以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
<1.構成概要>
図1は、文書出力システム1を示す図である。図1に示すように、文書出力システム11は、複数の画像形成装置10(詳細には10a,10b,10c,...)と複数のクライアントコンピュータ30と印刷管理装置50とゲートウエイコンピュータ70とクラウドサーバコンピュータ90とを備える。
ローカル側の装置10,30,50,70は、ネットワークNWを介してクラウドサーバコンピュータ(単にクラウドサーバとも称する)90に接続される。ネットワークNWは、LAN(Local Area Network)およびインターネットなどによって構成される。また、ネットワークNWに対する接続態様は、有線接続であってもよく、或いは無線接続であってもよい。
また、印刷管理装置50(社内サーバコンピュータあるいは単に社内サーバとも称する)と各画像形成装置10と各クライアントコンピュータ(単にクライアントとも称する)30とは、互いに社内ネットワーク(ローカル側ネットワーク)を介して通信を行うことが可能である。ローカル側ネットワーク内の通信は、ローカル側装置とクラウドサーバ90との間でのインターネットを介した通信よりも高速である。
クラウドサーバ90は、ネットワークを介して各種のサービス(ここでは、文書蓄積サービス)を提供するコンピュータである。クラウドサーバ90は、クラウドサービス提供側の会社等に配置される。クラウドサーバ90においては、複数のユーザにより共用される電子文書(共用文書)が格納されて管理される。
画像形成装置10は、クラウドサービスを利用することが可能な装置である。画像形成装置10は、クラウドサービス利用側の会社等に配置される。また、画像形成装置10は、電子文書を印刷出力することが可能な装置である。画像形成装置10は、操作ユーザーによる操作指示に基づき、指定された電子文書のデータを取得し、当該データに基づく印刷出力動作(および表示出力動作)等を行う。なお、画像形成装置10は、印刷出力装置とも称される。
画像形成装置10は、クラウドサーバ90との間での電子文書データの送受信を印刷管理装置50を介して行う。
印刷管理装置50は、複数のユーザにより共用される印刷管理サーバである。印刷管理装置50は、ゲートウエイコンピュータ(単にゲートウエイとも称する)70を介して、クラウドサーバ90と通信可能である。印刷管理装置50は、各画像形成装置10からの印刷出力要求(あるいは表示出力要求)に応じて、クラウドサーバ90に対して電子文書データの送信要求を送出する。
この実施形態では、印刷管理装置50は、クラウドサーバ90から受信した電子文書のデータを、当該印刷管理装置50、および/または複数の画像形成装置10のうちの特定の画像形成装置10にキャッシュ(格納)する。そして、各画像形成装置10は、(クラウドサーバ90と)印刷管理装置50と自装置10とのいずれかから電子文書のデータを取得し、当該データに基づく印刷出力動作を行う。
たとえば、或るのユーザUAによる印刷指示に応じて画像形成装置10aが或る電子文書(共用文書)Daに関する印刷を行う際において、印刷管理装置50は当該電子文書Daのデータをクラウドサーバ90からダウンロードし、当該データを画像形成装置10aに転送して画像形成装置10aに当該電子文書Daを印刷出力させる。このとき、印刷管理装置50は、当該当該電子文書Daのデータを、電子文書Daに関する情報に基づき決定された特定のキャッシュ先(ローカル側装置)に格納する。その後、別のユーザUBによる新たな印刷指示に応じて別の画像形成装置10bが当該電子文書(共用文書)Daに関する印刷を行う際においては、当該画像形成装置10bは、特定のキャッシュ先(自装置10b)に格納されたキャッシュデータを用いて、印刷出力を実行する。
このような動作については後に詳述する。
<2.画像形成装置の構成>
次に画像形成装置10の構成について説明する。
この実施形態では、画像形成装置10として、MFP(マルチ・ファンクション・ペリフェラル(Multi-Functional Peripheral))を例示する。
図2は、MFP10の概略構成を示す機能ブロック図である。
MFP10は、スキャン機能、コピー機能、ファクシミリ機能およびボックス格納機能などを備える装置(複合機とも称する)である。具体的には、MFP10は、図2の機能ブロック図に示すように、画像読取部2、印刷出力部3、通信部4、格納部5、入出力部6およびコントローラ9等を備えており、これらの各部を複合的に動作させることによって、各種の機能を実現する。
画像読取部2は、MFP10の所定の位置に載置された原稿を光学的に読み取って(すなわちスキャンして)、当該原稿の画像データ(原稿画像なしいスキャン画像とも称する)を生成する処理部である。この画像読取部2は、スキャン部であるとも称される。
