添付図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
[第一の実施形態]
[通信システムの構成]
図1は、本実施形態の通信システム10のシステム構成を示す図である。図1に示すように、この通信システム10は、移動機100、BTS(基地局)200、RNC(無線ネットワーク制御装置)300、交換機400、管理センタ500、およびHLR(Home Location Register)700を含んで構成されている。また、この管理センタ500は、社会センサユニット501、ペタマイニングユニット502、モバイルデモグラフィーユニット503、および可視化ソリューションユニット504から構成されている。
RNC300は、BTS200を介して移動機100が送信したRRC Connection Request信号を受信する。この時、RRC Connection Request信号のパラメタとして音声着信、音声発信、パケット着信、及びパケット発信が設定されている信号の数をカウントできる。なお、標準仕様書「Radio Resource Control (RRC) Protocol Specification:3GPP TS 25.331」によれば、RNC300においてセクタ単位での信号数カウントについて規定されており、本方法はこれに準拠したものである。なお、信号数のカウント方法は、3GPPに限定したものではなく、LTE(Long Term Evolution)に従ったものとしても良い。
交換機400は、BTS200、RNC300を介して、移動機100が送信した位置登録信号を収集する。交換機400は、位置登録エリア単位で移動機100等を管理しており、移動機100が送信した位置登録信号を収集することにより位置登録エリアに登録している移動機100の数を(登録数)位置登録エリア毎に把握及び記憶している。交換機400は、記憶している位置登録エリアに登録している移動機100の数(登録数)を、所定のタイミング、または管理センタ500からの要求に応じて管理センタ500に出力する。ここで、一般的に、RNC300は、約千個からなるものであり、日本全国に配置されている。一方で、交換機400は、300個程度日本国内に配置されている。
管理センタ500は、上述したとおり、社会センサユニット501、ペタマイニングユニット502、モバイルデモグラフィーユニット503、および可視化ソリューションユニット504を含んで構成されており、各ユニットでは、移動機100が送信した位置登録信号及び発着信に関する情報を用いた統計処理を行う。
社会センサユニット501は、各交換機400から交換機400が記憶している位置登録エリアに登録している移動機100の数等を含んだデータを収集するサーバ装置である。この社会センサユニット501は、交換機400から定期的に出力されたデータを受信し、及び社会センサユニット501において予め定められたタイミングに従って交換機400からデータを取得するように構成されている。
ペタマイニングユニット502は、社会センサユニット501から受信したデータを所定のデータ形式に変換するサーバ装置である。例えば、ペタマイニングユニット502は、ユーザIDをキーに、或いはエリアごとにソーティング処理を行う。
モバイルデモグラフィーユニット503は、ペタマイニングユニット502において処理されたデータに対する集計処理、すなわち各項目のカウンティング処理を行うサーバ装置である。例えば、モバイルデモグラフィーユニット503は、あるエリアに在圏するユーザ数のカウント、或いは在圏分布の集計等をすることができる。
可視化ソリューションユニット504は、モバイルデモグラフィーユニット503において集計処理されたデータを可視可能に処理するサーバ装置である。例えば、可視化ソリューションユニット504は、集計されたデータを地図上にマッピング処理することができる。この可視化ソリューションユニット504にて処理されたデータは、企業、官公庁または個人等に提供され、店舗開発、道路交通調査、災害対策、環境対策などに利用される。なお、このように統計処理された情報は、当然にプライバシーを侵害しないように個人等は特定されないように加工されている。
なお、社会センサユニット501、ペタマイニングユニット502、モバイルデモグラフィーユニット503および可視化ソリューションユニット504はいずれも、前述したようにサーバ装置により構成され、図示は省略するが、通常の情報処理装置の基本構成(即ち、CPU、RAM、ROM、キーボードやマウス等の入力デバイス、外部との通信を行う通信デバイス、情報を記憶する記憶デバイス、および、ディスプレイやプリンタ等の出力デバイス)を備えることは言うまでもない。
図2に通信システム10の機能構成を示す。図2に示すように通信システム10は、複数のBTS200それぞれが制御するセクタに在圏する複数の移動機100と、BTS200を制御するRNC300と、交換機400と、情報分析装置600と、を含んで構成される。情報分析装置600は、前述した図1に示したモバイルデモグラフィーユニット503および可視化ソリューションユニット504に相当する。図1の社会センサユニット501およびペタマイニングユニット502に対応する機能に関しては、図2ではこれらの表記を省略している。
RNC300は、RNC通信制御部302、位置登録信号受信部303、及び信号数計測部304を含んで構成されている。また、交換機400は、交換機通信制御部401、変換部402、位置登録信号処理部404、および記憶部403を含んで構成されている。また、情報分析装置600は、情報分析装置通信制御部601、着信数取得部602(着信数取得手段)、在圏数取得部603(在圏数取得手段)、端末数取得部604(端末数取得手段)、位置情報記憶部605、着信数記憶部606(信号数記憶手段)、出力部610および人口分布算出部611(人口分布算出手段)を含んで構成されている。
まず、RNC300について説明する。RNC通信制御部302は、BTS200を介して移動機100と通信接続を行う部分であり、例えば、移動機100からの発信処理に基づいた通信接続処理および位置登録要求に基づいた通信接続処理を行う。本実施形態では、RNC通信制御部302は、通信接続処理に用いられるInitial UE Messageを交換機400に送信することができる。なお、このInitial UE Messageは、発信または位置登録要求を示す指示情報(位置登録信号)、移動機100を一意に特定するID、および位置情報を含んでいる。また、Initial UE Messageは、発着信の信号数情報を付加することも可能である。なお、ここでIDとは、例えば、移動機100がネットワークに接続した際に交換機400により払い出されたテンポラリIDとしてのID情報であってもよい。
なお、RNC300は、さらにRRCコネクション要求の処理を行った際に得られる信号の遅延に基づいてセクタ内のどの位置に移動機100が位置するか、そのGAI(Geographical Area ID)を算出することができる。そのセクタ識別子とセクタ内の位置に基づいて移動機100の位置を特定することもできる。
位置登録信号受信部303は、移動機100が送信した位置登録信号を、RNC通信制御部302を介して受信する部分である。
信号数計測部304は、セクタ内に在圏する移動機100が送受信する信号の量をセクタ毎に示す情報であるセクタ単位信号数(信号数)を計測する部分である。
ここで、信号の量とは例えば上述のRRC Connection Request信号のパラメタを用いた方法によって判別した音声着信数、パケット着信数、音声発信数、パケット発信数などを用いることが可能である。但しこれに限定する意図はない。
信号の量は、音声着信数及びパケット着信数の少なくとも一方を合計する方法によって計測することが好適である。音声発信及びパケット発信を用いた場合、それら(発信の数)はユーザである人間の行動と関係があることが考え得る。すなわち、ユーザが発信を行う場合は例えば事務所、家、駅、などの場所が多いと考えられる。
