以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
なお、本明細書において、カールリテンション、柔軟性、指通りの良さ、ベタツキ、フレーキングのなさ、等について言及する場合、実施例の項において記載する評価を意味するものとする。
[本発明のブロックポリマー]
本発明のブロックポリマーは、ビニル系官能基を有するモノマーからなる2以上のブロックが、ラジカル重合性ビニル系官能基と非ラジカル重合性官能基とを有する連結モノマーを介して結合されてなるブロックポリマーであって、前記2以上のブロックは、少なくとも、互いに異なるモノマー組成を有する第一ブロック及び第二ブロックを含み、酸価が200mgKOH/g以上700mgKOH/g以下の範囲であることを特徴とする。
本発明のブロックポリマーにおいて、ラジカル重合性ビニル系官能基と非ラジカル重合性官能基とを有する連結モノマーとは、少なくとも1つのラジカル重合性ビニル系官能基を有し、且つ通常のラジカル重合の条件では反応しないがその他の条件では反応し共有結合を形成することができる官能基(以下、非ラジカル重合性官能基)を有するものである。
本発明においては、このような連結モノマーを用いることで、そのラジカル重合性ビニル系官能基が他のビニル系官能基を持つモノマーとラジカル重合して1つのブロックを形成し、他方、その非ラジカル重合性官能基が他のブロックを形成するモノマーと反応して共有結合を形成し、非常に効率的にブロックポリマーを得ることができる。
ラジカル重合性ビニル系官能基と非ラジカル重合性官能基とは反応機序が全く異なるので、ラジカル重合性ビニル系官能基の反応の際に非ラジカル重合性官能基が反応してしまうことがなく、制御が行いやすい。また温度や時間、共重合するモノマー種などの反応条件の制約も小さい。
連結モノマーはそれぞれの基を少なくとも1つ有していればよく複数有していてもよいが、ポリマーの分子量の制御の容易さから、連結モノマーはラジカル重合性ビニル系官能基と非ラジカル重合性官能基をそれぞれ1つずつ有しているものが最も好ましい。連結モノマーにおけるラジカル重合性ビニル系官能基と非ラジカル重合性官能基は、共有結合により繋がっていればよい。
このとき、ラジカル重合性ビニル系官能基は少なくとも1つのブロック構造の一部に共重合されており、非ラジカル重合性官能基は少なくとも1つのブロック構造の一部の官能基と反応し共有結合している。
非ラジカル重合性官能基としては、イソシアネート基やエポキシ基、水酸基、アミン基、カルボン酸基、酸無水物、チオスルフィド基、オキサゾリン基などが挙げられる。反応性の高さや取り扱いのし易さ、反応条件の制限の少なさなどから、特にオキサゾリン系官能基が好ましい。
連結モノマーにおけるラジカル重合性ビニル系官能基とオキサゾリン系官能基は、共有結合により繋がっていればよく、また、ラジカル重合性ビニル系官能基とオキサゾリン系官能基とはそれぞれ少なくとも1つを有していればよく、複数有していてもよい。
ここでいうオキサゾリン系官能基とは、アルキル基やアリール基などの置換基を有したオキサゾリン基も含めた、オキサゾリン環構造を有するものの総称である。ポリマーの分子量の制御の容易さから、連結モノマーはそれぞれの基を1つずつ有しているものが好ましい。なかでも、反応性の高さや原料の製造あるいは入手のし易さの観点から、連結モノマーとしては下記一般式(1)で表されるものが好ましい。
(式中、R1は水素原子又はメチル基を表し、R2〜R5はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルコキシアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、又はアルコキシアリール基を表し、Aは任意の2価の連結基又は直接結合を表す。)
ここで、R1は、オキサゾリン系官能基の反応性を高めるために、水素原子が好ましい。
また、R2〜R5はそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルコキシアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、又はアルコキシアリール基を表すが、これらの基におけるアルキル基部分及びアルコキシ基は直鎖でも分岐でもよい。これらの基におけるアリール基としてはフェニル基が好ましい。
R2〜R5は、より好ましくはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基を持つ炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されていてもよいフェニル基である。更に好ましくは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基を持つ炭素数1〜6のアルキル基であり、なかでも好ましくは水素原子又はメチル基であり、最も好ましくは水素原子である。これは、オキサゾリン系官能基の反応性を高めるためである。
Aは、オキサゾリン系官能基の反応性を高めるために、直接結合であるのが好ましい。
上記一般式(1)で表される、ビニル系官能基とオキサゾリン系官能基を有する連結モノマーは(以下、ビニル系官能基を有するモノマーを「ビニル系モノマー」と称し、本発明に好適なビニル系官能基とオキサゾリン系官能基を有する連結モノマーを「オキサゾリン系官能基含有ビニル系モノマー」と称す場合がある。)特に限定はされないが、例えば、
2−ビニル−2−オキサゾリン、
2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、
2−ビニル−4−ジメチル−2−オキサゾリン、
2−ビニル−4−ジエチル−2−オキサゾリン、
2−ビニル−4−メトキシ−2−オキサゾリン、
2−ビニル−4−エトキシ−2−オキサゾリン、
2−ビニル−4−メトキシメチル−2−オキサゾリン、
2−ビニル−4−フェニル−2−オキサゾリン、
2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、
2−ビニル−5−エチル−2−オキサゾリン、
2−ビニル−5−ジメチル−2−オキサゾリン、
2−ビニル−5−メトキシ−2−オキサゾリン、
2−ビニル−5−エトキシ−2−オキサゾリン、
2−ビニル−5−メトキシメチル−2−オキサゾリン、
2−ビニル−5−フェニル−2−オキサゾリン、
2−ビニル−4−メトキシメチル−5−フェニル−2−オキサゾリン
2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、
2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、
2−イソプロペニル−4−ジメチル−2−オキサゾリン、
2−イソプロペニル−4−ジエチル−2−オキサゾリン、
2−イソプロペニル−4−メトキシ−2−オキサゾリン、
2−イソプロペニル−4−エトキシ−2−オキサゾリン、
2−イソプロペニル−4−メトキシメチル−2−オキサゾリン、
2−イソプロペニル−4−フェニル−2−オキサゾリン、
2−イソプロペニル−5−メチル−2−オキサゾリン、
2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン、
2−イソプロペニル−5−ジメチル−2−オキサゾリン、
2−イソプロペニル−5−メトキシ−2−オキサゾリン、
2−イソプロペニル−5−エトキシ−2−オキサゾリン、
2−イソプロペニル−5−メトキシメチル−2−オキサゾリン、
2−イソプロペニル−5−フェニル−2−オキサゾリン、
