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JP5763544B2 - 瞳孔の評価方法および評価装置 - Google Patents

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Description

本発明は、瞳孔およびその特性を用いて神経系の機能を評価する方法および装置に関する。特に瞳孔を用いるのは、視覚系の機能を評価するための手段としてである。
本発明は、被験者または被験動物の視野の評価および定量化を改善するための方法および装置として用いるために主に開発されてきており、本出願を参照しつつ次に述べられる。しかし、本発明は、この特定の分野の用途に限定されないことが認識されるであろう。とりわけ、ここに述べる方法および装置は、視覚の調節,視的鋭敏性,聴覚,視聴覚機能,感情の状態,薬物の使用および精神的異常にも適用することができる。
本願明細書に記載の背景技術は、出願人がこのような背景技術を従来技術である、或いは、広く知られていてこの技術分野の一般常識であると認めていると決して解釈されてはならない。
眼の瞳孔は、中脳の一部によって仲介される単なる反射によって眼に入射する光束を調節するカメラの絞り機能を果たすにすぎないとしばしば考えられる。しかし、最近の研究は、視神経系から瞳孔系への入力が、以前考えられていたよりも遙かに複雑であることを明らかにした。この複雑さは、瞳孔反応に寄与する脳の種々の領域からの入力に由来する。瞳孔反応に寄与する脳信号(即ち、観察される単一反応を与える多くの構成信号の組み合わせ)が主に溜まる場所は、視蓋前域オリーブ核(PON)である。そして、2つのPONは、この情報を脳の両側のエディンガー・ウェストファル(EW)核に伝達し、次いでEW核は、動眼神経を介して瞳孔を刺激する。これは、各瞳孔が両網膜の蓄積された動作に関する情報を受けることを意味する。従って、各瞳孔は、両網膜の動作に関する情報を独立して供給できる。瞳孔がその眼の網膜に対して反応するとき、これを直接反応と言い、瞳孔が相手の眼の網膜の動作に対して反応するとき、これを共感反応と言う。
PONへの入力の半分は、メラノプシン含有網膜神経節細胞(mcRGC)からであり、この入力は、眼から直接入力される[更なる情報は、P.D.Gamlin 著"The pretectum; connection and oculomotor-related roles", Prog Brain Res, Volume 151, Pages 379-405 参照]。この細胞および他の総ての網膜神経節細胞の線維は、視神経を構成する。mcRGCは、光に対して2つの別々の反応を有する[更なる情報は、D. M. Dacey, H. W. Liao, B. B. Peterson, F. R. Robinson, V. C. Smith, J. Pokormy, K. W. Yau & P. D. Gamlin 著"Melanopsin-expressing ganglion cells in prime retina signal colour and irradiance and project to the LGN(外側膝状核)", Nature, Volume 433, Pages 749-754 参照]。第1の反応は、網膜神経節細胞の光吸収体に存するメラノプシンに由来する。網膜の受光細胞の反応と異なり、メラノプシンで駆動されるmcRGCの反応は、受光機構がないので、光レベルが増えるほど増え続ける。メラノプシン色素は、青光に反応し、反応自体は、非常に遅く、青光の瞬間的増加に対して数秒を要する。この遅い統合的反応は、主として平均瞳孔寸法に関与し、明るい光において小さく、暗闇でより遅れる。
他の型の総ての網膜神経節細胞(RGC)と同様、mcRGCも、眼の桿体および錐体の視細胞に由来する信号を伝達する。錐体の視細胞で駆動される成分は、黄光(輝度)に積極的に反応し、青光に消極的に反応する。この反応は、黄オン/青オフ型反応とよく称される。この反応は、錐体細胞の時間分解能を受けてより瞬間的である。また、この系は、上記信号がRGSに伝わる前に受光体の情報を処理する双極細胞や水平細胞などの受光体や細胞が持つ受光メカニズムを必ずしも含まない。網膜神経細胞の他の型は、画像の赤と緑の差分および輝度に関する情報を脳に伝える。主輝度信号は、パラソル神経節細胞によって脳に伝えられる。赤-緑色信号は、ミッドゲット神経節細胞によって伝えられる。パラソルおよびミドゲット細胞は、視神経線維の大多数を構成する。
パラソル細胞とミドゲット細胞とmcRGSの略半分を含む網膜神経節細胞の殆どの型は、外側膝状核(LGN)を経て視覚野に向かう。視覚野は、重厚に相互接続された視覚処理領域の集合である。これら視覚野の多くは、視床枕を経て複数かつ相互に間脳に接続される[更なる情報は、S. Shipp 著 "The functional logic of cortico-pulvinar (皮質-視床枕) connections", Philos Trans R Soc Lond B Boil Sci, Volume 358, Pages 1605-1624; & S. Clarke, S. Riahi-Arya, E. Tardif, A. C. Eskenasy and A. Probst 著 "Thalamic (視床) projections of the fusiform gyrus (紡錘状回) in man", Eur J Neurosci, Volume 11, Pages 1835-1838 参照]。
後頭葉視覚野内の高次視覚野領域は、次いでPON(視蓋前域)と通信して、その神経入力の略半分を供給する[上記P. D. Gamlin 参照]。皮質で計算される信号のうちの1つは、両眼視差から得られる距離情報である。
瞳孔の他の機能は、人間が近い対象を見た際に瞳孔が小さくなる近見反射である。これは、視野深度を増すことによって近見を助けることと推定される。近見反射は、明らかに深度に関する情報を必要とし、この情報は、PONからの皮質への両眼入力によってPONに供給される。近見反射は、上述の輝度および赤-緑差分の入力系からの入力を含んでいることが知られている[更なる情報は、F. J. Rucker and P. B. Kruger 著 "Accomodation responses to stimuli in cone contrast space", Vision Res, Volume 44, Pages 2931-2944 参照]。人間の輝度系のスペクトル色感受性は、黄色に対応する正味のピークスペクトル感受性を除く、赤および緑を感知できる錐体の合計入力によって供給される。
視覚野に由来する瞳孔への他の入力は、無彩色,等輝度かつ高空間周波数のパターンに対する瞳孔の反応であり、この反応によって、子供においても視覚の鋭敏さを評価することができる[J. Slooter and D, van Norren 著 "Visual acuity measured with pupil response to checkerboard stimuli", Invest OPhthalmol Vis Sci, Volume 19, Pges 105-8; またはK. D. Cocker and M. J. Moseley 著 "Development of pupillary responses to grating stimuli", Ophthalmic Physiol Opt, Volume 16, Pages 64-67 参照]。
従って、瞳孔は、黄色の刺激に対する少なくとも2つの感受性源、即ちmcRGCの黄-オン反応成分およびLGNの大型細胞層への投影である主構成成分を有する。パラソルRGCは、低空間周波数かつ高時間周波数に優先的に反応するようなゲイン制御機構を有する[E. A. Benardete, E. Paplan and B. W. Knight 著 "Constant gain control in the primate (霊長類の) retina: P cell are not X-like, some M cell are", Vis Neurosci, Volume 8, Pages 483-486 参照]。mcRGCの黄-オン反応成分は、このようなゲイン制御メカニズムを有さないように思われる。
瞳孔への種々の神経供給は、総じて、瞳孔が視神経線維の大部分および視床と皮質の種々の部分の活動に関して潜在的に報告できることを意味する。被験者に対して行われる視覚試験の1つの共通形態は、眼の視覚野の程度と機能を特徴づけることである。
人間の視野は、静的な視野計測によって一般に評価される。この評価の基礎的形態は、視野に亘って存在する各位置のアンサンブルへ小さな試験刺激を順次提示することを含む。被験者は、試験の間じゅう固定ターゲットを凝視したまま、試験中に提示された各試験刺激を見たか否かを主観的に表明する。殆どの視野計において、被験者は、ボタンの押下などの行動的反応により、特定の試験刺激を見たことを表明する。視野の構成部分は、特徴的視覚能力を有しうる。従って、視野計の目標は、視野の各測定部分の視覚能力を評価することである。
眼の瞳孔の特性を評価するため、関係のない技術が用いられる。例えば、特定の目視条件下での瞳孔の静的寸法を測定する瞳孔計と称される装置や、瞳孔の寸法の時間変化を監視する瞳孔グラフと称される装置であり、これらの装置の特徴は、米国食品医薬品局によって概説されている。瞳孔グラフは、視野計測の標準刺激と共に曾て用いられ、刺激に対する反応を測定し、視野の視覚マップを提供したが、信頼性に欠けることが判って、商業的に受け入れられなかった。