一方において着信に限った場合は、着信側移動機のユーザである人間の行動には直接は無関係である。そのため、信号の量を、音声着信数及びパケット着信数を合計する方法によって計測することにより、現実の人口分布をより適切に反映した人口分布情報を得ることが可能となる。但し、発信数からセクタ単位信号数を計測しても十分実用に耐え得ることは言うまでもない。
信号数計測部304は、計測したセクタ単位信号数をRNC通信制御部302を介して情報分析装置600へ送信する。
つぎに、交換機400について説明する。交換機通信制御部401は、RNC300から送信されるInitial UE Messageを受信し、このInitial UE Messageを用いて通信接続処理を行う部分である。
変換部402は、交換機通信制御部401により受信されたInitial UE Messageに含まれているテンポラリID等のIDを電話番号に変換する部分である。変換部402は、変換処理に際して、加入者プロファイル情報を記憶する加入者プロファイル情報記憶部から、テンポラリID等のIDに対応付けられている電話番号を抽出し、当該抽出した電話番号に変換する。なお、この加入者プロファイル情報記憶部は、例えばHLR(Home Location Register)700に備えられているものであり、ここではテンポラリID等のIDと電話番号とを対応付けて管理及び記憶している。
本実施形態では移動機100は、移動機100が位置登録エリアを跨いで移動した場合や、所定周期ごとに位置登録信号を送信している。それにより、交換機通信制御部401は、HLR700にその在圏位置を登録することができる。なお、標準仕様書「Mobile Application Part(MAP) specification: 3GPP TS 29.002」には、交換機400が位置登録を管理する方法について記載されている。本実施形態の交換機400における処理は、この方法に準拠したものである。
次に、情報分析装置600について説明する。情報分析装置通信制御部601は、情報分析装置600と交換機400との間の通信を制御する部分である。なお、情報分析装置600は、管理センタ500の一装置であって、図3に示されるようなハードウェア構成により実現される。
図3は、情報分析装置600のハードウェア構成図である。図2に示される情報分析装置600は、物理的には、図3に示すように、CPU11、主記憶装置であるRAM12及びROM13、入力デバイスであるキーボード及びマウス等の入力装置14、ディスプレイ等の出力装置15、ネットワークカード等のデータ送受信デバイスである通信モジュール16、ハードディスクまたは半導体メモリ等の補助記憶装置17などを含むコンピュータシステムとして構成されている。図2において説明した各機能は、図3に示すCPU11、RAM12等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU11の制御のもとで入力装置14、出力装置15、通信モジュール16を動作させるとともに、RAM12や補助記憶装置17におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。以下、図2に示す機能ブロックに基づいて、各機能ブロックを説明する。
着信数取得部602は、信号数計測部304において計測され、着信数記憶部606に記憶されたセクタ単位の信号数を取得する部分である。
在圏数取得部603は、HLR700や、交換機400などに記憶されている在圏情報に基づいて、指定されたセクタを含んだ位置登録エリアの移動機の在圏数を取得する部分である。すなわち、在圏数取得部603は、セクタが属する位置登録エリアを特定し、その位置登録エリアに在圏する移動機100の在圏数を取得する。
端末数取得部604は、位置登録信号処理部404により算出され、HLR700に記憶されている加入者情報に基づいて、オペレータ等により指定されたセクタおよび属性における、端末数を取得する部分である。端末数、例えば、後述する特徴量は、各移動機の位置ごとに算出されている数値であり、少なくとも、管理テーブルには、移動機の識別子(非識別化されたものでもよい)、特徴量、在圏するセクタ識別子、および位置情報を対応付けて記憶している。そして、端末数取得部604は、この管理テーブルを利用して、セクタiと、属性jとが指定されることにより、属性jごとの端末数を集計することができる。なお、移動機の識別子により属性jを判断することができる。
位置情報記憶部605は、各移動機100の各測位時刻における位置情報を記述した位置情報テーブルを記憶する部分である。図4は、その位置情報を記憶する位置情報テーブルの具体例を示す図である。図4に示すように、その位置情報テーブルには、ユーザ識別子と、その位置情報の遷移状態が記憶されており、時刻情報と位置情報とが対応付けて記述されている。ここに記憶されている位置情報テーブルは、各移動機100においてGPSを使って測位した位置情報を記憶しても良いし、HLR700に記憶されている在圏情報に基づいた位置情報を記憶しても良い。なお、ユーザ識別子は、ユーザの相互を区別するための識別子であって、ユーザを特定することができないように変換されたものである。このユーザ識別子は、いわゆる、非識別化処理がされたものである。例えば、ハッシュ関数など不可逆な一方向関数を利用して、他の全く異なる識別子に変換することにより、非識別化処理を実現できる。
着信数記憶部606は、信号数計測部304により計測された信号数を記憶する部分である。ここには、セクタ毎にその発着信数等が記憶される。
人口分布算出部611は、端末数取得部604により取得された端末数、在圏数取得部603により取得された在圏数、および着信数取得部602により取得された着信数に基づいて、セクタ単位における人口分布情報を算出する部分である。この人口分布情報は、移動機100(ユーザ)の属性ごとに算出することができる。
具体的には、人口分布算出部611は、セクタiおよび属性jが指定された場合、セクタ単位信号数であって着信数取得部602により取得された着信数C
i、在圏数取得部603により取得された在圏数Na、端末数取得部604により取得された端末数L
ijに基づいて、各移動機100が位置登録エリアを跨いだことによる誤差を抑えた補正済み端末数S
ijを、以下の式のとおりに算出する。
この式(1)は、在圏数Naに対して、全属性におけるセクタiの端末数Σ(i)Lijと属性jにおける端末数Lijとの割合と、そのセクタiが属するクラスタ、すなわち、本実施形態では位置登録エリアにおける総着信数Σ(i)Ciにおけるセクタiの着信数Ciとの割合と、を乗算することにより、セクタiにおける属性jのより正確な端末数Sijを求めることができることを示している。すなわち、着信数Ciにおいては、属性ごとに着信数を求めることができないことから、セクタiの属性jにおける端末数Lijをセクタiの全属性における属性jの割合を算出することにより、着信数を利用した端末数を算出することができる。
なお、以降、Σ(i)は、iについて指定された範囲において累積加算した数値を、便宜上、表現しており、例えば、位置登録エリアLAaにおける着信数の合計を示す場合には、Σ(i)Ciは、C1+C2+・・・Cn(nは、位置登録エリアLAaを構成するセクタの番号)を示している。また、Σ(j)Lijは、Li1+Li2+・・・Lijであって、セクタiにおける全属性の端末数を示したものである。他の数式についても同様である。
この式(1)は、以下に説明するとおり、より正しい数値を計算することができる式であることが理解できる。まず、同一位置登録エリア内において、各セクタにおける着信数と、端末数との比は一定であると仮定する。その場合、着信数は以下のとおり表現することができる。
ここで、Kaは、位置登録エリアごとに定まる比例定数である。
このとき、位置登録エリア内のセクタ着信数の総和と位置登録エリアの在圏数との間も同様の比例関係にあることから、式(2)を以下のとおり変形することができる。
ここで、
である。
ここで、位置登録信号による端末数において、属性ごとの比率が正しいのであれば、以下の式が成り立つ。
このようにして、着信数Ci、在圏数Na、端末数Lijに基づいて、セクタiにおける属性jの人口分布を算出することができる。
