JP5776717B2 - 静電荷像現像用トナー、その製造方法、及び画像形成方法 - Google Patents
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Description
また、着色剤や離型剤などの成分がトナー表面から露出することから、トナーに安定した帯電性を長期にわたり維持させることも十分にはできない、という問題があった。これらの問題を解決するためにトナー表面を樹脂で被覆した構造を有する、いわゆるコア・シェル構造にてトナー性能向上を図る技術は、以前より提案されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
特に、特許文献5には、トナーの低温定着性と保存性とに優れた結着樹脂として、バイオマス資源から、フルフラール骨格を有する化合物を含有する結着樹脂を製造する技術が開示されている。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
フルフラール骨格を有する単量体を製造する単量体製造工程と、
前記単量体製造工程で得られた前記単量体のフルフラール骨格中のフラン環に水素を添加する水素添加反応工程と、
前記水素添加反応工程で水素が添加させられた前記単量体を重合する単量体重合工程とを有することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
フルフラール骨格を有する単量体を製造する単量体製造工程と、
前記単量体製造工程で得られた前記単量体を重合し重合体を生成する単量体重合工程と、
前記単量体重合工程で得られた前記重合体のフルフラール骨格中のフラン環に水素を添加する水素添加反応工程とを有することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
特に上記課題についてはフルフラール骨格を有する化合物を静電荷像現像用トナーに使用した場合に問題になるが、本発明の構成にすることで、これを解決できる。
本発明の静電荷像現像用トナーは、少なくとも結着樹脂を含有するトナー粒子を含む静電荷像現像用トナーであって、前記トナー粒子が、前記結着樹脂として下記一般式(1)で表される構造単位を有する重合体を含有することを特徴とする。
上記一般式(1)中、2価の連結基(式中のA)としては、アルキレン基、アリーレン基、エステル基、エーテル基、アミド基、アミノ酸残基、又はこれらの2以上を組み合わせた有機連結基が挙げられる。これらは未置換でも置換基を有していてもよい。
本発明に係る一般式(1)で表される構造単位を有する重合体(以下「本発明に係る重合体」ともいう)は、上記一般式(1)で表される構造単位を与える重合性の単量体(以下「本発明に係る重合性単量体」ともいう)を用い、重合又は共重合を行うことによって得られる。
なお、本発明に係る重合性単量体を不飽和ヘテロ環含有化合物から生成した場合は、例えば、上記方法で得られた重合性単量体を重合した後、水素添加反応することなどにより、飽和ヘテロ環化することで、本発明に係る重合体を生成してもよい。また、例えば、本発明に係る重合性単量体に水素添加反応をすることなどにより、飽和ヘテロ環含有化合物を生成し、当該化合物とメタクリロイル酸又はその誘導体とを反応させた後に、重合させることで、本発明に係る重合体を生成してもよい。
また、反応式(1−a)では、本発明に係る一般式(1)のAが−O−CH2−を表す場合を示したが、本発明に係る一般式(1)のAは、これに限定されず、例えば、反応式(1−b)又は反応式(1−c)に示すように、アミノ酸残基やエーテル基を表していてもよい。
また、上記共重合体の分子量の好ましい範囲は1500〜60000、より好ましくは3000〜40000である。
本発明のトナーは、本発明に係る結着樹脂と、着色剤と必要に応じて内添剤とを用いてトナー粒子を得、このトナー粒子に対して必要に応じて外添剤を添加することによって製造することができる。
この乳化凝集法によれば、製造コスト及び製造安定性の観点から、トナー粒子の小粒径化を容易に図ることができる。
なお、結着樹脂の微粒子は、任意に離型剤、荷電制御剤などの内添剤を含有していてもよい。
また、凝集時に、異種の樹脂微粒子を添加し、コア・シェル構造のトナー粒子としてもよい。
(1)水系媒体中に着色剤微粒子が分散されてなる分散液を調製する工程
(2)水系媒体中に、結着樹脂微粒子が分散されてなる分散液を調製する工程
(3)着色剤微粒子の分散液と結着樹脂微粒子の分散液とを混合して、着色剤微粒子及び結着樹脂微粒子を凝集、会合、融着させてトナー粒子を形成する工程
(4)トナー粒子の分散系(水系媒体)からトナー粒子を濾別し、界面活性剤などを除去する工程