印刷出力部3は、印刷対象に関するデータに基づいて紙などの各種の媒体に画像を印刷出力する出力部である。
通信部4は、公衆回線等を介したファクシミリ通信を行うことが可能な処理部である。さらに、通信部4は、ネットワークNWを介したネットワーク通信を行うことも可能である。このネットワーク通信では、たとえば、TCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)等の各種のプロトコルが利用される。当該ネットワーク通信を利用することによって、MFP10は、所望の相手先との間で各種のデータを授受することが可能である。
格納部5は、ハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置で構成される。格納部5は、印刷ジョブに係るデータを記憶する。また、格納部5は、印刷管理装置50から送付されてきた電子文書Daのキャッシュデータ等をも記憶する。
入出力部6は、MFP10に対する入力を受け付ける操作入力部6aと、各種情報の表示出力を行う表示部6bとを備えている。
コントローラ9は、MFP10に内蔵され、MFP10を統括的に制御する制御装置である。コントローラ9は、CPUおよび各種の半導体メモリ(RAMおよびROM)等を備えるコンピュータシステムとして構成される。コントローラ9は、CPUにおいて、ROM(例えば、EEPROM)内に格納されている所定のソフトウエアプログラム(以下、単にプログラムとも称する)PG1を実行することによって、各種の処理部を実現する。なお、当該プログラムPG1は、USBメモリなどの可搬性の記録媒体、あるいはネットワークNW等を介してMFP10にインストールされるようにしてもよい。
具体的には、図2に示すように、コントローラ9は、印刷指示受付部11と通信制御部12と印刷出力制御部15とを含む各種の処理部を実現する。
印刷指示受付部11は、各操作ユーザによって、操作入力部6aを用いて入力される印刷指示を受け付ける処理部である。
通信制御部12は、通信部4等と協働して、印刷管理装置50等との通信動作を制御する処理部である。
印刷出力制御部15は、印刷出力部3を用いた印刷出力動作を制御する処理部である。印刷出力制御部15は、印刷対象文書に関するキャッシュデータが自装置内に存在する場合には、当該キャッシュデータを用いて、印刷出力動作を実行する。
<3.印刷管理装置50の構成>
次に印刷管理装置50の構成について説明する。
印刷管理装置50は、CPU等を備えるコンピュータシステムとして構成される。印刷管理装置50は、図3に示すように、通信部54、格納部55およびCPU59等を備える。図3は、印刷管理装置50の概略構成を示す機能ブロック図である。
通信部54は、ネットワーク通信によりMFP10およびクラウドサーバ90等との通信を行う処理部である。
格納部55は、各種の情報を格納する処理部であり、ハードディスク等により構成される。格納部55には、必要に応じて電子文書Daのキャッシュデータ等が格納される。
CPU59は、所定のソフトウエアプログラム(プログラム)PG2を実行することによって、各種の処理部を実現する。具体的には、サーバ50のCPU59にてプログラムPG2が実行されることにより、図3に示すように、通信制御部61、キャッシュ先決定部63と保存制御部65と印刷制御部67とを含む各種の処理部が実現される。なお、当該プログラムPG2は、USBメモリなどの可搬性の記録媒体、あるいはネットワークNW等を介してサーバ50にインストールされればよい。
通信制御部61は、複数の画像形成装置(ここでは複数のMFP)10のうちの或る画像形成装置からの出力要求(より詳細には、或る電子文書Daに関する最初の印刷出力要求)に応答して、クラウドサーバ90から電子文書Daのデータをダウンロードする。また、通信制御部61は、要求元の画像形成装置10に当該データを転送する処理等をも実行する。なお、要求元の画像形成装置10は、転送されたデータを利用して、電子文書Daの印刷出力等を実行する。また、通信制御部61は、新たな印刷出力指示に応じて新たな要求元の画像形成装置10に対し、印刷管理装置50内に格納されたキャッシュデータを転送する処理等をも実行する。
キャッシュ先決定部63は、電子文書Daに関する印刷出力先特定用情報に基づいて、印刷管理装置50と複数の画像形成装置とを含む複数の候補装置(ローカル側装置)の中から電子文書Daのキャッシュ先(詳細にはキャッシュ先装置)を決定する。詳細には、キャッシュ先決定部63は、当該印刷出力先特定用情報に基づいて、電子文書Daを印刷出力し得る装置(印刷出力先装置)を絞り込み、その絞り込み結果に基づいてキャッシュ先を決定する。なお、印刷出力先特定用情報は、電子文書Daの印刷出力先を特定する(絞り込む)ための各種情報で構成される。印刷出力先特定用情報は、後述するように、たとえばアクセス制限情報および印刷ルール等によって構成される。