2−イソプロペニル−4−メトキシメチル−5−フェニル−2−オキサゾリン
などが挙げられる。
なかでも反応性の高さや原料の入手のし易さなどから、好ましくは2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−ジメチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−ジメチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メトキシメチル−5−フェニル−2−オキサゾリンであり、更に好ましくは、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−ジメチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリンであり、最も好ましくは2−ビニル−2−オキサゾリンである。
ブロック構造を形成するに当たり、オキサゾリン系官能基を利用して形成される共有結合は、特に限定されるものではないが、好ましくはカルボン酸基と反応したものや、エポキシ基と反応したものである。反応後の構造はそれぞれ下記式の通りである。
(式中、B及びCはそれぞれブロックポリマーの一部であり、R6は前記一般式(1)におけるR1と同義であり、R7〜R10はそれぞれ独立して前記一般式(1)におけるR2〜R5と同義である。)
以下、本発明のブロックポリマーについて説明する。
本発明のブロックポリマーは、ビニル系官能基を有するモノマー、即ちビニル系モノマーからなる2以上のブロックが、上述のラジカル重合性ビニル系官能基と非ラジカル重合性官能基とを有する連結モノマーを介して結合されてなるものであり、該2以上のブロックは、少なくとも、互いに異なるモノマー組成を有する第一ブロックと第二ブロックとを含む。
本発明のブロックポリマーに含まれる第一ブロックと第二ブロックのうち、第一ブロックは、前記連結モノマーのラジカル重合性ビニル系官能基と結合し、第二ブロックは前記連結モノマーの非ラジカル重合性官能基と結合して、連結モノマーが第一ブロックに含まれるとしたとき、第一ブロックを構成する全モノマー量に対する連結モノマー量(以下、「第一ブロック中の連結モノマー割合」と称す場合がある。)は0.1〜20wt%であることが好ましい。
第一ブロック中の連結モノマー割合を0.1wt%以上とすると、第一ブロックと第二ブロックの連結が確実に行いやすくなり効率的である。第一ブロック中の連結モノマー割合は、より好ましくは0.2wt%以上であり、更に好ましくは0.5wt%以上である。また、第一ブロック中の連結モノマー割合が20wt%以下であると、分子量の制御がし易く、また重合中のゲル化もしにくく取り扱い易い傾向がある。第一ブロック中の連結モノマー割合は、より好ましくは10wt%以下であり、更に好ましくは5wt%以下であり、特に好ましくは3wt%以下である。
第二ブロックは、カルボン酸基及び/又はエポキシ基、並びにビニル系官能基を有するモノマーを含むことが好ましい。第二ブロックがカルボン酸基及び/又はエポキシ基を有することにより、非ラジカル重合性官能基であるオキサゾリン系官能基と共有結合を形成することが可能となり、また、ビニル系官能基を有することにより第二ブロックの一部としてラジカル重合に供することが可能となる。
カルボン酸基及び/又はエポキシ基、並びにビニル系官能基を有するモノマーは、カルボン酸基及びエポキシ基のどちらか片方を少なくとも1つ有していればよく複数有していてもよい。ビニル系官能基も少なくとも1つを有していればよく、複数有していてもよい。ポリマーの分子量の制御の容易さから、ビニル系官能基は1つのものが好ましい。また、カルボン酸基又はエポキシ基どちらか1種のみを有することが好ましく、なかでもカルボン酸基又はエポキシ基を1つのみ有するのが好ましい。
第二ブロックを構成するカルボン酸基を含有するビニル系モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸などの不飽和カルボン酸モノマーが挙げられる。ここで「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を表す。
カルボン酸基を含有するビニル系モノマーとしては、なかでも(メタ)アクリル酸又は下記式(6)で表されるものが好ましい。
CH2=C(R20)−COO−(CH2)e−OCO−Y−COOH・・・(6)
(式中、R20は水素原子又はメチル基を表し、eは1〜4の整数を表し、Yは置換基を有していてもよいフェニル基を表す。)
上記一般式(6)において、Yのフェニル基が有していてもよい置換基としては、好ましくは炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基が挙げられ、より好ましくは炭素数1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基が挙げられる。最も好ましくはYは置換基を有さないフェニル基である。置換基を有さないフェニル基は、反応のし易さの点で好ましい。
一般式(6)において、eは1〜3の整数が好ましく、最も好ましくは2である。e=2であれば、反応のし易さの点で好ましい。
一般式(6)で表されるものとしては、この式に含まれるものであれば特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸エチルテレフタレート、(メタ)アクリル酸プロピルテレフタレートなどが挙げられる。
カルボン酸基を含有するビニル系モノマーとしては、なかでも、反応性の高さ及び原料の入手のし易さなどから、(メタ)アクリル酸が好ましい。
なお、本発明において、モノマー成分としての(メタ)アクリル酸等のカルボン酸はその一部あるいは全部を塩の形で使用してもよく、塩の形にするのは重合前でも後でもよい。好ましくは重合後である。
塩の形の場合には、カルボン酸の水素が中和剤の一部と置換されるが、その例としては、金属イオン又は置換基を有してもよいアンモニウムイオンなどが挙げられる。1価の金属イオンとしてはアルカリ金属イオンが挙げられ、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン等である。
アンモニウムイオンは置換基を有してもよいが、置換基として好ましくは、水酸基を有していてもよい、炭素数1〜30の直鎖又は分岐のアルキル基である。例えば、アンモニウムイオンの他、1〜3級アミンの4級化物などが挙げられる。具体的には、ラウリルジメチルアミン、テトラデシルジメチルアミン、オクタデシルジメチルアミン、トリエタノールアミン等の3級アミンの4級化物や、ラウリルアミン、テトラデシルアミン、オクタデシルアミン、アミノメチルプロパノール等の1級アミンの4級化物等がある。
なかでも4級アンモニウムイオンが好ましい。
上記のような塩を得るために用いる中和剤としては、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどの金属水酸化物や、アンモニア水、ラウリルアミン、トリメチルアミン、ラウリルジメチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、アミノメチルプロパンジオール、アミノエチルプロパンジオール、N−メチルグルカミン、アルギニン、リジンなどのアミン類等が好ましく挙げられる。これらは1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。中和剤としては、より好ましくは、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、又はアミノメチルプロパノールである。