(5)トナー粒子を乾燥する工程
(6)トナー粒子に外添剤を添加する工程。
この工程では、水系媒体中に、着色剤微粒子が分散されてなる着色剤微粒子分散液を調製する。
着色剤微粒子の分散液は、着色剤を水系媒体中に分散することにより調製することができる。着色剤の分散処理においては、着色剤が均一に分散されることから、水系媒体中で界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度以上にした状態で行われることが好ましい。着色剤の分散処理に使用する分散機は、公知の分散機を用いることができる。また、使用することのできる界面活性剤としては、公知のものを用いることができる。
オレンジトナー用のオレンジ着色剤としては、染料としてC.I.ソルベントオレンジ63、同68、同71、同72、同78等、顔料としてC.I.ピグメントオレンジ16、同36、同43、同51、同55、同59、同61、同71等が使用可能である。
この工程では、水系媒体中に、本発明に係る重合体を含有した結着樹脂の微粒子が分散されてなる樹脂微粒子分散液を調製する。
結着樹脂微粒子を分散する手法としては、乳化重合により得られる乳化重合粒子分散液を用いることが好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーを構成する結着樹脂(以下「本発明に係る結着樹脂」ともいう。)は、前記一般式(1)で表される構造単位を有する重合体を含有する。
(イ−2)前記単量体製造工程で得られた前記単量体のフルフラール骨格中のフラン環に水素を添加する水素添加反応工程
(イ−3)前記水素添加反応工程で水素が添加させられた前記単量体を重合する単量体重合工程
なお、(イ−1)の単量体製造工程において、フルフラール骨格を有する単量体を製造する原料は、バイオマス原料に限定されず、例えば、石油由来の原料など、本発明に係る重合性単量体を生成できるものであればよい。
(ロ−2)前記単量体製造工程で得られた前記単量体を重合し重合体を生成する単量体重合工程
(ロ−3)前記単量体重合工程で得られた前記重合体のフルフラール骨格中のフラン環に水素を添加する水素添加反応工程
なお、(ロ−1)の単量体製造工程において、フルフラール骨格を有する単量体を製造する原料は、バイオマス原料に限定されず、例えば、石油由来の原料など、本発明に係る重合性単量体を生成できるものであればよい。
上記(イ−1)及び(ロ−1)に示す工程に適用可能なバイオマス資源としては、例えば、木、草、わら、エンバク及びトウモロコシなどの農産系廃棄物が挙げられる。
また、このようなバイオマス資源からフルフラール骨格を有する単量体を製造する単量体製造工程に含まれる反応の一例としては、農産系廃棄物のバイオマス資源から得られるセルロースを用い、特開2012−121811号公報に開示されている技術によって、以下のようにして5−ヒドロキシメチルフルフラールを製造することが挙げられる。
(ハ)セルロースをセルラーゼ等の酵素でグルコースに分解する
(ニ)下記反応式(4)に示す反応によって、グルコースから5−ヒドロキシメチルフルフラールを生成する
層状複水酸化物は構造の主骨格がシート状の金属水酸化物になっている。
反応式(4)において用いられる触媒の層状複水酸化物の代表例にはハイドロタルサイト類がある。
ここで、ハイドロタルサイト類の一般式は[M2+ 1−XM3+ X(OH)2][An− X/n・mH2O]で表される。ただし、M2+は2価の金属イオン、M3+は3価の金属イオン、An− X/nは層間陰イオンである。ハイドロタルサイト類化合物は、層状粘土鉱物であり全体としては正の電荷を有するが層間及び表面にアニオンが吸着する性質を有し、表面のOH−、CO3 2−が塩基として機能する。
固体酸触媒は、固体酸として作用するものであれば特に限定はないが、酸触媒用のイオン交換樹脂が好ましい。固体酸触媒としては、例えば、下記化学式(1)に示すアンバーリスト−15(登録商標、ローム・アンド・ハース株式会社)及び、化学式(2)で示すナフィオン(登録商標、デュポン社)が挙げられる。
この工程では、着色剤微粒子分散液と樹脂微粒子分散液とを混合して、着色剤微粒子及び結着樹脂微粒子を凝集、融着させてトナー粒子を形成する。
着色剤微粒子及び結着樹脂微粒子を凝集、融着させる手法としては、樹脂微粒子分散液と、着色剤微粒子分散液とに、凝集剤を添加し、必要に応じて、さらに、磁性粉、荷電制御剤、離型剤、その他トナー構成成分の粒子の分散液とを混合して凝集用分散液を調製し、温度調節することにより、水系媒体中で凝集・融着させ、トナー粒子の分散液を形成する。
