JP5764963B2 - 光拡散体用凹凸パターン形成ロールモールド及び光拡散体の製造方法 - Google Patents
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例えば、特許文献1には、凹凸パターンが形成された光拡散体として、光透過性基材の少なくとも片面に突起体が複数形成され、突起体の高さが2〜20μm、突起体の頂点の間隔が1〜10μm、突起体のアスペクト比が1以上のものが開示されている。また、特許文献1には、突起体を形成する方法として、光透過性基材の表面を、KrFエキシマレーザー等のエネルギービームの照射により加工する方法が開示されている。
[1]表面上に凹凸パターンが形成された光拡散体用凹凸パターン形成ロールモールドを製造する方法であって、
予め形成された最頻ピッチが1μmを超え20μm以下である凹凸パターン形成シートの3次元データを計測する工程と、その計測データを元に、金属、金属化合物、樹脂の少なくとも1種からなる表面上に、切削加工により、前記凹凸パターン形成シートと同等または相似形の凹凸パターンを形成する工程とからなることを特徴とする光拡散体用凹凸パターン形成ロールモールドの製造方法。
[2] 上記[1]に記載の光拡散体用凹凸パターン形成ロールモールドの凹凸パターンが形成された面に、未硬化の硬化性樹脂を塗工する工程と、
該硬化性樹脂を硬化させた後、硬化した塗膜を光拡散体用凹凸パターン形成ロールモールドから剥離する工程とを有する光拡散体の製造方法。
[3] 上記[1]に記載の光拡散体用凹凸パターン形成ロールモールドの凹凸パターンが形成された面に、シート状の熱可塑性樹脂を接触させる工程と、
該シート状の熱可塑性樹脂を光拡散体用凹凸パターン形成ロールモールドに押圧しながら加熱して軟化させた後、冷却する工程と、
冷却したシート状の熱可塑性樹脂を光拡散体用凹凸パターン形成ロールモールドから剥離する工程とを有する光拡散体の製造方法。
本発明の凹凸パターン形成シート10の一実施形態について説明する。但し、本実施形態に限定されるものではない。
図1及び図2に、本実施形態の凹凸パターン形成シート10を示す。図1は、本発明に係る凹凸パターン形成シートの一例を示す拡大斜視図である。
本実施形態の凹凸パターン形成シート10は、基材11と、基材11の片面に設けられた硬質層12とを備え、硬質層12が凹凸パターン12aを有するものである。
凹凸パターン形成シート10では、凹凸パターン12aの最頻ピッチAが1μmを超え20μm以下であることが好ましく、1μmを超え10μm以下であることがより好ましい。最頻ピッチAが1μm未満であると、可視光の波長以下となり、可視光が凹凸パターン12aにて屈折せずに光が透過してしまい、前記上限値を超えると、輝線として視認される場合があるからである。
ここで、平均深さBとは、凹凸パターン12aの底部12bの平均深さのことである。
また、底部12bとは、凹凸パターン12aの凹部の極小点であり、平均深さBは、凹凸パターン12aを短径方向に沿って切断した断面(図2参照)を見た際の、凹凸パターン形成シート10全体の面方向と平行な基準線L1から各凸部の頂部までの長さB1,B2,B3・・・の平均値(BAV)と、基準線L1から各凹部の底部までの長さb1,b2,b3・・・の平均値(bAV)との差(bAV−BAV)のことである。
平均深さBを測定する方法としては、原子間力顕微鏡により撮影した凹凸パターン12aの断面の画像にて各底部12bの深さを測定し、それらの平均値を求める方法などが採られる。
最頻ピッチAを求めるためには、まず、表面光学顕微鏡により凹凸パターンの上面を撮影し、その画像をグレースケールのファイル(例えば、tiff形式等)に変換する。グレースケールのファイルの画像(図3参照)では、白度が低いところ程、凹部の底部が深い(白度が高いところ程、凸部の頂部が高い)ことを表している。次いで、グレースケールのファイルの画像をフーリエ変換する。図4にフーリエ変換後の画像を示す。図4の画像の中心から両側に広がる白色部分は凹凸パターン12aのピッチおよび向きの情報が含まれる。
次いで、図4の画像の中心から水平方向に補助線L2を引き、その補助線上の輝度をプロット(図5参照)する。図5のプロットの横軸はピッチの逆数を、縦軸は頻度を表し、頻度が最大となる値Xの逆数1/Xが凹凸パターン12aの最頻ピッチを表す。
本発明の予め形成される凹凸パターン形成シートとしては、従来公知の凹凸パターン形成シートを用いることができる。中でも、凹凸パターン形成シート10のような複雑な形状をシームレスで製造することができる点で本発明の加工方法が適している。
