JP5758256B2 - 微細リチウム二次電池用正極材粉末の製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、スクリーンを通過しない非製品粉体を分級装置の原料として再投入してもダマ化が促進されるだけで製品の収率向上には必ずしも繋がらず、また、湿式の粉砕機や分散機を用いダマを粉砕した場合、スラリーの乾燥や乾燥粉末の粉砕が必要となり、操作が煩雑になるという問題があった。
(1)粉体中の凝集粒を粉砕して粉末とする工程
(2)前記(1)で得られた粉末を、再度遠心式分級装置に供給し分級する工程
<2> 前記遠心式分級装置のメッシュスクリーンの目開きが、50μm以下である前記<1>に記載の微細リチウム二次電池用正極材粉末の製造方法。
<3> 前記凝集粒の粉砕を粉砕機によりおこなう前記<1>又は<2>に記載の微細リチウム二次電池用正極材粉末の製造方法。
<4> 前記原料リチウム二次電池用正極材粉末の作製工程が、
1)遷移金属元素を含む溶液をアルカリと接触させることにより遷移金属水酸化物を主成分とする沈殿物を得た後、該沈殿物にLi化合物を混合し、焼成することにより焼成品を得る工程と、
2)前記1)で得られた焼成品を粉砕して原料リチウム二次電池用正極材粉末を得る工程と、
を有する前記<1>から<3>のいずれかに記載の微細リチウム二次電池用正極材粉末の製造方法。
<5> 前記原料リチウム二次電池用正極材が、Ni、Mn、CoおよびFeから選ばれた少なくとも一種以上の遷移金属元素とLi元素とからなる複合金属酸化物である前記<1>から<4>のいずれかに記載の微細リチウム二次電池用正極材粉末の製造方法。
(1)粉体中の凝集粒を粉砕して粉末とする工程
(2)前記工程(1)で得られた粉末を、再度遠心式分級装置に供給し分級する工程
以下、上記夫々の工程を「工程(1)」、「工程(2)」と称す。
原料リチウム二次電池用正極材料としては、次の式で表される複合金属酸化物であることが好ましい。
LixMO2
ここで、Mは、Ni、Mn、CoおよびFeからなる群より選ばれる1種以上の元素であり、xは0.9以上1.3以下である。Mは、前記群から選ばれる2種以上の元素であることが好ましく、この場合のMの組み合わせとしては、(1)NiおよびMnの組み合わせ、(2)NiおよびCoの組み合わせ、(3)Ni、MnおよびCoの組み合わせ、(4)Ni、MnおよびFeの組み合わせ、(5)Ni、Mn、CoおよびFeの組み合わせが挙げられる。これらの中でも、Mが(3)Ni、MnおよびCoの組み合わせ、(4)Ni、MnおよびFeの組み合わせ、(5)Ni、Mn、CoおよびFeの組み合わせであることが、より好ましい。
上記式LixMO2で表される複合金属酸化物は、その構造が通常α−NaFeO2型結晶構造、すなわちR−3mの空間群に帰属される結晶構造である。結晶構造は、CuKαを線源とする粉末X線回折測定により得られる粉末X線回折図形から同定することができる。
メッシュスクリーンとしては、工業的に一般に多用されるメッシュスクリーンを用いることができ、その網目の形状は、通常正方形状である。メッシュスクリーンの目開きは、日本工業規格(JIS G3556)に規定されるように隣接する二本の網線間の距離で示され、10〜100μm程度であり、網線の太さは、通常10〜70μm程度のものが用いられる。網線の織り方としては、平織りや綾織などが挙げられる。なお、本発明において、メッシュスクリーンの目開きは、電池性能への悪影響除去の観点から、50μm以下であることが好ましく、更に好ましくは45μm以下である。
図1に示す分級装置10は、筐体20と、メッシュスクリーン30と、ローター40と、モーター50とを備えている。
筐体20は、原料粉末を分級する本体部21と、原料粉末が供給される供給部22と、分級された微細粉末が排出される第1排出部23と、原料粉末から微細粉末が分級されることで選別された凝集粉体が排出される第2排出部24とを備えている。