また、本発明のトナーは、本発明に係る重合体に加えて、従来のスチレンアクリル樹脂又はポリオールとポリカルボン酸との重縮合によって得られるポリエステル樹脂を含んでもよい。この場合、本発明に係る重合体のトナー中の含有量は、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%である。
以上のようなトナーを構成するトナー粒子の粒径は、例えば体積基準のメディアン径で4〜10μmであることが好ましく、さらに好ましくは6〜9μmとされる。
本発明において、トナーの平均円形度は、「FPIA−2100」(シスメックス社製)を用いて測定される。
具体的には、試料を界面活性剤入り水溶液にてなじませ、超音波分散処理を1分間行って分散させた後、「FPIA−2100」(シスメックス社製)により、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3000〜10000個の範囲内の適正濃度で撮影を行い、個々のトナー粒子について下記式(T)に従って円形度を算出し、各トナー粒子の円形度を加算し、全トナー粒子数で除することにより算出される。
式(T):円形度=(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子役影像の周囲長)
本発明に用いられる凝集剤としては、特に限定されるものではないが、金属の塩から選択されるものが好適に使用される。例えば、ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属の塩などの1価の金属の塩、例えば、カルシウム、マグネシウム、マンガン、銅などの2価の金属の塩、鉄、アルミニウムなどの3価の金属の塩などが挙げられる。
具体的な塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガンなどを挙げることができ、これらの中で特に好ましくは2価の金属の塩である。
2価の金属の塩を使用すると、より少量で凝集を進めることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、トナー粒子が磁性粉を含有するものとして構成される場合において、磁性粉としては、例えばマグネタイト、γ−ヘマタイト、又は各種フェライトなどを使用することができる。
また、トナー粒子が荷電制御剤を含有するものとして構成される場合において、荷電制御剤としては、摩擦帯電により正又は負の帯電を与えることのできる物質であれば特に限定されず、公知の種々のものを使用することができる。
さらに、トナー粒子が離型剤を含有するものとして構成される場合において、離型剤としては、公知の種々のワックスを用いることができる。ワックスとしては、特に低分子量ポリプロピレン、ポリエチレン、又は酸化型のポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系ワックスを用いることが好ましい。
この工程では、(3)の工程で調製したトナー粒子の分散液(水系媒体)からトナー粒子を濾別し、界面活性剤などを除去する。
この工程では、(4)の工程で得られたトナー粒子を乾燥する。
この工程では、トナーの流動性や帯電特性を改善する目的で、トナー粒子に外添剤を添加してトナーとする。
本発明に用いられる外添剤としては、例えば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、酸化チタン微粒子などの無機酸化物微粒子や、ステアリン酸アルミニウム微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子などの無機ステアリン酸化合物微粒子、あるいはチタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛などの無機チタン酸化合物微粒子などの無機微粒子が挙げられる。
特に、平均粒径70〜150nmの範囲内のシリカ微粒子を使用することが、耐久性、クリーニング性及び転写性の観点から好ましい。
これら無機微粒子は、耐熱性及び環境安定性の観点から、シランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイルなどによって表面処理が行われたものであることが好ましい。
外添剤の添加量は、トナー粒子100質量部に対して0.05〜5質量部の範囲内、好ましくは0.1〜3質量部の範囲内とされる。また、外添剤としては種々のものを組み合わせて用いてもよい。
外添剤の添加方法としては、乾燥済みのトナー粒子に外添剤を粉体で添加する乾式法が挙げられる。混合装置としては、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル等の機械式の混合装置が挙げられる。
