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JP5765511B1 - 酸性乳化調味料 - Google Patents

酸性乳化調味料 Download PDF

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JP5765511B1
JP5765511B1 JP2015518491A JP2015518491A JP5765511B1 JP 5765511 B1 JP5765511 B1 JP 5765511B1 JP 2015518491 A JP2015518491 A JP 2015518491A JP 2015518491 A JP2015518491 A JP 2015518491A JP 5765511 B1 JP5765511 B1 JP 5765511B1
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Abstract

食用油脂、乳化剤、有機酸及び食塩を含有し、不完全なO/W/O型乳化形態を有する。この酸性乳化調味料は、水相のpHが4.5以下であり、外油相が、品温20℃で固体の固体脂を含有し、内油相が、品温20℃で液状の食用油脂を含有し、該酸性乳化調味料に対する水の接触角が10〜65?である。この酸性乳化調味料は、乾燥しにくく、下地の食品との接触による離水や水分等の移行が生じ難く、O/W/O型乳化形態の酸性乳化調味料が有する油っぽいべたつきが感じられず、O/W型乳化物の味わいを有する。

Description

本発明は、O/W/O型乳化形態を有する酸性乳化調味料に関する。
マヨネーズ等のO/W型乳化形態を有する酸性乳化調味料を可撓性の容器から細く絞りだすことにより、お好み焼き、パン、ピザ、パスタ、肉、野菜等の食品表面に線状のトッピングを形成することがなされている。このようなトッピングの形成により、食品表面に調味成分が馴染むと共に、食品の外観を美味しく見えるように演出することができる。トッピングに適した容器入りの酸性乳化調味料としては、例えば、α化されていない小麦粉を含有することにより適度な粘性を有すると共に、焼成後の油分離を抑制したものが知られている(特許文献1)。
一方、トッピング、スプレッド等に適したバタークリームとして、O/W/O型乳化形態を有するものが提案されている(特許文献2)。
特開平5−130848号公報 特開2007−116984号公報
しかしながら、従来のO/W型乳化形態を有する酸性乳化調味料でトッピングを形成すると、時間の経過によりトッピングが乾いたり、トッピングの下地がパン等の澱粉質の食品である場合にトッピングに含まれる水分が下地となっている食品に吸収されたり、トッピングの下地が野菜である場合にトッピングに含まれる塩分によって野菜から離水が生じたり、トッピングの下地が練り物などである場合に下地となっている食品の成分がトッピングに移行することによりトッピングの味が変わったりするという問題がある。
これに対しては、トッピングを形成する酸性乳化調味料を、特許文献2に記載のようなO/W/O型乳化形態にすること(即ち、乳化物の最外層を油相にすること)でトッピングの乾燥を防止し、また、トッピングと下地の食品との接触による離水や水分等の移行を防止することが考えられる。
しかしながら、従来のO/W/O型乳化物に準じて酸性乳化調味料をO/W型乳化物からO/W/O型乳化物の形態を形成すると、バタークリームのような油っぽいべたつきが感じられ、乳化物の最外層を油相にする前のO/W型乳化物が持つ本来の味わいを損なってしまうという問題があった。
そこで、本発明は、トッピング、スプレッド等に使用する酸性乳化調味料であって、トッピングが乾燥しにくく、また、トッピングと下地の食品との接触による離水や水分等の移行が生じ難く、かつ、O/W/O型乳化形態の酸性乳化調味料が有する油っぽいべたつきが感じられず、乳化物の最外層を油相にする前のO/W型乳化物が持つ本来の味わいを損なうこともない酸性乳化調味料を提供することを課題とする。
