JP5780462B2 - 押出プレスのシャー装置 - Google Patents

Description

本発明は、アルミニウム合金等の金属押出成形用の押出プレスにおいて、押出成形後にコンテナをダイスより離間させてビレットの残部であるディスカードをダイスの前面で切断して押出製品部より切り離す押出プレスのシャー装置に関する。

従来の押出プレスのシャー装置では、ダイスを保持しているエンドプラテンの上部のコンテナ側に設けたフレームに、ディスカード切断用のシャーシリンダが下方に向けて取り付けられていて、シャーシシリンダのピストンロッド下端部にシャースライドを介してシャー刃が設けられた構成となっている。

このように構成されたシャー装置を備えた押出プレス装置においては、ダイスの温度の変化及びダイスアッセンブリとダイスライドの隙間等によりシャー刃の切断刃面が、ダイス端面と同一平面とはならず、ダイス端面の位置が０．５〜１ｍｍ程度の範囲で変動する。そして、ディスカード切断するに際してシャー刃とダイス端面との隙間が広がるとディスカードの切断面が悪化し、切断バリが生じる。切断バリは、次の押出時にコンテナとダイスを当接してコンテナシールすると、コンテナシール面にバリを挟み込むことになり、コンテナシールが不十分となる。

また、ダイスのコンテナ側にビレットの環状のポートホールがある場合には、ポートホール内のアルミニウム合金がシャー刃による切断時に抉り取られる。そして次の押出時に、その抉り取られた空間の空気が押出製品内に封じ込められ、押出製品に気泡即ちブリスターが発生する。また、切断の切り口面が一様ではなく、抉られることで凹凸面を有する。

特許文献１には、ダイスを保持しているエンドプラテンのコンテナ側に設けたフレームに下方に向けて取り付けたディスカード切断用のシャーシリンダを、押出方向及び反押出方向に傾動自在に設け、前記フレームにシャー刃とダイス端面との隙間を調整可能とした傾動用シリンダを有する押圧装置を、シャースライドにダイスをエンドプラテン側に押え得るガイドローラ装置を取り付け、シャー刃とダイス端面との隙間を調整してシャーの切断精度を向上させ、良好な切断面を得て前記従来の問題点を解決する技術が開示されている。（特許文献１参照）

ところで、前記従来型の押出プレスでは、ディスカードの切断開始前にダイス端面とシャー刃との隙間を確保し、また、ディスカードを切断するときはダイス端面にシャー刃を押し付けるようにシャー装置全体を押圧装置により傾動させる。この構成により、シャー装置の回転軸から離れて取り付けられたシャーシリンダは大きく揺動する。そして、シャーシリンダへの圧油の供給は可撓性を有するフレキシブルホースにより供給される。このフレキシブルホースは金属製の配管に対して寿命が短く、定期的な交換を要求される。
さらに、シャースライドにシャー刃を案内するガイドローラを取り付けシャー装置の全体を傾動する構成は複雑であり、シャー装置のコストが高くなっていた。

特開平７−１７８４４７号公報

本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、構造を簡略化して保全及び製造に係るコストを低減するとともに、シャー刃とダイス端面との隙間を自動調整してシャー精度を向上させることで良好な切断面を得る、ビレットの残部であるディスカードと押出製品部とを切り離す押出プレスのシャー装置を提供することを目的とする。

上記の目的を達成するため本発明のシャー装置は、ダイスタックをディスカードの切断方向に押圧して固定するダイスタックの第１固定手段と、ダイスタックをビレットの押出方向に押圧して固定するダイスタックの第２固定手段を有し、押出製品とビレットの残部である前記ディスカードを切断する押出プレスのシャー装置において、エンドプラテンのコンテナ側に設けたフレームに、シャーシリンダを下方に向けて取り付け、下端部にシャー刃を備えてシャースライドを案内するシャーガイドを、前記フレームに傾動自在に取り付け、前記シャーガイドをホースシューに押圧することで前記ダイスタックの前面と前記シャー刃の隙間を一定に保持し得る前記シャーガイドの傾動用シリンダを、前記フレームに取付けるとともに、前記シャーシリンダのピストンロッドを、前記シャースライドに傾動、且つ摺動自在に取り付けたことを特徴とする。

ダイスタックを強固に固定してダイスタックの傾きを防止できる構成としたので、ディスカード除去時にシャー刃とダイスタック前面を常に平行とすることができ、ディスカードの切り粕の厚みの均一化が図れる。また、ダイスタックの厚みの変化やシャーフレームの弾性変形があってもダイステック面に亘りシャー刃の位置が自動的に追従する構成としたので、常にダイスタック端面とシャー刃の感覚を一定にすることができ、シャー刃の切れ味の安定化が図れる。
このため、ディスカードの切り粕厚みの均一化が達成でき、押出製品への不純物の巻き込みに起因するブリスターや、コンテナ面とダイスタック面よりのビレット材料の漏洩を防止することができる。また、製品歩留まりを向上することができる。

