化処理した後、室温まで冷却し、その後、390℃まで再加熱して熱間圧延を開始し、厚さ4.0mmまで圧延した。熱間圧延の終了温度は240℃とした。続いて、0.9mmまで冷間圧延を行った。表1において、本発明の条件を外れたものには下線を付した。
得られた冷間圧延材について、550℃で40秒間の溶体化処理を行い、10℃/秒の冷却速度で20℃の焼入れ温度まで急冷した。20℃で5分保持した後、100℃/分の昇温速度で100℃の中間予備時効温度まで加熱して、100℃で1分間保持する中間予備時効を行った。その後、20℃/分の冷却速度で80℃の予備時効温度まで冷却して、80℃で1時間保持する予備時効を行い、40℃まで冷却して、40℃にて3日および30日保持した後、以下の方法で引張性質、塗装焼付硬化性、成形性を評価した。結果を表2に示す。
引張性質:
40℃にて3日および30日保持した板材(試験材)について、圧延方向に対して垂直方向にJIS5号引張試験片を採取して、引張試験を行い、3日保持した試験材の耐力(初期耐力)および30日保持した試験材の耐力(時効後耐力)を測定した。
塗装焼付硬化性:
40℃にて30日保持した板材(試験材)について、圧延方向に対して垂直方向にJIS5号引張試験片を採取し、2%の引張変形を施した後、175℃にて30分熱処理を行った後、常温で引張試験を行い、耐力200MPa以上を合格、200MPa未満を不合格(×)と評価した。
成形性:
40℃にて30日保持した板材(試験材)について、平面ひずみの破断限界ひずみ量、曲げ試験時の曲げ割れ発生有無を調査して、評価を行った。
平面ひずみの破断限界ひずみ量は、次に示す手順で測定した。圧延方向に対して垂直方向に幅140mm、長さ200mmの試験片を採取し、試験片に直径5mmのスクライブドサークルを転写した後、直径100mmの球頭パンチを用いた張出試験を行った。張出試験時の成形条件はしわ押さえ力:200kN、成形速度:200mm/分、潤滑油:高粘度油(動粘度1000mm/s)とした。張出試験後のパネルを用いて、破断部近傍の主ひずみ方向のスクライブドサークル径(寸法A)を測定した後、次式により、平面ひずみの破断限界ひずみ量を算出し、0.20以上を曲げ加工性合格(○)、0.20未満を曲げ加工性不合格(×)と評価した。
(平面ひずみの破断限界ひずみ量)=((寸法A)−5mm)/5mm
曲げ試験時の曲げ割れ発生有無は、次に示す手順で評価した。圧延方向に対して垂直方向に幅25mm、長さ200mmの試験片を採取し、10%の引張変形を施した後、内側曲げ半径0.4mmの180°曲げ試験を行った。曲げ加工性の評価は目視による曲げ部の外観観察により行い、割れの発生していないものを合格(○)、割れが発生したものを不合格(×)と評価した。
Figure 0005709298
Figure 0005709298
表2に示すように、本発明に従う試験材1〜10はいずれも、塗装焼付硬化性および成形性に優れていた。
これに対して、試験材11、試験材13はそれぞれSi量、Mg量が少ないため、いずれも塗装焼付後の耐力が低く塗装焼付硬化性が劣っていた。試験材12、試験材14、試験材15はそれぞれSi量、Mg量、Cu量が多いため、いずれも初期耐力および時効後耐力が大きく、平面ひずみの破断限界ひずみ量が低く、曲げ割れが発生し、成形性に劣っていた。
試験材16、試験材17はそれぞれFe量、Mn量が多いため、いずれも塗装焼付後の耐力が低く、塗装焼付硬化性に劣っていた。また、平面ひずみの破断限界ひずみ量が低く、曲げ割れも発生し、成形性にも劣っていた。試験材18、試験材19、試験材20はそれぞれCr量、V量、Zr量が多いため、いずれも平面ひずみの破断限界ひずみ量が低く、曲げ割れが発生し、成形性に劣っていた。