ここで、より正確な人口分布を算出するために、所定の拡大係数を特徴量に乗算することもできる。すなわち、あるセクタに基づいた地域またはその地域を含んだより広域の地域の統計情報(国勢調査などによる人口)を予め保持しておき、その広域の地域における、端末数と実際の人口との比率として拡大係数を求めておき、この比率をセクタの端末数に乗算することにより、より実数に近い人口分布を算出することができる。
より具体的には、拡大係数は以下のとおり算出することができる。拡大係数は、一例として、「在圏率と端末の普及率との積(即ち、人口に対する在圏数の比率)」の逆数を用いることができる。ここで「在圏率」とは、契約台数に対する在圏数の比率を意味し、「普及率」とは人口に対する契約台数の比率を意味する。このような拡大係数は、上記の人口推計単位ごとに導出することが望ましいが、必須ではない。
また、拡大係数は、例えば、以下のように特徴量および観測期間長に基づいて推計された端末数(在圏数)を用いて導出してもよい。即ち、位置データから特徴量を求め、特徴量および観測期間長に基づいて、拡大係数算出単位ごとの端末数を集計することでユーザ数ピラミッドデータを得るとともに、統計データ(例えば住民基本台帳など)として予め求められた同じ拡大係数算出単位における人口ピラミッドデータを取得する。そして、ユーザ数ピラミッドデータ及び人口ピラミッドデータにおいて拡大係数算出単位ごとの位置データの取得率(即ち、在圏数/人口)を算出する。ここで得られた「位置データの取得率(即ち、在圏数/人口)」が、前述した「在圏率と端末の普及率との積」に相当する。このようにして得られた「位置データの取得率」の逆数を拡大係数として導出することができる。なお、拡大係数を算出する拡大係数算出単位としては、一例として、住所の都道府県ごと、5才又は10才刻み年齢層ごと、男女ごと、時間帯として1時間ごとなどを採用してもよいし、これらの2つ以上を組み合わせたものを採用してもよい。例えば、拡大係数算出単位を「東京都在住の20才台の男性」とした場合、日本全国における、東京都在住の(即ち、ユーザ属性における住所情報が東京都である)20才台の男性に該当する位置データを抽出して端末数を集計することでユーザ数ピラミッドデータを得るとともに、統計データから東京都在住の20才台の男性に関する人口ピラミッドデータを取得する。なお、上記ユーザ数ピラミッドデータを得る際に、「東京都在住」という条件については、東京都に在圏するユーザの位置データだけを抽出するのではなく、ユーザ属性における住所情報が東京都である位置データを抽出する。そして、ユーザ数ピラミッドデータ及び人口ピラミッドデータから拡大係数算出単位(ここでは東京都在住の20才台の男性)の位置データの取得率(即ち、在圏数/人口)を算出し、得られた「位置データの取得率」の逆数を拡大係数として導出することができる。なお、本願では、拡大係数算出単位と人口推計単位とが等しいものとして説明しているが、これはあくまでも一例であり、これに限られるものではない。
なお、本実施形態においては、端末数Lijを利用しており、単純に位置登録信号数を計数したものでも良いし、以下に述べるような、端末の量を示した特徴量に基づいて表現されたものとしても良い。
ここで、端末数取得部604による特徴量の算出方法について説明する。端末数取得部604は、各移動機100の各位置情報である第1の位置データ(観測対象位置データ)それぞれについての特徴量を計算する。例えば、端末数取得部604は、第2の位置データの位置取得時刻と第3の位置データの位置取得時刻との差を、当該第1の位置データについての特徴量として計算する。また、端末数取得部604は、第2の位置データの位置取得時刻が異常値である場合、ここでは一例として第1の位置データの位置取得時刻と第2の位置データの位置取得時刻との差が所定の基準値(例えば1時間)より大きい場合に、第1の位置データの位置取得時刻から予め定められた時間(例えば1時間)だけ過去に遡った時刻を第2の位置データの位置取得時刻として用いて、第1の位置データについての特徴量を計算する。同様に、端末数取得部604は、第3の位置データの位置取得時刻が異常値である場合、ここでは一例として第1の位置データの位置取得時刻と第3の位置データの位置取得時刻との差が所定の基準値(例えば1時間)より大きい場合に、第1の位置データの位置取得時刻から予め定められた時間(例えば1時間)だけ未来に進めた時刻を第3の位置データの位置取得時刻として用いて、第1の位置データについての特徴量を計算する。このような第2、第3の位置データの位置取得時刻が異常値である場合の処理は、必須の処理ではないが、上記処理を行うことで、移動機100が圏外に位置していることや移動機100の電源がオフされていること等に起因して位置データの取得時間間隔が異常に長くなった際に、当該異常に長くなった取得時間間隔による影響が過大に出ることを防ぐことができる。
端末数取得部604は、観測対象位置データについての特徴量および観測開始時刻と観測終了時刻との差である観測期間長に基づいて、観測期間中に観測エリアに在圏した端末数を推計する。詳細は後述するが、端末数取得部604は、観測対象位置データについての特徴量の総和を観測期間長の2倍によって除して得られた数値を端末数として推計する。
[端末数推計の考え方および計算方法]
次に、端末数推計の考え方および計算方法を説明する。図5に示すモデルのように、ある観測期間(長さT)の間に、n個の端末a
1,a
2,…,a
nがセクタSを通過し、各端末a
iの観測期間内のセクタSの滞在時間がt
i(0<t
i≦T)であったとする。このとき、セクタSに存在する端末数m(実際にはセクタSに存在する端末数mの観測期間内における平均値)は、以下の式(6)で表わされる。
即ち、各端末a
iの観測期間内のセクタSの滞在時間t
iの総和を観測期間の長さTで除した結果を、端末数mとして推計する。ただし、端末a
iの観測期間内のセクタSの滞在時間t
iの真の値は観測不能であるが、各端末a
iは信号(例えば位置登録信号)を発信し、それらの信号は観測可能である。
端末a
iが観測期間内にセクタSで発信した信号を、時刻順に
(x
iは、端末a
iが観測期間内にセクタSで発信した信号の総数)とすると、端末数の推計とは、観測された信号q
ij(jは1以上x
i以下の整数)からmの値を推計することに他ならない。
さて、図6に基づき端末数推計の計算方法を説明する。端末aiから信号qijが送信される密度(即ち、単位時間あたりの信号数)をpiとする。このとき、信号が送信される確率がセクタに対して独立であれば、端末aiが観測期間内にセクタSで発信した信号の総数xiの期待値E(xi)は、E(xi)=ti×piであるため、端末aiの観測期間内のセクタSの滞在時間tiの期待値E(ti)について以下の式(7)が成立する。
E(ti)=xi/pi (7)
ここで、信号qijの送信時刻をuijとしたとき、信号qijの密度pijは、以下の式(8)で与えられる。
pij=2/(ui(j+1)−ui(j−1)) (8)
ここで、信号qijを第1の位置データに係る信号とすると、信号qi(j-1)は第2の位置データに係る信号、信号qi(j+1)は第3の位置データに係る信号に相当する。本実施形態では、第2の位置データに係る信号qi(j-1)の送信時刻ui(j−1)と第3の位置データに係る信号qi(j+1)の送信時刻ui(j+1)の差、即ち、上記式(8)の(ui(j+1)−ui(j−1))を、第1の位置データについての特徴量wijとする。そのため、上記式(8)は、以下となる。即ち、特徴量wijは、密度pijの逆数に対応づけて算出することができる。
pij=2/(ui(j+1)−ui(j−1))=2/wij (9)
このとき密度p
iは、
で与えられるため、端末数mの推計値E(m)は以下の式(11)で計算することができる。
