JP5700129B2 - コイル装置及び磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents
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Description
静磁場の強さは種々の要件によって決定される。要件の1つに磁気空隙の大きさがある。静磁場強度を大きくするためには、空隙を介して対向する磁石とポールピースで形成される磁気空隙を被撮像体の大きさにあわせて極限まで小さくする必要がある。合わせて、静磁場の発生に関係の無い部材であって磁気空隙に配置する必要のあるものについては、その厚さを小さくする必要がある。
磁気空隙がより小さく、磁気空隙に配置された部材の厚さがより小さくなれば、被撮像体と静磁場を与える磁石との距離が縮まり、被撮像体にかかる磁場が大きくなるからである。
傾斜磁場コイルの1つの形態として平面コイルを積層したものがある。傾斜磁場コイルは、静磁場の方向に対してX方向、Y方向、Z方向(静磁場方向)の磁場を与える3層のコイルから形成される。
そのため、コイル巻線と連なるリード線(引き出し線)の他方は、コイル外部に引き出す際に、コイル巻線の内部からコイル巻線を跨ぐ必要がある。ここで、コイル巻線を跨いでいる部分のリード線を渡り線と呼ぶこととする。このリード線の一部分である渡り線のため、平面コイル一層当たりの厚さはボビンの厚さのみではなく、それに渡り線の線径相当の厚さを加えたものになる(特許文献1の図1a、1b)。
傾斜磁場コイルは3層のコイルから形成されるため、傾斜磁場コイルの厚さは、ボビン3枚分の厚さと、渡り線の線径3倍相当の厚さとを合わせたものとなる。
特許文献2に示された方法は、傾斜磁場コイルを薄く作る方法としては有効である。しかし、製造される傾斜磁場コイルには、渡り線のスペースを確保するための厚さが必要となる。また、型部材の溝に線材を配置する工程や型部材の上にシートを載せる工程等、コイルの製造に多くの工程を有するため、コストアップとなる。
それにより、第1コイルと第2コイルとを密着して積層することが可能となるので、平面コイル全体の厚さを低減することができる。
以下、図面を参照して実施の形態1を具体的に説明する。
本実施の形態においては、本発明に係るコイル装置をMRI装置の傾斜磁場コイルに適用した例として、説明する。その他の例としては、電子スピン共鳴装置に用いられる傾斜磁場コイルに適用できる。
傾斜磁場コイル1(コイル装置)は、平面視平板状のZコイル4(第2コイル)、Xコイル2(第1コイル)及びYコイル3(第3コイル)を積層した三層構造となっている。各コイルには外縁に沿って複数のネジ穴が形成されている。該ネジ穴に図示しないネジを通し、Xコイル2、Yコイル3及びZコイル4を互いに結合している。
Xコイル2及びYコイル3は、それぞれ二つのコイル分体から構成されているため、リード線の引き出し箇所は、それぞれ2箇所である。上述のようにXコイル2とYコイル3とを互いに直交するように配置するため、Xコイル2のリード線27a、27bとYコイル3のリード線37a、37bは全て異なる位置となる。従って、傾斜磁場コイル1のリード線引き出し位置は最低4箇所となる。引き出し位置の数を最小にするためにZコイル4の引き出し位置をYコイル3の一方の引き出し位置に合わせる。各リード線の引き出し位置は、周方向に等間隔で配置される。例えば、Zコイル4のリード線44を時計の3時の位置とした場合、Xコイル2のリード線27a、27bは、それぞれ12時、6時の位置となる。Yコイル3のリード線37a、37bは、それぞれ9時、3時の位置となる。
Zコイル4は、Zコイル用ボビン41、コイル巻線部42、渡り線43及びリード線44を含む。
Zコイル用ボビン41(以下、「ボビン41」と記す。)は、平面視略円板状の形状である。
ボビン41は、電気絶縁性のある樹脂、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、又はSPS(シンジオタクチックポリスチレン)を用いて製作する。
溝は、渦巻状の連続した一本の溝であり、外縁よりも所定の間隔をおいて形成する。各溝はボビン41の外縁と略同心円状である。外縁と溝との間には、切欠部45a、45b、45c、45d、ネジ穴46及びネジ穴47を設ける。
