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JP5756275B2 - 電動倍力装置 - Google Patents

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JP5756275B2 JP2010245668A JP2010245668A JP5756275B2 JP 5756275 B2 JP5756275 B2 JP 5756275B2 JP 2010245668 A JP2010245668 A JP 2010245668A JP 2010245668 A JP2010245668 A JP 2010245668A JP 5756275 B2 JP5756275 B2 JP 5756275B2
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Description

本発明は、自動車等の車両のブレーキ装置に組込まれる倍力装置において、倍力源として電動アクチュエータを用いた電動倍力装置に関するものである。
電動倍力装置として、例えば特許文献1に記載されたものが公知である。この電動倍力装置は、ブレーキペダルに連結された入力ロッドと、入力ロッドに相対移動可能に外装されたブースタピストンと、ブースタピストンを駆動する電動モータと、入力ロッドの移動に応じて電動モータの作動を制御するコントローラとを備え、入力ロッド及びブースタピストンによってマスタシリンダのピストンを推進し、電動モータの駆動力を付与することによりブレーキペダルの操作力に対して所望の倍力比を得るようにしている。すなわち、入力ロッドとブースタピストンとの相対位置関係を調整することにより、倍力比を変化させることができ、倍力制御、ブレーキアシスト制御、回生協調制御等の種々のブレーキ制御を実行することができる。また、電動モータの故障等のフェイル時には、入力ロッドがブースタピストンを直接操作することで制動機能を維持することができる。
特開2008−162482号公報
しかしながら、上記従来の電動倍力装置では、次のような問題がある。運転者がブレーキペダルを踏込むと、入力ロッドの前進により、電動モータがブースタピストンを推進して、ブレーキペダルの操作量に応じて一定の倍力比でマスタシリンダの液圧が上昇する。そして、電動モータの出力がその最大出力に達し、ブースタピストンの推力とマスタシリンダ内の液圧による反力が釣合うとブースタピストンが停止し、それ以上前進できなくなる(全負荷状態)。その後、更にブレーキペダルを踏込むと、入力ロッドのみが前進して停止中のブースタピストンに当接する。このとき、運転者は、ブレーキペダルが突然、固定されたような違和感を感じることになる。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、ブレーキペダルの操作に対する反力増加量の急激な変化を抑制して、ブレーキペダルの操作フィーリングを向上させることができる電動倍力装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は、ブレーキペダルの操作により進退移動する入力部材と、該入力部材に対して相対移動可能に設けられ、前記入力部材の前進により該入力部材に当接する倍力部材と、前記倍力部材を駆動する電動アクチュエータと、該電動アクチュエータを収容するハウジングとを備え、前記入力部材と前記倍力部材との相対位置を調整して所望の倍力比をもってマスタシリンダ内にブレーキ液圧を発生させるべく、前記入力部材の移動に基づき前記電動アクチュエータの作動を制御する、電動倍力装置において、前記ハウジングに一端側が固定されると共に、他端側が前記入力部材に当接可能な位置に配置され、前記ブレーキペダルの操作により前記入力部材が所定距離だけ前進したとき、前記入力部材に当接して該入力部材の移動に対して反力を付与する反力付与手段が設けられていることを特徴とする。
本発明に係る電動倍力装置によれば、ブレーキペダルの操作に対する反力増加量の急激な変化を抑制して、ブレーキペダルの操作フィーリングを向上させることができる。
一実施形態に係る電動倍力装置の縦断面図である。 図1の電動倍力装置の反力機構が組込まれたリアカバーの縦断面図である。 図1の電動倍力装置のリアカバーの正面図である。 図1の電動倍力装置の反力機構の分解斜視図である。 図1の電動倍力装置の反力機構が組込まれたリアカバーの斜視図である。 図1の電動倍力装置のペダルストロークとペダル踏力との関係を示す図である。 図1の電動倍力装置の反力機構の変形例を示す縦断面図である。
