JP5779974B2 - 3次元表示用パターン配向層用原版の製造方法 - Google Patents
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Description
また、このようなパターン配向膜を使用し、上述の配向領域を有する配向層上に、例えば、液晶化合物を含む位相差層を形成することにより、3次元表示装置に用いられる3次元表示用パターン位相差フィルム(以下、単にパターン位相差フィルムとする場合がある。)を容易かつ大量に製造することが可能となる。
また、このような原版を用いることにより、第1配向領域および第2配向領域の境界付近での配向規制力の低下を抑制することができることから、上記第1配向領域および第配向領域に対応する位相差層である第1位相差領域と第2位相差領域との境界を明確にすることができるという利点がある。これにより、隣り合ったパターンの境界近傍に生じ易い液晶の配向欠陥を抑制することができるので、境界近傍からの光漏れを抑制でき、その結果、ディスプレイに使用した際のコントラストの低下を抑制することができる。したがって、このような原版を用いることにより、高品質なパターン位相差フィルムを形成することができる。
以下、本発明の3次元表示用パターン配向層用原版、3次元表示用パターン配向層用原版の製造方法、3次元表示用パターン配向膜の製造方法および3次元表示用パターン位相差フィルムの製造方法について詳細に説明する。
まず、本発明の3次元表示用パターン配向層用原版について説明する。
本発明の原版は、微細凹凸形状が一定方向に形成された第1パターン部および上記微細凹凸形状が上記第1パターン部とは異なる方向に形成された第2パターン部を表面に備える基材を有することを特徴とするものである。
なお、この例においては、上記原版は基材がロール状基材であるロール版であり、上記第1パターン部および第2パターン部表面の上記微細凹凸形状の形成方向が、原版の回転方向に対して90°および0°であり、90°異なるものを示すものである。また、図2中の矢印は、微細凹凸形状の形成方向を示すものである。
また、このようなパターン配向膜を使用し、上述の配向領域を有する配向層上に、例えば、上記棒状化合物を含む位相差層を形成した場合には、上記第1配向領域および第2配向領域が有する配向規制力に従って棒状化合物の配列方向の異なる位相差層(第1位相差領域および第2位相差領域)を有し、3次元表示装置に用いられるパターン位相差フィルムを容易かつ大量に製造することが可能となる。
さらに、本発明のように予め微細凹凸形状が形成された第1パターン部および第2パターン部が形成された原版を用いることにより、第1配向領域および第2配向領域を境界付近においても、十分に微細凹凸形状が形成されたものとすることができる。このため、両領域での配向規制力の低下を抑制することができ、上記第1配向領域および第配向領域に対応する位相差層である第1位相差領域と第2位相差領域との境界を明確にすることができるという利点がある。これにより、隣り合ったパターンの境界近傍に生じ易い液晶の配向欠陥を抑制することができるので、境界近傍からの光漏れを抑制でき、その結果、ディスプレイに使用した際のコントラストの低下を抑制することができる。したがって、このような原版を用いることにより、高品質なパターン位相差フィルムを形成することができる。
以下、本発明の3次元表示用パターン配向層用原版の各構成について詳細に説明する。
本発明に用いられる基材は、表面に第1パターン部および第2パターン部を備えるものである。
本発明における第1パターン部は、基材の表面に形成される部位であり、微細凹凸形状が一定方向に形成されたものである。
また、本発明における第2パターン部は、基材の表面に形成される部位であり、微細凹凸形状が上記第1パターン部とは異なる方向に形成されたものである。
本発明における微細凹凸形状は一定方向に形成されるものであり、このような微細凹凸形状が転写されることにより、棒状化合物を一定方向に配列させることが可能な配向層を形成することができるものである。
具体的には、本発明においては、第1パターン部および第2パターン部の両部に、上記微細凹凸形状として微小なライン状凹凸構造が略一定方向にランダムに形成された態様であっても良く、両部に、ライン状凹凸構造がストライプ状に形成された態様であっても良い。またさらに、図4に例示するように、両者が組み合わされた態様であってもよい。