視野を評価することには、多くの理由がある。例えば、視野は、成長の間に変化する鼻,眉縁,頬骨などの顔の身体的特徴によって基本的に制限される。従って、視野の評価は、通常人の顔の特徴が、例えば特定のスポーツや職業のために適切な視野を提供できれば、顔の発達を追跡し,検査するために役立てることができる。視神経系は、成人に成るまで発達し続け、視野の態様に影響を与えうる。従って、視野試験は、若年者の発達状態を決定するために用いることができる。心理学的ストレス試験も、可逆的に視野を変化させる。従って、ストレス試験の前,後または途中に視野を試験する迅速な手段が利用できれば、ストレスレベル試験に有益である。視野試験は、診断自体の評価よりも、むしろ病気の管理に有用になりうる。例えば、多発性硬化症などの患者は、視神経炎などの過渡条件によって、視野の周期的喪失を被りうる。視神経炎は、しばしば急速に消散するが、治療によって手当てすることができる。従って、視野試験は、このような問題の管理を助けるために用いることができる。
同様に、緑内症などの他の病気は、視野の小さな領域に限局性の損傷をもたらす。このような病気は、現在,および恐らく将来の治療の影響を受けやすいので、視野試験は、長期に亘る治療の有効性を決めるために有用である。勿論、これは、視野試験が、医師が他のデータと共に被験者の視覚機能に影響する緑内症などの病気を診断することを助けるデータを提供するのに役立ちうることを意味する。緑内症の場合、視野試験で視野欠損が一旦見つかったなら、緑内症を裏付けるのに役立つ他のデータは、次のようなものがある。即ち、眼圧試験、偏光分析法や光緩衝断層計(OCT)による網膜の神経線維層の厚さ測定、或いは、目視検査による視神経の頭部のしばしば光ディスクと呼ばれる光トポグラフィー、ステレオ眼底写真、OCTまたは共焦点顕微鏡法である。これらの試験は、通常、納卒中などの脳に起因する視野欠損源を除去するための脳の磁気共鳴映像法やポジトロン照射分光法または脳波検査などの他の試験と共に行われる。
しかし、現存の静的視野計システムの主な欠点は、現存の試験が刺激を感知した患者の行動的反応能力に依存しているため(静的視野計は、瞳孔反応を用いない)、試験が主観的性質を持って、試験に不正確をもたらし、人間/患者の間違いをもたらすということである。典型的には、患者は、刺激に反応するための限定された時間窓を持ち、限られた数の刺激を提示される。従って、患者が集中していないと、何らかの誤った積極的または消極的反応が伝えられ、視野計が視覚感受性を良好に確立できず、診断の正確さが危うくなる。また、試験は、刺激に正確に反応しようという患者の能力不足または仮病などの場合は患者の意志欠如によって危うくなり、これらの能力不足や意志欠如は、例えば患者の自閉症,加齢性疾患,薬物による機能障害や中毒などの種々の要因によって引き起こされる。
現存の試験の更なる欠点は、試験が完了するまでの時間である。患者は各刺激に主観的に反応しなければならないので、試験が行われる時間が制限される。
視野をマッピングための客観的代替方法は、所謂多発性手法を適用することである。この方法では、視的刺激のアンサンブルが用いられ、このアンサンブルの各構成部材は、視野の特定の副領域に提示される。視野の各副領域における刺激の出現または非出現は、統計的に相互に独立な非周期的疑似乱数時系列によって変調される。変調の時系列は、最適には統計的に完全に独立、即ち変調時系列は、相互相関が零であって、互いに直交すべきである。種々の直交時系列に関する特許(Maddes & JamesのUSP 5,539,482、その開示は参照によって総て本願に含まれる)および近似直交時系列に関する特許(例えば、SutterのUSP 4,846,567)が在るが、最近の解析手法は、より一般的な刺激を用いることを可能にした(例えば、総てMaddes & Jamesに属するUSP 6,315,414、USP 7,006,863および国際公開WO 2005/051193、これらの開示は参照によって総て本願に含まれる)。
多発性手法の基本概念は、刺激の統計的な時間的独立が、夫々独自のシーケンスで駆動される多くの刺激を、例えば視野の異なる位置または異なる刺激条件で同時に提示することができることである。そして、総ての位置または刺激条件における提示に対して見積もられる反応は、視神経系の神経活動の記録から回収できる。刺激に対する神経の反応は、電磁気的検出器、赤外線の吸収,散乱,偏光、神経系の一部からの電磁波の放射または機能的磁気共鳴画像によって記録できる。十分理解されるように、このような神経反応を検出するセンサは、複雑で、効率的操作が典型的には患者の頭皮への正確な配置に依存している。また、電気的脳造影法などの方法は、異なる被験者は異なる脳構造を持ち、これが頭皮上で測定される信号に悪影響を及ぼすという事実に煩わされる。被験者は、頭皮または眼に電極が置かれることをしばしば嫌がり、このような接触方法に伴う健康上のリスクがある。刺激に対する反応は、非接触評価を可能にするという利点をもつ瞳孔モニタリングによって検出できるが、瞳孔運動撮影法を用いた市販の視野計システムは、現在のところない。
従って、被験者の視野の評価のみならず、例えば視覚(遠近)調節,視覚鋭敏性,聴覚や視聴覚機能,感情の状態,薬物使用や心の健康など種々の目的に用いることができる迅速で客観的に非接触で視野を評価することが求められている。
従って、本発明の目的は、従来技術の1つ以上の欠点を実質的に克服し、或いは少なくとも改善し、もしくは、特に刺激のアンサンブルを同時に試験することが望ましい場合、(瞳孔の反応によって、例えば視覚、聴覚または他の刺激を検出できる)有用な代替手段を少なくとも提供することである。
既述の如く、瞳孔は、視神経系の神経反応を記録するための卓越した基質である。従って、加えて、瞳孔は、精神的疾患と感情状態に関する情報、聴覚の刺激に対する反応、視聴覚の相互作用、視覚の鋭敏性および視的遠近調節系に関する情報を提供するものとして知られている。本発明者は、驚くべきことに、瞳孔系が、視野の一部、遠近調節刺激などの他の刺激の構成部分、または特定の感情を引き起こす刺激に対する反応から測定されるより信頼できる反応を提供するために利用できる以下に述べる特別の特性を有することを見出した。
次に、本発明の方法は、被験者または被験動物の一方または両方の眼を用いた視覚系の他の評価を助けるために瞳孔の反応を強めるように設計されている。ここで述べる本発明の方法および装置またはこの方法を実施するためのシステムは、これらの機能または視覚刺激の任意の集合を評価するために瞳孔が用いられる場合、機能および刺激の所望の小集合に対する瞳孔の反応を、試験される全集合のうちの他の小集合に比して強めることを可能にするので、有用である。
本発明の第1の態様によれば、被験者の神経系を評価するための方法が提供される。この方法は、少なくとも1つの刺激アンサンブルから選択された個々の刺激のシーケンスを、被験者の神経系に提示するステップを含む。選択された個々の刺激のシーケンスは、被験者の少なくとも1つの瞳孔に反応を起こさせるようになっている。上記刺激アンサンブルは、複数の個々の刺激からなる。選択された個々の刺激は、シーケンス中で同時に提示される。個々の刺激は、刺激アンサンブル中の個々の刺激によって喚起される瞳孔反応が、個々の刺激によって喚起される神経反応の強さに応じて均衡させられるように、上記個々の刺激が夫々均衡させられる。上記方法は、センサを用いて刺激で喚起される少なくとも1つの瞳孔反応を検出するステップと、検出された瞳孔反応を、アンサンブルの少なくとも2つの個々の刺激に対する被験者の神経反応の機能に関係づけるステップとを更に含む。
本発明の第1の態様の例としての構成によれば、被験者の神経系を評価するための方法が提供される。この方法は、被験者の少なくとも1つの瞳孔が反応するように適合させられた少なくとも1つの刺激アンサンブルから選択された個々の刺激のシーケンスを、被験者の神経系に提示するステップであって、上記刺激アンサンブルは、複数の個々の刺激からなり、選択された個々の刺激は、上記シーケンス中で同時に提示され、刺激アンサンブル中の個々の刺激によって喚起される瞳孔反応が、上記個々の刺激によって喚起される神経反応の強さに応じて均衡させられるように、上記個々の刺激を夫々均衡させるステップと、センサを用いて上記刺激で喚起される少なくとも1つの瞳孔反応を検出するステップと、検出された瞳孔反応を、上記アンサンブルの少なくとも2つの個々の刺激に対する被験者の神経反応の機能に関係づけるステップとを備える。
上記アンサンブル中の効果の大きい刺激に対する瞳孔の反応を減少させて、効果の小さい刺激に対する瞳孔の反応を増加させるように、上記個々の刺激は夫々均衡させられる。刺激の強さと瞳孔反応寸法の間の上記関係は、非線形である。この非線形関数は、瞳孔反応を均衡させるための重み付けを定義する。アンサンブル中の個々の刺激に、異なった非線形関数が用いられる。非線形の刺激/反応関数は、反応 = K×刺激z で表される冪関数である。
上記方法は、アンサンブル中の各刺激について減衰重みを得るステップを更に備える。この重みは、対数であって、線形均衡重みを与えるべく、アンサンブル中の刺激の反応寸法を対数で表すことによって得られ、冪関数に乗じられる。アンサンブル中の各個々の刺激は、各刺激のための減衰重みを表すための一意的な指数と結び付けられている。
