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JP5750738B2 - 遊技機 - Google Patents

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JP5750738B2
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健一 中垣
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Description

本発明は、パチンコ機、スロットマシーン等の遊技機に関するものであり、詳しくは、遊技内容を制御するための制御装置を覆う上下カバーが、一度締め付けたら外すことができない封印ネジによって封印された遊技機に関するものである。
パチンコ機、スロットマシーン等の遊技機には、遊技内容を制御するための制御装置が設けられており、当該制御装置の内部の基板上には、ROMやCPU等の制御素子が設置されている。かかる制御素子は、パチンコ機の作動内容を制御するものであるため、パチンコ機が遊技者にとって都合良く作動するように、不正に取り替えられたり不正に改造されたりすることがある。このため、かかる不正を防止するために、従来の遊技機の制御装置の中には、複数のネジ保持部を左右両端縁に設けた上カバーと、その上カバーと合致する下カバーとによって、制御素子を設置した基板を覆うとともに、左右のネジ保持部の内の一つずつを、封印ネジ(基端部の外面に対して垂直な面と基端部の外面に対して緩やかに傾斜した面とを有するネジ突起が基端部に設けられており、締め付け方向に回すときには、当該ネジ突起がドライバーとかみ合い、緩める方向に回すときには、当該ネジ突起がドライバーとかみ合わない構造を有するもの)を用いて、ドライバ等では外れないように下カバーに螺着することにより、ネジ保持部を切断しなければ上カバーを取り外すことができないようにして、上カバーの取り外しの痕跡が残るように構成したものがある(特許文献1)。
特開平11−000444号公報
しかしながら、上記した上カバーに設けられたネジ保持部を封印ネジによって下カバーと螺着した制御装置は、ペンチ等の工具によって頭部を把持して封印ネジを緩める方向に回せば、当該封印ネジを外すことが可能となってしまうため、容易に上カバーを取り外すことができてしまう。このため、そのような制御装置を設けた遊技機においては、近年では、制御素子の不正取り替え、不正改造を効果的に防止することができなくなっていた。
本発明の目的は、上記従来の遊技機の問題点を解消し、きわめて制度の高い封印機能を発揮する封印ネジによって制御装置の上下カバーが封印されており、制御素子の不正取り替え、不正改造をきわめて効果的に防止することが可能で実用的な遊技機を提供することにある。
本発明は、遊技内容を制御するための制御装置を備えた遊技機であって、前記制御装置が、上カバー、およびその上カバーと合致する下カバーによって、制御素子を設置した基板が覆われているとともに、前記下カバーと螺合する封印ネジを保持したネジ保持部が、切断可能な取付片を介して前記上カバーの端縁に設けられており、そのネジ保持部に保持された前記封印ネジを前記下カバーと螺合することによって前記上カバーを前記下カバーに対して閉じた状態で保持するとともに、前記下カバーと螺合された前記ネジ保持部を前記上カバーから切断することによって、前記上カバーと前記下カバーとを分離するものであるとともに、前記封印ネジが、雄ネジ部にシャフトからなる回転部材を同一軸線上に設け、その回転部材の周囲に、その回転部材の外径よりもわずかに小さいコイル径を有するコイルスプリングを設け、このコイルスプリングを設けた回転部材を、袋ナット状の覆部を有する回転操作部材で覆うとともに、前記コイルスプリングの一端を前記回転操作部材の内面に止め、前記雄ネジ部を締め付ける方向に前記回転操作部材を回転させたとき前記コイルスプリングのコイル径を縮径して、前記コイルスプリングの内周を前記回転部材に圧接し、それらの前記回転部材と前記回転操作部材とを一体回転させる一方、前記回転操作部材を、前記雄ネジ部を緩める方向に回転させたとき、前記コイルスプリングの圧接力を小さくして、前記回転部材と前記回転操作部材とが相対回転するワンウェイクラッチ機構を備えており、前記雄ネジ部を締め付け対象にネジ結合させるとともに、前記回転操作部材を締め付け方向に回転させた場合に、ネジ結合の締め付け力が、予め定めた設定値に達したときに、前記回転部材と前記回転操作部材とが、前記コイルスプリングの圧接力に抗して相対回転するものであることを特徴とするものである。