一方、ライン状凹凸構造がストライプ状に形成された態様とは、壁状に形成された凸部が一定の間隔でストライプ状に形成された態様を意味するものである。ライン状凹凸構造の大きさは前述のランダムの態様よりも比較的大きく、例えば表面にラビング処理がなされた場合に形成されるような微小な傷のような凹凸形状はこれに含まれないものである。
本発明においては、なかでも、既に説明した図4に示すように、一方のパターン部に形成された微細凹凸形状がストライプ状のライン状凹凸構造であり、他方のパターン部に形成された微細凹凸形状が微小なライン状凹凸構造が略一定方向にランダムに形成されたものであることが好ましい。第1パターン部および第2パターン部の形成方法として、基材の全表面に例えば研磨等の方法により微小なライン状凹凸構造を略一定方向にランダムに形成した後に、基材の表面をバイト等でパターン状に切削することで、全表面に形成された微細凹凸形状をパターン状に削り取りつつ、微細凹凸形状としてストライプ状のライン状凹凸構造を形成する方法を用いることができ、第1パターン部および第2パターン部を容易かつ精度良く形成可能なものとすることができるからである。
なお、図5は、ストライプ状のライン状凹凸構造、または微小なライン状凹凸構造の断面形状が矩形状である場合を示す説明図である。
なお、45°または90°異なる方向とは、本発明の原版を用いて3次元表示装置を形成可能なパターン配向膜を精度良く形成できるものであれば特に限定されるものではないが、通常、45°(または90°)±3°の範囲内であることが好ましく、なかでも、45°(または90°)±2°程度の範囲内であることが好ましく、なかでも、45°(または90°)±1°程度の範囲内であることが好ましい。高性能な3次元表示装置を形成可能なものとすることができるからである。
ここで、上記形成方向の場合にλ/4板と組み合わせることにより、容易に3次元表示装置を製造することができる点について、より詳細に説明する。図6は、本発明の原版を用いて形成されたパターン位相差フィルムと、λ/4板とを組み合わせて用い、3次元表示可能な液晶表示装置を作製した場合の一例を示す概略図である。図6に例示するように、本発明の原版を用いて形成されたパターン位相差フィルムと、λ/4板を組み合わせて用いる液晶表示装置は、パッシブ方式により3次元表示が可能なものとなる。その原理は次の通りである。
このように、パターン位相差フィルムおよびλ/4板を通過した右目用映像および左目用映像は、互いに直交する円偏光に変換されることになるため、視聴者に右目用レンズと左目用レンズとに互いに直交する円偏光レンズを採用した円偏光メガネを装着させ、右目用映像が右目用レンズのみを通過し、かつ左目用映像が左目用レンズのみを通過するようにすることによって、右目用映像が右目のみに届き、左目用映像が左目のみに届くようにすることができ、3次元表示が可能となるのである。
具体的には、第1パターン部および第2パターン部の微細凹凸形状の形成方向が45°異なるものである場合には、回転方向に対して、0°/45°または0°/135°であることが好ましく、形成方向が90°異なるものである場合には、回転方向に対して0°/90°であることが好ましい。第1パターン部および第2パターン部の形成方法として、ロール基材の全表面に例えば研磨等の方法により微細凹凸形状として微小なライン状凹凸構造を略一定方向にランダムに形成した後に、基材の表面をバイト等でロール基材の回転方向にパターン状に切削することで、全表面に形成された微細凹凸形状をパターン状に削り取りつつ、微細凹凸形状としてストライプ状のライン状凹凸構造を形成する方法を用いることができ、第1パターン部および第2パターン部を容易かつ精度良く形成可能なものとすることができるからである。
第1パターン部および第2パターン部に形成された微細凹凸形状の形成方向が回転方向に対して、0°/45°のものとしては、具体的には、既に説明した図1〜図3に示すものを挙げることができる。また、回転方向に対して0°/90°のものとしては、例えば、図7に例示するものを挙げることができる。なお、図7は、原版の表面を示す概略平面図であり、図7中の符号については、図1〜図3のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
本発明における第1パターン部および第2パターン部が形成されるパターンとしては、本発明の原版を用いて形成されたパターン位相差フィルムにより、所望の3次元映像を表示することができるものであれば、本発明の用途等に応じて適宜決定することができ、特に限定されるものではない。