基材としては、加熱収縮性フィルムを加熱収縮させた樹脂基材が使用される。
加熱収縮性フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート系シ収縮フィルム、ポリスチレン系収縮フィルム、ポリオレフィン系収縮フィルム、ポリ塩化ビニル系収縮フィルム、ポリカーボネート系収縮フィルムなどを用いることができる。
加熱収縮性フィルムの中でも、50〜70%収縮するものが好ましい。50〜70%収縮する加熱収縮性フィルムを用いれば、変形率を40%以上にでき、凹凸パターン11の最頻ピッチAが1μmを超え20μm以下、アスペクト比0.1以上の凹凸パターン形成シートを容易に製造できる。
ここで、変形率とは、(変形前の長さ−変形後の長さ)/(変形前の長さ)×100(%)のことである。
また、硬質層12が、樹脂の場合、加熱収縮性フィルムを構成する樹脂(以後、第1の樹脂とも言う。)より、ガラス転移温度が10℃以上高い樹脂(以後、第2の樹脂とも言う。)を少なくとも一種を含むように構成する。第1の樹脂のガラス転移温度と第2の樹脂のガラス転移温度の関係にあることにより、凹凸パターン12aの最頻ピッチAを、確実に1μmを超え20μm以下にできる。
また、硬質層12が、金属及び金属化合物の場合、機能層13を、金、アルミニウム、銀、炭素、銅、ゲルマニウム、インジウム、マグネシウム、ニオブ、パラジウム、鉛、白金、シリコン、スズ、チタン、バナジウム、亜鉛、ビスマスよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属で構成することが好ましい。
また、硬質層12を、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化銅、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化鉛、酸化ケイ素、フッ化バリウム、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、硫化亜鉛、ガリウムヒ素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属化合物で構成することが好ましい。
凹凸パターン形成シート10の厚さは0.02〜3.0mmが好ましく、0.05〜2.5mmがより好ましく、0.1〜2.0mmが特に好ましい。凹凸パターン形成シート10の厚さが0.02mm未満であると、凹凸パターン12aの深さよりも小さいことがあるため適当でなく、3.0mmよりも厚いと凹凸パターン形成シート10の質量が大きくなるため取り扱いにくくなるおそれがある。
凹凸パターン形成モールドは、表面に、前記凹凸パターン形成シート10と同一または相似形の凹凸パターンを有する。
ここで相似形の凹凸パターンとは、前記凹凸パターン形成シートの凹凸パターン12aの最頻ピッチと平均深さがそれぞれt倍された凹凸パターンであり、前記相似の凹凸パターンのスケールを1/t倍すると、凹凸パターン12aと同一になるような凹凸パターンのことである。
凹凸パターン形成モールドは、金属ロール表面に前記凹凸パターン12aを同一または相似の凹凸パターンが形成されている。
[第1の製造方法]
凹凸パターン形成シート10を製造する方法の例について説明する。但し、本実施形態に限定されるものではない。
本実施形態の凹凸パターン形成シートの製造方法は、図6に示すように、樹脂製の基材である加熱収縮性フィルム11aの片面に、表面が平滑な硬質層13(以下、表面平滑硬質層13という。)を設けて積層シートを形成する工程(以下、第1の工程という。)と、加熱収縮性フィルム11aを加熱収縮させて、積層シートの少なくとも表面平滑硬質層13を折り畳むように変形させる工程(以下、第2の工程という。)とを有する方法である。
ここで、表面平滑硬質層13とは、JIS B0601に記載の中心線平均粗さ0.1μm以下の層である。
第1の工程にて、加熱収縮性フィルム11aの片面に硬質層13を設けて積層シートを形成する方法としては、例えば、加熱収縮性フィルム11aの片面に、樹脂の溶液または分散液をスピンコーターやバーコーター等により塗工し、溶媒を乾燥させる方法、加熱収縮性フィルム11aの片面に、あらかじめ作製した表面平滑硬質層13を積層する方法などが挙げられる。表面平滑硬質層13の厚みは0.05μmを超え5μm以下であることが好ましく、0.1〜2μmであることがより好ましい。表面平滑硬質層13の厚みが0.05を超え5μm以下であれば、凹凸パターン12aの最頻ピッチAを、確実に1μmを超え20μm以下にできる。
