以下添付図面を参照して、本発明を好適な実施形態に従って詳細に説明する。
(実施例1)
本願は、背景技術で想定したような課題に対処すべく、POD環境等のオフィス環境とは異なる印刷環境を想定している。故に、ここでは、本印刷システム1000を含むPOD環境の現場(図1の印刷環境10000)全体のシステム環境について説明する。このような印刷環境自体も本形態の特徴の1つである。
尚、本形態では、この本印刷システム1000が適用可能な印刷環境10000のことを、PODシステム10000と呼ぶ。
図1のPODシステム10000は、本形態の印刷システム1000、サーバコンピュータ103、クライアントコンピュータ104(これを、以下PCと呼ぶ)を具備する。又、紙折り機107、断裁機109、中綴じ製本機110、くるみ製本機108、スキャナ102等も具備する。このように複数の装置がPODシステム10000に用意されている。
本印刷システム1000は、印刷装置本体100及びシート処理装置200を具備する。尚、本願では、印刷装置100の1例として、コピー機能及びPCプリント機能等複数の機能を具備する複合機を想定して説明するが、単一機能型の印刷装置であっても良い。尚、該複合機のことを、以下では、MFP(Multi Function Peripheral)とも呼ぶ。
ここでは、図1の紙折り機107、断裁機109、中綴じ製本機110、くるみ製本機108を、本印刷システム1000が具備するシート処理装置200と同様に、シート処理装置と定義する。何故なら、本印刷システム1000が具備する印刷装置100で印刷されたジョブのシートに対するシート処理を実行可能なデバイスであるからである。例えば、紙折り機107は、印刷装置100で印刷されたジョブのシートの折処理を実行する。断裁機109は、複数枚のシートで構成されるシート束単位で、印刷装置100で印刷されたシートの断裁処理を、実行する。
中綴じ製本機110は、印刷装置100で印刷されたジョブのシートの中綴じ製本処理を実行する。くるみ製本機108は、印刷装置100で印刷されたジョブのシートのくるみ製本処理を実行可能に構成されている。但し、これらのシート処理装置(107〜110)で各種シート処理を実行する場合、オペレータが、印刷物を該印刷装置100の排紙部から取り出し、且つ、処理対象となるシート処理装置に、その印刷物をセットする作業が必要である。
換言すると、本印刷システム1000自身が具備するシート処理装置200を利用して印刷装置100により印刷された印刷物に対してシート処理を実行する場合、該印刷装置100による印刷処理の実行後にオペレータによる介入作業は不要である。何故なら、印刷装置100にて印刷された印刷物は、直接シート処理装置200に送信され、シート処理が実行されるためである。具体的には、印刷装置100内部のシート搬送路が、シート処理装置200内部のシート搬送路に連結されている。このように、本印刷システム1000自身が具備するシート処理装置200と印刷装置100は、物理的に接続されている。且つ、本印刷装置100とシート処理装置200とは、CPUを具備し、データ通信可能に構成されている。このように印刷装置100とシート処理装置200とは、電気的接続関係にある。
尚、本形態では、本印刷システムが具備する制御部が、これら印刷装置100とシート処理装置200を統括的に制御している。本例では、図2の印刷装置100内部のコントローラ部205が統括制御を行う。尚、本形態では、これらシート処理装置の事を、後処理装置やポストプレスとも呼ぶ。
図1のPODシステム10000では、中綴じ製本機110以外の装置は、全てネットワーク101に接続されており、互いに他装置とデータ通信可能に構成されている。
例えば、PC103、104等の外部装置の一例に該当する情報処理装置は、ネットワーク101を介して印刷データを、印刷装置100に送信できる。
また、サーバPC103は、本POD環境10000にて処理すべき全てのジョブの全体を管理する。換言すると、複数の処理工程からなる一連のワークフローの工程全体を統括管理するコンピュータとして機能する。
該PC103は、オペレータから受け付けたジョブの指示に基づいて、本環境10000にて仕上げ可能な後処理条件を決定する。且つ、PC103は、エンドユーザ(この例では印刷の作成依頼をした顧客)の要求通りの後処理(仕上げ処理)工程の実行を指示する。この際に、PC103は、JDFなどの情報交換ツールを用いて、シート処理装置と情報交換している。
以上のような構成要素を具備するPOD環境10000における本形態の着目点の1つとして、上記各シート処理装置を、本形態では、3種類に分類して、以下のように、定義している。
[定義1]
以下に列挙の(条件1)と(条件2)の両方を満たす装置に該当するシート処理装置を、「インラインフィニッシャ」と定義する。尚、この定義に該当する装置を、本形態では、インラインタイプのシート処理装置とも呼ぶ。
(条件1) 印刷装置100から搬送されるシートをオペレータの介入無しに直接的に受容出来るように、紙パス(シート搬送路)が、印刷装置100と物理的に接続されている。
(条件2) 操作指示や状況確認等に要するデータ通信を他装置と出来るように、他装置と電気的に接続されている。具体的には、印刷装置100とデータ通信可能に電気的接続されている事、或いは、ネットワーク101を介して印刷装置100以外の装置(例えば、PC103、104等)とデータ通信可能に電気的接続されている事。これら少なくとも何れかの条件を満たすものを、(条件2)に合致するものとする。
即ち、本印刷システム1000自身が具備するシート処理装置200は、「インラインフィニッシャ」に該当する。
[定義2]
前項に掲げる(条件1)と(条件2)のうちの(条件1)は満たさないが、(条件2)を満たす装置に該当するシート処理装置を、「ニアラインフィニッシャ」と定義する。尚、この定義に該当する装置を、本形態では、ニアラインタイプのシート処理装置とも呼ぶ。
例えば、紙パスも印刷装置100と接続されておらず、作業者(オペレータ)が印刷物の運搬等の介入作業を要する。しかし、操作指示や状況確認はネットワーク101等の通信手段を介して電気的に情報送受可能である。このような条件に合致するシート処理装置を、「ニアラインフィニッシャ」と定義する。
即ち、図1の紙折り機107、断裁機109、中綴じ製本機110、くるみ製本機108は、「ニアラインフィニッシャ」に該当する。
[定義3]
前項に掲げる(条件1)と(条件2)の何れの条件も満たさない装置に該当するシート処理装置を、「オフラインフィニッシャ」と定義する。尚、この定義に該当する装置を、本形態では、オフラインタイプのシート処理装置とも呼ぶ。
例えば、紙パスも印刷装置100と接続されておらず、作業者(オペレータ)が印刷物の運搬等の介入作業を要する。しかも、操作指示や状況確認に要する通信ユニットも具備しておらず、他装置とのデータ通信も不可能である。故に、作業者が出力物の運搬、出力物の設定、手作業での操作入力、機器自体が発する状況報告を手作業で行う。このような条件に合致するシート処理装置を「オフラインフィニッシャ」と定義する。
即ち、図1の中綴じ製本機110は「オフラインフィニッシャ」に該当する。
以上の如く、3つの種類に分類する各種シート処理装置を具備する本POD環境10000は、様々なシート処理を実行できる。
サーバPC103が管理するニアラインフィニッシャやオフラインフィニッシャには、他にも、ステープラ専用装置、穴あけ専用装置、封入機あるいは、帳合機(コレータ)を初めとして様々なものがある。サーバ103は、これらのニアラインフィニッシャと予め決められたプロトコルで、逐次ポーリングなどでデバイスの状況やジョブの状況を、ネットワーク101経由で把握する。また、サーバPC103は、本環境10000にて処理すべき各ジョブの実行状況(進捗状況)を管理する。
尚、本形態は、上述の複数の記録紙処理をそれぞれ別々のシート処理装置により実行可能にする構成でも、複数種類の記録紙処理を1台のシート処理装置が実行可能にする構成でも良い。又、複数のシート処理装置のうちのいずれかのシート処理装置を本システムに具備する構成でも良い。
ここで、本形態の更なる着目点について説明しておく。
図1の印刷システム1000は、印刷装置100と、該印刷装置100に着脱可能なシート処理装置200を具備している。このシート処理装置200は、印刷装置100で印刷されたジョブのシートを、シート搬送路を介して受容可能な装置である。また、シート処理装置200は、ユーザインタフェース部を介して印刷実行要求と共にユーザが要求したシート処理を、印刷装置100のプリンタ部203により印刷されたシートに対して実行する。