本発明者は、酸性乳化調味料に対する水の接触角を指標として評価されるO/W/O型乳化形態の形成の程度が不完全であると上述の課題を解決できることを見出し、本発明を想到した。
即ち、本発明は、食用油脂、乳化剤、有機酸及び食塩を含有し、
O/W/O型乳化形態を有する酸性乳化調味料であって、
水相のpHが4.5以下であり、
外油相が、品温20℃で固体の固体脂を含有し、
内油相が、品温20℃で液状の食用油脂を含有し、
該酸性乳化調味料に対する水の接触角が10〜65°である酸性乳化調味料を提供する。
また、本発明は、上述の酸性乳化調味料の製造方法として、品温20℃で液状の食用油脂を含む内油相形成材料と水相形成材料とから調製したO/W型乳化物と、品温20℃で固体の固体脂を含む外油相形成材料とを乳化させる工程を有する酸性乳化調味料の製造方法を提供する。
さらに、本発明は、上述の酸性乳化調味料を使用した調理食品を提供する。
本発明の酸性乳化調味料によれば、O/W/O型乳化形態を有するので最外層に油相を有する。したがって、本発明の酸性乳化調味料は、マヨネーズ等の酸性のO/W型乳化調味料に比して表面が乾きにくい。また、トッピングとして使用した場合に下地がパン等の澱粉質の食品であっても、その食品に酸性乳化調味料に含まれる水分が吸収され難く、下地が野菜等の食品であっても食品からの離水が生じ難くなり、下地の食品に含まれる水分や味の成分により酸性乳化調味料本来の味が損なわれることも防止できる。よって、酸性乳化調味料を食品に用いたときの美味しさや外観の経時劣化を抑制することができる。
一方、本発明の酸性乳化調味料は、従来のO/W/O型乳化調味料のような油っぽいべたつき感が無く、また、乳化物の最外層を油相にする前のO/W型乳化物が持つ本来の味わいを損なっていない。これは、本発明の酸性乳化調味料に対する水の接触角が、油脂に対する水の接触角よりも小さいことから、本発明の酸性乳化調味料ではO/W/O型乳化形態が不完全に形成されており、そのために、本発明の酸性乳化調味料を食品と接触させると、その接触界面には外油相だけでなく水相もマーブル状に存在するためと推測される。
そして、本発明の酸性乳化調味料の内水相はpHが4.5以下であるから、酸性乳化調味料が絡んだ食品に酸性の乳化調味料に特徴的な美味しさを付与することができ、また、該調味料の保存性も向上する。
図1は、実施例15の酸性乳化調味料の油相染色後の共焦点レーザー顕微鏡写真である。 図2は、比較例4の酸性乳化調味料の油相染色後の共焦点レーザー顕微鏡写真である。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において、特に断らない限り「%」は「質量%」を表し、「部」は「質量部」を表す。
<酸性乳化調味料の乳化形態>
・不完全なO/W/O型乳化形態
本発明の酸性乳化調味料は、O/W/O型(内油相/水相/外油相)の乳化形態を有する。即ち、内油相が水相に分散したO/W型乳化粒子が、外油相に分散した形態を有する。一方、本発明の酸性乳化調味料では、以下に詳述する水の接触角の数値から、O/W/O型乳化形態が完全ではなく、不完全に形成されており、O/W型乳化形態の性質を有する領域も形成されていると推測される。
・水の接触角
O/W/O型乳化形態が完全に形成されている場合の水の接触角(即ち、外油相を構成する食用油脂に対する水の接触角)が65°より大きく80°以下であるのに対し、本発明の酸性乳化調味料に対する水の接触角は65°以下、特に55°以下であり、O/W/O型乳化形態の形成が不完全になっている。一方、O/W型乳化物に対する水の接触角(即ち、水相に対する水の接触角)はゼロとなるが、本発明の酸性乳化調味料はO/W/O型乳化形態としての性質を有することにより、本発明の酸性乳化調味料に対する水の接触角は10°以上、特に20°以上である。
ここで、接触角は、平滑面上に酸性乳化調味料(20℃)を塗布し、その塗布面に蒸留水0.1mLを滴下し、滴下から1分後に塗布面上の水滴を真横から顕微鏡用デジタルカメラ(倍率20倍)で撮影し、画像解析によりθ/2法で求めた数値である。
<粘度>