第二ブロックを構成するエポキシ基を含有するビニル系モノマーとしては、下記一般式(7)で表されるものが好ましい。
(式中、R21は水素原子又はメチル基を表し、R22はそれぞれ独立して水素原子又はメチル基を表し、nは0〜20の整数を表す。)
ここで、R21はメチル基が好ましく、R22は水素原子が好ましい。また、nは0が好ましい。
エポキシ基を含有するビニル系モノマーは、上記式(7)に含まれるものであれば特に限定はされないが、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジル(エチレンオキシ)2(メタ)アクリレート、グリシジル(プロピレンオキシ)2(メタ)アクリレート、グリシジル(エチレンオキシ)2(プロピレンオキシ)2(メタ)アクリレート、グリシジル(エチレンオキシ)5(プロピレンオキシ)2(メタ)アクリレートなどが挙げられる。ここで「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及び/又はメタクリレートを表す。
エポキシ基を含有するビニル系モノマーとしては、反応のし易さや原料の入手のし易さなどから、グリシジル(メタ)アクリレートが好ましく、グリシジルメタクリレートが最も好ましい。
なお、第二ブロックのカルボン酸基及び/又はエポキシ基を含有するビニル系モノマーは1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
第二ブロックを構成するカルボン酸基及び/又はエポキシ基を含有するビニル系モノマーとしては、なかでも親水性を付与できるという点からカルボン酸基を含有するビニル系モノマーが好ましい。
オキサゾリン系官能基以外の官能基を有する連結モノマーを使用した場合には、それと反応性の高い官能基を有するビニル系モノマーを第二ブロックに有することが好ましい。それらの組み合わせとしては、イソシアネート基と水酸基及び/又はアミン基、エポキシ基及び/又はチオスルフィド基とカルボン酸基、酸無水物とアミン基などが挙げられる。
本発明のブロックポリマーにおいて、第一ブロックと第二ブロックとは異なるモノマー組成を有する。本発明のブロックポリマーは、モノマー組成が異なり、従って、異なる性質のブロックを有することにより、より特異的な性能を発現できる。
第一ブロックと第二ブロックは、それぞれ単独で評価した場合に水溶性、水分散性あるいは非水溶性のいずれでもよい。
また、本発明のブロックポリマーも水溶性、水分散性あるいは非水溶性のいずれでもよい。
本発明のブロックポリマーを化粧料組成物に配合する場合、例えば、非水溶性のブロックポリマーであればオイル成分に溶解あるいは分散させて使用することができ、水溶性、水分散性のブロックポリマーであれば水あるいは低級アルコールなどに溶解、分散させて使用することができる。
本発明のブロックポリマーはなかでも、水及び/又はエタノールに可溶性であるか分散性であると、化粧料組成物への配合が行いやすく好ましい。
特異的な性能を発現させるためには、本発明のブロックポリマーを構成する第一ブロックと第二ブロックとは大きく異なる性質のものであることが好ましく、特に第一ブロック及び第二ブロックのいずれか一方が水不溶性であり、他方が水溶性又は水分散性であることが好ましい。
pHによりポリマーの水溶性が変化するような場合、例えば本発明のブロックポリマーがカルボン酸基やアミノ基などを有している場合には、アルカリ性物質や酸性物質でその一部あるいは全部を中和した状態で評価した場合に、その水への溶解性を判断する。中和の度合いはそのブロックポリマーを使用する場合における状態にできる限り近い状態での中和度で判断する。
ここでいう水溶性あるいは水分散性(水に可溶性あるいは分散性)とは、ポリマーを1重量%の濃度で水に溶解させようとしたときに、加熱したり攪拌したりして均一化させる努力をした後に、25℃で24時間放置したときにポリマーが沈殿を生じることなく、相分離もせずに溶液が均一であることをいう。特に水溶性とは、ポリマーを溶解させた溶液が透明であって、波長655nmの光の光路長1cmセルの透過率が80%以上であることをいう。それ以外の状態、即ち、ポリマーが沈殿を生じたり相分離したり溶液が不均一である状態を水不溶性という。
第一ブロック及び第二ブロックのいずれか一方が水不溶性であり、他方が水溶性又は水分散性とする場合には、製造の容易性から第一ブロックを水不溶性とし、第二ブロックを水溶性あるいは水分散性とすることが好ましい。
また、本発明のブロックポリマーを構成する第一ブロックと第二ブロックは、その物性において、いずれか一方がソフトセグメントであり、他方がハードセグメントであることが好ましい。これにより、例えは本発明のブロックポリマーを頭髪セット剤として使用した場合には柔軟性が有り且つ高いセット力があるものを得ることができる。
ここで、ソフトセグメント及びハードセグメントとは、通常の使用温度である室温においてのポリマーの柔らかさにより判断される指標であり、一般的にはガラス転移温度(Tg)にて判断される。本発明においては、各モノマーのホモポリマーのTgから算出した各ブロックのTgにより判断し、Tgが−20℃以下のものをソフトセグメントとし、それよりも高いものをハードセグメントとする。それに該当しない場合には、その値が高いブロックをハードセグメント、低いブロックをソフトセグメントとした。
第一ブロック及び第二ブロックの物性において、いずれか一方がソフトセグメントであり、他方がハードセグメントである場合には、製造の容易性から第一ブロックをソフトセグメントとし、第二ブロックをハードセグメントとすることが好ましい。
この場合、第一ブロックのTgは好ましくは−100〜−20℃である。更に好ましくは−50〜−20℃である。また、第二ブロックのTgは好ましくは−20〜150℃であり、更に好ましくは−10〜50℃であり、最も好ましくは−5〜30℃である。
本発明のブロックポリマーは、製造の容易性から第一ブロックを水不溶性でかつソフトセグメントとし、第二ブロックを水溶性あるいは水分散性でかつハードセグメントとすることが特に好ましい。
各ブロックの水溶性及びTgの調整は、各ブロックを構成するビニル系モノマーの種類や量を適宜選択することで行いうる。好適な第一ブロック及び第二ブロックの構成は、それぞれ以下のモノマー組成を重合させて得られる構成である(以下に示す好適モノマー組成を「好適モノマー組成(1)」と称す場合がある。)。
<<好適モノマー組成(1)>>
(I)第一ブロック
連結モノマー 0.1〜20wt%
親水性ビニル系モノマー 0〜79.9wt%
疎水性ビニル系モノマー 1〜99.9wt%
(II)第二ブロック
カルボン酸基及び/又はエポキシ基を含有するビニル系モノマー
0.1〜100wt%
親水性ビニル系モノマー 0〜99.9wt%
(但し、カルボン酸基及び/又はエポキシ基を含有しない親水性ビニル系モノマー)
疎水性ビニル系モノマー 0〜90wt%
ここでいう親水性ビニル系モノマーとは、通常、20℃の蒸留水への溶解度(g/100g水)が1より大きいモノマーである。好ましくは溶解度が2以上、更に好ましくは5以上である。親水性ビニル系モノマーとしては、特に限定されないが、例えばイオン性モノマー、非イオン性モノマーあるいは半極性モノマーなどから任意に選ぶことができる。
一方、疎水性ビニル系モノマーは、20℃の蒸留水への溶解度(g/100g−水)が1以下のモノマーである。好ましくは溶解度が0.1以下、更に好ましくは0.01以下である。疎水性ビニル系モノマーとしては、特に限定されないが、好適には非イオン性モノマーである。