保存制御部65は、クラウドサーバ90からダウンロードした電子文書Daのデータをキャッシュデータとしてキャッシュ先に保存する動作を制御する。
印刷制御部67は、複数の画像形成装置10の印刷出力動作を制御する。たとえば、印刷制御部67は、複数の画像形成装置のうちの新たな要求元の画像形成装置からの新たな印刷出力指示に応答して、キャッシュ先に格納されているキャッシュデータを利用して当該新たな要求元の画像形成装置に電子文書Daを印刷出力させる。
<5.動作概要>
図4および図5は、本システムにおける動作を示す図である。以下では、図4等を参照しつつ、当該動作について説明する。なお、図4等においては、簡略化のため、ゲートウエイ70等が省略されている。
以下では、ユーザUA,UB,UCがこの順序で共有文書Daを印刷出力させる場合について例示する。より詳細には、(1)まず、画像形成装置10aに対してユーザUAの操作により印刷出力指示が付与され、当該印刷出力指示に応答して、印刷管理装置50を介してクラウドサーバ90から電子文書Daがダウンロードされ、画像形成装置10aにより電子文書Daが印刷出力される。(2)そして、ダウンロードされた電子文書Da(詳細にはそのデータ)のキャッシュ先が決定され、ダウンロードされたデータ(電子文書Daのデータ)がキャッシュデータとして当該キャッシュ先に格納される。このキャッシュデータは、電子文書Daの印刷出力を未だ行っていないユーザ(ここでは、ユーザUB,UC)が当該電子文書Daを後に印刷出力する際に利用される。(3)その後、電子文書Daに対するユーザUB,UCによる印刷出力が当該キャッシュデータを用いて順次に実行される。このような態様について説明する。
(1)まず、ユーザUAが、画像形成装置10aにログインし、当該画像形成装置10aを操作してクラウドサーバ上の電子文書Daに対する印刷出力指示を付与すると、当該印刷出力指示に基づく印刷出力要求が画像形成装置10aから印刷管理装置50に対して送信される。各電子文書に関する最初の印刷出力要求は、クラウドサーバから当該電子文書をダウンロードすべき旨のダウンロード要求であるとも表現される。
印刷管理装置50は、画像形成装置10aからの印刷出力要求(電子文書Daに関する最初の印刷出力要求)に応答して、電子文書Daのダウンロード要求をクラウドサーバ90に送信する(ステップS11)。クラウドサーバ90は、当該ダウンロード要求に応答して電子文書Da(詳細にはそのデータBD)を印刷管理装置50に向けて送信し、印刷管理装置50は、当該電子文書Da(詳細にはそのデータBD)を受信(すなわちダウンロード)する(ステップS12)。
印刷管理装置50は、ダウンロードした電子文書Daを要求元の画像形成装置10aに転送する(ステップS13)。画像形成装置10aは、転送されたデータBD(電子文書Daのデータ)に基づいて電子文書Daを印刷出力する。なお、この実施形態では、画像形成装置10aは、自装置10a内の記憶領域の有効利用を図るため、印刷出力後においてデータBDを自装置10a内から削除する。
(2)さらに、印刷管理装置50は、図6〜図10に示すデータ等に基づいて、印刷管理サーバ50と複数の画像形成装置10とを含む複数の候補装置(ローカル側装置と称される)の中から電子文書Daのキャッシュ先を決定し、電子文書Daをキャッシュ先に格納する(ステップS14〜S18)。
図6および図7は、クラウドサーバ90内に格納されているデータを示す図である。
図6は、クラウドサーバ90で管理されている、電子文書DaのデータBDと当該電子文書のデータBDに付随する付随データADとを示す図である。図6の付随データADにおいては、当該電子文書Daの「ページ数」、「カラー/モノクロ」、「共有文書であるか否か」、「共有ユーザ」に関する情報が格納されている。より詳細には、当該電子文書Daのページ数が「100ページ」であり、当該電子文書Daは「カラー(フルカラー)」による印刷出力が行われるべき旨が格納されている。また、電子文書Daが「共有文書」であり、電子文書Daの共有ユーザが「ユーザUA,UB,UC,UD,UX」である旨も格納されている。
また、図7は、電子文書Daに関するアクセス履歴データHDを示す図である。図7のアクセス履歴データHDにおいては、共有ユーザごとのアクセス履歴が格納されている。具体的には、ユーザUA,UD,UXからのアクセスが既に行われた一方、ユーザUB,UCからのアクセスは未だ行われていないことが記録されている。
一方、図8〜図10は、印刷管理装置50内に格納されているデータを示す図である。
