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JP5761391B2 - 発光装置 - Google Patents

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JP5761391B2
JP5761391B2 JP2014009991A JP2014009991A JP5761391B2 JP 5761391 B2 JP5761391 B2 JP 5761391B2 JP 2014009991 A JP2014009991 A JP 2014009991A JP 2014009991 A JP2014009991 A JP 2014009991A JP 5761391 B2 JP5761391 B2 JP 5761391B2
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    • H01L2224/14Structure, shape, material or disposition of the bump connectors prior to the connecting process of a plurality of bump connectors

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Description

本発明は、発光装置に関し、より詳細には同一基板上に複数の素子構造、発光構造が設
けられた発光素子と、該発光素子を被覆する光反射性の被覆部材と、を備えた発光装置に
関する。
近年、光源として発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)やレーザダイオー
ド(Laser Diode:LD)等の半導体発光素子を搭載した発光装置が、各種の照明や表示
装置に利用されている。特に、これら半導体発光素子は消費電力が低く長寿命であるため
、電球や蛍光灯に代替可能な照明の光源として注目を集めており、さらなる発光出力およ
び発光効率の向上が求められている。また、自動車のヘッドライト等の投光照明のように
、配光特性に優れ、高輝度で且つ信頼性の高い光源も求められている。
例えば特許文献1には、発光波長に対して透明な基板上に形成された複数の発光ユニッ
トを有し、主たる光取り出し方向が基板側であり、基板と第1導電型半導体層の間に、複
数の発光ユニット間に共通して設けられたバッファ層を有し、発光ユニット同士は、バッ
ファ層の界面またはその一部までを除去して形成された発光ユニット間が分離溝により電
気的に分離されており、1つの発光ユニット内には、活性層構造、第2導電型半導体層お
よび第1導電型側電極を含む複数個の発光ポイントを有し、1つの発光ユニット内は第1
導電型半導体層で電気的に導通している集積型化合物半導体発光装置が提案されている。
また例えば特許文献2に開示された発光装置は、光取出側に開口したケース内にLED
素子が載置されており、そのケース内に光反射粒子を含有するコーティング材が充填され
、LED素子における光取出面を除く外面領域が被覆されている。加えて、成形されたコ
ーティング材の外面上に、LED素子の光取出面を覆うシート状の蛍光体層が配設され、
LED素子からの一次光(青色光)と、波長変換された二次光(黄色光)とを放射するY
AG等の蛍光体を含む樹脂からなり、一次光と二次光との混色によって光出射面から白色
光を放出可能である。
特開2007−324579号公報 特開2007−019096号公報 特開2002−305328号公報 WO2009/069671号公報
高出力化のため発光面積を大きくした発光素子では、素子全域への電流拡散性が悪く、
発光面における発光強度分布にムラを生じ、素子内部で発光した光の取り出し効率が悪化
する問題がある。また、上記特許文献1に開示されるように、同一基板上に分離溝により
互いに分離された複数の素子構造を形成し、その問題を改善できるが、このような素子構
造の集積は、各素子構造間を電気的に接続する配線パターンやその上に設けられる接合部
材などで、光吸収による光損失を生じ光の取り出し効率が低下する虞がある。同様に、素
子構造にそれを覆う電極、金属反射膜などの反射構造を備えた発光素子では、素子構造の
反射側で反射構造による光吸収、損失を生じ、素子内部に反射された光は、素子内部によ
る光吸収、損失が発生するため、結局、光の取り出し効率が低下する虞がある。また、こ
のような同一基板上に互いに分離された複数の素子構造を有する発光素子上に、例えば上
記特許文献2に記載されているように、発光素子からの一次光を波長変換した二次光を発
光する蛍光体を含有する波長変換部材を接合する場合には、各素子構造の配光に起因し、
分離溝上の一次光の輝度が低下することで、発光面内で一次光と二次光の混色率が変化し
、輝度ムラや色ムラを生じる問題がある。
そこで、本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、大面積の発光素子を搭載し
ても、発光効率を高くすること、輝度ムラや色ムラの発生を抑制すること、高出力発光を
可能とすること、それらのいずれか、好ましくはそれら全てを実現可能な発光装置を提供
することを目的とする。
本発明は、下記(1)〜(14)の手段により上記課題を解決することができる。
(1)発光装置の発光面となる表面と受光面とを有する光透過部材と、前記受光面に結合
された出射面と、該出射面に対向し、半導体素子構造が設けられた表面とを有する透光性
基板を備えた発光素子と、光反射性材料を含有し、前記発光面を露出して、前記発光素子
の側面と、該側面から延在して前記光透過部材の一部と、を被覆する被覆部材と、を備え
、前記発光素子は、前記透光性基板の表面上に、分離部と、前記半導体素子構造が該分離
部により互いに分離されて、該分離された半導体素子構造の各領域に設けられた複数の発
光構造部と、を有し、前記被覆部材は、前記分離部と、該分離部に隣接する前記発光構造
部とを被覆して、該被覆側表面に光反射部を有する発光装置。
(2)前記発光構造部が、前記分離部により、独立して発光可能なように互いに分離され
た半導体素子構造にそれぞれ設けられている上記(1)に記載の発光装置。
(3)前記発光構造部が、前記分離部により互いに分離され、前記半導体素子構造の一部
で互いに接続されて同時に発光可能である上記(1)に記載の発光装置。
(4)前記半導体素子構造が、分離部に、前記発光構造部からの発光が発光素子外部に出
射可能な素子構造表面を有する上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の発光装置。
(5)前記発光素子が、該側面に、前記発光構造部からの発光が発光素子外部に出射可能
な素子構造表面を有する上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の発光装置。
(6)前記分離部の底面に、前記透光性基板の表面が露出されている上記(1)〜(5)
のいずれか1つに記載の発光装置。
(7)前記被覆部材は、前記分離部において、前記透光性基板の表面を被覆して前記被覆
部材と前記透光性基板の表面との界面に前記光反射部が設けられる上記(6)に記載の発
光装置。
(8)前記透光性基板の表面は、凹凸構造を有し、該凹凸構造上に前記半導体素子構造、
前記分離部が配置されると共に、前記分離部の底面に露出された前記透光性基板の表面に
、前記被覆部材が設けられる上記(1)〜(7)のいずれか1つに記載の発光装置。
(9)前記被覆部材は、前記光透過部材の側面から、前記半導体素子構造及び透光性基板
の側面を連続して被覆する上記(1)〜(8)のいずれか1つに記載の発光装置。
(10)前記分離部が、前記発光構造部の発光を発光素子外部に出射可能な素子構造表面
、又は該素子構造表面と該発光を発光素子外部に出射可能な前記透光性基板の表面を有し
、前記被覆部材が、前記分離部内の空隙を介して、前記分離部と、前記半導体素子構造を
被覆している上記(1)〜(6)のいずれか1つに記載の発光装置。
(11)前記半導体素子構造が、前記発光構造部の発光を発光素子外部に出射可能な素子
構造表面を有し、前記被覆部材が、該素子構造表面において、空隙を介して被覆する領域
