以下、本発明各実施形態について、図面を参照して説明する。以下の実施形態においては、本発明による電子機器の一例として、携帯電話やスマートフォンのような携帯端末であってタッチセンサを備えているものを想定して説明する。しかしながら、本発明の電子機器は、携帯電話に限定されるものではなく、例えば、デジタルカメラ、ポータブルオーディオプレーヤ、ノートPC、タブレット型PCなどの、タッチセンサを備える種々の端末とすることができる。また、本発明の電子機器は、携帯端末に限定されるものでもなく、銀行のATMや駅の乗車券販売機あるいはデスクトップPCなど、タッチセンサを備える任意の機器とすることもできる。
図1は、本発明の一実施形態に係る電子機器の概略構成を示すブロック図である。
本実施形態に係る電子機器1は、図1に示すように、制御部10、表示部30、接触検出部40、触感呈示部50、押圧検出部60、および記憶部80を備えている。
制御部10は、電子機器1を構成する各機能部を制御することにより、電子機器1の全体を制御および管理する。制御部10の処理のうち本実施形態特有のものについては後述する。
表示部30は、例えば、液晶表示パネル(LCD)や有機EL表示パネル等を用いて構成する。この表示部30は、様々な画像および各種情報などを表示することができる。また、表示部30は、これらの表示の他に、またはこれらの表示に重畳して、例えば押しボタンスイッチ(プッシュ式ボタンスイッチ)等のようなオブジェクトを画像で表示する。このオブジェクトは、接触検出部40のタッチ面上において接触すべき領域を操作者に示唆する画像である。また、押しボタンスイッチとは、操作者が電子機器1の操作に用いるボタンやキー等(以下、単に「キー等」と総称する)である。
接触検出部40は、通常は表示部30の前面に配置して、表示部30に表示したオブジェクトに対する接触物の接触を、対応する接触検出部40のタッチ面において検出する。このため、接触検出部40は、例えば透明にするなど、少なくともある程度の光を透過する材料で構成することにより、表示部30の表示が操作者に視認できるようにするのが好適である。また、接触検出部40は、タッチ面に対する接触物の接触の位置を検出し、当該検出した接触の位置を制御部10に通知する。この接触検出部40は、例えば抵抗膜方式、静電容量方式、光学式等の方式のもので構成されたタッチセンサを用いることができる。
触感呈示部50は、例えば圧電振動子等を用いて構成し、接触検出部40を振動させる。この触感呈示部50は、所定の振動パターンによる振動を発生させることにより、タッチ面に接触している接触物に対して触感を呈示する。本実施形態において、触感呈示部50は、制御部10から供給される駆動信号に基づいて振動を発生する。
すなわち、本実施形態において、制御部10は、触感呈示部50が振動するように制御する。また、この際、制御部10は、接触検出部40が検出する接触物の接触の位置に応じて、触感呈示部50を駆動する駆動信号を異ならせるように制御することもできる。つまり、制御部10は、接触検出部40が接触を検出した位置に対応する表示部30の位置に表示されたオブジェクトに応じて、異なる態様の振動を発生するよう制御することもできる。
押圧検出部60は、接触検出部40のタッチ面に対する押圧を検出するもので、例えば、押圧に応じて物理的または電気的な特性(歪み、抵抗、電圧等)が変化する歪みゲージセンサや圧電素子等の素子等を用いて構成する。押圧検出部60が、例えば、圧電素子等を用いて構成された場合、押圧検出部60の圧電素子は、接触検出部40のタッチ面に対する押圧に係る荷重(力)の大きさ(または、荷重(力)の大きさが変化する速さ(加速度))に応じて、電気的な特性である電圧の大きさ(電圧値(以下、押圧に基づくデータと称する))が変化する。そして、制御部10は、押圧に基づくデータが所定の基準を満たした場合に、触感呈示部50が所定の振動を発生することにより触感を呈示するように制御する。ここで、上記所定の基準は、オブジェクトの押圧時の荷重特性に応じて適宜設定することができる。