このようなパターンとしては、例えば帯状パターン、モザイク状パターン、千鳥配置状パターン等を挙げることができる。なかでも本発明においては第1パターン部および第2パターン部が互いに平行な帯状のパターンに形成されていること、すなわち、本発明の原版を用いて形成される第1配向領域および第2配向領域、そして、第1配向領域および第2配向領域に対応して形成される第1位相差領域および第2位相差領域が互いに平行な帯状のパターンに形成されていることが好ましい。上記第1位相差領域および第2位相差領域を容易に互いに平行な帯状のパターンとすることができることにより、3次元表示装置において画素部が形成されているパターンと、上記第1位相差領域および第2位相差領域とを対応関係にすることが容易になるからである。
このような第1パターン部および第2パターン部が互いに平行な帯状のパターンに形成されているものとしては、具体的には、既に説明した図1〜図3に示すものを挙げることができる。
しかしながら、本発明においては第1パターン部および第2パターン部の幅が同一であることが好ましい。通常右目用の画素と左目用の画素部が同一の幅で形成されていることから、第1パターン部および第2パターン部の幅を同一幅とすることにより、この第1パターン部および第2パターン部に対応して形成される配向層の第1配向領域および上記第2配向領域の幅を同一幅とすることができるからである。その結果、本発明の原版を用いてパターン配向膜を形成し、3次元表示可能な液晶表示装置を製造する場合に、上記第1配向領域および上記第2配向領域が形成されたパターンと、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタにおいて画素部が形成されているパターンとを対応関係にすることが容易になり、その結果、本発明の原版を用いて形成されるパターン配向膜を使用して容易に3次元液晶表示装置を製造することができるようになるからである。また、発光型表示装置に用いられる画素部も同一の幅で形成されていることから、上記第1配向領域および上記第2配向領域の幅を同一幅とすることにより、本発明の原版を用いて形成されるパターン配向膜を使用して3次元表示可能な発光型表示装置を製造する場合に、上記第1配向領域および上記第2配向領域が形成されたパターンと、発光型表示装置に用いられる画素部が形成されているパターンとを対応関係にすることが容易になり、その結果、本発明の原版を用いて形成されるパターン配向膜を用いて容易に3次元発光型表示装置を製造することができるようになるからである。尚、発光型表示装置の色純度やコントラストを向上させる目的で、発光型表示装置と本発明の原版を用いて形成されるパターン配向膜の間にカラーフィルタを配置しても良いが、その場合は、第1パターン部および第2パターン部のパターン、すなわち、形成される第1配向領域および上記第2配向領域が形成されたパターンと、発光型表示装置に用いられるカラーフィルタにおいて画素部が形成されているパターンとを対応関係にすることが好ましい。
このような第1パターン部および第2パターン部の厚みの差としては、本発明の原版を用いて形成されたパターン配向膜を使用してパターン位相差フィルムを形成した際に、第1位相差領域および第2位相差領域を精度良く形成できるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、1nm〜2000nmの範囲内であることが好ましく、なかでも、10nm〜1000nmの範囲内であることが好ましく、特に100nm〜500nmの範囲内であることが好ましい。上記厚みの差が上述の範囲内であることにより、第1位相差領域および第2位相差領域に含まれる棒状化合物を精度良く配列させることができるからである。
また、図8中の符号については、図3のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
本発明に用いられる基材の形状としては、上記第1パターン部および第2パターン部を表面に備えることができるものであれば特に限定されるものではなく、板状であっても、ロール状であっても良いが、ロール状であること、すなわち、基材がロール状基材であることが好ましい。容易かつ大量にパターン配向膜を形成可能なものとすることができ、製造効率の高いものとすることができるからである。
スリーブ形状であることにより、本発明の原版を用いて、パターン配向膜を製造効率高く製造することが可能となるからである。また、スリーブ形状の基材は、ロール形状のものに比べて軽量であり、取扱いが容易となるといった利点を有するからである。