と、直接被覆する領域とを有する上記(1)〜(10)のいずれか1つに記載の発光装置

(12)前記光透過部材は、前記発光素子に励起される波長変換部材である上記(1)〜
(11)のいずれか1つに記載の発光装置。
(13)前記波長変換部材は、互いに対向する第1及び第2の主面を有する板状体である
上記(12)に記載の発光装置。
(14)前記半導体素子構造が、前記分離部を横断する配線を備え、該配線により前記複
数の発光構造部を接続して実装する実装基板を有し、前記被覆部材は、前記分離部を横断
する前記配線を被覆するとともに、前記分離部において光反射部を有する上記(1)〜(
13)のいずれか1つに記載の発光装置。
本発明では、透光性基板表面上で、複数の発光構造部の間で、素子の内部に設けられた
分離部と、それを覆う光反射性の被覆部材が設けられることで、各発光構造部からの発光
が基板内で好適に拡散して、輝度ムラを抑えた発光となり、透光性部材、さらには波長変
換部材と好適な光結合が実現でき、その色ムラを押さえることができる。また、高い投入
電圧で駆動でき、照明、投光器の電源に適合した光源として、輝度ムラおよび色ムラの少
ない高出力発光が可能な発光装置を提供することができる。
本発明の一実施の形態に係る発光装置の概略上面図(b)と、そのA−A断面における概略断面図(a)と、該発光装置に搭載されている発光素子の概略平面図(c)である。 本発明の一実施の形態に係る発光装置の発光素子周辺を部分的に拡大した概略断面図(a)と、該発光素子の概略平面図(b)である。 本発明の一実施の形態に係る発光装置に用いられる発光素子の発光構造部、分離部の平面形状を示す概略平面図である。 本発明の一実施の形態に係る発光装置に用いられる発光素子の部分概略断面図である。 本発明の一実施の形態に係る発光装置、その一部を説明する概略断面図である。 本発明の一実施の形態に係る発光装置を説明する概略断面図である。 本発明の一実施の形態に係る発光装置、その一部を説明する概略断面図(a)と、該発光装置に搭載されている発光素子の部分概略平面図である。 本発明の一実施の形態に係る発光装置、その実装基板と実装状態を説明する概略上面図(b)と、そのA−A断面における発光装置の概略断面図(a)と、該発光装置に搭載されている発光素子の概略平面図(c)である。 本発明の比較例に係る発光装置を説明する概略断面図である。 本発明の実施例と比較例に係る発光装置の発光色度分布を各々示す図(a),(b)である。
以下、発明の実施の形態について適宜図面を参照して説明する。ただし、以下に説明す
る発光装置は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、本発明を以下のもの
に特定しない。特に、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配
置等は特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単
なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確に
するため誇張していることがある。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同
一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材
の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、以下に記載されている実施
の形態についても同様に、特に排除する記載が無い限りは各構成等を適宜組み合わせて適
用できる。
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1に係る発光装置の概略図であり、図1(a)は概略上面
図の図1(b)のA−Aにおける概略断面図であり、図1(c)は搭載されている発光素
子の概略平面図であって、また図2はその発光素子の発光構造部の周辺の概略断面図であ
る。図1,2に示す例の発光装置100は、主として、発光素子10と、該発光素子を実
装する実装基板50と、発光素子から出射された光を透過する光透過部材20と、発光素
子および光透過部材の一部を被覆する光反射性の被覆部材40と、から構成されている。
光透過部材20は、発光装置の発光面90となる表面21と、それに対向する受光面2
2とを有する。図示するように例えば板状体であって、発光素子10から出射された光を
受光面22で受光し、すなわち互いに結合されて、光が内部を透過して表面21より装置
外部に放出する。また発光素子10から出射された光を一次光として、該一次光に励起さ
れその波長変換光の二次光を放出可能な蛍光体を含有する波長変換部材とすることができ
る。この例では、一次光と二次光を発光面90から出射している。
発光素子10は、光透過部材の受光面22に接合された出射面と、該出射面に対向し半
導体素子構造11が設けられた表面と、を有する透光性基板1を備えている。また、単一
の透光性基板1の表面上に、分離部13と、この分離部によって半導体素子構造11が互
いに分離された複数(図1中では4つ)の発光構造部12と、を有している。図示するよ
うに、ここでは素子構造11が、基板1上で互いに離間されて、絶縁された発光構造部と
なっている。発光素子10は、実装基板50の配線51,52上に設けられた突起電極(
バンプ)等の導電性接着材60によりフリップチップ実装されており、各発光構造部12
は実装基板50の配線52によって互いに電気的に接続され、また装置100は外部接続
用の端子となる配線51も備えている。
被覆部材40は、光反射性材料45を含有した樹脂などの絶縁性材料により構成され、
実装基板50上に設けられた枠体55の内側に充填されて、発光素子10および光透過部
材20の周部、より詳細には光透過部材の表面21を露出して、発光素子10の側面と、
該側面から延在して光透過部材20の一部と、を被覆している。また被覆部材40は、分
離部13と、該分離部に隣接する発光構造部12と、を被覆して、その被覆側表面に光反
射部を有する。この例では、被覆部材は、透光性の母材中に透光性の粒子を含有した反射
性部材、より具体的には光を粒子で散乱させて反射する部材である。更に、発光素子10
がその発光構造部12の発光を素子外部に出射可能な素子構造表面を備えて、その表面が
分離部に設けられること、より具体的には分離部13の内壁を構成する側面2A、それに
加えて分離部に隣接する発光構造部12側面が出射可能な表面になっており、被覆部材4
0による光反射がなされ、同様に反射される。すなわち、素子10の出射面側に対向する
配線側、電極形成側において、素子の出射可能な表面を備え、素子表面を被覆する光反射
性の被覆部材が設けられることで、該出射可能な素子構造表面に対して、光反射機能を提
供して、各表面において、またそれを備えた分離部において、光反射部が形成される。
実装基板50は、分離部13を横断して、隣接する発光構造部12を配線52で互いに
接続しており、光反射性の被覆部材40が該配線51,52と、配線側に対向する素子1
1、発光構造部12の表面、特にその光出射可能な素子構造表面とを被覆する。この配線
、その対向表面の素子構造側に設けられる被覆部材によって、配線側への発光及び、配線
・基板50による光吸収・透過を低減できる。他方、この例では分離部底面で露出される
基板1の表面は、素子構造11の発光が出射可能な表面であり、分離部の被覆部材により
反射させることができ、光の取り出し効率を高め、また分離部13上の輝度の低下を抑制
することができる。
したがって、半導体素子構造11が分離部13により複数に分離されても、透光性基板
1内において、分離部13に位置する領域を、戻り光の反射領域として機能させることが
でき、さらには隣接する各発光構造部12から放出される光を重ね合わせる光の重畳領域
として機能させることができる。これにより、単一の透光性基板1を各発光構造部12に
共通の導光領域、光拡散領域として透光性基板1内で光を十分に拡散させて光透過部材2
0に光結合させることができ、さらには光変換部材が結合されることでその基板1への戻
り光に対して、それに加えて発光素子の光に対しても同様に機能でき、輝度ムラや色ムラ
