JP5761369B2 - 車両 - Google Patents

Description

本発明は、バッテリパックを搭載した車両に関する。

電気自動車やハイブリッド自動車には、電気モータを駆動するため、リチウムイオン電池やニッケル水素電池などから構成されるバッテリを内部に収容したバッテリパックが搭載される（例えば、特許文献1）。

特許文献1では、バッテリパックは、フロアパネル上、かつ車幅方向に並設された運転席と助手席との間に配置されている。

特開２００４−３４５４４７号公報

しかしながら、特許文献1では、バッテリパックが運転席と助手席との間に配置されているので、バッテリの交換時や廃車時におけるバッテリパックの取り外し作業の際に、運転席および助手席を取り外す必要があり、作業工数がかかるという問題がある。

本発明は、バッテリパックの取り外し作業にかかる工数を低減できる車両を提供することを目的とする。

上記課題を解決するために、本発明に係る車両は、（１）バッテリパックを備えた車両であって、前記バッテリパックは、車幅方向に並設された運転席と助手席との間の空間よりも車両前方、かつ車室内であって前記運転席および前記助手席の車両前方に設けられるインストルメントパネルよりも車両後方に配置される。そして、前記運転席および前記助手席は、車両前後方向かつ車両の車幅方向に対して垂直に交わる方向にスライド移動可能であり、前記バッテリパックの車両前後方向における後端部は、車両後方への最大可動位置にある前記運転席および前記助手席の少なくとも一方の車両前後方向における前端部よりも車両前方にあることを特徴とする。

本発明によれば、バッテリパックは、運転席と助手席との間の空間よりも車両前方、かつインストルメントパネルよりも車両後方に配置されるので、バッテリパックを車体から取り外す際に運転席および助手席を取り外す必要がなく、その分、バッテリパックの取り外し作業にかかる工数を従来より低減できる。特に、バッテリパックを交換する際に運転席および助手席の少なくとも一方を車両後方への最大可動位置に移動させることで、運転席および助手席の少なくとも一方を車幅方向から見た際にバッテリパックと重ならない位置に位置づけることができ、バッテリパックの取り外し作業を容易に行うことができる。

（２）上記（１）の構成において、前記バッテリパックにおいて、車両前後方向における前端部には吸気用開口部があり、前記吸気用開口部は、前記バッテリパック内を冷却する冷却空気を前記バッテリパック内に取り入れてもよい。

一般に、インストルメントパネルの下方には冷暖房空調装置が配置され、空調時には、該冷暖房空調装置から運転席および助手席に座る乗員に向けて、すなわち冷暖房空調装置からインストルメントパネル付近に向けて、冷風が送り出される。従って、空調時には、インストルメントパネル付近には、周囲よりも低温の空気が滞留することとなる。

この発明によれば、バッテリパックの前側に吸気用開口部があるので、インストルメントパネル付近に滞留する低温の空気を、吸気用開口部によりバッテリパック内に良好に取り込むことができ、バッテリを十分に冷却できる。

（３）上記（１）または（２）の構成において、前記バッテリパックの内部には、複数の単電池を接続したバッテリが収容されており、前記インストルメントパネルよりも車両前後方向における前側には、前記バッテリから負荷に供給される電力の制御に関わる電気機器が搭載されており、前記バッテリを前記電気機器と接続するための接続部を、前記バッテリパック内、かつ前記バッテリよりも車両前後方向における前側に配置してもよい。

この発明によれば、接続部がバッテリパック内、かつバッテリより前側にあるので、接続部がバッテリの後側にある場合に比べ、電気機器と接続部とを連結するケーブルを短くできる。

（４）上記（１）〜（３）のいずれかの構成において、前記インストルメントパネルからはコントロールパネル部が前記運転席と前記助手席との間の空間に延び、前記バッテリパックは、フロアパネル上かつ前記コントロールパネル部の下方に配置されてもよい。

この発明によれば、コントロールパネル部とフロアパネルとの間のスペースを有効に利用できる。

車室内の要部を示す斜視図である。 運転席の構成を示す側面図である。 運転席および助手席の後方への最大可動位置を示す平面図である。 バッテリパックの断面構成を示すとともに、バッテリパックとインパネ、コントロールパネル部、運転席との関係を示す模式図である。