第一ブロックを構成する全モノマー量における連結モノマー量は0.1〜20wt%であることが好ましい。
前述の如く、第一ブロック中の連結モノマー割合を0.1wt%以上とすると、第一ブロックと第二ブロックの連結が確実に行いやすくなり効率的である。この割合は、より好ましくは0.2wt%以上であり、更に好ましくは0.5wt%以上である。また、第一ブロック中の連結モノマー割合が20wt%以下であると、分子量の制御がし易く、また重合中のゲル化もしにくく取り扱い易い傾向がある。この割合は、より好ましくは10wt%以下であり、更に好ましくは5wt%以下であり、特に好ましくは3wt%以下である。
第一ブロックを構成する全モノマー量における親水性ビニル系モノマー量は0〜79.9wt%が好ましい。この割合を79.9wt%以下とすることにより、ガス相溶性及び柔軟性が維持されるため好ましい。第一ブロック中の親水性ビニル系モノマー量は、より好ましくは70wt%以下であり、更に好ましくは60wt%以下であり、最も好ましくは50wt%以下である。また、親水性ビニル系モノマーを全く含まなくてもよいが、適度な親水性を有することにより水又はエタノールなどへの溶解性を維持できるため、親水性ビニル系モノマーはより好ましくは10wt%以上、更に好ましくは20wt%以上、最も好ましくは30wt%以上含有させる。
第一ブロックを構成する全モノマー量における疎水性ビニル系モノマー量は1〜99.9wt%が好ましい。この割合を1wt%以上とすることにより、ガス相溶性、柔軟性及びフレーキングのなさ等が向上する。第一ブロック中の疎水性ビニル系モノマー量は、より好ましくは30wt%以上であり、更に好ましくは40wt%以上である。また、疎水性ビニル系モノマー量を99.9wt%以下とすることにより連結モノマーによる第二ブロックとの連結が十分に行われやすい。第一ブロック中の疎水性ビニル系モノマー量はより好ましくは90wt%以下であり、更に好ましくは70wt%以下であり、最も好ましくは60wt%以下である。
第二ブロックを構成する全モノマー量におけるカルボン酸基及び/又はエポキシ基を含有するビニル系モノマー量は0.1〜100wt%が好ましい。この割合を0.1wt%以上とすることで、連結モノマーによる第一ブロックとの連結が十分に行われやすい。第二ブロック中のカルボン酸基及び/又はエポキシ基を含有するビニル系モノマー量は、より好ましくは5wt%以上であり、更に好ましくは10wt%以上であり、最も好ましくは20wt%以上である。また、第二ブロックの全モノマーがカルボン酸基及び/又はエポキシ基を含有するビニル系モノマーであってもよいが、頭髪への親和性及びフレーキングのなさ等の点から、より好ましくは90wt%以下であり、更に好ましくは80wt%以下であり、特に好ましくは50wt%以下であり、最も好ましくは40wt%以下である。
第二ブロックを構成する全モノマー量におけるカルボン酸基及び/又はエポキシ基を含有しない親水性ビニル系モノマー量は0〜99.9wt%が好ましい。この割合を99.9wt%以下とすることで、カルボン酸基及び/又はエポキシ基を含有しない親水性ビニル系モノマーと連結モノマーとが反応することにより第一ブロックとの連結が十分に行われやすい。第二ブロック中の、カルボン酸基及び/又はエポキシ基を含有しない親水性ビニル系モノマー量は、ガス相溶性及び柔軟性等の点から、より好ましくは80wt%以下であり、更に好ましくは50wt%以下であり、最も好ましくは30wt%以下である。
第二ブロックを構成する全モノマー量における疎水性ビニル系モノマー量は0〜90wt%が好ましい。この割合を90wt%以下とすることで、適度な親水性を付与でき頭髪への親和性が高くなる傾向がある。第二ブロック中の疎水性ビニル系モノマー量は、より好ましくは80wt%以下である。第二ブロックは、疎水性ビニル系モノマーを全く含まなくてもよいが、ガス相溶性及び柔軟性等の点から、疎水性ビニル系モノマー量は、より好ましくは10wt%以上であり、更に好ましくは30wt%以上であり、最も好ましくは50wt%以上である。
第一ブロック及び第二ブロックに含まれる親水性ビニル系モノマーとして好適なものは、下記一般式(2)及び/又は(3)の構造を有するものである。
CH2=C(R11)−CO−NR12R13 ・・・(2)
(式中、R11は水素原子又はメチル基を表し、R12及びR13はそれぞれ独立して水素原子、又は炭素数1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基、又は水酸基を有する炭素数1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基を表す。)
CH2=C(R14)−CO(O)−(CH2)a−(CHOH)b−O−R15
・・・(3)
(式中、R14は水素原子又はメチル基を表し、R15は水素原子又は炭素数1〜3の直鎖又は分岐のアルキル基を表し、aは1〜4の整数を表し、bは0又は1を表す。)
一般式(2)において、R11は水素原子が好ましく、R12及びR13はそれぞれ独立して水素原子、又は炭素数1〜3の水酸基を有していてもよいアルキル基が好ましい。R12,R13の炭素数1〜3のアルキル基としては例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。水酸基を有する炭素数1〜3のアルキル基としては、例えばヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基等が挙げられる。R12とR13の炭素数の和は2以上4以下が好ましく、最も好ましくは2である。
また、一般式(3)において、R14はメチル基が好ましく、R15はエチル基が好ましく、aは1〜3の整数が好ましく、最も好ましくは2である。bは0が好ましい。
一般式(2)で表されるビニル系モノマーとしては、この式に含まれるものであれば特に限定されないが、例えば、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミドなどのアルキルアクリルアミド類;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミドなどのジアルキルアクリルアミド類;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ビス(ヒドロキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミドなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド類;が挙げられる(ここで「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルを表す)。なかでも好ましくは、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミドである。
一般式(3)で表されるビニル系モノマーとしては、この式に含まれるものであれば特に限定されないが、例えば、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,2−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、メトキシメチル(メタ)アクリレート、エトキシメチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート類が挙げられる。なかでも好ましくは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,2−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレートである。