ここで、ロール形状の基材としては、具体的には、軸付ロール、軸なしパイプ等を挙げることができる。ここで、軸なしパイプとは、その厚みが3000μm以上である円筒形状の基材を指すものである。
また、スリーブ形状とはシームレスの基材の帯状体を表し、上記スリーブ形状の基材は空気圧力や応力により容易に変形させることができるものであり、具体的にはその厚みが1000μm以下の円筒形状の基材を指すものである。
本発明における基材としては、ロール形状またはスリーブ形状等のロール状の場合には、継ぎ目のないシームレスであることが好ましいが、板状の基材を円筒状にした継ぎ目を有するものであっても良い。
本発明の原版は、上記基材を有するものであるが、必要に応じて、その他の構成を有するものであっても良い。
具体的には、基材の第1パターン部および第2パターン部が形成される表面の反対表面上に配置され、基材を支持する支持基体等を挙げることができる。なお、このような支持基体としては、一般的な原版に用いられるものと同様とすることができるため、ここでの説明は省略する。
次に、本発明の3次元表示用パターン配向層用原版の製造方法について説明する。
本発明の3次元表示用パターン配向層用原版の製造方法は、微細凹凸形状が一定方向に形成された第1パターン部および上記微細凹凸形状が上記第1パターン部とは異なる方向に形成された第2パターン部を表面に備える基材を有する3次元表示用パターン配向層用原版の製造方法であって、基材を準備し、上記基材の全表面に微細凹凸形状を一定方向に形成する第1パターン形成工程と、上記基材の全表面に形成された微細凹凸形状をパターン状に削り取り、かつ、削り取った領域に上記第1パターン形成工程とは異なる方向に微細凹凸形状を一定方向に形成する第2パターン形成工程と、を有することを特徴とするものである。
以下、本発明の3次元表示用パターン配向層用原版の製造方法の各工程について詳細に説明する。
なお、本発明の製造方法により製造される原版については、上記「A.3次元表示用パターン配向層用原版」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
本発明における第1パターン形成工程は、基材を準備し、上記基材の全表面に微細凹凸形状を一定方向に形成する工程である。
また、基材の全表面に一定方向に形成される微細凹凸形状については、配向層に転写された際に上記棒状化合物に対して所望の配向規制力を発揮することができるものであれば特に限定されるものではなく、上記「A.3次元表示用パターン配向層用原版」の項に記載の内容と同様とすることができる。
また、微細凹凸形状として、ストライプ状のライン状凹凸形状を形成する場合には、先端に微細凹凸形状を有するダイヤモンドバイト等のバイト等で切削する方法を挙げることができる。
本工程においては、なかでも、研磨する方法であることが好ましい。基材の全表面への微細凹凸形状の形成を容易かつ短時間で行うことができるからである。また、微細凹凸形状の形成方向を自由度高く設定することができるからである。
本発明における第2パターン形成工程は、上記基材の全表面に形成された微細凹凸形状をパターン状に削り取り、かつ、削り取った領域に上記第1パターン形成工程とは異なる方向に微細凹凸形状を一定方向に形成する工程である。
本工程においては、なかでも、バイト等で切削する方法を用いることが好ましい。基材の全表面に形成された微細凹凸形状を容易に削り取ることができ、安定的に削り取った領域に上記第1パターン形成工程とは異なる方向に微細凹凸形状を一定方向に形成することができるからである。
本工程においては、なかでも、上記基材がロール基材である場合には、ロールの回転方向であることが好ましい。ロールの回転方向であることにより、例えば、バイト等により切削する方法により微細凹凸形状を形成する場合であっても、容易に形成することができるからである。
本発明の原版の製造方法は、第1パターン形成工程および第2パターン形成工程を有するものであるが、必要に応じてその他の工程を有するものであっても良い。
このようなその他の工程としては、例えば、上記第1パターン形成工程および第2パターン形成工程後に基材の研磨カス等を除去する除去工程等を挙げることができる。なお、除去方法としては、例えば、吸引する方法や、溶剤等を用いて除去する方法等を挙げることができる。
次に、本発明の3次元表示用パターン配向膜の製造方法について説明する。