図6の例に示すように、観測期間内であり且つ端末aiがセクタSに滞在していた期間内に、端末aiは信号qi1、qi2、qi3を送信し、信号qi1の直前に信号qi0を、信号qi3の直後に信号qi4を送信したものとし、信号qi0、qi1、qi2、qi3、qi4の送信時刻をそれぞれui0、ui1、ui2、ui3、ui4とすると、上記の考え方は、端末aiの観測期間内のセクタSの滞在時間tiを、(ui0とui1の中点)から(ui3とui4の中点)までの期間と推計することに相当する。なお、端末aiは、観測期間内ではないものの、セクタSへの滞在中に信号qi4を送信している。但し、滞在時間tiの推計量の不偏性を維持するために、ここでは一例として、滞在時間tiの終了時刻を観測期間Tの終了時刻と同じとして推計することは行わない処理を説明する。
[端末数推計処理]
以下、本発明の端末数推計方法に係る端末数推計処理を説明する。ここでは、移動機100の位置データに含まれる位置情報には、一例として、当該移動機100が在圏するセクタのセクタ番号が与えられているものとする。
図7に示すように、まず、端末数取得部604が位置データをHLR700や、交換機400等から取得し保存する(図7のステップS1)。これにより、位置情報記憶部605は、多数のユーザ(移動機)についての複数の時刻にわたる位置データを保存することとなる。なお、ステップS1の処理実行後、ステップS2以降の処理は、時間をおいて実行してもよい。即ち、ステップS2以降の処理の事前準備として、ステップS1を実行してもよい。また、ここでは、HLR700または交換機400から位置データを取得する構成をとっているが、これに限らず、移動機100においてGPS等を利用して測位された位置情報が、位置情報記憶部605に記憶されても良い。
次に、端末数取得部604が、観測開始時刻と観測終了時刻との組を含む観測期間情報を取得するとともに、端末数取得部604が、1または複数の位置情報と対応づけられる観測エリア情報を取得する(ステップS2)。ここでは、観測期間情報として、観測開始時刻T1と観測終了時刻T2の組が取得され、観測エリア情報として、セクタ番号Sが取得されたとする。
次に、端末数取得部604が、位置情報記憶部605から、観測開始時刻T1以降であり且つ観測終了時刻T2以前である位置取得時刻情報を含み且つ観測エリア情報であるセクタ番号Sに対応づけられる位置情報を含む(例えば位置情報がセクタ番号Sである)1または複数の位置データを、観測対象位置データとして取得する(ステップS3)。つまり、端末数取得部604は、以下の条件に合致する位置データを観測対象位置データとして取得する。
条件1:位置取得時刻が、観測開始時刻T1以降であり且つ観測終了時刻T2以前である。即ち、観測期間内に含まれる。
条件2:位置情報がセクタSである。
次に、取得された観測対象位置データのそれぞれについて、以下のステップS4、S5の処理が実行される。ステップS4では、端末数取得部604が、観測対象位置データのうち、特徴量を求める対象とする位置データ(第1の位置データ)について、当該第1の位置データと同一の識別情報を含む位置データのうち、位置取得時刻から見て、当該第1の位置データの直前の位置データ(第2の位置データ)の位置取得時刻情報、および当該第1の位置データの直後の位置データ(第3の位置データ)の位置取得時刻情報を取得する。なお、端末数取得部604は、第2、第3の位置データの全体を取得することは必須ではなく、第2、第3の位置データに含まれる位置取得時刻情報を取得すればよい。
そして、ステップS5では、端末数取得部604が、第1の位置データについての特徴量を計算する。その処理内容について、図8を用いて説明する。ここでは、第1、第2、第3の位置データの位置取得時刻を、それぞれt1、t2、t3とする。また、第2の位置データの位置取得時刻t2が異常値であると判断するための基準となる所定の基準値(第1、第2の位置データの位置取得時刻の差に関する基準値)を基準値A(例えば1時間)とし、第3の位置データの位置取得時刻t3が異常値であると判断するための基準となる所定の基準値(第1、第3の位置データの位置取得時刻の差に関する基準値)を基準値B(例えば1時間)とする。
端末数取得部604は、第1、第2の位置データの位置取得時刻の差(即ち、時刻t1とt2の差)Da、および第1、第3の位置データの位置取得時刻の差(即ち、時刻t1とt3の差)Dbを算出する(図8のステップS11)。そして、端末数取得部604は、第1、第2の位置データの位置取得時刻の差Daが所定の基準値A(例えば1時間)より大きいか否かを判断し(ステップS12)、もし、差Daが基準値Aより大きければ、第1の位置データの位置取得時刻t1から予め定められた時間(例えば1時間)だけ過去に遡った時刻を、第2の位置データの位置取得時刻t2とする(ステップS13)。次に、特徴量計算部17は、第1、第3の位置データの位置取得時刻の差Dbが所定の基準値B(例えば1時間)より大きいか否かを判断し(ステップS14)、もし、差Dbが基準値Bより大きければ、第1の位置データの位置取得時刻t1から予め定められた時間(例えば1時間)だけ未来に進めた時刻を、第3の位置データの位置取得時刻t3とする(ステップS15)。そして、端末数取得部604は、第2の位置データの位置取得時刻t2と第3の位置データの位置取得時刻t3との差を、第1の位置データについての特徴量として計算する(ステップS16)。以上により、ある1つの観測対象位置データ(第1の位置データ)についてのステップS4、S5の処理が完了する。
以後、上述したステップS4、S5の処理が、観測対象位置データのそれぞれについて実行され、全ての観測対象位置データについて実行が完了すると(ステップS6で肯定判断)、ステップS7へ進む。
ステップS7では、端末数取得部604が、前述した式(11)に示すように、観測対象位置データについての特徴量wijの総和を観測期間長Tの2倍によって除して得られた数値を、端末数として推計する。なお、式(11)より明らかなように、端末数取得部604は、観測対象位置データについての特徴量wijそれぞれを2で除して、(特徴量wij/2)の総和を求め、求めた総和を観測期間長Tによって除して得られた数値を、端末数として推計してもよい。ただし、本実施形態のように観測対象位置データについての特徴量wijの総和を観測期間長Tの2倍によって除算する計算方法の方が、除算の回数が圧倒的に少なくて済むため、処理負荷を軽減できるという利点がある。
以上の実施形態によれば、位置データを用いて端末数を推計する際に、前後の位置データの取得時刻情報を用いた補正を実施することにより、受信間隔の変動が与える影響を校正しつつ端末数を精度良く推計することができる。
また、特徴量の計算処理の中で、前述した第2、第3の位置データの位置取得時刻が異常値である場合の処理を行うことで、移動機100が圏外に位置していることや移動機100の電源がオフされていること等に起因して位置データの取得時間間隔が異常に長くなった際に、当該異常に長くなった取得時間間隔による影響が過大に出ることを防ぐことができる。
つぎに、特徴量に関する変形例を述べる。前述した実施形態においては、特徴量を求める対象の位置データ(第1の位置データ)の前後の位置データの時間差(第2の位置データと第3の位置データとの時間差)を、第1の位置データの特徴量として算出する例を示した。これを式で表すと、特徴量は、以下の式(12)で表すことができる。なお、以下の式(12)は、前述した式(9)を変形しただけであり、式(9)と等価である(即ち、式(9)の考え方を変更したものではない)。
wij=ui(j+1)−ui(j−1) (12)
本変形例は、特徴量算出部103において算出される特徴量の算出方法の別のバリエーションを示すものである。
本変形例では、特徴量算出部103は、上記の第1の位置データの特徴量を求める場合、第2の位置データ及び第3の位置データについての種別情報(例えば後述する位置データの生成要因(生成タイミング))を考慮する。具体的には、特徴量算出部103は、第3の位置データと第1の位置データとの時間差に対し、第3の位置データの種別情報(ここでは生成要因)に対応する補正係数αを乗算した値を算出するとともに、第1の位置データと第2の位置データとの時間差に対し、第2の位置データの種別情報(ここでは生成要因)に対応する補正係数βを乗算した値を算出する。ただし、上記以外に、特徴量算出部103は、第1の位置データの種別情報に応じて補正係数α又はβを定めても良いし、また、第1および第2の位置データの種別情報に応じて補正係数βを定めても、第1および第3の位置データの種別情報に応じて補正係数αを定めてもよい。そして、特徴量算出部103は、これらの乗算で得られた値を合算した値を第1の位置データの特徴量とする。特徴量算出部103における特徴量の算出処理を式で表すと、以下の式(13)で表される。