制御部10は、押圧検出部60が押圧に基づくデータを制御部10に通知することにより、または、制御部10が、押圧検出部60の押圧に基づくデータを検出することにより、当該押圧に基づくデータを取得する。つまり、制御部10は、接触検出部40のタッチ面に対する押圧に基づくデータを押圧検出部60から取得する。なお、押圧に基づくデータは、電圧値の代わりに、押圧に係る荷重の大きさ、電力値、抵抗値等でもよい。なお、触感呈示部50と押圧検出部60は、一体化して構成することもできる。特に、押圧検出部60および触感呈示部50は、圧電素子を用いて構成する場合は、圧電素子を共用して押圧検出部兼触感呈示部を構成することもできる。圧電素子は、圧力が加わると電圧を発生し、電圧が加えられると変形するためである。
さらに、押圧検出部60は、接触検出部40における接触検出方式に応じて構成することができる。例えば、抵抗膜方式の場合には、接触面積の大きさに応じた抵抗の大きさを、タッチパネルのタッチ面に対する押圧の荷重(力)に対応付けることにより、歪みゲージセンサや圧電素子等を用いることなく構成することができる。あるいは、静電容量方式の場合には、静電容量の大きさを、タッチパネルのタッチ面に対する押圧の荷重(力)に対応付けることにより、歪みゲージセンサや圧電素子等を用いることなく構成することができる。
また、上述したように、触感呈示部50は、押圧検出部も兼ねる圧電素子の電圧の大きさ(電圧値(データ))が所定の基準を満たした際に、当該圧電素子を駆動することにより振動を発生するようにもできる。ここで、圧電素子の電圧の大きさ(電圧値(データ))が所定の基準を満たした際とは、電圧値(データ)が所定の基準値に達した際であってもよいし、電圧値(データ)が所定の基準値を超えた際でもよいし、所定の基準値と等しい電圧値(データ)が検出された際でもよい。
記憶部80は、例えばフラッシュメモリ等によって構成し、電子機器1において実行する各種のアプリケーションソフトウェア(以下、単に「アプリケーション」と記す)を記憶するのみならず、各種の情報を記憶することができる。
図2は、図1に示した電子機器1のうち、表示部30、接触検出部40、触感呈示部50、および押圧検出部60を中心とする実装構造の一例を示す図である。図2(A)は要部断面図であり、図2(B)は要部平面図である。図2(A)に示すように、本実施形態に係る電子機器1において、表示部30は、筐体71内に収納保持される。また、表示部30上には、弾性部材からなるインシュレータ72を介して、接触検出部40が保持される。また、電子機器1において、接触検出部40は、図2(B)に仮想線で示す表示部30の表示領域Aから外れた4隅に配設したインシュレータ72を介して表示部30上に保持される。なお、図2において、本実施形態に係る電子機器1は、表示部30および接触検出部40を、平面視で矩形状としている。しかしながら、これらの形状は、電子機器1が備える接触検出部40または表示部30の構成などの諸条件に応じた形状とすることができる。
また、筐体71には、表示部30の表示領域から外れた接触検出部40の表面領域を覆うようにアッパカバー73が設けられ、このアッパカバー73と接触検出部40との間に、弾性部材からなるインシュレータ74が配設される。なお、図2に示す接触検出部40において、タッチ面40aを有する表面部材は、例えば透明フィルムやガラスで構成され、裏面部材はガラスやアクリルで構成されるようにする。接触検出部40は、タッチ面40aが押圧されると、押圧部分が押圧力に応じて微少量撓む(歪む)、または構造体そのものが微少量撓む構造のものを用いる。
接触検出部40の表面上には、アッパカバー73で覆われる各辺の近傍に、接触検出部40に加わる押圧を検出するための歪みゲージセンサ62が、それぞれ接着等により設けられる。さらに、接触検出部40の裏面上には、対向する2つの辺の近傍に、接触検出部40を振動させるための圧電振動子52が、それぞれ接着等により設けられる。すなわち、図2に示す電子機器1において、図1に示した押圧検出部60は、4つの歪みゲージセンサ62を用いて構成され、触感呈示部50は、2つの圧電振動子52を用いて構成されている。そして、触感呈示部50が接触検出部40を振動させることにより、タッチ面40aを振動させるようにしている。なお、図2(B)は、図2(A)に示した筐体71、アッパカバー73およびインシュレータ74の図示を省略している。
上述の構成を有する電子機器1は、キー等のオブジェクトの表示領域に対してタッチ面上の対応領域(以下、適宜「オブジェクト領域」と称する)に対する接触および/または押圧に応じて、操作者の操作を検出することが可能である。例えば、電子機器1は、オブジェクト領域への単なる接触の有無のみならず、弱い押圧、より強い押圧、およびさらに強い押圧などを複数の段階に区別して検出することが可能である。したがって、電子機器1は、単一のオブジェクトに対する操作者の様々な操作を検出することが可能である。