なお、本形態のシート処理装置200は、一連のシート処理装置群200として定義することも可能である。シート処理装置200は、互いに独立筐体で且つ独立使用可能な、複数台のシート処理装置を、印刷装置100に連結して利用可能に構成されている。図1に示す印刷システム1000は、印刷装置100と3台のシート処理装置とによって構成される。このように複数台のシート処理装置が、印刷装置100に接続された構成をカスケード接続と呼ぶ。これら印刷装置100にカスケード接続される複数台のシート処理装置は、インラインフィニッシャとして取り扱っている。この場合、本システム1000の制御部の1例に該当する図2のコントローラ205が、印刷装置本体100及びこれら複数台のインラインタイプのシート処理装置を統括的に制御し、以下の実施形態で述べる各種制御を実行する。
[本システム1000の内部構成(主にソフト構成)]
次に、本印刷システム1000の内部構成(主に、ソフト構成)について、図2のシフテムブロック図を用いて説明する。尚、本例では、本印刷システム1000が具備する図2に示す各ユニットの内、シート処理装置200以外のユニットは、全て印刷装置100内部に具備している。つまり、シート処理装置200は、本印刷装置100に対して着脱可能なシート処理装置であり、印刷装置100のオプションとして提供可能に構成されている。
印刷装置100は、自装置内部に複数の処理対象となるジョブのデータを記憶可能なハードディスク209(以下、HDとも呼ぶ)等の不揮発性メモリを具備する。
印刷装置100は、スキャナ部201から受付けたジョブデータを該HDを介してプリンタ部203で印刷するコピー機能を具備する。
印刷装置100は、PC103、104等の外部装置からI/F部202ユニットを介して受付けたジョブデータを該HDを介してプリンタ部203で印刷する印刷機能等を具備する。なお、本印刷装置100は、カラープリンタ、モノクロプリンタであっても、本発明を実行可能であるならば如何なる構成でも良い。
本印刷装置100は、ユーザインタフェース部の一例に該当する操作部204も具備する。本印刷システム1000にて提供しているユーザインタフェース部の別の例としては、例えば、PC103や104の外部装置の表示部及びキーボードやマウス等がこれに該当する。
本印刷システム1000が具備する制御部の一例に該当するコントローラ部(制御部、或いは、CPUとも呼ぶ)205は、本印刷システム1000が具備する各種ユニットの処理や動作等を統括的に制御する。ROM207には、後述する図21、29に示すフローチャートの各種処理等を実行する為のプログラムを含む各種の制御プログラムが記憶されている。
制御部205は、ROM207のプログラムを読出実行することで、本願にて説明する各種の動作を実行する。また、ROM207は、外部装置(103や104等)から受信したPDL(ページ記述言語)コードデータを解釈し、ラスターイメージデータ(ビットマップ画像データ)に展開する動作を実行する為のプログラム等も記憶する。
ROM207は読み出し専用のメモリで、ブートシーケンスやフォント情報等のプログラムや上記のプログラム等各種プログラムが予め記憶されている。RAM208は読み出し及び書き込み可能なメモリで、スキャナ部201や外部I/F202よりメモリコントローラ206を介して送られてきた画像データや、各種プログラムや設定情報を記憶する。
HDD(ハードディスク)209は、圧縮伸張部210によって圧縮された画像データを記憶する大容量の記憶装置である。当該HDD209に、処理対象となるジョブのプリントデータ等複数のデータを保持可能に構成されている。制御部205は、スキャナ部201や外部I/F部202等の各種入力ユニットを介して入力された処理対象となるジョブのデータを、該HDD209を介して、プリンタ部203でプリント可能に制御する。又、制御部205は、外部I/F202を介して外部装置へ送信する。さらに、制御部205は、HDD209に格納した処理対象のジョブのデータに対する出力処理を制御する。圧縮伸張部210は、JBIGやJPEG等といった各種圧縮方式によってRAM208、HDD209に記憶されている画像データ等を圧縮・伸張動作を行う。
以上のような構成のもと、本印刷システムが具備する制御部の1例としての制御部205が、図1の説明の如く、インラインタイプのシート処理装置200の動作も制御する。
[本システム1000の装置構成(主にメカ構成)]
次に、本印刷システム1000の構成(主に、メカ構成)について、図3の装置構成説明図でもって説明する。
尚、上述したように、本印刷システム1000は、複数台のインラインタイプのシート処理装置を、印刷装置100にカスケード接続可能に構成している。又、印刷装置100に接続可能なインラインタイプのシート処理装置は、特定の制限下のもと、本形態の効果を向上させるべく、利用環境に合わせ、任意の台数設置可能に構成されている。
故に、説明をより明瞭化すべく、図2や図3では、シート処理装置200は、一連のシート処理装置群として、N台接続可能であるものとしている。且つ、1台目のシート処理装置から順に、シート処理装置200a、200b・・と示し、N台目のシート処理装置として、シート処理装置200nと示している。
まず、印刷装置100の構成を説明する。図3に示す符号301〜322のうち、301は、図2のスキャナ部201のメカ構成に該当する。302〜322が、図3のプリンタ部203のメカ構成に該当する。尚、本形態では、1DタイプのカラーMFPの構成について説明するが、その他のタイプであっても良い。
図3の自動原稿搬送装置(ADF)301は、原稿トレイの積載面にセットされた原稿束を1頁目の原稿から、ページ順に原稿台ガラス上へ搬送する。スキャナ302は、原稿台ガラス上に搬送された原稿の画像を読み取り、CCDによって画像データに変換する。回転多面鏡(ポリゴンミラー等)303は、前記画像データに応じて変調されたレーザ光などの光線を入射させ、反射ミラーを介して反射走査光として感光ドラム304に照射する。感光ドラム304上に前記レーザ光によって形成された潜像はトナーによって現像され、転写ドラム305上に貼り付けられたシート材に対してトナー像を転写する。
この一連の画像形成プロセスをイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーに対して順次実行することによりフルカラー画像が形成される。4回の画像形成プロセスの後に、フルカラー画像形成された転写ドラム305上のシート材は、分離爪306によって分離され、定着前搬送器307によって定着器308へ搬送される。
定着器308は、ローラやベルトの組み合わせによって構成され、ハロゲンヒータなどの熱源を内蔵し、トナー像が転写されたシート材上のトナーを、熱と圧力によって溶解、定着させる。排紙フラッパ309は、揺動軸を中心に揺動可能に構成され、シート材の搬送方向を規定する。排紙フラッパ309が図中時計回りの方向に揺動しているときには、シート材は真直ぐに搬送され、排紙ローラ310によって機外へ排出される。一方、シート材の両面に画像を形成する際には、排紙フラッパ309が図中反時計回りの方向に揺動し、シート材は下方向に進路を変更され両面搬送部へと送り込まれる。両面搬送部は、反転フラッパ311、反転ローラ312、反転ガイド313および両面トレイ314を具備する。
反転フラッパ311は、揺動軸を中心に揺動可能に構成され、シート材の搬送方向を規定する。制御部205は、両面印刷ジョブを処理する場合、プリンタ部203でシートの第1面にプリント済みのシートを、反転フラッパ311を図中反時計回りの方向に揺動させ、反転ローラ312を介して、反転ガイド313へと送り込むよう制御する。そして、シート材後端が反転ローラ312に狭持された状態で反転ローラ312を一旦停止させ、引き続き反転フラッパ311が図中時計回りの方向に揺動させる。且つ、反転ローラ312を逆方向に回転させる。これにより、該シートスイッチバックして搬送させ、シートの後端と先端が入れ替わった状態で、該シートを両面トレイ314へと導くよう制御する。
両面トレイ314ではシート材を一旦積載し、その後、再給紙ローラ315によってシート材は再びレジストローラ316へと送り込まれる。このときシート材は、1面目の転写工程とは反対の面が感光ドラムと対向する側になって送られてきている。そして、先述したプロセスと同様にして該シートの第2面に対して2面目の画像を形成させる。そして、シート材の両面に画像が形成され、定着工程を経て排紙ローラ310を介して印刷装置本体内部から機外へと該シートを排出させる。制御部205は、以上のような一連の両面印刷シーケンスを実行することで、両面印刷対象のジョブのデータのシートの第1面と第2面の各面に対する両面印刷を本印刷装置により実行可能にする。