以下、一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1及び図2に示すように、電動倍力装置1は、タンデム型のマスタシリンダ2と、アクチュエータ3を内装するケース4とを備えている。このマスタシリンダ2には、リザーバ5が接続されている。ケース4の上部には、コントローラCが取付けられている。ケース4は、略有底円筒状のケース本体4Aの開口部側に、リアカバー4Bを嵌合し、複数のボルト4Cによって結合してアクチュエータ3を収容するハウジングを形成している。
マスタシリンダ2は、略有底円筒状のシリンダ本体2Aを含み、その開口部側がケース4の底部の開口部にスタッドボルト6A及びナット6Bによって結合されている。ケース4のリアカバー4Bには、平坦な取付座面7が形成され、取付座面7からマスタシリンダ2と同心の円筒部8が突出している。そして、電動倍力装置1は、車両のエンジンルーム内に配置され、円筒部8をエンジンルームと車室との隔壁(ダッシュパネル)に貫通させて車室内に延ばし、取付座面7を隔壁に当接させて取付座面7に設けられた複数のスタッドボルト9によって上記隔壁に固定される。
マスタシリンダ2のシリンダ本体2A内には、開口側に、先端部がカップ状に形成された倍力部材としての円筒状のプライマリピストン10が挿入され、底部側にカップ状のセカンダリピストン11が挿入されている。プライマリピストン10の後端部は、マスタシリンダ2の開口部からケース4内に突出して、リアカバー4Bの円筒部8まで延びている。プライマリピストン10及びセカンダリピストン11は、シリンダ本体2Aのシリンダボア12内に嵌合されたスリーブ13の両端側に配置された環状のガイド部材14、15によって摺動可能に案内されている。シリンダ本体2A内は、プライマリピストン10及びセカンダリピストン11によってプライマリ室16及びセカンダリ室17の2つの圧力室が形成されている。プライマリ室16及びセカンダリ室17には、液圧ポート18、19がそれぞれ設けられている。液圧ポート18、19には、各車輪のブレーキキャリパに液圧を供給するための2系統の液圧回路(図示せず)がそれぞれ接続される。
また、シリンダ本体2Aの側壁の上部側には、プライマリ室16及びセカンダリ室17をリザーバ5に接続するためのリザーバポート20、21が設けられている。シリンダ本体2Aのシリンダボア12と、プライマリピストン10及びセカンダリピストン11との間は、それぞれ2つのシール部材22A、22B及び23A、23Bによってシールされている。シール部材22A、22Bは、軸方向に沿ってリザーバポート20を挟むように配置されている。シール部材22Aにより、プライマリピストン10が図1に示す非制動位置にあるときに、プライマリ室16がプライマリピストン10の側壁に設けられたポート24を介してリザーバポート20に連通し、プライマリピストン10が非制動位置から前進したとき、シール部材22Aによってプライマリ室16がリザーバポート20から遮断されるようになっている。また、シール部材23A、23Bは、軸方向に沿ってリザーバポート21を挟むように配置されている。これらのうちシール部材23Aにより、セカンダリピストン11が図1に示す非制動位置にあるとき、セカンダリ室17がセカンダリピストン11の側壁に設けられたポート25を介してリザーバポート21に連通し、セカンダリピストン11が非制動位置から前進したとき、シール部材23Aによってセカンダリ室17がリザーバポート21から遮断されるようになっている。
プライマリ室16内のプライマリピストン10とセカンダリピストン11との間には、バネアセンブリ26が介装されている。また、セカンダリ室17内のマスタシリンダ2の底部とセカンダリピストン11との間には、圧縮コイルバネである戻しバネ27が介装されている。バネアセンブリ26は、圧縮コイルバネ28を伸縮可能なリテーナ29によって所定の圧縮状態で保持し、そのバネ力に抗して圧縮可能としたものである。リテーナ29とプライマリピストン10の中間壁30(後述)との間には、円筒状のスペーサ29Aが介装されている。
プライマリピストン10は、カップ状の先端部と円筒状の後部と、内部を軸方向に仕切る中間壁30とを備え、中間壁30には、案内ボア31が軸方向に沿って貫通されている。案内ボア31には、段部32Aを有する段付形状の入力部材としての入力ピストン32の小径の先端部が摺動可能かつ液密的に挿入されている。案内ボア31と入力ピストン32との間は、2つのシール部材33A、33Bによってシールされており、プライマリピストン10の中間壁30には、案内ボア31のシール部材33A、33B間に開口する通路33が径方向に沿って貫通されている。
