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JP5751604B2 - ポリブチレンテレフタレート樹脂の製造方法 - Google Patents

ポリブチレンテレフタレート樹脂の製造方法 Download PDF

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JP5751604B2 JP2005363881A JP2005363881A JP5751604B2 JP 5751604 B2 JP5751604 B2 JP 5751604B2 JP 2005363881 A JP2005363881 A JP 2005363881A JP 2005363881 A JP2005363881 A JP 2005363881A JP 5751604 B2 JP5751604 B2 JP 5751604B2
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Description

本発明は、濾過圧力上昇速度、チタンカルボニル酸塩に由来する異物量、ヘイズが低減され、成形性や成形後の品質が良好なポリブチレンテレフタレート樹脂およびそのポリブチレンテレフタレート樹脂を効率的に連続製造する方法に関するものである。
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、その優れた物理的、化学的性質を有するため、繊維、フィルム、その他の成形品等の種々の用途に広く用いられている。また強度や弾性率等の機械特性、耐熱性等に優れているため、特にエンジニアリングプラスチックとして広く用いられている。
このようなポリブチレンテレフタレート樹脂の製造方法の一つとしてテレフタル酸と1,4−ブタンジオールとのエステル化反応によりビスヒドロキシブチルテレフタレートおよびその低重合物を得るエステル化工程とビスヒドロキシブチルテレフタレートおよびその低重合物を高温、高真空下で過剰の1,4−ブタンジオールを留出させつつ高重合度ポリブチレンテレフタレートを得る重縮合工程とからなり、触媒として、一般的にチタン化合物やスズ化合物等、分解抑制剤として、リン化合物等が用いられる。
しかし、スズ化合物を使用した場合は、昨今の環境的な観点や、また、反応性は高いが、それ故、分解反応も早く、ゲル化率、ヘイズ、b値の上昇など品質面においても好ましくない。
また、チタン化合物のみ使用した場合においては、上記、スズ化合物やリン化合物を併用した場合に比べ品質面で有利であるが、チタン化合物は、反応を促進するために使用される一方、反応条件によっては一部異物化し、ポリブチレンテレフタレート組成物を濾過した際の圧力やゲル化率、ヘイズの上昇原因となり、最終的には成型品の引張破断延びの低下等の強度低下やフィルムとした際の表面異物の増加等の原因になる。
また、一方、原料の1,4−ブタンジオールが分解して副生するテトラヒドロフランの低減の観点や高粘度品を製造する観点からは、チタン化合物の添加量を増やしたり、添加方法を工夫する等実施し、効率的に重合を行い、反応時間を出来るだけ短くすることが望まれる。
ここで、まず、異物発生の問題に対しては、特許文献1に、反応槽間の移液配管にフィルターを設置することが記載されているが、該方法は、フィルターの目開き以上の異物は除去できるものの、フィルターの目開きをより小さくしていくと、濾圧の上昇が早く、詰まり頻度が多くなり、フィルターの交換頻度が高くなる等の問題がある。また、反応で発生したポリブチレンテレフタレートのゲル異物は、三次元構造をとり、比較的柔らかいため、一部フィルターを通り抜ける等の問題がある。
また、異物発生を抑制する方法として、特許文献2には、エステル化反応槽の撹拌動力を上げ、槽内をできるだけ均一化し異常滞留を抑制することで、チタン化合物由来の異物発生を抑制する方法が記載されているものの、触媒の添加方法や反応条件によっては異物が発生してしまい、依然、濾過圧力やヘイズの上昇等の問題がある。また、特に、高粘度品を重合する際には、チタン化合物の量を増やしたり、反応時間を長くするため、その傾向がより顕著であり、より異物化を抑制する処方とする必要がある。
しかし、上記異物対策のみでは、ポリブチレンテレフタレートのチタンカルボン酸塩の異物、ゲル異物等については、依然不十分である。
特開2000−336162号公報 特開2005−29581号公報
本発明は、濾過した際の圧力上昇、チタン化合物由来の異物、ゲル異物が少なく、更に、ヘイズが低いため、機械的強度に優れた成型品や表面異物の少ないフィルムに好適に使用することができるポリブチレンテレフタレート樹脂を提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、本発明に至った。