図8は、印刷管理装置50における管理対象ユーザとそのユーザ種別とを含むユーザ管理データMDを示す図である。図8のユーザ管理データMDにおいては、4人のユーザUA,UB,UC,UDが印刷管理装置50における「管理対象ユーザ」であることが格納されている。また、各ユーザのユーザ種別も管理されている。具体的には、ユーザUA,UCが「管理者」であり、ユーザUBが「グループリーダ」であり、ユーザUDが「一般ユーザ」であることも格納されている。
図9は、印刷管理装置50の管理下の複数の画像形成装置10での印刷ルールRLを示す図である。図9においては、印刷ルールRL1が示されている。この印刷ルールRL1は、「カラー且つ50ページ以上の文書は、MFP10aまたはMFP10bで印刷されること」、である。
図10は、ユーザごとのアクセス制限情報RDを示す図である。詳細には、各ユーザの印刷出力先に関する制限情報RDが示されている。図10においては、ユーザUBに関しては「MFP10bのみで印刷可能」であることが規定されており、ユーザUDに関しては「MFP10aのみで印刷可能」であることが規定されている。一方、ユーザUA,UCに関しては「アクセス制限が存在しないこと(印刷管理装置50の管理下のいずれのMFPでも印刷可能であること)」が規定されている。
詳細には、まずステップS14において、複数のユーザ(共有ユーザ)によって共有される電子文書(共有文書)Daに関するキャッシュデータの要否が共有ユーザごとに決定される。
具体的には、電子文書Daが「共有文書」であることが図6の付随データADによって確認される。すなわち、共有文書チェックが行われる。
また、電子文書Daの複数の共有ユーザのうち4人のユーザUA,UB,UC,UDのみが印刷管理装置50における管理対象ユーザであることが図8のユーザ管理データMDによって判定される。ユーザUXは、管理対象ユーザではないため、印刷管理装置50における管理対象から除外される。そのため、当該ユーザUXに関してはキャッシュデータを要しない旨が決定される。
また、各ユーザのアクセス履歴にも基づいて、キャッシュデータの要否がユーザごとに決定される。具体的には、図7のアクセス履歴データHDに基づいて、ユーザUA,UD,UXによるアクセスが既に行われており、ユーザUA,UD,UXからの新たな印刷動作が行われる可能性が低いと判断され、ユーザUA,UD,UXに関してはキャッシュデータを要しない旨が決定される。このため、既に除外されたユーザUXに加えて、ユーザUA,UDに関しても、キャッシュデータを要しない旨が決定される。
これらの判定処理の結果、キャッシュデータを要するユーザは、電子文書Daに関する5人の共有ユーザのうちユーザUB,UCのみであることが決定される。
このようにして、電子文書Daに関するアクセス履歴データHD等に基づいて、電子文書Daの複数の共有ユーザのうち、電子文書Daに対して未だアクセスを行っていないユーザが、電子文書Daのキャッシュデータを要するユーザ(「キャッシュ要ユーザ」とも称する)として決定される。
つぎに、ステップS15,S16において印刷出力先特定用情報に基づき、印刷管理装置50と複数の画像形成装置10とを含む複数の候補装置(ローカル側装置)の中から、電子文書Daのキャッシュ先が決定される。電子文書Daのキャッシュ先は、電子文書Daの共有ユーザごと、より詳細にはステップS14にてキャッシュデータを要する旨が決定されたユーザ(キャッシュ要ユーザ)ごと、に決定される。また、ここでは、印刷出力先特定用情報として、アクセス制限情報RD(図10参照)と印刷ルールRL(図9参照)とを例示する。なお、複数のユーザのうち、キャッシュ要ユーザ以外のユーザに関しては、(キャッシュデータは不要であると判断され、)キャッシュ先は決定されない。
まず、ステップS15において、電子文書Daの共有ユーザごとのアクセス制限情報(図10参照)に基づいて、各ユーザUB,UCに関する各印刷出力先がそれぞれ絞り込まれ、各ユーザUB,UCに関する各キャッシュ先がそれぞれ絞り込まれる。
図10に示されるように、「ユーザUBはMFP10bのみで印刷可能である」ため、「MFP10b」が、(キャッシュデータの)ユーザUBに関するキャッシュ先として、複数のMFPの中から絞り込まれて決定される。
一方、図10に示されるように、ユーザUCに関するアクセス制限は存在しないため、(キャッシュデータの)ユーザUCに関するキャッシュ先は、複数のMFPの中から絞り込まれない。
また、ステップS16においては、電子文書の特質に応じた印刷出力先に関する印刷ルールRL1に基づいて、各ユーザUB,UCに関する印刷出力先がそれぞれ絞り込まれ、各ユーザUB,UCに関する各キャッシュ先がそれぞれ絞り込まれる。
図9に示されるように、「カラー且つ50ページ以上の文書は、MFP10aまたはMFP10bで印刷すること」が印刷ルールRL1として規定されている。また、図6に示されるように、電子文書Daは、「カラー且つ100ページ」の文書である。したがって、電子文書Daの印刷出力先は「MFP10aまたはMFP10b」である。このように、印刷ルールRL1に基づく絞り込み処理によって、各ユーザUB,UCに関する各キャッシュ先は、複数のMFPのうち、「MFP10aまたはMFP10b」にまで絞り込まれる。