実施例2、比較例2
表1に示すアルミニウム合金Aの鋳塊を、550℃で12時間均質化処理した後、室温まで冷却し、その後、410℃まで再加熱して熱間圧延を開始し、厚さ3.0mmまで圧延した。熱間圧延の終了温度は240℃とした。続いて、0.9mmまで冷間圧延を行った。
得られた冷間圧延材について、表3に示すように、470〜590℃で60秒の溶体化処理を行い、0.2℃/秒および2℃/秒の冷却速度で5〜65℃の焼入れ温度まで冷却して、焼入れ温度で3〜70分保持した後、0.2℃/分および2℃/分の昇温速度で70〜160℃の中間予備時効温度まで加熱して、中間予備時効温度で1〜20分間保持する中間予備時効を行った。なお、表3において、本発明の条件を外れたものには下線を付した。また、表3において、試験材26は参考として示すものである。
その後、5℃/分の冷却速度で70℃の予備時効温度に加熱して、3時間保持する予備時効を行い、40℃まで冷却した。その後、40℃の温度に3日および30日保持した後、実施例1と同じ方法で引張性質、塗装焼付硬化性、成形性を評価した。結果を表3に示す。
Figure 0005709298
表3に示すように、本発明の条件に従う試験材21〜25、27、28はいずれも、塗装焼付硬化性および成形性に優れていた。
これに対して、試験材29は溶体化処理温度が低いため、試験材31は溶体化処理後の冷却速度が低いため、試験材32は焼入れ温度が高いため、試験材33は焼入れ温度での保持時間が長いため、試験材36は中間予備時効温度までの昇温速度が低いため、また、試験材37は中間予備時効温度での保持時間が長いため、いずれも塗装焼付後の耐力が低く塗装焼付硬化性に劣っていた。
試験材35は中間予備時効温度が高いため、初期耐力および時効後耐力が大きく、平面ひずみの破断限界ひずみ量が低く、曲げ割れが発生し成形性に劣っていた。なお、試験材30は、溶体化処理温度が高く、溶体化処理中に局所融解が生じたため、各評価試験を行うことができなかった。
実施例3、比較例3
表1に示すアルミニウム合金Aの鋳塊を、540℃で16時間均質化処理した後、室温まで冷却し、その後、380℃まで再加熱して熱間圧延を開始し、厚さ2.5mmまで圧延した。熱間圧延の終了温度は240℃とした。続いて、0.9mmまで冷間圧延を行った。
得られた冷間圧延材について、550℃で50秒の溶体化処理を行い、20℃/秒の冷却速度で30℃の焼入れ温度まで冷却して、焼入れ温度で2分保持した後、75℃/分の昇温速度で150℃の中間予備時効温度まで加熱して、中間予備時効温度で0.5分間保持する中間予備時効を行った。
その後、0.2℃/分および2℃/分の冷却速度で40〜150℃の予備時効温度まで冷却して、30秒〜20時間保持する予備時効を行い、40℃まで冷却した。その後、40℃の温度に3日および30日保持した後、実施例1と同じ方法で引張性質、塗装焼付硬化性、成形性を評価した。結果を表4に示す。なお、表4において、本発明の条件を外れたものには下線を付した。
Figure 0005709298
表4に示すように、本発明の条件に従う試験材38〜42はいずれも、塗装焼付硬化性および成形性に優れていた。
これに対して、試験材43は予備時効温度が低いため、試験材45は予備時効温度までの冷却速度が低いため、試験材46は予備時効時間が短いため、いずれも塗装焼付後の耐力が低く塗装焼付硬化性に劣っていた。
試験材44は予備時効温度が高いため、試験材47は予備時効温度での保持時間が長いため、いずれも初期耐力および時効後耐力が大きく、平面ひずみの破断限界ひずみ量が低く、曲げ割れが発生し成形性に劣っていた。
実施例4、比較例4