すなわち、本発明は、触媒としてチタン化合物をエステル化反応率95〜98%の状態にあるエステル化反応槽に添加し、続いて予備重縮合反応槽にも追添加して、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸と1,4−ブタンジオールを主成分とするジオールから連続的にポリブチレンテレフタレート樹脂を製造する方法であって、チタン化合物を1,4−ブタンジオールに20重量%以下に希釈した溶液を、0.3m/s以上1.0m/s以下の流速で添加し、該溶液がビスヒドロキシブチルテレフタレートおよびその低重合物を含む液相に到達するまでの、減圧、加熱下の工程内における1,4−ブタンジオールの揮発率80重量%以下として、
前記チタン化合物を、エステル化反応槽および予備重縮合反応槽にそれぞれTi原子換算
でポリマー総重量に対して25〜75ppm添加することを特徴とするポリブチレンテレフタレート樹脂の製造方法である。
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂は、濾過した際の圧力上昇が低いため工程中に設置しているポリマーフィルターの交換頻度が少なく製造でき、さらに、チタン化合物由来の異物、ゲル異物が少ないため引張破断伸度等が高く機械的強度に優れた成型品や表面異物の極めて少ないフィルム等を得ることができる。また、色相についても、異物が少ないため白色度の高い最終製品が得られる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において製造されるポリブチレンテレフタレート樹脂とはテレフタル酸を酸成分に、1,4−ブタンジオールをジオール成分に用いた主鎖にエステル結合を有する高分子量の熱可塑性ポリエステルであるが、その他の酸成分としてイソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ナトリウムスルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、セバシン酸、アジピン酸、ドデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸等を、その他のジオール成分としては、具体的には、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン等の芳香族ジオールを一部用いることもできる。これらの共重合成分はそれぞれテレフタル酸または1,4−ブタンジオールに対して40モル%以下であることが好ましい。
本発明のポリブチレンテレフタレート樹脂は直列連続槽型反応器を用いて連続的に重合することで好ましく製造される。具体的にはジオール成分とジカルボン酸成分を主体とする原料をスラリー調整し、そのスラリーをエステル化反応槽に供給し、エステル化反応を行い、得られたエステル化反応生成物であるオリゴマーを予備重縮合反応槽及び最終重合機を経て重縮合反応させることができる。得られたポリブチレンテレフタレートは、最終重合機の底部よりダイを経てストランド状に抜き出し、冷却水にて水冷した後、ペレタイザーでカッティングし、ペレット状などの粒状体とすることが好ましい。
本発明の好ましい形態としては、ジカルボン酸成分に対するジオール成分の仕込みモル比は1.4〜2.0が好ましく、1.6〜1.8がより好ましい。
本発明に用いるエステル化反応槽の型式としては特に限定されるものではないが、例えば、縦型攪拌完全混合槽、縦型熱対流式混合槽、棚段型反応槽などを用いることができ、複数の反応槽を用いる場合はこれら同種または異種の複数基の槽を直列する複数槽とすることができる。本発明においては、好ましくは縦型撹拌完全混合槽である。
エステル化反応槽の留出口には精留塔をつけることが好ましく、精留塔により留出物中の水及びテトラヒドロフランと1,4−ブタンジオールを分離することができる。精留塔の塔頂からは水及びテトラヒドロフランを主成分とする留出物が留出され、コンデンサーで凝縮され、回収工程へ送液される。1,4−ブタンジオールを主成分とする留出物は精留塔塔底部分で凝縮し、エステル化反応槽へ返送される。また、その際に、エステル化反応槽中でのモル比を調整するため、エステル化反応槽へ返送される1,4−ブタンジオールの一部を系外へ留出させてもよい。この場合、留出させた1,4−ブタンジオールを主成分とする留出物は再度、原料として用いることができ、精留して使用してもよいし、そのまま使用してもよい。