モールド固定に用いる樹脂は、エポキシ樹脂に限られるものではない。エポキシ樹脂と同様の絶縁性、耐熱性、硬度を持つ樹脂、例えばポリウレタン、ポリエステルなどを用いても良い。
コイル巻線の巻き終わり部分42bの位置は、ボビン41の外縁より径方向に所定の距離内周側に入った位置である。コイル巻線と連なるリード線44の一方をボビン41の周縁部でボビン41にモールド固定するためである。コイル巻線の巻き始め部分42cは、コイル巻線の巻き終わり部分42bと周方向位置が略同一とする。巻き始め部分42c(第2コイル内側)と連なるリード線44の他方(引き出し線)を、リード線44の一方と共にボビン41の周縁部(第2コイルの周縁部)でボビン41にモールド固定し、引き出すためである。
切欠部45a、45b、45c、45dは、周方向に等間隔で形成する。
なお、コイル巻線の線径が1.0mmとした場合、ボビン41の溝が無い部分の厚さを1.6mmとし、溝幅は1.1mm、溝深さを1.2mmとする。このようにすれば、コイル線は溝に埋め込まれ、ボビン41表面にはみ出すことが無く、好適である。
Xコイル分体2aは、Xコイル用ボビン21a、コイル巻線部23a、渡り線26a及びリード線27aを含む。
Xコイル用ボビン21a(以下、「ボビン21a」と、記す。)は、平面視弓形状である。ボビン21aの曲線部とZコイル用ボビン41の曲線部とは、曲率半径が等しくなるようにする。
ボビン21aは、電気絶縁性のある樹脂、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、又はSPS(シンジオタクチックポリスチレン)を用いて製作する。
溝は連続した一本の溝であり、外縁より所定の間隔をおいて形成する。ボビン21a外縁と略相似形であるコイル巻線を形成するように、溝を設ける。外縁と溝との間に、切欠部28a、ネジ穴29a及びネジ穴30aを設ける。
コイル巻線の巻き終わり部分24aの位置は、ボビン21aの外縁より径方向に所定の距離内周側に入った位置である。コイル巻線と接続したリード線27aの一方をボビン21aの周縁部(第1コイルの周縁部)でボビン21aにモールド固定するためである。
巻き終わり部分24aの位置は、ボビン21a周縁の一部をなす円弧の中点付近である。コイル巻線の巻き始め部分25aは、コイル巻線の巻き終わり部分24aと周方向位置が略同一とする。巻き始め部分25a(第1コイル内側)と連なるリード線27aの他方(引き出し線)を、リード線27aの一方と共にボビン21aの周縁部でボビン21aにモールド固定し、引き出すためである。
なお、コイル巻線の線径が1.0mmとした場合、ボビン21aの溝が無い部分の厚さを1.6mmとし、溝幅は1.1mm、溝深さを1.2mmとする。このようにすれば、コイル線は溝に埋め込まれ、ボビン21a表面にはみ出すことが無く、好適である。
Xコイル分体2bに用いるXコイル用ボビン21b(以下、「ボビン21b」と記す。)も、Xコイル分体2aに用いるXコイル用ボビン21aと同様である。
コイル巻線の巻き終わり部分24b、巻き始め部分25b(第1コイル内側)は、それぞれXコイル分体2aの巻き終わり部分24a、巻き始め部分25aと同様な位置に形成されている。巻き終わり部分24bと連なるリード線27bの一方は、切欠部28bより、外部へ引き出される。巻き始め部分25bと連なるリード線27bの他方(引き出し線)は、コイル巻線を跨ぎ(渡り線26b)、切欠部28bの内側でボビン21bにモールド固定されている。リード線27bの他方も、切欠部28bより、外部へ引き出される。
Zコイル4上に配置する際には、さらに、Xコイル分体2a、2bの円弧部分とZコイル4の円弧部分とが揃うように設置する。
Yコイル分体3aは、Yコイル用ボビン31a、コイル巻線部33a、渡り線36a及びリード線37aを含む。
Yコイル用ボビン31a(以下、「ボビン31a」と記す。)は、平面視弓形状である。ボビン31aの形状は、上述したボビン21aと同様である。
ボビン31aは、電気絶縁性のある樹脂、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、又はSPS(シンジオタクチックポリスチレン)を用いて製作する。