以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明する。
図１は、車両１００における車室内の要部を示す斜視図である。図１において、矢印Ｆｒは車両前後方向における前側方向を示し、矢印Ｒｒは後側方向を示し、矢印Ｒｈは前側方向に向かって右側方向を示し、矢印Ｌｈは前側方向に向かって左側方向を示し、矢印Ｕｐは上側方向を示す。以降、車両前後方向における前側方向を単に前方、車両前後方向における後側方向を単に後方と記載する。また、矢印Ｒｈ方向及び矢印Ｌｈ方向を車幅方向と記載する。

車両１００において、バッテリパック２内には、後述するようにバッテリ２１が収容されている。車両１００は、このバッテリ２１の電力を用いて車両走行用のモータを駆動する駆動経路と、内燃機関からなる駆動経路とを有するハイブリッド自動車である。車両１００は、外部に設けられた商用電源よりバッテリ２１を充電可能なプラグインハイブリッド自動車であってもよい。車両１００は、バッテリ２１の電力を用いてモータを駆動する駆動経路のみを有する電気自動車であってもよい。

車両１００の車室内において、フロアパネル１上には、ファーストシートとしての運転席１１が設けられている。また、図１において図示されていないが、ファーストシートとしての助手席１２が運転席１１の左方に設けられている。

フロアパネル１において、運転席１１と助手席１２の間にはフロアトンネル１３が設けられている。フロアトンネル１３は、フロアパネル１から上方に膨出するとともに車両前後方向に延びる。フロアトンネル１３は、車両前後方向に延びるプロペラシャフトや排気管を内側に収容しており、床面を下げる機能を有する。フロアパネル１において、車幅方向両端には、車両１００の骨格部材であるサイドメンバ１４が設けられている。サイドメンバ１４は、車両前後方向に延び、車両前後方向に直交する断面が閉断面となっている。

フロアパネル１上には、車幅方向に延びるクロスメンバ１５，１６が設けられている。クロスメンバ１５，１６は、車両１００の骨格部材であり、車幅方向に直交する断面が閉断面となっている。クロスメンバ１５，１６は、フロアトンネル１３に交差し、両端がそれぞれ車幅方向両側のサイドメンバ１４に接合される。クロスメンバ１５，１６は、フロアトンネル１３との交差部分においてフロアトンネル１３と接合される。

車室内において、前側かつフロントウインドウ下には、運転席１１の前方から助手席１２の前方に亘って車幅方向に延びる樹脂製等のインストルメントパネル３１が設けられている。インストルメントパネル３１は、運転席１１の前方から助手席１２の前方に亘って設けられた内装部品全体を指すものとする。以降、インストルメントパネル３１をインパネ３１と記載する。

インパネ３１の車幅方向中央部には、後方に向かって延びるコントロールパネル部３２が設けられている。コントロールパネル部３２には、タッチパネル３２１、ボタン３２２、およびシフトレバー３２３が設けられている。乗員は、タッチパネル３２１およびボタン３２２を操作することにより、車両１００に備わるエアコン等の様々な補機を操作することができる。

車室内でインパネ３１に覆われたインパネ３１の内部空間Ｓ１には、冷暖房空調装置であるＨＶＡＣ４１（Heating, Ventilation, and Air Conditioning）が設けられている。ＨＶＡＣ４１は、車室内の各部に、換気用の空気、低温空気、および高温空気を送る。例えばＨＶＡＣ４１は、運転席１１および助手席１２に座る乗員に向けて低温の空気Ａ１を送る。

車両１００の前側には、図示しないダッシュパネル等の部材によって車室と仕切られたエンジンコンパートメントがある。エンジンコンパートメント内にはエンジンやモータが設けられている。また、エンジンコンパートメント内には、バッテリ２１からモータ等の負荷に供給される電力の制御に関わる電気機器として、パワーコントロールユニット４２が設けられている。パワーコントロールユニット４２は、パワーケーブル５１によりバッテリパック２内のバッテリと電気的に連結される。パワーコントロールユニット４２は、バッテリの電圧を昇圧するコンバータ、直流電圧を交流電圧に変換するインバータ、および昇圧コンバータとインバータとを制御するＥＣＵ（Electric Control Unit）を備える。

このような車両１００において、バッテリパック２は、運転席１１と助手席１２との間の空間Ｓ２よりも前方、かつインパネ３１よりも後方に配置されている。例えば、バッテリパック２は、フロアトンネル１３上、かつコントロールパネル部３２の下方の空間Ｓ３に配置されている。バッテリパック２の後方には、小物等を内部に収容可能な樹脂製のセンターコンソールボックス４３が配置されている。

