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JP5751526B1 - 乾燥食品素材およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】素材本来の形状を保持したまま乾燥させた食品素材であって、食品素材内部に多くの細かい多孔質構造を有した、脆く、噛み易い、新しいテクスチャーの乾燥食品素材の提供。【解決手段】本発明による乾燥食品素材は、凍結後解凍させた食品素材の内部に少なくとも分解酵素と油脂とを含有させた後、蒸発乾燥させたものであり、食品素材が、本来の形状を保持したまま多孔質構造を有するものであることを特徴とする。【選択図】図4

Description

本発明は、乾燥食品素材およびその製造方法に関する。より詳細には、本発明は、素材本来の形状を保持したまま乾燥させた食品素材であって、食品素材内部に多くの多孔質構造を有した、脆く、噛み易い、新しいテクスチャーの乾燥食品素材およびその製造方法に関する。
従来から、復水性の改善を目的として、乾燥食品素材の物性を改変する方法が提案されている。特許文献1〜3は、食品素材を凍結後解凍した後、減圧または加圧操作により分解酵素を含浸することで、形状を保持させた軟化食品素材を製造する方法に関し、その後乾燥処理しても、水分を戻すと復元されることが記載されている。特許文献4は、食品素材に分解酵素液を塗布した後、緩慢に凍結して解凍することで、分解酵素を食品素材内部に導入する発明で、その後、乾燥処理しても、水分を戻すと復元されることが記載されている。
特許文献5は、乾燥する前に、植物性食品素材を分解酵素で軟化させておくことによって、復水性を向上させ、復水後の食品素材の形状、色および物性の再現性を良くする発明に関する。特に脱水工程として、固体から気体へ相移転する昇華による乾燥(凍結乾燥法:FD)を用いることによって、乾燥過程での食品素材内部での水分移動による組織構造の収縮・硬化をなくすことができ、15gの塊の食品素材であっても、復元できることが記載されている。
特許文献6は、原料の野菜に膨張剤(ベーキングパウダー)と糖を含浸し、乾燥時の熱を利用して膨張剤を食品素材内部で発泡させることにより、組織の収縮による硬化を抑制させて乾燥野菜に多孔質構造を保有させる発明に関する。特許文献6および特許文献7には、野菜に油脂を塗布することで、乾燥処理後に野菜粒子が凝固することなくバラバラになることで、湯戻しによる復水のムラを生じないことが記載されている。
非特許文献1は、特許文献1および特許文献2と同様の方法を用いて、油脂を素材内部に含浸できることを記載した論文であり、油脂を乳化することで、疎水性成分も水溶性成分と同様に含浸できることを報告している。この論文では、軟化酵素と同時に乳化油脂を含浸しても、軟化酵素単体を含浸した素材の硬さと有意差がなかったことが記載されている。
特開2007−204413号公報 特許第4947630号公報 特許第4986188号公報 特開2013−34467号公報 特開2012−200196号公報 特許第3884875号公報 特開平05−123100号公報
凍結含浸法によるジャガイモへの油脂含浸、渡邊弥生、石原理子、中津沙弥香、坂本宏司、日本食品科学工学会誌、58巻、p51−54、2011年2月発行
しかしながら、特許文献1〜5には、食品素材に事前の酵素処理を行って乾燥させた乾燥食品素材が記載されているが、いずれも食品素材の復元に関して言及されているに過ぎない。特許文献1〜5には、乾燥食品素材に関する形状、色やテクスチャー改変については詳細なデータが無く、具体的にどのような乾燥食品素材が得られるかが不明である。
特許文献5等の従来技術によれば、食品素材をペクチナーゼなどの分解酵素で処理して形状を保持したまま軟化させることで、その乾燥後に復水しても、物性を復元できる組織構造を有する乾燥食品素材であることが提案されている。本発明では、単に分解酵素で食品素材の内部組織を分解、軟化するだけでは、一定レベル以上の物性値となる組織構造を有する乾燥食品素材、具体的には最大荷重(50N以下)、破断数(5個/mm以上)、空隙率(25%〜80%)である乾燥食品素材が製造できないことを明らかにした。
従来、多孔質構造を多く有した乾燥食品を製造する場合には、昇華により脱水させる凍結乾燥法(FD)を用いることによって、乾燥過程における素材内部での水分移動による素材組織の収縮を防止し、内部に多くの隔壁を保有させることができた。凍結乾燥法(FD)に比べて製造コストを抑えることができる蒸発乾燥法では、素材内部において気液界面への水分移動が起こり、これに伴い組織の収縮が起こる。そのため、膨張剤で発泡させる方法(特許文献6)や、小さくカットして元の素材の体積を小さくするなどの処理によって、組織の収縮により乾燥素材が硬くなることを軽減し、復水性を改善させる方法が提案されている。しかし、特許文献6に記載の方法では、膨張剤であるベーキングパウダーが発泡するための温度が必要であり、冷風乾燥や天日乾燥には好ましくなく、適する乾燥温度が限定される。また、ベーキングパウダーはアルカリ性であるため、アルカリ性で赤褐色を呈するポリフェノールを多く含む牛蒡や蓮根では仕上がりの色調が悪くなり、食感以外の外観などの要素も含めて総合的に品質を判断すると、適する野菜の種類が限定される。また、特許文献6および7に記載の方法では、油脂の素材内部への導入を目的としておらず、乾燥時における素材内部に含まれる油脂の果たす役割についてはまったく記載されていない。
非特許文献1では、ビタミンAなど脂溶性成分の付加技術と成り得ることを示唆しているが、乾燥食品のテクスチャー改変については全く記載されていない。
したがって、本発明の課題は、素材本来の形状を保持したまま乾燥させた食品素材であって、食品素材内部に多くの細かい多孔質構造を有した、脆く、噛み易い、新しいテクスチャーの乾燥食品素材を提供することにある。さらに、このような乾燥食品素材を、従来の昇華を利用した凍結乾燥法(FD)ではなく、安価な蒸発乾燥法を用いて製造する方法を提供することにある。なお、本発明において、蒸発乾燥法とは、食品素材の水分を、液体から気体への相転移である蒸発により乾燥する方法である。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、凍結後解凍させた食品素材の内部に、少なくとも油脂を含有させた後、食品素材を乾燥することで、上記課題を解決できることを知見した。より詳細には、食品素材を凍結後解凍することで組織の剛性を緩和し、かつ柔軟性を付与させた後、乾燥時の収縮抑制作用を担う油脂を食品素材の内部に導入することで、上記課題を解決できることを知見した。さらに、食品素材の骨格構造を形成している成分を脆弱化させる分解酵素や塩基性塩類を、食品素材の内部に導入することで、本発明の効果をより向上できることを知見した。かかる知見に基づき、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の一態様によれば、以下の1〜19の発明が提供される。
1. 凍結後解凍させた食品素材の内部に、少なくとも油脂を含有させた後、蒸発乾燥させた食品素材であって、前記食品素材が、本来の形状を保持したまま多孔質構造を有するものであることを特徴とする、乾燥食品素材。
2. 前記油脂が、乳化油脂及び/又は食品用乳化剤を含む、1に記載の乾燥食品素材。
3. 前記凍結後解凍させた食品素材の内部に、分解酵素及び/又は塩基性塩類をさらに含有させる、1または2に記載の乾燥食品素材。
4. 前記乾燥食品素材の空隙率が、25%〜80%である、1〜3のいずれかに記載の乾燥食品素材。
5. 前記乾燥食品素材の最大荷重が、50N以下である、1〜4のいずれかに記載の乾燥食品素材。
6. 前記乾燥食品素材の破断数が、5個/mm以上である、1〜5のいずれかに記載の乾燥食品素材。
7. 1〜6のいずれかに記載の乾燥食品素材を用いて得られた、乾燥食品。
8. 凍結後解凍させた食品素材の内部に、少なくとも油脂を導入する工程と、
前記食品素材を蒸発乾燥させて、本来の形状を保持したまま多孔質構造を有する食品素材を得る工程と、
を含んでなる、乾燥食品素材の製造方法。
9. 前記油脂が、乳化油脂及び/又は食品用乳化剤を含む、8に記載の乾燥食品素材の製造方法。
10. 前記凍結後解凍させた食品素材の内部に、分解酵素及び/又は塩基性塩類をさらに導入する、8または9に記載の乾燥食品素材の製造方法。
11. 前記乾燥食品素材の空隙率が、25%〜80%である、8〜10のいずれかに記載の乾燥食品素材の製造方法。