上記刺激は、被験者の一方または両方の眼の視野の複数の位置に提示される視覚刺激であり、結果の一組の瞳孔反応は、一方または両方の視野に亘る視覚機能のマップを与える。従って、視覚刺激は、別々または同時に片眼または両眼に提示される。視覚刺激は、選択された平均刺激相互シンボル間隔をもつ統計的に独立な異なるシーケンスで非周期的に提示される。上記平均刺激相互シンボル間隔は、略1秒/領域または略4秒/領域から選ばれ、より一般的には、略0.25秒/領域〜略16秒/領域の範囲から選ばれる。
視覚刺激の上記アンサンブルは、多発性刺激アンサンブルであり、アンサンブル中の個々の刺激の出現または非出現、或いは、強度,色彩または空間周波数などの刺激の他の調節は、統計的に独立したシーケンスによって制御される。
アンサンブルから選択された個々の刺激は、重み付け関数に結び付けられ、選択された刺激の輝度は、重み付けられていない刺激が大きな神経反応を喚起する視野の領域を減じるように制御される。
1つまたは幾つかの視野位置の視覚刺激は、幾つかの刺激条件の間で交互に入れ替わる。上記刺激条件は、刺激輝度レベルと刺激色彩の組から選択され、アンサンブル中の各刺激に対する刺激条件は、一意的で統計的に独立なシーケンスによって、上記刺激条件が及ぶ刺激空間によって影響される神経反応を瞳孔反応が代表するように制御される。
視覚刺激のアンサンブルは、被験者の視野の試験部位の視的鋭敏性または空間周波数同調性を決定するため、異なる空間周波数の区域によって支配される格子または格子縞の刺激のアンサンブルとして提示される。
刺激のアンサンブルは、被験者の視野内の空間的に分解された1つまたは複数の位置に、空間的に分解された刺激に対する瞳孔反応が、同時に提示される空間周波数に対する神経反応を代表し、それによって被験者の視的鋭敏性または空間周波数感受性に関する情報が得られるように提示される。
上記視覚刺激は、被験者の眼の遠近調節系の機能を瞳孔反応が代表するように、被験者の各眼にステレオ視差キューを提示することによって、視野内の目標への距離測定を与えるようになっている。
アンサンブル中の刺激は、その刺激によって喚起される瞳孔反応が実質的に飽和しないようになっている。
上記視覚刺激のアンサンブルは、被験者の一方の眼に提示される第1のアンサンブルであり、この方法は、一意的な視覚刺激の第2のアンサンブルを被験者の他方の眼に同時に提示し、2つの網膜のうちの選ばれた1つの瞳孔反応を記録し、記録された瞳孔に関連する網膜の瞳孔反応を、直接瞳孔反応によって特徴づけ、他方の網膜の瞳孔反応を、共感反応によって特徴づける。
例としての構成では、一意的な視覚刺激の第2のアンサンブルを被験者の他方の眼に同時に提示し、2つの網膜のうちの選ばれた1つの瞳孔反応を記録し、記録された瞳孔に関連する網膜の上記瞳孔反応を、直接瞳孔反応によって特徴づけ、他方の網膜の上記瞳孔反応を、共感反応によって特徴づける。
上記刺激のアンサンブルは、聴覚刺激のアンサンブルである。上記刺激のアンサンブルは、被験者の特定の感情を喚起し、或いは、被験者の心の健康を調節する。この方法は、刺激のアンサンブルによって喚起された被験者の瞳孔反応を記録し、記録された反応から神経が介在する感情の機能または心の健康のメカニズムを特徴づけるステップを含む。
上記刺激のアンサンブルは、瞳孔の機能に影響することが知られている異なる薬物または他の化学物質或いはこれらの異なる投与量のアンサンブルである。
本発明の第2の態様によれば、被験者の神経系を評価するシステムが提供される。このシステムは、コンピュータシステムでありうる刺激シーケンス生成手段を含む。刺激シーケンスは、少なくとも1つの刺激アンサンブルから選択され、或いは由来する。刺激シーケンスは、複数の個々の刺激からなり、被験者の少なくとも1つの瞳孔に反応を喚起するようになっている。上記刺激シーケンス生成手段は、刺激アンサンブル中の個々の刺激に対する瞳孔反応が、個々の刺激によって喚起される神経反応の強さに応じて均衡させられるような少なくとも1つの重み関数を、刺激アンサンブル中の各刺激について夫々決定する。上記システムは、被験者の少なくとも1つの瞳孔に反応を起こさせるべく、刺激が均衡させられたシーケンスを被験者の神経系に提示する提示手段と、均衡させられた刺激のシーケンスによって喚起される少なくとも1つの瞳孔の反応を検出するセンサと、検出された瞳孔反応を、記録し、上記アンサンブルの少なくとも2つの個々の刺激に対する被験者の神経反応の作用に関係づけるプロセッサを更に備える。
本発明の第2の態様の例としての構成によれば、被験者の神経系を評価するシステムが提供される。このシステムは、被験者の少なくとも1つの瞳孔に反応を喚起するように適合させられた少なくとも1つの刺激アンサンブルから刺激のシーケンスを生成する手段であって、上記刺激アンサンブルは、複数の個々の刺激からなり、上記手段は、刺激アンサンブル中の個々の刺激に対する瞳孔反応が、個々の刺激によって喚起される神経反応の強さに応じて均衡させられるような少なくとも1つの重み関数を、刺激アンサンブル中の各刺激について夫々決定する刺激シーケンス生成手段と、被験者の少なくとも1つの瞳孔に反応を起こさせるべく、刺激が均衡させられた上記シーケンスを被験者の神経系に提示する表示手段と、均衡させられた刺激のシーケンスによって喚起される少なくとも1つの瞳孔の反応を検出するセンサと、検出された瞳孔反応を、記録し、上記アンサンブルの少なくとも2つの個々の刺激に対する被験者の神経反応の作用に関係づけるプロセッサとを備える。
上記システムは、記録されたデータのデータベースを更に備え、上記記録されたデータは、個々の刺激によって少なくとも1人の被験者に喚起された神経反応の強さまたは平均強さ、および、個々の刺激によって少なくとも1人の被験者に喚起された瞳孔反応の強さまたは平均強さのうちの少なくともいずれかに関する情報からなり、刺激シーケンス生成手段は、記録されたデータを解析して、各個々の刺激のための少なくとも1つの重みづけ関数を決定する。重みづけ関数を決定するための上記記録されたデータの解析は、個々の刺激の強さとこれによって喚起される瞳孔反応の間の関係を与える。上記非線形の刺激/反応関数は、反応 = K×刺激zで表される指数関数である。アンサンブル中の各個々の刺激は、各刺激のための減衰重みを表す一意的指数に結び付けられている。
上記アンサンブルの個々の刺激は、被験者の一方または両方の眼の視野内の複数の位置に提示される視覚刺激であり、結果の一組の瞳孔反応は、一方または両方の眼の視野に亘る視覚機能のマップを与える。
上記刺激シーケンス生成手段は、選択された平均刺激相互シンボル間隔で非周期的に刺激を提示するようになっている。上記刺激シーケンス生成手段は、選択された平均刺激相互間隔で非周期的に刺激を提示するようになっていて、上記平均刺激相互間隔は、上記平均刺激相互間隔は、略1秒/領域または略4秒/領域から選ばれ、より一般的には、略0.25秒/領域〜略16秒/領域の範囲内で選択される。
本発明の更なる態様では、第1の態様の方法を適用するための装置が提供される。本発明の更なる態様では、第2の態様のシステムを実施するための装置が提供され、更に、第2の態様のシステムを第1の態様の方法で実施するための装置が提供される。
次に、添付の図を参照して本発明の方法、装置およびシステムの実施形態を説明するが、この実施形態は、本発明を限定するものではない。
図1Aと1Bは、眼に提示すべく設計された44の刺激からなる単一のアンサンブルの2つの小集合を示し、被験者は、このアンサンブルの中心を凝視し、幾つかの刺激は、同時に提示されると、潜在的に重なり合う。
図2は、被験者の両眼を独立して刺激し、瞳孔に対応する各眼の反応を、赤外線照射下でビデオカメラによって独立にモニターするように設計された装置の典型的な詳細配置を示す図である。
図3は、図1の刺激配列の44の領域について眼,瞳孔および被験者に亘って計算され、瞳孔寸法を検査する8つの刺激プロトコルに反応する16人の正常被験者から得られた瞳孔収縮寸法の中央値の飽和を、各刺激の最大輝度の関数として描いたグラフである。
図4は、図3と同じデータを、反応をSN比の中央値であるZスコアで表して描いたグラフである。
図5は、4つの輝度レベルに対する瞳孔収縮寸法の中央値を、刺激を1秒/領域の平均刺激相互間隔で提示する急刺激条件下で、各領域および左右の眼刺激について描いた図3と類似のグラフである。
図6は、刺激を4秒/領域の平均刺激相互間隔で提示する緩刺激条件下で得られた図5と類似のグラフである。
図7は、異なった色相(色)の刺激について異なった18人の被験者の集合から得られたデータを描いた図3と類似のグラフである。
図8は、図7と同じデータを、反応をSN比の中央値であるZスコアで表して描いたグラフである。
図9は、平均刺激相互間隔が1秒/領域である急刺激条件下で図1のような刺激配列に対する21人の正常被験者の反応中央値を示しており、視野に亘っての瞳孔反応の典型的変化が示され、この提示のフォーマットに対する図1の刺激領域マッピングは、図11に示される。
図10は、平均刺激相互間隔が4秒/領域である緩刺激条件下で得られた点を除けば図9と同じ図である。
図11は、図1の刺激領域番号と図9,図10,図15A,図17Aに示される複数の反応マップとの対応を示すマップである。
図12は、視野に提示される刺激の数が増加すると、試験刺激に対する反応のゲインが減少することを示し、所定の被験者,光,遠近調節レベルにおいて瞳孔寸法中央値を比較的に一定に維持しようと働くゲイン制御機構が存在することが示唆される。