本発明の酸性乳化調味料の粘度は50Pa・s以上であり、さらに75Pa・s以上であるとよい。
なお、魚肉又は鶏肉の油漬けとの混ぜやすさ等生産性を考慮し、前記粘度は600Pa・s以下であり、さらには500Pa・s以下であるとよい。ここで、本発明に係る酸性乳化調味料の粘度は、品温20℃のものをBH型粘度計にて、ローターNo.6、回転数2rpmの条件で測定した1分後の示度により算出した値である。
本発明の酸性乳化調味料の製造工程において、外油相の固形油脂含量を増減させたり、外油相と混合前のO/W型乳化物に増粘剤を加えたりすることにより、粘度を上述の範囲に調整することができる。
<内油相>
・内油相を形成する食用油脂
O/W/O型乳化形態の内油相を形成する食用油脂は、品温20℃で液状である。品温20℃で液状の食用油脂で内油相を形成することにより、一般的な乳化設備で乳化することができる。
品温20℃で液状の食用油脂としては、凝固点が10℃以下の食用油脂、特に5℃以下の食用油脂を使用することができる。なお、この食用油脂の凝固点は、基準油脂分析試験法(日本油化学会制定)の凝固点測定法によって得られる凝固点をいう。
品温20℃で液状の食用油脂の具体例としては、例えば、菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、オリーブ油、大豆油等の植物油脂を使用することができる。また、魚油、肝油、さらにはこれら油脂をエステル交換等により加工した油脂やジグリセライドのうち品温20℃で液状のものも使用することができる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
・内油相を形成する食用油脂の含有量
内油相を形成する食用油脂は、本発明の酸性乳化調味料の5〜60%、特に42〜56%とすることができる。また、内油相を形成する食用油脂と外油相を形成する食用油脂との合計で15〜80%とすることができ、さらに25〜80%とすることができ、特に65〜79%とすることができる。本発明の酸性乳化調味料における、内油相を形成する食用油脂の含有量が多すぎると内油相が外油相と合一して乳化状態が不安定になり、少なすぎるとW/O型乳化物と差異がなくなる。
また、内油相には、上述の20℃で液状の食用油脂の他に乳化剤や着色料等を含有させることができ、これらを合わせて内油相形成材料とすることができる。
・内油相の粒径
内油相(即ち、O/W型乳化粒子中の油脂粒子)の平均粒子径(メジアン径)は、10μm以下であるとよく、さらに5μm以下であるとよい。この油脂粒子の平均粒子径が前記値以下であることにより、乳化状態が安定化する。
なお、内油相の平均粒子径は、レーザ回折散乱法による粒度分布測定装置にて体積換算で得た粒度分布から求めた値である。
また、本発明の酸性乳化調味料は、後述するように内油相形成材料と水相形成材料からO/W型乳化物を調製し、そのO/W型乳化物と外油相形成材料とを混合し、撹拌してO/W/O型に乳化することにより製造することができ、本発明の酸性乳化調味料に含まれるO/W型乳化粒子中の油脂粒子の平均粒子径は、外油相と混合する前のO/W型乳化物中の油脂粒子の平均粒子径と略同じであるので、外油相と混合する前のO/W型乳化物中の油脂粒子の平均粒子径を測定することによって、O/W/O型酸性乳化調味料中のO/W型乳化粒子中の油脂粒子の平均粒子径を求めることができる。
<外油相>
・外油相を形成する食用油脂
O/W/O型乳化形態の外油相を形成する食用油脂は、品温20℃で固体の固体脂を含有する。外油相を形成する食用油脂が、品温20℃で固体の固体脂を含むことにより、O/W/O型乳化物の乳化形態が安定する。したがって、かかる外油相形成用の食用油脂を含む外油相形成材料を、O/W型乳化物と混合撹拌することにより、O/W/O型乳化物の製造が容易となる。一方、外油相を形成する食用油脂の品温20℃における固体脂の割合が高すぎると、撹拌してO/W/O型に乳化するときの撹拌が煩雑となる。そこで、外油相を形成する食用油脂としては、品温20℃における固体脂含量が5〜90%、特に60〜90%のものを使用することが好ましい。