12. 前記油脂が乳化油脂を含み、前記乳化油脂が水中油滴型乳化油脂であり、前記水中油滴型乳化油脂中の油滴の平均粒子径が、1μm〜30μmである、8〜11のいずれかに記載の乾燥食品素材の製造方法。
13. 前記油脂が乳化油脂を含み、前記乳化油脂の20℃における粘度が、1mPa・s〜100mPa・sである、8〜12のいずれかに記載の乾燥食品素材の製造方法。
14. 前記食品素材への前記油脂の導入量が、前記食品素材100gに対して0.5g〜15gである、8〜13のいずれかに記載の乾燥食品素材の製造方法。
15. 前記乾燥食品素材の最大荷重が、50N以下である、8〜14のいずれかに記載の乾燥食品素材の製造方法。
16. 前記乾燥食品素材の破断数が、5個/mm以上である、8〜15のいずれかに記載の乾燥食品素材の製造方法。
17. 前記食品素材が、イモ類、根菜類、緑黄色野菜、肉類、および魚介類からなる群から選択される少なくとも1種である、8〜16のいずれかに記載の乾燥食品素材の製造方法。
18. 前記乾燥が、熱風乾燥、低温乾燥、真空乾燥、マイクロ波乾燥、過熱水蒸気乾燥、フライ乾燥、減圧フライ乾燥、ドラム乾燥、および天日乾燥からなる群から選択される少なくとも1種により行われる、8〜17のいずれかに記載の乾燥食品素材の製造方法。
19. 8〜18のいずれかに記載の製造方法により得られた乾燥食品素材を用いる、乾燥食品の製造方法。
本発明によって、蒸発乾燥法により食品素材内部の水分を除去しても、多孔質構造が従来よりも飛躍的に多く保持される乾燥食品を製造することができる。その結果、これまで蒸発乾燥法では製造できなかった大型食品素材(例えば、1辺5mm以上の立方体形状の素材や1辺10mm以上の葉菜類)でも、噛みやすい食感の乾燥食品を製造することができる。本発明によって、従来は凍結乾燥法(FD)でしか得ることのできなった即席麺や乾燥スープなどの具材についても、安価に製造することができる。また、従来、蒸発乾燥法では高品質なものが製造できなかった食品素材にまで利用範囲を拡大することができる。例えば、畜肉や魚介類は、凍結乾燥法(FD)以外で乾燥させると特に硬くなる。そのため、歯や咀嚼力に問題を抱える者にとって食することが困難であった。本発明は、これを容易に噛むことを可能とし、タンパク質やカルシウムの補給源として利用することを可能にする。さらに、素材の多孔質構造が確保されることにより、素材の収縮と扁平が飛躍的に緩和された乾燥畜肉、乾燥魚介類を製造することができる。そのため、ノンフライでありながら油脂の旨味とサクサクした食感を有する低油脂スナック菓子、食べ応えのあるふりかけ素材、サラミなど乾燥畜肉、乾燥魚介類のおつまみなど、既存にはない優れた外観を有し、美味しい食感と呈味性を付与した乾燥食品を製造することができる。
本発明における乾燥前の食品素材への処理工程は、素材からの水分蒸発速度を向上させる役割も担っており、乾燥時間を短縮させることで製造コストを低減することができる。本発明は、蒸発乾燥法の利用を可能にすることや、乾燥工程における多孔質構造の保持のみならず、乾燥コストそのものを下げる役割も果たすことができる。
本発明では、食品素材の乾燥工程として、素材の気液界面への水分移動に伴う素材組織構造の収縮が起こる蒸発による乾燥、具体的には、熱風乾燥、低温乾燥、真空乾燥、マイクロ波乾燥、過熱水蒸気乾燥、フライ乾燥、減圧フライ乾燥、ドラム乾燥など、熱や対流を食品素材に付与し、調湿下で行う乾燥方法においても、多孔質構造を多数有する乾燥食品の製造方法を提供することができる。
乾燥ジャガイモの空隙率の算出方法を示す図である。 荷重/歪曲線を示す図である。 乾燥前および復水後の食品素材の物性測定方法を示す図である。 乾燥ジャガイモのX線CT画像を示す図(写真)である。 湯戻しにより復水させたジャガイモの物性を示す図である。 凍結・解凍処理の乾燥ジャガイモの品質に及ぼす影響を示す図である。 凍結・解凍処理のジャガイモの物質導入効率に及ぼす影響を示す図である。 乾燥直前の湿熱加熱による酵素失活処理の乾燥ジャガイモの品質に及ぼす影響を示す図である。 10mm厚の輪切り乾燥ジャガイモを示す図(写真)である。 乾燥牛蒡の湯戻しによる復水を示す図(写真)である。 凍結・解凍処理の有無による乾燥蓮根の収縮性の違いを示す図(写真)である。 乾燥蓮根のX線CT画像を示す図である。 凍結・解凍処理の蓮根の物質導入効率に及ぼす影響を示す図である。 乾燥蓮根を示す図(写真)である。 乾燥薩摩芋を示す図(写真)である。 乾燥南瓜を示す図(写真)である。 1分間湯に浸漬後の広島菜の組織を示す図(顕微鏡写真)である。 乾燥エビのX線CT画像を示す図である。 乾燥エビを示す図(写真)である。 エビの乾燥特性曲線を示す図である。 乾燥鱈を示す図(写真)である。 乾燥タコを示す図(写真)である。
<乾燥食品素材>
本発明による乾燥食品素材は、凍結後解凍させた食品素材の内部に少なくとも分解酵素と油脂とを含有させた後、乾燥させたものであり、食品素材本来の形状を保持したまま多孔質構造を有するものである。食品素材を凍結後解凍することで、食品素材組織の剛性を緩和し、柔軟性を付与させることができる。その後、食材の骨格構造を形成している成分を脆弱化させる分解酵素及び/又は塩基性塩類と、乾燥時の収縮抑制作用を担う油脂とを食品素材の内部に含有させることで、安価な蒸発乾燥法での素材内部での水分移動に伴う組織構造の圧縮を抑制することができる。その結果、乾燥食品素材は、多くの細かい多孔質構造を有するため、噛みやすいテクスチャーを有するものとなる。
<定義>
本発明による乾燥食品素材は、特定の物性値、具体的には空隙率、最大荷重、破断数が特定の数値となる組織構造を有するものが好ましい。本発明における物性値の定義は以下の通りである。
(空隙率)
空隙率は、以下の方法で算出した。
空隙率(%)={1−(ρap(見かけ密度)/ρs(真密度))}×100
見かけ密度は、液体置換法により、30℃の蒸留水中でのサンプル質量(mwater)から算出した。
見かけ密度:ρap = mair/(mair - mwater) ×ρ(水の密度)
air:常気圧中でのサンプル質量
真密度は、トルエン置換法により、粉末にしたサンプルを30℃のトルエンと伴にピクノメーターに入れて質量を測定し、算出した。
真密度:ρs= ρ/{ρw+[Mwdw)]}
乾物密度:ρd={msample/((mtolen+msample)-mtotal)}*ρtoluen
w:乾燥素材の湿量基準含水率
なお、開気孔の大きい乾燥素材は、液体置換法による見かけの密度を算出するのが困難な場合がある。その場合は、破壊することなく内部構造が観察できるX線CT検査装置(MMT−225:株式会社島津製作所製)を用いて、X線CT画像を取得し,画像解析ソフト(Image Factory:IMソフト製)を用いて,中心部1.0〜1.5mm厚のCT画像を解析して空隙率を測定する。空隙率の計算には、二値化した画像を用いて、以下の方法で算出した。
空隙率(%)=空隙面積/断面積×100
この方法により、乾燥ジャガイモの空隙率を算出した一例を図1に示す。図1の矢印aが示す乾燥ジャガイモの断面の内部の黒い空隙部分を空隙面積とし、図1の矢印bが示す乾燥ジャガイモの塗りつぶした白い部分を断面積として、空隙率を算出した。
(最大荷重)
最大荷重は、クリープメーター(RE−33005B:株式会社山電製)を用いて、直径3mmの円筒型冶具により、圧縮速度1mm/秒、歪率80%の条件で、20℃±2℃に温度調整したサンプルを圧縮したときのもっとも大きい荷重値を最大荷重値とした。
(破断数)
破断数は、最大荷重と同じ条件で、クリープメーター(RE−33005B:株式会社山電製)により測定し、荷重/歪曲線の中で、荷重が増加または略平行から減少に転じる頂点において、その直後の最少荷重値との差が0.1N以上である頂点を破断点とし、サンプルの厚さ1mmあたりの破断点の数を破断数とした。参考までに、荷重/歪曲線の中で破断点(矢印)の一例を図2に示す。
本発明による乾燥食品素材の空隙率は、好ましくは25〜80%であり、より好ましくは30〜75%であり、さらに好ましくは35〜70%である。乾燥食品素材の空隙率を上記数値範囲内に調節することで、乾燥食品素材のテクスチャーを改変することができる。
本発明による乾燥食品素材の最大荷重は、好ましくは50N以下であり、より好ましくは5〜50Nであり、さらに好ましくは10〜45Nである。乾燥食品素材の最大荷重を上記数値範囲内に調節することで、乾燥食品素材のテクスチャーを改変することができる。