また、一般式(2)、(3)で表されるモノマー以外の親水性ビニル系モノマーとして、メチル(メタ)アクリレート等の短鎖アルキルアクリレート類;メチル(メタ)アクリルアミド、エチル(メタ)アクリルアミド、プロピル(メタ)アクリルアミド等の短鎖アルキルアミド類;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、トリメチルアンモニオエチル(メタ)アクリレート=クロライド、トリメチルアンモニオプロピル(メタ)アクリレート=クロライド、トリメチルアンモニオエチル(メタ)アクリルアミド=クロライド、トリメチルアンモニオエチル(メタ)アクリルアミド=クロライド等のカチオン性アクリル類;N−アクロイルモルホリン、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の環状構造を有するノニオン性アクリル類;(メタ)アクリル酸エチルカルボキシベタイン、(メタ)アクリアミドプロピルカルボキシベタイン、(メタ)アクリル酸エチルスルホベタイン、(メタ)アクリアミドプロピルスルホベタイン等のベタイン構造を有するアクリル類;(メタ)アクリル酸エチルジメチルアミンオキシド、(メタ)アクリアミドプロピルジメチルアミンオキシド等のアミンオキシド構造を有するアクリル類;なども使用することができる。
また、第一ブロックの親水性ビニル系モノマーとしては、第二ブロックに含まれるカルボン酸基及び/又はエポキシ基を含有するモノマーとして例示したものも使用することができる。
頭髪セット剤用として使用する場合には、頭髪への親和性及び水及び/又はエタノールへの溶解性、更には噴射剤への相溶性などの点から、第一ブロック及び第二ブロックに含まれる親水性ビニル系モノマーは、一般式(3)で表される親水性ビニル系モノマーが好ましく、好ましくは、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート類、より好ましくは、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシメチル(メタ)アクリレートである。
なお、親水性ビニル系モノマーは1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよく、一般式(2)又は(3)で表されるものを併用してもよい。
第一ブロック及び第二ブロックに含まれる疎水性ビニル系モノマーとして好適なものは、下記一般式(4)及び/又は(5)の構造を有するものである。
CH2=C(R16)−CO−O−R17 ・・・(4)
(式中、R16は水素原子又はメチル基を表し、R17は炭素数2〜30の直鎖、分岐又は環状のアルキル基を表す。)
CH2=C(R18)−CO−NH−R19 ・・・(5)
(式中、R18は水素原子又はメチル基を表し、R19は炭素数6〜30の直鎖、分岐又は環状のアルキル基を表す。)
一般式(4),(5)において、R16及びR18としてはメチル基が好ましく、R17としては炭素数2〜18のアルキル基が好ましく、より好ましくは4〜18のアルキル基である。R19としては炭素数6〜18のアルキル基が好ましい。
一般式(4)で表されるビニル系モノマーとしては、この式に含まれるものであれば特に限定されないが、例えば、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも好ましくは、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートである。
一般式(5)で表されるビニル系モノマーとしては、この式に含まれるものであれば特に限定されないが、例えば、ヘキシル(メタ)アクリルアミド、オクチル(メタ)アクリルアミド、2−エチルヘキシル(メタ)アクリルアミド、ラウリル(メタ)アクリルアミド、ステアリル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。なかでも好ましくは、オクチル(メタ)アクリルアミド、ラウリル(メタ)アクリルアミド、ステアリル(メタ)アクリルアミドである。
また、一般式(4)、(5)で表されるモノマー以外の疎水性ビニル系モノマーとしては、ベンジル(メタ)アクリレート、p−ブロモフェニル(メタ)アクリレート、p−t−ブチルフェニル(メタ)アクリレート等の芳香族基含有アクリル類;トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート等のフッ素含有アクリル類;ポリジメチルシロキサンアルキル(メタ)アクリレート等のシリコーンマクロモノマー類;なども使用することができる。
ブロックポリマーを頭髪セット剤用として使用する場合には、頭髪への親和性及び水及び/又はエタノールへの溶解性、噴射剤への相溶性、更には使用時における柔軟性などの点から、第一ブロック及び第二ブロックに含まれる疎水性ビニル系モノマーは一般式(4)で表される疎水性ビニル系モノマーが好ましい。
なお、疎水性ビニル系モノマーは1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよく、一般式(4)又は(5)で表されるものを併用してもよい。
本発明のブロックポリマーを構成する各ブロックの重量平均分子量は、それぞれ1,000〜500,000が好ましい。各ブロックの重量平均分子量を1,000以上とすることにより、各ブロックの性質がブロックポリマー全体へ反映されやすくなり、頭髪セット剤組成物としての用途において、セット力や柔軟性が向上する。より好ましくは重量平均分子量は3,000以上であり、更に好ましくは5,000以上である。重量平均分子量を500,000以下とすることにより、製造時の取り扱い性が容易になる。より好ましくは重量平均分子量は100,000以下であり、更に好ましくは50,000であり、最も好ましくは20,000以下である。
また、本発明のブロックポリマーの重量平均分子量は、3,000〜1,000,000が好ましい。重量平均分子量を3,000以上とすることにより、頭髪セット剤組成物としての用途において、セット力が高くなる。より好ましくは5,000以上であり、更に好ましくは10,000以上である。重量平均分子量を1,000,000以下とすることにより、製造時の取り扱い性が容易になる。より好ましくは500,000以下であり、更に好ましくは100,000であり、最も好ましくは50,000以下である。
本発明のブロックポリマーを構成する第一ブロックと第二ブロックとの重量比率は、1/99〜99/1の範囲であることが好ましい。これにより各ブロックの性質がブロックポリマー全体へ反映されやすくなり、頭髪セット剤組成物としての用途において、セット力や柔軟性が向上する。より好ましくは重量比率は1/50〜50/1であり、更に好ましくは1/9〜9/1であり、更に好ましくは1/3〜3/1であり、最も好ましくは1/2〜2/1である。
ポリマーの重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(例えば、展開溶媒として、テトラヒドロフランを用いる)により測定することができる。
尚、ブロックポリマーにおいて、各ブロックが極度に異なる性質を有している場合、ブロックの溶解性が異なるために単一の条件では分子量測定が正確に行いにくい場合がある。
分子量の大小は溶液粘度と比較的相関があることが知られていることから、このような場合は分子量に代えて溶液粘度で評価してもよい。