本発明で用いられるエステル化反応触媒は有機チタン化合物が用いられる。本発明で好ましく用いられる有機チタン化合物は、
(RO)nTi(OR4−n
(ただし、R、Rは炭素数1〜10の脂肪族、脂環族または芳香族の炭化水素基、nは0〜4の数字(小数含む)である。)で表されるチタン酸エステルおよび縮合物で代表される。
本発明に用いる有機チタン化合物は具体的には、チタン酸のメチルエステル、テトラ−n−プロピルエステル、テトライソプロピルエステル、テトラ−n−ブチルエステル、テトライソブチルエステル、テトラ−tert−ブチルエステル、テトラ−2エチルヘキシルエステル、テトラオクチルエステル、フェニルエステル、ベンジルエステル、トリルエステルあるいはこれらの混合エステルなどがある。これらの中でも安価に入手できることからチタン酸のテトラ−n−プロピルエステル(テトラ−n−プロピルチタネート)、テトライソプロピルエステル(テトラ−イソプロピルチタネート)、テトラ−n−ブチルエステル(テトラ−n−ブチルチタネート)が好ましく、チタン酸のテトラ−n−ブチルエステル(テトラ−n−ブチルチタネート)が特に好ましく用いられる。これらの有機チタン化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用することができる。また、エステル化反応および重縮合時に同一種を用いてもよく、異種の有機チタン化合物を用いてもよい。
上記、有機チタン化合物は有機溶媒と一緒に添加される。この場合の有機溶媒としてはイソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールなどが挙げられるが、品質面の影響等を考慮すると1,4−ブタンジオールが好ましく用いられる。
有機チタン化合物の有機溶媒中の濃度は、20重量%以下である必要があり、好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。20重量%より高い場合は、粘度が高くなり安定的に添加できないだけでなく、有機チタン化合物/1,4−ブタンジオールを添加する際、添加ライン等で工程の熱負荷を受け反応し、異物化する可能性があるため好ましくない。また、有機チタン化合物の濃度の下限値については、3重量%以上である。3重量%未満の場合は、添加する量が多くなり反応槽の温度が下がるなどする場合がある。
この有機チタン化合物の添加量は、エステル化反応槽への添加量はTi原子換算でポリマー総重量に対して25〜75ppmであることが好ましく、30〜70ppmがより好ましい。添加量が25ppmよりも少ないとエステル化速度が遅くなり、テトラヒドロフランの副性が多くなる場合があり、また、75ppmよりも多くなるとポリマーのヘイズが高くなる等の問題が発生する場合がある。
また、特に高粘度品を生産する際、重合効率を上げるために、予備重縮合反応槽にも有機チタン化合物を添加する必要があり、その添加量はエステル化同様25〜75ppm追添加することが好ましく、30〜70ppmがより好ましい。エステル化反応槽にみ有機チタン化合物の量を増やし一括添加した際には、ヘイズや濾過圧力上昇速度が上昇する場合がある。
また、有機チタン化合物溶液は、流速0.3m/s以上で添加されることが必要であり、0.4m/s以上が好ましい。0.3m/s未満の流速では、添加配管内が満液では無く、かつ、添加速度が遅いため、添加配管内で熱負荷を受け好ましくない。更に、添加時の1,4−ブタンジオールの揮発率が高くなり好ましくない。流速の上限については特に限定はないが、本発明においては、1.0m/s以下である。1.0m/sより早い場合は、添加ノズルを非常に細くする必要があり異物等で詰まりやすくなる場合がある。
また、有機チタン化合物の添加方法は、特に限定しないが、反応槽に上部より気相添加しても良いし、下部より液相添加しても良い。また、同様に反応槽間の移液配管に液相添加しても良いが、触媒を希釈している1,4−ブタンジオールの揮発を抑制する意味で液相添加が好ましい。
また、有機チタン化合物/有機溶媒の添加は、工程内を減圧、加熱雰囲気下で添加後、ビスヒドロキシテレフタレートおよびその低重合体に到達するまでに、有機溶媒の揮発率が80重量%以下である必要があり、好ましくは50重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。80重量%より高い場合は、有機チタン化合物、1,4−ブタンジオール溶液が反応しやすくなり、その反応物がビスヒドロキシテレフタレートおよびその低重合体に添加された際に、異物となり好ましくない。有機溶媒の揮発率の下限については特に限定はないが、本発明においては、0.1重量%以上である。また、添加方法は、気相添加と液相添加の大きく二つあり、有機溶媒の揮発率が低い液相添加が好ましい。