本発明による乾燥食品素材の破断数は、好ましくは5個/mm以上であり、より好ましくは7〜18個/mmであり、さらに好ましくは8〜15個/mmである。乾燥食品素材の破断数を上記数値範囲内に調節することで、乾燥食品素材のテクスチャーを改変することができる。
本発明に用いる食品素材としては、植物性、動物性のいずれのものであってもよい。具体的には、植物性の素材としては、根菜類、イモ類、緑黄色野菜が適している。例えば、大根、人参、牛蒡、筍、蓮根等の根菜類、ジャガイモ、薩摩芋、里芋、南瓜等のイモ類、ブロッコリー、キャベツ、白菜、広島菜、アスパラガス、ホウレン草、小松菜、青梗菜、トマト等の緑黄色野菜などが挙げられる。また、動物性の素材としては、牛肉、豚肉、鳥肉、羊肉、馬肉、鹿肉、猪肉、山羊肉、兎肉、鯨肉、それらの内臓などの肉類や、鯵、鮎、鰯、鰹、鮭、鯖、鯛、鱈、鮪、鮑、牡蠣、帆立、蛤、エビ、カニ、イカ、タコ、ナマコなどの魚介類を例示することができる。また、蒲鉾、竹輪などの魚肉練製品や、ハム、ソーセージなどの畜肉加工製品、麺類、漬物などの加工食品であってもよい。
これらの食品素材は、原材料として生の状態でも、煮る、焼く、蒸す、揚げるなどの加熱・調理をして用いてもよい。電子レンジ加熱や過熱水蒸気処理でも良い。加熱する場合の温度は特に問わないが、内在タンパク質を変性させる目的で、60℃以上、好ましくは65℃以上が望ましい。焼くなどの高温処理では、加熱による色や香りなどの品質変化を考慮して、加熱温度と加熱時間を決定する必要がある。また、食品素材を食塩、クエン酸などの有機酸およびその塩を溶解した水溶液で茹でるなどの処理を行なって用いても良い。
原材料となる食品素材の形状は、塊でも一口サイズでもいずれの形状であってもよいが、素材の大きさは適宜選択することができる。元の食品素材が外観で認識できる大きさが好ましく、摂食者の食欲をそそるものでなければならない。本発明の対象となる食品素材は、厚さ5mm以上で体積125mm以上の塊が好ましいが、緑色野菜や豆類などはその限りでない。
原材料となる食品素材は、乾燥に適する物性に改変させるための物質を導入する前に、凍結後解凍したものを用いる。凍結速度は、急速、緩慢いずれでもよいが、好ましくは初期冷却速度が5℃/分以下であることが望ましい。また、植物性素材の場合、冷凍前にブランチング処理を行い、内在酵素を失活させてもよい。
本発明において、食品素材の内部には、少なくとも油脂を導入する。導入する物質は、食品素材に応じて、分解酵素及び/又は塩基性塩類も併せて導入することができる。
動物性素材の場合、予めタンブリングや針による穴空けを行なうことでより導入効果を高めることができる。
植物性素材の場合、上記素材への物質導入処理後の工程として、乾燥前に植物組織分解酵素の失活または殺菌を目的とした加湿加熱処理を行わなくてもよい。動物性素材の場合、加熱処理の有無を問わない。
食品素材に導入する油脂は、脂肪酸エステルを含むものであれば良く、米油、大豆油、パーム油、なたね油、およびラード等の食用油脂や、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、およびレシチン等の食品用乳化剤が好ましい。
本発明においては、食品素材の内部への導入効果を高めるために、食品用油脂を乳化した乳化油脂を用いることが好ましく、水中油滴型(o/w型)乳化油脂がより好ましい。水中油滴型乳化油脂中の油滴の平均粒子径は、好ましくは1μm〜30μmであり、より好ましくは1μm〜25μmであり、さらに好ましくは1μm〜20μmである。水中油滴型乳化油脂中の油滴の平均粒子径が上記範囲内であれば、食品素材の内部への乳化油脂の導入効果を高めることができる。なお、平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置SALD2200(島津製作所製)により測定した値である。
また、乳化油脂の20℃における粘度は、好ましくは1mPa・s〜100mPa・sであり、より好ましくは3mPa・s〜70mPa・sであり、さらに好ましくは5mPa・s〜50mPa・sである。乳化油脂の20℃における粘度が上記範囲内であれば、食品素材の内部への乳化油脂の導入効果を高めることができる。なお、乳化油脂の20℃における粘度とは、10rpmの測定条件でE型粘度計を用いて測定したとき、測定開始から2分後の粘度の値である。
食品素材に導入する分解酵素は、主に、ペクチナーゼ、プロテアーゼ、グルカナーゼまたはセルラーゼのいずれかの酵素活性を含む酵素が使用される。具体的には、プロテアーゼ、ペプチダーゼなどタンパク質を低分子化、ペプタイドあるいはアミノ酸に分解する酵素、グルカナーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、ペクチンエステラーゼ、ヘミセルラーゼ、β−グルコシダーゼ、マンナーゼ、キシラナーゼ、アルギン酸リアーゼ、キトサナーゼ、イヌリナーゼ、キチナーゼなどデンプン、ペクチン、セルロース、イヌリン、グルコマンナン、キシラン、アルギン酸、フコイダンなどの多糖類を低分子化、オリゴ糖あるいは単糖に分解する酵素を挙げることができる。これらの酵素は、1種又は相互に阻害しない範囲内で2種以上を組み合わせて使用することもできる。特に、動物性素材の場合、乾燥工程に影響のない範囲で、プロテアーゼとペプチターゼを併用して作用させることで、多くのペプタイドやアミノ酸を生成させ、呈味性を向上させることができる。分解酵素の形態としては、粉末、液体、あるいは分散液に含有されたものを使用しても良い。
食品素材に導入する塩基性塩類は、クエン酸、リンゴ酸、重曹などのナトリウム塩が好ましい。乳酸などのカルシウム塩でもよい。
本発明で用いる導入物質は、液体である場合は、そのまま、もしくは希釈して利用でき、粉末である場合は、水親和性の高い溶質に溶解若しくは分散させた状態で用いることができる。液状の導入物質は、pH3〜pH10の範囲で利用でき、pH4〜pH8であることがより好ましい。pHの調整には、有機酸とその塩類、調味液などを使うこともできる。酵素を用いる場合、酵素活性が高まる至適pHに調整する、あるいは食品素材と同じpHに調整して使用することもできる。
物質の導入量は、食品素材により適宜選択することができる。具体的には、油脂の場合、食品素材100gに対して、0.5〜15.0gの範囲であることが好ましく、1〜10gの範囲であることがより好ましい。分解酵素の場合、食品素材100gに対して、0.0001〜1.0gの範囲であることが好ましく、0.001〜0.5gの範囲であることがより好ましい。
本発明において、食品素材の内部への分解酵素や油脂の導入手段は、特に限定されない。例えば、導入手段として、圧力操作や浸漬、噴霧や塗す等を挙げることができる。
本発明においては、食品素材の内部への分解酵素や油脂の導入工程後、乾燥工程前に、食品素材を、再度、冷凍後解凍してもよい。
食品素材の乾燥には、素材の気液界面からの水分蒸発による蒸発乾燥法、例えば、熱風乾燥、低温乾燥、真空乾燥、マイクロ波乾燥、過熱水蒸気乾燥、フライ乾燥、減圧フライ乾燥、ドラム乾燥、天日乾燥を行うことができ、これらの蒸発乾燥法を相互に組み合わせて行うこともできる。さらに、途中で乾燥を適宜中断して、素材表面からの水分の蒸発を抑え、内部の水分が表面に拡散するあんじょう工程を入れても良い。
乾燥前処理工程、乾燥工程の途中または乾燥後に、食品素材に調味料を添加できる。具体的には、食塩、糖類、有機酸およびその塩、増粘多糖類などの増粘剤、ビタミン、ミネラルなど栄養価を高める物質を利用することができる。
<乾燥食品>
本発明による乾燥食品は、上記の乾燥食品素材を用いて製造することができる。乾燥食品としては、ふりかけ具材、即席茶漬け、即席麺や即席スープなどの具材、スナックなどの菓子類、ノンフライ食品、低油脂食品、畜肉や魚介類などの珍味やおつまみ等を挙げることができる。
本発明について実施例により詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
<1.乾燥食品素材の物性測定方法>
乾燥食品素材の物性は、直径3mmの円筒型冶具を用いて、圧縮速度1mm/秒、歪率80%の一軸圧縮試験により値を得た。最大荷重値は、データ取得時に得られた荷重値の中で最も大きい値とした。破断点は、荷重/歪曲線の中で、荷重が増加または略平行から減少に転じる頂点において、その直後の最少荷重値との差が0.1N以上である頂点を破断点とし、サンプルの厚さ1mmあたりの破断点の数をその個体の破断数とした。
<2.乾燥前および復水後の食品素材の物性測定方法>