上記予め定めた設定値は、当該封印ネジおよび締め付け対象の破壊強度などを基準に設定される。たとえば、回転操作部材を強引に回して、ネジ部を破壊したり、あるいは締め付け対象を破壊したりすれば、封印効果がなくなってしまう。したがって、上記設定値は、ネジをしっかり締め付けた後に、ネジ部や締め付け対象を破壊しない範囲で、回転操作部材が空転できる値ということになる。また、上記コイルスプリングのコイル径は、回転部材に対する圧入代が必要になるが、それはネジを締める方向に回転操作部材を回したとき、上記圧入代分の力を介して回転操作部材と回転部材とを一体化させなければならない。この締め代分を確保するコイル径が、当該回転部材の外径よりもわずかに小さいコイル径ということである。
請求項1に記載された遊技機の制御装置に用いられる封印ネジは、回転操作部材を締める方向に回したときには、ネジ部がその締め付け方向に回って、締め付け対象を封印する。この状態からネジ部を緩める方向に回転操作部材を回すと、この回転操作部材が空回りするので、当該封印ネジを緩めることができない。しかも、上記回転操作部材に設けた覆部は、ネジ部と直結している回転部材の外周ほぼ全域を覆うので、上記回転部材をペンチなどで直接摘んでそれを回すことができない。したがって、かかる封印ネジによれば、ネジ部を締める方向に回すときには、通常のネジと同様に締め付け力を発揮させることができる。また、ネジ部を緩める方向に回転操作部材を回そうとしても、それが空回りしてしまう。しかも、その回転部材は空回りする回転操作部材の覆部に覆われているので、回転部材を直接回すこともできない。結局、当該封印ネジは、それを締めることはできるが、緩めることができないということになり、ほぼ完璧な封印機能を発揮することができる。また、請求項1に記載された遊技機の制御装置に用いられる封印ネジによれば、ネジ結合の締め付け力が、予め定めた設定値に達したとき、回転部材と回転操作部材とが、上記スプリングの圧接力に抗して相対回転するので、当該封印ネジを必要以上に締め付けて、そのネジ部をねじ切ったりすることができない。このように、ネジ部を緩めることもできなければ、ねじ切ったりすることもできないので、封印状態を解除できず、完璧な封印機能を発揮することができる。それゆえ、当該封印ネジを利用した制御装置は、取付片を切断することなく上カバーが不正に取り外される事態をより効果的に防止することができる。したがって、請求項1に記載された遊技機によれば、制御装置の内部に搭載された制御素子の不正取り替え、不正改造を非常に効果的に防止することが可能となる。
また、請求項1に記載された遊技機の制御装置に用いられる封印ネジは、回転部材の周囲に設けられたコイルスプリングの一端が回転操作部材の内面に止められているため、より一層完璧な封印機能を発揮することができる。それゆえ、当該封印ネジを利用した制御装置は、取付片を切断することなく上カバーが不正に取り外される事態を一層効果的に防止することができる。したがって、請求項1に記載された遊技機によれば、制御装置の内部に搭載された制御素子の不正取り替え、不正改造をきわめて効果的に防止することが可能となる。
パチンコ機の正面を示す説明図である。 パチンコ機の背面を示す説明図である。 遊技機用制御装置の正面図である。 図3におけるA−A線断面を示す説明図である(bはaにおける波線部分の拡大図である)。 下カバーの下固着翼の正面を示す説明図である。 封印ネジの断面図(軸方向に沿って切断した場合の断面図)である。 封印ネジの変更例を示す説明図(断面図)である。 封印ネジの変更例を示す説明図(断面図)である。 封印ネジの変更例を示す説明図(断面図)である。 封印ネジの変更例を示す説明図(断面図)である。
以下、本発明の遊技機の一実施形態であるパチンコ機について、図面に基づいて、詳細に説明する。
[パチンコ機の構造]
図1、図2は、それぞれ、本発明に係るパチンコ機の正面、背面を示したものであり、パチンコ機81の正面の中央よりやや上方には、略円形の遊技領域が設けられている。そして、遊技領域の下方には、供給皿と貯留皿とが上下に連設されており、貯留皿の右サイドには、発射ハンドルが突設されている。また、遊技領域の中央上部には、図柄表示装置が設けられており、図柄表示装置の下方には、チューリップ形状の普通電動役物(図柄始動口)が設けられている。さらに、普通電動役物の両サイドには、それぞれ、左ゲートおよび右ゲートが設けられており、普通電動役物の下側には、扉が前方へ開閉する形状の大入賞口が設置されている。加えて、遊技領域には、上記部材の他に、サイドランプ、電飾ランプ、種々の入賞口、風車、および多数の障害釘等が設けられている。一方、パチンコ機81の背面の中央よりやや下側には、パチンコ機81の作動内容を制御する制御装置1が設置されている。