本発明の実施の形態を説明する押出プレスのシャー装置の縦断面図である。 図２のＡ矢視図である。 シャー刃の揺動を説明する図である。 図３Ｂ部のシャーシリンダ先端部のスライド機構を説明する図である。

図１〜４によって、本発明の実施形態を説明する。図１において、１１はエンドプラテン、１２はダイスタック、１３はダイブロック、１４はダイブロック１３の紙面と直角な水平方向への移動をガイドするガイド部材、１５はダイスタック１２からの押圧力を受けるエンドプラテン内のプレッシャーリングである。プレッシャーリング１５とエンドプラテン１１の中心部には、ダイスタック１２から押出される製品が通る穴が設けられている。なお、ダイスタック１２は図示しない複数の部品で構成されている。

ダイスタック１２を前面側に保持しているエンドプラテン１１の上部コンテナ側にはシャーフレーム１６を取り付け、シャーフレーム１６の上端部にはディスカード切断用のシャーシリンダ２１が取り付けられ、シャーフレーム１６の一部には軸１７によって、シャーガイド１８を、押出及び反押出方向に回転自在に取り付けた。２２はピストンロッドであり、ピストンロッド２２の下側先端部にはシャースライド２３をシャーガイド１８内で摺動自在となるように取り付けた。符号２４はディスカードを切断するシャー刃で、２５はダイスタック１２の切断面とシャー刃２４との隙間を調整するシムである。また、符号１０はビレットを挿入するコンテナである。

ダイスタック１２はダイブロック１３に納められ、ダイスタック１２及びダイブロック１３により構成されるダイカセットをプラテン方向に押し付けることにより、プレッシャーリング１５とホースシュー２６とで水平方向の移動が規制される。前記機構では、水平方向アーム２７を介してダイスタック水平固定用シリンダ２８でダイスタック１２をエンドプラテン１１に固定する。
又、同時に垂直ダイクランプ２９の押し付けによりダイスタック１２を垂直方向にも固定することができる。垂直ダイクランプ２９はダイスタック垂直固定用シリンダ３０により動作する。

ダイスタック１２はダイブロック１３よりも厚く設定することにより、ダイスタック１２の熱膨張等による厚み変動があった場合でも、常にダイスタック１２を強固にエンドプラテン１１の前面に固定することができる構成となっている。
図１に示すように、シャーガイド１８の下端ダイスタック側面は、シャースライドの揺動シリンダ３１によりホースシュー２６のコンテナ側端面を押圧する。
この固定により、ホースシュー２６とダイスタック１２のシャー面側の相対位置は常に一定にすることができると共に、押出後のディスカード切断中でもこの水平方向の押し付けと垂直方向の押し付けによりダイスタック１２は動くことなく常に同じ位置を維持できる。

ディスカードを切断するシャー刃２４は、シャースライド２３の先端に取り付けられており、このシャースライド２３は、シャーガイド１８に収められている。シャースライド２３は軸１７を支点として揺動し、且つ、シャーガイド１８の中を上下に動くことができる構成となっている。
また、図４に示すように、シャーシリンダ２１先端とシャースライド２３は、シャースライド２３が揺動できるようにピン３１とスライド駒３２である。スライド駒３２はスライド穴３３を摺動してシャースライド２３の揺動に応じてピン３１の中心一を保持する。
図４（ａ）は、シャー刃２４がダイスタック１２側に移動した状態を、図４（ｂ）はシャースライド２３が鉛直の状態を、図４（ｃ）はシャー刃２４がコンテナ側に移動した状態を示している。
そして、シャーシリンダ２１は、軸１７を中心としてシャースライド揺動用シリンダ１９によりシャースライド２３が揺動しても動くことなく、その油圧ポートは固定配管による接続が可能となっており、フレキシブルホース等の消耗部材接続をしなくても良い。

本発明におけるシャー刃の位置自動調整は、ダイスタックの厚み変動により、変化するダイスタック面とシャー刃の隙間を常に一定となるようにする構成であり、シャーガイドをダイスタックに揺動して押圧することにより行われる。また、熱間におけるダイスタック面とシャー刃面との隙間は、シャー刃とシャースライドとの間のシム２５の調整により行われる。シム２５の調整は、ダイスタック１２が熱間状態において、即ちダイスタック１２の厚みが最大状態でシャースライド揺動用シリンダ１９を動作させてシャーガイド１８とホースシュー２６を当接させ、ダイスタック前面とシャー刃２４との隙間を、例えば０．３〜０．５ｍｍでシャースライド２３が鉛直となるようにシャー刃２５の背面とシャースライド２３との間で行われる。
シャーの作用は、ダイスタック面に対してダイスタック側に傾くモーメントが作用することから、常にシャー刃２４はダイスタック面側へ作用する。又、シャー切断の初期においては、シャースライド揺動用シリンダ１９の作用によりシャースライド２３は保持される構成となっている。