乾燥前および復水後の食品素材の物性は、直径3mmの円筒型冶具を用いて、圧縮速度10mm/秒、歪率95%で2回圧縮するテクスチャー解析試験により値を得た。1回目の圧縮で要する仕事量を硬さ(A1)、圧縮後に素材からプランジャーを引き抜くために要する仕事量を付着性(A3)、2回目の圧縮に要する仕事量をA2としたときのA2/A1を凝集性として、3つの物性値(A1〜A3)を得た(図3参照)。
下記の実施例および比較例で用いた乳化油脂の詳細は、以下の通りである。
・油脂:キャノーラ油
・乳化剤:ポエムJ0021(理研ビタミン株式会社製)
・乳化条件:ホモジナイザーHF93(SMT製)を用いて100rpmで5分間撹拌
・平均粒子径:12〜15μm
・粘度:3〜40mPa・s
なお、平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置SALD2200(島津製作所製)を用いて測定した値である。粘度は、10rpmの測定条件でE型粘度計(東機産業製)を用いて測定したとき、測定開始から2分後の粘度の値である。
[実施例1]
直径28mmで厚さ10mmにカットしたジャガイモを、75℃で30分ブランチング処理し、−20℃で24時間冷凍し解凍後、乳化剤であるポエムJ0021(理研ビタミン株式会社製)で調整した10%質量の乳化油脂を含む0.5%質量のペクチナーゼ(オリエンチームHP、株式会社HBI製)水溶液に浸漬し、真空チャンバーに入れて10kPaの減圧状態で5分間維持した。大気圧に戻してからジャガイモを網に並べて10℃で16時間静置後、75℃で6時間熱風乾燥(PV−210、タバイエスペック株式会社製)を行った。
[実施例2]
直径28mmで厚さ10mmにカットしたジャガイモを、90℃で15分ブランチング処理し、−20℃で24時間冷凍し解凍後、乳化剤であるポエムJ0021(理研ビタミン株式会社製)で調整した10%質量の乳化油脂水溶液に浸漬し、真空チャンバーに入れて10kPaの減圧状態で5分間維持した。大気圧に戻してからジャガイモを網に並べて10℃で16時間静置後、75℃で6時間熱風乾燥(PV−210、タバイエスペック株式会社製)を行った。
[比較例1]
直径28mmで厚さ10mmにカットしたジャガイモを、75℃で30分ブランチング処理し、−20℃で24時間冷凍し解凍後、網に並べて10℃で16時間静置後、75℃で6時間熱風乾燥(PV−210、タバイエスペック株式会社製)を行った。
実施例1および2ならびに比較例1の乾燥ジャガイモの最大荷重値を表1に示す。実施例1の方法で得られた乾燥ジャガイモは17N、実施例2の方法では34N、比較例1の方法では86Nであり、酵素や油脂を導入した実施例1および実施例2の方が、凍結・解凍処理のみの比較例1に比べて噛み易い食感であった。
実施例1および2ならびに比較例1の乾燥ジャガイモについて、多孔質構造の質を示す物性パラメータとなる厚さ1mmあたりの破断数の結果を表1に示す。実施例1および2の乾燥ジャガイモは、いずれも噛み易かった。実施例1の破断数11.3個/mmのジャガイモは、実施例2の8.3個/mmのジャガイモより、さらにサクサク感の増した軽い食感であった。比較例1のジャガイモは、3.0個/mmであり、空隙が少なく、噛むために相当の咀嚼力を要した。
実施例1および2ならびに比較例1の乾燥ジャガイモの空隙率を表1に示す。空隙率は、実施例1では57%であり、実施例2では54%であり、比較例1では29%であり、比較例1は実施例1および2の約半分の値であった。
実施例1および2ならびに比較例1の乾燥ジャガイモについて、X線CT検査装置(MMT−225、株式会社島津製作所製)を用いて、0.078mm毎のCT画像を取得した。X線CT画像のうち中心部の断層を図4に示す。実施例1および2の乾燥ジャガイモは、比較例1のものに比べて空隙量が多く、隔壁が細かく、より緻密な多孔質構造であることが観察できた。空隙の細かさを見るための外周長比は、外周長比=空隙の外周長/断面の外周長(−)(mm/mm)により算出した。ジャガイモの外周長比は、実施例1が13であり、実施例2が7であり、比較例1が7であった。外周長比の結果からも、実施例1の乾燥ジャガイモは、より細かい隔壁を有する多孔質構造をしていることが数値的にも示された。
実施例1および2ならびに比較例1の乾燥ジャガイモの形状の特性値(直径、扁平率)を表1に示す。円形素材の長径と短径の平均をその個体の直径とし、(1−短径/長径)の値をその個体の扁平率として算出した。乾燥ジャガイモの直径は、比較例1の19mmに対して、実施例1および2はいずれも23mmといずれも大きく、その外観は良好であった。油脂を導入した実施例1および2の乾燥ジャガイモは、比較例1に比べて扁平率が小さく、導入された油脂が乾燥時の扁平抑制に寄与した。
実施例1および2の乾燥ジャガイモを95℃の湯の中に3分間浸漬させ、復水性を評価した結果を図5に示す。乾燥前および復水後のジャガイモの物性は、クリープメーター(RE−33005B:株式会社山電製)により、直径3mmの円筒型冶具を用いて、圧縮速度10mm/秒、歪率95%で2回圧縮するテクスチャー解析試験により値を得た。1回目の圧縮で要する仕事量を硬さ(A1)、圧縮後に素材からプランジャーを引き抜くために要する仕事量を付着性(A3)、2回目の圧縮に要する仕事量をA2としたときのA2/A1を凝集性として、3つの物性値を得た。なお比較例1は、中心部に水が浸透せず、硬いままであり復元できなかった。復元可能であった実施例1および2のジャガイモについて、乾燥前の硬さ(A1)、付着性(A3)、凝集性(A2/A1)の3つの物性値を比較すると、いずれのジャガイモにおいても3つの物性値に有意差が認められず、復元が良好であった。特に、実施例1は復元性が高く、油脂と酵素の併用導入によって乾燥ジャガイモの復元性がより高まる効果が認められた。
[比較例2]
直径28mmで厚さ10mmにカットしたジャガイモを、75℃で30分ブランチング処理し、冷却後、凍結せずに乳化剤であるポエムJ0021(理研ビタミン株式会社製)で調整した10%質量の乳化油脂を含む0.5%質量のペクチナーゼ(オリエンチームHP、株式会社HBI製)水溶液に浸漬し、真空チャンバーに入れて10kPaの減圧状態で5分間維持した。大気圧に戻してからジャガイモを網に並べて10℃で16時間静置後、75℃で6時間熱風乾燥(風速3.0m/秒)行った。
[比較例3]
直径28mmで厚さ10mmにカットしたジャガイモを、90℃で30分ブランチング処理し、冷却後、凍結せずに乳化剤であるポエムJ0021(理研ビタミン株式会社製)で調整した10%質量の乳化油脂を含む0.5%質量のペクチナーゼ(オリエンチームHP、株式会社HBI製)水溶液に浸漬し、真空チャンバーに入れて10kPaの減圧状態で5分間維持した。大気圧に戻してからジャガイモを網に並べて10℃で16時間静置後、75℃で6時間熱風乾燥(風速3.0m/秒)行った。
事前に凍結処理を行わない比較例2および3の乾燥ジャガイモは、圧縮、扁平が激しく、多孔質構造を有しなかった(図6)。表1に示すように、これらの最大荷重は、比較例2では70Nであり、比較例3では55Nであり、事前に凍結処理を行った実施例1の乾燥ジャガイモの17Nと比較して、3〜4倍の値となった。破断数は、比較例2では3.7個/mm、比較例3では6.9個/mmであり、実施例1の11.3個/mmに比べると1/3から2/3であり、表1に示すように乾燥食品として好ましい食感となるには内部の空隙量が不足していた。
実施例1および比較例3で作製した乾燥ジャガイモの乾燥前の硬さは、クリープメーター(RE−33005B:株式会社山電製)により、直径3mmの円筒型冶具を用いて、圧縮速度10mm/秒、歪率95%で2回圧縮するテクスチャー解析試験により、1回目の圧縮で要する仕事量(A1)をその値として得た。実施例1の物質導入直後のジャガイモの硬さ(A1)は、比較例3の3倍の値であったが、導入された酵素の作用によって乾燥直前には比較例3と同等の硬さになった(図7)。図7に物質導入直後のテクスチャー解析試験の波形を示す。圧縮開始から破断するまでの荷重と歪が直線的な関係性を持つ範囲において、その傾き(弾性率)の値を比較したところ、事前に凍結・解凍処理を行う実施例1は、その処理を行わない比較例3の1/10の弾性率となり、素材組織がより柔軟となったことに起因して、油脂および酵素の導入量が多くなったことを証明した。