本発明のトナーは、キャリアとトナーとにより構成される二成分現像剤として、また、トナーのみから構成される非磁性一成分現像剤として使用することが可能である。
二成分現像剤として使用する際に用いられる磁性粒子であるキャリアは、例えば、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料を使用することが可能である。これらの中ではフェライト粒子が好ましい。
また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、結着樹脂中に磁性体微粉末を分散してなる樹脂分散型キャリアなどを用いてもよい。
キャリアの体積平均粒径は、15〜100μmの範囲内のものが好ましく、25〜80μmの範囲内のものがより好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーは、感光体を帯電させる帯電工程と、前記帯電工程によって帯電された感光体を露光することによって静電潜像を形成させる露光工程と、前記露光工程によって形成された前記静電潜像を静電荷像現像用トナーによって現像する現像工程と、前記現像工程によって現像されたトナー像を転写材に転写する転写工程とを有する画像形成方法に好適に具備され得る。例えば、モノクロの画像形成方法やフルカラーの画像形成方法に用いることができる。フルカラーの画像形成方法では、イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックの各々に係る4種類のカラー現像装置と、1つの静電潜像担持体(「電子写真感光体」又は単に「感光体」ともいう。)とにより構成される4サイクル方式の画像形成方法や、各色に係るカラー現像装置及び静電潜像担持体を有する画像形成ユニットを、それぞれ色別に搭載するタンデム方式の画像形成方法など、いずれの画像形成方法も用いることができる。これにより、環境差による帯電量変動の抑制し、かつ、色再現性の良好な画像を形成できるという効果が得られる。
なお、帯電、露光、現像、転写及び定着の手段としては、特に限定されず、電子写真方式において一般的に使用されているものを用いることができる。
<単量体Aの合成>
5−ヒドロキシメチルフルフラール(12.6g、100mmol)、トリエチルアミン(29.2ml、210mmol)の塩化メチレン溶液(200ml)に、メタクリロイルクロリド(8.5ml、105mmol)を窒素気流下、0℃で滴下し、室温で一日撹拌することで、反応混合液を調製する。この反応混合液を1N−HCl(200ml×2)、飽和NaHCO3水溶液(200ml×1)、飽和NaCl水溶液(200ml×1)で洗浄後、無水MgSO4にて乾燥、濾過した。これにより得られた濾液の溶媒を減圧留去し単量体Aの粗生成物を得た。これをn−ヘキサン/酢酸エチル混合溶液(4/1→2/1)を展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて単量体Aを分取した。
20.0gのアルギン酸ナトリウムを200mlの蒸留水中に溶解させ、別の容器で10.0gのL−グルタミン酸を100mlの蒸留水中に溶解させた。両者を混合後、30.0gのシリカゲルを加え、続いて60mlの1M−HClを加えて沈殿物を生成させた。沈殿物を熱して粉砕し、pHが7になるまで蒸留水で洗浄した後乾燥し、白色粉末状のシリカ−アルギン酸−グルタミン酸リガンド58.0gを得た。
触媒の合成1で得られたシリカ−アルギン酸−グルタミン酸リガンドを10.0gと、ヘキサクロロ白金(IV)六水和物を1.04gとをエタノール中、窒素雰囲気下で撹拌しながら4時間加熱還流を行った。反応終了後、反応生成物を濾別後乾燥し、灰色粉末状のシリカ−アルギン酸−グルタミン酸−白金触媒10.0gを得た。
触媒の合成2で得たシリカ−アルギン酸−グルタミン酸−白金触媒を5.0g、及び5−ヒドロキシメチルフルフラール(5.7g、45.0mmol)、エタノール500mlを30℃、1気圧の水蒸気圧下で、水素の脱気と注入を交互に100回繰り返した。反応終了後、錯体を濾別して取り除き、水素添加された5−ヒドロキシメチルシクロフランを得た。
単量体Aの合成において、5−ヒドロキシメチルフルフラールの代わりに、この5−ヒドロキシメチルシクロフランを使用する以外は同様にして単量体Bを得た。
単量体Aの合成において、5−ヒドロキシメチルフルフラールの代わりに、フルフリールアルコールを使用する以外は同様にして単量体Cを得た。
単量体Aの合成において、5−ヒドロキシメチルフルフラールの代わりに、テトラヒドロフルフリールアルコールを使用する以外は同様にして単量体Dを得た。