を低減することができる。
この例の分離部13は、各発光構造部12に流れる電流を制御する絶縁領域として機能
し、各発光構造部12は、該分離部13により独立して発光可能なように分離されて設け
られている。これにより、単一の発光構造部12の面積を小さくして電流拡散を促進し、
各発光構造部12において面内均一な発光強度分布を有する発光を得ることができ好まし
い。また個々の発光構造部12に分離され、さらには素子構造が離間されることで、分離
や離間されない場合に比して素子構造11内の光の伝搬による光吸収の問題を解消して、
素子構造11外部への光取り出し効率を高めることができ、上記被覆部材の反射機能によ
る相乗効果によりさらにそれを高めることができる。そして、このような各発光構造部1
2からの発光に対して、分離部13、更には素子構造の出射可能な表面における光反射機
能、並びに透光性基板1内部における拡散、重畳機能が適用されることで、光透過部材の
受光面22に対して略均一な輝度分布を有する光を結合することができる。また、このよ
うな互いに電気的に絶縁された各発光構造部12の機能高めて、更に互いを配線52によ
り直列接続することで、比較的高い投入電圧による駆動で、装置の高出力化に適したもの
とできる。
特に、分離部13が透光性基板1の表面を露出させて設けられていることで、各発光構
造部12を物理的にも電気的にも互いに分離して独立な微小光源として、上記作用、効果
を好適に得ることができる。さらに、被覆部材40は該分離部13の底面を被覆して該底
面との界面に、更には被覆部材40と分離部底面の透光性基板1の表面との界面に、光反
射部が設けられることが好ましい。これにより、分離部13の底面および該分離部13に
隣接する発光構造部12の側面の光反射性を高め、発光構造部12から透光性基板1に効
率良く光を取り出し、また分離部13の基板1において好適に光を重畳させることができ
る。
なお、図2(a),(b)に示すように、透光性基板1の表面に凹凸構造1Aを有して
いること、更に素子構造、発光構造部と、分離部がその凹凸構造上に配置されることが好
ましい。透光性基板1の凹凸構造1Aにより、平坦面である場合に比して、各発光構造部
12から放出される光又はその戻り光を該凹凸構造1Aにより散乱させ該基板内で拡散さ
せることができ、より均一な光を光透過部材20に結合させることができる。分離部にお
ける凹凸構造は、上記被覆部材による散乱作用に重畳して散乱させることになり、上記分
離部の作用効果を高められ好ましく、特に分離部底面に基板1表面が露出していると更に
好ましい。このような凹凸構造1Aは、半導体素子構造11が設けられる表面の略全域に
亘って設けられることが好ましく、上述のように、分離部、発光構造部、素子構造のいず
れか一方、更にその一部に設けられる形態でもよい。また透光性基板1の出射面側に形成
してもよいが、光透過部材の受光面22より遠い半導体素子構造11が設けられる表面の
ほうが、より均一な光を光透過部材20に結合させられ、また受光面での結合効率を高め
られる。なお半導体素子構造11が設けられる表面に凹凸構造1Aを有する場合、半導体
素子構造11を構成する半導体結晶が結晶性良くエピタキシャル成長可能なように、規則
的パターンの凹凸構造1Aとすることが好ましく、各発光構造部12からの発光に対して
略均等に光拡散作用を奏することができる。これに限らず、不規則的なパターンでも良く
、各凹部、凸部の平面形状は図示するように円形状、多角形状などの島状であることが好
ましく、その他に、格子状、ストライプ状の他、それらの形状を組み合わせたもの、不規
則な形状で構成されても良く、断面形状は、図示するように傾斜した側面と結晶性のため
の平坦面を備えることが好ましく、その他の凹凸構造であっても良い。
また被覆部材40が、光透過部材20の側面から、半導体素子構造11及び透光性基板
1の側面、すなわち発光素子10の側面を連続して被覆することで、該発光装置100は
、光透過部材の表面21を主たる光取り出しの窓部とする好適な面発光型の発光装置が得
られる。これにより、各発光構造部12から出射されて光透過部材20内で拡散、重畳さ
れた一次光を集束させて光透過部材20に効率良く結合することができる。また光透過部
材20の側方に拡散、漏出する一次光、またその変換光である二次光を上記重畳作用によ
り、光を均一化、配色を均一化して、光取り出し方向へ反射させ、結合することができ、
装置正面方向の輝度を高めながら、色ムラが低減された配光を得ることができる。
(分離部)
分離部13は、例えば透光性基板1の表面の略全域に半導体素子構造11を形成した後
、その一部をエッチングやスクライブ等により除去することにより形成することができる
。また透光性基板1上に保護膜を形成して、それにより区画された領域に半導体素子構造
11を形成する方法でもよい。
なお分離部13は、半導体素子構造11を部分的に除去するものであるため、その形成
領域が小さいほど発光面積の縮小、ひいては光束の低下を抑制することができ、溝状に形
成することが好ましい(以降、本明細書において、「分離部」を「分離溝」と記載する場
合がある)。分離部の幅の上限値としては、100μm以下であることが好ましく、さら
に好ましくは20μm以下である。下限値は、特に限定されないが、フォトリソグラフィ
の分解能や配線、電極のピッチ等により制限され、例えば3μm以上である。
分離部13の断面形状、言い換えれば分離溝13の側面すなわち発光構造部12の側面
は、発光構造部12の実装面に対して略垂直であってもよいが、傾斜面とすることで次の
ような効果が得られる。図2(a)に示すように、発光構造部12が実装面から透光性基
板1に向かって広がる傾斜面(順テーパー面)とすれば、該傾斜面での反射により多くの
光を透光性基板1側に取り出すことができ、高光束の発光を得ることができる。基板1の
一部が分離部の側面を構成する場合などでも同様に、基板に対して垂直な面から、配線側
に傾斜した側面であること、具体的には、断面において配線側から基板側に向かって、溝
部内壁が順テーパとなるように傾斜させることが好ましい。また、素子構造11、発光構
造部12間の離間距離(分離溝の幅)が、実装側より底面側(基板表面側)が小さくなり
、分離部13の基板内において各発光構造部12から放出される光を重畳しやすく、また
傾斜面による反射、集光効果で発光構造部の光が好適に基板に結合され、また上記散乱作
用と結合して、基板内での好適な光の重畳を得られる。逆の傾斜面(逆テーパー面)とす
れば、底面における分離幅に比して、発光構造部12の各発光層を大きくでき、出力を高
められる。また、傾斜面での光の回折効果により発光構造部12から放出される光の配光
を広くすることができる。また分離溝13の側面つまり発光構造部12の側面を粗面、凹
凸面としてもよく、発光構造部12の側面で光を散乱させて配光を広くすることができる
。本発明における分離部の発光構造、素子構造の分離形態、並びに分離部における被覆部
材の被覆形態について、後の実施の形態において説明する。
本発明における分離部13の平面形状、すなわちそれにより区画される発光構造部、素
子構造の形状は、種々の形態とでき、図1に示すように、一列状に配列された発光構造部
、素子構造とする他、所望の平面形状、パターンに形成することができる。図1(c)の
本実施の形態に示すようにストライプ状とすれば、最も簡素な分離部であって、分離部1
3の数、幅を比較的小さくできるので光束の低下を抑制することができる。また分離部1
3が直線的であるので、分離部の幅を小さくしても発光素子10の内部側まで被覆部材4
0を充填しやすい。また図3は、本発明の一実施形態に係る発光素子10の分離部13の
平面形状の他の例を示す概略上面図である。図3(a)に示すように格子状の分離部13
とすれば、列状の配置を複数列配置した形態となり、本実施の形態と同様に、矩形状の発
光構造部12Aが設けられる。この場合、その隣接する発光構造部12Aに挟まれる線状
の分離部13に加えて、その分離部が交差する交差部を有し、その十字状の交差部におい
て隣接する4つの発光構造部12Aが設けられる。また図3(b)〜(d)に示すように
、格子状の分離部に加えて斜めに傾斜した分離部をさらに形成することにより、三角形状