実施例1および比較例3の乾燥直前のジャガイモについて、ジエチルエーテルを用いてソックスレー法で16時間脂質抽出を行い、導入された油脂量を測定した。実施例1は、素材100gに対して油脂が1.92g導入されており、比較例3の素材100gに対して0.47gの油脂導入量に比べて4倍多かった。実施例1は、弾性率が低く柔軟性が高いことから、物質導入時に目的とする物質が染み込み易くなり、乾燥素材の物性改善に必要な酵素量が導入されて組織の脆弱化が進行し、加えて乾燥時の収縮抑制に必要な油脂量が素材内部に確保されて、乾燥時の内在水分の移動に伴う組織構造の収縮が軽減され、目標とするサクサクとした噛み易い軽い食感が実現した。
同じブランチング条件である実施例1および比較例2の乾燥直前のジャガイモについて、内部水分を抽出した。内部水分の抽出には、テンシプレッサー(TTP−50BX:有限会社タケトモ電機製)を用いて50kgのロードセルにより素材を圧縮した。抽出した内部水分は、自動接触角計(OCA15Pro:データフィジックス社製)で表面張力を測定した。実施例1のジャガイモから抽出した内部水分の表面張力は63mN/mだったのに対して、比較例2のジャガイモから抽出した内部水分の表面張力は71mN/mであった。同条件で測定した水の表面張力は73mN/mであった。実施例1の方法で内部に乳化油脂を導入されたジャガイモは、導入された乳化剤によって、ジャガイモの気液界面の表面張力が10mN/m低下し、このことによって、蒸発乾燥による内在水分の移動に伴う組織構造に加わる圧力が軽減されたことを示した。
[比較例4]
直径28mmで厚さ10mmにカットしたジャガイモを、75℃で30分ブランチング処理し、−20℃で24時間冷凍し解凍後、0.5%質量のペクチナーゼ(オリエンチームHP、株式会社HBI製)水溶液に浸漬し、真空チャンバーに入れて10kPaの減圧状態で5分間維持した。大気圧に戻してから90℃で10分スチーム加熱処理して素材に含まれる酵素を失活させた後、ジャガイモを網に並べて10℃で16時間静置後、75℃で6時間熱風乾燥(PV−210、タバイエスペック株式会社製)を行った。得られたジャガイモの最大荷重は57Nであり、[実施例1]の17Nと比較すると約3倍の値となった。乾燥直前の酵素失活処理により糊化デンプンによって表面が覆われ、表面からの水分蒸発が不十分になり、乾燥速度が低下し、空隙が潰れて硬くなった(図8)。すなわち、乾燥直前の加熱処理は、素材内部の空隙を塞ぎ、乾燥食材の物性を硬くする方向に変化させることから、乾燥直前の加熱処理は、ポーラス構造を有する噛み易いテクスチャーの乾燥素材を得るために逆の効果となることが明確になった。
[実施例3]
厚さ10mmの輪切りにカットしたジャガイモを、90℃で10分ブランチング処理し、−20℃で24時間冷凍し解凍後、乳化剤であるポエムJ0021(理研ビタミン株式会社製)で調整した15%質量の乳化油脂を含む0.5%質量のペクチナーゼ(オリエンチームHP、株式会社HBI製)水溶液に浸漬し、真空チャンバーに入れて10kPaの減圧状態で5分間維持した。大気圧に戻してからジャガイモを網に並べて10℃で16時間静置後、80℃で10時間真空乾燥(DP43、ヤマト科学株式会社製)行った。得られた乾燥ジャガイモは、収縮が少なく、サクサクして軽い食感であり、適度に油脂が含有されているため旨味が増し、口腔内でまとまり易かった(図9)。乾燥ジャガイモを95℃の湯の中に浸漬させると、3分後には完全に復元した。復元後のジャガイモは、煮込んだような滑らかな食感であった。
食品素材としてジャガイモを用いた実施例および比較例の結果の一覧を表1に示す。
[実施例4]
厚さ5mmの輪切りにカットした牛蒡を、沸騰水中で10分ブランチング処理し、乳化剤であるポエムJ0021(理研ビタミン株式会社製)で調整した5%質量の乳化油脂を含む0.1%質量のセルラーゼ(ヘミセルラーゼ「アマノ」90、天野エンザイム株式会社製)水溶液に4℃で5時間浸漬後、−20℃で24時間冷凍した。解凍後、網に並べて10℃で16時間静置後、100Wで30秒を3回繰り返すマイクロ波乾燥(NE−SV30HA、パナソニック電工株式会社製)を行った。
[実施例5]
厚さ5mmの輪切りにカットした牛蒡を、沸騰水中で10分ブランチング処理し、乳化剤であるポエムJ0021(理研ビタミン株式会社製)で調整した5%質量の乳化油脂水溶液に4℃で5時間浸漬後、−20℃で24時間冷凍した。解凍後、網に並べて10℃で16時間静置後、100Wで30秒を3回繰り返すマイクロ波乾燥(NE−SV30HA、パナソニック電工株式会社製)を行った。
[比較例5]
厚さ5mmの輪切りにカットした牛蒡を、沸騰水中で10分ブランチング処理後、−20℃で24時間冷凍した。解凍後、網に並べて10℃で16時間静置後、100Wで30秒を3回繰り返すマイクロ波乾燥(NE−SV30HA、パナソニック電工株式会社製)を行った。
実施例4の乾燥牛蒡は、サクサクした食感であった。表2に示すように、最大荷重値は、実施例4では26Nであり、噛み易い範囲の値であるのに対し、比較例5では65Nであり、噛むために大きな咀嚼力を要した。
実施例4および比較例5の乾燥牛蒡の直径と比較した結果を表2に示す。乾燥前の直径と比較して、実施例4では81%であり、実施例5では69%であり、比較例5では64%であり、実施例4の乾燥牛蒡がもっとも収縮が少なかった。
実施例4の乾燥牛蒡を95℃の湯の中に浸漬させると、直ちに発泡しながら湯が浸透し、1分以内に完全に内部まで水が浸透した(図10)。実施例5の乾燥牛蒡も発泡しながら湯が浸透し、1分以内に完全に内部まで水が浸透したが、比較例5の乾燥牛蒡は、湯に浮いてなじみにくく、1分以内に内部にまで水が浸透しなかった。復水後の牛蒡の直径は、実施例4では乾燥時の81%から86%、実施例5では69%から74%にまで回復したが、比較例5では直径の回復が認められなかった(表2)。復水後の牛蒡の硬さは、クリープメーター(RE−33005B:株式会社山電製)により、直径3mmの円筒型冶具を用いて、圧縮速度10mm/秒、歪率95%で2回圧縮するテクスチャー解析試験により、1回目の圧縮で要する仕事量(A1)をその値として得た。表2に示すように、復水後の実施例4の牛蒡の硬さは、比較例5の復水後の牛蒡の硬さの1/3以下の値であり、容易に噛み切れて食べ易かった。
食品素材として牛蒡を用いた実施例および比較例の結果の一覧を表2に示す。
[実施例6]
厚さ10mmの半月切りにカットした水煮蓮根を、沸騰水中で20分ブランチング処理し、−20℃で24時間冷凍し解凍後、乳化剤であるポエムJ0021(理研ビタミン株式会社製)で調整した10%質量の乳化油脂と0.05%質量のセルラーゼ(ヘミセルラーゼ「アマノ」90、天野エンザイム株式会社製)水溶液に浸漬し、真空チャンバーに入れて10kPaの減圧状態で3分間維持した。大気圧に戻してから蓮根を網に並べて80℃で8時間真空乾燥(DP43、ヤマト科学株式会社製)を行った。
[比較例6]
厚さ10mmの半月切りにカットした水煮蓮根を、沸騰水中で20分ブランチング処理し、冷却後、凍結処理を行わずに乳化剤であるポエムJ0021(理研ビタミン株式会社製)で調整した10%質量の乳化油脂と0.05%質量のセルラーゼ(ヘミセルラーゼ「アマノ」90、天野エンザイム株式会社製)水溶液に浸漬し、真空チャンバーに入れて10kPaの減圧状態で3分間維持した。大気圧に戻してから蓮根を網に並べて80℃で8時間真空乾燥(DP43、ヤマト科学株式会社製)を行った。
実施例6の乾燥蓮根は、表3に示すように、最大荷重が30Nであり、破断数が10.7個/mmで噛み易い食感であったのに対し、比較例6は、最大荷重が94Nであり、破断数が3.7個/mmで硬く、噛み砕くことが困難であった。図11にそれらの外観を示す。実施例6は、ほぼ収縮が認められず、多孔質構造を有していたが、比較例6は、収縮により形状が歪んでいた。図12は、実施例6の乾燥蓮根のX線CT画像(MMT−225、株式会社島津製作所製)のうち中心部の断層写真であり、内部に多くの隔壁を有する多孔質構造であることを示している。
実施例6の乾燥蓮根の乾燥前の物性は、クリープメーター(RE−33005B:株式会社山電製)により、直径3mmの円筒型冶具を用いて、圧縮速度10mm/秒、歪率95%で2回圧縮するテクスチャー解析試験により、その値を得た。図13に示す物質導入直後のテクスチャー解析試験の波形は、事前に凍結・解凍処理を行うことで、圧縮開始から破断するまでの荷重と歪が直線的な関係性を持つ範囲において、その傾き(弾性率)の値に7倍の違いがあることを示した。実施例6の弾性率が0.3Nに対して、比較例6が2.1Nであり、実施例6は、比較例6に比べて物質導入時の素材組織の柔軟性が高かったことを示した。