ローター40は、モーター50からの回転駆動を伝達する回転軸41と、螺旋状に回転軸41に巻回され、原料粉末を本体部21へ移動させる搬送スクリュー42と、回転軸41からメッシュスクリーン30へ向かって放射状に配置された支持部43と、支持部43の先端に配置されたブレード44とを備えている。
ブレード44は、長尺板状に形成され、ローター40の回転軸41に沿って配置され、メッシュスクリーン30の内側面で回転することで原料粉末を分散させる機能を備えている。
このようにして、粗粉末を含有する原料リチウム二次電池用正極材粉末は、メッシュスクリーンを通過できない凝集粒を含有する粉体(凝集粉体)と製品である微細リチウム二次電池用正極材粉末(微細粉末)とに分級される。
工程(1):粉体中の凝集粒を粉砕して粉末とする工程
工程(2):前記(1)で得られた粉末を、再度遠心式分級装置に供給し分級する工程
なお、これらの工程に他の工程が付加されていても構わない。
凝集粉体の粉砕はどのような方法でも良いが、乾式のものであることが好ましい。粉砕は、通常、粉砕機により行われる。
粉砕機は、物質を砕いて粉にする操作の際に用いる装置である。粉砕対象の粒子径範囲に応じて粗砕機、中砕機、粉砕機、微粉砕機、超微粉砕機に分類され、それぞれ機構、構造が異なっている。粉砕する力には、圧縮、せん断、切断、衝撃、摩擦などがあり、その種類によって機械の構造が異なる。また、主として凝集粒子を分散したり、解きほぐしたりする処理操作を行うものであっても良く、一般に解砕機、分散機と呼ばれるものであっても良い。粉砕機は、目的の粒径(性状)となるように装置の種類、条件を適宜選択して使用される。
かかる粉砕機としては、カッターミルの様なせん断式粉砕機や容器駆動型媒体式粉砕機であるボールミルやロッキングミル及び振動ミル、媒体攪拌型粉砕機であるダイナミックミルや高速回転式粉砕機のフェザーミルやピンミル、気流式粉砕機のジェットミルやこれらの形式を組み合わせた粉砕機が適宜使用できる。
なお、湿式の粉砕機を用いた場合、スラリーの乾燥や乾燥粉の再粉砕が必要となり、操作が煩雑となる。
遠心分級装置としては、原料リチウム二次電池用正極材粉末を分級するのに使用した遠心分級装置が使用できる。
本発明においては、工程(2)で得られた粉末を、単独で遠心分級装置に供することもできるが、前記粉末を粗粉末を含有する原料リチウム二次電池用正極材粉末に適宜混合して遠心分級装置に供してもよい。
後者の場合、混合割合は、生産に応じて適宜調整する事ができる。
なお、前記凝集粉体を、粉砕処理することなく、再度遠心分級装置に供しても、粉体の凝集が促進されるだけで微細粉末の収率向上には繋がらない。
本発明の原料リチウム二次電池用正極材粉末は、次の工程にて作製された正極材粉末であることが好ましい。即ち、前記原料リチウム二次電池用正極材粉末の作製工程が、
1)遷移金属元素を含む溶液をアルカリと接触させることにより遷移金属水酸化物を主成分とする沈殿物を得た後、該沈殿物にLi化合物を混合し、焼成することにより焼成品を得る工程と、
2)前記1)で得られた焼成品を粉砕して原料リチウム二次電池用正極材粉末を得る工程と、を有することが好ましい。
[1]遷移金属元素を含む溶液をアルカリと接触させることにより遷移金属水酸化物を主成分とする沈殿物成分を含むスラリーを得る工程と、
[2]前記[1]で得られたスラリーからウェットケーク又は濃縮スラリーを得る工程と、
[3]前記[2]で得られたウェットケーク又は濃縮スラリーを乾燥し原料リチウム二次電池用正極材の前駆体を得る工程と、
[4]前記[3]で得られた原料リチウム二次電池用正極材の前駆体にLi化合物を混合し、焼成することにより焼成品を得る工程と、
[5]前記[4]で得られた焼成品を水洗した後、乾燥・粉砕して原料リチウム二次電池用正極材粉末を得る工程と、
を有することが好ましい。
以下、各工程について説明する。