本発明のブロックポリマーは、25℃で20重量%エタノール溶液を調製しうる粘度を持つことが好ましく、より好ましくは25℃における20重量%エタノール溶液の粘度が5,000mPa・s以下であり、更に好ましくは1,000mPa・s以下、特に好ましくは500Pa・s以下である。一方、この粘度は通常10mPa・s以上、好ましくは30mPa・s以上、より好ましくは50mPa・s以上である。
ポリマーの分子量及び粘度の調整は、例えば、後述の本発明のブロックポリマーの製造方法において、ポリマーの重合度を制御することによって行うことができる。また多官能アクリレートなどの架橋剤の添加量を増減することによっても分子量及び粘度を制御することができる。但し、架橋剤は少しでも添加しすぎると分子量及び粘度が急激に増大してしまうなど、工業的に製造する上では添加量の制御が困難な面がある。このため架橋剤は用いないことが最も好ましい。
本発明のブロックポリマーは、酸価が200〜700mgKOH/gであることを特徴とする。本発明のブロックポリマーを頭髪セット剤用などに使用する場合に、酸価が200mgKOH/g以上であることにより柔軟性やベタツキのなさ、指通りの良さなどに優れる。また、酸価が700mgKOH/g以下であることにより、耐湿性などのに起因するカールリテンション特性を維持することが出来る。本発明のブロックポリマーの酸価は好ましくは250mgKOH/g以上、より好ましくは270mgKOH/g以上、更に好ましくは300mgKOH/g以上であり、好ましくは500mgKOH/g以下、より好ましくは450mgKOH/g以下である。
本発明のブロックポリマーの酸価の調整は、例えば
(1) 第二ブロック中のカルボン酸基を有するビニル系モノマーの含有量を調整する
(2) 第一ブロックと第二ブロックの比率を調整する
(3) カルボン酸基を有するビニル系モノマーのカルボン酸基の量を調整する
などにより行うことができる。
なお、本発明において、ブロックポリマーの酸価とは、後述の実施例の項に記載される方法で測定した実測値、或いは、ブロックポリマーの構成モノマーから算出された理論値のいずれかが本発明で規定される範囲に含まれていればよいが、実測値が本発明で規定される範囲に含まれることが好ましい。
本発明のブロックポリマーは、上述のように、比較的酸価の高いポリマーであるが、実施例に示されるように、均一で低粘度な溶液を与える。これは以下の理由による。
リビングラジカル重合などで合成した分子量分布の狭い、精密な構造を有するブロックポリマーは、溶液中でもある程度構造体を形成するため、高酸価で且つ疎水ブロックを有するブロックポリマーを合成すると、溶液においても高粘度となることがあるが、本発明のブロックポリマーは、各ブロックがある程度広い分子量分布を有していること、及び直鎖ではなく分岐した構造となっているため、均一で低粘度な溶液となると考えられる。
また、連結モノマー量を適宜調整することで、その組成、分子量に適した溶液物性、及び皮膜物性に調整することが可能である。
<好適態様>
本発明のブロックポリマーを頭髪セット剤組成物や頭髪化粧料用水系組成物に用いる場合、カールリテンション、柔軟性、指通りの良さに優れ、特にカールリテンションと指通りの良さが両立されたブロックポリマーとして、より好適な第一ブロック及び第二ブロックの構成は、それぞれ以下のモノマー組成を重合させて得られる構成である(以下に示す好適モノマー組成を「好適モノマー組成(2)」と称す場合がある)。
<<好適モノマー組成(2)>>
(I)第一ブロック
連結モノマー 0.1〜20wt%
アルキルアクリレート 1〜99.9wt%
アルキルメタクリレート 0〜98wt%
アルコキシアルキル(メタ)アクリレート 0〜98wt%
(II)第二ブロック
カルボン酸基を含有するビニル系モノマー 30〜100wt%
親水性ビニル系モノマー 0〜70wt%
(但し、カルボン酸基を含有しない親水性ビニル系モノマー)
疎水性ビニル系モノマー 0〜70wt%
特に、本発明のブロックポリマーを頭髪セット剤組成物や頭髪化粧料用水系組成物に用いる場合、カールリテンション、柔軟性、指通りの良さに優れ、特にカールリテンションと指通りの良さが両立されたブロックポリマーとして、より好適な第一ブロック及び第二ブロックの構成は、それぞれ以下のモノマー組成を重合させて得られる構成であり(以下に示す好適モノマー組成を「好適モノマー組成(3)」と称す場合がある)、連結モノマーが、前記一般式(1)で表されるオキサゾリン系官能基含有ビニル系モノマーであるものが挙げられ、このようなブロックポリマーであれば、特に本発明に好ましい300〜450mgKOH/gの酸価を得ることができる。
<<好適モノマー組成(3)>>
(I)第一ブロック
連結モノマー 0.1〜20wt%
アルキルアクリレート 60〜99.9wt%
アルキルメタクリレート 0〜98wt%
メトキシエチル(メタ)アクリレート 1〜39wt%
(II)第二ブロック
カルボン酸基を含有するビニル系モノマー 70〜100wt%
親水性ビニル系モノマー 0〜30wt%
(但し、カルボン酸基を含有しない親水性ビニル系モノマー)
疎水性ビニル系モノマー 0〜30wt%
好適モノマー組成(2),(3)において、第一ブロックを構成する全モノマー量における連結モノマー量は0.1〜20wt%である。前述の如く、第一ブロック中の連結モノマー割合を0.1wt%以上とすると、第一ブロックと第二ブロックの連結が確実に行いやすくなり効率的である。この割合は、より好ましくは0.2wt%以上であり、更に好ましくは0.5wt%以上である。また、第一ブロック中の連結モノマー割合が20wt%以下であると、分子量の制御がし易く、また重合中のゲル化もしにくく取り扱い易い傾向がある。この割合は、より好ましくは10wt%以下であり、更に好ましくは5wt%以下であり、特に好ましくは3wt%以下である。
この連結モノマーとしては、前記一般式(1)で表されるオキサゾリン系官能基含有ビニル系モノマーが好ましい。
第一ブロックを構成する全モノマー量におけるアルキルアクリレート量は1〜99.9wt%が好ましい。この割合を1wt%以上とすることにより、疎水性の付与とTgを低く保つことができ、カールリテンションや柔軟性及びフレーキングのなさを向上させることができるため好ましい。第一ブロック中のアルキルアクリレート量は、柔軟性をより一層良好なものとするために、より好ましくは20wt%以上であり、更に好ましくは60wt%以上である。また、アルキルアクリレート量を99.9wt%以下とすることにより、連結モノマーによる第二ブロックとの連結が十分に行われやすいため好ましく、また、その他のモノマーと共重合することで第一ブロックと第二ブロックとの相溶性が向上し、溶液の安定性や皮膜の均一性にも寄与することがあり好ましいことがある。アルキルアクリレートの割合は、より好ましくは98wt%以下であり、更に好ましくは90wt%以下である。
このアルキルアクリレートとしては、前記一般式(4)において、R16が水素原子であるものとして表されるアルキルアクリレート、例えば、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート等や、メチルアクリレートが挙げられる。なかでも好ましくは、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレートであり、更に好ましくは、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートである。
アルキルアクリレートは、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