給紙搬送部は、印刷処理に要するシートを収納する給紙ユニットとしての給紙カセット317、318(例えば、夫々500枚のシートを収容可能)、ペーパーデッキ319(例えば、5000枚のシートを収納可能)、手差しトレイ320等がある。又、これら給紙ユニットに収納されたシートを給送するユニットとして、給紙ローラ321、レジストローラ316等がある。給紙カセット317、318、ペーパーデッキ319には、各種のシートサイズで且つ各種のマテリアルのシートを、これらの各給紙ユニット毎に、区別して、セット可能に構成されている。
手差しトレイ320も、OHPシート等の特殊なシートを含む各種の印刷媒体をセット可能に構成されている。給紙カセット317、318、ペーパーデッキ319、手差しトレイ320には、それぞれに給紙ローラ321が設けられ1枚単位でシートを連続的に給送可能に構成される。例えば、ピックアップローラによって積載されたシート材が順次繰り出され、給紙ローラ321に対向して設けられる分離ローラによって重送が防止されてシート材は1枚ずつ搬送ガイドへと送り出される。ここで、分離ローラには搬送方向とは逆方向に回転させる駆動力が図示しないトルクリミッタを介して入力されている。給紙ローラとの間に形成されるニップ部にシート材が1枚だけ進入しているときには、シート材に従動して搬送方向に回転する。
一方、重送が発生している場合には搬送方向とは逆方向に回転することにより重送したシート材が戻され、最上部の1枚だけが送り出されるようになっている。送り出されたシート材は搬送ガイドの間を案内され、複数の搬送ローラによってレジストローラ316まで搬送される。このときレジストローラ316は停止しており、シート材の先端がレジストローラ316対で形成されるニップ部に突き当たり、シート材がループを形成し斜行が補正される。その後、画像形成部において感光ドラム304上に形成されるトナー像のタイミングに合わせて、レジストローラ316は回転を開始してシート材を搬送する。レジストローラ316により送られたシート材は、吸着ローラ322によって転写ドラム305表面に静電気的に吸着される。定着器308から排出されたシート材は、排出ローラ310を介して、シート処理装置200内部のシート搬送路へ導入される。
尚、例えば、印刷実行要求を操作部204から受付けたジョブのデータ発生源は、スキャナ部201を意味する。又、印刷実行要求をホストコンピュータから受付けたジョブのデータ発生源は、当然ホストコンピュータである。
制御部205は、処理対象のジョブの印刷データを、先頭ページから順番にHD209に記憶させ、且つ、先頭ページから順番にHD209から該ジョブの印刷データを読み出して、シート上に該印刷データの画像を形成させる。このような先頭ページ処理を遂行する。
制御部205は、先頭ページから順番に印刷されるシートを、画像面が下向きで、シート処理装置200内部のシート搬送路へ供給させる。その為に、排紙ローラ310によりシート処理装置200内部へシートを導入する直前で、定着部308からのシートの表裏を反転させる為のスイッチバック動作をユニット309、312等を用いて実行させる。このような、先頭ページ処理に対処する為のペーパハンドリング制御も制御部205は実行する。
次に、本印刷システム1000が印刷装置100と共に具備するインラインタイプのシート処理装置200の構成について説明する。
図3の本形態のシステム1000は、印刷装置100にカスケード接続可能なインラインタイプのn台のシート処理装置を具備する。なお、接続可能なインラインタイプのシート処理装置の台数は、任意とする。例えば、インラインタイプのシート処理装置を全く利用しない(即ち、0台)場合でも、本形態の印刷装置100は当然利用可能にする。
又、複数台のインラインタイプのシート処理装置を印刷装置100にカスケード接続する場合に、それら複数台のシート処理装置の接続順番も任意である。
但し、上記のような仕組みは、ユーザ利便性を向上させるための仕組みであるが故に、必ずしも必須の構成要件としなくても良い。換言すると、例えば、本発明はこのような構成に限定解釈されない。例えば、本印刷システム1000にて利用可能なインラインタイプのシート処理装置の台数や、それらの装置の接続順序が、一律的に規定されているようなシステム構成でも良い。少なくとも、後述する各種ジョブ制御の少なくとも何れかを実行可能に構成されるならば、本発明に包含される。
図4等を用いて、本システム1000の印刷装置100が具備するユーザインタフェース部(以下、UI部と呼ぶ)の一例に該当する操作部204について説明する。
操作部204は、ハードキーによるユーザ操作を受付け可能なキー入力部402、ソフトキー(表示キー)によるユーザ操作を受付可能な表示ユニットの一例としてのタッチパネル部401を有する。
図5に示すように、キー入力部402は、操作部電源スイッチ501を具備する。制御部205は該スイッチ501のユーザ操作に応答し、スタンバイモード(通常動作状態)とスリープモード(ネットワーク印刷やファクシミリ等に備えて割り込み待ち状態でプログラムを停止し、消費電力を抑えている状態)を選択的に切換るよう制御する。制御部205は、該スイッチ501のユーザ操作を、システム全体の電源供給を行う主電源スイッチ(不図示)がON状態にて、受付可能に制御する。
スタートキー503は、処理対象となるジョブのコピー動作や送信動作等、ユーザにより指示された種類のジョブ処理を印刷装置に開始させる指示をユーザから受付可能にする為のキーである。ストップキー502は、受付けたジョブの処理を印刷装置に中断させる指示をユーザから受付可能にする為のキーである。テンキー506は、各種設定の置数の設定をユーザにより実行可能にする為のキーである。クリアキー507は、キー506を介してユーザにより設定された置数等の各種パラメータを解除するためのキーである。リセットキー504は、ユーザにより処理対象のジョブに対して設定された各種設定を全て無効にし、且つ、設定値をデフォルト状態に戻す指示をユーザから受付ける為のキーである。ユーザモードキー505は、ユーザごとのシステム設定画面に移行するためのキーである。
次に、図6は、本印刷システムが提供するユーザインタフェースユニットの一例に相当するタッチパネル部(以下、表示部とも呼ぶ)401を説明する図である。該タッチパネル部401はLCD(Liquid Crystal Display:液晶表示部)とその上に貼られた透明電極からなるタッチパネルディスプレイを有す。当該ユニット401は、操作者からの各種設定を受付ける機能と操作者に情報を提示する機能を兼ね備える。例えば、LCD上の有効表示状態の表示キーに該当する個所がユーザにより押下されたのを検知すると、制御部205は、ROM207に予め記憶された表示制御プログラムに従い、該表示部401に該キー操作に応じた操作画面を表示可能に制御する。尚、図6は、本印刷装置の状態がスタンバイモード時(印刷装置により処理すべきジョブが無い状態)に表示部401に表示させる初期画面の一例である。
図6に示す表示部401上のコピータブ601がユーザにより押下された場合、制御部205は、本印刷装置が具備するコピー機能の操作画面を表示部401に表示する。送信タブ602がユーザにより押下された場合、制御部205は、本印刷装置が具備するファックスやE−mail送信などデータ送信(Send)機能の操作画面を表示部401に表示する。ボックスタブ603がユーザにより押下された場合、制御部205は、本印刷装置が具備するボックス機能の操作画面を表示部401に表示する。
尚、ボックス機能とは、HDD209に仮想的に予め設けている複数個のデータ記憶ボックス(以下、ボックスと呼ぶ)を用いた機能である。当該機能にて、制御部205は、例えば、ユーザが所望のボックスを該ユーザによりユーザインタフェースユニットを介して選択可能にし、所望の操作をユーザから受付可能に制御する。例えば、制御部205は、操作部204を介して入力されたユーザからの指示に応答し、該ユーザにより選択されたボックスに対して、本印刷装置のスキャナ201から受付けたジョブの文書データをHDD209へ記憶可能にする。又、外部I/F部202を介し受付けた外部装置(例えばホストコンピュータ103や104等)からのジョブのデータ等もボックスに記憶可能である。
制御部205は、ボックスに記憶されたジョブのデータを、操作部204からのユーザ指示に従い出力する。
制御部205は、図6の表示部401の拡張タブ604がユーザにより押下された場合、スキャナ設定など拡張機能を設定するため画面を表示部401に表示させる。システムモニタキー617がユーザ押下された場合、MFPの状態や状況をユーザに通知する為の表示画面を表示部401に表示させる。
色選択設定キー605は、カラーコピー、白黒コピー、あるいは自動選択かを予めユーザにより選択可能にするための表示キーである。倍率設定キー608は、等倍、拡大、縮小などの倍率設定をユーザにより実行可能にする設定画面を表示部401に表示させる為のキーである。