図２は、運転席１１の構成を示す側面図である。
運転席１１は、クッションシート１１１と、下端部を中心に回動可能なシートバック１１２と、スライド機構１１３とを備える。スライド機構１１３は、クッションシート１１１に対し、車幅方向に一対設けられる。

スライド機構１１３は、クッションシート１１１から下方に突出するレール部１１４と、フロアパネル１に設けられた一対のシートレッグ１１５と、シートレッグ１１５に支持されるとともに、レール部１１４を前後方向にガイドするガイド部１１６とを備える。スライド機構１１３は、クッションシート１１１及びシートバック１１２を支持するとともに、フロアパネル１に対してＦｒ方向及びＲｒ方向（かつ車両の車幅方向に対して垂直に交わる方向）にスライド移動させる。

図３は、運転席１１および助手席１２の後方への最大可動位置を示す平面図である。
スライド機構１１３による運転席１１の後方への最大可動位置は、図３にて２点鎖線で示す位置となっている。助手席１２も、運転席１１と同様の構成を備え、運転席１１と同様の位置まで後方へ可動する。図２及び図３に表されているように、バッテリパック２は、後端部２０１が、後方への最大可動位置にある運転席１１および助手席１２の前端部１１７よりも前方に位置するように配置されている。

図４は、バッテリパック２の断面構成を示すとともに、バッテリパック２とインパネ３１、コントロールパネル部３２、運転席１１との関係を示す模式図である。
バッテリパック２は、バッテリ２１、バッテリーカバー２２、吸気ダクト２３１，２３２、排気ダクト２３３、ブロワ２４、バッテリ監視ユニット２５、ジャンクションボックス２６（接続部）、および外装ケース２７を備える。外装ケース２７は、上記各部材を内部に収容する。

吸気ダクト２３１は、外装ケース２７から前方に突き出しており、外装ケース２７の外部とブロワ２４とを連通する。外装ケース２７の外部、かつバッテリパック２の前端部にある吸気ダクト２３１の開口部を、吸気用開口部２３１１と称する。吸気用開口部２３１１は、インパネ３１下に配置され、ＨＶＡＣ４１から運転席１１および助手席１２に座る乗員に向けて送り出される低温の空気を良好に吸気できる位置にある。吸気ダクト２３２は、ブロワ２４から送られてくる空気をバッテリ２１側に送る。

排気ダクト２３３は、バッテリ２１が収容されるバッテリーカバー２２の内部と外装ケース２７の外部とを連通する。排気ダクト２３３の一端は、外装ケース２７外部において、吸気用開口部２３１１より上方の位置に突き出している。これにより、排気ダクト２３３は、バッテリ２１冷却後の高温の空気を乗員から離れた位置に排気できる。

バッテリーカバー２２は、バッテリ２１を内部に収容する。バッテリ２１の下側とバッテリーカバー２２との間には、吸気ダクト２３２と連通する下方冷却空気通路２８１が形成され、バッテリ２１の上側とバッテリーカバー２２との間には、排気ダクト２３３と連通する上方冷却空気通路２８２が形成される。

バッテリ２１は、直線上に配列される複数の単電池２１１と、隣接する単電池２１１間に位置するスペーサ２１２と、単電池２１１およびスペーサ２１２を挟む位置に配置されるエンドプレート２１３とを備える。スペーサ２１２が単電池２１１の外面に当接することにより、隣接する単電池２１１間には、冷却空気通路２８１，２８２を接続する電池間冷却空気通路２８３が形成される。単電池２１１は、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池などの二次電池、あるいはキャパシタであってもよい。また、単電池２１１は、いわゆる角型電池であってもよいし、円筒型の電池であってもよい。また、単電池２１１は、一つの電池セルであってもよいし、或いは複数の電池セルを接続した電池モジュールであってもよい。ここで、電池セルとは、充放電可能な最小単位の要素を意味する。

ブロワ２４によりバッテリ２１側に送られた空気は、下方冷却空気通路２８１、電池間冷却空気通路２８３、および上方冷却空気通路２８２を通過して、バッテリ２１を冷却した後、排気ダクト２３３を介して外装ケース２７の外部に排気される。

ジャンクションボックス２６は、バッテリ２１の前方側に設けられている。ジャンクションボックス２６には、バッテリ２１とパワーコントロールユニット４２とを接続するパワーケーブル５１が接続される。