第2の工程にて、加熱収縮性フィルム11aを熱収縮させることにより、表面平滑硬質層13に、収縮方向に対して垂直方向に波状の凹凸パターン12aを形成させる。
加熱収縮性フィルム11aを加熱収縮させる際の加熱方法としては、熱風、蒸気または熱水中に通す方法等が挙げられる。
[第2の製造方法]
第1の工程において、積層シートを形成する方法としては、例えば、加熱収縮性フィルム11aの片面に金属や金属化合物を蒸着させる方法、加熱収縮性フィルム11aの片面に、あらかじめ作製した表面平滑硬質層13を積層する方法などが挙げられる。
表面平滑硬質層13のヤング率を前記範囲にするためには、表面平滑硬質層13を、金、アルミニウム、銀、炭素、銅、ゲルマニウム、インジウム、マグネシウム、ニオブ、パラジウム、鉛、白金、シリコン、スズ、チタン、バナジウム、亜鉛、ビスマスよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属で構成することが好ましい。または、機能層13を、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化スズ、酸化銅、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化鉛、酸化ケイ素、フッ化バリウム、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、硫化亜鉛、ガリウムヒ素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属化合物で構成することが好ましい。
ここで、ヤング率は、JIS Z 2280−1993の「金属材料の高温ヤング率試験方法」にて温度を23℃に変更して測定した値である。表面平滑硬質層13が金属化合物からなる場合も同様である。
第2の工程にて、加熱収縮性フィルム11aを熱収縮させることにより、表面平滑硬質層13に、収縮方向に対して垂直方向に波状の凹凸パターン12aを形成させる。
加熱収縮性フィルム11aを加熱収縮させる際の加熱方法としては、熱風、蒸気または熱水中に通す方法等が挙げられる。
本発明の凹凸パターン形成モールドとは、予め形成された凹凸パターン形成シート10の原子間力顕微鏡などで測定した3次元データを元に、切削加工により、凹凸パターン12aと同一または相似形の形状を有する凹凸パターン形成モールドを製造する。
本発明の切削加工の方法としては、例えば、金属製のロールにダイヤモンドバイトを施した方法などが挙げられる。その中でも、数種の刃先のダイヤモンドバイトの使用などにより凹凸パターン12aを同一または相似形の形状を形成することが精度的に好ましい。
本製造方法により、複雑な凹凸パターンの情報を実際の凹凸パターンの3次元データを元に作成可能であり、また、本製造方法によりシームレスロールを製造することが可能となる。
前記凹凸パターン形成モールドを使用して光拡散体を製造する方法である。
(a)凹凸パターン形成モールドの凹凸パターンが形成された面に、未硬化の電離放射線硬化性樹脂を塗工する工程と、樹脂製の基材を電離放射線硬化性樹脂の凹凸パターン形成モールドと接触していない側に接触させる工程と、電離放射線を照射して前記硬化性樹脂を硬化させた後、硬化した塗膜を工程シート原版から剥離する工程とを有する方法。ここで、電離放射線とは、通常、紫
外線または電子線のことであるが、本発明では、可視光線、X線、イオン線等も含む。
(b)凹凸パターン形成モールドの凹凸パターンが形成された面に、未硬化の液状熱硬化性樹脂を塗工する工程と、加熱して前記液状熱硬化性樹脂を硬化させた後、硬化した塗膜を凹凸パターン形成モールドから剥離する工程とを有する方法。
(c)凹凸パターン形成モールドの凹凸パターンが形成された面に、シート状の透明熱可塑性樹脂を接触させる工程と、該シート状の透明熱可塑性樹脂を凹凸パターン形成モールドに押圧しながら加熱して軟化させた後、冷却する工程と、その冷却したシート状の透明熱可塑性樹脂を凹凸パターン形成モールドから剥離する工程とを有する方法。
凹凸パターン形成モールドの凹凸パターンが形成された面に、未硬化の電離放射線硬化性樹脂を塗工するコーターとしては、Tダイコーター、ロールコーター、バーコーター等が挙げられる。
未硬化の電離放射線硬化性樹脂としては、エポキシアクリレート、エポキシ化油アクリレート、ウレタンアクリレート、不飽和ポリエステル、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ビニル/アクリレート、ポリエン/アクリレート、シリコンアクリレート、ポリブタジエン、ポリスチリルメチルメタクリレート等のプレポリマー、脂肪族アクリレート、脂環式アクリレート、芳香族アクリレート、水酸基含有アクリレート、アリル基含有アクリレート、グリシジル基含有アクリレート、カルボキシ基含有アクリレート、ハロゲン含有アクリレート等のモノマーの中から選ばれる1種類以上の成分を含有