次に、本実施形態に係る電子機器1による処理を説明する。
図3は、本実施形態に係る電子機器1による処理を説明するフローチャートである。本実施形態においては、接触検出部40において接触が検出された位置に対応する表示部30の位置に表示されているオブジェクトに応じて異なる触感を呈示する。すなわち、本実施形態においては、接触が検出された位置に対応する位置に表示されているオブジェクトに、接触検出部40に対する押圧に基づくデータに関する基準が1つだけ関連付けられている場合、押圧が1段階で検出される旨の触感を呈示する。また、本実施形態において、接触が検出された位置に対応する位置に表示されているオブジェクトに、接触検出部40に対する押圧に基づくデータに関する基準が段階的に複数関連付けられている場合、押圧が複数段階で検出される旨の触感を呈示する。以下、このような処理の詳細を説明する。
まず、図3に示す処理を開始するに際し、表示部30は、接触検出部40に対する押圧に基づくデータに関する基準であって所定の処理を行うための基準が1つまたは段階的に複数関連付けられているオブジェクトを表示しておく。ここで、制御部10は、上述したような基準が1つ関連付けられているオブジェクト、および当該基準が段階的に複数関連付けられているオブジェクトのうち、少なくとも1つが表示部30に表示されるように制御する。また、以下の説明において、表示部30に表示されて操作者により接触されるオブジェクトには、上述したような基準が1つまたは複数関連付けられているものとする。
このような基準は、例えばアプリケーションの実行を開始するなど所定の処理を行うための基準である。すなわち、例えば、あるアプリケーションのアイコンのオブジェクトに対応する接触検出部40の位置において接触物の接触が検出されて、押圧検出部60が検出する押圧に基づくデータが上記基準を満たしたら、当該アプリケーションの実行が開始される。また、例えば文字入力モードにおいて、あるキーのオブジェクトに対応する接触検出部40の位置において接触物の接触が検出されて、押圧検出部60が検出する押圧に基づくデータが上記基準を満たしたら、当該キーに対応する文字が表示部30に表示される。
本実施形態では、図3に示す処理を開始するに際し、このような基準を、必要に応じて予めオブジェクトごとに設定しておく。また、例えば上述したカメラのシャッターボタンのように、1つのオブジェクトに複数の処理が関連付けられている場合、1つのオブジェクトに上述した基準を段階的に複数設定しておく。なお、このような基準の段階の数は、上述したカメラのシャッターボタンのように2段階に限定されるものではなく、押圧検出部60が検出可能な押圧の範囲に応じて任意の数の段階を設定することができる。
図3に示す処理が開始すると、制御部10は、表示部30に表示されているキー等の所定のオブジェクトに対応する接触検出部40の位置において接触物の接触が検出されたか否かを判定する(ステップS11)。
ステップS11において所定のオブジェクトに対応する接触検出部40の位置において接触物の接触が検出されたら、制御部10は、押圧検出部60が検出する押圧に基づくデータが所定の基準を満たしたか否かを判定する(ステップS12)。ここで、押圧に基づくデータが満たしたか否か判定される所定の基準とは、上述したように、各オブジェクトに対して設定された基準である。このような基準が段階的に複数設定されているオブジェクトの場合、最も低い基準を上記所定の基準とするのが好適である。ステップS12において押圧検出部60が検出する押圧に基づくデータが所定の基準を満たしていない場合、制御部10は、ステップS11に戻って処理を続行する。
操作者が操作する際の押圧が強まることにより、ステップS12において押圧検出部60が検出する押圧に基づくデータが所定の基準を満たしたら、制御部10は、ステップS13の処理を行う。ステップS13においては、制御部10は、接触が検出されている位置に対応するオブジェクトが、押圧に基づくデータに関する基準が複数関連付けられているオブジェクトか否かを判定する。すなわち、ステップS13において、制御部10は、接触が検出されている位置に対応するオブジェクトが、複数段階で押圧を検出するオブジェクトであるか否かを判定する。