また、有機チタン化合物を添加する場合、ジカルボン酸成分のエステル化反応率を95〜98%でエステル化反応槽に添加する必要があり、好ましくは96〜97%である。また、その後さらに予備重縮合反応槽に有機チタン化合物を追加添加することが好ましい。エステル化反応槽に添加する際、ジカルボン酸成分のエステル化反応率が95%未満で重合触媒を添加するとテレフタル酸の残存が多く、また、98%以上で添加すると、テレフタル酸の残存と有機チタン化合物が反応し、ポリマーの溶液ヘイズが高くなる等の問題が発生し好ましくない。
本発明におけるエステル化反応は有機チタン化合物の存在下で、反応温度は好ましくは210〜260℃、より好ましくは220〜250℃で、圧力は好ましくは13.3〜93kPa以下、より好ましくは20〜87kPaの減圧下で行うことが好ましい条件として挙げられる。
本発明において使用する予備重縮合反応槽について、その型式は特に制限されるものではないが、例えば、縦型攪拌重合槽、横型攪拌重合槽、薄膜蒸発式重合槽などを用いることができる。
予備重縮合反応槽は1基または同種または異種の複数基の槽を直列する複数槽とすることができる。予備重縮合反応の反応温度は好ましくは210〜270℃、より好ましくは220〜260℃で圧力は好ましくは7kPa以下、より好ましくは1〜6kPaの減圧下で行うことが好ましい条件として挙げられる。
本発明において最終重合機を用いる場合、その型式は特に制限されるものではないが、例えば、横型1軸反応機、横型2軸反応機などを用いることができる。
最終重合機の反応温度は好ましくは220〜260℃、より好ましくは230〜250℃で圧力は好ましくは1.3kPa以下、より好ましくは0.67kPa以下の減圧下で行うことが好ましい条件として挙げられる。
重合して得られたポリブチレンテレフタレートについては、ヘイズが10%以下である必要があり好ましくは8%以下、更に好ましくは6%以下である。ヘイズが10%より高い場合は、ポリマー中に異物が多いこと意味し、成形品やフィルムにした際に、強度や表面性で問題になる。ヘイズの下限については特に限定はないが、本発明においては、0.1%以上である。また、上記同様に全光線透過率においても、92%以上が好ましく、より好ましくは、95%以上である。仮にヘイズは低いが、全光線透過率が92%より低い場合は、非常に小さな異物が多いことを意味する。全光線透過率の上限については特に限定はないが、本発明においては、99%以下である。
濾過圧力上昇速度は、2.0kg/cm/hr以下が好ましく、より好ましくは、1.0kg/cm/hr以下である。2.0kg以上の場合は、工程内のポリマーフィルターの濾圧上昇が早いため、交換頻度が高く、また、交換時は品質が不安定となるため、運転面と品質面の両方において問題となることがある。
ポリブチレンテレフタレート樹脂のゲル化率については、0.5%以下が好ましく、0.3%以下がより好ましい。0.5%よりゲル化率が高い場合は、ポリマーのゲルが多く、最終製品である成型品やフィルムにした際に、強度不足や表面性の悪化の原因になり好ましくない。
通常、ポリブチレンテレフタレート樹脂の製造工程で発生する異物としては、反応槽内で発生するスケールや炭化物等の黒色の異物、高融点化物等の白灰色異物等が一般的に知られているが、それ以外に反応条件、添加方法により触媒が異物化することを今回見つけだした。ここでいう異物は、溶解液を濾過面積2.0cmの10μm焼結繊維フィルター、吐出量6.8g/minの条件下で濾過した際に焼結繊維フィルターに付着したポリマーをO−クロロフェノールで加熱溶解後、50μmのメンブレンフィルターで濾過し、濾液をさらに5μmのメンブレンフィルターで濾過して回収される濾上物として回収されるものである。その濾上物を赤外分光法で測定したところ、金属塩カルボン酸塩に由来する特定吸収(1400cm−1および1525cm−1)が観測され、かつ、走査型電子顕微鏡でチタン元素が検出されたことから、異物はチタン触媒に由来するチタンカルボン酸塩を含んでいることが判明した。また、チタンカルボン酸塩を含む異物の大きさの分布としては、5〜20μmまたは50〜150μmのものが回収される。また、2つの分布を持つ理由は定かではないが、5〜20μmの異物については、触媒の反応槽内での異常滞留等で発生したもの、50〜150μmの異物については触媒添加時気相部等で加熱濃縮され異物化したものがポリマー中へ添加されたものと考えられる。本発明においては、ポリブチレンテレフタレート樹脂の溶解液を濾過して回収されるチタンカルボン酸塩を含む異物含有量は、生成するポリマーに対して20ppm以下であることが好ましく、より好ましくは10ppmである。20ppmより多い場合は、濾圧上昇速度やヘイズが上昇し、最終製品にも品質の悪化をまねく場合がある。