図13は、個々の刺激の各平均輝度が平方根均衡システムを用いて設定された刺激均衡アンサンブルの典型的な配置を示す。
図14Aは、急刺激条件下で刺激非均衡アンサンブルの44の領域に対して21人の正常被験者の瞳孔反応寸法中央値を測定し、測定結果を最小反応領域から最大反応領域に昇順に並べ替えて(ソートして)示したグラフである。
図14Bは、図13に示された刺激均衡アンサンブルによって多発性刺激を均衡させたことによる変化を、非均衡刺激条件からのデシベル差で表したグラフであり、図14Aと同じ昇順の並べ替えをしている。
図15Aは、急刺激プロトコルに対する領域の非均衡データの中央値をデシベルで示し、図15Bは、均衡によって瞳孔反応が著しく減少した視野の領域を示し、図15Cは、均衡によって瞳孔反応が著しく増加した視野の領域を示す。
図16Aは、緩刺激プロトコル下で刺激非均衡アンサンブルの44の領域に対する21人の正常被験者の瞳孔反応寸法中央値をデシベルで示し、測定結果を最小反応領域から最大反応領域に昇順に並べ替えて示したグラフである。
図16Bは,図13に示された刺激均衡アンサンブルによって多発性刺激を均衡させたことによる変化を、刺激非均衡条件からのデシベル差で表したグラフであり、図16Aと同じ昇順の並べ替えをしている。
図17Aは、緩刺激プロトコルに対する領域の非均衡データの中央値をデシベルで示し、図17Bは、均衡によって瞳孔反応が著しく減少した視野の領域を示し、図17Cは、均衡によって瞳孔反応が著しく増加した視野の領域を示す。
図18は、正常および緑内症の被験者を4つの刺激プロトコルで試験し、受信者操作特性(ROC)のプロットから曲線下の面積百分率(AUC)を求め、その際、各眼について標準データからの偏差で並べ替えて、偏差の大きいN個についてROCをプロットした。
図19は、図18のグラフにおける推定標準誤差を示し、図18に示すAUC推定、特に急-均衡刺激による値100のAUC推定が良好であることが判る。
図20は、加齢に関係する黄変による水晶体の吸収を、30歳代〜90歳代の夫々について示したグラフである。
別途定義しない限り、ここで用いられる科学技術の用語は、本発明の技術分野の当業者に通常理解される意味を持つ。本発明のために、次の用語を定義する。
冠詞"a"および"an"は、1または1以上のこの冠詞の文法上の目的語を述べるために用いる。例えば、"an element"は、1つの要素または1以上の要素を意味する。
用語"about"は、基準の頻度または確率の30%, 好ましくは20%, より好ましくは10%まで変化する頻度または確率を意味する。
本明細書を通して、文脈が別途要求しない限り、単語"comprises"と"comprising"は、述べるステップ,要素,またはこれらの群を含むことを意味するが、他の任意のステップ,要素,またはこれらの群を排除することを意味しない。
ここに記載されるものと類似または均等な任意の方法および材料は、本発明の実行または試験に用いることができ、ここには、好ましい方法および材料が記載されている。ここに記載される方法,装置およびシステムは、種々の方法および目的で実施することができると理解される。ここには、単に例が記載されているにすぎない。
図1Aと1Bは、被験者に視覚的に提示するための極座標で目盛られた44の刺激1からなる単一アンサンブルの2つの小集合を示している。個々の刺激1の夫々は、視野の一部に亘る極座標サンプリング格子上の複数の点を中心とする選択された位置に提示される。個々の刺激は、サンプリング格子点に同時に提示されるなら、視野の幾つかの部分で潜在的に重なるが、サンプリング格子の垂直子午線および水平経線を横切って重ならないように構成されている。刺激の重なりは、サンプリング格子上の刺激の空間的エイリアシングが最小になるようなものである。即ち、刺激は、サンプリング格子が正確に描けないようないずれの空間周波数にも殆ど伝わらない。これと択一的または同時的に、刺激は、同時に提示されるなら、個々の刺激が十分に重なって、サンプリング格子の幾何学的形状によって定義され,ナイキストレートと呼ばれるサンプリング格子の臨界サンプリング周波数を超える空間周波数には殆ど伝わらないように構成されている。刺激のプロファイルは、滑らかに変化し、或いはぼやけさせられる。個々の刺激の(特に個々のプロファイルの縁や隅で)滑らかに変化するプロファイルは、十分に滑らかで、低空間周波数のフーリエ成分のみを含む。刺激のプロファイルは、個々の刺激が、サンプリング格子の複数の点によって定義されるサンプリング格子で表される最大空間周波数を超えない空間周波数のみを含むように滑らかに変化する。滑らかに変化するか或いはぼやけた個々の刺激は、被験者が十分屈折できない(即ち、不正確,不十分な屈折または補正なしの屈折)から、被験者の視野の評価結果が著しい悪影響を受けることがないという顕著な利点を有する。このような刺激サンプリング格子および個々の刺激の特性は、MaddesとJamesの国際出願PCT/AU2008/001663の主題であり、この国際出願の内容は、この参照によって本発明に組み込まれる。
配列中の44の領域は、図1Aと図1Bに示すように、参照番号1〜44が付されている。刺激は所望の時系列で提示するように意図され、一方、被験者は、配列の中央5を凝視し、刺激領域が視覚空間内の所定位置に出現すれば、網膜の特定の部分に位置付けられ、これによって視覚活動の結果であるマップとそれに対応する網膜の部分およびこの部分からマッピングされた大脳の視覚野との対応を確立する。この特定の配置において、各領域は、同一の最大中心輝度を有し、配列は、中心固定点5から半径方向に略30°まで拡がっていることに気付くべきである。通常、刺激1は、試験の一部として所望の順序で1つずつ提示され、被験者は、各刺激領域にボタン押下などで主観的に反応する。
現配置では、アンサンブルは、多発性刺激配列として提示され、個々の領域に刺激を提示するか否かは、統計的に独立で非周期的な疑似無作為シーケンスによって制御される。従って、アンサンブル内で刺激が出現しうる領域は潜在的に重なりうるが、実際には、刺激の提示は、同時に出現する刺激が重なることが全くまたは希にしか起こらないように制御される。しかし、多発性提示は、多発性刺激シーケンスが統計的に独立であるため、複数の刺激が選ばれた幾つかの領域で同時に出現しうることに留意すべきである。この実施形態では、試験のために表示される刺激提示シーケンスの連続するフレームにおいて隣接する領域に滅多に刺激が出現しないよう、刺激が空間的にまばらな配置になるように特に取り計らわれている(より詳しくは、Maddess & Jamesの国際公開公報WO2005/051193に開示されている)。原理上は、多発性提示方法は、隣接する刺激間の重なりを許容し、実際、非線形重み付けにより非線形相互作用を特徴付けることができることで重なりの利益を得る。しかし、この実施形態では、同時または連続して出現する刺激間での重なり量は、最小に維持される。但し、多発性刺激解析の分野の当業者は、刺激の重なりが特定の試験方法や応用に有利であることを認めている。
本発明の方法によって多発性刺激を提示し、瞳孔の反応を記録するために適切な装置の例は、図2に示される。本発明における刺激の構造は、2つの眼に独立した刺激を提示する両眼分離視(即ち、各眼が、試験中に独立して制御される異なったパターンやシーケンスを見る)のものである。左眼16aと右眼16bのための独立な刺激は、2つの液晶表示器(LCD)10と11に夫々表示される。焦点力(焦点距離)の等しい収斂レンズ14は、出現する表示が遠焦点に位置するように焦点距離を選択されて用いられる。屈折特性(例えば焦点距離)を異ならせうる修正レンズ15は、眼16a,16bの屈折誤差を修正するために設けられる。発光ダイオード(LED)17は、眼を照らすための赤外光を発し、各眼の反応を別々に記録する検出器18,19は、瞳孔収縮を記録する。この検出器は、ビデオカメラ,CCD(電荷結合素子)検出器,フォトダイオード検出器,単なる出力検出器または被験者の眼で反射された赤外光を記録するに適した他の検出器にすることができる。2つのダイクロイックミラー12,13は、各LED表示部の画像を被験者の一方の眼へ反射する一方、LED17からの赤外光を透過させて被験者の眼を照らすとともに、眼から反射した赤外光を透過させて検出器18,19に送り、検出器が通信線18a,19bを介して解析のためのコンピュータシステム19と通信する。
この装置の詳細な構成では、コンピュータシステム19は、刺激シーケンスを生成するために用いられ、特定のシーケンス中の特定の刺激領域(例えば、図1A,1B参照)における刺激は、通信線10a,11aを経てLCD表示部10,11に送られて、被験者の各眼16a,16bに向けて表示される。この装置の好ましい構成では、各LCD表示部に表示される刺激シーケンスは、被験者/患者の各眼が互いに独立に試験されるように(即ち、両眼分離視の刺激)互いに独立に生成される。これと択一的に、刺激領域が両眼の視野の同じ位置に同時に提示される両眼試験を実施したい場合がある。上記コンピュータシステムは、瞳孔の下部3/4(即ち、略75%または略65%〜85%の範囲)で直径略3〜4mm以上の円に適合して記録できるようになっていて、患者の各眼の瞳孔の直径を独立して実時間で測定し、オプションとして特定の試験中に両眼16に提示される独立して変化させられる刺激領域に対する両眼の網膜の反応を推定する。特に年寄りなど幾らかの人は、眼瞼下垂症であったり,上瞼が垂れ下がっていて瞳孔を覆い隠すので、瞳孔の下部3/4が円に適合される。瞳孔の寸法が小さくて、上瞼が小さな瞳孔を覆い隠しそうにないなら、瞳孔全体に適合させるのが有利である。刺激シーケンスは、各LCD表示部10,11に表示されるビデオ信号の形式であり、毎秒60フレームで提示されるのが有利である。この実施形態では、検出器18,19は、被験者の各眼の反応を毎秒30フレームのレートで独立してサンプルする。検出器18,19による患者の瞳孔反応のサンプリングは、LCD表示部に表示される刺激シーケンスフレームの2フレーム毎に同期させられる。既述の如く、被験者の各瞳孔は、直接反応および共感性反応の形の両眼の網膜からの蓄積された入力を受け取る。故に、検出器18,19によって記録される瞳孔収縮は、各網膜直接応答および共感性応答に関する情報を与える。
