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JP5798843B2 - 緩衝器 - Google Patents

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Description

この発明は、緩衝器の改良に関する。
緩衝器は、例えば、特許文献1に開示されるように、自動車等の車両のサスペンション装置に使用され、シリンダと、このシリンダのヘッド部に固定されるヘッド部材に軸支されてシリンダ内に出没可能に挿入されるロッドとを備える。
そして、上記ヘッド部材は、環状に形成されて内周に取り付けられる軸受部材で上記ロッドを軸支するロッドガイドと、このロッドガイドに積層されて上記ロッド外周に摺接しシリンダ内の作動流体が外気側に流出することを防止する環状のシール部材とを備える。
また、上記緩衝器は、上記ロッドの先端に保持されて上記シリンダ内を作動流体が充填される二つの作用室に区画するピストンと、上記シリンダのボトム部内周に摺接し、上記シリンダ内に体積補償用の気室を区画するフリーピストンとを備える。
さらに、上記緩衝器は、上記ピストンに形成されて上記二つの作用室を連通する流路と、この流路を作動流体が通過するとき所定の減衰力を発生する減衰力発生手段とを備え、走行中の車両に入力される路面振動を抑制する。
また、上記緩衝器において作動流体を水系流体としており、これにより、作動流体を鉱物性の油とする場合と比較して、減衰力応答性を向上させている。
特開2009−36257号公報
しかしながら、上記従来の緩衝器のように作動流体を油ではなく、水系流体とした場合には、以下の不具合を指摘される虞がある。
即ち、シール部材とロッドは、潤滑皮膜を介して摺接することにより潤滑性が良好に保たれているが、水系流体は、油と比較して潤滑性に乏しく、シール部材とロッドとの摺動性を良好にするためには、潤滑皮膜を厚くする必要がある。
しかしながら、潤滑皮膜を厚くすると、ロッドが退出したときに外気に曝される作動流体の量が増加し、これに伴い作動流体の蒸発量も増加して作動流体が不足する虞がある。
そこで、本発明の目的は、上記不具合を解決し、作動流体に水系流体を採用する場合においても作動流体の不足を防止することが可能な緩衝器を提供することである。
上記課題を解決するための手段は、シリンダと、このシリンダの外側に同軸に配置されて上記シリンダとの間にリザーバを形成する外筒と、上記シリンダ内に出没可能に挿入されるロッドと、このロッドの先端に保持されて上記シリンダ内を作動流体が充填される二つの作用室に区画するピストンと、上記シリンダのボトム部に固定されピストン側の上記作用室と上記リザーバとを区画するベース部材とを備え、上記リザーバは、作動流体が貯留されてなるリザーバ内液室と、気体が収容されてなるリザーバ内気室とからなる緩衝器において、内部に作動流体が貯留されてなるタンク内液室と、気体が収容されてなるタンク内気室とが形成されるタンクと、このタンクと上記リザーバとを連通する第一流路及び第二流路とを備え、上記第一流路は、そのタンク側開口が常にタンク内液室に臨み、上記第一流路の途中には、上記タンク内液室から上記リザーバへの移動のみを許容する供給用チェック弁が設けられてなり、上記第二流路は、そのリザーバ側開口が最圧縮時の上記リザーバ内液室と上記リザーバ内気室の境界近傍に臨み、上記第二流路の途中には、上記リザーバから上記タンクへの移動のみを許容する排出用チェック弁が設けられてなり、上記作動流体が水系流体からなることである。
本発明によれば、作動流体の蒸発量が増加してシリンダ内の作動流体が不足したとしても、タンク内の作動流体が供給用チェック弁を介して補充されるため、作動流体にグリコール水溶液等の水系流体を採用する場合においても作動流体の不足を防止することが可能となる。
本発明の一実施の形態に係る緩衝器を原理的に示す縦断面図である。
以下に本発明の一実施の形態を示す緩衝器について、図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係る緩衝器Dは、シリンダ1と、このシリンダ1の外側に同軸に配置されて上記シリンダ1との間にリザーバRを形成する外筒2と、上記シリンダ1内に出没可能に挿入されるロッド3と、このロッド3の先端に保持されて上記シリンダ1内を作動流体が充填される二つの作用室P1,P2に区画するピストン4と、上記シリンダ1のボトム部(図1中下部)に固定されピストン側の上記作用室(圧側作用室P2)と上記リザーバRとを区画するベース部材5とを備える。