両面キー614がユーザにより押下された場合、制御部205は、印刷対象となるジョブのプリント処理にて片面印刷か両面印刷のどちらを実行させるかを表示部401に表示する。又、用紙選択キー615のユーザ押下に応答し、制御部205は、給紙部やシートサイズやシートタイプ(メディアタイプ)を該ユーザにより設定可能にする画面を表示部401に表示する。
キー612のユーザ押下に応答し、制御部205は、文字モードや写真モードなど原稿画像に適した画像処理モードを該ユーザにより選択可能にする為の画面を表示部401に表示する。又、濃度設定キー611をユーザ操作することで、印刷対象となるジョブの出力画像の濃淡を調整可能にする。
図6を参照し、制御部205は、表示部401のステータス表示欄606に、スタンバイ状態、ウォームアップ中、プリント中、ジャム、エラー等、本印刷装置にて現在発生中のイベントの動作状態を表示する。
制御部205は、処理対象となるジョブの印刷倍率をユーザに確認させる為の情報を、処理対象となるジョブのシートサイズや給紙モードを表示する。
又、処理対象となるジョブの印刷部数、プリント動作中にて何枚目を印刷中かをユーザに確認させる為の情報が、表示欄610に表示される。このように、制御部205は、ユーザに通知すべき各種情報を表示部401に表示する。
更に、制御部205は、割り込みキー613がユーザにより押下された場合、本印刷装置により印刷中のジョブの印刷を停止させ、該ユーザのジョブの印刷を実行可能にする。応用モードキー618が押下された場合、ページ連写、表紙・合紙設定、縮小レイアウト、画像移動など様々な画像処理やレイアウトなどの設定を行う画面が表示される。
制御部205は、インラインタイプのシート処理装置200に対するシート処理の実行要求をユーザから受け付けるための画面を表示する。
例えば、シート処理設定キー609(フィニッシングキーとも呼ぶ)がユーザにより押下されると、図7のような本システム1000が具備するインラインタイプのシート処理装置を用いて実行可能なシート処理の選択候補を表示する。なお、「シート処理」は、「フィニッシィング」とも呼ばれる。
制御部205は、図7の表示を介して、処理対象のジョブにて印刷されたシートに対してインラインシート処理装置200により実行すべきシート処理の実行要求を受付可能に制御する。
但し、制御部205は、図7の表示を介して選択可能なシート処理装置の候補は、本システム1000が如何なるシート処理装置を具備するのか、その装備状況に応じて決定する。例えば、図7の表示では、プリンタ部203により印刷されたシートに対して以下に列挙する複数種類のシート処理のうちの何れかの種類のシート処理の実行要求をユーザから受付けることを許可している。
(1) ステイプル処理
(2) パンチ処理
(3) 折り処理
(4) シフト排紙処理
(5) 断裁処理
(6) 中綴じ製本処理
(7) 糊付け製本処理の1例に該当するくるみ製本処理
(8) 糊付け製本処理の別例に該当する天糊製本処理
(9) 大量積載処理
図7のUI制御例では、制御部205は、これら9種類のシート処理を選択候補となるよう操作部204を制御している。
一方、制御部205は、本システム1000にて実行不可能な種類に該当するシート処理は、選択候補の対象外となるようUI部を制御する。例えば、故障している等の理由で使用できないシート処理装置は、選択できないように表示される。
このような制御を実行するうえで、制御部205は、本印刷システム1000が備えるシート処理装置の構成情報を獲得する。又、該シート処理装置200にてエラーが発生しているか否か等を特定するステータス情報等も取得する。
尚、本システム1000は、PC103、104等の外部装置からも処理対象となるジョブの印刷実行要求、及び、該ジョブにて要するシート処理の実行要求を受付可能に構成している。このように外部装置からジョブを投入する場合は、印刷データの送信元となる該外部装置の表示部(例えばプリンタドライバの設定画面)に図7と同等の内容を表示する。但し、このように外部装置のUIに表示する場合には、該装置の制御部が上記制御を実行する。
図8Aは、本システム1000が、大容量スタッカ、糊付け製本機、中綴じ製本機、の順で3台のインラインタイプのシート処理装置を備える例である。
本例にて、大容量スタッカ200aは、プリンタ部203からのシートを、大量枚数(例えば、5000枚)、積載可能なシート処理装置である。
また、糊付け製本機200bは、プリンタ部203で印刷された1束分のシートに表紙をつけて製本する際に、シートの糊付け処理を要するくるみ製本処理を実行可能なシート処理装置である。又、糊付け製本機は、少なくともくるみ製本処理を実行可能なシート処理装置であるが故に、くるみ製本機とも呼ぶ。
中綴じ製本機200cは、プリンタ部203からのシートに対して、ステイプル処理、パンチ処理、断裁処理、シフト排紙、中綴じ製本処理、折り処理、を、選択的に実行可能なシート処理装置である。
本形態では、制御部205が、これらのシート処理装置に関わる各種のシステム構成情報を、各種制御に要する管理情報として、特定のメモリに登録させる。例えば、制御部205は、本システム1000が図8Aのようなシステム構成である場合、以下に列挙する情報を、HDD209に登録させておく。
(情報1) 本システム1000はインラインタイプのシート処理装置を具備している事を制御部205により確認する為の装置構成情報。
(情報2) 本システム1000は、インラインタイプのシート処理装置200を3台具備している事を制御部205により確認可能にする為の台数情報。
(情報3) 大容量スタッカ、糊付け製本機、中綴じ製本機を、本システム1000が具備している事を制御部205により確認可能にするインラインシート処理装置の種類情報。
(情報4) 本システムにて実行可能なシート処理を制御部205により特定可能にする為の情報。
(情報5) 上記3台のシート処理装置は、印刷装置100に対して、大容量スタッカ、糊付け製本機、中綴じ製本機、の順序で、カスケード接続されている事を制御部205により確認可能にする為の情報。
以上の(情報1)〜(情報5)で示す各種情報が、HD209に登録される。且つ、制御部205は、この情報を後述するジョブ制御にて要する判断材料情報として利用する。
以上の構成を前提とし、制御部205が、どのような制御を実行するか以下に例示する。
例えば、本システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合、上記9種類のシート処理を本システムにて全て実行可能であることを、制御部205が、上記(情報1)〜(情報5)の判断材料に基づいて認識する。且つ、当該認識結果に基いて、制御部205が、図7の表示に示す合計9種類のシート処理を全て選択候補にするようUI部を制御する。
そして、例えば、制御部205は、図7のキー701がユーザによって選択された場合、ステイプル処理を、図8Aのシート処理装置200cに該当する中綴じ製本装置により実行させるべく制御する。
以上の如く、制御部205は、本システム1000が具備するシート処理装置にて実行可能なシート処理に対応する選択候補の中からユーザが所望とするシート処理の実行要求を受付可能に制御する。
また、制御部205は、本形態で提供するUI部を介して処理対象となるジョブの印刷実行要求に応答し、該ジョブにて要する印刷処理をプリンタ部203により実行させる。
さらに、制御部205は、以下のような制御も本システム1000にて実行する。
例えば、システム1000が図8Aのように印刷装置100→大容量スタッカ→糊付け製本機→中綴じ製本機の順で接続されているとする。この場合のシステム構成内部の状況は、図8Bに示すような構成になる。
図8Bは、印刷システム1000の構成が図8Aのシステム構成の場合における印刷システム1000全体の装置断面図を示している。且つ、図8Bの装置構成は、図8Aの装置構成に対応している。
図8Bの装置内部構成からも明らかなように、印刷装置100のプリンタ部203で印刷されたシートは、各シート処理装置の内部へと供給可能に構成されている。具体的には、各シート処理装置が、装置内部におけるA点、B点、C点を介して、シートを搬送可能なシート搬送路を具備する。
各インラインタイプのシート処理装置は、自装置にて実行可能なシート処理が処理対象となるジョブにて必要でなくても、自装置よりも前に接続されている前段の装置からシートを受取り、自装置よりも後ろに接続されている後段の装置へと渡す機能を具備する。
以上が如くのシステム構成を前提とし、例えば、印刷システム1000が図8A、8Bに示すシステム構成である場合、上記のような方法でUI部を介して印刷実行要求がユーザからなされたジョブに対して、制御部205は、以下に例示する制御を実行する。
例えば、図8A、8Bのシステム構成にてユーザから印刷実行要求を受付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て大容量スタッカによるシート処理(ex積載処理)を要するジョブであるとする。ここでは、このジョブを「スタッカジョブ」と呼ぶ。