するものが挙げられる。未硬化の電離放射線硬化性樹脂は溶媒等で希釈することが好ましい。
また、未硬化の電離放射線硬化性樹脂には、フッ素樹脂、シリコーン樹脂等を添加してもよい。
未硬化の電離放射線硬化性樹脂を紫外線により硬化する場合には、未硬化の電離放射線硬化性樹脂にアセトフェノン類、ベンゾフェノン類等の光重合開始剤を添加することが好ましい。
これらの透明熱可塑性樹脂は単層もしくは多層構造とすることもできる。例えば、PS層の両面にPMMA層を設けた3層構造の透明熱可塑性樹脂などを用いることができる。
さらに、前記透明熱可塑性樹脂の表面に、高屈折率の樹脂を設けたものを使用することもできる。高屈折率の樹脂としては、例えば、フルオレン系エポキシ化合物、フルオレン系アクリレート化合物、フルオレン系ポリエステル(OKP)、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)、ポリジフェニルシラン(PDPS)などが挙げられる。
一軸方向に熱収縮する厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート製加熱収縮性フィルム(三菱樹脂株式会社製ヒシペットLX−60S、ガラス転移温度70℃)の片面に、トルエンに希釈したポリメチルメタクリレート(ポリマーソース株式会社製P4831−MMA、ガラス転移温度100℃)を厚さが2μmになるようにバーコーターにより塗工し、機能層を形成して積層シートを得た。
次いで、その積層シートを80℃で50秒間加熱することにより、加熱前の長さの50%に熱収縮させ(すなわち、変形率50%で変形させ)、機能層形成面に、収縮方向に対して直交方向に沿って波状の凹凸パターンを有する凹凸パターン形成シート10を得た。
得られた凹凸パターン形成シートの凹凸パターン表面を原子間力顕微鏡で測定し、得られた3次元情報を元に、金属ロール表面にダイヤモンドバイトを使用して、凹凸パターン形成シートを略同一の凹凸パターンが形成された凹凸パターン形成モールドを得た。
この凹凸パターン形成モールドの凹凸パターンが形成された面にエポキシアクリレート系プレポリマー、2−エチルヘキシルアクリレートおよびベンゾフェノン系光重合開始剤を含む未硬化の紫外線硬化性樹脂組成物を塗工した。
次いで、未硬化の紫外線硬化性樹脂組成物の塗膜の凹凸パターン形成モールドと接していない面に厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを重ね合わせ、押圧した。
次いで、ポリエチレンテレフタレートフィルムの上から紫外線を照射し未硬化の紫外線硬化性樹脂組成物を硬化させ、その硬化物を凹凸パターン形成モールドから剥離することにより、光拡散体を得た。
得られた光拡散体は平面上の一方向に光を強く拡散する異方性拡散シートであった。
10a 積層シート
11 樹脂基材
11a 加熱収縮性フィルム
12 硬質層
12a 凹凸パターン
12b 底部
13 表面平滑硬質層
Claims (3)
- 表面上に凹凸パターンが形成された光拡散体用凹凸パターン形成ロールモールドを製造する方法であって、
予め形成された最頻ピッチが1μmを超え20μm以下である凹凸パターン形成シートの3次元データを計測する工程と、その計測データを元に、金属、金属化合物、樹脂の少なくとも1種からなる表面上に、切削加工により、前記凹凸パターン形成シートと同等または相似形の凹凸パターンを形成する工程とからなることを特徴とする光拡散体用凹凸パターン形成ロールモールドの製造方法。 - 請求項1に記載の光拡散体用凹凸パターン形成ロールモールドの凹凸パターンが形成された面に、未硬化の硬化性樹脂を塗工する工程と、
該硬化性樹脂を硬化させた後、硬化した塗膜を光拡散体用凹凸パターン形成ロールモールドから剥離する工程とを有する光拡散体の製造方法。 - 請求項1に記載の光拡散体用凹凸パターン形成ロールモールドの凹凸パターンが形成された面に、シート状の熱可塑性樹脂を接触させる工程と、
該シート状の熱可塑性樹脂を光拡散体用凹凸パターン形成ロールモールドに押圧しながら加熱して軟化させた後、冷却する工程と、
冷却したシート状の熱可塑性樹脂を光拡散体用凹凸パターン形成ロールモールドから剥離する工程とを有する光拡散体の製造方法。
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