次に、この装置の作用について説明する。先ず、押出作業が終了したら、図１に示すように、コンテナ１０や図示していない押出ステムを後退させて、コンテナ１０をダイスタック１２から離す。そうすると、図示していないビレットの押出残部であるディスカードがダイスタック１２の端面に現れる。この状態で、シャー刃２４等は上昇限位置にある。ダイスタック水平固定用シリンダ２８とダイスタック垂直固定用シリンダ３０によりダイスタック１２は押出前に予め固定されている。次に、シャースライド揺動用シリンダ１９によりシャーガイド１８の先端がホースシュー２６にあたる位置まで押出方向にシャーガイド１８を移動させる。
この動作により、シャー刃２４はシャースライド２３、シャーガイド１８、ホースシュー２６を介してダイスタック前面との隙間を常に一定に保つことができる。又、シャー刃２４とシャースライド２３の間のシム２５を調整することにより、ダイスタック１２とシャー刃２４との間のクリアランスの調整が可能となる。

この状態を保持したまま、シャーシリンダ２１を作動させてシャー刃２４を下降させ、シャー刃２４によりディスカードが製品から切断除去される。
ダイスタック１２をエンドプラテン１１及びダイブロック１３に固定し、ダイスタック１２の傾きを防止できることから、ディスカード切断時にシャー刃２４とダイスタック１２前面を常に平行とすることができ、ディスカードの切り粕の厚みの均一化を図れる。

ディスカードの切断後、シャースライド揺動用シリンダ１９を作用させて、シャーガイド１８を少し回動させ、ホースシュー２６から離し、シャーシリンダ２１を動作させてシャースライド２３とシャー刃２４を上昇させる。そして、上昇限でシャースライド揺動用シリンダ１９を作用させてシャーガイド１８を垂直状態に戻し、ディスカードの切断工程を終了する。
本発明の実施の形態では、シャーガイド１８の先端をホースシュー２６に当接させることでダイスタック１２とシャー刃２４との隙間を一定に保つ構成としたが、これに限らず、例えば、ダイスタック１２の前面にシャーガイド１８の先端を直接当てる構成であっても良い。

以上説明したように、本発明のシャー装置は、ダイスタックの厚みの変化やシャーフレームの弾性変形があっても、ダイスタック面に亘りシャー刃の位置が前記シャー刃の自動調整機構により自動的に追従する構成であるので、常にダイスタック端面とシャー刃の隙間を一定にすることができ、シャー刃の切れ味の安定化が図れる。このため、ディスカードの切り粕厚みの均一化が達成でき、押出製品への不純物の巻き込みや、コンテナ面とダイスタック面よりのビレット材料の漏洩を防止することができるとともに、製品歩留まりが向上する。

１１ エンドプラテン
１２ ダイスタック
１３ ダイブロック
１４ ガイド部材
１６ シャーフレーム
１７ 軸
１８ シャーガイド
１９ シャースライド揺動用シリンダ
２１ シャーシリンダ
２３ シャースライド
２４ シャー刃
２５ シム
２６ ホースシュー
２７ 水平方向アーム
２８ ダイスタック水平固定用シリンダ２８
２９ 垂直ダイクランプ
３０ ダイスタック垂直固定用シリンダ３０
３１ ピン
３２ スライド駒

Claims (1)

1. ダイスタックをディスカードの切断方向に押圧して固定するダイスタックの第１固定手段と、ダイスタックをビレットの押出方向に押圧して固定するダイスタックの第２固定手段を有し、押出製品とビレットの残部である前記ディスカードを切断する押出プレスのシャー装置において、
   エンドプラテンのコンテナ側に設けたフレームに、シャーシリンダを下方に向けて取り付け、
   下端部にシャー刃を備えてシャースライドを案内するシャーガイドを、前記フレームに傾動自在に取り付け、
   前記シャーガイドをホースシューに押圧することで前記ダイスタックの前面と前記シャー刃の隙間を一定に保持し得る前記シャーガイドの傾動用シリンダを、前記フレームに取付けるとともに、
   前記シャーシリンダのピストンロッドを、前記シャースライドに傾動、且つ摺動自在に取り付けたことを特徴とする押出プレスのシャー装置。

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