このスタッカジョブを、図8A、8Bのシステム構成にて処理する場合、制御部205は、印刷装置100で印刷がなされた該ジョブのシートを、図8BのA点を通過させて、大容量スタッカによるシート処理を実行させる。
さらに、制御部205は、大容量スタッカによるシート処理(ex積載処理)がなされたスタッカジョブの印刷結果を、他装置(例えば後段の装置)へ搬送することなく図8Bに示す大容量スタッカ内部の排紙先Xに保持する。
この図8Bの排紙先Xにホールドされたスタッカジョブの印刷物は、この排紙先Xの個所からオペレータにより取出可能に構成している。
以上の、本印刷システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合にて制御部205により実行する一連の制御が、図8Bの(ケース1)の制御例に該当する。
一方、図8A、8Bのシステム構成にてユーザから印刷実行要求を受付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て糊付け製本機によるシート処理(例えばくるみ製本処理)を要するジョブとする。ここではこのジョブを「糊付け製本ジョブ」と呼ぶ。
この糊付け製本ジョブは、印刷装置100で印刷され、図8BのA点及びB点を通過し、糊付け製本機によってシート処理され、図8Bに示す糊付け製本装置内部の排紙先Yにて保持させる。
以上の、本印刷システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合にて制御部205により実行する一連の制御が、図8Bの(ケース2)の制御例に該当する。
一方、図8A、8Bのシステム構成にてユーザから印刷実行要求を受付けた処理対象のジョブが、印刷処理を経て中綴じ製本処理によるシート処理(例:中綴じ製本)を要するジョブであるとする。ここでは、このジョブを「中綴じ製本ジョブ」と呼ぶ。
この中綴じ製本ジョブは、印刷装置100で印刷され、図8BのA点〜C点を通過し、中綴じ製本機によるシート処理が実行される。
以上の、本印刷システム1000が図8A、8Bのシステム構成である場合にて制御部205により実行する一連の制御が、図8Bの(ケース3)の制御例に該当する。
尚、システム構成情報は、インラインフィニッシャを具備しているか否かの情報、インラインフィニッシャを具備している場合の、その装置の台数の情報、その装置の能力情報である。又、複数台のインラインフィニッシャを具備する場合には、それらの接続順序情報も、システム構成情報に該当する。
以上、図8Aや図8B等の説明からも明らかなように、本印刷システム1000が具備する制御部は、本システム1000のシステム構成状況(インラインシート処理装置の接続台数や接続順序)毎に対応した各種制御を本システム1000にて実行する。
尚、本印刷システム1000にてインラインシート処理装置の接続順序や台数をユーザニーズに対応するよう柔軟に構築変更可能に構成している理由の1例を述べる。これは、全てユーザメリットを考慮しているからである。
この理由の1例としては、例えば、本システム1000の納品先となるPOD業者として、くるみ製本処理は必要ないが大容量積載処理は行いたい等の要望をもった業者等の存在に配慮した仕組みである。
また、本システム1000のインラインタイプのシート処理装置を上記制約事項の範囲内で任意に変更、組替えを可能に構成しているかの理由は、複数のシート処理の利用頻度に応じて柔軟にシステムを構築可能にする方が利便性が向上すると考えられるからである。
次に、図8A、図8Bで例示した本システム1000にて具備可能な各種インラインタイプのシート処理装置の内部構成の具体例を、シート処理装置毎に、個別に例示する。
[大容量スタッカの内部構成]
図9は、大容量スタッカの内部構成断面図の1例を示す。
当該大容量スタッカ内部は、3つの搬送経路を備える。この1例として、大容量スタッカは、図9に示すように、ストレートパス、エスケープパス、スタックパスを備える。
尚、図9の大容量スタッカ及び後述する図10の糊付け製本機の各装置が具備するストレートパスは、前段装置から受取ったシートを後段装置へ渡す為の機能を果たすが為に、本例ではインラインシート処理装置におけるスルーパスとも呼ぶ。
大容量スタッカ内部に具備するストレートパスは、シートの積載処理を要さないジョブのシートを後段の装置へ渡す為のシート搬送路である。
又、大容量スタッカ内部に具備するエスケープパスは、スタックせずに、出力したい場合に用いられる。例えば、出力の確認作業(プルーフプリント)等を行う場合に、スタックトレイからの取出しを簡略化するべく、当該エスケープパスに印刷物を搬送してエスケープトレイから印刷物を取出する。
又、大容量スタッカ内部に具備するスタックパスは、該装置が具備する積載ユニットによるシートの積載処理を要するジョブのシートに対する積載処理を、該装置により実行させる為のシート搬送路である。
例えば、本システム1000が図8A、図8Bに示した大容量スタッカを具備しているとする。このシステム構成状況において、制御部205が、例えば図7のキー709のキー操作により、シートの積載処理の実行要求をUI部を介してユーザから受付けたとする。この場合、制御部205は、この大容量スタッカが具備するスタックパスへシートを搬送するよう制御する。スタックパスへ搬送されたシートはスタックトレイへ排紙される。
図9のスタックトレイは、伸縮可能なステイなどの上に載置される積載ユニットである。このスタックトレイとの結合部には、ショックアブソーバ等が付けられている。制御部205は、このスタックトレイを用いて、処理対象となるジョブの印刷済みシートの積載処理を該大容量スタッカによる実行させるよう制御する。伸縮可能なステイの下は台車となっており、不図示の取っ手を付けると台車として、上に載せたスタック出力を別のオフラインフィニッシャなどに運べるようになっている。
スタッカ部の前ドアが閉まっているときは、伸縮可能なステイはスタック出力が積載されやすい上の位置に上昇し、前ドアがオペレータにより開けられる(あるいは、開ける指示がなされる)とスタックトレイは、下降する仕組みになっている。
また、スタック出力の積み方には、平積みとシフト積みがあって、平積みは、文字通り常に同じ位置に積む。シフト積みは、ある決められた部数単位、ジョブ単位などで奥手前方向にシフトして、出力に区切りを作って、出力を扱いやすいように積む方法である。
このように、本システム1000にてインラインタイプのシート処理装置として利用を許可する対象の当該大容量スタッカは、プリンタ部203からのシートの積載処理を実行するにあたり、複数種類の積載方法を実行可能に構成されている。制御部205は、このような各種動作の制御を装置に対して実行する。
[糊付け製本装置の内部構成]
図10は、図8A、図8Bに例示した、本形態にて、制御部205により制御対象となる、糊付け製本装置の内部構成断面図の1例を示す。
当該糊付け製本装置は、ストレートパス、本身パス、表紙パスを備える。
図10の糊付け製本装置内部に具備するストレートパス(スルーパス)は、糊付け製本ユニットによるシートの糊付け製本処理を要さないジョブのシートを後段の装置へ渡す為の機能を果たすシート搬送路である。
糊付け製本機の不図示のCPUは、これら各センサからのシート検知情報を、制御部205とのデータ通信を行う為の信号線(図2に示す、シート処理装置200と制御部205とを電気的接続関係にする信号線)を、介して、制御部205に通知する。制御部205は、この糊付け製本機からの情報に基づき、糊付け製本機内部のシートの搬送状況やジャムを把握する。尚、本印刷システムの構成として、このシート処理装置と印刷装置100の間に他のシート処理装置がカスケード接続されている場合、そのシート処理装置のCPUを介して、この糊付け製本装置のセンサの情報を、制御部205に通知する構成となっている。このように、インラインフィニッシャ固有の構成を具備する。
又、図10の糊付け製本装置内部に具備する本身パスと表紙パスは、くるみ製本印刷物を作成する為のシート搬送路である。
例えば、くるみ製本印刷処理として、本文となる印刷データの印刷処理をプリンタ部203が実行する。そして、製本装置は、この印刷されたシートをくるみ製本印刷物の1束分の出力物における本文部分(「本身」と呼ぶ)を、表紙用の1枚のシートでくるむ処理を実行する。この際、表紙となるシートは、表紙パスを介して搬送され、本身となるシートは、本身パスを介して搬送される。
ここで、制御部205が、くるみ製本処理の実行要求を、UI部を介してユーザから受付けた時の処理について説明する。
例えば、製本装置は、プリンタ部203で印刷されたシートを、図10の本身パスを介して順次スタック部に蓄え、表紙パスを介して該ジョブにて要する表紙用のシートを搬送する。