ステップS13において、オブジェクトに上記基準が複数関連付けられていない、すなわち上記基準が1つだけ関連付けられている場合、制御部10は、触感呈示部50が通常呈示するように設定されている触感を呈示するように制御する(ステップS14)。ここで、通常呈示するように設定されている触感とは、例えば、本実施形態による処理を行わない場合に、所定のオブジェクトに対する操作が検出され、当該オブジェクトに関連付けられた処理が開始される際に呈示するよう設定された触感とすることができる。以下、このように通常呈示するように設定されている触感は、「通常の触感」と略記する。このような通常の触感は、例えば触感呈示部50がごく短時間振動するような触感としたり、または機械式のキーが押圧により沈み込むような触感を模したクリック触感などとすることができる。
また、ステップS14においては、制御部10は、触感が呈示されるようにするとともに、当該オブジェクトに関連付けられた所定の処理を実行するように制御する。例えば、あるアプリケーションのアイコンのオブジェクトに対応する位置において接触が検出されていた場合には、当該アプリケーションの実行が開始される。すなわち、ここまでの処理により、操作者が所定のオブジェクトを接触および押圧したことに基づいて、電子機器1は、通常の触感を呈示するとともに通常の処理を行う。
ステップS14において触感が呈示され所定の処理が実行されたら、制御部10は、押圧検出部60が検出する押圧に基づくデータが、上記基準を満たさなくなったか否かを判定する(ステップS15)。ステップS15において押圧に基づくデータが上記基準を満たさなくなったら、制御部10は、当該オブジェクトに対する押圧が解除された旨を示唆する触感を触感呈示部50が呈示するように制御する(ステップS16)。ここで、押圧が解除された旨を示唆する触感とは、例えば触感呈示部50がごく短時間振動するような触感としたり、または機械式のキーが沈み込んでいた状態から押圧の解除により元の状態に戻るような触感を模したリリース触感などとすることができる。その後、制御部10は、本実施形態による処理を終了すると同時に、再び開始するように制御するのが好適である。
図4は、押圧検出部60が検出する押圧の例を説明するグラフである。図4(A)〜(C)のそれぞれにおいて、横軸は左から右に経過する時間を表し、縦軸は押圧検出部60が検出する押圧に基づくデータの大きさを示す。要するに、図4(A)〜(C)は、操作者が接触検出部40に接触してから押圧を強めた後に当該押圧を弱めて接触を解除する様子の時間変化を、押圧に基づくデータを用いて間接的に表したものである。図4(A)〜(C)においては、操作者が接触検出部40に接触した瞬間から時間の経過が開始している。
上述したようにステップS11から開始してステップS13、ステップS14、ステップS15を経る処理を行う際の操作者の押圧に基づくデータの時間変化は、図4(A)に示す例のようになることを想定している。すなわち、ステップS11でオブジェクトに対応する位置の接触検出部40に接触が検出され、ステップS12で押圧に基づくデータが所定の基準1を満たしたポイント(1)でクリック触感などが呈示されて対応する処理が実行される(ステップS14)。その後、押圧に基づくデータが小さくなり、ステップS15で押圧に基づくデータが所定の基準1を満たさなくなったポイント(2)でリリース触感などが呈示されるようにできる(ステップS16)。このリリース触感の呈示は、接触が検出されなくなった際に行ってもよい。なお、ステップS14を経る処理においては、押圧に基づくデータに関する基準がオブジェクトに1つだけ関連付けられているため、たとえ操作者の押圧が強く押圧に基づくデータが図4に示す基準2を超えたとしても、このことに応じた処理は行われない。
一方、ステップS13において、オブジェクトに上記基準が複数関連付けられている場合、すなわち当該オブジェクトが複数の段階で押圧を検出する場合、制御部10は、触感呈示部50が通常呈示するように設定されている触感とは異なる触感を呈示するように制御する(ステップS17)。ここで、通常呈示するように設定されている触感とは異なる触感とは、上述した通常の触感とは異なる触感であれば任意の触感とすることができる。以下、このような通常の触感とは異なる触感は、「通常と異なる触感」と略記する。このような通常と異なる触感は、例えば触感呈示部50が通常の触感よりも長く振動するような触感としたり、振動の有無が断続的に複数回繰り返されるような触感として設定することができる。