瞳孔反応の空間的変化
図3は、8つの異なる刺激プロトコルを定義するように刺激パラメータを変化させた図1A,1Bの刺激配列の多発性表示の試験結果を示し、試験は、次に述べる2つの提示レートおよび4つの輝度で行われた。図1と異なり、刺激の8つの群は総て黄光であり、黄光は、異なる人物/被験者による青光の差吸収の効果を最小化するために用いられ、青光の差吸収は、被験者の水晶体の黄変(ブルネッセンスとしても知られている)率の差により、また、被験者の網膜の黄斑色素による青光の差吸収の結果として生じる。白光刺激は、青光成分を著しく含むが、黄光刺激は、青光成分を僅かまたは全く含まないことに留意すべきである。黄光刺激は、赤光刺激と緑光刺激(例えば、LCD表示部の青画素からの青成分を含まない)を組み合わせて作られ、通常略590nm以上、より一般的には570〜600nmの波長を有する一方、黄変水晶体の光吸収の増加は、主として550nm以下の波長で生じると一般に認められている[例えば、Tomoda A, Yoneyama Y, Yamaguti T, Kakinuma K, Kawasaki K, Yonemura D 著 "Spectroscopic studies of grunescent cataractous lenses", FEBS Lett. 1987 JUl 27; 219(2): 472-6 参照]。従って、略500nm以上,略550nm(図20の加齢に関係する黄変による水晶体の吸収のグラフ参照)〜700nmまでの波長の視覚刺激を用いることは、水晶体の黄変の影響を避けるために有益である。
8つの刺激変化つまりプロトコルの夫々は、そのプロトコルにつき1回−(緩急)2つの提示速度および4つの異なる輝度レベルで、16人の視覚が正常な被験者に対して試験され、つまり、各被験者は8回試験された。被験者の両瞳孔は、8つの刺激プロトコルの各々について2816の反応を与える領域に直接反応および共感性反応(なぜなら、各瞳孔は両網膜に由来する反応を伝えるからである)を起こす。初め4つのプロトコルは、各領域に提示する刺激の平均間隔が1秒である刺激を含み、これを急刺激型と称する。他の4つのプロトコルは、刺激の平均間隔が4秒であって、これを緩刺激型と称する。総てのプロトコルにおいて、刺激は周期的な間隔で提示、つまり一定の刺激間シンボル間隔で繰り返して提示されず、非周期的、つまり緩刺激型または急刺激型の平均間隔に対応する選ばれた刺激間平均間隔で提示される。また、総てのプロトコルにおいて、所定の刺激領域に提示されると、被験者は、刺激を33msのあいだ表示部上で見ることができる。刺激のコントラストも、提示中に略15〜30Hzで、より一般的には略0,24秒までの提示時間で時間に調節できる。従って、総てのプロトコルは、Maddess & JamesのUSP 7,006,863に記載された時間的にまばらな刺激方法と一致し、この文献は、上記緩,急刺激型の覆う範囲の刺激のSN比に及ぼす提示速度の効果について詳細に記載している。この2群のプロトコルの夫々は、4つの最大輝度レベル72,144,216,288cd/m2のいずれかで提示される。全刺激の持続時間は240秒であるが、夫々が30秒である8つのセグメントに分けられている。
図3は、瞳孔収縮の中央値を示し、中央値は、この試験の16人の被験者の夫々の瞳孔,眼,領域に亘って計算される。各輝度刺激に対するこの瞳孔収縮寸法の中央値は、刺激/反応曲線を記述している。実際、個々に開示した全ての例におけるように、収縮寸法は、一定値に対して目盛られた収縮量である。この例での一定値は、各試験の240秒のデータの傾向線の中央値で3.5を除した値である。これは、目盛られるべき瞳孔寸法が被験者の標準に略等しいとして用いた略3.5mmの平均寸法を総ての瞳孔が持つと仮定して目盛った刺激に対する収縮ピーク値であることを意味する。しかし、必要に応じて他の目盛因子を用いることができることは理解できよう。勿論、収縮寸法を目盛る必要はなく、必要なら目盛られない結果を用いうることも理解できよう。目盛ることの主な利点は、相対直径のみを用いるので、特により小さい瞳孔直径になる傾向のある老人において、平均瞳孔寸法における差を大幅に相殺できることである。
図3のデータ点上の各誤差バーは、中央値の標準偏差と等価な平均絶対偏差に基づく99%信頼限界である。実線曲線23は、急刺激に対する刺激-反応曲線を表す。
驚くべきことに、216cd/m2以上の輝度レベルでは、瞳孔反応が明らかに飽和することが見出された。この輝度レベルでは、μm単位の瞳孔収縮ピーク値で記録されたより大きい瞳孔収縮によって、より大きい反応が示されている。即ち、反応の大きさ,つまり瞳孔収縮寸法は、刺激が288cd/m2まで増加しても増加しない。理解できるように、網膜の所定部分の反応性を試験したい場合、瞳孔反応を完全に飽和させる程明るい刺激を用いることは望ましくない。飽和させる刺激を用いるなら、幾分小さいまたは大きい反応性の領域が、略最大飽和反応と同じ反応を生じさせ、反応性における小さな変化の測定を難しくする。なぜなら、任意の特定輝度において輝度変化を検出する能力は、図3,4に示すような刺激/反応曲線の勾配に関係するからである。図3の破線曲線24上の点で示される緩刺激に対する反応は、より大きな反応と少ない飽和を示している。図4は、図3と同じ反応中央値データを、反応を正規分布のZスコアとして記録されたSN比で表して描いたグラフである。従って、Zスコアは、零反応からの標準偏差を表し、信号品質の中央値および統計的有意性を表す。また、図4のZスコアは、プロット25,26に見られるように、夫々急刺激条件,緩刺激条件に対する飽和を示す。図3,4の結果から、SN比が最大であるが、飽和効果が顕著でないことが(少なくともこの零の条件下で)望ましい場合、最大輝度が略216cd/m2の刺激を提示する急刺激条件を用いて瞳孔反応の試験をすることが理解できる。瞳孔反応試験を緩刺激条件下で行う場合、最大輝度が150cd/m2の刺激を提示しても、SN比は略2.4であり、これは片側試験における零反応からの中央値信号の有意性が0.009のp値を有し、高中央値レベルの有意性であると理解される。
緩刺激に対する反応は、大きいが、急刺激に対する小さい反応よりも飽和しにくいということは、初めは奇妙に思われるかもしれない。このことは、飽和が、瞳孔直径制御の最終段階と領域ごとに異なる早期段階の2段階で起こることを示している。これは、図5のプロットで証明される。図5は、試験中に提示される全刺激が略1秒/領域の平均表示間隔をもつ急刺激条件下で各輝度および領域に対する被験者および瞳孔の反応の中央値が計算された結果を表す。図5には、図1のような各刺激領域に対する単一のプロット軸がなく、データのグラフがその刺激領域のみに関連する図3と類似の各プロット軸が示されている。各プロット軸には、凡例36に示すように、左眼刺激に対する反応と右眼刺激に対する反応を夫々プロットした2つの曲線があることに留意されたい。信頼限界は、図3に示したと同様小さいが、表示明瞭化のため示されていない。図1の複数の刺激領域の中心位置と図5の各小プロットとの間には大まかな対応があることに留意されたい。例えば、プロット31は、図1Aの領域37に対応し、プロット32は、図1Bの領域25に対応する。44の小プロットの夫々の縦座標の軸目盛33は、6μmの瞳孔収縮を表し、小プロットの夫々の横座標は、図2,3と同じく72cd/m2から始まって、最大輝度は288cd/m2である。驚くべきことに、或る領域(例えば、図5の領域34)は、全く飽和しない大きな反応を示し、他の領域(例えば、図5の領域35)は、小さい反応レベルで既に飽和している。
以上から、任意の特定輝度における反応が、全刺激領域について同時に測定されることが想起される。従って、個々の領域に対する反応は、全瞳孔反応を生成すべく蓄積される前に、視野からの反応を反映する。従って、上述のように、飽和は、蓄積される前と後に独立して生じる。同様の効果は、図6に示すように、統計的に独立な多発性刺激が略4秒/領域の平均間隔で提示される4つの緩刺激プロトコルに対する反応にも見られる。