溝は連続した一本の溝であり、外縁より所定の間隔をおいて形成する。ボビン31a外縁と略相似形であるコイル巻線を形成するように、溝を設ける。外縁と溝との間に、切欠部38a、ネジ穴39a及びネジ穴40aを設ける。
コイル巻線の巻き終わり部分34aの位置は、ボビン31aの外縁より径方向に所定の距離内周側に入った位置である。コイル巻線と接続したリード線37aの一方をボビン31aの周縁部(第3コイルの周縁部)でボビン31aにモールド固定するためである。
巻き終わり部分34aの位置は、ボビン31a周縁の一部をなす円弧の中点付近である。
コイル巻線の巻き始め部分35aは、コイル巻線の巻き終わり部分34aと周方向位置が略同一とする。巻き始め部分35a(第3コイル内側)と連なるリード線37aの他方(引き出し線)を、リード線37aの一方と共にボビン31aの周縁部でボビン31aにモールド固定し、引き出すためである。
なお、コイル巻線の線径が1.0mmとした場合、ボビン31aの溝の無い部分の厚さを1.6mmとし、溝幅は1.1mm、溝深さを1.2mmとする。このようにすれば、コイル線は溝に埋め込まれ、ボビン31a表面にはみ出すことが無く、好適である。
Yコイル分体3bに用いるYコイル用ボビン31b(以下、「ボビン31b」と記す。)は、Yコイル分体3aに用いるYコイル用ボビン31aと同様である。
コイル巻線の巻き終わり部分34b、巻き始め部分35b(第3コイル内側)は、それぞれYコイル分体3aの巻き終わり部分34a、巻き始め部分35aと同様な位置に形成されている。巻き終わり部分34bと連なるリード線37bの一方は、切欠部38bより、外部へ引き出される。巻き終わり部分35bと連なるリード線37bの他方(引き出し線)は、コイル巻線を跨ぎ(渡り線36b)、切欠部38bの内側でボビン31bにモールド固定されている。リード線37bの他方も、切欠部38bより、外部へ引き出される。
Xコイル2上に配置する際には、さらに、Yコイル分体3a、3bの円弧部分とXコイル2の円弧部分及びZコイル4の円弧部分とが揃うように設置する。
図7及び図8に示したように、コイル巻線部42を上面としてZコイル4を置き、Zコイル4の上にXコイル分体2a、Xコイル分体2bからなるXコイル2を積み重ねる。Xコイル分体2a、2bはZコイル4と同様に、それぞれのコイル巻線部23a、23bが上面となるように、Zコイル4に重ねる。Zコイル4の円弧部分とXコイル分体2aの円弧部分とを揃えて重ねる。Zコイル4の円弧部分とXコイル分体2bの円弧部分とを揃えて重ねる。Xコイル分体2aの直線部分とXコイル分体2bの直線部分とが平行になるように配置する。それにより、Zコイル4上に略長方形を底面とし、Xコイル分体2a、2bの厚さに相当する高さを持つ略六面体上の空間である間隙部(以下、「第1間隙部1a」と記す。)が形成される。すなわち、Xコイル分体2aとXコイル分体2bは第1間隙部1aを挟んで並置される。
第1間隙部1aの高さは、渡り線43の線径より大きいので、渡り線43を第1間隙部1aに収納することが可能となる。
すなわち、第1間隙部1aを利用して、Zコイル4の渡り線43を通すことが可能となる。それにより、Zコイル4のボビン41とXコイル2のボビン21a、21bを密着することが可能となり、渡り線の線径に相当する厚さを、傾斜磁場コイルの厚さから低減することが可能となる。
なお、図8では、各ボビンに設けられたコイル巻線用の溝は記載を省略している。また、渡り線43とコイル巻線42とをモールド固定する樹脂の記載を省略している。
上述した第1間隙部1aと同様、第2間隙部1bを利用して、Xコイル2の渡り線26a、26bを通すことができる。また、Yコイル3の渡り線36a、36bは、Zコイル4の渡り線43と同様に第1間隙部1aを通すことができる。したがって、Yコイル3のボビン31a、31bとXコイル2のボビン21a、21bとを密着することが可能となり、さらに渡り線の線径の2倍に相当する厚さを、傾斜磁場コイルの厚さから低減することが可能となる。
なお、図10では、各ボビンに設けられたコイル巻線用の溝は記載を省略している。また、渡り線26aとコイル巻線部23aとを、及び渡り線26bとコイル巻線部23bとをモールド固定する樹脂の記載を省略している。
図11は、実施の形態1に係る傾斜磁場コイルを備えたMRI装置の内部構成の全体概要を示すブロック図である。