ケース4に内に延びるプライマリピストン10の中間部は、ケース本体4Aの底部の開口部に嵌合する円筒状のバネ受部材70に挿入されて軸方向に沿って摺動可能に案内されている。バネ受部材70は、一端部に形成された外側フランジ部71がケース本体4Aの底部の開口部に嵌合して固定されて、マスタシリンダ2のシリンダボア12に連接している。バネ受部材70の後端内周部に取付けられたシール部材72によってプライマリピストン10との間をシールし、プライマリピストン10の中間壁30に設けられた通路33がシール部材72の内側に開口している。
入力ピストン32の後端部には、リアカバー4Bの円筒部8及びプライマリピストン10の後部に挿入された入力ロッド34(入力部材)の先端部が連結されている。入力ロッド34の後端側は、円筒部8から外部に延出されている。円筒部8から外部に延出された入力ロッド34の後端部にはネジ部34Bが形成されている。このネジ部34Bには、ブレーキペダル(図示せず)を連結するためのクレビス73及びクレビス73の締結部材としてのロックナット74(フランジナット)が螺着されている。プライマリピストン10の後端部には、フランジ状のバネ受35が取付けられ、プライマリピストン10は、バネ受部材70の後端部とバネ受35との間に介装された圧縮コイルバネである戻しバネ36によって後退方向に付勢されている。また、入力ピストン32は、プライマリピストン10の中間壁30との間及びバネ受35との間にそれぞれ介装されたバネ手段としての圧縮コイルバネであるバネ37、38によって、図1に示す中立位置に弾性的に保持されている。入力ロッド34の後退位置は、入力ロッド34の中間部に設けられた大径の当接部34Aがリアカバー4Aの円筒部8の後端部に設けられた径方向内側に突出するストッパ39に当接することによって規定されている。
ケース4内には、電動アクチュエータである電動モータ40及び電動モータ40の回転を直線運動に変換してプライマリピストン10に推力を付与するボールネジ機構41を含むアクチュエータ3が設けられている。電動モータ40は、永久磁石埋め込み型同期モータであって、ステータ41とロータ45とを含んでいる。ステータ41は、ケース本体4Aの底部の後側の段部に複数のボルト71によって固定された複数のコイルを有している。ロータ45は、円筒状に形成されて上記ステータ21の内周面に対向して周方向に沿って配置された複数の永久磁石45Aを有している。ロータ45は、ケース本体4Aの底部付近からリアカバー付近にわたって軸方向に沿って延ばされ、その両端部がベアリング43、44によってケース本体4A及びリアカバー4Bに回転可能に支持されている。なお、電動モータ40は、ロータ45の内部に永久磁石を配置した同期モータ、あるいは、誘導モータ等の他の形式のモータとしてもよい。
ボールネジ機構41は、回転部材であるナット部材46と、直動部材である中空のネジ軸47と、これらの対向面に形成されたネジ溝間に装填された複数のボール48とを有している。ナット部材46は、ロータ45の後部側の内周部に固定されている。ネジ軸47は、ナット部材46及びケース4の円筒部8内に挿入されて軸方向に沿って移動可能で、かつ、軸回りに回転しないように支持されている。ボールネジ機構41は、電動モータ40のロータ45の回転に伴うナット部材46の回転により、ネジ溝に沿ってボール48が転動することにより、ネジ軸47が軸方向に移動するようになっている。また、ボールネジ機構41は、ナット部材46とネジ軸47との間で、回転及び直線運動を相互に変換可能となっている。なお、本実施形態においては、介装していないが、電動モータ40とボールネジ機構41との間に、遊星歯車機構、差動減速機構等の公知の減速機構を介装して、電動モータ40の回転を減速してボールネジ機構41に伝達するようにしてもよい。
ボールネジ機構41のネジ軸47は、バネ受部材70のフランジ部71との間に介装された圧縮テーパコイルバネである戻しバネ49によって後退方向に付勢されている。ネジ軸47は、その後端部がリアカバー4Bの円筒部8に設けられたストッパ39に当接することよって後退位置が規制されている。ネジ軸47内には、プライマリピストン10の後端部が挿入され、ネジ軸47の内周部に形成された段部50にバネ受35が当接することによってプライマリピストン10の後退位置が規制されている。これにより、プライマリピストン10は、ネジ軸47の前進により、段部50に押されて前進し、また、段部50から離間して単独で前進することができる。そして、図1に示すように、ストッパ39に当接したネジ軸47の段部50によってプライマリピストン10の非制動位置が規定され、非制動位置にあるプライマリピストン10及びバネアセンブリ26の最大長によって、セカンダリピストン11の後退位置、すなわち、非制動位置が規定されている。