このように、制御部205により制御対象となるインラインタイプのシート処理装置により、くるみ製本処理という糊付け製本処理が実行される。
尚、くるみ製本の表紙用のシートは、糊付け製本装置自身が具備するインサータのインサータトレイから搬送されても良い。この場合、表紙用のシートは、表紙用のデータが予め印刷済みのプレプリントシートとなる。また、印刷装置100自身により表紙用の画像が印刷されたシートも、表紙用のシートとなる。これらの表紙用のシートは、表紙パスへ搬送され、スタック部の下方部分にて一時的に待機する。
この動作に並行して、スタック部に積載済みの本文全ページが印刷済みの複数枚のシートで構成される本身に対して、糊付け処理を実行する。そして、製本装置は、本身を下方に押し込むように送り出すため、表紙にくるまれた本身はガイドに添って回転台の上に配置される。
その後、小口となる部分をカッターで断裁する。次に、回転台を90度回転して、幅寄せ部で位置合わせを行い、天となる部分を断裁する。更に、180度回転して、幅寄せ部で位置合わせを行い、地となる部分を断裁する。
断裁後は、再度幅寄せ部で奥まで押しやって、出来上がった表紙にくるまれた本身をバスケット部に入れ、十分に糊を乾かした後、出来上がったくるみ製本の束を取り出すことができる。
このように、糊付け製本機は、UI部を介して印刷実行要求と共に糊付け製本処理の実行要求がユーザからなされた処理対象のジョブのシートに対する糊付け製本処理を実行する糊付けユニットを具備している。
又、本印刷システム1000は、外部装置の一例に該当する情報処理装置からも処理対象となるジョブの印刷実行要求及びシート処理の実行要求を受付け可能に構成されている。以下、ホストコンピュータから本印刷システム1000を利用する場合の一例をもって説明する。
例えば、ホストコンピュータ(図1のPC103や104等)は、ユーザからのマウス或いはキーボード操作に応答し、プリンタドライバを起動する。
そして、ホストコンピュータのCPUは、当該ホストコンピュータの表示部に、図11Aに示す印刷設定画面を表示する。図11A、11Bは、本実施形態にて制御対象となるユーザインタフェース画面の一例を示す図である。
ここで、例えば、当該図11A、11Bの操作画面上の仕上げキー1701がユーザのマウス操作により押下されると、該ホストコンピュータのCPUは、当該印刷設定画面を、図11Bのような印刷設定画面に切り換える。
そして、該ホストコンピュータのCPUは、図11A、11Bの印刷設定画面上のシート処理設定項目1702を介して、本システム1000が具備するインラインタイプのシート処理装置200により実行させる処理の種類をユーザにより選択可能に制御する。
そして、ユーザにより、設定項目1702を介して所望のシート処理が選択され、図11Aの画面においてOKキーが押下される。その結果、ホストコンピュータのCPUは、ユーザにより設定された各種印刷条件を示すコマンドと、プリントさせるべき一連のプリントデータとを1つのジョブとして関連付けて、ネットワーク101を介して送信する。
そして、該コンピュータからのジョブを、本システム1000の外部I/F部202が受信すると、制御部205は、当該コンピュータからのジョブを、ユーザにより設定された処理要件に基づいて処理を行うよう制御する。
以上のように構成することで、外部装置等からのジョブでも、本形態で述べる各種の効果を得ることが出来、本システム1000の利用効率を更に向上させる事ができる。
本形態の印刷システム1000が具備する制御部は、以上で説明したような各種構成要件を前提として、後述する各種制御を実行する。
尚、図1〜図11Bを用いた説明した構成は、本実施形態にて述べる全ての実施形態にて共通する構成要件に該当する。換言すると、例えば、本形態にて述べる各種制御は、当該構成を前提とした構成要件に該当する。
続いて、本願の特徴の1つとなる確認プリントを試しコピーと比較しながら説明する。
試しコピーとは、複数部数のコピーを行う際に、1部のみ(或いは1部の特定のページのみ)を印刷し、印刷結果の確認を実現する。
制御部205は、タッチパネル部401でコピータブが選択されている場合、図12Aの画面を表示する。更に、キー入力部402により印刷部数(1以上)が入力され、かつ、ソータの設定がされると、制御部205は試しコピーボタン1201を表示する。
オペレータによって試しコピーボタン1201が押されると、制御部205は図12Bの画面を表示する。本画面では試しコピーとして全ページを印刷するか、指定ページのみを印刷するか、指定ページのみの場合は開始ページと終了ページを指定することが可能である。本画面で試し印刷の範囲が設定され、OKボタンが押されると、制御部205は、図12Bを介して受け付けた印刷条件に従って試し印刷を実行すべくプリン部203を制御する。
続いて、制御部205は、試し印刷が完了すると図12Cの画面を表示し、オペレータの操作を待つ。この時、オペレータは、以下のアクション行うことが可能である。なお、試し印刷が完了した場合、プリンタ部203は印刷動作停止状態となる。
(1)試し印刷の結果、問題がない場合、本印刷を実行する。
(2)試し印刷の結果、印刷設定を変更して再度試し印刷を行う。(または本印刷を実行する)
(3)試し印刷の結果、本印刷を中止する。(キャンセルする)
続いて、オペレータにより印刷が中止(キャンセル)された場合、本印刷は実行されない。また、オペレータにより試し印刷後に設定が変更された場合、設定変更後の印刷条件と試し印刷実行前に受け付けた印刷部数とを用いて本印刷が実行される。また、オペレータにより、設定が変更されなかった場合、本印刷が実行される。但し、印刷部数は試し印刷前に受け付けたトータルの印刷部数から1部減算した印刷部数とする。
次に、確認プリントの動作について説明する。確認プリントとは、複数部数の印刷を実行している最中に、1部のみ、或いは特定のページのみ印刷し、印刷結果の確認を行うための操作である。確認プリントのシーケンスについて説明する。プリンタ部203により印刷が実行されている場合、制御部205は、図13Aに示される画面をタッチパネル部に表示する。
オペレータによって図13Aの確認プリントボタン1401が押されると、制御部205は図13Bの画面を表示する。オペレータは、図13Bの画面を用いて、確認プリントとして全ページ(1部)を印刷するか、1枚のみ(どのページを印刷するかは自動的に決定する)を印刷するかを選択できる。この時、プリンタ部203は本印刷を実行中であり、図13Bにおいて画面の下段に現在の状態がプリント中であることを示すメッセージ表示する。つまり、試し印刷は、試し印刷と本印刷とを別々のタイミングで実行するが、確認プリントは、本印刷の実行中にユーザの指示によって実行される点が異なる。
オペレータは、図13Bの画面を用いて、確認プリントの対象範囲を選択してプリント開始ボタンを押すと、制御部205はプリンタ部203に確認プリントを実行させる。
制御部205は確認プリントが完了すると、本印刷の印刷動作を自動的に再開させ、図13Aの画面を再度表示する。ここで、オペレータは、確認プリントにより印刷された確認用の印刷物を確認する。印刷物に問題があった場合、オペレータは、例えば以下の処理を指示できる。
(1)自動的に再開された本印刷を中止(キャンセル)する。
(2)本印刷を一時停止し、該ジョブの印刷設定(メディア、濃度など)を変更し、本印刷を再開する。
(3)本印刷を一時停止し、機器の固有の調整を行い、本印刷を再開する。
本印刷を中止する場合、オペレータが図13Aの画面で閉じるボタンを押すと、制御部205は図6の画面を再度表示する。オペレータが図6の画面で更にシステム状況/中止ボタン617を押すと、制御部205は図14の画面を表示する。図14の画面でオペレータが現在実行中のジョブを選択し、中止ボタンを押すと、制御部205は該ジョブの印刷を中止する。
印刷設定を変更する場合、図14の画面でオペレータが現在実行中のジョブを選択し、プリントの一時停止ボタンを押すと、制御部205は該ジョブの印刷を一時中断する。中断させた後、オペレータが図14の閉じるボタンを押すことによって、制御部205は図14の画面を閉じ、図6の画面を再表示する。オペレータは図6の画面の用紙選択ボタン615によって用紙を変更する。または、濃度調整ボタン611によって濃度を調整することが可能である。
機器固有の調整を行う場合、図14の画面でオペレータが現在実行中のジョブを選択し、プリントの一時停止ボタンを押すと、制御部205は該ジョブの印刷を一時中断する。中断させた後、オペレータが図14の閉じるボタンを押すことによって、制御部205は図14の画面を閉じ、図6の画面を再表示する。オペレータは図6の画面でユーザモードキー505を押し、各種設定を変更することが可能である。