そして、上記リザーバRは、作動流体が貯留されてなるリザーバ内液室R1と、気体が収容されてなるリザーバ内気室R2とからなる。
さらに、上記緩衝器Dは、内部に作動流体が貯留されてなるタンク内液室T1と、気体が収容されてなるタンク内気室T2とが形成されるタンクTと、このタンクTと上記リザーバRとを連通する第一流路6及び第二流路7とを備える。
上記第一流路6は、そのタンク側開口60が常にタンク内液室T1に臨み、上記第一流路6の途中には、上記タンク内液室T1から上記リザーバRへの移動のみを許容する供給用チェック弁6aが設けられてなる。
一方、上記第二流路7は、そのリザーバ側開口71が最圧縮時の上記リザーバ内液室R1と上記リザーバ内気室R2の境界(液面O1)近傍に臨み、上記第二流路7の途中には、上記リザーバRから上記タンクTへの移動のみを許容する排出用チェック弁7aが設けられてなる。
以下に詳細に説明すると、本実施の形態に係る緩衝器Dは、自動車等の車両のサスペンション装置に使用され、上記シリンダ1と上記外筒2との間にリザーバRを形成して複筒型緩衝器を構成する。
また、上記緩衝器Dは、上記ロッド3を車体側に、上記シリンダ1及び外筒2を車輪側に固定されて正立型に設定される。
上記シリンダ1は、図1中上側開口部にヘッド部材8が固定され、図1中下側開口部にベース部材5が固定される。上記シリンダ1内における上記ヘッド部材8とベース部材5との間には、作動流体が充填されて作用室(P1,P2)を形成し、この作用室(P1,P2)は、シリンダ1内に摺動可能に挿入されるピストン4で上下に区画される。以下、図1中上側に位置するロッド側の作用室を伸側作用室P1、図1中下側に位置するピストン側の作用室を圧側作用室P2という。
また、上記シリンダ1内における上記ベース部材5よりも図中下側には、同じく作動流体が充填されるシリンダ内下室P3が形成される。このシリンダ内下室内P3の作動流体は、シリンダ1に形成されてシリンダ内下室P3に臨む通孔10を介してリザーバ内液室R1との間を自由に移動可能である。
上記ヘッド部材8は、内周に取り付けられる軸受部材8aでロッド3を軸支するロッドガイド80と、このロッドガイド80の外気側(図1中上側)に積層される環状のシール部材81とを備える。
上記ロッドガイド80は、外周部が外筒2に嵌合してリザーバRの図1中上端を閉塞する軸受本体80aと、この軸受本体80aの図1中下端から垂設されてシリンダ1の図1中上端部に嵌合する嵌合部80bとを備える。
また、上記シール部材81は、上記軸受本体80a上に積層されてロッドガイド80と一体的にシリンダ1及び外筒2に固定され、その内周シール81aがロッド3外周に摺接してシリンダ1内の作動流体が外気側に流出することを防止する。
上記ロッド3の先端に保持されるピストン4は、上記二つの作用室P1,P2を連通する伸側流路40及び圧側流路41と、伸側流路40の途中に設けられる伸側減衰力発生バルブV1と、圧側流路41の途中に設けられる圧側チェック弁C1とを備える。
上記伸側減衰力発生バルブV1は、伸側作用室P1から圧側作用室P2へ作動流体の移動のみを許容すると共に、開弁圧が高く設定され、作動流体の移動の際に高い流路抵抗を生じさせて、メインの伸側減衰力を発生する。
一方、上記圧側チェック弁C1は、圧側作用室P2から伸側作用室P1への作動流体の移動のみを許容すると共に、開弁圧が低く設定されて容易に開弁する。
また、上記シリンダ1のボトム部に固定されるベース部材5は、圧側作用室P2とシリンダ内下室P3及び通孔10を介してリザーバ内液室R1とを連通する伸側流路50及び圧側流路51と、伸側流路50の途中に設けられる伸側チェック弁C2と、圧側流路51の途中に設けられる圧側減衰力発生バルブV2とを備える。
上記伸側チェック弁C2は、リザーバ側から圧側作用室P2への作動流体の移動のみを許容すると共に、開弁圧が低く設定されて容易に開弁する。
一方、上記圧側減衰力発生バルブV2は、圧側作用室P2からリザーバ側への作動流体の移動のみを許容すると共に、開弁圧が高く設定され、作動流体の移動の際に高い流路抵抗を生じさせて、メインの圧側減衰力を発生する。
ところで、上記シリンダ1と外筒2との間に形成されるリザーバRは、上記リザーバ内液室R1と、このリザーバ内液室R1の液面O1を介して上側に形成されて気体が収容されるリザーバ内気室R2とからなり、その図1中上側を上記ヘッド部材8で閉塞されると共に、その図1中下側をボトム部材20で閉塞される。
また、上記リザーバRは、第一流路6及び第二流路7を介して外筒2の外側に配置されるタンクTに連通し、このタンクTの内部には、作動流体が貯留されてなるタンク内液室T1と、このタンク内液室T1の液面O2を介して上側に形成され気体が収容されるタンク内気室T2とからなる。