以下に実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中、各測定値は下記のとおり求めた。
(1)色調(色座標b値)
反射法によりスガ試験機社製カラーテスターSC−3−CH型を用いて、JIS Z 8730の参考1に記載されるLab表色系におけるハンターの色差式の色座標b値を測定した。測定は電源投入後4時間以上放置し、予め装置を十分安定させた後、内径60mm、深さ30mm、受光部が石英ガラス製である測定セルに試料ペレットをすり切り位置まで充填し、測定セルの向きを90度ずつ4方向変えて測定し、その平均値をもって値とした。
(2)固有粘度
ウベローデ型粘度計とo−クロロフェノールを用い、25℃において、ポリブチレンテレフタレートの濃度1.0g/dl、0.5g/dl及び0.25g/dlの溶液粘度を測定し、粘度数を濃度0に外挿し求めた。
(3)濾過圧力上昇速度
チップを150℃で4時間乾燥後、富士フィルター製フジメルトスピニングテスター(MST−C400)で温度255℃〜265℃、濾過面積2.0cmの10μm焼結繊維フィルター、吐出量6.8g/minの条件下測定し、4時間濾過圧力の上昇速度を測定し、1時間あたりの圧力上昇速度に換算した。
(4)ヘイズ、全光線透過率
試料ポリマー5.4gをフェノール/四塩化エタン(60:40wt%)の混合溶媒40mlに100℃で2時間加熱溶解し、この溶液を光路長30mmのセルに入れて積分式ヘーズメーター(スガ試験機:HZ−2)でヘイズと全光線透過率を測定した。
(5)オリゴマーのエステル化反応率
反応率(%)=(ケン化価−酸価)/ケン化価×100で算出した。酸価は、オリゴマー0.4gをo−クレゾール/クロロホルム(3:2)溶液を50ml加え、90℃で1時間溶解した後、30分間放冷した。その後、クロロホルムを30ml加え、さらに13%塩化リチウムメタノール溶液を5ml加え、N/25エタノール性水酸化ナトリウム溶液で平沼社製COM−450を用いて滴定した。ケン化価は、オリゴマー0.4gをN/2水酸化カリウム20mlでアルカリ加水分解し、100℃で1時間還流加熱し、それを指示薬を使用してN/2硫酸溶液で逆滴定して求めた。
(6)異物含有量
濾過試験終了後のポリマーが付着した焼結繊維フィルターを取り出し、O−クロロフェノール20ml、100℃で2時間撹拌・溶解させ、それを50μmのミリポア社製テフロン(登録商標)メンブレンフィルターで濾過した。更にその濾液を5μmのミリポア社製のテフロン(登録商標)メンブレンフィルターで再濾過し、それらを50℃で一晩真空乾燥した後、重量を測定し、フィルター濾上物の重量を濾過したポリマー量で割ることで異物含有量を算出した。また、異物の大きさについては、上記単離した異物をキーエンス社製SEM(VE−8800)を用いて観察し、得られた画像をイメージアナライザーを用いて画像処理し、異物の粒径の分布を測定した。
(7)赤外分光法(IR)
単離した異物を、KBr錠剤法にて赤外分光測定器を用いて透過法にて異物の特定吸収波長を観察した。
(8)末端カルボニル基濃度(COOH)
チップ2.0gをo−クレゾール/クロロホルム(3:2)溶液を50ml加え、90℃で1時間溶解した後、30分間放冷した。その後、クロロホルムを30ml加え、さらに13%塩化リチウムメタノール溶液を5ml加え、N/25エタノール性水酸化ナトリウム溶液で平沼社製COM−450を用いて滴定した。
(9)ゲル化率
チップ1gを300℃、2.5時間、大気下で加熱後、OCP50mlで150℃で1時間溶解後、3G3のガラスフィルターで濾過して濾上物を塩化メチレンで洗浄する。線上後フィルターを50℃で一晩真空乾燥機で乾燥後、重量を測って、チップ1g中のフィルター残存物量の重量比をゲル化率とした。
(10)テトラヒドロフラン生成量
副生するテトラヒドロフラン量については、各工程から発生する1時間当たりのテトラヒドロフランの生成量(g)を島津製ガスクロマトグラフGC−17Aを用いて内標を入れて測定し、単位時間当たりに生成するポリマー量(kg)で除することで求めた。
実施例1