の発光構造部12B,12C,12Dが設けられている。このように、図1(c)に示す
形態と異なり、3つ以上の発光構造部が隣接する分離部の交差部を有しており、特に図3
(b)に示す例では、4本並びに8本の分離部が交差する交差部があり、分離部、それに
位置する素子構造、基板における上述した作用効果により、好適な輝度、色ムラの均一化
して、装置の発光面の大面積化が可能となる。他方、図示するように、三角形状、また辺
の数が5つ以上の多角形状などの形状とすることで、発光構造部の側面、分離部の内壁面
が、対向する分離部同士で、平行、垂直でなく、互いに傾斜した面となることで、上述し
た分離溝における反射機能、そこに位置する基板、素子構造の重畳機能をさらに高めるこ
とができる。ここでは、分離部が互いに平行な内壁面、それを挟んで互いに対向する側面
を備えた発光構造部を説明しているが、分離部の形状はそれに限らず、円形状、多角形状
、曲線形状、またはそれらを組み合わせた形状など種々の形状としてもよく、発光構造部
の形状も同様である。また、各発光構造部は、図1(b)に示すように直列接続する他、
並列接続、ブリッジ接続、それらの組み合わせなど、用途に応じて、また交流電源など逆
並列接続など、電力源に応じて、種々の回路構造を形成することができ、上述した交差部
があることで、組み合わせ構造、逆並列、ブリッジ構造、など複雑な回路において、隣接
する発光構造部を増やすことができ好ましい。
次に、本発明の発光装置の各構成部材について、以下に詳述する。
(発光素子)
発光素子10は公知のもの、具体的には半導体発光素子を利用でき、1つの透光性基板
1上に互いに離間されて設けられた複数の発光構造部12を有するものを用いることがで
きる。特にGaN系化合物半導体であれば、蛍光物質を効率良く励起できる短波長の可視
光や紫外光が発光可能であるため好ましい。具体的な発光ピーク波長は240nm以上5
60nm以下、好ましくは380nm以上470nm以下である。なお、このほか、Zn
Se系、InGaAs系、AlInGaP系半導体の発光素子でもよい。
(発光素子構造)
半導体層による素子構造11、発光構造部12は、図4に例示するように少なくとも第
1導電型(n型)層2と第2導電型(p型)層4とにより構成され、更にその間に活性層
3を有する構造が好ましい。また、電極構造は、一方の主面側に第1導電型(負)、第2
導電型(正)の両電極6,7が設けられる同一面側電極構造が好ましいが、半導体層の各
主面に対向して電極が各々設けられる対向電極構造でも良い。発光素子10の実装形態も
、例えば上記同一面側電極構造では、電極形成面を実装面として、それに対向する基板1
側を主な出射面とするフリップチップ実装が、その出射面と光透過部材20との光学的な
接続上好ましい。この他、電極形成面側を主な出射面として、その上に光透過部材を結合
する実装、フェイスアップ実装、また配線構造を備えた光透過部材にフリップチップ実装
、上記対向電極構造で光透過部材と実装基板に接続すること、ができ、好ましくは発光素
子と光透過部材に配線、電極を備えない実施例の実装が良い。なお、半導体層11の成長
基板1は、発光素子構造を構成しない場合には除去してもよく、成長基板が除去された半
導体層に、支持基板、例えば導電性基板または別の透光性部材・基板を接着した構造とす
ることもできる。この支持基板に光透過部材20を用いることもでき、その他、ガラス、
樹脂などの光透過部材により半導体層が接着・被覆されて、支持された構造の素子でもよ
い。成長基板の除去は、例えば支持体、装置又はサブマウントに実装又は保持して、剥離
、研磨、若しくはLLO(Laser Lift Off)で実施できる。また、発光素子10は光反射
構造を有することができ、具体的には、半導体層11の互いに対向する2つの主面の内、
光取り出し側(出射面側)と対向する他方の主面を光反射側(図1における下側)とし、
この光反射側の半導体層内や電極などに光反射構造を設けることができる。光反射構造の
例として、半導体層内に多層膜反射層が設ける構造、あるいは半導体層の上にAg、Al
等の光反射性の高い金属膜や誘電体多層膜を有する電極、反射層を設けた構造がある。
(窒化物半導体発光素子)
発光素子10の一例として、図4の窒化物半導体の発光素子10では、成長基板1であ
るC面サファイア基板の上に、第1の窒化物半導体層2であるn型半導体層、活性層3で
ある発光層、第2の窒化物半導体層4であるp型半導体層が順にエピタキシャル成長され
ている。そして、n型層2の一部が露出されて第1の電極7であるn型パッド電極を形成
し、p型層4のほぼ全面にITO等の透光性導電層5、第2の電極6であるp型パッド電
極が形成されている。さらに、保護膜8をn型、p型パッド電極6,7の表面を露出し、
半導体層を被覆して設けられる。なお、n型パッド電極7は、p型同様に透光性導電層5
を介して形成してもよい。成長基板1は、C面サファイアの他、R面、及びA面、スピネ
ル(MgAl24)のような絶縁性基板、また炭化珪素(6H、4H、3C)、Si、Z
nS、ZnO、GaAs、GaNやAlN等の半導体の導電性基板がある。窒化物半導体
の例としては、一般式がInxAlyGa1-x-yN(0≦x、0≦y、x+y≦1)の他、
BやP、Asを混晶してもよい。また、n型、p型半導体層2,4は、単層、多層を特に
限定されず、活性層3は単一(SQW)又は多重量子井戸構造(MQW)が好ましい。青
色発光の素子構造11の例としては、サファイア基板上に、バッファ層などの窒化物半導
体の下地層、例えば低温成長薄膜GaNとGaN層、を介して、n型半導体層として、例
えばSiドープGaNのn型コンタクト層とGaN/InGaNのn型多層膜層が積層さ
れ、続いてInGaN/GaNのMQWの活性層、更にp型半導体層として、例えばMg
ドープのInGaN/AlGaNのp型多層膜層とMgドープGaNのp型コンタクト層
が積層された構造がある。
(光透過部材)
また図1の発光装置100は、発光素子10からの光を透過する光透過部材20を備え
る。光透過部材20は、通過する光の少なくとも一部を波長変換可能な波長変換材料を有
する光変換部材であることが好ましい。例えば実施例のように、光源からの一次光が、光
透過部材20中の波長変換材料としての蛍光体を励起することで、一次光と異なった波長
を持つ二次光が得られ、さらに一次光との混色により、所望の色相を有する出射光を実現
できる。
実施の形態1の光透過部材20は、表面21(発光面90)からの平面視において、そ
の表面21及び受光面22が発光素子10の出射面より小さい形態であり、その側面が発
光素子10の側面(端面)よりも内側に位置している。発光素子10に対して発光領域を
絞ることで相対的に輝度が高められ、また混色の均一化が図れ、色ムラが低減される。な
お、発光素子の側面の光透過部材の側面に対する突出長さは、光透過部材の厚さに比して
、例えば0.25倍以上5倍以下であり、具体的には0.5倍以上2倍以下である。例と
して、実施例1の発光装置においては、発光素子10の終端が光透過部材20の終端から
約100μmの幅で突出している。このほか、後述の実施の形態2に示すように、光透過
部材の側面が、発光素子の側面よりも外方に突出している形態でもよく、この例のように
光透過部材の受光面22を発光素子10の出射面より大きくした形態であってもよい。発
光素子10の出射面より幅広な受光面22でもって導光部材を介して光学的に接続される
ため損失が少ない。この形態であれば、その突出長さは、発光素子の厚さに比して、例え
ば0.25倍以上5倍以下であり、具体的には0.5倍以上2倍以下である。また、光透
過部材20の側面が発光素子10の側面と略同一面上に位置する形態であれば、光透過部
材の外縁部において、発光素子10からの光量が不足して色ムラが発生しやすくなるのを
抑制できる。
ここで、光透過部材20の母材となる透光性材料としては、下記被覆部材40と同様な
材料を用いることができ、例えば樹脂、又はガラスなどの無機物を用いることができる。
変換機能を備えない場合も、蛍光体を除いて、又はそれに置換して、光変換の光透過部材
と同様の材料を用いることが好ましい。また、表面21、受光面22は、実施例のように
光透過部材が板状である場合には、両面とも略平坦な面であること、更には対向する両面