ケース4内には、電動モータ40のロータ43の回転位置を検出する回転位置センサとしてのレゾルバ60が設けられている。レゾルバ60は、ロータ43の後部側の外周部に固定されたセンサロータ60Aと、センサロータ60Aに対向してリアカバー4Bにボルト61によって取付けられたセンサステータ60Bとから構成されている。
リアカバー4Bの円筒部8の後端部には、反力付与手段である反力機構75が設けられている。反力機構75について、図2乃至図5も参照して説明する。図2乃至図5に示すように、反力機構75は、円筒状のカバー部材76と、固定バネ受77と、可動バネ受78と、バネ部材としての反力バネ79とから大略、構成されている。カバー部材76は、リアカバー4Bの円筒部8の後端部に取付けられてネジ軸47の外周を覆うように設けられる。固定バネ受77は、カバー部材76内で円筒部8の後端部に当接して固定される。可動バネ受78は、カバー部材76内で軸方向に沿って移動可能に案内されて設けられる。反力バネ79は、固定バネ受77と可動バネ受78との間に介装された圧縮コイルばねである。

ネジ軸47の円筒部8から突出する後端部は、その直径方向の2箇所に軸方向に沿って端部まで延びる案内溝47Aが形成されている。案内溝47Aは、円筒部8のストッパ39に係合して、ネジ軸47を軸方向に移動可能に、かつ、軸回りに回転しないように支持している。
カバー部材76は、基端部に拡径部76Aが形成された段付形状となっており、円筒部8の端部に形成された小径の段部の外周に拡径部76Aを嵌合して、円筒部8に取付けられている。カバー部材76には、拡径部76Aの端部から軸方向に沿って延出し、先端部が径方向外側に突出する係合部76Bが形成されている。この係合部76Bを円筒部8の端部に形成された切欠78に係合させ、円筒部8の端部に形成されて切欠78を横切る外周溝85に止輪80を嵌合して係合部76Bに係合させることにより、カバー部材76を円筒部8に固定している。カバー部材76には、直径方向の2箇所に拡径部76Aから軸方向に沿って延びる一対のガイド溝81が設けられている。
固定バネ受77は、円筒部8の端部に当接する大径環状部77Aと、ネジ軸47内に挿入される小径環状部77Bと、直径方向に沿って延ばされて大径環状部77Aと小径環状部77Bと結合する結合部77Cとを有している。固定バネ受77は、結合部77Cをネジ軸47の案内溝47Aに挿入して円筒部8の端部に当接する。固定バネ受77は、スプリングワッシャ82が重ねられ、円筒部8に取付けられたカバー部材76の拡径部76A内の段部にスプリングワッシャ82を介して押圧して固定される。大径環状部77Aには、径方向外側に突出して、カバー部材76の拡径部76Aの端部に形成された切欠83に係合して、円周方向の位置決めを行なう位置決め突起84が形成されている。固定バネ受77の小径環状部77Bには、反力バネ79の一端部を受入れる凹部が形成されている。
可動バネ受78は、入力ロッド34が挿通される環状部分から直径方向外側に突出して先端部がカバー部材76のガイド溝81に係合する一対の案内部78Aが一体に形成されている。案内部78Aは、ネジ軸47の案内溝47Aに挿入され、先端部がガイド溝81に沿って案内され、軸方向にガイド溝81の範囲内で移動でき、また、径方向(入力ピストン32の移動方向に直交する方向)に支持されるようになっている。ガイド溝81は、カバー部材76の拡径部76Aまで延びているので、拡径部76Aから案内部78Aをガイド溝81に挿入することができる。可動バネ受78の環状部分は、開口の縁部がロックナット74に当接するように内径が設定されている。可動バネ受78の環状部分には、反力バネ79の他端部を受入れる凹部が形成されている。
反力バネ79は、自由長または所定のセット荷重で圧縮された状態(本実施形態では各部品間のがたつきを抑えるため自由長より僅かに圧縮された状態)で固定バネ受77と可動バネ受78との間に介装されている。そして、入力ロッド34が円筒部8、すなわち、ケース4に対して、所定の距離Lだけ前進したとき、ロックナット74が可動バネ受78に当接し、入力ロッド34が更に前進すると、反力バネ79が圧縮されてそのバネ力が入力ロッド34の前進に対して反力として付与される。