[制御装置の構造]
図3は、制御装置1の正面図であり、図4は、図3におけるA−A線断面を示す説明図である(なお、図4(b)は、図4(a)の一部を拡大して示したものである)。制御装置1は、ROM8やCPU等の種々の制御素子を搭載した基板4、透明な合成樹脂製の上カバー6および下カバー5等によって構成されている。
上カバー6は、幅広な箱形に形成されており、左右両サイドに、縦長な長方形状の外形(正面から見た場合の外形)を有する上固着翼26,26が設けられている。各上固着翼26,26の上端縁には、それぞれ、係止孔12が穿設されている。さらに、各係止孔12,12の下方には、それぞれ、略円筒状の4個のネジ保持部9,9・・が、左右に位置した切断可能な取付片10,10によって、各上固着翼16,16の前面に一体的に連設されており、後方に突出した状態になっている。
また、図4の如く、各ネジ保持部9の略中央には、仕切板35が形成されており、仕切板35の中央には、ネジ挿通孔18が穿設されている。さらに、仕切板35の裏側には、2つの弾性片28,28が後方に突出するように設けられている。そして、各ネジ保持部9,9・・においては、ワンウェイクラッチ機構を利用した封印ネジ13が、ネジ挿通孔18に挿通され、弾性片28,28によって先端を把持された状態で保持されている。
一方、下カバー5は、上カバー6と同一幅に形成されており、左右両サイドに、上カバー6の各上固着翼16,16と同様な縦長の長方形状の外形(正面から見た場合の外形)を有する下固着翼17,17が連設されている。そして、各下固着翼17,17の上端縁には、それぞれ、先端を矢尻状に形成した係止突片11が突設されている。また、図5は、各下固着翼17の正面を示したものであり、各下固着翼17,17の上カバー6の各ネジ保持部9,9・・と対応する位置には、ネジ孔36を穿設してなるネジ係合体20,20・・が、支持アーム33,33および支持リブ34,34によって左右の壁板19,19等に支持された状態で設けられている。
制御装置1は、基板4を下カバー5の内面に螺着した状態で、上カバー6の各上固着翼16,16を下カバー5の各下固着翼17,17に重ね合わせ、各係止突片11,11を各係止孔12,12に係止させた状態で、左側の最上方のネジ保持部9(「1」を付したネジ保持部9)に保持されたワンウェイタイプの封印ネジ13を時計回りに回転させることによって左側の最上方のネジ係合体20に螺着するとともに、右側の最下方のネジ保持部9(「1」を付したネジ保持部9)に保持されたワンウェイタイプの封印ネジ13を時計回りに回転させることによって右側の最下方のネジ係合体20に螺着することによって、組み立てられている。そして、ROM8やCPU等の種々の制御素子を搭載した基板4が、上カバー6および下カバー5によって覆われた状態になっている(なお、図3の如く、基板4は、上側の一部のみ露出した状態になっている)。
[封印ネジの構造]
図6は、封印ネジ13を示したものであり、当該封印ネジ13は、金属製の雄ネジ部61とこの雄ネジ部61の軸線上に一体に設けた金属製の回転部材62とを備えるとともに、この回転部材62の先端すなわち雄ネジ部61とは反対端にフランジ部62aを形成している。そして、上記回転部材62の周囲には、コイルスプリング63をはめているが、このコイルスプリング63の内径は回転部材62の外径よりも多少小さくして、コイルスプリング63に圧入代を確保している。このようにしたコイルスプリング63の上端すなわち上記フランジ部62aに隣接する端部には、外径方向に突出する突出部63aを設けている。
上記のようにコイルスプリング63を圧入した回転部材62は、金属製の回転操作部材64の覆部64aで覆うが、この回転操作部材64は袋ナット状にして、回転操作部材64そのものが覆部64aとなる構成にしている。このようにした覆部64aの内壁面には軸線に平行にした掛け止溝64bを形成するとともに、この掛け止溝64bの下端を覆部64aの下端開口縁に開放している。そして、コイルスプリング63を圧入した回転部材62の上方から、回転操作部材64をかぶせるときには、上記掛け止溝64bに、コイルスプリング63の突出部63aを挿入する。ただし、この突出部63aは、何らかの形で回転操作部材64に固定されていればよい。