単量体Aの合成において、5−ヒドロキシメチルフルフラール及びメタクリロイルクロリドの代わりに、それぞれ、メタクリル酸、2−クロロチオフェンを使用する以外は同様にして単量体Eを得た。
単量体Bの合成と同様に、2−クロロチオフェンを水素添加することで、2−クロロテトラヒドロチオフェンを得た。その後、単量体Eの合成において、2−クロロチオフェンの代わりに、この2−クロロテトラヒドロチオフェンを使用する以外は同様にして単量体Fを得た。
<オレンジトナーの作製例1>
(1)着色剤微粒子分散液の調製工程
n−ドデシル硫酸ナトリウム11.5質量部をイオン交換水160質量部に投入し、溶解、撹拌して界面活性剤水溶液を調製した。この界面活性剤水溶液中に、着色剤(C.I.ピグメントオレンジ36)15質量部を徐々に添加し、次いで、機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤微粒子が分散された着色剤微粒子分散液〔Or〕を調製した。
(a)第1段重合
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム4質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃まで昇温させた。
この界面活性剤溶液に、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)5質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、液温を80℃にした後、単量体A560質量部、アクリル酸ブチル240質量部、メタクリル酸68質量部からなる単量体混合液を1時間混合分散処理することにより、樹脂微粒子分散液〔A1−a〕を調製した。
機械式分散機「クレアミックス」により、単量体A132質量部、アクリル酸ブチル57質量部、メタクリル酸20質量部、n−オクチルメルカプタン0.5質量部、「WEP−5」(日油社製)82質量部からなる単量体混合液を1時間混合分散処理することで乳化粒子を含む乳化分散液〔A1−b〕を調製した。
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム2質量部をイオン交換水1270質量部に溶解させた界面活性剤溶液を仕込み、80℃に加熱した後、上記の樹脂微粒子分散液〔A1−a〕を固形分換算で40質量部を添加し、さらに液温を80℃にした後、乳化分散液〔A1−b〕を添加した。
ここに、過硫酸カリウム(KPS)5質量部をイオン交換水100質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を80℃で1時間にわたって加熱、撹拌することによって重合を行うことにより、樹脂微粒子の分散液〔A1〕を調製した。
樹脂微粒子分散液〔A1〕1250質量部と、イオン交換水2000質量部と、着色剤微粒子分散液〔Or〕165質量部とを、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、撹拌装置を取り付けた反応容器に入れて撹拌して会合用溶液を準備した。この会合用溶液の内温を30℃に調整した後、5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10.0に調整し、次いで、塩化マグネシウム六水和物52.6質量部をイオン交換水72質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、この系を6分間かけて90℃まで昇温した(昇温速度=10℃/分)。
その状態で、「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にて会合粒子の平均粒径を測定し、体積基準のメディアン径が6.7μmになった時点で、塩化ナトリウム115質量部をイオン交換水700質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させ、さらに、液温度90℃±2℃にて6時間にわたって加熱、撹拌することにより融着を継続させた。この会合粒子の円形度を「FPIA−2100」(シスメックス社製)にて測定したところ、平均円形度は0.958であった。
次いで、6℃/分の条件で30℃まで冷却し、会合粒子を濾過し、45℃のイオン交換水で繰り返し洗浄した後、40℃の熱風で乾燥することにより、トナー母体粒子〔A1〕を得た。
このトナー母体粒子〔A1〕100質量部に対してヘキサメチルシラザン処理したシリカ(平均一次粒径12nm、疎水化度68)1.0質量部及びn−オクチルシラン処理した二酸化チタン(平均一次粒径20nm、疎水化度63)0.3質量部からなる外添剤を添加し、ヘンシェルミキサー(三井三池鉱業社製)で外添処理を行うことにより、オレンジトナー〔A1〕を作製した。