実施例6および比較例6の乾燥直前の蓮根について、ジエチルエーテルを用いてソックスレー法で16時間脂質抽出を行い、導入された油脂量を測定した。実施例6の油脂導入量は1.6%質量であり、0.3%質量の比較例6に比べて、物質導入率が5倍高かった。実施例6は、乾燥素材中に多孔質構造を有するために必要な量の油脂が導入されたことによって、乾燥時の内在水分の移動に伴う構造骨格の収縮が軽減され、目標とした噛み易い食感が実現した。
[比較例7]
厚さ10mmの半月切りにカットした水煮蓮根を、沸騰水中で20分ブランチング処理し、−20℃で24時間冷凍し解凍後、0.05%質量のセルラーゼ(ヘミセルラーゼ「アマノ」90、天野エンザイム株式会社製)水溶液に浸漬し、真空チャンバーに入れて10kPaの減圧状態で3分間維持した。大気圧に戻してから90℃で10分スチーム加熱処理して素材に含まれる酵素を失活させた後、網に並べて80℃で8時間真空乾燥(DP43、ヤマト科学株式会社製)を行った。
比較例7の蓮根の最大荷重は、62Nであり、実施例6の30Nと比較すると2倍の値となった。比較例7は、図14に示すように、乾燥直前の酵素失活処理により糊化デンプンによって表面が覆われ、表面からの水分蒸発が不十分になり、内部に十分な空隙を有することができず硬くなった
食品素材として蓮根を用いた実施例および比較例の結果の一覧を表3に示す。
[実施例7]
直径28mmで厚さ10mmにカットした薩摩芋を、75℃で30分ブランチング処理し、−20℃で24時間冷凍し解凍後、乳化剤であるポエムJ0021(理研ビタミン株式会社製)で調整した15%質量の乳化油脂を含む0.1%質量のペクチナーゼ(オリエンチームHP、株式会社HBI製)水溶液に浸漬し、真空チャンバーに入れて10kPaの減圧状態で5分間維持した。大気圧に戻してから薩摩芋を網に並べて10℃で16時間静置後、80℃で3時間熱風乾燥(PV−210、タバイエスペック株式会社製)後、10℃16時間あんじょうし、さらに80℃で3時間熱風乾燥(PV−210、タバイエスペック株式会社製)を行った。
[比較例8]
直径28mmで厚さ10mmにカットした薩摩芋を、75℃で30分ブランチング処理し、−20℃で24時間冷凍し解凍後、10%質量のグルコースを含む1.0%質量の重曹水溶液に浸漬し、真空チャンバーに入れて10kPaの減圧状態で5分間維持した。大気圧に戻してから薩摩芋を網に並べて、80℃で3時間熱風乾燥(PV−210、タバイエスペック株式会社製)後、10℃16時間あんじょうし、再度80℃で3時間熱風乾燥(PV−210、タバイエスペック株式会社製)を行った。
実施例7の乾燥薩摩芋は、多孔質構造を有しており、サクっと噛み易い食感であった。比較例8は、石の様に硬く、噛み砕けなかった。図15が示すように、実施例7は、比較例8と比べて外観も良好であった。
食品素材として摩芋を用いた実施例および比較例の結果の一覧を表4に示す。
[実施例8]
10×10×厚さ40mmの四角柱型にカットした南瓜を、90℃で10分ブランチング処理し、−20℃で24時間冷凍し解凍後、乳化剤であるポエムJ0021(理研ビタミン株式会社製)で調整した10%質量の乳化油脂を含む0.1%質量のペクチナーゼ(オリエンチームHP、株式会社HBI製)水溶液に浸漬し、真空チャンバーに入れて10kPaの減圧状態で3分間維持した。大気圧に戻してから南瓜を網に並べて4℃で16時間静置後、70℃で8時間熱風乾燥(PV−210、タバイエスペック株式会社製)を行った。
[実施例9]
10×10×厚さ40mmの四角柱型にカットした南瓜を、90℃で10分ブランチング処理し、−20℃で24時間冷凍し解凍後、乳化剤であるポエムJ0021(理研ビタミン株式会社製)で調整した10%質量の乳化油脂溶液に浸漬し、真空チャンバーに入れて10kPaの減圧状態で3分間維持した。大気圧に戻してから南瓜を網に並べて4℃で16時間静置後、70℃で8時間熱風乾燥(PV−210、タバイエスペック株式会社製)を行った
[比較例9]
10×10×厚さ40mmの四角柱型にカットした南瓜を、90℃で10分ブランチング処理し、−20℃で24時間冷凍し解凍後、南瓜を網に並べて4℃で16時間静置後、70℃で8時間熱風乾燥(PV−210、タバイエスペック株式会社製)を行った。
実施例8の乾燥南瓜の最大荷重は11Nであり、破断数は11.3個/mmであり、図16に示すように収縮せず、外観はそのままに、サクサクとスナック菓子様の食感であった。実施例9の乾燥南瓜の最大荷重は32Nであり、破断数は9.9個/mmであり、実施例8とは異る噛みやすい食感を有した。比較例9の乾燥南瓜の最大荷重は162Nと大きく、破断数は4.2個/mmと少なく、噛み砕くことが困難であった。
食品素材として南瓜を用いた実施例および比較例の結果の一覧を表5に示す。
[実施例10]
一辺5〜20mmにカットした広島菜を、1.0〜5.0%質量の重曹、1.0〜5.0%の馬鈴薯デンプン、0.1〜0.5%質量のサラダ油、0.1〜0.5%質量の乳化油脂を含む、30〜40%質量のトレハロース溶液に、25℃で1〜2時間浸漬し、真空チャンバーに入れて5kPaの減圧状態で5分間維持した。大気圧に戻してから、水分70〜90%に脱水した広島菜を網に並べて、70〜90℃で平均風速0.5〜1.2m/sで1〜5時間乾燥後、25℃、湿度70%で8時間あんじょうを行った後、70〜90℃で平均風速0.5〜1.2m/sで1〜5時間乾燥を行った。
[比較例10]
一辺5〜20mmにカットした広島菜を、−25℃で凍結し,20〜25時間凍結乾燥(FDU−1100,EYELA)した。
図17に、乾燥後の広島菜を90℃の湯に3分間浸漬後、組織の状態をデジタルマイクロスコープ(VHX−1000、KEYENCE)により×300の倍率で観察した。 実施例10の広島菜は、乾燥状態で崩れない程度の硬さを有しながら、特に茎部の細胞の復水性がよく、細胞の形がよく復元していたが、比較例10の凍結乾燥した広島菜は、乾燥状態で脆くなり過ぎていたため、崩れている細胞が多く、復水後も細胞の形が崩れた状態であった。
食品素材として南瓜を用いた広島菜および比較例の結果の一覧を表6に示す。
[実施例11]
外殻を除去した無頭エビ(バナメイ)を90℃で10分加熱し、−20℃で24時間冷凍した。解凍後、乳化剤であるポエムJ0021(理研ビタミン株式会社製)で調整した10%質量の乳化油脂を含む0.05%質量のプロテアーゼ(パパインW−40、天野エンザイム会社製)水溶液に浸漬し、真空チャンバーに入れて10kPaの減圧状態で3分間維持した。大気圧に戻してから90℃で10分加熱後、エビを網に並べて、60℃で16時間熱風乾燥(PV−210、タバイエスペック株式会社製)を行った。得られた乾燥エビは、図18のX線CT画像(MMT−225、株式会社島津製作所製)が示すように、内部に大きな空隙を有しており、最大荷重20Nであり、破断数11.7個/mmでサクサクした軽い食感であった。その外観は、綺麗な橙色であった(図19)。
[実施例12]
外殻を除去した無頭エビ(バナメイ)を90℃で10分加熱し、−20℃で24時間冷凍した。解凍後、乳化剤であるポエムJ0021(理研ビタミン株式会社製)で調整した10%質量の乳化油脂溶液に浸漬し、真空チャンバーに入れて10kPaの減圧状態で3分間維持した。大気圧に戻してから90℃で10分加熱後、エビを網に並べて、60℃で16時間熱風乾燥(PV−210、タバイエスペック株式会社製)を行った。得られた乾燥エビは、最大荷重38Nであり、破断数8.7個/mmであり、実施例11より歯ごたえのある食感であり、油脂により旨味が増してスナック菓子のようであった。その外観は、綺麗な橙色であった(図19)。
[実施例13]
外殻を除去した無頭エビ(バナメイ)を90℃で10分加熱し、−20℃で24時間冷凍した。解凍後、乳化剤であるポエムJ0021(理研ビタミン株式会社製)で調整した10%質量の乳化油脂を含む1.0%質量の重曹水溶液に浸漬し、真空チャンバーに入れて10kPaの減圧状態で3分間維持した。大気圧に戻してから90℃で10分加熱後、エビを網に並べて、60℃で16時間熱風乾燥(PV−210、タバイエスペック株式会社製)を行った。得られた乾燥エビは、最大荷重32Nであり、破断数9.2個/mmであり、実施例11より歯ごたえのある食感であった。
[実施例14]
外殻を除去した無頭エビ(バナメイ)を90℃で10分加熱し、−20℃で24時間冷凍した。解凍後、乳化剤であるポエムJ0021(理研ビタミン株式会社製)で調整した10%質量の乳化油脂を含む1.0質量%のクエン酸ナトリウム水溶液に浸漬し、真空チャンバーに入れて10kPaの減圧状態で3分間維持した。大気圧に戻してから90℃で10分加熱後、エビを網に並べて、60℃で16時間熱風乾燥(PV−210、タバイエスペック株式会社製)を行った。得られた乾燥エビは、最大荷重33Nであり、破断数8.8個/mmであり、実施例11より歯ごたえのある食感であった。