また、電動倍力装置1には、ブレーキペダル、すなわち、入力ピストン32及び入力ロッド34の変位を検出するストロークセンサ、電動モータ40に供給する電流を検出する電流センサ、プライマリ、セカンダリ室17、18の液圧を検出する液圧センサ等の各種センサ(いずれも図示せず)が接続されている。コントローラCは、ECU及びRAMを含むマイクロプロセッサベースの電子制御装置であり、これらの各種センサから検出信号に基づき、電動モータ40の回転を制御する。
次に電動倍力装置1の作動について説明する。
ブレーキペダルを操作して入力ロッド34を介して入力ピストン32を前進させると、入力ピストン32の変位をストロークセンサによって検出し、コントローラCによって入力ピストン32の変位に基づいて電動モータ40の作動を制御し、ボールネジ機構41を介してプライマリピストン10を前進させて入力ピストン32の変位に追従させる。これにより、プライマリ室16に液圧が発生し、また、この液圧がセカンダリピストン11を介してセカンダリ室17に伝達される。このようにして、マスタシリンダ2で発生したブレーキ液圧は、液圧ポート18、19を介して各車輪のブレーキキャリパに供給され、制動力を発生させる。ブレーキペダルの操作を解除すると、入力ピストン32、プライマリピストン10及びセカンダリピストン11が後退してマスタシリンダ2のブレーキ液圧が減圧し、ブレーキパッド66が後退して制動が解除される。ここで、プライマリピストン10とセカンダリピストン11とは、同様に作動するので、以下においては、プライマリピストン10についてのみ説明する。
このとき、プライマリ室16の液圧の一部を入力ピストン32によって受圧し、その反力を、入力ロッド34を介してブレーキペダルにフィードバックする。これにより、所定の倍力比をもって所望の制動力を発生させることができる。そして、入力ピストン32と、これに追従するプライマリピストン10との相対位置を調整して、バネ37、38のバネ力を入力ピストン32に作用させて、入力ロッド34に対する反力を加減することにより、倍力比を調整することができる。入力ピストン32の変位量に対して、プライマリピストン10の変位量を前方に調整することにより倍力比が大きくなり、後方に調整することにより倍力比が小さくなる。これにより、倍力制御、ブレーキアシスト制御、車間車両安定性制御、車間制御、回生協調制御等のブレーキ制御を実行することができる。なお、入力ピストン32に対して、プライマリピストン10が後方となるように調整して倍力比を小さくし、プライマリ室16の液圧を低下させることで、液圧による制動力を抑えて回生協調時の回生量を大きくすることができる。
また、電動モータ40は、所定の最大出力を有している。電動モータ40の最大出力は、電力の供給によって最大限可能な出力、あるいは、過大な電力の供給による電動モータ40の損傷を防止すべく、予め定めた最大電力の供給時の出力としてもよい。コントローラCによって制御された電動モータ40の出力が最大出力に達し、プライマリ室16の液圧とプライマリピストン10の推力が釣合うとプライマリピストン10は、それ以上前進できなくなり停止する。このような全負荷状態で、ブレーキペダルを更に踏込むと、入力ロッド34の前進に対して、プライマリピストン10は停止したままで、入力ピストン32のみが前進することになるが、プライマリピストン10が停止しているため、入力ピストン32の前進量に対するプライマリ室16の液圧の上昇によって入力ピストン32および入力ロッド34を介してブレーキペダルにフィードバックされる反力増加量の割合が減少する。このため、ブレーキペダルのストロークとブレーキペダルにフィードバックされる反力すなわちペダル踏力との関係が変化する。この関係をペダルストロークとペダル踏力(=反力)との関係を表した図6に基づき説明する。図6においてペダルストロークが位置S1までストロークすると全負荷状態になる。これ以後、ブレーキペダルへの反力(踏力)増加量の割合が減少するので、図6の点線Aのようにペダル踏力(反力)の増加に比べてペダルストロークが急増し、入力ピストン32がプライマリピストン10に当接する位置S2まで急速に移動し、この間、ブレーキペダルの剛性感が低下してしまう。