本実施形態では、バッテリパック２は、運転席１１と助手席１２との間の空間Ｓ２よりも前方、かつインパネ３１よりも後方に配置されているので、バッテリパック２を車体から取り外す際に運転席１１および助手席１２を取り外す必要がなく、その分、バッテリパック２の取り外し作業にかかる工数を従来より低減できる。

本実施形態によれば、パワーケーブル５１が接続するジャンクションボックス２６がバッテリパック２内、かつバッテリ２１の前側にあるので、ジャンクションボックス２６がバッテリ２１の後側にある場合に比べ、パワーケーブル５１を短くできる。

本実施形態によれば、バッテリパック２の後端部２０１は、後方への最大可動位置にある運転席１１および助手席１２の前端部１１７よりも前方にある。そのため、本実施形態では、バッテリパック２を車体から取り外す際に、運転席１１および助手席１２を後方への最大可動位置に移動させることで、運転席１１および助手席１２を車幅方向から見た際にバッテリパック２と重ならない位置に位置づけることができ、バッテリパック２の交換作業を容易に行うことができる。

本実施形態によれば、バッテリパック２の前端部に吸気用開口部２３１１があるので、ＨＶＡＣ４１からインパネ３１の下方に送り出される低温の空気を良好に吸気でき、バッテリ２１を十分に冷却できる。

なお、前記実施形態では、バッテリパック２の後端部２０１は、車両後方への最大可動位置にある運転席１１および助手席１２の両方の前端部１１７よりも前方にあったが、いずれか一方の前端部１１７よりも前方かつ他方の前端部１１７よりも後方にあってもよい。

前記実施形態では、バッテリパック２の吸気位置（外装ケース２７からの吸気ダクト２３１の突出位置）および排気位置（外装ケース２７からの排気ダクト２３３の突出位置）は、共にバッテリパック２の前方であったが、適宜の位置にあってよい。例えば、バッテリパック２の吸気位置は、バッテリ２１の後方にあってもよいし、バッテ２１の側方にあってもよい。また、バッテリパック２の吸気位置は、前記実施形態では、排気位置より下側にあったが、上側にあってもよい。

前記実施形態では、バッテリ２１から負荷に供給される電力の制御に関わる電気機器としてパワーコントロールユニット４２を例示した。しかしながら、電気機器としては、コンバータやインバータ単体であってもよく、負荷としてのモータやＨＶＡＣ、オーディオ機器等に出力される電力を制御する電気機器であれば適宜のものを採用できる。

２…バッテリパック、１１…運転席、１２…助手席、２１…バッテリ、
２６…接続部（ジャンクションボックス）、
３１…インストルメントパネル、３２…コントロールパネル部、
４２…電気機器（パワーコントロールユニット）、１００…車両、
１１７…運転席および助手席の前端部、
２０１…バッテリパックの後端部、２１１…単電池、
２３１１…吸気用開口部、Ｓ２…運転席と助手席との間の空間。

Claims (4)

1. バッテリパックを備えた車両であって、
   前記バッテリパックは、車幅方向に並設された運転席と助手席との間の空間よりも車両前方、かつ車室内であって前記運転席および前記助手席の車両前方に設けられるインストルメントパネルよりも車両後方に配置されているとともに、
   前記運転席および前記助手席は、車両前後方向かつ車両の車幅方向に対して垂直に交わる方向にスライド移動可能であり、
   前記バッテリパックの車両前後方向における後端部は、車両後方への最大可動位置にある前記運転席および前記助手席の少なくとも一方の車両前後方向における前端部よりも車両前方にあることを特徴とする車両。
2. 前記バッテリパックにおいて、車両前後方向における前端部には吸気用開口部があり、前記吸気用開口部は、前記バッテリパック内を冷却する冷却空気を前記バッテリパック内に取り入れることを特徴とする請求項１に記載の車両。
3. 前記バッテリパックの内部には、複数の単電池を接続したバッテリが収容されており、
   前記インストルメントパネルよりも車両前後方向における前側には、前記バッテリから負荷に供給される電力の制御に関わる電気機器が搭載されており、
   前記バッテリを前記電気機器と接続するための接続部を、前記バッテリパック内、かつ前記バッテリよりも車両前後方向における前側に配置したことを特徴とする請求項１または請求項２に記載の車両。
4. 前記インストルメントパネルからはコントロールパネル部が前記運転席と前記助手席との間の空間に延び、前記バッテリパックは、フロアパネル上かつ前記コントロールパネル部の下方に配置されることを特徴とする請求項１から請求項３のいずれかに記載の車両。

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