が互いに略平行であることが本発明の導光部材を介した光結合の効率が高まり、また接合
が容易となり好ましい。一方で、板状に限らず、全体又は一部に曲面を有する形態、凹凸
面などの面状の形態など、種々の形状若しくは形態、例えば集光、分散するための形状、
例えばレンズ状などのような光学的な形状とすることもできる。また、波長変換機能とし
て、発光素子の一次光とその変換光(二次光)の混色光を発光する他に、例えば発光素子
の紫外光による変換光、若しくは複数の変換光による混色光のように、一次光から変換さ
れた二次光を主に出射する発光装置とすることもできる。
波長変換機能を備えた光透過部材20は、具体的にガラス板、それに光変換部材を備え
たもの、あるいは光変換部材の蛍光体結晶若しくはその相を有する単結晶体、多結晶体、
アモルファス体、セラミック体、あるいは蛍光体結晶粒子による、それと適宜付加された
透光性材料との焼結体、凝集体、多孔質性材料、それらに透光性材料、例えば透光性樹脂
を混入、含浸したもの、あるいは蛍光体粒子を含有する透光性部材、例えば透光性樹脂の
成形体等から構成される。なお、光透過部材20は、樹脂等の有機材料よりも無機材料で
構成されることが耐熱性の観点からは好ましい。具体的には蛍光体を含有する透光性の無
機材料からなることが好ましく、特に蛍光体と無機物(結合材、バインダー)との焼結体
、あるいは蛍光体からなる焼結体や結晶とすることで信頼性が高まる。なお、実施例のY
AGの蛍光体を用いる場合、YAGの単結晶や高純度の焼結体のほか、アルミナ(Al2
3)を結合材とするYAG/アルミナの焼結体、ガラスを結合材とした焼結体が信頼性
の観点から好ましい。また、光透過部材20を板状とすることで、面状に構成される発光
素子10の出射面との結合効率が良く、光透過部材20の主面とが略平行になるよう容易
に位置合わせできる。加えて、光透過部材20の厚みを略一定とすることで、通過する光
の波長変換量を略均一として混色の割合を安定させ、発光面90の部位における色むらを
抑止できる。このため、1つの光透過部材20に複数の発光素子10を搭載する場合にお
いて、個々の発光素子10の配置に起因する発光面90内の輝度や色度の分布にむらが少
なく略均一で高輝度の発光を得ることができる。なお、波長変換機能を備えた光透過部材
20の厚みは、発光効率や色度調整において、10μm以上500μm以下であることが
好ましく、さらには50μm以上300μm以下であることがより好ましい。
波長変換部材は、青色発光素子と好適に組み合わせて白色発光とでき、波長変換部材に
用いられる代表的な蛍光体としては、ガーネット構造のセリウムで付括されたYAG系蛍
光体(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)及びLAG系蛍光体(ルテチウム・ア
ルミニウム・ガーネット)が挙げられ、特に、高輝度且つ長時間の使用時においては(R
1-xSmx3(Al1-yGay512:Ce(0≦x<1、0≦y≦1、但し、Reは、
Y、Gd、La、Luからなる群より選択される少なくとも一種の元素である。)等が好
ましい。またYAG、LAG、BAM、BAM:Mn、(Zn、Cd)Zn:Cu、CC
A、SCA、SCESN、SESN、CESN、CASBN及びCaAlSiN3:Eu
からなる群から選択される少なくとも1種を含む蛍光体が使用できる。波長変換部材は、
光透過部材の他に、例えば光透過部材と発光素子との間、その結合部材中、発光素子と被
覆部材との間、にも設けることもできる。光透過部材、波長変換部材及び焼結体も同様に
発光装置中に配置できる。黄〜赤色発光を有する窒化物系蛍光体等を用いて赤味成分を増
し、平均演色評価数Raの高い照明や電球色LED等を実現することもできる。具体的に
は、発光素子の発光波長に合わせてCIEの色度図上の色度点の異なる蛍光体の量を調整
し含有させることでその蛍光体間と発光素子で結ばれる色度図上の任意の点を発光させる
ことができる。その他に、近紫外〜可視光を黄色〜赤色域に変換する窒化物蛍光体、酸窒
化物蛍光体、珪酸塩蛍光体を用いることができる。例えば、L2SiO4:Eu(Lはアル
カリ土類金属)、特に(SrxMae1-x2SiO4:Eu(MaeはCa、Baなどのア
ルカリ土類金属)などが挙げられる。窒化物系蛍光体、オキシナイトライド(酸窒化物)
蛍光体としては、Sr−Ca−Si−N:Eu、Ca−Si−N:Eu、Sr−Si−N
:Eu、Sr−Ca−Si−O−N:Eu、Ca−Si−O−N:Eu、Sr−Si−O
−N:Euなどがあり、アルカリ土類窒化ケイ素蛍光体としては、一般式LSi222
:Eu、一般式LxSiy(2/3x+4/3y):Eu若しくはLxSiyz(2/3x+4/3y-2/3z)
Eu(Lは、Sr、Ca、SrとCaのいずれか)で表される。
(被覆部材)
被覆部材40は、図1に示すように、光透過部材20の一部を被覆し、具体的には光透
過部材20の側面の少なくとも一部を被覆する。そして、本発明においては、被覆部材が
素子等から垂下され、光の漏れ経路の形成を防ぐことから、基板、更にはそれに設けられ
た配線より、被覆部材の反射率が高いことが好ましい。また、光反射材料を含有する被覆
部材40は、その基材として透光性の樹脂材料が好ましく、シリコーン樹脂組成物、変性
シリコーン樹脂組成物等を使用することが好ましいが、エポキシ樹脂組成物、変性エポキ
シ樹脂組成物、アクリル樹脂組成物等の透光性を有する絶縁樹脂組成物を用いることがで
きる。また、これらの樹脂を少なくとも一種以上含むハイブリッド樹脂等、耐候性に優れ
た被覆部材も利用できる。さらに、ガラス、シリカゲル等の耐光性に優れた無機物を用い
ることもできる。また、樹脂材料を成形することで、所望の形状に成形でき、また所望領
域を被覆でき、本発明では光源部の発光素子、接着部材、光透過部材の表面、特にその側
面を被覆して形成できる。また、その発光面側の表面も同様に所望形状とでき、図示する
ような平坦な面状の他、凹や凸の曲面とできる。実施の形態1では耐熱性・耐候性の観点
から被覆部材としてシリコーン樹脂を使用する。
また、被覆部材40は、上記基材中に少なくとも1種類の光反射性材料45を含有して
なる。光反射性材料45を含有することで、被覆部材40の反射率が高まり、更に好適に
は低吸収性の粒子を用いると、光吸収、損失が低減され、光散乱性を備えた被覆部材とで
きる。被覆部材40中に含有される光反射性材料45は、Ti、Zr、Nb、Al、Si
からなる群から選択される1種の酸化物、若しくはAlN、MgFの少なくとも1種であ
り、具体的にはTiO2、ZrO2、Nb25、Al23、MgF、AlN、SiO2より
なる群から選択される少なくとも1種である。光反射性材料の粒子が、Ti、Zr、Nb
、Alからなる群から選択される1種の酸化物であることで、材料の高い反射性及び低吸
収性とでき、基材、特に透光性樹脂との屈折率差を高められ、好ましい。また、被覆部材
40は、上記光反射性材料による成形体でもって構成することもでき、具体的には上記粒
子を凝集した凝集体、焼結体、などの多孔質材料とすることもでき、その他に、ゾル・ゲ
ル法による成形体でもよく、上記光反射性材料と多孔質内の空気との屈折率差を大きくし
、光反射性を高められるため、また無機材料で構成できるため、好ましい。一方、上記樹
脂などの母材を備えた被覆部材と比較すると、所望の形状に成形すること及びその被覆領
域の制御性が良く、また封止性能、気密性能を高めること、ができ、本発明では上記母材
を備えた被覆部材とする方が好ましい。また、両者の被覆部材の特性を考慮して、両者の
複合的な成形体とでき、例えば、多孔質成形体の外表面側に樹脂を含浸させ、発光素子側
の内表面側では多孔質とした構造とできる。このように、被覆部材若しくはそれによる包
囲体は、内部領域と外部とが連通されたり、気体透過性であったりしてもよく、少なくと
も光が漏れ出さない形態であれば良い。
上述した母材中に光反射性材料45を含有する被覆部材40では、その含有濃度、密度
により光の漏れ出す深さが異なるため、発光装置形状、大きさに応じて、適宜濃度、密度
を調整すると良い。例えば比較的小さな発光装置で肉厚を小さくする場合は、高濃度の光
反射性材料45を備えることが好ましい。一方で、光反射性材料45を含有する被覆部材
40の原料の調製、その原料の塗布、成形などの製造過程において、それに適したように