本発明の製造方法において、上記遷移金属元素を含む溶液を構成する遷移金属元素としては、その水酸化物が、リチウム化合物と混合され、焼成されることにより二次電池の正極活物質となりうるもの、例えば、Ni、Mn、Co、Feを挙げることができる。
高容量の二次電池用正極を得るという観点からは、上記溶液が、Ni、Mn、CoおよびFeから選ばれる1以上の元素を含有することが好ましい。さらに、より高容量の二次電池用正極を得るという観点からは、前記群から選ばれる2種以上の元素であることが好ましく、この場合の元素の組み合わせとしては、(1)NiおよびMnの組み合わせ、(2)NiおよびCoの組み合わせ、(3)Ni、MnおよびCoの組み合わせ、(4)Ni、MnおよびFeの組み合わせ、(5)Ni、Mn、CoおよびFeの組み合わせが挙げられる。これらの中でも、(3)Ni、MnおよびCoの組み合わせ、(4)Ni、MnおよびFeの組み合わせ、(5)Ni、Mn、CoおよびFeの組み合わせであることが、より好ましい。
なお、前記遷移金属元素の単体または化合物が前記溶媒に溶解し難い場合には、それらを塩酸、硫酸、硝酸、酢酸などを含有する溶液に溶解させて作製してもよい。
この中でも遷移金属元素の硫酸塩や塩化物、例えば、Niの硫酸塩や塩化物、Mnの硫酸塩や塩化物、Coの硫酸塩や塩化物およびFeの硫酸塩や塩化物を水に溶解して得られる水溶液であることが好ましい。Feの硫酸塩や塩化物としては、2価のFeの硫酸塩や塩化物であることが好ましい。
アルカリは通常水溶液として用いられる。このアルカリ水溶液におけるアルカリの濃度は、通常0.5〜10モル/L程度、好ましくは1〜8モル/L程度である。また、製造コストの面から、用いるアルカリとして好ましくはNaOHおよびKOHの無水物並びにその水和物を用いることが好ましい。また、上述のアルカリは2つ以上併用してもよい。
遷移金属元素を含有する溶液をアルカリと接触させる方法としては、遷移金属元素を含有する溶液にアルカリ水溶液を添加して混合する方法、アルカリ水溶液に遷移金属元素を含有する溶液を添加して混合する方法、水などの溶媒に遷移金属元素を含有する溶液およびアルカリ水溶液を添加して混合する方法を挙げることができる。これらの混合時には、攪拌を伴うことが好ましい。また、上記の接触の方法の中でも、溶媒として水を使用して、アルカリ水溶液に遷移金属元素を含有する水溶液を添加して混合する方法が、pHを一定範囲に保ちやすい点で好ましく用いることができる。この場合、アルカリ水溶液に、遷移金属元素を含有する水溶液を添加混合していくに従い、混合された液のpHが低下していく傾向にあるが、このpHが9以上、好ましくは10以上となるように調節しながら、遷移金属元素を含有する水溶液を添加するのがよい。また、遷移金属元素を含有する水溶液およびアルカリ水溶液のうち、いずれか一方または両方の水溶液を40〜80℃の温度に保持しながら接触させると、より均一な組成の固形分が含まれるスラリーを得ることができるため好ましい。
次いで、前記〔工程1〕で得られたスラリーからウェットケーク又は濃縮スラリーを得る工程〔工程2〕について説明する。
上記で得られた遷移金属水酸化物を主成分とする沈殿物成分を含むスラリーは、固液分離により、ウェットケークとされる。なお、遷移金属水酸化物と液体成分との分離効率を高め、目的とする遷移金属水酸化物の回収率を向上させるために凝集剤を使用してもよい。また、このウェットケークは、含有不純物を除去するために洗浄を行うことが望ましい。
固液分離の方法は、いかなる方法によってもよく、具体的にはろ過、遠心分離、沈降分離などの方法が挙げられる。
なお、「クロスフローろ過」とは、筒状の膜フィルターを使用して、ろ過対象液として、固形分を含む原液スラリーを膜フィルターの内部に供給し、膜フィルターを透過したろ液を膜フィルターの外面から回収すると共に、原液スラリー中の固形分の濃縮を行うろ過方法である。また、「濃縮スラリー」とは、溶媒成分の一部が除去されることによって沈殿物スラリーより固形分が高濃度になったスラリーをいう。