MRI装置5は、大別すると、静磁場発生部6、傾斜磁場発生部7、シーケンサ8、電磁波発生部9、電磁波検出部10、信号処理部11及び操作部12を有する。
変調器9bは、シーケンサ8からの指令に従って、高周波発振器9aから与えられた高周波パルスを所定のタイミングで振幅変調し、振幅変調した高周波パルスを高周波増幅器9cに与える。
高周波増幅器9cは、与えられた高周波パルスを増幅し、被撮像体100に近接する高周波送信コイル6aに与える。高周波送信コイル6aは、増幅された高周波パルスを被撮像体100に照射する。
MRI装置5は、支柱ヨーク50a及び50b、ベースヨーク51a及び51b、静磁場磁石52a及び52b、傾斜磁場コイル7a及び7b、高周波送信コイル6a、高周波受信コイル6b、操作部12を有する。
図13は、実施の形態2に係る傾斜磁場コイルの構造を示す分解斜視図である。実施の形態1では、Xコイル2、Yコイル3及びZコイル4を重ねる順番として、Zコイル4の上にXコイル2を重ね、さらにその上にYコイル3を重ねたが、Xコイル2とYコイル3とを逆に重ねても良い。すなわち、Zコイル4の上にYコイル3を重ね、さらにその上にXコイル2を重ねても良い。
本実施の形態においては、以下のようにコイルを積み重ねる。巻き線部42が上になるようにしてZコイル4を置く。リード線44は、時計の3時の位置とする。その上に、Yコイル分体3a、Yコイル分体3bをそれぞれコイル巻線部33a、33bが上になるようにして重ねる。この場合、Yコイル分体3aのリード37aは時計の12時の位置となる。Yコイル分体3bのリード線37bは時計の6時の位置となる。
Zコイル4の渡り線43は、Yコイル3により形成される第2間隙部1bに収納される。
Yコイル分体3aの渡り線36a及びYコイル分体3bの渡り線36bは、Xコイル2が形成する第1間隙部1aに収納される。
本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、従来技術による傾斜磁場コイルと比べて、合計で渡り線の線径3倍に相当する厚さを低減することが可能となる。
図14は、実施の形態3に係るX、Yコイル用ボビンの形状を示した平面図である。上述した実施の形態1及び2において、Xコイル2及びYコイル3はそれぞれ2枚のボビンを用いて構成したが、これに限られるものではない。Xコイル2又はYコイル3を1枚のボビンで構成することも可能である。1枚のボビンで構成した場合は、間隙部を設け、該間隙部を第1間隙部1a及び第2間隙部1bとして機能させる。
実施の形態3に係るX、Yコイル用ボビン13(以下、「ボビン13」と記す。)は、2枚のボビンを1枚とした点が相違しているのみであり、その他構成については同様であるので、以下、相違している点を主に説明する。
ボビン13は、間隙部13a、13b、溝13c、13d、切欠部13e、13f、連結部13gを含む。
ボビン13は、上述したZコイル用ボビン41と半径が略同一である円板の一部を外縁から切り欠いた形状になっている。切り欠いたことにより形成される間隙部13a、13bは、2箇所に形成されている。間隙部13a、13bは、円板の中心に対して対称の位置にある。間隙部13a、13bは、上述した第1間隙部1aとしての機能を果たす。
間隙部13a、13bの形状は、平面視略長方形である。切り欠いた後に残る平面視長方形部分が連結部13gである。長方形状の連結部13gはボビン13の中央部から切欠部13e、13fの切り欠け方向と交差する方向に向かって対称に形成されている。連結部13gの長手方向の長さはボビン13の直径よりも短い。
溝13c、13dは、コイル線を埋め込むための溝であり、連結部13gを挟んで対称に形成されている。溝13c、13dそれぞれの形状は、上述したXコイル用ボビン21a等と同様である。
間隙部13a、13bは、ボビン13を中心として切欠部13e、13fを90度回転した位置に設ける。すなわち、切欠部13e、13fがそれぞれ、時計の3時、9時の位置とした場合、間隙部13a、13bは、6時、12時の位置とする。
同様にボビン13を用いて、Yコイル3を構成することが可能である。すなわち、溝13c、13dを用いて形成したコイルがそれぞれ、Yコイル分体3a、Yコイル分体3bとなる。この場合、連結部13gが第2連結部となる。また、間隙部13a、13bは、上述した第2間隙部1bとしての機能を果たす。