上記のようにして回転操作部材64を回転部材62にかぶせたら、回転操作部材64の下端における開口をリング部材65でふさぐ。このリング部材65は、その外周を覆部64aの内側に圧入して固定するとともに、回転部材62には相対回転自在にしている。なお、このリング部材65は、回転操作部材64を回転部材62から引き抜く方向の大きな力が作用したとしてもそれが抜けないようにするためのものである。したがって、上記のように力が作用したとしても、リング部材65が回転操作部材64から抜けないようにするために十分な強度が確保できれば、圧入で十分であるが、その強度を維持できないときには、たとえば、リング部材65と回転操作部材64とを溶接したり、あるいはリング部材65と回転操作部材64とをネジではめ合わたりしてもよい。
上記のようにリング部材65をはめることによって、コイルスプリング63が上記フランジ部62aとリング部材65間に介在して、たとえば搬送時などに、回転部材62が回転操作部材64 から抜けるのを防止できる。なお、図中符号66はワッシャーで、雄ネジ部61と回転部材62との境界部分に形成される段部に接触させるようにしている。
上記のようにした封印ネジ13を使用するときには、雄ネジ部61をたとえばケースなどの締め付け対象の雌ネジ部にはめるとともに、回転操作部材64を、上記雄ネジ部61を締め付ける方向に回す。このとき、コイルスプリング63の圧入代分の力が作用しているので、雄ネジ部61のネジ締め付け時の回転トルクが小さければ、回転操作部材64の回転力で雄ネジ部61を回すことができる。雄ネジ部61がねじ込まれてその回転トルクが大きくなれば、回転操作部材64と、雄ネジ部61および回転部材62とがわずかではあるが相対回転する。このときにコイルスプリング63はその圧入代分の力で回転部材62側と一体回転するとともに、突出部63aは回転操作部材64と一体回転する。これによって、コイルスプリング63が縮径して回転部材62をその縮径力で保持し、回転操作部材64の回転力を、コイルスプリング63および回転部材62を介して雄ネジ部61に伝達する。したがって、雄ネジ部61は回転操作部材64の強い力で締め付けられることになる。
上記のように雄ネジ部61が回転操作部材64の回転力で締め付けられて、それがネジ終端に達し、それ以上雄ネジ部61が回転できなくなった状態で、回転操作部材64をさらに回転させようとしたときには、回転操作部材64の回転トルクが、コイルスプリング63のロックトルクに打ち勝ち、コイルスプリング63が回転部材62と相対回転し始める。この状態では 回転操作部材64をどのように強い力で回しても、それが空回転することになる。したがって、回転操作部材64を強く回しても雄ネジ部61がねじ切れたりしない。
上記のように回転操作部材64が空回転するためには、上記ロックトルクの大きさを設定値内に収める必要があるが、このロックトルクの大きさは、次の式で表すことができる。
=(EIδ/R )X(e2πμN−1) ・・・・・・・ (1)
=(EIδ/R )X{1−(1/e2πμN)} ・・・・ (2)
上記(1)式のTはロックトルクであり、(2)式のTはスリップトルクである。また、上記両式の記号は、次のとおりである。
E・・・・コイルスプリングの縦弾性係数
I・・・・コイルスプリングの断面2次モーメント
δ・・・・コイルスプリングの圧入代
・・・・コイルスプリングが嵌合する回転部材の半径
μ・・・・コイルスプリングと回転部材との間の摩擦係数
N・・・・コイルスプリングの有効巻き数
したがって、回転操作部材64を締め付け方向に回転して雄ネジ部61に作用させる最大トルクは、上記ロックトルクTによって決めればよいことになる。また、ネジ結合の締め付け力が、予め定めた設定値に達したとき、回転部材と回転操作部材とが、上記スプリングの圧接力に抗して相対回転するといったときの設定値は、スリップトルクTによって決めることができる。いずれにしても、上記ロックトルクおよびスリップトルクは、コイルスプリング63の特性および回転部材62の材質に応じて決まる相対的なものである。
また、雄ネジ部61を締める方向に回転操作部材64を回転させたとき、コイルスプリング63の内径が縮径する条件は、コイルスプリング63の巻き方向が雄ネジ部61のつる巻き線の方向と同じで、しかも、上記突出部63aがコイルスプリング63の上端において外側に突出していることである。ただし、コイルスプリング1の巻き方向を雄ネジ部61のつる巻き線の方向と逆にしたときには、上記突出部63aをコイルスプリング63の下端に位置させればよい。したがって、上記突出部63aの位置関係も相対的なものとなる。