沈殿物成分の洗浄は、クロスフローろ過を行って沈殿物スラリーから溶媒成分の一部を除去して、濃縮スラリーを形成した後に、該濃縮スラリーに洗浄液を添加し、再度クロスフローろ過を行うことによって行うことができる。濃縮スラリー中の不純物濃度をより低減させるために、洗浄は繰り返し行われることが好ましい。
洗浄液としては、通常、沈殿物スラリーを形成する際に使用した溶媒と同様のものが使用されるが、これに限定されず、後工程の乾燥工程にて除去できるものであればよい。具体的には、水、エタノール等のアルコール類などが挙げられる。
次いで、前記〔工程2〕で得られたウェットケーク又は濃縮スラリーを乾燥し原料リチウム二次電池用正極材粉末の前駆体を得る工程〔工程3〕について説明する。
ウェットケーク又は濃縮スラリーの乾燥は、通常、熱処理によって行われるが、送風乾燥、真空乾燥によっても良い。乾燥雰囲気としては、大気、酸素、窒素、アルゴンまたはそれらの混合ガスを用いることが出来るが、大気雰囲気が好ましい。
具体的には、バンド乾燥、回転乾燥、赤外線乾燥、遠赤外線乾燥などが挙げられるが、加熱した気流(熱風)を熱源とする熱風乾燥法が、ウェットケークや濃縮スラリーを短時間に乾燥できるため好ましい。
熱風乾燥法による乾燥の場合、熱風温度は高いほど乾燥能力は高いが、高すぎると乾燥物の品質が低下する場合があるため、通常、100〜400℃である。
このようにして、遷移金属水酸化物の乾燥物である原料リチウム二次電池用正極材粉末の前駆体が得られる。
次いで、前記〔工程3〕で得られた原料リチウム二次電池用正極材粉末の前駆体にLi化合物および必要に応じ反応促進剤を混合し、焼成することにより焼成品を得る工程〔工程4〕について説明する。
上記した本発明の製造方法により得られた前駆体をリチウム化合物と混合し、焼成する方法により、リチウム複合金属酸化物の焼成品を得ることができる。
リチウム化合物としては、水酸化リチウム、塩化リチウム、硝酸リチウムおよび炭酸リチウムからなる群より選ばれる1種以上の無水物並びに該1種以上の水和物を挙げることができる。混合は、乾式混合、湿式混合のいずれによってもよいが、簡便性の観点では、乾式混合が好ましい。混合装置としては、攪拌混合、V型混合機、W型混合機、リボン混合機、ドラムミキサー、ボールミル等を挙げることができる。
保持温度としては、650℃以上900℃以下の範囲であることが好ましい。前記保持温度で保持する時間は、通常0.1〜20時間であり、好ましくは0.5〜8時間である。前記保持温度までの昇温速度は、通常50℃〜400℃/時間であり、前記保持温度から室温までの降温速度は、通常10℃〜400℃/時間である。また、焼成の雰囲気としては、大気、酸素、窒素、アルゴンまたはそれらの混合ガスを用いることができるが、大気雰囲気が好ましい。
反応促進剤として、具体的には、NaCl、KCl、RbCl、CsCl、CaCl2、MgCl2、SrCl2、BaCl2及びNH4Clなどの塩化物、Na2CO3、K2CO3、Rb2CO3、Cs2CO3、CaCO3、MgCO3、SrCO3及びBaCO3などの炭酸塩、K2SO4、Na2SO4などの硫酸塩、NaF、KF、NH4Fなどのフッ化物が挙げられる。この中でも、好ましくはNa、K、Rb、Cs、Ca、Mg、Sr及びBaからなる群から選ばれる1種以上の元素の塩化物、炭酸塩および硫酸塩を挙げることができ、より好ましくはKCl、K2CO3、K2SO4である。また、反応促進剤はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を併用することもできる。
混合物が反応促進剤を含有することで、混合物の焼成時の反応性を向上させ、得られるリチウム複合金属酸化物のBET比表面積を調整することが可能な場合がある。
反応促進剤を混合物に含有させるには、例えば遷移金属水酸化物をリチウム化合物と混合するときに反応促進剤を添加すればよい。