本発明の3次元表示用パターン配向膜の製造方法は、上述の3次元表示用パターン配向層用原版と、配向層形成用樹脂組成物からなる配向層形成用層と、を接触させた後、加圧し、上記配向層形成用層に上記3次元表示用パターン配向層用原版表面の形状を賦型する賦型工程と、上記賦型工程後に、上記配向層形成用層を硬化させる硬化工程および上記配向層形成用層を上記3次元表示用パターン配向層用原版から剥離する剥離工程と、を有することを特徴とするものである。
なお、この例においては、図11(a)〜(b)が賦型工程であり、図11(c)が硬化工程であり、図11(d)が剥離工程である。
以下、本発明のパターン配向膜の製造方法に含まれる各工程について詳細に説明する。
本発明の製造方法における賦型工程は、上記原版と、配向層形成用樹脂組成物からなる配向層形成用層と、を接触させた後、加圧し、上記配向層形成用層に上記原版表面の形状を賦型する工程である。
なお、上記原版については、上記「A.3次元表示用パターン配向層用原版」の項に記載の内容と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
本工程に用いられる配向層形成用層は、配向層形成用樹脂組成物からなるものである。
本工程においてはこれらの何れの構成材料であっても好適に用いることができるが、なかでも電離放射線硬化性樹脂組成物が用いられることが好ましい。電離放射線硬化性樹脂組成物が用いられることにより、生産性の高いものにできるからである。なお、配向層形成用樹脂組成物として、電離放射線硬化性樹脂組成物が用いられた場合、本発明により形成される配向層は硬化された電離放射線硬化性樹脂組成物からなることになる。
また、溶融型の樹脂の場合には、例えば、190℃におけるメルトフローインデックス(MFI)が、0.1g/10min以上であることが好ましく、なかでも1.0g/10min以上であることが好ましく、特に5.0g/10min以上であることが好ましい。上記粘度が上述の範囲内であることにより賦型性に優れたものとすることができるからである。
本工程は、上記原版上に、配向層形成用樹脂組成物からなる配向層形成用層を接触させた後、加圧し、上記配向層形成用層に上記原版表面の形状を賦型する工程である。
以下、これらの方式を用いて配向層形成用層に上記圧力を負荷する方法を図を用いて説明する。
また、図13は、本発明における加圧方法を説明する説明図である。図13は、ベルトプレス方式により加圧する方法を例示するものであり、原版(この例においてはロール板)10に直接、配向層形成用樹脂組成物を吐出する配向層形成用ダイ53と、加圧ベルト56とを有するパターン配向膜製造装置を用いて加圧する方法を例示するものである。ベルトプレス方式においては、原版としてロール版を用いた場合、ロール版と加圧ベルトとを対峙させることによって、配向層形成用層に圧力を負荷することができる。ベルトプレス方式はロール版と配向層形成用層との接触時間を長くすることができるため、配向層形成用層に所望の微細凹凸形状を安定的に賦型することが可能となる。
なお、図13において説明していない符号については、図12と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
以下、このような賦型方法について説明する。
本態様の賦型方法は、上記原版上に上記配向層形成用樹脂組成物を塗工し、上記配向層形成用層を形成する充填処理と、上記配向層形成用層上に透明フィルム基材を配置する配置処理と、を行った後に、加圧する方法である。このような賦型方法を用いて賦型することにより、透明フィルム基材上に、配向層が積層されたパターン配向膜を容易に形成することができる。
本態様においては、なかでも、配向層形成用樹脂組成物への溶媒の添加が不要な方法であることが好ましく、特に、溶融押し出し法、ノンソルコーティング法を好ましく用いることができる。乾燥処理等を不要とすることができ、工程通過性に優れたものとすることができるからである。
ここで、溶融押し出し法としては、例えば、上記配向層形成用樹脂組成物をガラス転移温度以上熱分解温度以下の温度範囲内で熱溶融させた状態で準備し、Tダイを用いて押し出す方法等が挙げられる。
また、充填処理後、適宜乾燥処理や熱またはUVやEBによるハーフキュア処理を入れることができる。
本態様の賦型方法は、透明フィルム基材上に上記配向層形成用樹脂組成物を塗工し、上記配向層形成用層を形成する配向層形成用層形成処理と、上記配向層形成用層と、上記原版とを接触させる接触処理と、を行った後に、加圧する方法である。このような賦型方法であることにより、透明フィルム基材上に配向層が積層されたパターン位相差フィルムを容易に形成することができる。