上記のように回転操作部材64を回して雄ネジ部61を完全に締め付けたとき、回転操作部材64の覆部64aで、回転部材62の外周ほぼ全域が覆われていなければならない。もし、回転部材62が露出していれば、この回転部材62の露出している部分をペンチなどの工具を使って回すことができてしまう。したがって、回転部材62の外周ほぼ全域を覆うとは、ペンチなどの工具を利用して回転部材62を直接回すことができないようにすることであって、必ずしも全域を完全に覆わなくてもよい。
さらに、上記回転操作部材64は、それが破壊されないようにするために、金属製であることが望ましいが、破壊されないだけの強度を維持できるなら、特に、その材質は問わない。また、雄ネジ部61および回転部材62の材質も、締め付け対象との相対的な関係において一定の強度を維持できれば、その材質は問わない。
上記の如く、ワンウェイクラッチ機構を利用した封印ネジ13は、回転操作部材64を時計回りに回転させた場合には、その回転力が雄ネジ部61に伝達されて雄ネジ部61が回転し、回転操作部材64を反時計回りに回転させた場合には、その回転力が雄ネジ部61に伝達されず、雄ネジ部61が回転しない状態を保持する。
[遊技機に設置された制御装置の作動内容]
上記の如くパチンコ機81の裏面側の機構板に設置された制御装置1は、搭載されたROM8やCPU等の種々の制御素子によって、パチンコ機の作動内容を制御する。
そして、上カバー6のネジ保持部9,9と下カバー5のネジ係合体20,20とが、ワンウェイクラッチ機構を備え、かつ、ワンウェイタイプのネジ突起7,7を設けた封印ネジ13,13によって螺着されているため、封印ネジ13,13を螺着時と反対方向(左回り)に回転させることができず、ネジ保持部9とネジ係合体20との螺着状態を解除することができない。それゆえ、上カバー6を取り外す場合には、ネジ係合体20,20と螺着したネジ保持部9,9の前方に設けられた2つの取付片10,10・・を、ニッパ等の工具で切断し、かかるネジ保持部9,9を上カバー6から切り離すことによって、上カバー6と下カバー5とを分離しなければならない。
また、再度 上カバー6を下カバー5に合着させる場合には、左側の最上方のネジ係合体20および右側の最下方のネジ保持部9以外のネジ保持部9,9(すなわち、未だネジ係合体20と螺着していない同じ番号を付したネジ保持部9,9同士)を、それぞれ、封印ネジ13,13により同位置のネジ係合体20,20と螺着すれば良い。それゆえ、一旦、上カバー6と下カバー5とを分離した後でも、再度、上カバー6を下カバー5に合着させることができ、そのような上カバー6、下カバー5の分離、合着を4回繰り返すことができる。
制御装置1は、上記の如く、上カバー6を下カバー5と分離するためには、取付片10,10・・を切断することによりネジ係合体20,20と螺着されたネジ保持部9,9を上カバー6から切り離さなければならないため、上カバー6が取り外された場合には、必ずその痕跡が残る。それゆえ、上カバー6の開閉の有無を容易に把握することができる。それにも拘わらず、各取付片10,10が容易に切断可能な構造を有しているため、それらの取付片10,10をニッパ等の工具で切断することによって、上カバー6を容易に取り外して、基板8上に設置された制御素子の内容をチェックすることができる。
[パチンコ機の効果]
パチンコ機81の制御装置1に用いられる封印ネジ13は、回転操作部材64を締める方向に回したときには、ネジ部がその締め付け方向に回って、締め付け対象を封印する。この状態からネジ部を緩める方向に回転操作部材64を回すと、この回転操作部材64が空回りするので、当該封印ネジ13を緩めることができない。しかも、回転操作部材64に設けた覆部64bは、ネジ部と直結している回転部材62の外周ほぼ全域を覆うので、回転部材62をペンチなどで直接摘んでそれを回すことができない。また、接着剤によってドライバ等の工具を封印ネジのヘッド部に固着させて当該ヘッド部を緩める方向に回転させても、当該封印ネジを取り外すことができない。したがって、かかる封印ネジ13によれば、ネジ部を締める方向に回すときには、通常のネジと同様に締め付け力を発揮させることができる。また、ネジ部を緩める方向に回転操作部材64を回そうとしても、それが空回りしてしまう。しかも、その回転部材62は空回りする回転操作部材64の覆部64bに覆われているので、回転部材62を直接回すこともできない。したがって、封印ネジ13は、ほぼ完璧な封印機能を発揮することができる。それゆえ、封印ネジ13を利用した制御装置1は、取付片10,10を切断することなく上カバー6が不正に取り外される事態を効果的に防止することができる。したがって、パチンコ機81によれば、制御装置1の内部に搭載された制御素子(ROM8)の不正取り替え、不正改造を効果的に防止することが可能となる。