このように、本印刷システム1000の印刷装置100は、試しコピー機能を具備するのみならず、試しコピー機能とは独立した機能として確認プリント機能を具備している。
この確認プリント機能により、例えばPOD等の印刷環境を想定して本印刷システム1000で印刷動作を連続的に実行している最中に、確認用の印刷処理を実現できる。よって、本印刷の印刷パフォーマンスを低下させることなく確認用の印刷を実行することが可能である。
本印刷システム1000の印刷装置100は、確認プリントを実行した場合に確認用の印刷物が、本印刷の印刷物と混ざらないように本印刷と別の排紙部に出力する。さらに、本印刷システム1000は、処理対象の印刷データが順序性のあるセット用紙を用いる場合であっても、確認プリントによりセット用紙の順序が狂わないように制御することで、上述した本願の課題を解決する。
本発明において特徴的な確認プリント(コピー動作中の確認プリント)のシーケンスを、図17A〜Bのフローチャートを用いて詳細に説明する。ここでは、タブ紙を例にとって詳細を説明するが、タブ紙に限定する必要はない。例えば、予め何らかの情報が印刷された複数の用紙によって1セットが構成されるプレプリント紙を用いる場合にも適用できる。
ステップS101において制御部205は基本画面(図12A)を表示し、オペレータによるキー操作によって各種の印刷条件の設定を受け付ける(S102)。オペレータがスタートキー503を押すと、制御部205はステップ103で印刷開始要求(スタートキー入力)を検知し(S103)、ステップS104に進む。
制御部205は、図13Aで示される印刷状況画面をポップアップ表示する(S104)。次にステップ105において、確認印刷要求を受けた場合、制御部205は、確認印刷終了後の本印刷を再開するため、確認印刷開始要求対象となる印刷ジョブを記憶しておく。なお、制御部205は、S105において保存した印刷ジョブを解析することで、例えば当該印刷データに含まれる各ページを印刷するために使用する用紙を特定できる。
ステップ106において、制御部205は、印刷開始要求を受けたジョブについて印刷を実行すべくプリンタ部203を制御し、該ジョブの本印刷が完了したかを判断する(S107)。
本印刷が完了した場合、制御部205は、ステップ108で印刷状況ポップアップ画面を消去する。印刷状況ポップアップ画面はオペレータによる手動操作(閉じるボタンを押すこと)により本印刷が完了する前に手動で消去することも可能である。なお、本願では、印刷開始要求によって開始される印刷および確認プリント後の印刷を本印刷と呼ぶ。
ステップ107において本印刷が完了していなければ、制御部205は、印刷状況ポップアップ画面において確認プリントボタンが押されたか判定する(S109)。確認プリント要求がない場合は、ステップ107へ戻る。
確認プリントボタンが押された場合、制御部205は、確認プリントの選択画面(図13B)を表示する。ここでは、確認プリント対象範囲として、該当ジョブの全ページか1ページかを選択可能としているが、これに限る必要はない。更に、確認プリントの種類(処理内容)を選択後、制御部205は、確認プリントの開始ボタンが押されたか否かを判定する(S111)。
選択された確認プリントの種類に応じて、制御部205は、確認プリントの対象範囲にタブ紙を用いて印刷するページが存在するかどうかを判定する(S112)。つまり、制御部205は、確認対象ページに使用される用紙が特定の用紙(例えばタブ紙)であるか否かを判定する第1判定部として機能する。例えば、ユーザが確認プリントの種類として全ページを選択した場合、制御部205は、処理対象の印刷ジョブにタブ紙を用いるページがあるか否かを判定することで、S112の処理が実現される。一方、確認プリントの種類として1枚(自動)が選択された場合、制御部205は、確認プリント指示を受け付けたタイミングで特定される確認プリント対象ページがタブ紙を用いるか否かを判定する。例えば、1〜10ページのジョブにおいて5ページの印刷中に確認プリントの指示を受け付けた場合、当該5ページ目が確認プリントの対象ページとして決定される。また、例えば印刷ジョブのヘッダにタブの使用を示す属性が含まれている場合、制御部205は、当該属性を用いてS112の判定処理を実行しても良い。
S112において、タブ紙を用いるページが存在しないと判定された場合には、ステップ113に進む。S112において、タブ紙を用いるページが存在すると判定された場合には、図18へ進む。
ここで、タブ紙を含む確認プリントの制御について図18に示されるフローチャートを用いて説明する。
ステップ200において、制御部205は、確認プリントにタブ紙を使用するかどうかを選択可能な画面(図16)を表示する。ユーザは、図16のUIを用いて、本来タブ紙を用いるページに対しタブ紙を使わない確認プリントを選択でき、大量ページ印刷中に発生し得る印字位置ずれや色味の変化を、普通紙に比べて高価なタブ紙を消費することなく確認プリントを実行できる。つまり、図16により確認印刷の処理内容を入力することが可能となる。
次にステップ201で、制御部205は、上記図16のタブ紙使用選択画面で入力された指示に従って、確認プリントにタブ紙を使用するか否かを判定する。
S201において、タブ紙を使用することが選択された場合(S201−No)、制御部205は、S113へと進む。一方、タブ紙を使用しないことが選択された場合(S201−Yes)、制御部205は、図13Bの確認プリント対象範囲を選択時に、対象範囲として1ページが選択されたか否かを判定する(S202)。
1ページが選択されたと判定された場合(S202−Yes)、制御部205は、確認プリント開始指示によって決定された確認プリントの対象ページ以降に、本印刷ジョブにおいて、タブ紙以外の用紙を使うページが存在するか否かを判定する(S203)。つまり、制御部205は、現在確認プリント対象ページとなっているタブ紙を用いるページに続くページにおいて、特定の用紙の一例であるタブ紙を使用しないページがあるか否かを判定する第2判定手段として機能する。なお、S203の判定処理は、図17AのS105において保存された印刷データを解析することで実現できる。
そして、タブ紙以外の用紙を使うページが存在すると判定された場合(S203−No)、制御部205は、探知された該タブ紙以外の用紙を使うページを確認プリント対象ページに変更する(S207)。その結果、確認プリントの対象ページがタブ紙を使用するページであっても、次以降のタブ紙を使用しないページを確認プリントの対象ページとするため、タブ紙を無駄に消費することなく印刷処理中に印刷物の内容を確認できる。
一方、S203にてYesと判定された場合、または、S202にてNoと判定された場合、制御部205は、確認プリント対象範囲内のタブ紙を使うページをタブ紙とは異なる用紙(例えば普通紙)を用いて印刷するように印刷設定を変更する(S204)。
そして、制御部205は、確認プリント対象範囲内のタブ紙を使うページが、シフト処理を適用すべき設定かどうかを判定する(S205)。ここで、シフト処理を適用すべき設定とは、例えばA4等の定型サイズと同じ画像サイズで作られた画像データを特定のシフト量だけタブ紙のタブ部側にシフトさせることでタブ紙のタブ部に対する印字を実現する設定である。一方、非シフト処理の設定とは、定型サイズよりもタブ耳分だけ大きい画像サイズが作成され、画像データをシフトすることなくタブ紙に印字することで、タブ紙のタブ耳に対して印字を実現する設定である。なお、S205の判定処理は、S105で保存された印刷データを解析することで実現できる。
ステップ205にて、シフト式のタブ紙設定がされていると判断された場合(S205―No)、制御部205は、シフト量を0に変更する(S208)。その結果、例えばA4やLTR等の定型用紙に、タブ部に印刷されるべきデータを印刷することが可能となる。一方、非シフト式のタブ紙設定がされていると判断された場合(S205−Yes)、制御部205は、タブ耳分大きい画像も印刷可能な用紙サイズに変更する(S206)。例えばA4のタブ耳分大きい画像サイズが設定された非シフト式のタブ紙設定がされている場合、制御部205は、そのタブ耳分を印刷可能なA3に変更する。
ここで、本実施例では、タブ耳分大きい画像サイズを包括可能な用紙サイズに設定を変更するケースを記述しているが、これ限りではない。例えば、印刷装置100が具備する用紙収容手段にセットされている用紙収容情報を取得し、既にセットされている用紙サイズの中から最もタブ紙に近い用紙を自動で選択させても良い。また、前記タブ耳分大きい画像サイズを包括可能な用紙サイズが、前記用紙収容情報にない場合は、前記用紙収容情報に存在するサイズ合わせて画像サイズを縮小、又は一部画像データを切除して、前記用紙収容情報に存在する用紙サイズに設定変更させても良い。