その濃度を調整する。上記多孔質体についても同様である。一例として、実施例の場合に
は、光反射性材料45の含有濃度は20重量パーセント濃度(wt%)以上、その肉厚は
20μm以上とするのが好適であり、発光面90から高輝度で指向性の高い放出光が得ら
れ、適度な粘性で被覆部材によるアンダーフィルの形成など容易にできる。また、光反射
性材料の濃度を高くすれば被覆部材の熱拡散性を高めることができる。
被覆部材の形成領域は、光透過部材20における少なくとも側面に被覆部材40を設け
、好ましくは発光素子10の側面も被覆し、更に好ましくは、光透過部材及び発光素子を
含む光源部において発光面を露出させてその他を被覆し、接着部材30を介する場合も同
様である。これにより、光透過部材の側面から光が漏れ出すのを回避でき、その側面から
の比較的強度の大きい、また光変換部材を有する場合は色味差を有する光を抑止して、放
射光の指向性を良好にし、輝度ムラ、色ムラを低減できる。また、各部材、素子の側面を
被覆して、光取り出し方向側へ制限することで、指向性、輝度を高められる。また、光透
過部材20が波長変換材料を含有する場合には、この波長変換材料の発熱が特に著しいた
め、それを改善できる。光透過部材20の側面が被覆部材40により被覆され、かつ表面
21が露出されていれば、その外面形状は特に限定されず、図1に示すように表出面が光
透過部材の表面21よりも窪んだ構造でもよい。この発光面90が突出することで被覆部
材40による遮光を回避でき、また略同一面でもよく、所望の表面とできる。
(添加部材)
また、被覆部材40には、光反射性材料45、光変換部材の他、粘度増量剤等を適宜添
加することができ、これによって所望の発光色、それら部材若しくは装置表面の色、例え
ば高コントラスト化の為の黒色など、また所望の指向特性を有する発光装置が得られる。
同様に不要な波長をカットするフィルター材として各種着色剤を添加できる。他の部材、
また光透過部材、接着部材などの光透過性材料も同様である。
(接着部材)
接着部材30は、発光素子10と光透過部材20との間に介在して双方の部材を固着す
る接着剤に用いられる。この接着部材は、透光性を有して、発光素子10の出射光を光透
過部材側へ導光でき、双方の部材を光学的に結合できる材質が好ましい。その材料として
は上記各部材に用いられる樹脂材料が挙げられ、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂など透光
性の熱硬化性樹脂がよく、シリコーン樹脂は耐熱性、耐光性に優れるため好ましい。また
、シリコーン樹脂を使用すれば、上記フッ素系離型剤の効果が高いため好ましい。さらに
、ジメチル系シリコーン樹脂であれば高温耐性など信頼性において優れ、フェニル系シリ
コーン樹脂であれば屈折率を高くして発光素子10からの光の取り出し効率を高めること
ができる。
(実装基板50)
一方、図1の発光装置100において、上記の発光素子10が実装される基板50は、
少なくとも表面が素子の電極と接続される配線51を形成したものが利用でき、また外部
接続用の配線が裏面などに設けられても良い。基板の材料は、例として窒化アルミニウム
(AlN)で構成され、単結晶、多結晶、焼結基板、他の材料としてアルミナ等のセラミ
ック、ガラス、Si等の半金属あるいは金属基板、またそれらの積層体、複合体が使用で
き、金属性、セラミックは放熱性が高いため好ましい。なお、基板50は配線が無くても
よく、例えば図4の素子で成長基板側を実装して素子の電極を装置の電極にワイヤー接続
する形態、光透過部材に配線を設けて接続する形態でもでもよい。また、図示する発光装
置のように、被覆部材40が実装基板50の上に設けられる形態の他、実装基板50の外
側側面も覆う形態でもよい。また実装基板50は、少なくともその表面が高反射性材料で
構成されることが好ましい。また図1,2に示すように、発光素子10は、導電性接着材
60により配線51上に接着されて外部と電気的に接続される。導電性接着材60は、半
田、Agペースト、Auバンプなどが利用できる。
(枠体)
図1に示す発光装置100は、枠体55を有し、この枠体55は被覆部材40の保持部
材としても機能する。枠体55は、セラミックや樹脂などで形成することができる。光反
射性の高いアルミナが好ましいが、表面に反射膜を形成すればこれに限らない。樹脂であ
れば、スクリーン印刷等を用いるほか、成形体を実装基板に接着してもよい。また、被覆
部材40と同様に光反射性材料を用いるなどして、反射率を高くすると好ましい。また、
上記添加部材同様に、枠体を目的に応じて着色してもよい。なお、この枠体は、被覆部材
を充填又は成形後に、取り外すこともできる。また、枠体として、積層基板、基材などで
キャビティ構造を有する装置基体など、発光素子の実装基板に一体に形成されている形態
でもよい。
(発光装置の製造方法)
図1に示される例の発光装置100の製造方法の一例として以下に説明する。まず、実
装基板50の配線51上又は発光素子10にバンプ60を形成し、発光素子10をフリッ
プチップ実装する。この例では個片化前の基板50上で、1つの発光装置に対応する領域
に1個の発光素子10を並べて実装する。次に、発光素子10の出射面側(成長基板裏面
)に、接着部材30を塗布して、光透過部材20を積層し、その樹脂30を熱硬化して接
合する。次に、発光素子10の周囲に立設された枠体55内に、光透過部材20の側面を
被覆するように、ディスペンサ(液体定量吐出装置)等により、被覆部材40を構成する
樹脂を滴下(ポッティング)する。滴下された樹脂40は、表面張力によって発光素子1
0、光透過部材20の側面を這い上がり被覆し、表面21より枠体55に向かって低くな
る傾斜表面が形成される。また、樹脂40の表出面を表面21と略同一面となるよう平坦
化してもよい。そして、樹脂40を硬化させた後、所定の位置でダイシングを行い、所望
の大きさに切り出して発光装置100を得る。
<実施の形態2>
図5は、本発明の実施の形態2に係る発光装置を説明するための概略断面図である。図
5に示す例の発光装置において、分離部の構造を除く他の構成については、上述の実施の
形態1と実質上同様であり、したがって同様の構成については同一の符号を付して適宜説
明を省略する。
本発明における分離部は、少なくとも半導体素子構造の活性層を分離して複数の発光部
を形成するものであればよく、好適には図1,2,5に示すように、発光部に対して正負
一対の電極が設けられ、電流注入で発光可能な発光構造部を設けると良い。図5に示す例
の発光素子では、深さの異なる2種類の分離部を有して、各分離形態を示している。図中
右側の第1の分離部15は、半導体素子構造11の途中までの深さで、半導体素子構造2
0内に形成されている。すなわち発光構造部12bは、第1の分離部15上に残存する半
導体素子構造11の一部である連結部によって、隣接する発光構造部12aと互いに連結
されている。残存部が第1導電型半導体層を有すると、互いに第1導電型半導体層で電気
的に接続され、互いの発光構造部において連携して発光可能となり、第1導電型半導体層
とその第1の電極の配置の自由度を高められる。一方で、第1導電型半導体層を分離する
など、互いに絶縁され、独立して発光可能な分離部を有する構造では、各発光構造部にお
いて、上述したようにその光取り出し、発光効率を高めることができ、好ましい。
また被覆部材40は、この第1の分離部15の底面つまり連結部の表面を被覆しており
、被覆部材40と連結部の表面との界面に光反射部が設けられている。このように、発光
構造部間に連結部、その分離部に光反射部が形成されることによって、各発光構造部に共
通の光拡散領域の厚さを大きくすることができ、透光性基板1との界面と連結部において
光の拡散、並びに分離部上での光の重畳が得られやすく、さらに基板内でのそれと組み合
わされ好ましい。例えば第1の分離部15をバッファ層など絶縁性の層に至る深さで形成
、つまり連結部がそのような層で構成されることにより、各発光構造部を確実に電気的に
分離させ独立して発光可能で、上記の効果が得られる。後述するように分離部に空隙が設
けられる形態では、上記連結部に加えて分離部における光の分断作用を低減しつつ、上述
したように光反射部による散乱作用、分離部に光が取り出されることによる発光構造部、