このように、本実施形態において、制御部10は、押圧に基づくデータに関する基準が1つ関連付けられているオブジェクトに対応する接触検出部40の位置において接触物の接触が検出された場合と、前記基準が段階的に複数関連付けられているオブジェクトに対応する接触検出部40の位置において接触物の接触が検出された場合とで、触感呈示部50が異なる触感を呈示するように制御する。また、制御部10は、前記押圧に基づくデータが所定の基準を満たした際に、触感呈示部50が、それぞれの場合で異なる触感を呈示するように制御するのが好適である。このように、本実施形態によれば、操作者は、複数の段階で押圧を検出するオブジェクトに対して初めて操作を行った場合であっても、押圧したオブジェクトが1段階で押圧を検出するものか、複数段階で押圧を検出するものかを判別することができる。
また、ステップS17において呈示される通常と異なる触感は、押圧に基づくデータに関する基準の段階の数を表す触感とすることもできる。例えば、オブジェクトに上記基準が2つ関連付けられている場合、すなわち当該オブジェクトが2段階で押圧を検出するオブジェクトである場合、ここでの通常と異なる触感は、例えばクリック触感が短時間に2回呈示されるようにすることができる。また、例えば、オブジェクトに上記基準が3つ関連付けられている場合、すなわち当該オブジェクトが3段階で押圧を検出するオブジェクトである場合、ここでの通常と異なる触感は、例えばクリック触感が短時間に3回呈示されるようにすることができる。
このように、本実施形態において、制御部10は、前記基準が段階的に複数関連付けられているオブジェクトに対応する接触検出部40の位置において接触が検出された場合、複数の前記基準の段階の数に対応する触感を触感呈示部50が呈示するように制御するのが好適である。このようにすれば、操作者は、複数の段階で押圧を検出するオブジェクトに対して初めて操作を行った場合であっても、押圧したオブジェクトが何段階で押圧を検出するものかを把握することができる。
また、ステップS17においては、制御部10は、触感が呈示されるようにするとともに、当該オブジェクトに関連付けられた所定の処理のうち最初の段階のもの(最も低い基準に関連付けられた処理)を実行するように制御する。
ステップS17において触感が呈示され所定の処理が実行されたら、制御部10は、操作者の押圧が強まることにより、押圧検出部60が検出する押圧に基づくデータが、次の段階の基準を満たしたか否かを判定する(ステップS18)。ステップS18において押圧に基づくデータが次の段階の基準を満たしたら、制御部10は、当該次の段階の基準について設定されている触感を呈示するとともに、当該次の段階の基準について設定されている所定の処理を実行するように制御する(ステップS19)。ここで、次の段階の基準について設定されている触感は、例えば任意のものとすることができるが、ステップS14およびステップS17における触感と異なるものとするのが好適である。
なお、ステップS19において、さらに操作者の押圧が強まることにより、押圧検出部60が検出する押圧に基づくデータがさらに次の段階の基準を満たした場合、制御部10は、当該さらに次の段階の基準について同様の処理を行う。すなわち、制御部10は、当該さらに次の段階の基準について設定されている触感を呈示するとともに、当該さらに次の段階の基準について設定されている所定の処理を実行するように制御する。
ここで、ステップS19において呈示する触感は、例えば、押圧に基づくデータに関する基準のうち、現在満たされている基準に基づく残りの段階の数を表す触感とすることもできる。例えば、オブジェクトが2段階で押圧を検出するものであり、ステップS18で2段階目の基準が満たされた場合、さらに次の段階の基準は存在しない。したがって、この場合、触感を呈示しないようにしたり、または、もう次の段階の基準は存在しないことを示唆する触感を呈示することができる。