18人の被験者の異なる群に対して試験された12の刺激プロトコルを含む同様の実験が行われた。この実験の刺激は、平均間隔が1秒の急刺激型のみであったが、白,黄,赤の3つの異なる色相の1つを有する。白と黄の刺激は、輝度レベルが36,72,144,288cd/m2である。人間の輝度系は、波長の長い赤に対する感受性が低いので、この実験に用いたLCDは、36cd/m2と72cd/m2の輝度をもつ赤刺激のみを生成する。図7は、実験の結果を示し、瞳孔反応は、白,黄,赤(図7の夫々線41,42,43)刺激に対して別々に示されている。総ての色について、観察された反応寸法の中央値および飽和は、色よりも主として刺激の輝度レベルに依存することが判る。この結果は、ゲイン制御系が、ここで用いたような低空間周波数が支配的で,時間的に過渡的な刺激に対する反応を強めると考えれば、観察された反応は、視覚野を介するパラソル細胞に起因するという予想と一致する。また、mcRGCの黄-オン成分は、観察された瞳孔反応に強く寄与すると予想される。図7のデータ点上の誤差バーは、夫々99%信頼限界を示す。データをSN比中央値を表すZスコアでプロットしても、図8に示すように同じ結論が得られる。
図5,6から判るように、任意の特定の輝度レベルに対して生じる瞳孔収縮の寸法は、視野に亘って首尾一貫した変化を示す。加えて、瞳孔収縮の大きさは、2つの眼の間で左右対称を呈し、右眼のデータが鉛直軸の周りに鏡面対称を成す図5,6を作成する。従って、図5,6のデータは、左眼が示す反応と対称を成すように示される右眼からのデータを有する。従って、両眼からのデータは、左眼等価マッピングで示されていると言うことができる。鏡面対称は、両眼に対して別々にデータを示すことによって最良に見ることができる。図9は、収縮寸法をグレイレベルで示した21人の正常被験者の第3群からの瞳孔収縮の中央値を示している。グレイレベルと収縮反応寸法の対応は、鉛直の較正バー91に示される。ここで、刺激は、平均刺激間隔が1秒の急刺激であるが、各刺激の最大輝度は、210cd/m2である。図から、左眼データ(左図)は、右眼データ(右図)に対して少なくとも略鏡面対称をなすことが判り、被験者のこめかみに近い半視野である側頭視野は、被験者の鼻に近い半視野である鼻側視野よりも常に大きい反応を示すという驚くべき結論が導き出される。このことは、平均刺激間隔が4秒である緩刺激型にも、図10のグラフから判るように、当てはまる。側頭側半視野と鼻側半視野の反応差の識別は、鼻側半視野の遙かに小さい反応が、この領域のSN比が小さいからこの領域の検出感度を低下させるという結果に繋がるので、瞳孔視野試験の潜在的誤差源を目立たせる。この顕著な発見は、瞳孔反応試験に対する反応の鈍い視野領域の反応を増大して、試験の実施に特に適合した装置および方法に対する切実で大きい必要性を発現させる。図9,10の領域のレイアウトは、図1の領域のレイアウトに正確には対応していないことに留意されたい。対応していないが、図示の重なっていない領域は、図1の実際の(時々重なる)刺激領域の位置におおよそ中心を置いている。両領域間の正確な対応は、図11に輪郭を描いた番号を付した図解に示され、図11は、図1の領域番号と図9,10の領域番号の対応を示している。
瞳孔反応ゲイン制御機構
更なる驚くべき効果は、瞳孔に由来する信号の生成において個々の領域の反応を蓄積する際に働くゲイン制御機構の発明者による発見である。この効果は、図12に示され、図12は、単一の試験刺激領域の同一刺激に対する瞳孔収縮寸法を、より刺激の強い領域として試験に含まれた活動刺激領域(領域1,2,4,8,16)の総数の関数として示している。背景輝度は10cd/m2、各刺激の最大輝度は290cd/m2であり、総ての刺激は、0.5秒の平均刺激間隔で提示された。試験された領域は、図1に示す領域から選ばれた。活動刺激領域の数が増えると、個々の刺激に対する反応が減少することが明らかである。これは、より多くの刺激が存在すると、領域当たりの反応ゲインを減じるようなゲイン制御機構が働くことを示している。このゲイン制御機構の結果を、次に詳細に説明する。
所定環境輝度レベルで所定の人間の瞳孔は、平均瞳孔寸法Kに比例する対刺激(例えば、視覚,聴覚または他の刺激)反応能を有する。この系においては、眼にN個の刺激Siが提示される。示された所定数の試験領域に対して特定のゲインgがある。上記刺激に対する脳内の反応riは、siの関数,つまりri = f(si) である。図5,6の調査によって、刺激/反応関数は、冪法則,つまり f(si) ≒ asi z で近似できる。ここで、指数zは1以下である(指数は、視野の個々の領域で大抵異なるが、簡素化のため全領域に亘って同じ指数を用いた)。図12に示した結果は、被験者の両眼の動眼神経(脳神経III)の線維を経て結果が送られる以前かつ乗算のゲイン係数gを適用する前に、与えられた刺激siで生じる瞳孔直径の変化を制御するために、f(si) が蓄積されることを示している。特定の照明に対して被験者および遠近調節の条件が略一定と仮定すれば、平均瞳孔寸法Kは、蓄積過程を単純な加算で近似して、次のように記述できる。
i=N
K =g Σ f(si)
i=1
この式は、所定の刺激siに対する反応が、他のすべての反応に依存することを示している。
第k番目の刺激skについて上式を変形すれば、
j=N
gf(sk) = K − (g Σ f(sj) )
j=1 j≠k
そして、刺激sj≠kに対する蓄積反応をPj≠kと表せば、次式となる。
gf(sk) =K −Pj≠k
ゲイン制御と任意の瞳孔寸法で反応する瞳孔の制限された能力の組み合わせである上記式から、所定の反応f(sk)の寸法を増加させるには、他方のPj≠kを減少させなければならないという結論が導かれる。幸いにも、図5,6,9,10に示すように多くの反応、特に側頭視野からの反応は、非常に大きい。従って、側頭視野に対する刺激skの効果を減じれば、他のすべての領域の反応が増加する。
図12の結果と上記式の相互関係から、側頭視野の領域などの強く反応する領域の輝度を減じれば、蓄積反応全体が減少すると推定できる。このことは、より弱く反応する領域の全瞳孔反応に占める割合を増加する。
均衡刺激
瞳孔反応ゲインの効果を実証するため、4つの刺激プロトコルを用いた研究が計画された。これらの刺激プロトコルのうちの2つは、明るさを減じるように各領域の輝度を重み付けし、より反応する領域を蓄積反応に寄与させる局所的輝度均衡スキームを呈するように策定された。刺激均衡プロトコルの1つは、急刺激の平均刺激間隔略1秒/領域で動作し、他は、緩刺激の平均刺激間隔略4秒/領域で動作した(Maddes & JamesのUSP 7,006,863 参照)。残る2つのプロトコルは、44の各領域の最大輝度が略210db/m2である図1のような刺激アンサンブルを用いることによって、図3〜図8に示すような刺激/反応曲線の飽和割合を最小化するように策定され、同様に緩,急の刺激レジメで動作した。図4から、ここで用いた刺激間隔での提示には、略100〜240cd/m2の平均輝度が合理的であることが判る。
必要な領域毎の輝度均衡減衰を決定するため、35人の正常被験者が、最大輝度240cd/m2で平均刺激間隔1秒の急刺激プロトコルで試験された。被験者の瞳孔収縮反応中央値は、各領域について計算された。個々の領域が輝度に対して線形に反応すると仮定すれば、正確な重みの組みは、被験者の反応に亘る中央値をデシベルに変換し、つまりdB = 10log10(反応)を求め、各領域の最大輝度をその領域に対応するデシベル重みで減衰させることによって得られる。この減衰は、後掲の表1の「リニア(dB)」欄に対応する左眼の領域番号と共に示されている。
図5,6に示された領域に特有のデータの綿密な解析は、反応が、輝度と反応の間の冪法則関係に似た関係で飽和する,つまり次式が成り立つことを明らかにした。
反応 = K×輝度z または、より一般的には、
反応 = K×刺激z
但し、係数zは1以下または1以上である。
従って、合理的な近似は、刺激/反応の線形関数に最適のデシベル減衰として0.3〜0.8を乗じることである。これを実証するため、0.5が選ばれた。デシベル減衰に0.5を乗じることは、冪法則の指数が0.5であること,つまり平方根の線形減衰に等しい。この新たな平方根減衰は、後掲の表1の「平方根(dB)」欄に示されている。この本発明の方法の自明な拡張は、本発明を限定せず、全領域の平均指数に適合し、減衰を規定するために使え、或いは、各領域の個々の指数に適合し、各領域の異なる係数を与えるために使える。これと択一的に、冪法則以外の或る関数を、減衰を定義するときに刺激/反応関数の形状を考慮することによって用いることができる。瞳孔寸法を変化させる非視覚的刺激を試験するための幾つかの刺激は、刺激/反応関数の形状が全く異なることに留意すべきである。上述の方法は、発明を限定せず、原理を説明することのみを意図している。
減衰が0dBである領域11と30,つまり非減衰領域における最大輝度290cd/m2について、各領域の平均輝度は、210.35cd/m2であり、不均衡刺激の平均輝度と同様であった。均衡領域の刺激アンサンブルの輝度中央値は、205.35cd/m2であった。平均瞳孔寸法が広範囲の平均輝度に依存する程度については、4つの刺激プロトコルの総てが、同じ平均瞳孔寸法を与えると予想される。
この平方根刺激均衡アンサンブルの型の例は、図13に示される。この例の空間配置は、図1のそれと非常に似ているが、ここでは左眼刺激が示され、より強く反応する領域,特に側頭領域は、ぼやけて示されている。均衡刺激の各領域の最大輝度は、鉛直較正バー101を見れば理解できる。
表1

平均提示間隔が1秒または4秒である均衡または不均衡刺激を提示する4つの刺激プロトコルが、21人の正常被験者と原発性解放隅角緑内症の被験者に対して試験された。被験者の2群は、年齢と性別が合致している。緑内症患者は、少なくとも片眼の視野重症度が軽度または重度に格付けされる。この重症度の格付けは、ハンフリー視野計 II(HFA II)で得られる視野データの所謂平均欠陥(MD)に基づく基準である。MDは、測定される視野の部分に亘る感度の基準データからのデシベル偏差の重み付け平均である。