ステップS17においては、ステップS15での絞り込み条件とステップS16での絞り込み条件との双方に基づいて、各ユーザUB,UCに関する各キャッシュ先が絞り込まれる。すなわち、ステップS15での絞り込み条件とステップS16での絞り込み条件とを用いた「AND検索」によって、各ユーザUB,UCに関する各キャッシュ先が絞り込まれる。
このステップS17においては、電子文書Daの特定の共有ユーザによって印刷出力用装置として利用され得る装置(利用対象装置とも称する)を一の画像形成装置(単一の画像形成装置)に絞り込むことができるときには、当該一の画像形成装置が当該特定の共有ユーザに関するキャッシュ先として決定される。一方、電子文書Daの特定の共有ユーザによって印刷出力用装置として利用され得る装置(利用対象装置)を一の画像形成装置に絞り込むことができないときには、印刷管理装置50が当該特定の共有ユーザに関するキャッシュ先として決定される。
具体的には、(キャッシュデータの)ユーザUBに関するキャッシュ先として、「MFP10b」が決定される。
詳細には、ユーザUBに関しては、ステップS15での絞り込み結果(「MFP10b」)と、ステップS16での絞り込み結果(「MFP10aまたはMFP10b」)とのAND条件による絞り込みによって、「MFP10b」がキャッシュ先として決定される。
このように、電子文書Daの特定の共有ユーザUBによって印刷出力用装置として利用され得る装置(利用対象装置)を、複数の画像形成装置10の中から、一の画像形成装置10bに絞り込むことができるときには、キャッシュ先決定部63は、当該一の画像形成装置10bを特定の共有ユーザUBに関するキャッシュ先として決定する。
一方、ユーザUCに関するキャッシュ先を一のMFPには絞り込むことができないため、ユーザUCに関するキャッシュ先は不定である。
詳細には、ユーザUCに関しては、ステップS15での絞り込み結果(「不定」)と、ステップS16での絞り込み結果(「MFP10aまたはMFP10b」)とのAND条件による絞り込みによって、2つの装置(「MFP10aまたはMFP10b」)までにしか絞り込むことができない。このときには、「印刷管理装置50」がキャッシュ先として決定される。換言すれば、印刷管理装置50は、複数の画像形成装置10a,10bに共通のキャッシュ先として決定される。
このように、電子文書Daの特定の共有ユーザUCによって印刷出力用装置として利用され得る装置(利用対象装置)を、複数の画像形成装置10の中から、一の画像形成装置に絞り込むことができないときには、キャッシュ先決定部63は、印刷管理装置50を特定の共有ユーザUCに関するキャッシュ先として決定する。
各ユーザUB,UCに関するキャッシュ先が決定される(ステップS17)とステップS18に進む。
そして、ステップS18においては、ステップS12でダウンロードされたデータBDが、ステップS17にて決定されたキャッシュ先にキャッシュデータとして格納される。具体的には、MFP10b(詳細には格納部5内のキャッシュデータ格納部5c(図2))に(ユーザUB向けの)キャッシュデータBDが格納され、印刷管理装置50(詳細には格納部55内のキャッシュデータ格納部55c(図3))に(ユーザUC向けの)キャッシュデータBDが格納される(図11参照)。なお、図11は、キャッシュデータBDの格納先を記録したデータテーブル(キャッシュ先管理テーブルとも称する)TL1を示す図である。当該データテーブルTL1は、印刷管理装置50に格納され、印刷管理装置50により管理される。
(3)その後、電子文書Daに対するユーザUB,UCによる印刷出力がキャッシュデータBDを用いて実行される。
具体的には、図5に示すように、ユーザUBがMFP10bにログインし当該MFP10bを用いて電子文書Daに対する印刷出力操作を行うと、MFP10bは、印刷管理装置50に対してユーザUBによる印刷出力指示が付与された旨(印刷出力要求)を通知する(ステップS21)。
また、印刷管理装置50は、当該通知(印刷出力要求)を受信すると、図11のデータテーブルTL1に基づいて、MFP10bに対して、MFP10b内にキャッシュされたデータ(キャッシュデータ)BDを用いて印刷出力を実行すべき旨を指示する(ステップS22)。
このように、新たな要求元(詳細には新たな出力要求の要求元)のMFP10bがキャッシュデータBDを有する装置である場合には、印刷管理装置50は、当該新たな要求元のMFP10bからの新たな出力要求(印刷出力要求)に応答して、当該キャッシュデータBDを利用して印刷出力を行うべき旨の指示(装置内キャッシュ利用印刷指示)をMFP10bに送出する。