また、反応促進剤は、焼成後のリチウム複合金属酸化物に残留していてもよいし、洗浄、蒸発等により除去されていてもよい。
なお、反応促進剤を使用する場合、混合物と反応促進剤との混合割合は、混合物100重量部中、通常0.1重量部以上100重量部以下が好ましく、1.0重量部以上25重量部以下がより好ましい。
次いで、前記〔工程4〕で得られた焼成品を水洗した後、乾燥・粉砕して原料リチウム二次電池用正極材粉末を得る工程〔工程5〕について説明する。
水洗は、主に焼成品中に含まれる過剰なLi分、反応促進剤を除去する為に行われる。水洗は、通常溶媒中に焼成品を分散させ、過剰なLi分、反応促進剤を溶解させた後、固液分離によりリチウム複合金属酸化物を回収することにより行われる。水洗は、少なくとも1回、通常複数回行われる。用いる溶媒は、後工程の乾燥により除去できるものであればよく、具体的には、水、エタノール等のアルコール類等が挙げられる。
このようにして得られたリチウム複合金属酸化物は、原料リチウム二次電池用正極材粉末として、本発明の方法により遠心式分級機に供され、微細リチウム二次電池用正極材粉末として取り出される。
ターボスクリーナー:フロント・ターボ株式会社製;TS125×200型、
スクリーン(PES製) 目開き:45μm
原料リチウム二次電池正極材粉末等の粒度分布は、レーザー回折式粒度分布測定装置(マルバーン社製 マスターサイザー2000(HydroS)を用いて測定した。各粉末は、0.2wt%ヘキサメタリン酸ソーダ水溶液中で超音波および攪拌により分散させ、正極材料粉末粒子の屈折率として1.7−0.2i(実数部1.7、虚数部0.2)を用いて測定した。
(1)原料リチウム二次電池用正極材粉末の作製
攪拌槽内で、水酸化カリウム100重量部を、蒸留水535重量部に、添加、攪拌により溶解し、水酸化カリウムを完全に溶解させ、水酸化カリウム水溶液(アルカリ水溶液)を調整した。
また、別の攪拌槽内で、蒸留水183重量部に、硫酸ニッケル(II)六水和物75.8重量部、硫酸マンガン(II)一水和物49.7重量部および硫酸鉄(II)七水和物8.53重量部を添加、攪拌により溶解し、ニッケル−マンガン−鉄混合水溶液を得た。
次いで、別の攪拌槽に、蒸留水213重量部と前記水酸化カリウム水溶液18.5重量部を仕込んだ後、液温度を30℃にて、攪拌しながら、前記水酸化カリウム水溶液182重量部と前記ニッケル−マンガン−鉄混合水溶液100重量部を滴下することにより、沈殿物を生成させ、沈殿物を含むスラリーを得た。反応終点のpHを測定したところ、pHは13であった。
スラリー100重量部をフィルタープレスに供給し、室温下、ろ過圧力0.4MPaG、ろ過時間50分の条件にてろ過した。次いで、蒸留水を室温下、洗浄圧力0.4〜0.6MPaGにて供給し、水洗を行った。
水洗後、圧搾圧力0.7MPaGにて、15分間の圧搾脱水を行った。
次いで、減圧フィルタープレスのろ過室内を圧力10kPaとし、フィルタープレスの各ろ過室に90℃温水を通水して、170分間、予備乾燥を行った。予備乾燥後、フィルタープレスから排出したウェットケーク4.12重量部を回収した。
前記乾燥物100重量部と炭酸リチウム52.1重量部と硫酸カリウム3.78重量部とをボールミルを用いて、乾式混合して混合物を得た。次いで、該混合物をアルミナ製焼成容器に入れ、電気炉を用いて大気中で850℃で、6時間保持して焼成を行い、室温まで冷却して、焼成品を得て、これを粉砕し、蒸留水でろ過ならびに洗浄を行い、300℃で6時間乾燥して、粉末を得た。
粉末のBET比表面積は10.8m2/gであった。粉末の結晶構造は、R−3mの空間群に帰属される結晶構造であった。
この粉末(「原料粉末1」と称す。)の粒度分布を、図2に示した。原料粉末1は、D10=0.96μm、D50=6.81μm、D90=29.1μmであり、3μm以下の粒子が32体積%、30μm以上の粒子が8体積%であった。