この試験では、HFA IIの24-2パターンが総ての被験者に用いられた。24-2パターンは、視野中心から24°内総ての点の6°矩形格子上の位置を試験する。重症度は、6dB<MD<12dBの場合軽度であり、MD>12dBの場合重度である。
緑内症患者を含めたのは、均衡刺激方法が、弱い反応領域の反応寸法を改善するか否かを確かめるのみならず、均衡刺激方法が、診断や治療管理を支援し、或いは病気でない正常な視野の態様に関する小さな変化または生理学的反応で測定できる他の機能を検出できるか否かを決定するためである。
均衡刺激方法は、正常被験者の反応寸法を著しく改善することが明らかになった。これを実証するため、正常被験者から得られた瞳孔収縮データを他変数線形モデルに当てはめた。データは、まず、ラムダ値10の一般化対数変換によってデシベルに変換された。線形モデルは、観察された反応を決定しうる種々の独立した効果が調べられた。緩,急のプロトコルは、別々に比較された。適合には、各左眼等価領域および各領域と均衡条件との相互作用が含まれた。この均衡相互作用条件は、主領域の効果が被験者,瞳孔,眼に亘る不均衡条件を参照するための手段となるようにコントラストとして適合され、相互作用は、基準条件からの偏差を与えた。従って、この各相互作用に対するT-統計は、試験された44の各視野領域/眼において基準不均衡条件から著しく相違した。
図14Aは、眼の44領域からの適合された平均基準反応を最小から最大へ昇順に並べ替えて(ソートして)示したプロット111である。図14Aの表示順は、図14Aの並べ替え順になっているが、図14Bのデータはそうではなく、それ自身で並べ替えられている。すなわち、図14Aのデータが当初d=[3 5 4]であったなら、並べ替え順は、s=[1 3 2]であるので、d(s)=[3 4 5]となる。dと同じ順で並べ替えられた新たなデータ群G=[XDF]があれば、G(s)=[XDF]となる。この実施形態の場合、図14Aの並べ替え順は、図14Bのデータに適用されるから、両者は試験において比較できる。基準条件が不均衡であるなら、反応は、他の領域よりも大きな反応を与える幾つかの領域に向けての通常のバイアスを示す。水平破線112は、略8.7dBの領域反応中央値である。
図14Bは、同様に並べ替えられた相互作用コントラストを示す。縦座標は、均衡手法によって生じた収縮偏差を示している。不均衡の場合のプロットの左側に示す反応が小さい領域は、均衡の場合に大きな反応を示している。正の収縮偏差をもつ領域113は、均衡刺激に対して大きな反応を示し、p=0.05以下で著しく相違する。同様に、負の収縮偏差をもつ領域114は、均衡刺激に対して小さな反応を示し、同様にp=0.05以下で著しく相違する。水平破線115は、不均衡条件から変化のないレベルを示す。
これらの結果は、瞳孔ゲイン制御の先に述べたモデルに一致している。即ち、視野のより反応する領域に提示された輝度刺激を減じれば、蓄積される全駆動信号への寄与が減少し、これによって刺激に反応しにくい領域の絶対反応寸法を増加できるのである。
不均衡急刺激に対する正常被験者の平均デシベル反応を、図15Aに左眼フォーマットで示す。図9,10と同様、この反応マップは、図11の方法を用いている。これは図14Aと同じデータであるが、このデータを2次元の視野マップで表している。視野の側頭縁において、再び大きな反応が見られる。図15Aと同様のマッピングを用いて、均衡方法によって著しく反応が減少した領域を、図15Bに示す。同様に、均衡方法によって反応が増加した領域を、図15Cに示す。
緩刺激に対して同じ平方根均衡法を用いた。この均衡法は、急刺激プロトコルによる35人の正常被験者からのデータに基づいているので、緩刺激に対して最適でないかも知れない。しかし、同じ一般的パターンが見つかった。図16Aは、不均衡条件に対する並べ替えた平均反応を示している。図16Bは、領域を図16Aと同様に並べ替えて反応が増加または減少した領域を示している。再び、反応の大きい領域は減少する傾向にあり、反応の小さい領域は増加する傾向にある。これは、図15と同様の論理にしたがう図17から容易に理解できる。
表2
上述のように、他の独立な効果も、ここで用いた線形モデルに同時に適合された。これは、領域視野効果が他の顕著な変数と混同しないことを確かめることによって行われた。表2は、2つの急刺激プロトコル(1つは均衡刺激,もう1つは不均衡刺激)に対する反応を特徴づける線形モデルに対する他の効果を纏めたもので、顕著な効果の確率(P)が示されている。0.000の確率値は、P<0.0005を表す。
表2から判るように、瞳孔について記録され(瞳孔側)、或いは、共感反応(右眼について伝える左瞳孔または左眼について伝える右瞳孔)によって鼻側半視野に記録された(鼻側共感)顕著な効果はない。刺激側(刺激側)に -0.87dB(0.9802)の小さい反応を与える刺激を残す小さな効果があるが、これは、試験において21人の被験者のみの作為であるか、或いは被験者の利き手,主として右利きの生まれつきの効果、または利き手に従う傾向のある眼の優勢の効果であろう。この効果は、他のデータ群において顕著であることが明らかになった。側頭側半視野は、直接反応よりも小さな反応を共感反応に与え(側頭側共感)、これは、よく知られた効果で、-11.41のT-統計を有して特に顕著である。女性は、男性よりも少し小さな反応を有していた。また、60歳台に対する10歳単位の年齢に0.141dB,100年に換算して1.4dBの年齢共変量の小さな効果があった。
緩刺激についての比較結果を表3に示す。この結果は、非常に似ているが、女性であることの効果はなく、側頭側共感の効果が大きく、年齢効果は小さい。
表3
試験の診断有効性を特徴づける共通の方法は、受信者操作特性(ROC)をプロットして、曲線下の面積(AUC)を計算することである。1の面積は、完全な診断成績、つまり,総ての患者が正確に診断される完全な診断感度、および、正常被験者が誤診されない,つまり偽陽性率が零であることを表す。0.5の面積は、見込み成績を表す。この場合のように、上記面積は、100%が完全な診断成績(効率)に対応するとして百分率で時々報告される。
上記4つの刺激プロトコルの診断効率を調べるために、領域と性別と側頭側視野共感の平均効果に適合させることによって基準のデータが生成された。各眼の直接反応と共感反応が比較され、両反応について最良のSN比をもつ反応群が被験者の観点で選ばれた。基準データからの偏差は、正常被験者と緑内症被験者の両方について計算された。各眼毎に44の偏差が並べ替えられ(ソートされ)、最悪からN番までの領域についてROCプロットが計算された。
図18は、AUCに対するNのプロットを示しており、Nは、偏差が最悪な1から10番目に悪い10まで変化させている。ROCは、重症度が軽度から重度まで,つまりMD ≧6dBの患者の眼からの試験データをプロットした。均衡の効果は、急刺激データで特に劇的であって、最悪に始まる幾つかの偏差の百分率AUCは、略76%から100%に増加した。均衡の効果は、緩刺激については劇的ではなく、Nの増加に伴ってAUC値が常に高いままであるというのが主な効果であった。図18の各グラフにおける推定百分率標準誤差を示す図19から判るように、図18のAUCによる推定,特に均衡急刺激に対する100の値は良好である。
従って、刺激に対する反応が非常に飽和する部分を避ける機能と相俟った均衡手法は、診断効率を著しく改善し、基準データ群からの相違を検出する視野計測に基づく多発性瞳孔の能力を強化することが明らかに見て取れる。
以上述べ,実施形態と図で示された方法と装置は、例示したものにすぎず、本発明の範囲を制限するものではない。特に述べない限り、上記方法の個々の態様および上記装置の構成部材は、変更または既知,将来開発される,或いは適した代替物として見つけられる均等物で置き換えることができる。また、本発明の方法と装置は、請求項に記載の範囲内で種々の応用に変更できる。なぜなら、本発明の潜在的応用範囲は大きく、本発明の方法と装置は、多くの斯かる変更に適応できるように意図されているからである。

Claims (34)

  1. 被験者の神経系の機能を測定するための方法であって、
    被験者の少なくとも1つの瞳孔が反応するように適合させられた少なくとも1つの刺激アンサンブルから選択された個々の刺激のシーケンスを、被験者の神経系に提示するステップであって、上記刺激アンサンブルは、複数の上記個々の刺激からなり、選択された上記個々の刺激は、上記シーケンス中で同時に提示され、上記刺激アンサンブル中の上記個々の刺激によって喚起される瞳孔反応が、上記個々の刺激によって喚起される神経反応の強さに応じて均衡させられるように、上記アンサンブル中の効果の大きい刺激に対する瞳孔の反応を減少させて、効果の小さい刺激に対する瞳孔の反応を増加させ、且つ、上記刺激によって喚起される瞳孔反応が実質的に飽和しないように、上記個々の刺激を夫々均衡させるステップと、
    センサを用いて上記刺激で喚起される少なくとも1つの瞳孔反応を検出するステップと、
    検出された瞳孔反応を、上記アンサンブルの少なくとも2つの上記個々の刺激に対する被験者の神経反応の機能に関係づけるステップと
    を備えた方法。
  2. 請求項1に記載の方法において、刺激の強さと瞳孔反応寸法の間の関係は、非線形である方法。