MFP10bは、当該装置内キャッシュ利用印刷指示に基づいて、当該キャッシュデータBDを用いて印刷出力動作を実行する(ステップS23)。この印刷出力動作では自装置10b内のキャッシュデータBDを利用することができるので、MFP10bは、改めてクラウドサーバ90から電子文書のデータをダウンロードすることを要しない。したがって、比較的早期に印刷出力を開始することが可能であり、効率的な印刷出力動作を実現することが可能である。
ここにおいて、ユーザUBは、MFP10bに格納(キャッシュ)された電子文書Daのデータ(キャッシュデータ)の利用が予定されているユーザ(利用予定ユーザ)のうち最後の利用予定ユーザである。そこで、印刷管理装置50は、当該印刷出力の終了後においては、ユーザUBからのアクセス(詳細には印刷出力)が行われたことに応答して、当該キャッシュデータBDをMFP10bから削除させる。具体的には、印刷管理装置50は、MFP10bからの印刷完了通知を受信すると(ステップS24)、MFP10bに対してキャッシュ削除指示を送信し(ステップS25)、MFP10bに当該MFP10b内のキャッシュデータBDを削除させる(ステップS26)。このように、不要になったキャッシュデータBDを削除することによれば、所要記憶容量を抑制し記憶領域を効率的に利用することができる。なお、データテーブルTL1においては、印刷出力済みであることが記録される(「印刷出力」=「Yes(印刷出力済み)」)と、電子文書Daに関するユーザUBの登録内容も削除される(図12参照)。
さらに、その後、ユーザUCがMFP10a,10bのいずれかの画像形成装置(ここではMFP10a)を用いて電子文書Daに対する印刷出力操作を行う。
たとえば、図5に示すように、ユーザUCがMFP10aにログインし当該MFP10aを用いて電子文書Daに対する印刷出力操作を行うと、MFP10aは、印刷管理装置50に対してユーザUCによる印刷出力指示が付与された旨(印刷出力要求)を通知する(ステップS31)。
印刷管理装置50は、当該指示(印刷出力要求)を受信すると、図12のデータテーブルTL1に基づいて、MFP10aに対して、印刷管理装置50にキャッシュされたデータ(キャッシュデータ)BDを用いて印刷出力を実行すべき旨を指示するとともに、当該キャッシュデータをMFP10aに送信する(ステップS32)。
このように、新たな要求元のMFP10aがキャッシュデータBDを有しない装置である場合には、印刷管理装置50は、当該印刷管理装置50内に格納されているキャッシュデータBDを新たな要求元のMFP10aに転送するとともに、当該転送されたキャッシュデータBDを利用して印刷出力を行うべき旨の指示(転送キャッシュ利用印刷指示)をMFP10aに送出する。
MFP10aは、当該転送キャッシュ利用印刷指示に基づき、印刷管理装置50から受信した当該キャッシュデータBDを用いて、印刷出力動作を実行する(ステップS33)。この印刷出力動作においては、ローカル側装置である印刷管理装置50から送信されたキャッシュデータが利用される。そのため、MFP10aは、改めてクラウドサーバ90から電子文書のデータをダウンロードすることを要しない。したがって、比較的早期に印刷出力を開始することが可能であり、効率的な印刷出力動作を実現することが可能である。
ここにおいて、このユーザUCは、印刷管理装置50に格納(キャッシュ)された電子文書Daのキャッシュデータの利用予定ユーザのうち、最後の利用予定ユーザである。そこで、印刷管理装置50は、当該印刷出力完了後においては、ユーザUCからのアクセス(詳細には印刷出力)が行われたことに応答して、キャッシュデータを印刷管理装置50から削除する。具体的には、印刷管理装置50は、MFP10aからの印刷完了通知を受信すると(ステップS34)、印刷管理装置50内のキャッシュデータBDを削除する(ステップS36)。このように、不要になったキャッシュデータを削除することによれば、所要記憶容量を抑制し記憶領域を効率的に利用することができる。なお、データテーブルTL1において、印刷出力済みであることが記録される(「印刷出力」=「Yes(印刷出力済み)」)と、電子文書Daに関するユーザUCの登録内容も削除される(図13参照)。
以上のように、上記実施形態によれば、キャッシュデータを有効活用して、クラウド上に蓄積された電子文書を効率的に印刷出力することが可能である。
より具体的には、一旦ダウンロードされた電子文書データ(キャッシュデータ)が、ローカル側装置(印刷管理装置50と複数の画像形成装置10とを含む複数の候補装置の少なくともいずれか)に格納される。このようにキャッシュデータがローカル側装置に格納されることにより、処理の高速化を図ることが可能である。