第一ブロックを構成する全モノマー量におけるアルキルメタクリレート量は0〜98wt%が好ましい。この割合を98wt%以下とすることによりTgを低く保つことが出来、柔軟性やフレーキングのなさを維持できる。第一ブロック中のアルキルメタクリレート量はより好ましくは60wt%以下、更に好ましくは30wt%以下である。第一ブロックにアルキルメタクリレートは全く含まれていなくてもよいが、アルキルメタクリレートを含むことにより耐湿性が向上しカールリテンションを向上させることが出来る。その場合、第一ブロック中のアルキルメタクリレート量は、より好ましくは5wt%以上、更に好ましくは10wt%以上である。
このアルキルメタクリレートとしては、前記一般式(4)において、R16がメチル基であるものとして表されるアルキルメタクリレート、例えば、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等や、メチルメタクリレートが挙げられる。なかでも好ましくは、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレートである。
アルキルメタクリレートは、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
なお、第一ブロック中のアルキルアクリレートとアルキルメタクリレートとの合計の含有量は好ましくは30wt%以上、より好ましくは70wt%以上であり、好ましくは99wt%以下、より好ましくは95wt%以下である。
第一ブロックを構成する全モノマー量におけるアルコキシアルキル(メタ)アクリレート量は0〜98wt%であることが好ましい。この割合を98wt%以下とすることにより疎水性を維持でき、カールリテンションなどを良好に出来る。第一ブロック中のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート量は好ましくは70wt%以下、更に好ましくは39wt%以下である。第一ブロックにアルコキシアルキル(メタ)アクリレートは全く含まれていなくてもよいが、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシメチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、好ましくはメトキシエチル(メタ)アクリレートを含むことにより、頭髪用組成物としての用途において、毛先のなめらかさが改善され、好ましい。この場合、第一ブロック中のメトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート量は、より好ましくは1wt%以上、更に好ましくは5wt%以上である。
また、アルコキシアルキルアクリレートを用いると、アルキルアクリレートとの共重合性に優れているため好ましい。また、毛先のなめらかさも更に向上するため好ましい。
このアルコキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、前記一般式(3)で表されるアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、例えば、メトキシメチル(メタ)アクリレート、エトキシメチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも好ましくは、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、特に好ましくはメトキシエチル(メタ)アクリレートであり、とりわけメトキシエチルアクリレートが好ましい。
アルコキシアルキル(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
好適モノマー組成(2),(3)において、第二ブロックを構成する全モノマー量におけるカルボン酸基を含有するビニル系モノマー量は30〜100wt%が好ましい。この割合を30wt%以上とすることで、連結モノマーによる第一ブロックとの連結が十分に行われやすくなる。この割合は、より好ましくは50wt%以上であり、更に好ましくは70wt%以上である。
また、第二ブロックを構成するカルボン酸基を含有するビニル系モノマーは第一ブロックを構成する連結モノマーよりも多いことが好ましい。このとき、第二ブロックを構成するカルボン酸基を含有するビニル系モノマーのうち一部は連結モノマーとの反応に寄与するが、余剰分については親水性モノマーとして働く。
第二ブロックを構成する全モノマー量におけるカルボン酸基を含有しない親水性ビニル系モノマー量は0〜70wt%、特に0〜30wt%が好ましい。第二ブロック中のカルボン酸基を含有しない親水性ビニル系モノマー量を70wt%以下とすることで、カルボン酸基を含有する親水性ビニル系モノマーと連結モノマーとが反応することにより第一ブロックとの連結が十分に行われやすくなる。第二ブロック中のカルボン酸基を含有しない親水性ビニル系モノマー量は、柔軟性等の点から、より好ましくは50wt%以下であり、更に好ましくは30wt%以下であり、最も好ましくは20wt%以下である。カルボン酸基を含有しない親水性ビニル系モノマーは、第二ブロック中に含まれていなくてもよいが、第二ブロック中のカルボン酸基を含有するビニル系モノマーの量が少ない場合には、カルボン酸基を含有しない親水性ビニル系モノマーを使用することで水溶性が付与されるため好ましい。この場合、この割合は、より好ましくは5wt%以上であり、更に好ましくは10wt%以上である。
第二ブロックを構成する全モノマー量における疎水性ビニル系モノマー量は0〜70wt%、特に0〜30wt%が好ましい。この割合を70wt%以下とすることで、適度な親水性を付与でき、頭髪への親和性が高くなる傾向がある。第二ブロック中の疎水性ビニル系モノマー量は、より好ましくは40wt%以下であり、更に好ましくは30wt%以下であり、最も好ましくは20wt%以下である。第二ブロックは、疎水性ビニル系モノマーを全く含まなくてもよいが、柔軟性等の点から、疎水性ビニル系モノマー量は、より好ましくは1wt%以上であり、更に好ましくは3wt%以上であり、最も好ましくは5wt%以上である。
なお、上記好適モノマー組成(2),(3)における第二ブロックに含まれるカルボン酸基を含有しない親水性ビニル系モノマー、及び疎水性ビニル系モノマーとしては、それぞれ前述の好適モノマー組成(1)における親水性ビニル系モノマー及び疎水性ビニル系モノマーとして例示したものの1種又は2種以上を用いることができ、その好適なビニル系モノマーについても同様である。
[本発明のブロックポリマーの製造方法]
本発明のブロックポリマーは、例えば、それぞれの構成単位を与える単量体又はその前駆体を混合し、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等を行うことにより製造することができる。
また、原料モノマーについては、重合する際には前駆体を使用して、重合後に中和反応や付加反応などにより所望の形態に変化させることもできる。これらはその合成のし易さにより適宜選択して行うことができる。
重合反応は親水性溶媒中で行うのが好ましい。
親水性溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール等のアルコール系溶媒、水等が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。なかでもアルコール系溶媒を用いることが好ましい。