予め反応率96%のPBTオリゴマーを充填した完全混合槽型エステル化反応器に、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールとをテレフタル酸に対する1,4−ブタンジオールのモル比が1.8になるようにスラリー状にして連続的に供給した。また同時に、テトラブトキシチタネートを、10%の濃度に1,4−ブタンジオールで希釈し、流速0.43m/sで、生成するポリマー(PBT)に対して0.04wt%(Ti:56ppm)添加した。触媒の希釈に用いた1,4−ブタンジオールの揮発率は5%であった。エステル化反応器は温度230℃、圧力79kPa、反応時間(平均滞留時間)2時間でエステル化反応を行い反応率96%のPBTオリゴマーを得た。エステル化反応時のテトラヒドロフラン(THF)の発生量は95g/kgポリマーであった。そのエステル化反応器で得たPBTオリゴマーを連続的に取り出し、予め反応率98%のPBTオリゴマーを充填した予備重縮合反応器に供給した。予備重縮合反応器は、反応温度240℃、反応時間(平均滞留時間)2時間、真空度2.7kPaで反応を行いながら、エステル化反応器と同様にテトラブトキシチタネートを10%の濃度に1,4−ブタンジオールに希釈し、流速0.43m/sで生成するポリマー(PBT)に対して0.04wt%(Ti:56ppm)添加した。触媒の希釈に用いた1,4−ブタンジオールの揮発率は10%であった。その後、最終重合器に連続的に送液し、重合温度240℃、反応時間1.5時間、0.3kPaの真空度で重合反応を行いPBTを得た。得られたPBTは、固有粘度1.0dl/g、末端カルボキシル基濃度10eq/t、ヘイズ3%、全光線透過率95%、b値5、チタンカルボン酸塩を含有する異物(粒径10μm、100μmにピークを有する)含有量5ppm、濾過圧力上昇速度0.5kg/cm/hr、ゲル化率0.2%と成型品やフィルムに適したポリマーであった。その結果を表1に示す。
実施例2
触媒添加濃度を20wt%に変更した以外は実施例1と同様の方法で行った。触媒濃度を高くした結果、触媒希釈溶媒の揮発率が高くなり、異物量が若干増えたものの使用できる範囲のものであった。その結果を表1に示す。
実施例3
触媒添加流速を0.3m/sに変更した以外は実施例1と同様の方法で行った。触媒添加流速を遅くした結果、触媒希釈溶媒の揮発率が高くなり、濾過圧力上昇速度が高くなったが使用できる範囲のものであった。その結果を表1に示す。
比較例1
触媒添加流速を0.1m/sと遅くした以外は実施例1と同様の方法で行った。触媒添加流速を遅くした結果、触媒希釈用の1,4−ブタンジオールの揮発率が90、96%と著しく高くなった結果、有機チタン化合物が異物化し、ヘイズや濾過圧力上昇速度、ゲル化率等品質の著しい悪化を招いた。結果を表1に示す。
比較例2
触媒濃度を80%とした以外は実施例1と同様の方法で行った。触媒濃度を高くした結果、添加配管内の熱負荷によって1,4−ブタンジオールと反応を起こし、異物化した結果、品質の悪化を招いた。結果を表1に示す。
比較例3
エステル化反応時間を3時間に長くした以外は実施例1と同様の方法で行った。エステル化反応時間を長くした結果、エステル化反応率が高くなり、その結果、ヘイズが高くなった。結果を表1に示す。
比較例4
触媒添加量を0.01wt%(Ti:14ppm)にした以外は実施例1と同様の方法で行った。触媒添加量を少なくした結果、エステル化反応時間および重合時間も長くなり、ポリマーの高温下で長時間滞留したためゲル化率等が高くなり品質の悪化を招いた。結果を表1に示す。
Figure 0005751604
本製造法でPBTを製造した場合、従来の方法で製造した場合よりもチタン化合物由来の異物やゲルが少なく、また、フィルターの濾圧上昇速度が低いため安定生産でき、その結果、成形した際の強度やフィルムにした際の表面性に優れたPBTを得ることができる。本発明で得られたPBTは品質に優れるので各種の自動車部品や電気・電子部品、フィルムなどに有用に用いることができる。

Claims (1)

  1. 触媒としてチタン化合物をエステル化反応率95〜98%の状態にあるエステル化反応槽に添加し、続いて予備重縮合反応槽にも追添加して、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸と1,4−ブタンジオールを主成分とするジオールから連続的にポリブチレンテレフタレート樹脂を製造する方法であって、チタン化合物を1,4−ブタンジオールに20重量%以下に希釈した溶液を、0.3m/s以上1.0m/s以下の流速で添加し、該溶液がビスヒドロキシブチルテレフタレートおよびその低重合物を含む液相に到達するまでの、減圧、加熱下の工程内における1,4−ブタンジオールの揮発率80重量%以下として、
    前記チタン化合物を、エステル化反応槽および予備重縮合反応槽にそれぞれTi原子換算
    でポリマー総重量に対して25〜75ppm添加することを特徴とするポリブチレンテレフタレート樹脂の製造方法。
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