次に、制御部205は、本印刷の出力先を考慮して同じ出力先にならないように確認プリントの出力先を決定する(S113)。制御部205は、確認プリント要求されたジョブの本印刷(プリント部203での実行)を中断し(S114)、前記確認プリントの種類の選択画面で、確認プリント対象範囲が全ページであるか否かを判定する(S115)。S115において、前記確認プリント対象範囲が全ページであると判定された場合(S115−Yes)、制御部205は、本印刷において、印刷開始から印刷中断(S114)までに使用したタブ紙の枚数TをHDD209に保持する。
次にステップ117に進み、制御部205は、余剰タブの排紙制御を行う(詳細は後述する)。余剰タブの排紙制御を終えた後、ステップ118に進み、制御部205は、確認プリント対象ページを印刷制御すべくプリンタ部203を制御し、確認プリントが完了したか否かを判定する(S119)。
確認プリントが完了した場合ステップ120へ進み、前記余剰タブの排紙制御を行い、S121にて、制御部205は、中断中の本印刷の印刷を再開し、ステップ107へ戻る。つまり、制御部205は、本印刷の再開において確認対象ページが確認用に印刷された後、当該確認用の印刷時に使用された用紙と同一の用紙種類を用いて当該確認対象ページを印刷する。
前記ステップ117及びステップ120での余剰タブ排紙制御のシーケンスを図19のフローチャートを用いて更に詳細に説明する。
まず、ステップ301にて、制御部205は、印刷装置100の給紙段にセットされている1セット分のタブ用紙枚数Nを取得する。ここで、この1セット分タブ紙のタブ耳数の設定は図15で例示されるような画面で予め設定可能である。また、給紙段にタブ紙がセットされていない場合は、1セット分のタブ耳数Nを0とする。
次に、制御部205は、S116にてHDD209にて保持された該ジョブ中にて使用したタブ紙の枚数Tを取得する。タブ紙を使用していない場合はタブ紙使用枚数Tを0とする。
次に、制御部205は、ステップ303にて余剰タブが発生したかどうかを判定する。具体的には、印刷中のジョブにおいてタブ紙を使用しており、且つ、前記1セット分のタブ耳数Nと前記タブ使用枚数Tを比較したときにNの整数倍とTが等しくならない場合は、余剰タブが発生していると判断する。換言すると、(タブ耳数N×整数)枚に合う枚数分のタブ紙を使用した場合は、余剰タブが発生していないと判断できる。
そして、余剰タブが発生していないと判断された場合は、余剰タブ排紙制御のフローを終了する。一方、余剰タブが発生していると判断された場合は、制御部205は、余剰タブ自動排紙設定がONに設定されているかどうかを判定し、ONの場合にはステップ305、OFFの場合にはステップ307にそれぞれ進むよう制御する。
ここで、余剰タブ自動排紙の設定は、予め設定可能であり、本印刷装置100は本設定をHDD209に保持している。この余剰タブ自動排紙設定は、操作部205において、図22で示されるように予め設定可能である。例えば、オペレータがキー入力部402内のユーザモードボタン505を押下すると、図20のような画面をタッチパネル部401に表示するよう制御する。次に共通使用設定ボタン800を押下すると、印刷装置100の共通の設定を変更可能な一覧が表示される。ここで、図21に示すような画面で該設定ボタン903を押下すると、上記余剰タブ自動排紙設定画面(図22)が表示され、ON/OFFの設定が可能となる。
ステップ305において、制御部205は、ステップ110にて確認プリントの種類として1ページの確認プリントが選択された場合、制御部205は、使用したタブ紙がセットされている給紙段からN−1枚分のタブ紙を余剰タブとして排紙する。
一方、ステップ110にて選択された確認プリントの種類が1ページの確認プリントではない場合、制御部205は、使用したタブ紙の入っている給紙段からmN−T枚分を余剰タブとして排紙する。ここで、mは正の整数で、mN>Tとなるようなmを選択する。
ステップ304にて余剰タブ自動排紙設定がOFFであった場合、制御部205は、ステップ307にてmN−T枚分を余剰タブとして取り除くためのメッセージをUI部401に表示する。また、S304にて表示される画面は、余剰タブを取り除き終えたことを制御部205に通知するための余剰タブ排除終了ボタンを含む。そして、制御部205は、ステップ308にてユーザにより余剰タブ排除終了ボタンが押下された事を検知した場合、余剰タブ自動排紙制御処理を終えて、次のステップに進む。
ここでは、一例として、余剰タブ自動排紙設定がOFFの場合にはユーザに余剰タブの排除を促す画面を表示制御するケースを記述したが、タブ紙を含むジョブを大量に印刷している状況を鑑みると、この限りではない。例えば、余剰タブをユーザに排除させるよう画面を表示制御するのではなく、余剰タブ自動排紙設定をONにするようユーザに通知する画面を表示してもよい。また、例えば余剰タブ自動排紙設定がOFFの場合は、ステップ200において確認プリントにタブ紙を用いるかを選択する選択画面を表示させるのではなく、自動的に確認プリントにタブ紙を使用しないように設定してもよい。
(実施例2)
実施例1では、確認プリントの要求を受け付けた場合、図13Bの画面が表示され、ユーザは、確認プリントの種類を選択できる。ここで、「1枚」が選択された場合、確認プリントの対象ページが例えばタブ紙を使用する場合に備えて、制御部205が、図18、19等の処理を実行していた。本実施例2では、制御部205が、処理の単純化を図るべく確認プリントの指示に従って決定された確認対象ページから印刷ジョブの最終ページまでを印刷することを指定でき、その他の印刷範囲を指定できない設定画面(図25)を表示する処理について説明する。
なお、本実施例では、実施例1と異なる点について説明する。
図24のフローチャートは、図17AのS107にてNoと判定されてから処理が実行される。
制御部205は、確認プリント要求を受け付けたか否かを判定し(S2501)、受け付けたと判定された場合、対象印刷ジョブにタブ紙の使用が含まれているか否かを判定する(S2502)。
S2502においてタブ紙の使用が含まれると判定された場合、制御部205は、確認プリント「1ページ」を選択できない画面(例えば図25)を表示する(S2503)。なお、図25は、「1ページ」を選択できなければ良く、例えば「1ページ」をグレーアウトする処理や、消去して対応しても良い。
S2503における選択に従って、制御部205は、確認プリント要求に従って決定された確認対象ページから印刷ジョブの最終ページを印刷する(S2504)。
本実施例2により、例えば確認プリント対象ページが、タブ紙を使用するページである時に発生する余剰タブの問題の発生を防ぐことが可能となる。
また、実施例2の処理は実施例1とは別の処理として説明したが、実施例2の処理後、実施例1の処理を続けて実行しても良い。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施形態の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。例えば、本形態では、印刷装置100内部の制御部205が上記各種制御の主体となっていたが、印刷装置100と別筐体の外付けコントローラ等によって、上記各種制御の1部又は全部を実行可能に構成しても良い。
なお本発明は、複数の機器(例えばホストコンピュータ、インタフェース機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(例えば、複写機、ファクシミリ装置など)に適用してもよい。また本発明の目的は、前述の実施形態の機能を実現するプログラムコードを記録した記録媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータが記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても達成される。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体およびプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
また、本発明には、プログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた場合についても、本発明は適用される。その場合、書き込まれたプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される。
また、発明の実施の形態は、本発明を中核として構成される装置又は方法を説明している。このため本実施形態には本発明の本質的部分に加えて付加的な構成要件も記載されている。すなわち発明の実施の形態において説明した装置又は方法の構成要件を備えることは、本発明を成立させるための十分条件ではあるものの、必要条件ではない。