素子構造内の自己吸収作用の低減、透光性基板への光入射機能により、上述したように本
発明の作用効果と協働させることで、それを高められる。
他方、図中左側の第2の分離部14は、半導体素子構造11の全てを除去し、その深さ
が透光性基板1の内部にまで及んでおり、発光構造部12aは第2の分離部14によって
その隣(12bと反対側)の発光構造部と絶縁されている。このような分離部は、実施の
形態1と同様に、各発光構造部12の絶縁性を高めることができ、また分離部内に被覆部
材40を充填しやすくなり、分離部の光反射性を高めることができる。また第2の分離部
14において、該分離部内に形成された被覆部材40は、上述したように実装基板50の
配線51上を被覆しているが、透光性基板1との間に空隙16が設けられて、透光性基板
1とは離間され、更に分離部を覆うように設けられている。この場合、光反射部は、分離
部における被覆部材40の表面(と空隙16(空気)との界面)に設けられる。このよう
な構成により、第2の分離部14において、隣接する発光構造部12の絶縁性を高めて独
立して発光させながらも、隣接する発光構造部12から互いに光が行き来することが可能
となり、上述したように配線51の光吸収による光損失を抑制しながら、分離部上の光の
重畳を促進することができる。他方、光反射部において、一部の光は乱反射されるため、
透光性基板に好適に光を入射させることができる。また、実施の形態1と異なり、基板に
も凹部が形成されており、これにより凹凸構造1Aに類似した効果と、また空隙により分
離部内に閉じこめられた光の基板への入射口となって、分離部による輝度、色ムラを抑制
できる。尚、上述したように、ここでの分離部の内面を構成する半導体表面、基板表面は
、光出射可能な素子構造表面であり、すべての表面が光出射可能な表面であるが、一部が
電極、配線など、例えば実施の形態4のように、被覆されていて、一部が出射可能な表面
であっても良い。
上述したように発光素子、その半導体表面、基板表面と被覆部材とを離間させ、その表
面、分離部に空隙を設ける方法としては、被覆部材の塗布方法、成形方法又はその条件、
部材の粘性などの条件を調整して形成することもでき、また、その表面に予め離型剤など
で表面処理して、空隙を形成することができ、こちらの方がその制御が容易で、量産性に
富むため好ましい。離型剤としては、被覆部材、例えば樹脂について、通常知られたもの
を用いることができ、例えば、フッ素系離型剤として、「デュラサーフHD−1101」
などがある。
<実施の形態3>
図6は、本発明の実施の形態3に係る発光装置を説明するための概略断面図であって、
例えば図1(b)におけるB−B方向に切断した概略断面図である。図6に示す例の発光
装置において、被覆部材による素子構造の被覆形態を除く他の構成については、上述の実
施の形態1と実質上同様であり、したがって同様の構成については同一の符号を付して適
宜説明を省略する。
図6に示す例の発光装置において、被覆部材40は、発光構造部12の下方において、
少なくとも配線52を被覆していれば、その領域に上記出射可能な素子構造表面からの光
が到達する場合、特に配線側にその表面が対面する場合に、該配線51による光吸収を低
減するができる。発光構造部12の実装面との間、又は素子と実装面との間に空隙17が
設けられることで、被覆部材の体積変化、樹脂の熱膨張などにより、素子の実装が一部で
剥がれたり、断線したり、悪影響を及ぼす場合にそれを解消する効果がある。また被覆部
材40と、発光構造部12の外側に面する側面、特に素子側面との間の一部に空隙18が
設けられ、被覆部材40は該空隙18により発光構造部12の該側面と離間されていても
よい。特に図6に示す例では、透光性基板1の半導体素子構造11が設けられる表面の周
縁が空隙18により露出されており、この露出部19にも空隙18から光結合することが
可能である。このような空隙は、該空隙との界面である被覆部材40表面での光反射によ
り光吸収を低減しながら、上述したように、光散乱機能、基板へ集光させる導光領域とし
ての機能、発光構造部、素子外部への光取り出し機能、により、本発明の作用効果、特に
素子周縁部における輝度、色ムラの改善効果を高められる。したがって、分離部により互
いに分離された発光構造部12から各々放出される光を、該空隙内を伝搬、拡散させなが
ら、透光性基板1側に反射させ光結合させることで、発光素子から均一化された光を発光
させることができる。空隙は、上述と同様に形成でき、例えば、実装面側に離間した被覆
部材は、実装前又は後に、予め1層目の比較的薄膜の被覆部材、実装面側を被覆して形成
し、2層目の被覆部材を素子、基板、光透過部材の各側面を被覆して形成する方法を用い
ることができる。
<実施の形態4>
図7は、本発明の実施の形態4に係る発光装置を説明するための概略断面図(a)と、
その発光素子の概略平面図(b)である。図7に示す例の発光装置において、発光構造部
間の電気的接続の構造を除く他の構成については、上述の実施の形態1と実質上同様であ
り、したがって同様の構成については同一の符号を付して適宜説明を省略する。
図7に示す例の発光装置において、分離部は透光性基板1の半導体素子構造11が設け
られる表面を露出する深さで形成されており、発光素子10に、分離部を横断して各発光
構造部12を互いに直列接続する電極が、発光構造部と分離部底面の基板表面を配線して
設けられている。これにより、実装基板50に発光素子10を実装するための突起電極な
どの導電性接着材60の形成、その設計自由度を高められ、それに対応する配線構造も簡
略化できる。またそれにより分離部および発光構造部12と実装基板50との間の空間の
容量が増え、該空間に被覆部材40を充填しやすくなり、分離部および発光構造部12と
実装基板50との間の空間の光吸収性を低減して光反射性を高めることができる。また上
述の実施の形態3で説明した導光領域として機能させることができる空隙を形成しやすく
することができる。また、配線9a〜9cは、隣接する発光構造部の各電極(9a,9c
)と電気的に接続し、また基板表面(9c)に延在されており、上述した分離部の内面の
一部を覆って、残部が露出されているため、その露出表面では上述した光出射表面として
機能させることができ、同様の効果を得ることができる。
<実施の形態5>
図8は、本発明の実施の形態5に係る発光装置の概略図であり、図8(a)は概略上面
図の図8(b)のA−Aにおける概略断面図であり、図8(c)は搭載されている発光素
子の概略上面図である。図8に示す例の発光装置において、発光素子の発光構造部の数や
電極、並びに実装基板の配線を除く他の構成については、上述の実施の形態1と実質上同
様であり、したがって同様の構成については同一の符号を付して適宜説明を省略する。
図8に示す例の発光装置200において、図8(c)に示すように、発光素子10は、
実施の形態1と同様に、ストライプ状の分離部によって互いに離間されて設けられた6つ
の発光構造部12を有している。またその発光構造部12には、実装面の周縁部に複数(
図中では各角部に1つずつで合計4つ)の第1導電型のパッド電極(ここではn側パッド
電極7)およびその上に突起電極の導電性接着材60が設けられており、これらを除いて
実装面の中央部を含む略全域に第1導電型とは導電型の異なる第2導電型のパッド電極(
ここではp側パッド電極6)が設けられ、その中央部には突起電極60が設けられている
。このように各電極を配置することにより、発光構造部12の略全域に亘って電流が拡散
しやすく、発光強度分布のムラを低減することができる。またこの第1導電型のパッド電
極7は、実装面の中央部を囲むように、該パッド電極を基点として中央部に向かって延伸
された延伸電極を有しており、さらに電流が拡散しやすくなっている。したがって、この
ような電極の配置によれば、発光構造部12を比較的大きく形成しても強度分布にムラの
少ない発光が得られるので、分離部の幅を小さくしたり数を減らしたりすることができ、
光束を高めることができる。
また図8(a)および(b)に示すように、実装基板210の基板50上には、上記発
光構造部12の各電極の配置に対応して、一方の発光構造部12の周縁部(電極7)と他