また、このような固体脂含量の食用油脂を使用することにより、酸味と旨みのバランスのとれた酸性乳化調味料を製造することが可能となる。これに対し、高融点油脂を使用すると、酸性乳化調味料が脂っこくなり、べたつきが生じる。反対に低融点油脂を使用すると、酸性乳化調味料がしょっぱくなったり、エグミが感じられたりして味のバランスが劣り、また、酸性乳化調味料の粘度も不安定になる。
品温20℃における固体脂含量が5〜90%の食用油脂としては、内油相の形成に使用する上述の食用油脂を分画又はエステル交換等し、固形含量を調整したものを使用することができる。
なお、品温20℃における固体脂含量が90%を超える食用油脂と、品温20℃における固体脂含量が10%未満の食用油脂を混合することにより品温20℃における固体脂含量を5〜90%に調整した混合油であっても、O/W/O型に乳化するときの撹拌が容易になり、また味のバランスも優れるため好適である。
また、油相中の固体脂含量は、AOCS Official Method Cd16b−93(Revised 1999)に記載の方法で測定でき、O/W/O型乳化物の外油相に固体脂を含有するか否かは、顕微鏡で結晶の有無を確認することにより観察することができる。
具体的に入手可能なこのような油脂として、ユニショートPS(不二精油社製)、BST−DP(不二精油社製)、メルバ36(不二精油社製)、メルバ45(不二精油社製)、マイクロショート(月島食品社製)およびこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
・外油相を形成する食用油脂の含有量
乳化物の安定性の点から、外油相を形成する食用油脂は、本発明の酸性乳化調味料の10〜40%とすることができ、さらに20〜35%とすることができ、特に22〜27%とすることができる。また、本発明の酸性乳化調味料に含まれる油脂全体に対して、14〜89%とすることができ、さらに14〜50%とすることができ、特に20〜35%とすることができる。
外油相には、上述の20℃で固体脂を含む食用油脂の他に乳化剤や着色料等を含有させることができ、これらを合わせて外油相形成材料とすることができる。
<水相>
水相は、水、酸味料、食塩、調味料、糖類、香辛料、着色料、着香料、増粘剤、乳化剤等を含むことができ、これらを合わせて水相形成材料とすることができる。水相形成材料には、食塩、食酢、調味料及び糖類を含めることが好ましい。
・水分量
粘性の点から、水相に占める水分量は、本発明の酸性乳化調味料の20〜85%とすることができ、さらに30〜85%とすることができる。なお、この水分量は、水相を形成材する各材料に含まれる水分の合計量である。
・酸味料
酸味料としては、酢酸、クエン酸、コハク酸、乳酸、グルコン酸等を使用することができ、中でも酢酸として醸造酢を使用することが産業上の入手容易性の点で好ましい。
酸味料の使用量は、水相のpHが4.5以下となるように適宜調整する。これにより、風味が良好となり、微生物の繁殖を抑制することができる。さらに、水相のpHを4.5以下とすることにより、タンパク質が水相に含まれる場合はこのタンパク質が変性することで水相の粘度が上昇し、O/W/O型乳化形態におけるO/W型乳化粒子の微細化及び安定化を図ることができる。
・増粘剤
増粘剤としては、以下にあげる澱粉、ガム質等を使用することができる。増粘剤の使用により、本発明の酸性乳化調味料を、食材上で所望のラインを描くトッピングとして使用した場合に、描いたライン形状が保持されやすくなるとともに、水相の粘度が高まることでO/W/O型乳化形態におけるO/W型乳化粒子の微細化及び安定化を図ることができる。