なお、ヘンシェルミキサーによる外添処理は、撹拌羽根の周速35m/秒、処理温度35℃、処理時間15分間の条件の下で行った。
単量体Aを単量体Bに変更する以外は、オレンジトナーの作製例1と同様にして、オレンジトナー〔B1〕を作製した。
単量体Aを単量体Cに変更する以外は、オレンジトナーの作製例1と同様にして、オレンジトナー〔C1〕を作製した。
単量体Aを単量体Dに変更する以外は、オレンジトナーの作製例1と同様にして、オレンジトナー〔D1〕を作製した。
単量体Aを単量体Eに変更する以外は、オレンジトナーの作製例1と同様にして、オレンジトナー〔E1〕を作製した。
単量体Aを単量体Fに変更する以外は、オレンジトナーの作製例1と同様にして、オレンジトナー〔F1〕を作製した。
(1)樹脂微粒子分散液〔A2〕の調製
(a)第1段重合
単量体A400質量部、スチレン200質量部、アクリル酸ブチル200質量部、メタクリル酸68質量部からなる単量体混合液を使用する以外は、オレンジトナーの作製例1の(2)−(a)と同様にして、樹脂微粒子分散液〔A2−a〕を調製した。
単量体A94質量部、スチレン48質量部、アクリル酸ブチル48質量部、メタクリル酸20質量部、n−オクチルメルカプタン0.5質量部、「WEP−5」(日油社製)82質量部からなる単量体混合液を使用して調製した乳化粒子を含む分散液〔A2−b〕と、樹脂微粒子分散液〔A2−a〕を使用して、オレンジトナーの作製例1の(2)−(b)と同様に樹脂微粒子の分散液〔A2〕を調製した。
樹脂微粒子分散液〔A1〕を樹脂微粒子分散液〔A2〕に変更する以外は、オレンジトナーの作製例1の(3)と同様にして、オレンジトナー〔A2〕を作製した。
単量体Aを単量体Bに変更する以外は、オレンジトナーの作製例7と同様にして、オレンジトナー〔B2〕を作製した。
単量体Aを単量体Cに変更する以外は、オレンジトナーの作製例7と同様にして、オレンジトナー〔C2〕を作製した。
単量体Aを単量体Dに変更する以外は、オレンジトナーの作製例7と同様にして、オレンジトナー〔D2〕を作製した。
単量体Aを単量体Eに変更する以外は、オレンジトナーの作製例7と同様にして、オレンジトナー〔E2〕を作製した。
単量体Aを単量体Fに変更する以外は、オレンジトナーの作製例7と同様にして、オレンジトナー〔F2〕を作製した。
<イエロートナー〔A1〕から〔F1〕及び〔A2〕から〔F2〕までの作製例>
オレンジトナーの作製例1から作製例12までにおいて、「C.I.ピグメントオレンジ36」の代わりに「C.I.ピグメントイエロー74」を用いた以外は同様にして、イエロートナー〔A1〕から〔F1〕及び〔A2〕から〔F2〕までを作製した。
<マゼンタトナー〔A1〕から〔F1〕及び〔A2〕から〔F2〕までの作製例>
オレンジトナーの作製例1から作製例12までにおいて、「C.I.ピグメントオレンジ36」の代わりに「C.I.ピグメントレッド122」を用いた以外は同様にして、マゼンタトナー〔A1〕から〔F1〕及び〔A2〕から〔F2〕を作製した。
<シアントナー〔A1〕から〔F1〕及び〔A2〕から〔F2〕までの作製例>
オレンジトナーの作製例1から作製例12までにおいて、「C.I.ピグメントオレンジ36」の代わりに「C.I.ピグメントブルー15:3」を用いた以外は同様にして、シアントナー〔A1〕から〔F1〕及び〔A2〕から〔F2〕を作製した。
<グリーントナー〔A1〕から〔F1〕及び〔A2〕から〔F2〕までの作製例>
オレンジトナーの作製例1から作製例12までにおいて、「C.I.ピグメントオレンジ36」の代わりに「C.I.ピグメントグリーン7」を用いた以外は同様にして、グリーントナー〔A1〕から〔F1〕及び〔A2〕から〔F2〕を作製した。
<ブラックトナー〔A1〕から〔F1〕及び〔A2〕から〔F2〕までの作製例1>
オレンジトナーの作製例1から作製例12までにおいて、「C.I.ピグメントオレンジ36」の代わりに「カーボンブラック:モーガルL」(キャボット社製)を用いた以外は同様にして、ブラックトナー〔A1〕から〔F1〕及び〔A2〕から〔F2〕を作製した。
オレンジトナー〔A1〕から〔F1〕及び〔A2〕から〔F2〕、イエロートナー〔A1〕から〔F1〕及び〔A2〕から〔F2〕、マゼンタトナー〔A1〕から〔F1〕及び〔A2〕から〔F2〕、シアントナー〔A1〕から〔F1〕及び〔A2〕から〔F2〕、グリーントナー〔A1〕から〔F1〕及び〔A2〕から〔F2〕、並びにブラックトナー〔A1〕から〔F1〕及び〔A2〕から〔F2〕の各々に、メチルメタクリレートとシクロヘキシルメタクリレート樹脂で被覆した体積基準のメディアン径が50μmのフェライトキャリアを、V字型混合機を用いて、前記トナーの濃度が6質量%になるように混合することにより、オレンジ現像剤〔A1〕から〔F1〕及び〔A2〕から〔F2〕、イエロー現像剤〔A1〕から〔F1〕及び〔A1〕から〔F1〕及び〔A2〕から〔F2〕、マゼンタ現像剤〔A1〕から〔F1〕及び〔A2〕から〔F2〕、シアン現像剤〔A1〕から〔F1〕及び〔A2〕から〔F2〕、グリーン現像剤〔A1〕から〔F1〕及び〔A2〕から〔F2〕、並びにブラック〔A1〕から〔F1〕及び〔A2〕から〔F2〕現像剤を調製した。