また、封印ネジ13によれば、ネジ結合の締め付け力が、予め定めた設定値に達したとき、回転部材62と回転操作部材64とが、コイルスプリング63の圧接力に抗して相対回転するので、封印ネジ13を必要以上に締め付けて、そのネジ部をねじ切ったりすることができない。したがって、封印ネジ13は、ネジ部を緩めることもできなければ、ねじ切ったりすることもできないので、封印状態を解除できず、完璧な封印機能を発揮することができる。それゆえ、封印ネジ13を利用した制御装置1は、取付片10,10を切断することなく上カバー6が不正に取り外される事態をより効果的に防止することができる。したがって、パチンコ機81によれば、制御装置1の内部に搭載された制御素子(ROM8)の不正取り替え、不正改造を非常に効果的に防止することが可能となる。
さらに、封印ネジ13は、回転部材62の周囲に設けられたコイルスプリング63の一端が回転操作部材64の内面に止められているため、より一層完璧な封印機能を発揮することができる。それゆえ、封印ネジ13を利用した制御装置1は、取付片10,10を切断することなく上カバー6が不正に取り外される事態を一層効果的に防止することができる。したがって、パチンコ機81によれば、制御装置1の内部に搭載された制御素子(ROM8)の不正取り替え、不正改造をきわめて効果的に防止することが可能となる。
[遊技機の変更例]
なお、本発明の遊技機の構成は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、制御装置(基板、上カバー、下カバー、ワンウェイタイプの封印ネジ等)の形状、構造等の構成を本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜変更することができる。
たとえば、制御装置の上カバーの各上固着翼に設けるネジ保持部の個数や、下カバーの左右の各下固着翼に設ける取付タブの個数は、4個に限定されず、3個以下あるいは5個以上でも良い。また、各上固着翼とネジ保持部とを連結する取付片の個数も、2個に限定されず、1個でも良いし、3個以上でも良い。さらに、上固着翼や下固着翼の設置位置は、上下カバーの左右両端縁に限定されず、上下カバーの上下両端縁でも良い。
また、ワンウェイタイプの封印ネジは、上記実施形態の如く、回転部材の周囲に設けられたコイルスプリングの一端を回転操作部材の内面に止めたものに限定されず、雄ネジ部、回転部材、コイルスプリング、回転操作部材、リング部材、ワッシャー等の形状、構造等の構成を必要に応じて適宜変更することができる。
図7は、封印ネジの変更例を示したものであり、この封印ネジ71は、コイルスプリング63を回転操作部材64の内側に、一定の圧入代をもってはめ込み、回転操作部材64を回転させたとき、当該コイルスプリング63が拡径するようにしたもので、以下にはさらに詳しく説明する。この封印ネジ71の回転部材62の外側には、軸線に平行にした掛け止溝62bを形成するとともに、この掛け止溝62bの下端を回転部材62の下端に開放している。一方、コイルスプリング63は、その外径を回転操作部材64の内径よりも多少大きくして、コイルスプリング63に圧入代を確保している。このようにしたコイルスプリング63の上端すなわち上記フランジ部62aに隣接する端部には、内径方向に突出する突出部63aを設けている。
そして、上記回転部材62に回転操作部材64をかぶせるときには、まず、ワッシャー66を外した状態で、コイルスプリング63に回転部材62を挿入するが、このときには上記突出部63aを掛け止溝62bに挿入する。次に、コイルスプリング63の下端、すなわち突出部63aとは反対端をペンチなどで摘んで、このコイルスプリング63を縮径する方向に回すとともに、この縮径状態を保ったまま、回転操作部材64を回転部材62の上からかぶせる。回転操作部材64を上記のようにしてかぶせたら、コイルスプリング63の縮径力を開放する。縮径力を開放されたコイルスプリング63は、その外周を回転操作部材64の内壁面に圧接させる。つまり、コイルスプリング63は回転操作部材64に対して所定の圧入代を確保した状態で圧入された状態を保つ。なお、図2中、符号61は雄ネジ部、62aはフランジ部、64aは覆部、65はリング部材であって、それらは第1実施形態と全く同様に機能するものである。