澱粉としては、例えば、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉、小麦澱粉、米澱粉、これらの澱粉をアルファ化、架橋等の処理を施した加工澱粉、並びに湿熱処理澱粉が挙げられる。湿熱処理澱粉としては、「湿熱処理澱粉」として市販されているものであれば特に限定するものではない。また、加工澱粉としては、食品衛生法で含有物に指定された化学的処理を施された澱粉であって食用として供されるものであれば特に限定するものではない。例えば、アセチル化アジピン酸架橋澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉、アセチル化酸化澱粉、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム、酢酸澱粉、酸化澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、ヒドロキシプロピル澱粉、リン酸化澱粉、リン酸架橋澱粉、リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉等が挙げられる。
ガム質としては、例えば、キサンタンガム、ジェランガム、カラギーナン、ローカストビーンガム、タラガム、グアガム、アラビアガム、タマリンドガム、サイリュームシードガム、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、コンニャクマンナン等が挙げられる。
酸性乳化調味料における増粘剤の含有量は、増粘剤の種類にもよるが、食品にライン状のトッピングを描いた場合にそのライン形状を保持しやすくする点から、0.2%以上とすることができ、さらに0.4%以上とすることができる。一方、ライン状のトッピングの描きやすさや、食味への影響の点から、増粘剤の含有量は7%以下であるとよく、さらには6%以下であるとよい。
・食塩
食塩としては、精製塩、岩塩などを使用することができる。
本発明の酸性乳化調味料における食塩の含有量は、2〜6%とすることができ、特に3〜6%とすることができる。これにより、酸性乳化調味料の風味が良好となり、微生物の繁殖を抑制することができる。
・乳化剤
乳化剤としては、卵黄、卵黄レシチン、乳タンパク、大豆タンパク、モノグリセリド、モノグリセリド誘導体、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム、植物レシチン、乳化澱粉等が挙げられる。中でも、卵黄を用いることが好ましい。
卵黄としては、例えば、生卵黄をはじめ、生卵黄に殺菌処理、冷凍処理、スプレードライ又はフリーズドライ等の乾燥処理、ホスフォリパーゼA1、ホスフォリパーゼA2、ホスフォリパーゼC、ホスフォリパーゼD又はプロテアーゼ等による酵素処理、酵母又はグルコースオキシダーゼ等による脱糖処理、超臨界二酸化炭素処理等の脱コレステロール処理、食塩又は糖類等の混合処理等の1種又は2種以上の処理を施したもの等が挙げられる。本発明の酸性乳化調味料における卵黄の含有量としては、固形分換算で1〜10%含むことができ、さらに1〜8%含むことができ、特に1.5〜6%含むことができる。
なお、卵黄をはじめとする上述の乳化剤としては、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
<酸性乳化調味料の製造方法>
本発明の酸性乳化調味料の製造方法としては、内油相形成用材料、水相形成用材料、外油相形成材料をそれぞれ調製し、まず、内油相形成状材料と水相形成用材料とを混合して乳化することによりO/W型乳化物を調製する。次に、O/W型乳化物と外油相形成用材料とを混合して乳化することによりO/W/O型乳化形態を有する本発明の酸性乳化調味料を製造する。
・内油相形成用材料、水相形成材料、及び外油相形成材料の混合割合
本発明の酸性乳化調味料を製造するにあたり、内油相形成用材料、水相形成材料、及び外油相形成材料の混合割合は、内油相形成用材料8〜75部に対して水相形成用材料を92〜25部、特に内油相形成材料30〜70部に対して水相形成用材料70〜30部とし、また、O/W型乳化物100部に対して、外油相形成用材料11〜67部、特に25〜54部とすることができる。
・外油相を形成する食用油脂のホイップ