これに対し、本実施形態では、ブレーキペダルの操作による入力ピストン32のケース4に対する移動距離が所定の距離Lに達すると、ロックナット74が反力機構75の可動バネ受78に当接し、反力バネ79が圧縮されることにより、そのバネ力が反力としてブレーキペダルに付与される。ここで、反力バネ79のバネ力は、電動モータ40の出力が所定の最大出力に達したとき、入力ロッド34およびブレーキペダルに対する反力増加量の割合が減少するのを補う程度の反力に設定されている。これにより、図6の実線Bで示すように、プライマリピストン10の停止による反力増加量の減少を反力機構75の反力バネ79のバネ力によって補うことができ、ブレーキペダルの剛性感を維持し得るので、ブレーキペダルを深く踏込んで電動モータ40の出力が最大出力に達した後の反力増加量の減少による違和感を緩和することができる。
ブレーキペダルを更に踏込むと、入力ピストン32の段部32Aがプライマリピストン10の中間壁30に当接し、プライマリピストン10が入力ピストン32と共に前進し、プライマリ室16の液圧の上昇による反力が増大する。このとき、反力機構75により、ブレーキペダルの操作に対して適度な反力が付与されているので、急激な反力増加量の増大による違和感を緩和することができる。
ロックナット74が可動バネ受78に当接して反力機構75が作動する際の入力ロッド34のケース4に対する移動距離Lは、電動モータ40の出力が最大出力に達したとき、反力バネ79のバネ力により、プライマリ室16の液圧の上昇による反力の減少による違和感が解消できるように、コントローラCで設定した電動モータ40の最大出力、入力ピストン32の受圧面積、マスタシリンダ2に接続された液圧ブレーキ回路の液圧剛性等の諸条件を考慮して適宜設定するとよい。好ましくは、移動距離Lは、前記入力ロッド34の前進により前記電動モータ40の出力が所定の最大出力に達する以前(図6の一点鎖線Cの位置S3参照)、または所定の最大出力に達する位置若しくはその付近(最大出力に達する位置の前後を含む)まで前記入力ロッド34が前進したとき、そのロックナット74が可動バネ受78に当接する長さとするのが良い。これにより、ブレーキペダルの剛性感を維持して、反力増加量の減少による違和感が生じるのを緩和できる。
なお、通常の運転状態での車両走行中においては、ブレーキペダルを深く踏込んだ場合、電動モータ40の出力が最大出力に達する前に、充分以上の制動力が発生して、アンチロックブレーキ制御が実行され、電動モータ40の出力が減少方向に調整されるので、ロックナット74が可動バネ受78に当接して反力機構75が作動することはない。一方、車両の停車中に、ブレーキペダルを深く踏込んだ場合には、アンチロックブレーキ制御は実行されず、電動モータ40の出力が最大出力に達し得るので、反力機構75の作動により、ペダルストロークに対する反力増加量の割合の急激な変化による違和感を緩和することができる。
上記実施形態において、カバー部材76及び可動バネ受78を省略し、反力バネとして、テーパ状のコイルバネ(図示せず)を用いて、テーパ状のコイルバネの小径端部を入力ロッド34によって軸方向に移動可能に案内し、ロックナット74が小径端部に当接するようにしてもよい。但し、この場合には、反力バネにセット荷重を設定することはできないので、自由長となる。
次に反力機構75の変形例について図7を参照して説明する。
なお、以下の説明において、上記実施形態に対して、同様の部分には同一の符号を用いて、異なる部分についてのみ詳細に説明する。
図6に示す変形例では、カバー部材76が省略され、代りに、円筒部8の端部に軸方向に沿って延びるピン形状のガイド部材87が立設され、ガイド部材87によって可動バネ受88が軸方向に沿って一定の範囲で移動可能に案内されている。
ガイド部材87は、一端部に形成されたネジ部を固定バネ受77に挿通し、円筒部8のストッパ39が設けられた側壁の端部にネジ込むことにより、固定バネ受77と共に円筒部8に固定されている。また、可動バネ受78に挿通されて、可動バネ受78を軸方向に沿って移動可能に案内し、他端部に設けられた大径部87Aによって可動バネ受78の移動範囲を規定して、反力バネ79を所定のセット荷重をもって圧縮状態で保持している。
円筒部8の端部には、円筒部8から突出したネジ軸47の後端部を覆う有底円筒状のカバー88が取付けられている。
これにより、上記実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
なお、上記実施形態では、一例として、2系統の液圧ポート18、19を有するタンデム型のマスタシリンダ2を備えた電動倍力装置について説明しているが、本発明は、これに限らず、セカンダリピストン11及びセカンダリ室17を省略してシングル型のマスタシリンダとした電動倍力装置にも適用することができる。また、上記実施形態において、ボールネジ機構41のほか、他の公知の回転−直動変換機構を用いることもできる。