上記原料粉末1を、遠心式分級装置(ターボスクリーナー)を使用し、フィード速度6kg/hr、ローターの回転数1200rpmで処理した。得られた微細粉末の収率(メッシュスクリーン透過率)は87重量%、凝集粉体の収率(メッシュスクリーンオーバー率)は13重量%であった。
この微細粉末(「微細粉末1」と称す。)の粒度分布を、図3に示した。微細粉末1は、D10=0.98μm、D50=7.46μm、D90=27.6μmであった。
また、凝集粉体(「凝集粉体1」と称す。)の粒度分布を、図4に示した。凝集粉体1は、D10=13.9μm、D50=32.3μm、D90=55.4μmであった。
10Lのポリ容器に10mmφのアルミナボール10kgと上記凝集粉体1を3kg投入し、室温にて6時間攪拌することにより凝集粉のボールミル粉砕を行った。
このボールミル粉砕粉末(「粉砕粉末1」と称す。)の粒度分布を、図5に示した。粉砕粉末1は、D10=0.18μm、D50=6.02μm、D90=31.6μmであった。
上記粉砕粉末1を、遠心式分級装置(ターボスクリーナー)を使用し、フィード速度6kg/hr、ローターの回転数1200rpmで処理した。得られた微細粉末の収率は95重量%、凝集粉体の収率は5重量%であった。
この微細粉末(「微細粉末2」と称す。)の粒度分布を、図6に示した。微細粉末2は、D10=0.15μm、D50=2.88μm、D90=27.5μmであった。
また、凝集粉体(「凝集粉体2」と称す。)の粒度分布を、図7に示した。凝集粉体2は、D10=0.13μm、D50=0.64μm、D90=49.8μmであった。
上記実施例1の(2)で得られた凝集粉体1を、乾式粉砕することなく、そのまま遠心式分級装置にて分級した。即ち、凝集粉体1を、遠心式分級装置(ターボスクリーナー)を使用し、フィード速度6kg/hr、ローターの回転数1200rpmで処理した。得られた微細粉末の収率は51重量%、凝集粉体の収率は49重量%であった。
20 筐体
21 本体部
22 供給部
23 第1排出部
24 第2排出部
30 メッシュスクリーン
40 ローター
41 回転軸
42 搬送スクリュー
43 支持部
44 ブレード
Claims (5)
- 3μm以下の粒子を25体積%以上、且つ30μm以上の粒子を5体積%以上含有し、BET比表面積が10.8m 2 /g以上、15m 2 /g以下である原料リチウム二次電池用正極材粉末を遠心式分級装置にて分級し、微細リチウム二次電池用正極材粉末を製造する際に、遠心式分級装置のメッシュスクリーンを通過できなかった凝集粒を含有する粉体を、次の工程にて処理することを特徴とする微細リチウム二次電池用正極材粉末の製造方法。
(1)粉体中の凝集粒を粉砕して粉末とする工程
(2)前記(1)で得られた粉末を、再度遠心式分級装置に供給し分級する工程 - 前記遠心式分級装置のメッシュスクリーンの目開きが、50μm以下である請求項1に記載の微細リチウム二次電池用正極材粉末の製造方法。
- 前記凝集粒の粉砕を粉砕機によりおこなう請求項1又は2に記載の微細リチウム二次電池用正極材粉末の製造方法。
- 前記原料リチウム二次電池用正極材粉末の作製工程が、
1)遷移金属元素を含む溶液をアルカリと接触させることにより遷移金属水酸化物を主成分とする沈殿物を得た後、該沈殿物にLi化合物を混合し、焼成することにより焼成品を得る工程と、
2)前記1)で得られた焼成品を粉砕して原料リチウム二次電池用正極材粉末を得る工程と、
を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の微細リチウム二次電池用正極材粉末の製造方法。 - 前記原料リチウム二次電池用正極材が、Ni、Mn、CoおよびFeから選ばれた少なくとも一種以上の遷移金属元素とLi元素とからなる複合金属酸化物である請求項1から4のいずれかに記載の微細リチウム二次電池用正極材粉末の製造方法。
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