上述のようにO/W/O型乳化形態を有する酸性乳化調味料を製造するにあたり、外油相の形成に使用する、20℃で固体の固体脂を含有する外油相形成用材料を予めホイップし、そのホイップした食用油脂をO/W型乳化物と混合することが好ましい。このホイップによりO/W型乳化物と外油相を形成する油脂との二次乳化が速くなり、二次乳化により得られるO/W/O型乳化形態を有する酸性乳化調味料の食感がソフトになる。また、酸性乳化調味料に占める外油相の量を減らすことができる。さらに、酸性乳化調味料と生野菜等の食材との絡みが一層良くなる。
このような20℃で固体の固体脂を含有する食用油脂のホイップの効果は、ホイップによるオーバーランを大きくするほど顕著となり、例えば、外油相を形成する固体脂を含有する油脂と、O/W型乳化物とをヘラを用いて手で撹拌してそれらの二次乳化物を完成させるにあたり、オーバーラン0%の場合には、二次乳化物の完成までに必要な撹拌回数が300回であるときに、オーバーラン200%の場合には、同様の撹拌回数を150回に低減させることができる。
なお、外油相形成材料を、20℃で固体の固体脂を含有する食用油脂と乳化剤や着色料等を混合して調製する場合、上述のホイップは、20℃で固体脂を含有する食用油脂に乳化剤や着色料等を混合した後に行うことが好ましい。
・外油相を形成する食用油脂における微細結晶の析出
上述のように20℃で固体の固体脂を含有する食用油脂をホイップするにあたり、予めその食用油脂を急激に冷却しつつ練ることにより、食用油脂に粒径1〜10μmの微細結晶を生じさせておくことが好ましい。この冷却の温度プロファイルとしては、例えば、65℃から20℃に2分間で冷やす。これにより、食用油脂がホイップされやすくなり、また、O/W/O型乳化形態を有する乳化物を速く調製でき、最終的に得られる酸性乳化調味料の口当たりも向上し、また得られた酸性乳化調味料の安定性が向上する。これは、外油相を形成する食用油脂に予め微細結晶を生じさせておくと、その食用油脂をO/W型乳化物と混ぜた場合に、外油相を形成する食用油脂がO/W型乳化物の外側に留まり、撹拌によってO/W型乳化粒子の外側をコーティングするので、O/W型乳化粒子が外油相内で分散しやすくなり、O/W/O型乳化形態の形成が促進されるためである。
これに対し、外油相を形成する食用油脂が完全に液状であると、その食用油脂をO/W型乳化物と混合したときに、その食用油脂がO/W型乳化物の油相粒子と合一し、O/W/O型乳化形態を形成することが難しくなる。
また、その食用油脂を急激に冷却しつつ練ることなく得られた外油相では、食用油脂に含まれる結晶の長さが10μmを超えた針状結晶となり、安定性のある酸性乳化調味料が得られにくい。
・O/W型乳化物と外油相形成材料との乳化条件
O/W型乳化物と外油相形成材料とを混合し乳化する温度は0℃以上40℃以下とすることができ、特に20℃以上30℃以下が好ましい。
また、O/W型乳化物と外油相形成材料との乳化は、ホモミキサーやコロイドミル等の一般的な乳化装置を用いて行うことができる。
乳化工程における撹拌の強さ、処理時間などは、その乳化工程により得られた乳化物に対する水の接触角が10〜65°となるように、特に20°以上となるように、また、55°以下となるように適宜調整する。
具体的には、撹拌当初はO/W/O型になっていないため水の接触角は0〜5°程度であるが、撹拌を強くしたり処理時間を長くすることで徐々に水の接触角が上昇し、O/W/O型の2次乳化が完成するに従って外油相のみの水の接触角である65°を超える角度に近づいていく。水の接触角が10〜65°とは、O/W/O型の2次乳化が完全には完成していない状態であることを意味する。
<酸性乳化調味料を使用した調理食品>
本発明の酸性乳化調味料は種々の調理食品を得るために使用することができ、例えば、お好み焼き等にかけたり、生野菜にかけてサラダ等としたり、ゆで卵、ツナ、たらこ等の具材と混ぜ合わせてスプレッドとし、それをパン、ピザ、おにぎり等で使用したりすることができる。この場合、酸性乳化調味料それ自体が乾きにくく、また、酸性乳化調味料を使用する食品に該酸性乳化調味料の水分が移行したり、食品に離水を生じさせたり、食品中の水分その他の成分が酸性乳化調味料に移行することが抑制されるので、酸性乳化調味料を使用した食品の美味しさや外観の経時劣化を抑制することができる。