上記のようにした封印ネジ71を使用するときには、上記実施形態の場合と同様に、回転操作部材64を、上記雄ネジ部を締め付ける方向に回す。このとき、コイルスプリング63の圧入代分の力が作用しているので、雄ネジ部61の回転トルクが小さければ、回転操作部材64の回転力で雄ネジ部61を回すことができる。雄ネジ部61がねじ込まれてその回転トルクが大きくなれば、回転操作部材64と、雄ネジ部61および回転部材62とがわずかではあるが相対回転する。このときにコイルスプリング63はその圧入代分の力で回転操作部材64側と一体回転するとともに、突出部63aは回転部材62と一体回転する。これによって、コイルスプリング63が拡径して、回転操作部材64をその拡径力で保持し、回転操作部材64の回転力を、コイルスプリング63および回転部材62を介して雄ネジ部61に伝達する。したがって、雄ネジ部61は回転操作部材64の強い力で締め付けられることになる。
上記のように雄ネジ部61が回転操作部材64の回転力で締め付けられて、それがネジ終端に達し、それ以上雄ネジ部61が回転できなくなった状態で、回転操作部材64をさらに回転させようとしたときには、回転操作部材64の回転トルクが、コイルスプリング63のロックトルクに打ち勝ち、コイルスプリング63が回転操作部材64と相対回転し始める。この状態では、回転操作部材64をどのように強い力で回しても、それが空回転することになる。上記以外の構成および作用効果は、上記実施形態の封印ネジ13と全て同じである。また、コイルスプリング63の巻き方向や突出部63aの位置、および各部材の材質に関しても上記実施形態の封印ネジ13について説明したことと同じである。
図8は、封印ネジの別の変更例を示したものであり、この封印ネジ72の雄ネジ部61に一体に設けた回転部材62は、上方に向けて開口する凹部62cを形成するとともに、この凹部62cの内面には、軸線に平行な掛け止溝62bを形成している。一方、回転操作部材64は覆部64aを形成するとともに、この覆部64aの内側に雄ネジ部61と軸心を同じにした円柱部64cを形成している。そして、上記円柱部64cにコイルスプリング63を前記したと同様の圧入代を確保してはめるとともに、このコイルスプリング63の下端に外径方向に突出させた突出部63aを設け、この突出部63aを上記掛け止溝62bに挿入している。
なお、図8中、61は雄ネジ部、65はリング部材、66はワッシャーであって、それらは上記実施形態の封印ネジ13と全く同様に機能するものである。このようにした封印ネジ72においては、雄ネジ部61を締める方向に回転操作部材64を回したとき、コイルスプリング63は縮径するものである。なお、上記以外の構成および作用効果は、上記実施形態の封印ネジ13と全て同じである。また、コイルスプリング63の巻き方向や突出部63aの位置、および各部材の材質に関しても上記実施形態の封印ネジ13について説明したことと同じである。
図9は、封印ネジの別の変更例を示したものであり、この封印ネジ73の雄ネジ部61に一体に設けた回転部材62は、上方に向けて開口する凹部62cを形成している。一方、回転操作部材64は覆部64aを形成するとともに、この覆部64aの内側に雄ネジ部61と軸心を同じにした円柱部64cを形成している。そして、上記円柱部64cの外側には軸線に平行な掛け止溝64bを形成している。また、上記凹部62cにはコイルスプリング63をはめるが、このコイルスプリング63には、前記したと同様の圧入代を確保して、その外周を凹部62cの内壁に圧接させるとともに、このコイルスプリング63の下端に内径方向に突出させた突出部63aを設け、この突出部63aを上記掛け止溝64bに挿入している。
なお、図9中、61は雄ネジ部、65はリング部材、66はワッシャーであって、それらは上記実施形態の封印ネジ13と全く同様に機能するものである。このようにした封印ネジ73においては、雄ネジ部61を締める方向に回転操作部材64を回したとき、コイルスプリング63は拡径するものである。なお、上記以外の構成および作用効果は、上記実施形態の封印ネジ13と全て同じである。また、コイルスプリング63の巻き方向や突出部63aの位置、および各部材の材質に関しても上記実施形態の封印ネジ13について説明したことと同じである。
図10は、封印ネジの別の変更例を示したものであり、この封印ネジ74は、雌ネジ部7と回転部材8とを一体化したものである。言い換えると、回転部材8に雌ネジ部7を形成したものである。そして、回転部材8とコイルスプリング63および回転操作部材64との関係は、上記実施形態の封印ネジ13と全く同じである。また、封印ネジ74は、上記実施形態の封印ネジ13における雄ネジ部61の代わりに、これを雌ネジ部7としたものであるが、前記した封印ネジ71〜73のそれぞれについても、その雄ネジ部61に代えて雌ネジ部としてもよいものである。