そして、上記第一流路6のタンク側開口60は、上記タンクTの底部に設けられて常にタンク内液室T1に臨み、上記第一流路6のリザーバ側開口61は、外筒2の図1中下部に設けられて常にリザーバ内液室R1に臨む。
したがって、上記第一流路6は、タンク内液室T1とリザーバ内液室R1とを連通する。この第一流路6の途中には、上記タンク内液室T1から上記リザーバ内液室R1への移動のみを許容する供給用チェック弁6aが設けられる。
一方、上記第二流路7のタンク側開口70は、上記タンクTの天井部に設けられて常にタンク内気室T2に臨み、上記第二流路7のリザーバ側開口71は、外筒2の図1中上部に設けられて緩衝器Dの最圧縮時におけるリザーバ内液室R1の液面O1近傍に臨む。
したがって、上記第二流路7は、リザーバRに収容される作動流体の量によってタンク内気室T2とリザーバ内気室R2とを連通する場合も、タンク内気室T2とリザーバ内液室R1とを連通する場合もある。この第二流路7の途中には、作動流体若しくは気体がタンク側に移動することのみを許容する排出用チェック弁7aが設けられる。
また、本実施の形態において、シリンダ1、リザーバR、及びタンクTに収容される作動流体は水系流体であり、この水系流体は、水にグリコール類を加えたグリコール水溶液である。上記グリコール類として、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール等が用いられる。
次に、本実施の形態における緩衝器Dの作用効果について説明すると、ロッド3がシリンダ1から退出する緩衝器Dの伸長時には、伸側作用室P1が加圧され、この伸側作用室P1の作動流体は、ピストン4の伸側減衰力発生バルブV1を押し開き圧側作用室P2に移動する。
このとき、退出したロッド3の体積分の作動流体がシリンダ1内で不足するため、この不足分の作動流体がベース部材5の伸側チェック弁C2を開いてシリンダ1内に流入する。
そして、リザーバRから作動流体がシリンダ1内に移動するため、リザーバRの内圧が低下して供給用チェック弁6aが開き、第一流路6を介して作動流体がタンクTからリザーバRに移動し、タンクTとリザーバRの内圧が等しくなる。
一方、ロッド3がシリンダ1内に進入する緩衝器Dの圧縮時には、圧側作用室P2が加圧され、この圧側作用室P2の作動流体は、ピストン4の圧側チェック弁C1を開いて伸側作用室P1に移動する。
このとき、進入したロッド3の体積分の作動流体がシリンダ1内で余剰となるため、この余剰分の作動流体がベース部材5の圧側減衰力発生バルブV2を押し開いてリザーバRに流入する。
そして、リザーバRに作動流体が流入するため、リザーバRの内圧が上昇して排出用チェック弁7aが開く。このとき、リザーバRの液面O1が第二流路7のリザーバ側開口71よりも図1中上側に位置する場合には、作動流体がリザーバRからタンクTに移動し、リザーバRの液面O1が第二流路7のリザーバ側開口71よりも図1中下側に位置する場合には、気体がリザーバRからタンクTに移動して、タンクTとリザーバRの内圧が等しくなる。
即ち、緩衝器Dは、伸張時において、ピストン4の伸側減衰力発生バルブV1を押し開いて伸側流路40を通過する際の流路抵抗、及びベース部材5の伸側チェック弁C2を開いて伸側流路50を通過する際の流路抵抗に起因する伸側減衰力を発生する。
また、緩衝器Dは、圧縮時において、ベース部材5の圧側減衰力発生バルブV2を押し開いて圧側流路51を通過する際の流路抵抗、及びピストン4の圧側チェック弁C1を開いて圧側流路41を通過する際の流路抵抗に起因する圧側減衰力を発生する。
更に、緩衝器Dは、伸縮運動を繰り返すことにより、リザーバRの液面O1が第二流路7のリザーバ側開口71よりも高くなる場合にはリザーバRの作動流体とタンクTの作動流体とを循環させ、リザーバRの液面O1が第二流路7のリザーバ側開口71よりも低くなる場合にはリザーバRの気体とタンクTの作動流体とを置換させる。
つまり、緩衝器Dの伸縮により、作動流体のみがタンクTからリザーバRに供給されることから、ロッド3外周に付着した作動流体が蒸発したとしても、シリンダ1及びリザーバRで作動流体が不足することを防止することが可能となる。
また、リザーバRに作動流体が供給されてリザーバRに収容される作動流体の量が一定以上となった場合には、リザーバRの液面O1が第二流路7のリザーバ側開口71よりも図1中上側に位置するため、作動流体をタンクTに排出用チェック弁7aを介して流出させて、リザーバRの作動流体が増えすぎることがない。