通常、印刷管理装置50と画像形成装置10との間のネットワーク通信速度(謂わばローカル側装置相互間でのネットワーク通信速度)は、クラウドサーバ90と画像形成装置10との間のネットワーク通信速度(インターネットを介したネットワーク通信速度)よりも高速である。したがって、印刷管理装置50から当該画像形成装置10への電子文書データ(詳細にはキャッシュデータ)の送信時間は、クラウドサーバ90から当該画像形成装置10への電子文書データの送信時間よりも短い。したがって、キャッシュデータがローカル側装置に格納されることにより、処理の高速化を図ることが可能である。
特に、電子文書Daの特定の共有ユーザUBによって印刷出力用装置として利用され得る装置を一の画像形成装置10bに絞り込むことができるときには、当該一の画像形成装置10bが特定の共有ユーザUBに関するキャッシュ先として決定される。そして、当該特定の共有ユーザUB向けのキャッシュデータBDが当該一の画像形成装置10bに保存される。その後、電子文書Daのキャッシュ先として決定され当該電子文書DaのキャッシュデータBDが格納されている画像形成装置10bにて、特定の共有ユーザUBによる新たな印刷出力指示が付与された場合には、当該画像形成装置10bは、自装置10b内に格納された当該キャッシュデータBDを利用して印刷することが可能である。すなわち、当該特定の共有ユーザUBからの印刷出力要求に応じて、一の画像形成装置10bは、クラウドサーバ90からのダウンロードを伴うことなく電子文書Daのデータを取得し、電子文書Daを比較的早期に印刷出力することが可能である。特に、他の装置との間での新たな通信により電子文書データを取得することを要しないため、非常に早期に印刷出力することが可能である。
また、電子文書Daの特定の共有ユーザUCによって印刷出力用装置として利用され得る装置を一の画像形成装置に絞り込むことができないときには、印刷管理装置が当該特定の共有ユーザUCに関するキャッシュ先として決定される。そして、当該特定の共有ユーザUC向けのキャッシュデータBDが印刷管理装置50に格納される。そのため、複数の画像形成装置のそれぞれにキャッシュデータBDが個別に格納される場合に比べて、複数の画像形成装置のうちの少なくともいずれかにおける所要記憶容量の増大を抑制できる。換言すれば、システム内における総所要記憶容量の増大を抑制できる。
このように、各共有ユーザによって印刷出力用装置として利用され得る装置を複数の画像形成装置10のうちの一の画像形成装置に絞り込むことができるか否かに応じて、キャッシュデータの格納先が特定の画像形成装置10と印刷管理装置50とのいずれかに決定される。したがって、キャッシュデータBDの格納先を非常に適切に決定することが可能である。
さらに、印刷管理装置50にキャッシュデータBDを格納(キャッシュ)することによれば、最初の要求元の画像形成装置10aのみにキャッシュデータBDを格納する場合に比べて、最初の要求元の画像形成装置10a以外の画像形成装置(たとえば10b)からも当該キャッシュデータBDをさらに容易に利用することが可能である。すなわち、最初に印刷出力を行った画像形成装置以外の画像形成装置においても、キャッシュデータを有効に利用することができる。
また、電子文書Daに関するアクセス履歴データHDに基づいて、電子文書Daの複数の共有ユーザのそれぞれに対して、電子文書DaのキャッシュデータBDの要否が決定される。そして、複数の共有ユーザのうち、電子文書Daのキャッシュデータを要する旨が決定されたキャッシュ要ユーザに対してのみ、当該キャッシュ要ユーザごとにキャッシュ先が決定される。すなわち、キャッシュ要ユーザ以外のユーザについては、キャッシュ先が決定されない。換言すれば、電子文書Daを印刷する可能性が低いユーザに関しては、キャッシュ先が決定されず、当該ユーザ向けのキャッシュデータはシステム内(特に画像形成装置10)内に記憶されない。そのため、余分なキャッシュデータがシステム内(特に画像形成装置10内)に格納されることが防止される。このように、キャッシュデータを要するユーザのみに対してキャッシュデータを準備することによって、所要記憶容量を抑制することが可能である。
<6.その他>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