wij=α(ui(j+1)−uij)+β(uij−ui(j−1)) (13)
第2の位置データ及び第3の位置データについての種別情報としては、例えば、位置データが位置登録情報である場合、当該位置登録情報の生成要因に関する情報が挙げられ、この生成要因に関する情報は、生成された位置登録情報に含まれている。位置登録情報の生成要因としては、端末が位置登録エリア(Location Area)境界を跨いだこと、周期的に行われる位置登録に基づき生成されたこと、端末の電源オン等によるアタッチ処理の実行、端末の電源オフ等によるデタッチ処理の実行などが挙げられ、これらの生成要因に対応して、補正係数αおよびβの設定値を予め定めておく。そして、特徴量算出部103は、第3の位置データの生成要因に関する情報に応じて第3の位置データについての補正係数αを設定し、第2の位置データの生成要因に関する情報に応じて第2の位置データについての補正係数βを設定すればよい。なお、補正係数α、βはともに、0以上2以下の値に予め定めておいてもよい。但し、この数値範囲は必須ではない。
例えば、周期的に行われる位置登録に基づく位置登録情報のように端末の位置と位置登録情報の生成契機とが無関係である位置登録情報の場合は、現在のセクタに滞在していた時間の期待値は、当該位置登録情報の生成の前後で同じと考えられる。一方、位置登録エリア境界を端末が跨いだことで生成された位置登録情報の場合、少なくとも当該位置登録情報が生成される前は、端末は現在のセクタに滞在していなかったと判断できる。そのため、当該位置登録情報が生成される前に端末が現在のセクタに滞在していた時間を0と考え、第1の位置データの種別情報(生成要因)が「位置登録エリア境界跨り」であれば、上記式(13)における補正係数β(即ち、直前の位置データとの時間差に関する補正係数β)を0に設定することができる。これにより、より実態に即した特徴量を算出できる。
このように、特徴量算出部103は、対象の位置データ(第1の位置データ)についての特徴量を算出する場合、第1の位置データの前後の位置データである第2及び第3の位置データについての種別情報(一例として位置データの生成要因)に応じて、第2の位置データと第3の位置データとの時間差を補正し、補正した時間差を用いて特徴量を算出する。これにより、位置データの種別情報に基づいて特徴量をより精度よく算出することができる。
上述の特徴量は、観測期間Tにおける移動機の存在割合を示したものであるが、位置登録信号に基づいた、移動機数(移動機量)を計測するそのほかの方法として、図19に示される方法がある。図19は、移動機100により発信された位置登録信号の発信タイミングと、推定滞在期間との関係を示した模式図である。
図19に示すように、拡張期間内に取得された同一移動機に関する一連の位置情報を当該位置情報(例えば、位置登録信号に基づいた位置情報)が取得された時刻順に時系列に並べ、位置情報がある所定エリア内を示すエリア内位置データを黒丸で、エリア内位置データに隣接しある所定エリア外を示すエリア外位置データを白丸で、それぞれ示した場合、時系列上で最先のエリア内位置データの取得時刻taと、該最先のエリア内位置データに隣接するエリア外位置データの取得時刻txとの按分点(一例として中点)に相当する時刻tinを推定滞在期間の開始時刻とする。同様に、時系列上で最後のエリア内位置データの取得時刻tcと、該最後のエリア内位置データに隣接するエリア外位置データの取得時刻tyとの按分点(一例として中点)に相当する時刻toutを推定滞在期間の終了時刻とする。これにより、図19に長方形で示した期間、即ち、時刻tinから時刻toutまでの期間が、当該移動機の推定滞在期間として算出される。
そして、端末数取得部604は、算出された推定滞在期間と集計時間帯とが重複する移動機を抽出する。図20は、入込数の計測方法における具体例を示す説明図である。図20には、拡張期間内に取得された移動機100a〜100eに関する一連の位置情報を移動機毎に、位置情報の取得時刻順に時系列に横軸方向に並べた図を示している。この図20では、所定エリア内を示すエリア内位置データを黒丸で、所定エリア外を示すエリア外位置データを白丸でそれぞれ示している。仮に、位置情報の取得時刻が集計時間帯(時刻t0〜時刻t1)内にあるエリア内位置データにのみ着目すると、黒丸を所定エリア内に検出することのできる移動機100c〜100eの3つが抽出される。
ところが、図20で長方形により示した推定滞在期間と集計時間帯(時刻t0〜時刻t1)とが重複する移動機としては、移動機100a〜100eの5つが挙げられるため、端末数取得部604は、移動機100a〜100eの5つを抽出する。これにより、黒丸で示すエリア内位置データにのみ着目した場合に除外される移動機100a、100bについても、集計時間帯中のどこかである所定のセクタ内に滞在していたと推定されることとなる。
なお、上述した推定滞在期間を用いた方法は一例であり、他の方法を採用しても構わない。すなわち、位置登録信号として重複した黒丸をそのまま移動機数として計測しても良い。図20の例では、その場合、移動機数は9個と計測することができる。
つぎに、このようにして算出した端末数を利用して、人口分布を算出する処理について説明する。図9は、本実施形態における情報分析装置600の人口分布算出方法を示すフローチャートである。まず、情報分析装置600のオペレータにより、調査対象となるセクタiおよび属性jが指定される(S101)。この指定方法は、図示しない入力部等によりオペレータによる操作により行われてもよいし、自動的に順次iおよびjが指定されても良い。
端末数取得部604により、セクタiにおける属性jの端末数Lijが算出される(S102)。この端末数Lijは、上述のとおり特徴量または位置登録信号の数を集計した数値であって、端末数の集計時においてセクタiにおける属性jごとに集計された特徴量または位置登録信号数等に基づいて導き出されたものである。なお、セクタiおよび属性jのみの特徴量を、特徴量算出時点において予め算出しておき、これを用いても良い。また、端末数取得部604により、セクタiにおける全属性の端末数Σ(j)Lijが算出される(S103)。
つぎに、着信数取得部602により、セクタiにおける着信数Ciが取得される(S104)。そして、在圏数取得部603により、セクタiが属する位置登録エリアLAaを構成するセクタの情報が取得され(S105)、その位置登録エリアLAaに在圏する移動機100の在圏数Naが取得される(S106)。
つぎに、着信数取得部602により、位置登録エリアに属する全セクタの着信数の合計Σ(i)Ciが計算される(S107)。そして、端末数取得部604により取得された端末数LijおよびΣ(i)Lij、在圏数取得部603により取得された在圏数Na、着信数取得部602により取得された着信数Ciおよびその合計Σ(i)Ciに基づいて、移動機が位置登録エリアを跨ぐことにより生じる端末数の誤差を抑えた補正済み端末数Sijが、人口分布算出部611により算出される(S108)。このようにして、セクタiにおける属性jにおける位置登録エリアを跨いだ誤差を抑えた人口分布を算出することができる。
つぎに、第一の実施形態における情報分析装置600の作用効果について説明する。この情報分析装置600によれば、端末数取得部604が、オペレータ等により指定されたセクタiにおける指定された属性jの端末数Lijを取得し、着信数取得部602は、セクタiにおける着信数Ciを取得し、在圏数取得部603は、当該セクタiを含んだ複数のセクタから構成されるクラスタである位置登録エリアLAaにおける、在圏数Naを取得する。そして、人口分布算出部611は、取得された着信数Ciおよび当該着信数をクラスタ単位で取得した総着信数Σ(i)Ciと、クラスタにおける在圏数Naと、取得された端末数Lijとに基づいて、セクタにおける補正済み端末数Sijを算出して人口分布を算出する。これにより、位置登録エリアを跨ぐことによる影響を除去した、セクタ毎・属性別の人口分布を精度良く算出することができる。