[比較例11]
外殻を除去した無頭エビ(バナメイ)を90℃で10分加熱し、−20℃で24時間冷凍した。解凍後、90℃で10分加熱し、エビを網に並べて、60℃で16時間熱風乾燥(PV−210、タバイエスペック株式会社製)を行った。得られた乾燥エビは、最大荷重64Nで噛むために多大な咀嚼力を要した。
表7に、実施例11および12ならびに比較例11の乾燥エビを95℃の湯の中に3分間浸漬させたときの硬さ(A1)を示す。復水後のエビの硬さ(A1)は、クリープメーター(RE−33005B:株式会社山電製)により、直径3mmの円筒型冶具を用いて、圧縮速度10mm/秒、歪率95%で2回圧縮するテクスチャー解析試験により、1回目の圧縮で要する仕事量(A1)として値を得た。実施例11および12のエビは、軟らかい食感で食べ易かった。比較例11の乾燥エビは、中心部まで水が浸透せずゴムのように噛みにくい食感であった。
図20に実施例11および12ならびに比較例11の乾燥特性曲線を示す。実施例11の乾燥速度は、いずれの含水率においても比較例11に比べて高かった。油脂を導入処理した実施例11および12は、特に含水率が低下した乾燥後期においても乾燥速度が大きかった。比較例11は、平衡含水率に到達するまでに14時間要するのに対して、実施例11は8時間であり、6時間の乾燥時間を削減できた。実施例11の出来上がった乾燥エビの湿量基準含水率は4%前後であり、比較例11の湿量基準含水率9%に比べて低く、サクサクと噛みやすい食感となった。
食品素材としてエビを用いた実施例および比較例の結果の一覧を表7に示す。
[実施例15]
冷凍真鱈を解凍し、厚さ10mmの切り身にカットして、乳化剤であるポエムJ0021(理研ビタミン株式会社製)で調整した10%質量の乳化油脂を含む0.05%質量のプロテアーゼ(パパインW−40、天野エンザイム会社製)水溶液に浸漬後、真空チャンバーに入れて10kPaの減圧状態で3分間維持した。大気圧に戻してから90℃で10分加熱してタンパク質を変性させた後、70℃で10時間熱風乾燥(PV−210、タバイエスペック株式会社製)を行った。得られた乾燥鱈は、図21に示すように身が白くて外観が良く、多孔質構造を有しながら崩れ難く、最大荷重35Nであり、破断数8.1個/mmで噛みやすい食感であった。元の鱈自体に油脂がほとんど含まれないため、適量の油脂が導入されたことによって旨味が増し、口腔内での滑らかさが付加された。
[実施例16]
冷凍真鱈を解凍し、厚さ10mmの切り身にカットして、乳化剤であるポエムJ0021(理研ビタミン株式会社製)で調整した10%質量の乳化油脂溶液に浸漬後、真空チャンバーに入れて10kPaの減圧状態で3分間維持した。大気圧に戻してから90℃で10分加熱してタンパク質を変性させた後、70℃で10時間熱風乾燥(PV−210、タバイエスペック株式会社製)を行った。得られた乾燥鱈は、最大荷重41Nであり、破断数7.0個/mmで、実施例15よりも噛みごたえのある食感であった。
[実施例17]
冷凍真鱈を解凍し、厚さ10mmの切り身にカットして、乳化剤であるポエムJ0021(理研ビタミン株式会社製)で調整した10%質量の乳化油脂を含む0.2%質量の重曹水溶液に浸漬後、真空チャンバーに入れて10kPaの減圧状態で3分間維持した。大気圧に戻してから90℃で10分加熱してタンパク質を変性させた後、70℃で10時間熱風乾燥(PV−210、タバイエスペック株式会社製)を行った。得られた乾燥鱈は、最大荷重39Nであり、破断数7.8個/mmで、噛みやすい食感であった。
[比較例12]
冷凍真鱈を解凍し、厚さ10mmの切り身にカットして、90℃で10分加熱してタンパク質を変性させた後、70℃で10時間熱風乾燥(PV−210、タバイエスペック株式会社製)を行った。得られた乾燥真鱈は、図21が示すように油脂と酵素を併用して導入した実施例15に比べて身の色が茶褐色であり、最大荷重86Nであり、破断数5.0個/mmで噛むために多大な咀嚼力を要した。
食品素材として真鱈を用いた実施例および比較例の結果の一覧を表8に示す。
[実施例18]
真タコの触腕を20分間煮沸処理し、厚さ5mmの輪切りにカットして、−20℃で24時間冷凍し解凍後、乳化剤であるポエムJ0021(理研ビタミン株式会社製)で調整した15%質量の乳化油脂を含む0.3%質量のプロテアーゼ(パパインW−40、天野エンザイム会社製)水溶液に4℃で5時間浸漬した。浸漬液を排除後、真空チャンバーに入れて10kPaの減圧状態で3分間維持した。大気圧に戻してから10℃で16時間静置後、90℃で10分加熱してタンパク質を変性させ、70℃で8時間真空乾燥(DP43、ヤマト科学株式会社製)を行った。得られた乾燥タコは、図22に示すように外観が良く、表皮が暗赤色で筋肉部位は白く、最大荷重47Nで噛みやすい食感であった。95℃の湯の中に3分間浸漬させると、内部まで水が浸透し、容易に噛み切れる食べやすいタコとなった。
[比較例13]
真タコの触腕を20分間煮沸処理し、厚さ5mmの輪切りにカットして、−20℃で24時間冷凍し解凍後、90℃で10分加熱してタンパク質を変性させ、70℃で8時間真空乾燥(DP43、ヤマト科学株式会社製)を行った。得られた乾燥タコは、最大荷重170Nで、硬くて噛み切れず、空隙が少なくて小さく、95℃の湯の中に3分間浸漬させても内部まで水が浸透しなかった。
食品素材として真タコを用いた実施例および比較例の結果の一覧を表9に示す。
[実施例19]
豚ヒレ肉を40×30×厚さ10mmにカットし、−20℃で24時間冷凍して解凍した。乳化剤であるポエムJ0021(理研ビタミン株式会社製)で調整した20%質量の乳化油脂と0.01%質量のペプチダーゼ(ウマミザイムG、天野エンザイム会社製)を含む0.05%質量のプロテアーゼ(パパインW−40、天野エンザイム会社製)水溶液に4℃で5〜30分浸漬後、水溶液から取り出して真空チャンバーに入れて10kPaの減圧状態で3分間維持した。大気圧に戻してから90℃で10分加熱してタンパク質を変性させた後、65℃で8時間熱風乾燥(PV−210、タバイエスペック株式会社製)を行った。
[実施例20]
豚ヒレ肉を40×30×厚さ10mmにカットし、−20℃で24時間冷凍して解凍した。乳化剤であるポエムJ0021(理研ビタミン株式会社製)で調整した20%質量の乳化油脂溶液に4℃で5〜30分浸漬後、溶液から取り出して真空チャンバーに入れて10kPaの減圧状態で3分間維持した。大気圧に戻してから90℃で10分加熱してタンパク質を変性させた後、65℃で8時間熱風乾燥(PV−210、タバイエスペック株式会社製)を行った。
[実施例21]
豚ヒレ肉を40×30×厚さ10mmにカットし、−20℃で24時間冷凍して解凍した。乳化剤であるポエムJ0021(理研ビタミン株式会社製)で調整した20%質量の乳化油脂を含む0.5%質量の重曹水溶液に4℃で5〜30分浸漬後、水溶液から取り出して真空チャンバーに入れて10kPaの減圧状態で3分間維持した。大気圧に戻してから90℃で10分加熱してタンパク質を変性させた後、65℃で8時間熱風乾燥(PV−210、タバイエスペック株式会社製)を行った。
[比較例14]
豚ヒレ肉を40×30×厚さ10mmにカットし、−20℃で24時間冷凍し解凍後、90℃で10分加熱してタンパク質を変性させた後、65℃で8時間熱風乾燥(PV−210、タバイエスペック株式会社製)を行った。
実施例19は、最大荷重が15Nであり、破断数が11.4個/mmであり、豚ヒレ肉の実施例の中ではもっとも軽い食感であった。実施例20および21は、実施例19とはそれぞれ最大荷重値と破断数が異なるためにサクサク感も異なったが、いずれも噛みやすい食感であった。比較例14は、最大荷重が117Nであり、破断数が4.5個/mmであり、硬くて噛めなかった。
実施例19の乾燥豚ヒレ肉は、95℃の湯の中に3分間浸漬させると内部まで水が浸透し、復水後は箸でほぐれる軟らかさであった。
実施例19の乾燥豚ヒレ肉は、内在するペプタイドおよびアミノ酸量が増加し、官能においても呈味性の向上が評価された。
食品素材として豚ヒレ肉を用いた実施例および比較例の結果の一覧を表10に示す。
[実施例22]