さらに、上記実施形態では、入力ピストン及びピストンが共にマスタシリンダ2に挿入されている構成(プライマリピストン10の案内ボア31に入力ピストン32が摺動可能かつ液密的に挿入されている構成)を用いているが、入力ピストンがマスタシリンダに挿入される構造である必要はない。例えば、特開2008−30599号に示されるように、ブレーキペダルの踏力がマスタシリンダに直接伝達されない、いわゆるバイワイヤ式の構成のものに適用することができる。このような構成においては、電動モータの全負荷状態で入力部材とマスタシリンダのピストンとの間の隙間がなくなるまで、徐々に反力ばねによりペダル踏力が増加する割合(剛性感)を高められるので、運転者に与える違和感を小さくする効果を得ることができる。
1 電動倍力装置、2 マスタシリンダ、10 プライマリピストン(倍力部材)、32 入力ピストン(入力部材)、34 入力ロッド(入力部材)、40 電動モータ(電動アクチュエータ)、75 反力機構(反力付与手段)

Claims (8)

  1. ブレーキペダルの操作により進退移動する入力部材と、該入力部材に対して相対移動可能に設けられ、前記入力部材の前進により該入力部材に当接する倍力部材と、前記倍力部材を駆動する電動アクチュエータと、該電動アクチュエータを収容するハウジングとを備え、前記入力部材と前記倍力部材との相対位置を調整して所望の倍力比をもってマスタシリンダ内にブレーキ液圧を発生させるべく、前記入力部材の移動に基づき前記電動アクチュエータの作動を制御する、電動倍力装置において、
    前記ハウジングに一端側が固定されると共に、他端側が前記入力部材に当接可能な位置に配置され、前記ブレーキペダルの操作により前記入力部材が所定距離だけ前進したとき、前記入力部材に当接して該入力部材の移動に対して反力を付与する反力付与手段が設けられていることを特徴とする電動倍力装置。
  2. 前記反力付与手段は、前記入力部材の前進により前記電動アクチュエータの出力が所定の最大出力に達する以前、または所定の最大出力に達する付近まで前記入力部材が前進したとき、前記入力部材に当接することを特徴とする請求項1に記載の電動倍力装置。
  3. 前記反力付与手段は、前記入力部材の前進により前記電動アクチュエータの出力が所定の最大出力に達する付近まで前記入力部材が前進したとき、前記入力部材の前進に対して、前記電動アクチュエータが前記最大出力に達してそれ以上出力を増大できないことによる前記入力部材に対する反力増加量の割合の減少を補う程度の反力を付与することを特徴とする請求項1又は2に記載の電動倍力装置。
  4. 前記倍力部材の前記入力部材に対する後方への相対変位に対してバネ力を付与するバネ手段を設け、前記入力部材と前記倍力部材との相対位置を前記倍力部材が前記入力部材の後方となるように調整して倍力比を小さくすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電動倍力装置。
  5. 前記反力付与手段は、前記ハウジングに固定された固定バネ受と、前記入力部材に当接する可動バネ受と、前記固定バネ受けと前記可動バネ受との間に介装されるバネ部材と、前記ハウジングに固定されて前記バネ部材を覆い、前記可動バネ受を前記入力部材の移動方向に沿って案内するカバー部材とを有していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電動倍力装置。
  6. 前記カバー部材は、前記可動バネ受を前記入力部材の移動方向に直交する方向に支持することを特徴とする請求項5に記載の電動倍力装置。
  7. 前記反力付与手段は、前記ハウジングに固定された固定バネ受と、前記入力部材に当接する可動バネ受と、前記固定バネ受けと前記可動バネ受との間に介装されるバネ部材と、前記ハウジングに固定されて、前記入力部材の移動方向に沿って延ばされ、前記固定バネ受を前記ハウジングに固定すると共に前記可動バネ受を前記入力部材の移動方向に沿って案内するガイド部材とを有していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電動倍力装置。
  8. 前記入力部材には、前記ブレーキペダルに連結するためのクレビスが締結部材を用いて取付けられ、前記入力部材は、前記締結部材を介して前記反力付与手段に当接することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の電動倍力装置。
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