なお、上述本実施形態における端末数Lijは、移動機の数を示す端末数、入込数、またはある観測時間帯における存在割合を示した特徴量を含んだものであり、あるエリア(セクタ)に存在する端末の量、いわゆる端末数を示したものである。
[第二の実施形態]
上述第一の実施形態においては、在圏数を集計するクラスタの単位として位置登録エリアLAaを一クラスタとしたが、これに限るものではない。例えば、セクタに隣接する、または所定範囲内に位置する複数のセクタの集合を一クラスタとして構成してもよい。
第一の実施形態において、在圏数取得部603により取得された在圏数と、端末数取得部604により取得された、位置登録エリアにおける端末数(セクタの端末数の合算した数値)とは、若干の誤差がある。すなわち、在圏数は、HLR700や交換機400において管理されている情報に基づいた数値であるが、移動機の移動に伴ってその位置情報が遷移するため、端末数もそれに伴って増減するものであるが、電源オフや電池切れ、または圏外になった場合、在圏情報としてそのまま在圏していると判断される場合がある。すなわち、第一の実施形態では、HLR700等に記憶されている情報を利用するため、在圏数の取得処理を簡易にすることができるが、誤差を含んでいる場合がある。この第二の実施形態では、端末数取得部604により取得された端末数に基づいたものであることから、この誤差を吸収したものとなっている。
図10は、計測対象となるセクタと、クラスタとの関係を示す概念図である。図10(a)が、第1の実施形態における位置登録エリアをクラスタとした場合の概念図であり、図10(b)が、本実施形態(第2の実施形態)におけるクラスタを示した概念図である。図10(a)においては、位置登録エリアはセクタA1〜A7で構成されており、セクタA5が対象となるセクタを示している。
図10(b)においては、位置登録エリアとは関係なく、対象となるセクタA5を中心に、隣接して配置されているセクタA2〜A7からなるセクタの集合をクラスタとしている。このように、対象となるセクタA5に隣接して配置されているセクタを、人口分布算出の際のベースとなるクラスタとすることで、地理的な着信頻度の傾向をより精度良く反映することができる。さらに、セクタによっては、過大に集計されたり、過小に集計されたり、する場合がありえるが、一のクラスタにおいて複数の位置登録エリアにまたがって形成された場合、この過大集計および過小集計は相殺されることになり、より精度の高い人口分布を算出することができる。なお、この第二の実施形態においても、第一の実施形態と同様に、位置登録エリアを構成するセクタでクラスタを構成することを妨げるものではない。この場合、セクタ単位で取得した端末数を合算することにより、クラスタにおける端末数を算出することになる。
以下、第二の実施形態の情報分析装置600aについて説明する。図11は、情報分析装置600aの機能構成を示すブロック図である。この情報分析装置600aは、情報分析装置通信制御部601、着信数取得部602、クラスタ形成部603a、端末数取得部604、位置情報記憶部605、着信数記憶部606、人口分布算出部611、および出力部610を含んで構成されている。第一の実施形態における情報分析装置600との違いは、在圏数取得部603に代えて、クラスタ形成部603aを備えた点にある。
このクラスタ形成部603aは、上述した図10(b)に示されるように、対象となるセクタに隣接して配置されるセクタの集合をクラスタとして形成し、そして、そのクラスタにあるセクタの端末数の合計を算出する部分である。このクラスタの形成方法は、隣接以外にも周辺のものを含むセクタなどいろいろ考えられるが、セクタに隣接する全てのセクタの集合をここでは考える。
そして、人口分布算出部611は、クラスタ形成部603aにより形成されたクラスタにおけるセクタの端末数に基づいて、人口分布を算出する。具体的には以下の式(14)に基づいて、補正済み端末数S
ijは算出される。
ここでNbは、クラスタbにおける位置登録信号に基づいた端末数の総和であって、
で算出することができる。すなわち、クラスタが十分に広い範囲であれば、位置登録信号に基づいた端末数の影響を受けづらくなる。そして、セクタによっては、過大に集計されたり、過小に集計されたり、する場合がありえるが、一のクラスタにおいて複数の位置登録エリアにまたがって形成されるなど、クラスタを十分広く取った場合、この過大集計および過小集計は相殺されることになり、実質的にL
ijの総数と、S
ijの総数とはほぼ同じであると考えることができる。
つぎに、情報分析装置600aの処理について説明する。図12は、第二の実施形態における情報分析装置600aの処理を示すフローチャートである。
まず、情報分析装置600のオペレータにより、調査対象となるセクタiおよび属性jが指定される(S101)。この指定方法は、図示しない入力部等によりオペレータによる操作により行われる。
端末数取得部604により、セクタiにおける属性jの端末数Lijが算出される(S102)。この端末数Lijの算出方法は、上述のとおりである。また、端末数取得部604により、セクタiにおける全属性の端末数Σ(j)Lijが算出される(S103)。
つぎに、着信数取得部602により、セクタiにおける着信数Ciが取得される(S104)。そして、クラスタ形成部603aにより、セクタiに隣接する全てのセクタが、クラスタLAbとして取得され(S105)、そのクラスタLAbに属するセクタに在圏する移動機100の端末数Nbが取得される(S106)。
つぎに、着信数取得部602により、クラスタLAbに属する全セクタの着信数の合計Σ(i)Ciが計算される(S107a)。そして、端末数取得部604により取得された端末数LijおよびΣ(i)Lij、クラスタ形成部603aにより取得された端末数Nb、着信数取得部602により取得された着信数Ciおよびその合計Σ(i)Ciに基づいて、移動機が位置登録エリアを跨ぐことにより生じる端末数の誤差を抑えた補正済み端末数Sijが、人口分布算出部611により算出される(S108)。このようにして、セクタiにおける属性jにおける位置登録エリアを跨いだ誤差を抑えた人口分布を算出することができる。すなわち、セクタによっては、過大に集計されたり、過小に集計されたり、する場合がありえるが、一のクラスタにおいて複数の位置登録エリアにまたがって形成された場合、この過大集計および過小集計は相殺されることになり、より精度の高い人口分布を算出することができる。
つぎに、第二の実施形態の変形例について説明する。上述の情報分析装置600aにおいては、クラスタ形成部603aが、対象となるセクタに隣接する全てのセクタを含んだものを一クラスタとして、人口分布の計算に用いたが、このクラスタの形成の仕方は、いろいろある。上述したとおり、対象となるセクタに隣接した全てのセクタを含んだものを一クラスタとしても良いし、対象となるセクタに基づいて、右側に存在する所定個のセクタを一クラスタとしても良い。例えば、図13に、その例を示す。この図13においては、対象となるセクタA5があった場合、その右側に存在するセクタA1〜A7を一クラスタとして扱っている。そして、人口分布を算出する際において、クラスタの形成の仕方に応じた人口分布を一旦算出し、後述するとおり、その平均を取るようにしてもよい。
図14は、変形例における処理であって、その複数のクラスタにおいて算出した人口分布の平均を算出することにより、人口分布の算出を行う情報分析装置600aの処理を示すフローチャートである。
端末数取得部604により、セクタiにおける属性jの端末数Lijが算出される(S102)。この端末数Lijの算出方法は、上述のとおりである。また、端末数取得部604により、セクタiにおける全属性の端末数Σ(j)Lijが算出される(S103)。