[実施例1]
下記表1Aの配合にて実施例1の酸性乳化調味料を調製した。すなわち、表1の水相及び内油相をミキサーで乳化した後、コロイドミルで乳化し、O/W型乳化物を調製した。次に、O/W型乳化物に表1の外油相を加えてミキサーで乳化して、O/W/O型乳化形態を有する乳化物を調製した。この場合、外油相とする植物油脂を、予めオーバーラン100%までホイップした。また、外油相を加えた後の撹拌時間を変えることにより、得られる乳化物に対する水の接触角を調整した。なお、いずれの乳化工程も品温20℃の状態で行った。
得られた酸性乳化調味料において、粘度は230Pa・s、O/W型乳化粒子中の油脂粒子の平均粒子径は5μm以下であった。
[実施例2〜15、比較例1〜4]
表1A及び表1Bに示される酸性乳化調味料の配合比にて、実施例2〜15、比較例1〜4の酸性乳化調味料を実施例1と同様に調製した。
[水の接触角]
各実施例及び比較例の酸性乳化調味料を20℃で秤量皿に水平に塗布し、その塗布面に蒸留水0.1mLを滴下し、滴下から1分後に塗布面上の水滴を真横から顕微鏡用デジタルカメラ(倍率20倍)(キーエンス社製VHX−600)で撮影し、画像解析によりθ/2法で塗布面に対する水の接触角を求めた。結果を表1A及び表1Bに示す。
[乳化状態の顕微鏡写真]
実施例15及び比較例4の酸性乳化調味料の油相を染色し、その共焦点レーザー顕微鏡写真(倍率:400倍)を撮った。結果を図1及び図2に示す。
図1及び図2から、実施例15の酸性乳化調味料にはO/W型乳化粒子の粒子径が不揃いで不定形であり、マーブル状の部分が見られ、O/W/O型乳化形態が不完全であるのに対し、比較例4の酸性乳化調味料では粒径が10〜20μmの範囲であるO/W型乳化粒子が増加しており、実施例15よりもO/W/O型乳化形態が完成されていることがわかる。
[食品での評価]
実施例1〜15、及び比較例1〜4で得られた各酸性乳化調味料を次の試験1〜5のように食品で使用し、評価した。
[試験1:卵スプレッドの卵白の硬化変性]
各酸性乳化調味料について、粒径5〜10mmにダイシングしたゆで卵に対し酸性乳化調味料を半量和えてタマゴスプレッドとし、10℃で24時間保存した後のゆで卵の卵白部分の硬化度合いを下記評価基準で評価した。結果を表1A及び表1Bに示す。
A:ほぼ硬化していない。
B:若干硬化が感じられるが問題のない程度である。
C:酸性乳化調味料が分離しているか、硬化している。
[試験2:野菜からの離水]
各酸性乳化調味料について、2〜4mmに薄切りしたタマネギに対し酸性乳化調味料を半量和えて調理食品とし、10℃で24時間保存した後のタマネギからの離水を下記評価基準で評価した。結果を表1に示す。
A:離水がほぼない。
B:若干の離水はあるが問題のない程度である。
C:酸性乳化調味料が、分離しているか、離水して流れ出している。
[試験3:食味]
各酸性乳化調味料を、口径5mmの丸口金絞りを用いて線状のトッピングお好み焼き上に形成し、20℃で6時間保存した後に食して以下の評価基準で評価した。結果を表1A及び表1Bに示す。
A:一般的な酸性水中油型のマヨネーズと略同様の食味である。
B:一般的な酸性水中油型のマヨネーズとはやや食味が異なるが問題のない程度である。
C:一般的な酸性水中油型のマヨネーズとはかなり食味が異なる。
D:一般的な酸性水中油型のマヨネーズとは食味が全く異なる。
表1A及び表1Bより、水の接触角が10°未満又は65°以上でO/W/O型乳化形態が形成されている比較例1〜4の酸性乳化調味料は、タマゴスプレッドの卵白の硬化変性があったり、野菜からの離水があったり、あるいは一般的な酸性水中油型のマヨネーズとはかなり異なった食味であるのに対し、水の接触角が10〜65°で不完全なO/W/O型乳化形態を有する実施例1〜15の酸性乳化調味料は、タマゴスプレッドの卵白の硬化変性がなく、野菜からの離水もなく、かつ一般的な酸性水中油型のマヨネーズと略同様の食味ないしやや食味が異なるが問題のない程度であることがわかる。