また、例えば、オブジェクトが3段階で押圧を検出するものであり、ステップS18で2段階目の基準が満たされた場合、さらに次の段階の基準は1つである。したがって、この場合、2段階目の基準が満たされたことおよび次の段階の基準が1つ存在することを示すために、例えばクリック触感が短時間に2回呈示されるようにすることができる。または、この場合、次の段階の基準が1つしか存在しないことを示すために、例えばクリック触感が短時間に1回呈示されるようにすることもできる。さらに、例えば、オブジェクトが3段階で押圧を検出するものであり、ステップS18で3段階目の基準が満たされた場合、さらに次の段階の基準は存在しない。したがって、この場合、3段階目の基準が満たされたことおよび次の段階の基準は存在しないことを示すために、例えばクリック触感が短時間に1回呈示されるようにすることもできる。または、この場合、次の段階の基準は存在しないことを示すために、触感を呈示しないようにしたり、あるいは、もう次の段階の基準は存在しないことを示す触感を呈示することができる。
このように、本実施形態において、制御部10は、前記基準が段階的に複数関連付けられているオブジェクトに対応する接触検出部40の位置において接触が検出されたまま、前記押圧に基づくデータが複数の前記基準のうちいずれかの基準を満たしたら、当該基準に対応する触感を触感呈示部50が呈示するように制御するのが好適である。このようにすれば、操作者は、複数の段階で押圧を検出するオブジェクトに対して初めて操作を行った場合であっても、押圧したオブジェクトがあり何段階まで押圧を検出することができるのかを把握することができる。
ステップS19において触感が呈示され所定の処理が実行されたら、制御部10は、上述したステップS15以降の処理を行う。
上述したようにステップS13の次にステップS17からステップS19までを経てステップS15の処理を行う際の操作者の押圧に基づくデータの時間変化は、図4(B)または(C)に示す例などのようになることを想定している。すなわち、ステップS11でオブジェクトに対応する接触検出部40の位置において接触が検出され、ステップS12で押圧に基づくデータが所定の基準1を満たしたポイント(1)で通常と異なる触感などが呈示されて対応する処理が実行される(ステップS17)。すなわち、ポイント(1)で通常と異なる触感などが呈示されることにより、操作者は、当該オブジェクトには押圧の基準が段階的に複数設定されていることを把握することができる。また、この時点で、当該オブジェクトには押圧の基準が何段階設定されているかを把握することもできる。
その後、操作者の押圧が強まることにより、ステップS18で押圧に基づくデータが次の基準2を満たしたポイント(2)で当該段階に対応する触感が呈示される。これにより、操作者は、当該オブジェクトには押圧の基準があと何段階設定されているのかを把握することができる。なお、図4(B)に示す例においては、押圧に基づくデータに関する基準がオブジェクトに2つ関連付けられている。このため、ステップS18を経る処理においては、たとえ操作者の押圧が強く押圧に基づくデータが図4に示す基準2を超えたとしても、このことに応じた処理は行われない。さらに、図4(C)に示す例においては、押圧に基づくデータに関する基準がオブジェクトに3つ関連付けられている。このため、ステップS18を経る処理においては、操作者の押圧に基づくデータが図4に示す基準2を満たしたポイント(2)、および基準3を満たしたポイント(3)で、当該段階に対応する触感が呈示される。これにより、操作者は、当該オブジェクトには押圧の基準があと何段階設定されているのかを把握することができる。
なお、図4(B)において、ポイント(2)の後、押圧に基づくデータが小さくなり、ステップS15で押圧に基づくデータが所定の基準2を満たさなくなったポイント(3)でリリース触感などが呈示されるようにできる(ステップS16)。このリリース触感の呈示は、ポイント(3)に代えて、またはポイント(3)とともに、ポイント(4)で行ってもよいし、接触が検出されなくなった際に行ってもよい。
同様に、図4(C)において、ポイント(3)の後、押圧に基づくデータが小さくなり、ステップS15で押圧に基づくデータが所定の基準3を満たさなくなったポイント(4)でリリース触感などが呈示されるようにできる(ステップS16)。このリリース触感の呈示は、ポイント(4)に代えて、またはポイント(4)とともに、ポイント(5)および/または(6)で行ってもよいし、接触が検出されなくなった際に行ってもよい。
次に、本実施形態に係る電子機器1の適用例について説明する。