この場合、配向層形成用樹脂には配向層形成用樹脂と相溶性がある溶剤を含んでいても良い。溶剤を含有する場合、透明フィルム基材の上に配向層形成用樹脂組成物を塗工したのち、溶剤を蒸発させる乾燥処理を行うことが望ましい。また溶剤として、透明フィルム基材に浸透することで透明フィルム基材と配向層形成用層との間に溶剤浸透層を形成することができるため、透明フィルム基材と配向層との界面で発生するニジムラや密着不良を防止することが可能となる。
本態様の賦型方法は、上記原版上に上記配向層形成用樹脂組成物を塗工し、上記配向層形成用層を形成する充填処理、を行った後に加圧する方法である。このような賦型方法であることにより、例えば、配向層のみからなるパターン配向膜を容易に得ることができる。
本態様における充填処理で行われる、上記原版上に上記配向層形成用樹脂組成物を塗工する方法としては、所望の厚みの配向層形成用層を形成できるものであれば特に限定されるものではないが、上記「(a)第1実施態様」の項に記載の充填処理と同様とすることができる。
本工程を行うことにより配向層形成用層に形成される第1配向領域および第2配向領域は、上記原版の表面形状が賦型されたものである。
したがって、上記配向層形成用層に形成された第1配向領域および第2配向領域は、それぞれ、原版の第1パターン部および第2パターン部に対応してパターンに形成される。また、これらの領域の形状およびサイズ、ならびに微細凹凸形状の形状および方向も、同様に、上記原版の第1パターン部および第2パターン部に対応したものとなる。
このため、原版として第1パターン部および第2パターン部にそれぞれロールの回転方向に対して90°および0°の方向に微細凹凸形状が形成されたロール原版を用いて長尺状の配向層形成用層に賦型した場合には、第1パターン部に対応して第1配向領域に長手方向(長尺方向)に対して90°の方向に形成された微細凹凸形状が、第2パターン部に対応して第2配向領域には長手方向に対して0°の方向に形成された微細凹凸形状が形成されることになる。
本発明の製造方法における硬化工程は、賦型工程後の上記配向層形成用層を硬化させる工程である。
なお、硬化率とは、本工程を行った後の配向層に含まれる反応性を有する官能基のモル数をX、本工程を行う前に配向層形成用層に含まれていた反応性を有する官能基のモル数をYとしたときに、(Y−X)/Y × 100(%)で表されるものである。
本工程において、配向層形成用層を加熱する方法としては、配向層形成用層を所望の温度とすることができる方法であれば特に限定されるものではなく、公知の加熱方法を用いることができるが、具体的には、原版として温度調節可能なものを用いる方法や、赤外線照射装置、温風送風装置等を用いる方法を挙げることができる。
本発明の製造方法における剥離工程は、上記賦型工程後に行われ、上記配向層形成用層を上記原版から剥離する工程である。
本工程における剥離方法としては、硬化された上記配向層形成用層を傷つけることなく上記原版を剥離することができれば、特に限定されるものではない。具体的には、既に説明した図12または図13に示すような剥離用ロールを用いて剥離する方法を挙げることができる。
本発明の製造方法は、上記賦型工程、硬化工程、および剥離工程を有するものであるが必要に応じて、他の工程を有するものであっても良い。
このような他の工程としては、剥離工程後に得られるパターン配向膜をロール状に巻き取る巻き取り工程や、上記原版の表面を定期的に清掃する清掃工程等を挙げることができる。
また、必要に応じて、上記配向層上に透明フィルム基材を積層する積層工程を有するものであっても良い。なお、配向層および透明フィルム基材の積層方法としては、上述の配向層形成用層形成処理のように、透明フィルム基材上に配向層形成用樹脂組成物を塗工する方法や、上記配向層に透明フィルム基材を加熱圧着する方法や、接着剤等を介して貼り合わせる方法等を挙げることができる。
具体的には、上記配向層形成用樹脂組成物が電離放射線硬化性樹脂組成物である場合には、上記硬化工程として紫外線硬化法を用いて上記配向層形成用層の原版と接触する面を硬化させ表面形状を転写した後、上記剥離工程により、上記配向層形成用層を原版から剥離し、その後、第2硬化工程として、上記配向層形成用層の上記原版と接触する面に対して紫外線照射を行うことができる。