なお、各実施例及び比較例の酸性乳化調味料は、いずれも水相pHが4.5以下、粘度は75Pa・s以上500Pa・s以下、O/W型乳化粒子の平均粒子径が5μm以下であった。
[試験4]
実施例7〜15で得られた各酸性乳化調味料について、口径5mmの丸口金絞りを用いて線状のトッピングをハンバーグ上に形成し、20℃で6時間保存した後のトッピング形状を評価したところ、いずれも形状にほぼ変化がなく好ましかった。また、これらを食したところ、いずれも一般的な酸性水中油型のマヨネーズと略同様の食味であり好ましかった。
[試験5]
実施例7〜15で得られた各酸性乳化調味料について、口径5mmの丸口金絞りを用いて線状のトッピングをソテーした人参上に形成し、20℃で6時間保存した後のトッピング形状を評価したところ、いずれも形状にほぼ変化がなく好ましかった。また、これらを食したところ、いずれも一般的な酸性水中油型のマヨネーズと略同様の食味であり好ましかった。



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Claims (14)

  1. 食用油脂、乳化剤、有機酸及び食塩を含有し、
    O/W/O型乳化形態を有する酸性乳化調味料であって、
    水相のpHが4.5以下であり、
    外油相が、品温20℃で固体の固体脂を含有し、
    内油相が、品温20℃で液状の食用油脂を含有し、
    該酸性乳化調味料に対する水の接触角が10〜65°である酸性乳化調味料。
  2. 請求項1記載の酸性乳化調味料であって、該酸性乳化調味料に対する水の接触角が20°以上である酸性乳化調味料。
  3. 請求項1又は2に記載の酸性乳化調味料であって、該酸性乳化調味料に対する水の接触角が55°以下である酸性乳化調味料。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の酸性乳化調味料であって、外油相が含気されている酸性乳化調味料。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の酸性乳化調味料であって、乳化剤が卵黄である酸性乳化調味料。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の酸性乳化調味料であって、外油相が、品温20℃で固体の固体脂を外油相の5〜90質量%含有する酸性乳化調味料。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の酸性乳化調味料の製造方法であって、品温20℃で液状の食用油脂を含む内油相形成材料と水相形成材料とから調製したO/W型乳化物と、品温20℃で固体の固体脂を含む外油相形成材料とを乳化させる工程を有する酸性乳化調味料の製造方法。
  8. 請求項7記載の酸性乳化調味料の製造方法であって、O/W型乳化物と外油相形成材料とを0℃以上40℃以下で混合する製造方法。
  9. 請求項7又は8記載の酸性乳化調味料の製造方法であって、O/W型乳化物と外油相形成材料とを乳化させる工程において、該工程により得られた乳化物に対する水の接触角が20°以上になるまでO/W型乳化物と外油相形成材料との乳化処理を行う製造方法。
  10. 請求項7又は8記載の酸性乳化調味料の製造方法であって、O/W型乳化物と外油相形成材料とを乳化させる工程において、該工程により得られた乳化物に対する水の接触角が55°以下になるようにO/W型乳化物と外油相形成材料との乳化処理を行う製造方法。
  11. 請求項7〜10のいずれかに記載の酸性乳化調味料の製造方法であって、O/W型乳化物と外油相形成材料とを乳化させる前に、予め外油相形成材料をホイップする製造方法。
  12. 請求項1〜6のいずれかに記載の酸性乳化調味料を使用した調理食品。
  13. 請求項1〜6のいずれかに記載の酸性乳化調味料が生野菜にかけられている調理食品。
  14. 請求項1〜6のいずれかに記載の酸性乳化調味料が具材と混ぜられているスプレッド。
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