たとえば、上記実施形態においては、ステップS15〜S17(図4)において、アクセス制限情報RDと印刷ルールRLとの双方に基づいて、キャッシュ先が決定される態様について説明したが、これに限定されない。具体的には、アクセス制限情報RDのみあるいは印刷ルールRLのみに基づいて、キャッシュ先が決定されるようにしてもよい。あるいは、その他の種類の印刷出力先特定用情報に基づいてキャッシュ先が決定されるようにしてもよい。例えば、図8のユーザ種別に関する情報等にも基づいてキャッシュ先が決定されるようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、各ユーザによるアクセス履歴(詳細には印刷出力履歴)に基づいて、各ユーザによるキャッシュデータの要否が判定される態様が例示されているが、これに限定されない。たとえば、アクセス履歴として、各ユーザによる表示出力履歴をも考慮して、各ユーザによるキャッシュデータの要否が判定されるようにしてもよい。より詳細には、或るユーザによって電子文書Daが既に表示出力されている場合には、当該ユーザに関しては電子文書Daのキャッシュデータは不要であると判定されるようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、最初のユーザUAによる印刷出力時にダウンロードされたキャッシュデータが(次以降のユーザのために)キャッシュされる態様が例示されているが、これに限定されない。たとえば、最初のユーザUAの操作に応じて画像形成装置10aの表示部6bで電子文書Daを表示するためにダウンロードされたデータが、上記と同様にして決定されたキャッシュ先に、(次以降のユーザのために)キャッシュデータとして格納されるようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、各ユーザUA,UB,UCがそれぞれ画像形成装置10a,10b,10aを用いて、電子文書Daを印刷出力する場合が例示されているが、これに限定されない。
たとえば、ユーザUCは、他の画像形成装置10bを用いて電子文書Daを印刷出力するようにしてもよい。
あるいは、ユーザUCは、画像形成装置10以外の装置(クライアント30等)を用いて、電子文書Daをクラウドサーバ90からダウンロードして表示出力するようにしてもよい。このような場合には、印刷管理装置50が定期的にクラウドサーバ90にアクセスして、電子文書Daのアクセス履歴を取得することが好ましい。そして、印刷管理装置50は、ユーザUCによる電子文書Daに対するアクセス(詳細には「ダウンロード」あるいは「表示出力」)が行われたことを検出すると、ユーザUC向けのキャッシュ先(例えば印刷管理装置50)からキャッシュデータを削除するようにしてもよい。さらに、印刷管理装置50は、電子文書Daに関するユーザUCの利用情報をデータテーブルTL1から削除してもよい(図14参照)。
また、上記実施形態においては、ユーザUCの印刷出力指示に応答して、MFP10aが印刷管理装置50内にキャッシュされたデータ(キャッシュデータ)BDを用いて、MFP10aにおける印刷出力動作を実行する一方、電子文書Daのデータはクラウドサーバ90からローカル側装置(印刷管理装置50等)へは再送信されない場合が例示されている。
しかしながら、本発明はこれに限定されない。たとえば、ユーザUCの印刷出力指示に応答して、印刷管理装置50内にキャッシュされている電子文書Daのデータ(キャッシュデータ)を用いて、MFP10aが電子文書Daを印刷出力する場合には、図5の動作に代えて、図15の動作が行われるようにしてもよい。
具体的には、キャッシュデータBDを利用した印刷出力(ステップS33)の後に(あるいは印刷出力と並行して)、ユーザUCの要求に依るものとして、電子文書Daのデータをクラウドサーバ90からダウンロードして、クラウドサーバ90にユーザUCによるダウンロード履歴(アクセス履歴)を残すようにしてもよい。すなわち、印刷出力には利用しないデータをダウンロード(ダミーダウンロード)するようにしてもよい。
詳細には、印刷管理装置50は、ステップS32における印刷指示の後に、クラウドサーバ90に対して電子文書Daのデータのダウンロード要求を付与し(ステップS37)、クラウドサーバ90から電子文書Daのデータを再度ダウンロードする(ステップS38)。この結果、ユーザUCによるダウンロード履歴がクラウドサーバ90に残る。なお、ダウンロードしたデータは、不要であるため、直ちに削除される(ステップS39)。
これによれば、ユーザUCによる印刷出力動作に応じて、実際にはキャッシュデータを利用して印刷出力を行った場合においても、クラウドサーバ90上のダウンロード履歴において電子文書DaがユーザUCによって利用されたことが履歴情報として記録される。したがって、クラウドサーバ90上の履歴情報をより正確に記録することが可能であり、当該履歴情報の利用に悪影響を与えずに済む。
また、ユーザUBの印刷出力指示に応答して、MFP10bが自装置内にキャッシュされた電子文書Daのデータ(キャッシュデータ)を用いて、MFP10bにおける印刷出力動作を実行する場合も、同様である。具体的には、MFP10b内のキャッシュデータ利用による印刷出力後に(あるいは印刷出力と並行して)、ユーザUBの要求に依るものとして、電子文書Daのデータをクラウドサーバ90からダウンロードして、クラウドサーバ90にユーザUBによるダウンロード履歴を残すようにしてもよい。