なお、図10中、3aは突出部、4aは覆部、4bは掛け止溝、65はリング部材、8aはフランジ部であって、それらは上記実施形態の封印ネジ13と全く同様に機能するものである。また、上記以外の構成および作用効果は、上記実施形態の封印ネジ13と全て同じである。また、コイルスプリング63の巻き方向や突出部63aの位置、および各部材の材質に関しても上記実施形態の封印ネジ13について説明したことと同じである。
加えて、遊技機に搭載する制御装置は、上記実施形態の如く、上カバーと下カバーとを合着させて、それらのカバーの両端を封印ネジで螺着するものに限定されず、下カバーの上面において上カバーをスライドさせることによって上カバーと下カバーとを重ね合わせ、その状態で、封印ネジによって上カバーと下カバーとを一箇所あるいは複数箇所で螺着するもの等に変更することも可能である。
たとえば、制御装置は、下カバーの矩形の底板の左右に側壁を上向きに垂設し、それらの側壁の上端際を内向きに折り返して、長尺帯状のスライドガイドを形成するとともに、上カバーの矩形の表面板の左右に側壁を下向きに垂設し、それらの側壁に、下カバーのスライドガイドと当接し合う長尺帯状の水平突起体を設け、かつ、下カバーの片方(あるいは両方)の側壁に沿ってネジ螺着体を設けるとともに、そのネジ螺着体と同側の上カバーの側壁に沿って、切断可能な取付片を介してネジ螺着部を設けたもの等に変更することが可能である。かかる制御装置は、下カバーの上に上カバーを載置し、下カバーのスライドガイドに上カバーの水平突起体を噛み合わせて、上カバーをスライドさせることによって、上カバーと下カバーとを重ね合わせ、その状態で、ネジ保持部内の封印ネジをネジ螺着部に螺着することによって、制御素子を搭載した基板を上カバーおよび下カバーによって覆った状態で保持することが可能である。
制御装置を上記の如く構成した場合には、上カバーと下カバーとを単純に合着させる場合の如く2つのカバーを複数箇所において封印ネジで固着するものとする必要がなくなり、2つのカバーを一箇所のみにおいて封印ネジで固着することによって開放不能(痕跡を残すことなく開放不能)なものとすることが可能となる。
なお、上記実施形態においては遊技機がパチンコ機である場合の一例について説明したが、本発明の遊技機は、スロットマシーンやテレビゲーム等のパチンコ機以外の遊技機でも良い。
1・・制御装置
4a,4b・・基板
5・・下カバー
6・・上カバー
7・・ネジ突起
8・・制御素子
9・・ネジ保持部
13・・封印ネジ
61・・雄ネジ部
62・・回転部材
63・・コイルスプリング
64・・回転操作部材
64a・・覆部
67・・雌ネジ部
68・・回転部材
81・・パチンコ機

Claims (1)

  1. 遊技内容を制御するための制御装置を備えた遊技機であって、
    前記制御装置が、
    上カバー、およびその上カバーと合致する下カバーによって、制御素子を設置した基板が覆われているとともに、
    前記下カバーと螺合する封印ネジを保持したネジ保持部が、切断可能な取付片を介して前記上カバーの端縁に設けられており、
    そのネジ保持部に保持された前記封印ネジを前記下カバーと螺合することによって前記上カバーを前記下カバーに対して閉じた状態で保持するとともに、前記下カバーと螺合された前記ネジ保持部を前記上カバーから切断することによって、前記上カバーと前記下カバーとを分離するものであるとともに、
    前記封印ネジが、
    雄ネジ部にシャフトからなる回転部材を同一軸線上に設け、その回転部材の周囲に、その回転部材の外径よりもわずかに小さいコイル径を有するコイルスプリングを設け、このコイルスプリングを設けた回転部材を、袋ナット状の覆部を有する回転操作部材で覆うとともに、前記コイルスプリングの一端を前記回転操作部材の内面に止め、前記雄ネジ部を締め付ける方向に前記回転操作部材を回転させたとき前記コイルスプリングのコイル径を縮径して、前記コイルスプリングの内周を前記回転部材に圧接し、それらの前記回転部材と前記回転操作部材とを一体回転させる一方、前記回転操作部材を、前記雄ネジ部を緩める方向に回転させたとき、前記コイルスプリングの圧接力を小さくして、前記回転部材と前記回転操作部材とが相対回転するワンウェイクラッチ機構を備えており、前記雄ネジ部を締め付け対象にネジ結合させるとともに、前記回転操作部材を締め付け方向に回転させた場合に、ネジ結合の締め付け力が、予め定めた設定値に達したときに、前記回転部材と前記回転操作部材とが、前記コイルスプリングの圧接力に抗して相対回転するものであることを特徴とする遊技機。
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