方の発光構造部12の中央部(電極6)とを接続するように、90度回転した略Y字状の
配線52が複数配列されており、発光構造部12間を直列接続可能となっている。このよ
うに、発光構造部12内の電流拡散性を高める電極配置とすれば、それに対応して配線5
2を設けており、被覆部材40がこれら発光構造部並びに分離部に対向して設けられた配
線52を被覆することにより、光吸収を低減して効率良く光を取り出し透光性基板1に光
結合することができる。
上述の各実施の形態、そこに説明された各部については、相互に組み合わせ可能であり
、所望の発光特性を得るために適宜、その組み合わせを適用する。
以下、本発明に係る実施例について詳述する。なお、本発明は以下に示す実施例のみに
限定されないことは言うまでもない。
<実施例1,2>
実施例1の発光装置の光源部には、図8に示すように、AlNのセラミックス基板50
の配線51,52上に、発光素子10として、1つのサファイア基板1上に互いに分離さ
れた6つの発光構造部12が設けられた、約1mm×6.5mmの略矩形状のLEDチッ
プ(発光波長455nm)1個がAuバンプ60によりフリップチップ実装されている。
これにより、各発光構造部12は配線52により直列接続されている。なお、このような
LEDチップ10は、サファイア基板1上に、窒化物半導体のn型層2、活性層3、p型
層4を順に含む半導体素子構造11を積層し、RIE(反応性イオンエッチング)により
部分的に半導体層を除去して、サファイア基板1の表面が露出された分離部(溝)を形成
することにより作製される。このLEDチップ10上に、光透過部材20としてYAGの
蛍光体とアルミナ(Al23)との焼結体である蛍光体板(この表面及び受光面の外形は
約0.8mm×6.3mmの略矩形状であり、厚みは約150μm)を1枚載置し、シリ
コーン樹脂の接着部材30により互いに接合させる。そして、セラミックス基板50上に
LEDチップ10及び蛍光体板20を包囲する枠体55を設置し、該枠体55の内側の凹
所に被覆部材40を充填し、蛍光体板20の表面21が発光面90として露出される状態
に、LEDチップ10および蛍光体板20の周部を該被覆部材40により被覆する。この
とき被覆部材40は、基板50とLEDチップ10との間に浸入して、配線51,52上
を被覆しながら分離部にも充填される。ここで、被覆部材40は、粒径約270nmのT
iO2の微粒子である光反射性材料45を約23重量パーセント濃度で含有するシリコー
ン樹脂である。そして、被覆部材40の硬化後、枠体を除去して発光装置を得る。
実施例2の発光装置は、光透過部材20の受光面22に発光素子10の出射面が内包さ
れる形態であり、実施例1における発光素子10を、1つのサファイア基板1上に6つの
発光構造部12が設けられた約1mm×6.5mmの略矩形状の1個のLEDチップとし
、さらに光透過部材20を約1.1mm×6.6mmの略矩形状として、実施例1と同様
に発光装置を作製する。
この実施例1の発光装置は、電流700mA(各発光構造部当たり)で駆動させると、
光束約740[lm](色度y値約0.28)、最大輝度4629[cd/cm2]、平均
輝度4123[cd/cm2]、ムラ指数0.12で発光する、高輝度の発光装置が得られ
る。また、実施例2の発光装置は、同じく電流700mAで駆動させると、光束約812
[lm](色度y値約0.32)、最大輝度3717[cd/cm2]、平均輝度3212[
cd/cm2]、ムラ指数0.16で発光する、高光束の発光装置が得られる。なおムラ指
数とは、(最大輝度−平均輝度)/平均輝度で定義される。また色度は、国際照明委員会
(CIE)のxyz表色系に準拠する。
<実施例3、比較例1>
実施例3の発光装置は、図1に示すように、実施例1における発光素子10を、1つの
サファイア基板1上に4つの発光構造部12が設けられた約1.0mm×4.3mmの略
矩形状の1個のLEDチップとし、さらに光透過部材20を約1.0mm×4.4mmの
略矩形状として、実施例1と同様に発光装置を作製する。
他方、比較例1の発光装置300は、図9に示すように、実装基板50上に、1つの透
光性基板上に1つの発光構造部が設けられた発光素子10を複数個実装し、これらの発光
素子の上に1つの光透過部材20を接着部材30で接合し、その周部を被覆部材40によ
り被覆することで作製される。本比較例1の発光装置300は、発光素子10として、実
施例1と同じ材料を用いて作製された、約1.0mm×1.0mmの略正方形の4個のL
EDチップを用いること以外は、実施例3と同様に作製する。
図10(a)は実施例3の発光装置、図10(b)は比較例1の装置をそれぞれ、電流
700mA(実施例3は各発光構造部当たり、比較例1は各発光素子当たり)で駆動させ
た場合の発光面90における色度y値の分布を各々示すものである。このような色度分布
は、例えばサイバネット社製「ProMetric」等の光学測定器により測定可能であ
る。実施例3の発光装置は、比較例1の発光装置と同等の輝度、ムラ指数で発光し、図1
0に示すように、比較例1の発光装置に比べ、発光面内の色ムラが低減される。また、本
発明の発光装置では、比較例1のような発光装置で発生しやすい、個々の発光素子の実装
精度(素子の高さ、傾き、回転)に起因する輝度ムラ、色ムラや、発光素子間の接着部材
30の垂れによる光損失などを抑制することができる。
本発明の発光装置は、照明用光源、LEDディスプレイ、液晶表示装置などのバックラ
イト光源、信号機、照明式スイッチ、各種センサ及び各種インジケータ等に好適に利用す
ることができる。
10…発光素子(1…透光性基板、成長基板(1A…凹凸構造)、2…第1導電型(n型)
半導体層、3…活性層、4…第2導電型(p型)半導体層、5…透光性導電層、6…第2
の電極(p側パッド電極)、7…第1の電極(n側パッド電極)、8…保護膜、11…素
子構造、12…発光構造部(12a, 12b…発光構造部[エピ非分離/基板非露出])
13〜15…分離部、16…空隙(分離部内)、17…空隙(実装側)、18…空隙(素
子内の半導体側面で露出した基板上)、19…基板外縁の露出部
20,24…光透過部材(21,23,25…表面、22,26…受光面)
30…接着部材、40…被覆部材、45…光反射性材料、50…実装基板(51,52…
配線)、55…枠体、60…導電性接着材、100,200…発光装置、210…実装基

Claims (5)

  1. 発光装置の発光面となる表面と受光面とを有する光透過部材と、
    前記受光面に結合された出射面と、該出射面に対向し、半導体素子構造が設けられた表面とを有する透光性基板を備えた発光素子と、
    前記発光素子をフリップチップ実装する実装基板と、
    光反射性材料を含有し、前記発光面を露出して、前記発光素子の側面と、該側面から延在して前記光透過部材の一部と、を被覆する被覆部材と、を備え、
    前記発光素子は、前記透光性基板の表面上に、
    分離部と、前記半導体素子構造が該分離部により互いに分離されて、該分離された半導体素子構造の各領域に設けられた複数の発光構造部と、を有し、
    前記複数の発光構造部は一列状に配列されており、
    前記発光構造部は、実装面の各角部に第1導電型パッド電極が設けられ、該第1導電型パッド電極を除いて実装面の中央部を含む略全域に第1導電型とは導電型の異なる第2導電型パッド電極が設けられ、
    前記被覆部材は、前記分離部と、該分離部に隣接する前記発光構造部とを被覆して、該被覆側表面に光反射部を有する発光装置。
  2. 前記第1導電型パッド電極は、前記実装面の中央部を囲むように、該第1導電型パッド電極を基点として中央部に向かって延伸された延伸電極を有している請求項1に記載の発光装置。
  3. 前記実装基板は、該実装基板上に前記発光構造部間を直列接続する配線を備える請求項1または2に記載の発光装置。
  4. 前記光透過部材は、前記発光素子に励起される波長変換部材である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発光装置。
  5. 前記波長変換部材は、互いに対向する第1及び第2の主面を有する板状体である請求項4に記載の発光装置。
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