上述したように、本実施形態による電子機器1は、複数の段階で押圧を検出するオブジェクトにより操作者の操作を検出する場合に顕著な効果を奏する。したがって、例えば、本実施形態に係る電子機器1を、他の機器を操作するリモコン端末に適用したり、またはアプリケーションによって当該リモコン端末の機能を携帯電話やスマートフォンなどに装備するような場合を想定することができる。なお、以下の例では、電子機器1において押圧に基づくデータが所定の各基準を満たした際に行われる所定の処理は、オブジェクトに対応するチャンネルにテレビ受像機のチャンネルが切り替えられるように、例えば赤外線などの制御信号を送信する処理とする。
例えば、地上デジタル放送においては、アナログ放送とは異なり、1つのチャンネルにおいて複数の番組を提供することができる。図5は、このような複数のチャンネルによる放送(マルチチャンネル放送)を行う放送局のテレビ番組表の例を示す図である。図5に示すように、2chのYテレビ放送においては、1つのチャンネルのみで放送が行われている。一方、1chのXテレビ総合の放送においては、午後は8時から9時までの間は、Xテレビ総合1〜3の3つのチャンネルによるマルチチャンネル放送が行われている。
図5に示したような状況において、図6(A)に示すような電子機器1を適用したリモコン端末によってテレビ番組のチャンネルを変更する例について説明する。上述したように、図6(A)に示す電子機器1は、携帯電話やスマートフォンまたはリモコン専用端末などとすることができる。この電子機器1は、表示部30にキーαを始めとする各種のキー等のオブジェクトを表示し、このようなオブジェクトに対する操作者の接触および押圧を、接触検出部40により検出する。
例えば操作者が2chのYテレビ放送を視聴しようとする際、操作者は、図6(A)に示す電子機器1の表示部30に表示された数字「2」のオブジェクトを押圧する。すると、電子機器1は、図5に示す番組表のように、2chのYテレビ放送にチャンネルを切り替えるようにテレビ受像機に制御信号を送信する。ここで、操作者が数字「2」のオブジェクトを押圧して2chのYテレビ放送にチャンネルが切り替わった際、電子機器1からはクリック触感などの通常の操作時と同じ触感が呈示される。したがって、操作者は、図5に示すような番組表を見ていない場合であっても、2chのYテレビ放送においてはマルチチャンネル放送が行われていないことを把握することができる。
次に、例えば操作者が1chのXテレビ総合の放送を視聴しようとする際、操作者は、図6(A)に示す電子機器1の表示部30に表示された数字「1」(αで示す領域)のオブジェクトを押圧する。すると、電子機器1は、図5に示す番組表のように、1chのXテレビ総合1の放送にチャンネルを切り替えるようにテレビ受像機に制御信号を送信する。ここで、操作者が数字「1」(α)のオブジェクトを押圧して1chのXテレビ総合1の放送にチャンネルが切り替わった際、電子機器1からは通常の操作時とは異なる触感が呈示される。したがって、操作者は、図5に示すような番組表を見ていない場合であっても、1chのXテレビ総合の放送においては、マルチチャンネル放送が行われていることを把握することができる。
しかも、「1」(α)のオブジェクトが押圧されて1chのXテレビ総合1の放送にチャンネルが切り替わった際、例えばクリック触感が連続して3回呈示されるようにできる。これにより、操作者は、1chのXテレビ総合の放送において、Xテレビ総合1を含め3つのチャンネルによるマルチチャンネル放送が行われていることを把握することができる。
そして、この場合、図6(B)に示すように、操作者が数字「1」(α)のオブジェクトをさらに押圧すると、電子機器1は、触感を呈示するとともに、1chのXテレビ総合2の放送にチャンネルを切り替えるようにテレビ受像機に制御信号を送信する。したがって、操作者は、「1」(α)のオブジェクトを押圧したままで、1chのXテレビ総合1からXテレビ放送2の放送にマルチチャンネル放送を切り替えることができる。また、このようにして1chのXテレビ総合2の放送にチャンネルが切り替わった際、電子機器1から呈示される触感によって、操作者は、1chのXテレビ総合の放送において、マルチチャンネル放送あといくつ行われていることを把握することができる。例えば、1chのXテレビ総合2の放送にチャンネルが切り替わった際、クリック触感が連続して2回呈示されることにより、操作者は、現在のマルチチャンネルの他にマルチチャンネルがあと1つ残っていることを把握することができる。