作製した各トナー(現像剤)について、下記に示す評価を行い、その結果を下記表1及び表2に示した。
シアン現像剤〔A1〕から〔F1〕及び〔A2〕から〔F2〕を、低温低湿(10℃、20%RH)と高温高湿(30℃、80%RH)に10時間放置した後、下記電界分離法により測定した。結果を表1に示す。
なお、低温低湿と高温高湿との帯電量の差が10μC/g以下を合格とする。
電界分離法による帯電量の測定方法は、以下の手順で行う。
(1) 上記で作製した現像剤30gを50mlのポリ瓶に入れ、当該ポリ瓶を120rpmで20分間回転させる。
(2) 上記ポリ瓶より現像剤1gをマグネットローラー上にセットし、あらかじめ質量を測定しておいた対向電極をセットする。
(3) トナー極性と同極性に1kVのバイアスを印加し、この状態でマグネットローラーを500rpmで1分間回転させる。
(4) 上記マグネットローラーの回転終了後、対向電極間の電圧と質量を測定し、対向電極に付着したトナーの質量M(g)、コンデンサーの容量(ここでは1μF)と対向電極間の電圧Vとの積Qにより、トナー帯電量Q/M(μC/g)を算出する。
市販の複合プリンター「bizhub Pro C500」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)を改造して6色のトナー像形成ユニットを装着し、表2に示す現像剤の組合せに従って各現像剤を現像器内へ投入して、下記の評価を行った。
Claims (7)
- 前記一般式(1)中のXが、酸素原子を表すことを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記重合体が、前記一般式(1)で表される構造単位及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体に由来する構造単位を有する共重合体であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記重合体が、前記一般式(1)で表される構造単位、(メタ)アクリル酸エステル系単量体に由来する構造単位及びスチレン系単量体に由来する構造単位を有する共重合体であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーを製造する静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
フルフラール骨格を有する単量体を製造する単量体製造工程と、
前記単量体製造工程で得られた前記単量体のフルフラール骨格中のフラン環に水素を添加する水素添加反応工程と、
前記水素添加反応工程で水素が添加させられた前記単量体を重合する単量体重合工程とを有することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。 - 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーを製造する静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
フルフラール骨格を有する単量体を製造する単量体製造工程と、
前記単量体製造工程で得られた前記単量体を重合し重合体を生成する単量体重合工程と、
前記単量体重合工程で得られた前記重合体のフルフラール骨格中のフラン環に水素を添加する水素添加反応工程とを有することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。 - 感光体を帯電させる帯電工程と、前記帯電工程によって帯電された感光体を露光することによって静電潜像を形成させる露光工程と、前記露光工程によって形成された前記静電潜像を静電荷像現像用トナーによって現像する現像工程と、前記現像工程によって現像されたトナー像を転写材に転写する転写工程とを有する画像形成方法において、前記静電荷像現像用トナーが、請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナーを用いることを特徴とする画像形成方法。
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