実施の形態1と本実施の形態との相違はボビン形状のみであり、その他の事項については、実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。
例えば、図14に示している連結部の長手方向の長さを短くしても良い。連結部の形状も平面視長方形に限らず、間隙部を形成する辺が湾曲していても良い。また、連結部を1つの板材で形成するのではなく、細い複数の板材によりコイル分体間を橋渡しする形態でも良い。その他、2つのコイル分体間の距離を適正に保ち、かつ、渡り線を収納するのに十分な間隙部が得られる如何なる形状をも、連結部として採用できる。
上述した実施の形態1において、傾斜磁場コイルのリード線は4箇所から引き出したが、本実施例においては、新たなボビンを付け加えることにより、引き出し箇所を1箇所とする。
Z2ボビン15(以下、「ボビン15」と記す。)は円板状の形状をしている。ボビン15の曲率半径と、Zコイル用ボビン41の曲率半径とは、略同一の長さである。Z2ボビン15は、リード線を通すための穴15a、15b、15c、リード線を案内するための溝16a、16b及び16cを含む。
穴15a、15b、15cは、各々2つの穴から構成されている。穴15a、15b、15cは、ボビン15の外縁に沿って設けられ、溝16cはボビン15の外縁から内部方向に形成され、溝16a及び16bと連なっている。溝16cを時計の3時の位置とした場合、穴15aは12時付近に、穴15bは6時付近に、穴15cは9時付近に設けられている。
ボビン15の外縁と溝16a、16bとの間には、ボビン15を他のボビンと連結する際に用いるネジを通すためのネジ穴を適宜設ける。
また、ボビン15の中央部には円環状の溝部16dが形成されている。
Z2ボビン15はZ2コイル(図示しない)を配置するためのボビンである。ボビン15の中央部に形成された円環状の溝部16dにZ2コイルを配置する。Z2コイルは磁場均一性を改善するためのコイルとなる。
このように重ねた場合、Xコイル分体2aのリード線27aは、穴15aを通り、傾斜磁場コイル1からボビン15の上面に引き出される。同様にXコイル分体2bのリード線27bは穴15bを、Yコイル分体3aのリード線37aは穴15cをそれぞれ通り、傾斜磁場コイル1からボビン15の上面に引き出される。
Zコイル4のリード線44、Yコイル分体3bのリード線37bは、Z2ボビン15の下から傾斜磁場コイル14の外部に引き出される。
溝16cに引き回された全てのリード線27a、27b、37aは、溝16cより傾斜磁場コイル14の外部に引き出される。
それにより、傾斜磁場コイル14をMRI装置に取り付ける際のリード線取り回しが容易になり、MRI装置の組み立て工数が低減するという効果を奏する。
なお、本実施の形態においては、実施の形態1に係る傾斜磁場コイル1にZ2ボビン15を追加した場合について述べたが、同様に実施の形態2、3に係る傾斜磁場コイルに、Z2ボビン15を追加することにより、同様の効果を奏することができる。
次に、実施の形態4に係る傾斜磁場コイル14をMRI装置において使用する場合に用いられる冷却機構について説明する。傾斜磁場コイルは、撮像中にパルス電流が繰り返して供給されることによって大きく発熱する。傾斜磁場コイルの発熱は、撮像される画像の画質に影響を与えたり、撮像対象となる被撮像体に苦痛を与えたりする可能性があるため、傾斜磁場コイルを冷却する機構が必要となる。
傾斜磁場コイル14は、外縁に沿って設けられたネジ穴に通したネジ17aと、固定用ボス18aとによりポールピース18にネジ止めされる。傾斜磁場コイル14をポールピース18に取り付けた際、傾斜磁場コイル14の上面とポールピース18の上面とが面一となるにように、固定用ボス18aを形成する。すなわち、固定用ボス18aの上面がポールピース18の上面から傾斜磁場コイル14の厚さ分低くなるように、固定用ボス18aを形成する。
本実施の形態において、傾斜磁場コイル14はリード線の引き出し位置が1箇所であるため、上記の機構により効率的に傾斜磁場コイル14を冷却することができる。
本実施の形態においては、本発明に係る平面コイルを電子スピン共鳴装置(Electron Spin Resonance装置、以下、「ESR装置」と記す。)の傾斜磁場コイルに適用した場合について、説明する。