また、上記配向層形成用樹脂組成物が電離放射線硬化性および熱可塑性を有する樹脂組成物である場合には、まず、加熱して溶融状態とした状態で上記賦型工程を行った後、上記硬化工程として冷却法を用いて上記配向層形成用層の原版と接触する面を硬化させ、表面形状を転写した後、上記剥離工程により、上記配向層形成用層を原版から剥離し、その後、第2硬化工程として、上記配向層形成用層の上記原版と接触する面に対して紫外線照射を行う紫外線硬化法を用いることができる。
本工程における紫外線硬化法にて照射する紫外線の照射方法としては、配向層形成用層の原版と接触する面から照射する方法でも、接触する面の反対面から照射する方法でも良いが、上記接触する面から照射する方法であることが好ましい。上記配向層を、上記原版の表面形状をより安定的に保持するものとすることができるからである。
本発明の製造方法により得られるパターン配向膜は、上記第1パターン部および第2パターン部に対応して形成された第1配向領域および第2配向領域を含む配向層を少なくとも有するものであるが、通常、透明フィルム基材を有するものである。
また、上述のように、反射防止層またはアンチグレア層を有するものであっても良い。
次に、本発明の3次元表示用パターン位相差フィルムの製造方法について説明する。
本発明の3次元表示用パターン位相差フィルムの製造方法は、上述の3次元表示用パターン配向膜の製造方法により形成された3次元表示用パターン配向膜に含まれる配向層上に、屈折率異方性を有する棒状化合物を含む位相差層形成用塗工液を塗布する塗布工程と、上記位相差層形成用塗工液の塗膜に含まれる棒状化合物を、上記配向層に含まれる第1配向領域および第2配向領域に形成された微細凹凸形状の方向に沿って配列させる配向工程と、を有することを特徴とするものである。
以下、本発明のパターン位相差フィルムの製造方法の各工程について詳細に説明する。
本発明における塗布工程は、上述のパターン配向膜の製造方法により形成されたパターン配向膜に含まれる配向層上に、屈折率異方性を有する棒状化合物を含む位相差層形成用塗工液を塗布する工程である。
なお、上述のパターン配向膜の製造方法により形成されたパターン配向膜については、上記「C.3次元表示用パターン配向膜の製造方法」の項に記載の内容と同様であるので、ここでの説明は省略する。
なお、本工程においては片末端に重合性官能基を有する液晶性材料を用いた場合であっても、他の分子と架橋して配列安定化することができる。
このような溶媒としては、上記棒状化合物を均一に溶解または分散できるものであれば特に限定されるものではないが、上記「C.3次元表示用パターン配向膜の製造方法」の項に記載の内容と同様とすることができる。
本工程においては、上記棒状化合物として上記重合性液晶材料を用いる場合は、上記他の化合物として重合開始剤または重合禁止剤を用いることが好ましい。
また、λ/2分に相当するような範囲内の距離とする場合には、通常、0.5μm〜4μmの範囲内となるものであることが好ましく、1μm〜3μmの範囲内となるものであることがより好ましく、1.5μm〜2.5μmの範囲内となるものであることがさらに好ましい。
本発明における配向工程は、上記位相差層形成用塗工液の塗膜に含まれる棒状化合物を、上記配向層に含まれる第1配向領域および第2配向領域に形成された微細凹凸形状の方向に沿って配列させる工程である。
なお、本工程に形成される位相差層に第1位相差領域および第2位相差領域からなるパターンが形成されていることは、例えば、偏光板クロスニコルの中にサンプルを入れて、サンプルを回転させた場合に明線と暗線が反転することを確認することにより評価することができる。このとき、第1位相差領域および第2位相差領域からなるパターンが細かい場合は偏光顕微鏡で観察するとよい。また、後述するAxoScanで各パターン内の遅相軸の方向(角度)を測定しても良い。
本工程においては、位相差層の面内レターデーション値がλ/4分に相当する程度のものとする場合には、具体的には、100nm〜160nmの範囲内であることが好ましく、110nm〜150nmの範囲内であることがより好ましく、120nm〜140nmの範囲内であることがさらに好ましい。
また、面内レターデーション値がλ/2分に相当する程度とする場合には、通常、200nm〜300nmの範囲内であることが好ましく、220nm〜280nmの範囲内であることがより好ましく、230nm〜270nmの範囲内であることが特に好ましい。
Re[nm]=(Nx−Ny)×d[nm]