つぎに、着信数取得部602により、セクタiにおける着信数Ciが取得される(S104)。そして、クラスタ形成部603aにより、まずn=1が設定され、クラスタ形成方法n=1による、セクタiに対するクラスタLAbnが取得される(S105a)。クラスタ形成部603aにより、セクタiに隣接する全てのセクタが、クラスタLAbnとして取得され(S105)、そのクラスタに属するセクタに在圏する移動機100の端末数Nbが取得される(S106)。
つぎに、着信数取得部602により、位置登録エリアに属する全セクタの着信数の合計Σ(i)Ciが計算される(S107a)。そして、端末数取得部604により取得された端末数LijおよびΣ(i)Lij、クラスタ形成部603aにより取得された端末数Nbn、着信数取得部602により取得された着信数Ciおよびその合計Σ(i)Ciに基づいて、移動機が位置登録エリアを跨ぐことにより生じる端末数の誤差を抑えた補正済み端末数Snijが、人口分布算出部611により算出される(S108)。
そして、nが所定数に達したか否かが、クラスタ形成部603aにより判断され、所定数未満である場合には、n=n+1とし(S110)、クラスタ形成方法n=2に基づく、クラスタが取得される(S105a)。以下、nが所定数に達するまで、複数のSnijが算出される(S106〜S109)。そして、人口分布算出部611により、各補正済み端末数Snijは所定数で除算されることで、その平均値が算出され、最終の補正済み端末数Sijが算出される。
このようにして、複数の補正済み端末数Snijに基づいて、最終的な補正済み端末数Sijが算出されることになり、より精度の高い端末数、すなわち人口分布を算出することができる。
なお、この変形例においては、セクタの集合を変えたクラスタごとに、補正済み端末数S
ijを算出し、この補正済み端末数S
ijの平均値を人口分布情報としたが、これに限るものではなく、クラスタごとの補正済み端末数S
ijを算出せずに、クラスタごとに算出した端末数Nbnの平均値(Nbn/n)を算出し、また、クラスタごとの着信数(Σ(i)C
i)の平均値(Σ(n)Σ(i)Cin/n)を算出し、これら平均値を用いて補正済み端末数S
ijを算出するようにしてもよい。これにより、演算処理が軽減される。
nは、クラスタを示す。
つぎに、本実施形態の情報分析装置600aの作用効果について説明する。この情報分析装置600aによれば、端末数取得部604が、オペレータ等により指定されたセクタiにおける指定された属性jの端末数Lijを取得し、着信数取得部602は、セクタiにおける着信数Ciを取得し、クラスタ形成部603aは、当該セクタiの近隣に位置する複数のセクタから構成される複数のクラスタLAbにおける端末数Nbを取得する。そして、人口分布算出部611は、取得された着信数Ciおよび当該着信数をクラスタ単位で取得した総着信数Σ(i)Ciと、クラスタにおける端末数Nbと、取得された端末数Lijとに基づいて、セクタにおける人口分布(すなわち補正済み端末数Sij)を算出する。これにより、位置登録エリアを跨ぐことによる影響を除去した、セクタ毎・属性別の人口分布を精度良く算出することができる。
さらに、その変形例における情報分析装置600aによれば、端末数取得部604が、オペレータ等により指定されたセクタiにおける指定された属性jの端末数Lijを取得し、着信数取得部602は、セクタiにおける着信数Ciを取得する。クラスタ形成部603aは、当該セクタiの近隣に位置する複数のセクタから構成されるクラスタLAbにおける、端末数Nbn(nは1〜x)を取得する。そして、人口分布算出部611は、取得された着信数Ciおよび当該着信数をクラスタ単位で取得した総着信数Σ(i)Ciと、クラスタにおける端末数Nbn(nは1〜x)と、取得された端末数Lijとに基づいて、それぞれのセクタにおける補正済み端末数Snijを算出する。そして、人口分布算出部611は、この補正済み端末数Snijをnで除算することで、その平均値(補正済み端末数Sij)を算出して、人口分布情報とする。これにより、位置登録エリアを跨ぐことによる影響を除去した、セクタ毎・属性別の人口分布を精度良く算出することができる。第一の実施形態と同様に、端末数Lijは、端末の量を含んだ情報である。
なお、補正済み端末数Snijの平均値を算出することに代えて、端末数Nbnの平均値を算出して、これに基づいて補正済み端末数Sijを算出するようにしてもよい。
この変形例による情報分析装置600aによれば、異なるセクタの集合単位のそれぞれをクラスタ単位として、当該クラスタ単位の総着信数を算出し、総着信数の平均値に基づいて、人口分布を算出することで、より精度よくセクタ毎・属性別の人口分布を算出することができる。
[第三の実施形態]
つぎに、第三の実施形態について説明する。図15は、本実施形態における情報分析装置600bの機能構成を示すブロック図である。図15に示されるとおり、情報分析装置600bは、情報分析装置通信制御部601、着信数取得部602、在圏数取得部603、クラスタ形成部603a、端末数取得部604、位置情報記憶部605、着信数記憶部606、人口分布算出部611、および出力部610を含んで構成されている。第二の実施形態における情報分析装置600aとの違いは、さらに在圏数取得部603を備えている点にある。
この情報分析装置600bにおいては、在圏数取得部603により、対象となるセクタが所属する位置登録エリアLAaにおける在圏数Naが取得され、また、クラスタ形成部603aにより、対象となるセクタに基づいて形成されたクラスタLAbにおける端末数Nbが取得される。そして、人口分布算出部611により、それぞれの在圏数Na、Nbおよび端末数Lijに基づいて、補正済み端末数Saij、Sbijが算出され、その平均値が人口分布情報として算出される。
つぎに、このように構成された情報分析装置600bの処理について説明する。図16は、情報分析装置600bの処理を示すフローチャートである。
まず、情報分析装置600のオペレータにより、調査対象となるセクタiおよび属性jが指定される(S101)。端末数取得部604により、セクタiにおける属性jの端末数Lijが算出される(S102)。この端末数Lijの算出方法は、上述のとおりである。また、端末数取得部604により、セクタiにおける全属性の端末数Σ(j)Lijが算出される(S103)。
つぎに、着信数取得部602により、セクタiにおける着信数Ciが取得される(S104)。そして、在圏数取得部603により、セクタiが属する位置登録エリアLAaが取得され(S105)、その位置登録エリアLAaに在圏する移動機100の在圏数Naが取得される(S106)。
つぎに、着信数取得部602により、位置登録エリアLAaに属する全セクタの着信数の合計Σ(i)Ciが計算される(S107)。そして、端末数取得部604により取得された端末数LijおよびΣ(i)Lij、在圏数取得部603により取得された在圏数Na、着信数取得部602により取得された着信数Ciおよびその合計Σ(i)Ciに基づいて、移動機が位置登録エリアを跨ぐことにより生じる端末数の誤差を抑えた補正済み端末数Saijが、人口分布算出部611により算出される(S108)。
つぎに、クラスタ形成部603aにより、セクタiに隣接する全てのセクタが、クラスタLAbとして取得され(S112)、そのクラスタに属するセクタに在圏する移動機100の端末数Nbが取得される(S113)。
つぎに、着信数取得部602により、クラスタLAbに属する全セクタの着信数の合計Σ(i)Ciが計算される(S114)。そして、端末数取得部604により取得された端末数LijおよびΣ(i)Lij、クラスタ形成部603aにより取得された端末数Nb、着信数取得部602により取得された着信数Ciおよびその合計Σ(i)Ciに基づいて、補正済み端末数Sbijが、人口分布算出部611により算出される(S115)。
そして、補正済み端末数Saijおよび補正済み端末数Sbijの平均値である端末数Sijを算出し、これを人口分布情報とする(S116)。これにより、より精度の高い人口分布情報を算出することができる。