鶏胸肉を20×20×厚さ3mmにカットし、−20℃で24時間冷凍して解凍した。乳化剤であるポエムJ0021(理研ビタミン株式会社製)で調整した30%質量の乳化油脂を含む0.1%質量のプロテアーゼ(パパインW−40、天野エンザイム会社製)水溶液に4℃で0.5〜1時間浸漬後、水溶液から取り出して真空チャンバーに入れて10kPaの減圧状態で3分間維持した。大気圧に戻してから180℃で30分過熱水蒸気乾燥(NF−5135CB−R(L)、直本工業株式会社製)を行った。得られた乾燥鶏胸肉は、最大荷重41Nであり、適度な油分を有する噛みやすい食感であった。
[実施例23]
鶏胸肉を20×20×厚さ3mmにカットし、−20℃で24時間冷凍して解凍した。乳化剤であるポエムJ0021(理研ビタミン株式会社製)で調整した30%質量の乳化油脂溶液に4℃で0.5〜1時間浸漬後、水溶液から取り出して真空チャンバーに入れて10kPaの減圧状態で3分間維持した。大気圧に戻してから180℃で30分過熱水蒸気乾燥(NF−5135CB−R(L)、直本工業株式会社製)を行った。得られた乾燥鶏胸肉は、適度な油分を有する噛みやすい食感であった。
[実施例24]
鶏胸肉を20×20×厚さ3mmにカットし、−20℃で24時間冷凍して解凍した。乳化剤であるポエムJ0021(理研ビタミン株式会社製)で調整した30%質量の乳化油脂を含む2.0%質量の重曹水溶液に4℃で0.5〜1時間浸漬後、水溶液から取り出して真空チャンバーに入れて10kPaの減圧状態で3分間維持した。大気圧に戻してから180℃で30分過熱水蒸気乾燥(NF−5135CB−R(L)、直本工業株式会社製)を行った。得られた乾燥鶏胸肉は、適度な油分を有する噛みやすい食感であった。
[比較例15]
鶏胸肉を20×20×厚さ3mmにカットし、−20℃で24時間冷凍し解凍した。1.0%食塩水に4℃で0.5〜1時間浸漬後、水溶液から取り出して真空チャンバーに入れて10kPaの減圧状態で3分間維持した。大気圧に戻してから後、180℃で30分過熱水蒸気乾燥(NF−5135CB−R(L)、直本工業株式会社製)を行った。得られた乾燥鶏胸肉は、最大荷重93Nで硬くて噛み切れなかった。
食品素材として鶏胸肉を用いた実施例および比較例の結果の一覧を表11に示す。

Claims (19)

  1. 凍結後解凍させた厚さ5mm以上で体積125mm 以上の大きさに切断した食品素材の内部に、食品用油脂と食品用乳化剤とから形成される少なくとも1種の乳化油脂を含有させた後、蒸発乾燥させた食品素材であって、
    乾燥食品素材が、外観で認識できる大きさと形を保持したまま多孔質構造を有するものであり、前記多孔質構造が、素材内部に導入した前記乳化油脂により収縮抑制されて得られたものであり、前記乳化油脂が素材内部に保持されており、
    前記乳化油脂が、米油、大豆油、パーム油、なたね油、及びラードからなる群から選択される少なくとも1種の食品用油脂と、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、及びレシチンからなる群から選択される少なくとも1種の食品用乳化剤とから形成される少なくとも1種であり、
    前記乾燥食品素材の空隙率が、25%〜80%である、乾燥食品素材。
  2. 前記凍結後解凍させた食品素材の内部に、分解酵素及び/又は塩基性塩類をさらに含有させる、請求項1に記載の乾燥食品素材。
  3. 前記乾燥食品素材の最大荷重が、50N以下である、請求項1又は2に記載の乾燥食品素材。
  4. 前記乾燥食品素材の破断数が、5個/mm以上である、請求項1〜のいずれか一項に記載の乾燥食品素材。
  5. 乾燥食品素材を含む乾燥食品であって、
    前記乾燥食品素材は、凍結後解凍させた厚さ5mm以上で体積125mm 以上の大きさに切断した食品素材の内部に、食品用油脂と食品用乳化剤とから形成される少なくとも1種の乳化油脂を含有させた後、蒸発乾燥させた食品素材であり、
    前記乾燥食品素材が、外観で認識できる大きさと形を保持したまま多孔質構造を有するものであり、前記多孔質構造が、素材内部に導入した前記乳化油脂により収縮抑制されて得られたものであり、前記乳化油脂が素材内部に保持されており、
    前記乳化油脂が、米油、大豆油、パーム油、なたね油、及びラードからなる群から選択される少なくとも1種の食品用油脂と、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、及びレシチンからなる群から選択される少なくとも1種の食品用乳化剤とから形成される少なくとも1種であり、
    前記乾燥食品素材の空隙率が、25%〜80%である、乾燥食品。
  6. 前記乾燥食品が、ふりかけ具材、即席茶漬け、即席麺、即席スープ及びそれらの具材、菓子類、ノンフライ食品、低油脂食品、珍味、並びにおつまみからなる群から選択される、請求項の乾燥食品。
  7. 前記乾燥食品が、即席茶漬け、即席麺、即席スープ、及びそれらの具材からなる群から選択される、請求項の乾燥食品。
  8. 凍結後解凍させた厚さ5mm以上で体積125mm 以上の大きさに切断した食品素材の内部に、食品用油脂と食品用乳化剤とから形成される少なくとも1種の乳化油脂を導入する工程と、
    前記食品素材を蒸発乾燥させて、外観で認識できる大きさと形を保持したまま前記乳化油脂により収縮抑制されて得られた多孔質構造を有し、前記乳化油脂を素材内部に保持し、かつ空隙率が25%〜80%である乾燥食品素材を得る工程と、
    を含んでなる、乾燥食品素材の製造方法であって、
    前記乳化油脂が、米油、大豆油、パーム油、なたね油、及びラードからなる群から選択される少なくとも1種の食品用油脂と、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、及びレシチンからなる群から選択される少なくとも1種の食品用乳化剤とから形成される少なくとも1種である、乾燥食品素材の製造方法
  9. 前記凍結後解凍させた食品素材の内部に、分解酵素及び/又は塩基性塩類をさらに導入する、請求項に記載の乾燥食品素材の製造方法。
  10. 前記油脂が乳化油脂を含み、前記乳化油脂が水中油滴型乳化油脂であり、前記水中油滴型乳化油脂中の油滴の平均粒子径が、1μm〜30μmである、請求項8又は9に記載の乾燥食品素材の製造方法。
  11. 前記油脂が乳化油脂を含み、前記乳化油脂の20℃における粘度が、1mPa・s〜100mPa・sである、請求項10のいずれか一項に記載の乾燥食品素材の製造方法。
  12. 前記食品素材への前記油脂の導入量が、前記食品素材100gに対して0.5g〜15gである、請求項11のいずれか一項に記載の乾燥食品素材の製造方法。
  13. 前記乾燥食品素材の最大荷重が、50N以下である、請求項12のいずれか一項に記載の乾燥食品素材の製造方法。
  14. 前記乾燥食品素材の破断数が、5個/mm以上である、請求項13のいずれか一項に記載の乾燥食品素材の製造方法。
  15. 前記食品素材が、イモ類、根菜類、緑黄色野菜、肉類、及び魚介類からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項14のいずれか一項に記載の乾燥食品素材の製造方法。
  16. 前記乾燥が、熱風乾燥、低温乾燥、真空乾燥、マイクロ波乾燥、過熱水蒸気乾燥、フライ乾燥、減圧フライ乾燥、ドラム乾燥、及び天日乾燥からなる群から選択される少なくとも1種により行われる、請求項15のいずれか一項に記載の乾燥食品素材の製造方法。
  17. 前記乾燥が、熱風乾燥で行われる、請求項16に記載の乾燥食品素材の製造方法。
  18. 前記熱風乾燥が、60〜90℃で行われる、請求項17に記載の乾燥食品素材の製造方法。
  19. 凍結後解凍させた厚さ5mm以上で体積125mm 以上の大きさに切断した食品素材の内部に、食品用油脂と食品用乳化剤とから形成される少なくとも1種の乳化油脂を導入する工程と、
    前記食品素材を蒸発乾燥させて、外観で認識できる大きさと形を保持したまま前記乳化油脂により収縮抑制されて得られた多孔質構造を有し、前記乳化油脂を素材内部に保持し、かつ空隙率が25%〜80%である乾燥食品素材を得る工程と、
    を含んでなる方法により得られた乾燥食品素材を用いる、乾燥食品の製造方法であって、
    前記乳化油脂が、米油、大豆油、パーム油、なたね油、及びラードからなる群から選択される少なくとも1種の食品用油脂と、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、及びレシチンからなる群から選択される少なくとも1種の食品用乳化剤とから形成される少なくとも1種である、乾燥食品の製造方法
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