で表わされる値である。面内レターデーション値(Re値)は、例えば、王子計測機器株式会社製 KOBRA−WRを用い、平行ニコル回転法により測定することができるし、微小領域の面内レタデーション値はAXOMETRICS社(米国)製のAxoScanでミューラーマトリクスを使って測定することも出来る。また、本願明細書においては特に別段の記載をしない限り、Re値は波長589nmにおける値を意味するものとする。
本発明のパターン位相差フィルムの製造方法は、上記塗布工程および配向工程を少なくとも有するものであるが、必要に応じて、塗布工程後に、位相差層形成用塗工液の塗膜を乾燥する乾燥工程や、上記棒状化合物として重合性液晶材料を用いる場合、上記重合性液晶材料を重合する重合工程を有するものであっても良い。
さらに、上記塗膜の乾燥方法としては、一定の温度に調整された乾燥風を、上記塗膜に当てる方法を用いることもできるが、このようは乾燥方法を用いる場合は、上記塗膜に当てる乾燥風の風速が3m/秒以下であることが好ましく、特に30m/分以下であることが好ましい。
なお、図16中の符号については、図15のものと同一の部材を示すものであるので、ここでの説明は省略する。
具体的には、上述のパターン配向膜の製造方法により製造されるパターン配向膜が長尺状である場合には、長尺状のパターン配向膜から最終製造物であるパターン位相差フィルムが途中ロール状に巻き取られることなくロールトゥロールで製造されることが好ましい。
本発明により製造されるパターン位相差フィルムの用途としては、3次元表示用の表示装置に用いることができ、なかでも、高品質かつ低コストが要求される表示装置に用いられることが好ましい。
10cm×10cmの大きさの銅版を準備し、研磨剤(カネヨ石鹸株式会社製カネヨンTM)で左右方向に研磨し、洗浄した。その後、FIB加工で作製したピッチが200nmの凹凸を有するダイヤモンドバイトで上下方向に、ストライプの間隔が500μmになる様に切削した。その後、UV硬化性樹脂(DIC株式会社製ユニディック RC23−207)を銅版上に塗布し、その上に密着性を改善するためのプライマー(DIC株式会社製ユニディックRC20−075)を塗布した透明なフィルム(富士フィルム株式会社製フジタック)を乗せて密着させ、紫外線を照射して硬化させた。
次に、上記透明フィルム基材を銅版から剥離し、凹凸形状を透明フィルム基材上に賦形することにより、上記透明フィルム基材上に配向層を形成した。SEMで配向層の断面形状を観察したところ、200nmピッチの凹凸と不定形の微細な凹凸が交互に観測された。
次に、シクロヘキサノンに固形分15%で溶解した下記構造式で表わされる液晶性材料の溶液に、光重合開始剤(BASF株式会社製イルガキュア184)を5重量%を加えた溶液を、上記配向層が形成された透明フィルム基材上にスピンコーターで塗布、80℃で10分乾燥し、紫外線を照射して硬化することにより、パターン位相差フィルムを作製した。
作製したパターン位相差フィルムを偏光板クロスニコルの中に入れて回転させたところ、幅500μmのストライプが明・暗・明・暗の繰り返し模様で見え、90度回転する毎に、明と暗が反転した。
尚、今回のラビングには研磨剤を用いたが、LCD製造に使われているラビング用の布を使ってもよい。
2a … 第1パターン部
2b … 第2パターン部
10 … 3次元表示用パターン配向層用原版
11 … 透明フィルム基材
12 … 配向層
12a … 第1配向領域
12b … 第2配向領域
13 … 位相差層
13a … 第1位相差領域
13b … 第2位相差領域
20 … パターン配向膜
30 … パターン位相差フィルム
Claims (1)
- 微細凹凸形状が一定方向に形成された第1パターン部および前記微細凹凸形状が前記第1パターンとは異なる方向に形成された第2パターン部を表面に備えるロール状基材を有する3次元表示用パターン配向層用原版の製造方法であって、
前記ロール状基材を準備し、前記ロール状基材の全表面に微細凹凸形状を一定方向に形成する第1パターン形成工程と、
前記ロール状基材の全表面に形成された微細凹凸形状を、バイトを用いて前記ロール状基材の回転方向と平行な帯状に削り取り、かつ、削り取った領域に前記第1パターン形成工程とは異なる方向に微細凹凸形状を一定方向に形成する第2パターン形成工程と、
を有することを特徴とする3次元表示用パターン配向層用原版の製造方法。
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