  3. 請求項の方法において、非線形関数は、上記アンサンブル中の個々の刺激に対する上記瞳孔反応を均衡させるための、上記刺激の強さに対する重み付けを定義し、上記非線形関数は、上記検出された瞳孔反応と上記被験者の神経反応と間の関係を示す方法。
  4. 請求項1または3に記載の方法において、上記アンサンブル中の個々の刺激に対する上記瞳孔反応を均衡させるべく用いられる非線形関数は、それぞれ異なっている方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1つに記載の方法において、非線形刺激/反応関数は、上記個々の刺激の強さとこれによって喚起される瞳孔反応の間の関係を示しており、反応 = K×刺激z で表される冪関数である方法。
  6. 請求項5に記載の方法において、
    上記アンサンブル中の各刺激について対数である減衰重みであって、この重みは、線形均衡重みを与えるべく、上記アンサンブル中の刺激の反応寸法を対数で表すことによって得られる減衰重みを得るステップと、
    上記線形均衡重みを上記冪関数に乗じるステップを更に備えた方法。
  7. 請求項6に記載の方法において、上記アンサンブル中の各個々の刺激は、各刺激のための減衰重みを表すための一意的な指数と結び付けられている方法。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1つに記載の方法において、上記刺激は、被験者の一方または両方の眼の視野の複数の位置に提示される視覚刺激であり、結果の一組の瞳孔反応は、一方または両方の視野に亘る視覚機能のマップを与える方法。
  9. 請求項8に記載の方法において、視覚刺激の上記アンサンブルは、多発性刺激アンサンブルであり、アンサンブル中の個々の刺激の出現または非出現、或いは、強度,色彩または空間周波数を含む刺激の調節は、統計的に独立したシーケンスによって制御される方法。
  10. 請求項8または9に記載の方法において、上記アンサンブルから選択された個々の刺激は、重み付け関数に結び付けられ、選択された刺激の輝度は、重み付けられていない刺激が大きな神経反応を喚起する視野の領域を減じるように制御される方法。
  11. 請求項1乃至10のいずれか1つに記載の方法において、1つまたは幾つかの視野位置の視覚刺激は、幾つかの刺激条件の間で交互に入れ替わる方法。
  12. 請求項11に記載の方法において、上記刺激条件は、刺激輝度レベルと刺激色彩の組から選択され、アンサンブル中の各刺激に対する刺激条件は、一意的で統計的に独立なシーケンスによって、上記刺激条件が及ぶ刺激空間によって影響される神経反応を瞳孔反応が代表するように制御される方法。
  13. 請求項8乃至10のいずれか1つに記載の方法おいて、視覚刺激の上記アンサンブルは、被験者の視野の試験部位の視的鋭敏性または空間周波数同調性を決定するため、異なる空間周波数の区域によって支配される格子または格子縞の刺激のアンサンブルとして提示される方法。
  14. 請求項13に記載の方法において、刺激の上記アンサンブルは、被験者の視野内の空間的に分解された1つまたは複数の位置に、空間的に分解された刺激に対する瞳孔反応が、同時に提示される空間周波数に対する神経反応を代表し、それによって被験者の視的鋭敏性または空間周波数感受性に関する情報が得られるように提示される方法。
  15. 請求項8乃至14のいずれか1つに記載の方法において、上記視覚刺激は、被験者の眼の遠近調節系の機能を瞳孔反応が代表するように、被験者の各眼にステレオ視差キューを提示することによって、視野内の目標への距離測定を与えるようになっている方法。
  16. 請求項乃至15のいずれか1つに記載の方法において、視覚刺激の上記アンサンブルは、多発性アンサンブルであり、被験者の一方の眼に提示される第1のアンサンブルであり、この方法は、更に、
    一意的な視覚刺激の第2の多発性アンサンブルを被験者の他方の眼に同時に提示し、
    2つの網膜のうちの選ばれた1つの瞳孔反応を記録し、
    記録された瞳孔に関連する網膜の上記瞳孔反応を、直接瞳孔反応によって特徴づけ、
    他方の網膜の上記瞳孔反応を、共感反応によって特徴づける方法。
  17. 請求項1乃至7のいずれか1つに記載の方法において、上記刺激のアンサンブルは、聴覚刺激のアンサンブルである方法。
  18. 請求項1乃至17のいずれか1つに記載の方法において、上記刺激のアンサンブルは、被験者の特定の感情を喚起し、或いは、被験者の心の健康を調節し、この方法は、上記刺激のアンサンブルによって喚起された被験者の瞳孔反応を記録し、記録された反応から神経が介在する感情の機能または心の健康のメカニズムを特徴づける方法。
  19. 請求項1乃至7のいずれか1つに記載の方法において、上記刺激のアンサンブルは、瞳孔の機能に影響することが知られている非外科的に投与される薬物またはこの薬物とは異なる化学物質或いはこれらの異なる投与量のアンサンブルである方法。
  20. 請求項1乃至19のいずれか1つに記載の方法において、上記刺激のアンサンブルは、視覚,遠近調節,聴覚,感情または化学の刺激の混合からなる刺激アンサンブルである方法。
  21. 請求項1乃至20のいずれか1つに記載の方法において、上記刺激は、選択された平均刺激相互間隔で統計的に独立したシーケンスによって制御される方法。
  22. 請求項21に記載の方法において、上記平均刺激相互間隔は、略0.25秒/領域〜略16秒/領域の範囲から選ばれる方法。
  23. 請求項21又は22に記載の方法において、上記平均刺激相互間隔は、略1秒/領域または略4秒/領域から選ばれる方法。
  24. 被験者の神経系の機能を測定するシステムであって、
    被験者の少なくとも1つの瞳孔に反応を喚起するように適合させられた少なくとも1つの刺激アンサンブルから刺激のシーケンスを生成する手段であって、上記刺激アンサンブルは、複数の個々の刺激からなり、上記手段は、刺激アンサンブル中の個々の刺激に対する瞳孔反応が、個々の刺激によって喚起される神経反応の強さに応じて均衡させられるような少なくとも1つの重み関数を、刺激アンサンブル中の各刺激について夫々決定し、上記アンサンブル中の効果の大きい刺激に対する瞳孔の反応を減少させて、効果の小さい刺激に対する瞳孔の反応を増加させ、且つ、上記刺激によって喚起される瞳孔反応が実質的に飽和しないように、上記個々の刺激を夫々均衡させる刺激シーケンス生成手段と、
    被験者の少なくとも1つの瞳孔に反応を起こさせるべく、刺激が均衡させられた上記シーケンスを被験者の神経系に提示する表示手段と、
    均衡させられた刺激のシーケンスによって喚起される少なくとも1つの瞳孔の反応を検出するセンサと、
    検出された瞳孔反応を、記録し、上記アンサンブルの少なくとも2つの個々の刺激に対する被験者の神経反応の作用に関係づけるプロセッサと
    を備えたシステム。
  25. 請求項24に記載のシステムにおいて、記録されたデータのデータベースを更に備え、上記記録されたデータは、上記個々の刺激によって少なくとも1人の被験者に喚起された神経反応の強さまたは平均強さ、および、上記個々の刺激によって少なくとも1人の被験者に喚起された瞳孔反応の強さまたは平均強さのうちの少なくともいずれかに関する情報からなり、上記刺激シーケンス生成手段は、上記記録されたデータを解析して、各個々の刺激のための少なくとも1つの重みづけ関数を決定するシステム。
  26. 請求項25に記載のシステムにおいて、重みづけ関数を決定するための上記記録されたデータの解析は、個々の刺激の強さとこれによって喚起される瞳孔反応の間の関係を1つ又は複数の非線形関数で与えるシステム。
  27. 請求項26に記載のシステムにおいて、非線形刺激/反応関数は、上記個々の刺激の強さとこれによって喚起される瞳孔反応の間の関係を示しており、反応 = K×刺激zで表される関数であるシステム。
  28. 請求項27に記載のシステムにおいて、上記アンサンブル中の各個々の刺激は、各刺激のための減衰重みを表す一意的指数に結び付けられているシステム。
  29. 請求項24乃至28のいずれか1つに記載の制御システムにおいて、上記刺激は、被験者の一方または両方の眼の視野内の複数の位置に提示される視覚刺激であり、結果の一組の瞳孔反応は、一方または両方の眼の視野に亘る視覚機能のマップを与えるシステム。
  30. 請求項24乃至29のいずれか1つに記載のシステムにおいて、上記刺激シーケンス生成手段は、選択された平均刺激相互間隔で統計的に独立した刺激のシーケンスを提示するようになっているシステム。
  31. 請求項30に記載のシステムにおいて、上記刺激シーケンス生成手段は、平均刺激相互間隔で統計的に独立した刺激のシーケンス選択的に提示するようになっていて、上記平均刺激相互間隔は、略0.25秒/領域〜略16秒/領域の範囲内で選択されるシステム。
  32. 請求項31に記載のシステムにおいて、上記平均刺激相互間隔は、略1秒/領域または略4秒/領域から選ばれるシステム。
  33. 請求項9,11乃至16,18,20乃至23のいずれか1つに記載の方法において、統計的に独立したシーケンスは、統計的に独立した非周期の疑似無作為シーケンスである方法。
  34. 請求項30乃至32のいずれか1つに記載のシステムにおいて、統計的に独立したシーケンスは、統計的に独立した非周期の疑似無作為シーケンスであるシステム。
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