ESR装置は、静磁場中に置かれた被測定試料にマイクロ波を照射すると共に、照射したマイクロ波が被測定試料によって吸収される様子をスペクトルとして記録するようにした磁気共鳴装置の一種である。被測定試料中にフリーラジカルが存在すると、静磁場の掃引に伴ってマイクロ波の吸収が起こり、フリーラジカルの分子構造を反映した吸収スペクトルが記録計に記録される。この吸収スペクトルを解析することにより、フリーラジカルの分子構造に関する情報を得ることができる。
図19において、主コイル64a、64bは、マイクロ波の周波数と共鳴条件とから求められる均一な静磁場を発生させる。傾斜磁場コイル67a、67bは、X、Y、Z軸コイルがあり、各コイルがそれぞれの座標軸に沿って直線性の高い傾斜磁場を発生させる。
発生した静磁場、傾斜磁場は、傾斜磁場コイル67aと67bとの間隙に置かれる測定試料が入れられた空洞共振器に掛けられる。
ここで、傾斜磁場を発生させる理由は、空間的な位置情報を得るためである。
本実施の形態に係るESR装置の磁場発生部60において、傾斜磁場コイル67a、67bとして本発明の傾斜磁場コイル1を採用する。本発明の傾斜磁場コイル1は、従来技術による傾斜磁場コイルよりも厚さが薄い。従って、傾斜磁場コイル67aと67bとの間隔を狭めることなく、主コイル64a及び64bと測定試料が入れられた空洞共振器との間隔を狭めることが可能となる。それにより、静磁場空間の磁場が強化されるという効果を奏する。
1a 第1間隙部
1b 第2間隙部
2 Xコイル
2a、2b Xコイル分体
21a、21b Xコイル用ボビン
23a、23b コイル巻線部
26a、26b 渡り線
27a、27b リード線
3 Yコイル
3a、3b Yコイル分体
31a、31b Yコイル用ボビン
33a、33b コイル巻線部
36a、36b 渡り線
37a、37b リード線
4 Zコイル
41 Zコイル用ボビン
42 コイル巻線部
43 渡り線
44 リード線
5 MRI装置
6 静磁場発生部
7 傾斜磁場発生部
7a、7b 傾斜磁場コイル
8 シーケンサ
9 電磁波発生部
10 電磁波検出部
11 信号処理部
13 X、Yコイル用ボビン
13a、13b 間隙部
13c、13d 溝
13e、13f 切欠部
13g 連結部
14 傾斜磁場コイル
15 Z2ボビン
17 傾斜磁場コイルユニット
18 ポールピース
18b リード線溝
19 エアーポンプ
60 磁場発生部
61 制御部
64a、64b 主コイル
67a、67b 傾斜磁場コイル
Claims (7)
- 平板状をなす第1コイル及び第2コイルを積層したコイル装置において、
前記第1コイルは第1間隙部を有し、
前記第2コイル内側から該第2コイルを跨ぎ周縁部に引き出した引き出し線の一部又は全部を前記第1間隙部に収納してあること
を特徴とするコイル装置。 - 前記第1コイルは二つのコイル分体からなり、
両コイル分体は前記第1間隙部を挟んで並置してあること
を特徴とする請求項1に記載のコイル装置。 - 前記二つの第1コイル分体を連結する連結部を備えること
を特徴とする請求項2に記載のコイル装置。 - 平板状をなす第3コイルを更に備え、
前記第2コイル、前記第1コイル及び前記第3コイルがこの順に積層してあり、
前記第3コイルは第2間隙部を有し、
前記第1コイル内側から該第1コイルを跨ぎ周縁部に引き出した引き出し線の一部又は全部を前記第2間隙部に収納し、
前記第3コイル内側から該第3コイルを跨ぎ周縁部に引き出した引き出し線の一部又は全部を前記第1間隙部に収納してあること
を特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のコイル装置。 - 前記第3コイルは二つのコイル分体からなり、
両コイル分体は前記第2間隙部を挟んで並置してあること
を特徴とする請求項4に記載のコイル装置。 - 前記二つの第3コイル分体を連結する第2連結部を備えること
を特徴とする請求項5に記載のコイル装置。 - 請求項4から請求項6のいずれか一項に記載のコイル装置を傾斜磁場コイルとして
備えたことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
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