つまり、第二流路7のリザーバ側開口71を設ける位置は、リザーバRの作動流体が多くなりすぎない位置に設ければよく、それは、リザーバRの液面O1が最も高くなる緩衝器Dの最収縮時において望ましい液面O1の位置に設定することにより実現可能であり、請求項における最圧縮時のリザーバ内液室R1とリザーバ内気室R2の境界近傍とは、上記望ましい液面O1の位置をいうものである。
また、本実施の形態において、第一流路6のリザーバ側開口61が常にリザーバ内液室R1に臨む位置に設けられることから、タンクの作動流体は、リザーバ内気室R2を介することなくリザーバ内液室R1に移動し、作動流体内に気泡が混入することを防止することが可能となる。
また、本実施の形態において、第一流路6のリザーバ側開口61がタンクTの底部に設けられることから、タンクTに収容する作動流体の量を最小限にしながらリザーバ側開口61を常にリザーバ内液室R1に臨ませることが可能である。
また、本実施の形態において、作動流体が水系流体からなり、水系流体は、油と比較して圧縮され難く、減衰力発生の応答性を高めることが可能となる。
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱することなく改造、変形及び変更を行うことができることは理解すべきである。
例えば、上記実施の形態における緩衝器Dは、自動車等の車両のサスペンション装置に使用されるとしたがこの限りではなく、他の装置に使用されるとしても良い。
また、上記実施の形態において、第一流路6のリザーバ側開口61が常にリザーバ内液室R1に臨むとしたが、リザーバ内気室R2に臨むとしても良い。
また、上記実施の形態において、第二流路7のタンク側開口70が常にタンク内気室T2に臨むとしたが、タンク内液室T1に臨むとしても良い。
また、図1中において、タンクTを外筒2と分離して記載したが、外筒4の外側に同軸にチューブを配置し、このチューブと外筒4との間をタンクとするとしても良い。
また、上記実施の形態における作動流体は、水系流体たるグリコール水溶液としたが、水系流体として水単体を利用するとしても、水に防錆剤を添加したものを利用するとしても良い。
C1 圧側チェック弁
C2 伸側チェック弁
D 緩衝器
O1,O2 液面
P1 伸側作用室
P2 圧側作用室
R リザーバ
R1 リザーバ内液室
R2 リザーバ内気室
T タンク
T1 タンク内液室
T2 タンク内気室
V1 伸側減衰力発生バルブ
V2 圧側減衰力発生バルブ
1 シリンダ
2 外筒
3 ロッド
4 ピストン
5 ベース部材
6 第一流路
6a 供給用チェック弁
7 第二流路
7a 排出用チェック弁
8 ヘッド部材
10 通孔
20 ボトム部材
40,50 伸側流路
41,51 圧側流路
60,70 タンク側開口
61,71 リザーバ側開口

Claims (3)

  1. シリンダと、このシリンダの外側に同軸に配置されて上記シリンダとの間にリザーバを形成する外筒と、上記シリンダ内に出没可能に挿入されるロッドと、このロッドの先端に保持されて上記シリンダ内を作動流体が充填される二つの作用室に区画するピストンと、上記シリンダのボトム部に固定されピストン側の上記作用室と上記リザーバとを区画するベース部材とを備え、
    上記リザーバは、作動流体が貯留されてなるリザーバ内液室と、気体が収容されてなるリザーバ内気室とからなる緩衝器において、
    内部に作動流体が貯留されてなるタンク内液室と、気体が収容されてなるタンク内気室とが形成されるタンクと、このタンクと上記リザーバとを連通する第一流路及び第二流路とを備え、
    上記第一流路は、そのタンク側開口が常にタンク内液室に臨み、上記第一流路の途中には、上記タンク内液室から上記リザーバへの移動のみを許容する供給用チェック弁が設けられてなり、
    上記第二流路は、そのリザーバ側開口が最圧縮時の上記リザーバ内液室と上記リザーバ内気室の境界近傍に臨み、上記第二流路の途中には、上記リザーバから上記タンクへの移動のみを許容する排出用チェック弁が設けられてなり、
    上記作動流体が水系流体からなることを特徴とする緩衝器。
  2. 上記第一流路のリザーバ側開口が常にリザーバ内液室に臨む位置に設けられることを特徴とする請求項1に記載の緩衝器。
  3. 上記第一流路のタンク側開口が上記タンクの底部に設けられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の緩衝器。
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