この場合、図6(B)に示すように、操作者が数字「1」(α)のオブジェクトをさらに押圧すると、電子機器1は、触感を呈示するとともに、1chのXテレビ総合3の放送にチャンネルを切り替えるようにテレビ受像機に制御信号を送信する。したがって、操作者は、「1」(α)のオブジェクトを押圧したままで、1chのXテレビ総合2からXテレビ放送3の放送にマルチチャンネル放送を切り替えることができる。また、このようにして1chのXテレビ総合3の放送にチャンネルが切り替わった際、電子機器1から呈示される触感によって、操作者は、1chのXテレビ総合の放送において、マルチチャンネル放送がもう存在しないことを把握することができる。例えば、1chのXテレビ総合3の放送にチャンネルが切り替わった際、クリック触感が1回呈示されることにより、操作者は、現在のマルチチャンネルの他にはマルチチャンネルが残っていないことを把握することができる。
このように、本実施形態の電子機器1によれば、操作者は、オブジェクトが1段階で押圧を検出するものか、または多段階で押圧を検出するものか、オブジェクトを見ただけでは分からなくとも、オブジェクトを押した段階で判別することができる。また、操作者は、当該オブジェクトが何段階で押圧を検出するものかも、オブジェクトを押した段階で把握することができる。また、操作者は、当該オブジェクトを押した際に、オブジェクトを押した段階が現在何段階目であるのは、さらにあと何段階で押圧を検出するものかも、把握することができる。
なお、本発明は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変更または変形が可能である。例えば、上述した実施形態においては、ステップS12で押圧に基づくデータが第1段階の基準を満たした際に、ステップS13以降で触感を呈示して所定の処理を実行した。このようにすれば、操作者が意図せずに接触検出部40に軽く触れてしまったことが原因で所定の処理が実行されることがなく、操作者の意図に基づく押圧によってのみ所定の処理が実行されるため、誤操作の防止に寄与することが期待できる。
しかしながら、上述した実施形態を簡略化して、図3で説明したステップS12を省略することもできる。このように簡略化した実施形態では、ステップS11においてオブジェクトに対応する接触検出部40の位置において接触が検出されたら、ステップS13以降で触感を呈示して所定の処理が実行されるようになる。また、オブジェクトに対応する接触検出部40の位置において接触が検出された場合には、ステップS14またはステップS17における触感を呈示する一方、所定の処理は実行されないようにしてもよい。この場合、所定の処理は、接触が検出された後、押圧に基づくデータが所定の基準を満たした際に行ってもよい。
また、上述した実施の形態においては、接触検出部40を表示部30の上面に重ねて配置した構成を想定して説明した。本発明による電子機器は、このような構成にすることは必須ではなく、接触検出部40と表示部30とを離間した構成にすることもできる。しかしながら、接触検出部40を表示部30の上面に重ねて配置した構成とする方が、表示される画像と、操作入力が検出される領域および呈示する触感との対応関係を、操作者に容易に認識させることができる。
また、本実施の形態の説明における表示部30および接触検出部40は、表示部と接触検出部との両機能を共通の基板に持たせる等により、一体化した装置によって構成されるようにしてもよい。このように表示部と接触検出部との両機能を一体化した装置の構成の一例としては、液晶パネルが有するマトリクス状配列の画素電極群に、フォトダイオード等の複数の光電変換素子を規則的に混在させたものを挙げることができる。この装置は、液晶パネル構造によって画像を表示する一方で、パネル表面の所望位置をタッチ入力するペンの先端で液晶表示用のバックライトの光を反射し、この反射光を周辺の光電変換素子が受光することによって、タッチ位置を検出することができる。
なお、触感呈示部50は、振動モータ(偏心モータ)などに基づいて電子機器を振動させることにより、接触検出部40を間接的に振動させるように構成してもよいし、接触検出部40に圧電素子を配設することにより、接触検出部40を直接的に振動させるように構成してもよい。
また、本発明は、基準が1つ関連付けられているオブジェクトに対応する前記接触検出部の位置において前記接触物の接触が検出された場合と、基準が段階的に複数関連付けられているオブジェクトに対応する前記接触検出部の位置において前記接触物の接触が検出された場合とで、オブジェクトの表示態様を異ならせるように制御してもよい。