表1に示すアルミニウム合金Aの鋳塊を、540℃で24時間均質化処理した後、室温まで冷却し、その後、400℃まで再加熱して熱間圧延を開始し、厚さ3.5mmまで圧延した。熱間圧延の終了温度は240℃とした。続いて、0.9mmまで冷間圧延を行った。
得られた冷間圧延材について、540℃で60秒の溶体化処理を行い、15℃/秒の冷却速度で15℃の焼入れ温度まで冷却して、焼入れ温度で10分保持した後、50℃/分の昇温速度で150℃の中間予備時効温度まで加熱して、中間予備時効温度で1分間保持する中間予備時効を行った。
その後、表5に示すように、0.2℃/分および2℃/分の冷却速度で予備時効温度より20℃低い温度まで冷却した後、この冷却温度から0.2℃/分および2℃/分の昇温速度で40〜150℃の予備時効温度に加熱して、30秒〜20時間保持する予備時効を行い、40℃まで冷却した。その後、40℃の温度に3日および30日保持した後、実施例1と同じ方法で引張性質、塗装焼付硬化性、成形性を評価した。結果を表5に示す。なお、表5において、本発明の条件を外れたものには下線を付した。
Figure 0005709298
表5に示すように、本発明の条件に従う試験材48〜52はいずれも、塗装焼付硬化性および成形性に優れていた。
これに対して、試験材53は予備時効温度が低いため、試験材55は中間予備時効後の冷却温度が低いため、試験材56は予備時効温度までの昇温速度が低いため、試験材57は予備時効温度での保持時間が短いため、いずれも焼付塗装後の耐力が低く、塗装焼付硬化性が劣っていた。試験材54は予備時効温度が高いため、試験材58は予備時効温度での保持時間が長いため、いずれも初期耐力および時効後耐力が大きく、平面ひずみの破断限界ひずみ量が低く、曲げ割れが発生し成形性に劣っていた。

Claims (3)

  1. 質量%で、Si:0.5〜2.0%、Mg:0.2〜1.5%を含有し、さらにCu:1.0%以下、Zn:0.5%以下、Fe:0.5%以下、Mn:0.3%以下、Cr:0.3%以下、V:0.2%以下、Zr:0.15%以下、Ti:0.1%以下、B:0.005%以下のうち1種または2種以上を含有し、残部Alおよび不可避的不純物からなる組成を有するAl−Mg−Si系アルミニウム合金の板材を、480℃以上580℃以下の温度で溶体化処理し、2℃/秒以上の冷却速度で60℃未満の焼入れ温度まで冷却して、該焼入れ温度で1時間以内の時間保持した後、下記(1)〜(2)の中間予備時効および予備時効を行うことを特徴とする塗装焼付硬化性および成形性に優れたAl−Mg−Si系アルミニウム合金板の製造方法。
    (1)前記焼入れ温度から2℃/分以上の昇温速度で予備時効温度よりも10℃高い温度以上120℃以下の中間予備時効温度まで加熱し、該中間予備時効温度で10分以内の時間保持する中間予備時効、および、
    (2)前記中間予備時効温度から2℃/分以上の冷却速度で50℃以上140℃以下の予備時効温度まで冷却し、該予備時効温度で1分以上10時間以内の時間保持する予備時効。
  2. 前記(1)の中間予備時効を、予備時効温度よりも10℃高い温度以上100℃以下の温度で行うことを特徴とする請求項1記載の塗装焼付硬化性および成形性に優れたAl−Mg−Si系アルミニウム合金板の製造方法。
  3. 前記(1)の中間予備時効の後、2℃/分以上の冷却速度で予備時効温度未満の温度まで冷却し、該温度から2℃/分以上の昇温速度で50℃以上140℃以下の予備時効温度まで加熱して、該予備時効温度で1分以上10時間以内の時間保持する予備時効を行うことを特徴とする請求項1記載の塗装焼付硬化性および成形性に優れたAl−Mg−Si系アルミニウム合金板の製造方法。
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