なお、この実施形態においては、位置登録エリアLAaに基づいた補正済み端末数Saijと、対象となるセクタに隣接または近隣のセクタの集合からなるクラスタLAbに基づいた補正済み端末数Sbijとの平均値を補正済み端末数Sijとして算出し、これを人口分布情報とする処理となっている。しかしながら、これに限るものではなく、位置登録エリアLAaに基づいた在圏数Naおよびその着信数合計Σ(i)Ciと、対象となるセクタに隣接または近隣のセクタの集合からなるクラスタLAbの端末数Nbおよびその着信数合計Σ(i)Ciとのそれぞれの平均値を算出し、これら平均値に基づいて補正済み端末数Sijを算出するようにしてもよい。
つぎに、この第三の実施形態の情報分析装置600bの作用効果について説明する。この情報分析装置600bによれば、端末数取得部604が、オペレータ等により指定されたセクタiにおける指定された属性jの端末数Lijを取得し、着信数取得部602は、セクタiにおける着信数Ciを取得し、在圏数取得部603は、当該セクタiを含んだ複数のセクタから構成されるクラスタである位置登録エリアLAaおよび当該セクタiに隣接したセクタを含んだ所定のクラスタLAbにおける、在圏数Naおよび端末数Nbを取得する。そして、人口分布算出部611は、取得された着信数Ci、当該着信数をクラスタ単位で取得した総着信数Σ(i)Ciと、クラスタにおける在圏数NaおよびNbと、取得された端末数LijおよびLijとに基づいて、セクタにおける補正済み端末数SaijおよびSbijを算出し、この平均値を人口分布として算出する。これにより、位置登録エリアを跨ぐことによる影響を除去した、セクタ毎・属性別の人口分布を精度良く算出することができる。
[第四の実施形態]
つぎに、第四の実施形態について説明する。図17は、第四の実施形態における情報分析装置600cの機能構成を示すブロック図である。図17に示すとおり、情報分析装置600cは、情報分析装置通信制御部601、着信数取得部602、在圏数取得部603、按分処理済端末数取得部604a、位置情報記憶部605、着信数記憶部606、人口分布算出部611、および出力部610を含んで構成されている。第一の実施形態における情報分析装置600との違いは、端末数取得部604に代えて、按分処理済端末数取得部604aを備えた点にある。
この按分処理済端末数取得部604aは、位置登録信号処理部404により算出され、HLR700や交換機400に記憶されている加入者情報・在圏情報に基づいて、指定されたセクタおよび属性における特徴量で表される端末数(第1の端末数)を取得するとともに、移動機100が位置登録エリアを跨ぐことにより、位置登録信号を出力した場合には、その位置登録信号を除去し、除去された位置登録信号に基づいて(すなわち、周期的に出力された位置登録信号、電源投入における位置登録信号、または圏外からの復帰時に出力される位置登録信号等に基づいて)、特徴量で表される端末数(第2の端末数:除去後端末数)を取得する部分である。そして、これら第1の端末数および第2の端末数に基づいて、その按分した値となる第3の端末数を算出し、これを端末数とする。
上述したとおり、HLR700や交換機400には、移動機100から送信された位置登録信号に基づいて、移動機100の位置情報が記憶されている。そして、一般的に位置登録エリアを跨いだとき、所定周期に達したとき、電源をオンにしたときなどの所定条件を満たしたときに、移動機100は位置登録信号を送信する構成をとっている。そして、位置登録エリアを跨いだときにおいては、位置登録信号には、位置登録エリアを跨いだことにより位置登録処理が実行された旨を示す情報が付されており、HLR700や交換機400においてはその情報とともに位置情報が記憶されている。
按分処理済端末数取得部604aは、その位置登録エリアを跨いだことにより位置登録処理が行われたことを示した位置情報を除去することにより、周期的に行われた位置登録信号等に基づいて位置情報を取得することができ、これに基づいた位置情報数を取得することができる。
そして、按分処理済端末数取得部604aは、第1の端末数および第2の端末数を以下の式に当てはめることにより按分処理した端末数を算出することができる。
端末数Lij=pMij+(1−p)Nij (18)
ここで、Mijは、セクタiにおける属性jの第1の端末数であり、Nijは、セクタiにおける属性jの第2の端末数であり、位置登録エリアを跨いだ位置情報を除いた端末数である。また、pは任意の値であり、1以下に限定するものではない。
このように按分処理済端末数取得部604aにより算出された端末数Lij、ならびに在圏数取得部603により取得された在圏数Na、着信数取得部602により取得された着信数Ciに基づいて人口分布を算出することができる。なお、在圏数Naに代えて、クラスタLAbに基づいた端末数Nbを算出して、これに基づいて人口分布を算出するようにしても良い。
つぎに、この情報分析装置600cの処理について説明する。図18は、情報分析装置600cの処理を示すフローチャートである。
まず、情報分析装置600のオペレータにより、調査対象となるセクタiおよび属性jが指定される(S101)。
つぎに、按分処理済端末数取得部604aにより、セクタiにおける属性jの第1の端末数Mijおよび第2の端末数Nijが取得される(S102aおよびS102b)。そして、端末数Lij=pMij+(1−p)Mijが計算されることにより、端末数Lijが算出される(S102c)。また、端末数取得部604により、セクタiにおける全属性の端末数Σ(j)Lijが算出される(S103)。
つぎに、着信数取得部602により、セクタiにおける着信数Ciが取得される(S104)。そして、在圏数取得部603により、セクタiが属する位置登録エリアLAaを構成するセクタの情報が取得され(S105)、その位置登録エリアLAaに在圏する移動機100の在圏数Naが取得される(S106)。
つぎに、着信数取得部602により、位置登録エリアに属する全セクタの着信数の合計Σ(i)Ciが計算される(S107)。そして、端末数取得部604により取得された端末数LijおよびΣ(i)Lij、在圏数取得部603により取得された在圏数Na、着信数取得部602により取得された着信数Ciおよびその合計Σ(i)Ciに基づいて、移動機が位置登録エリアを跨ぐことにより生じる端末数の誤差を抑えた補正済み端末数Sijが、人口分布算出部611により算出される(S108)。このようにして、セクタiにおける属性jにおける位置登録エリアを跨いだ誤差を抑えた人口分布を算出することができる。
なお、この第四の実施形態においては、在圏数取得部603を用いて取得された在圏数Naに基づいて人口分布を算出したがこれに限るものではなく、上述第二の実施形態および第三の実施形態に記載の情報分析装置600aおよび600bに、上述の式(14)により算出した端末数Lijを適用することができる。また、第二の実施形態に適用する際においては、この端末数Lijの値が、クラスタの範囲が、端末数の総計に対して、相対的に大きくなるように、セクタを選択することが望ましい。また、地理的な着信頻度の偏りによる影響を少なくするために、なるべく狭い地理的範囲にクラスタの領域が収まることが望ましい。よって、セクタiに対して隣接するセクタを一クラスタに収まるように選択することが望ましい。
つぎに、本実施形態の情報分析装置600cの作用効果について説明する。この情報分析装置600cによれば、端末数取得部604が、オペレータ等により指定されたセクタiにおける指定された属性jの端末数Mijを取得し、端末数Mijから位置登録エリアを跨いだときに位置登録処理された端末を除去した端末数Nijを取得する。そして、これら端末数MijおよびNijに基づいて端末数Lijを算出する。
つぎに、着信数取得部602は、セクタiにおける着信数Ciを取得し、在圏数取得部603は、当該セクタiを含んだ位置登録エリアLAaにおける在圏数Naを取得する。そして、人口分布算出部611は、取得された着信数Ciおよび当該着信数をクラスタ単位で取得した総着信数Σ(i)Ciと、位置登録エリアLAaにおける在圏数Naと、取得された端末数Lijとに基づいて、セクタにおける人口分布(すなわち補正済み端末数Sij)を算出する。これにより、位置登録エリアを跨ぐことによる影響を除去した、セクタ毎・属性別の人口分布を精度良く算出することができる。