重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等のアゾ化合物、ベンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等の過酸化物、過硫酸塩、又はそのレドックス系など、特に限定することなく用いることができる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
重合開始剤は全単量体に対して、0.01〜5質量%の範囲で用いることが好ましい。
重合反応は、例えば、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で、好ましくは30〜120℃、より好ましくは40〜100℃で通常1〜30時間行うことができる。重合終了後は、生成したポリマーを、溶媒留去、貧溶媒の添加など適宜の手段で反応液から単離するとよい。このポリマーはそのまま、又は更に精製して、例えば化粧料の製造に用いることができる。精製は再沈澱、溶媒洗浄、膜分離など、適宜の手段を必要に応じて組み合わせて行うことができる。
以下に、ビニル系官能基を有するモノマーからなり、互いに異なるモノマー組成を有する第一ブロック及び第二ブロックが、ラジカル重合性ビニル系官能基と非ラジカル重合性官能基とを有する連結モノマーを介して結合されてなる本発明のブロックポリマーを製造する好ましい方法について、以下の<方法1>及び<方法2>を例示して説明する。
<方法1>
連結モノマーを含む第一ブロック構成ビニル系モノマーをラジカル重合して第一ブロックを得る工程の後、該連結モノマーの非ラジカル重合性官能基に、該非ラジカル重合性官能基と反応しうる官能基を持つビニル系モノマーを付加させる工程(付加工程)と、第二ブロック構成ビニル系モノマーをラジカル重合させ第二ブロックを得る工程(第二ブロック重合工程)とを行いブロックポリマーを得る。その際、付加工程と第二ブロック重合工程は、どちらが先でもよいし同時に行ってもよい。
例えば、まずラジカル重合性ビニル系官能基とオキサゾリン系官能基とを持つ連結モノマーを用い、連結モノマーを含む第一ブロックを形成する。次いで、カルボン酸基とビニル系官能基を有するモノマーを加え、オキサゾリン系官能基とカルボン酸基とを反応させる。更に第二ブロックを構成する他のモノマーを添加して重合させることにより、ブロックポリマーを得ることができる。
又は、カルボン酸基とビニル系官能基を有するモノマーを含む第二ブロックを構成する他のモノマーを重合して第二ブロックを別途形成しておき、第一ブロックのオキサゾリン系官能基と第二ブロックのカルボン酸基を反応させて、ブロックポリマーとしてもよい。
更には、第一ブロック形成後、カルボン酸基とビニル系官能基を有するモノマーを含む第二ブロックを構成する他のモノマーを添加し、同時に重合及び反応させても、ブロックポリマーを得ることができる。この方法によれば最も簡便にブロックポリマーを得ることができる。
<方法2>
非ラジカル重合性官能基と反応しうる官能基を持つビニル系モノマーを含む第二ブロック構成ビニル系モノマーをラジカル重合して第二ブロックを得る工程の後、該官能基に該連結モノマーを付加させる工程(付加工程)と、第一ブロック構成ビニル系モノマーをラジカル重合させ第一ブロックを得る工程(第一ブロック重合工程)とを行いブロックポリマーを得る。その際、付加工程と第一ブロック重合工程は、どちらが先でもよいし同時に行ってもよい。
例えば、まずカルボン酸基を持つビニル系官能基を有するモノマーを含む第二ブロックを構成する他のモノマーを予め重合して第二ブロックを形成する。次いで、オキサゾリン系官能基とラジカル重合性ビニル系官能基を持つ連結モノマーを加え、オキサゾリン系官能基とカルボン酸基を反応させる。更に第一ブロックを構成する他のモノマーを添加して重合させることにより、ブロックポリマーを得ることができる。
又は、連結モノマーを含む第一ブロックを構成する他のモノマーを重合して第一ブロックを別途形成しておき、第二ブロックのカルボン酸基と第一ブロックのオキサゾリン系官能基を反応させて、ブロックポリマーとしてもよい。
更には、第二ブロック形成後、連結モノマーを含む第一ブロック構成モノマーを添加し、同時に重合及び反応させても、ブロックポリマーを得ることができる。この方法によれば最も簡便にブロックポリマーを得ることができる。
上記方法1と方法2を比較すると、反応性の高さ及び反応の容易性から方法1の方が好ましい。
[本発明のブロックポリマーの用途及び化粧料組成物]
本発明のブロックポリマーは、帯電防止剤やハードコート剤などの表面処理剤や、塗料や化粧品、農薬剤、医薬品などの増粘剤又は分散剤などとして有用である。
<化粧料組成物>
化粧料組成物においては、本発明のブロックポリマーを0.01〜50wt%含有することが好ましい。化粧料組成物中のポリマー配合効果を十分なものとするためには本発明のブロックポリマーの含有量は0.01wt%以上が好ましい。より好ましいブロックポリマー含有量は0.1wt%以上であり、更に好ましくは0.3wt%以上である。また、粘度が適度で取り扱いがし易い点及びコストの点から、ブロックポリマー含有量は50wt%以下が好ましく、より好ましくは20wt%以下であり、更に好ましくは10wt%以下であり、最も好ましくは5wt%以下である。
<頭髪セット剤組成物>
本発明のブロックポリマーは、化粧料組成物の中でも頭髪セット剤組成物に好適に使用することができ、この場合の好ましい配合組成は以下の通りである。
本発明のブロックポリマー 0.1〜20wt%
水 0〜99wt%
エタノール 0〜99wt%
LPG又は/及びDME 0〜70wt%
(但し、水、エタノール、LPG又は/及びDMEを合計して49.9〜99.9wt%)
添加剤 0〜50wt%
本発明の頭髪セット剤組成物において、本発明のブロックポリマーは0.1〜20wt%含有することが好ましい。即ち、セット力を十分なものとするためにはブロックポリマー含有量は0.1wt%以上が好ましく、より好ましくは1wt%以上であり、更に好ましくは2wt%以上である。また、粘度が適度で取り扱いがし易い点及びコストの点から、ブロックポリマー含有量は20wt%以下が好ましく、より好ましくは10wt%以下であり、更に好ましくは5wt%以下である。
ポリマーを溶解する効果のある水及びエタノール、LPG(液化石油ガス)又は/及びDME(ジメチルエーテル)の量は、通常、これらを合計して49.9〜99.9wt%の範囲とするのが好ましい。セット力を十分なものとするためには、これらの溶剤の含有量は99.9wt%以下が好ましく、粘度が適度で取り扱いがし易い点及びコストの点から、49.9wt%以上が好ましい。
また好ましくは、エタノールの含有量0〜99wt%、水の含有量0〜99wt%、LPG又は/及びDMEの含有量0〜70wt%の範囲とするが、これらの比率は製品形態により適宜選ぶことができる。
噴射剤として揮発性のガスを使用するいわゆるスプレー用には、水の含有量は5wt%以下が好ましく、更に好ましくは3%以下、最も好ましくは1%以下である。その際にはエタノールの含有量は20〜80wt%が好ましく、更に好ましくは30〜70wt%、最も好ましくは40〜60wt%である。その際にLPG又は/及びDMEの含有量はポリマーを溶解する以外に噴射剤としても働くため、10〜70wt%が好ましく、更に好ましくは30〜60wt%であり、最も好ましくは40〜60wt%である。
なお、ここでいうLPGとはブタン、プロパンなどを主成分とする液化石油ガスのことである。LPGの組成については特に限定しないが、好ましくはプロパンとブタンが全体の80wt%以上であり、更に好ましくは90wt%以上である。また、プロパンとブタンの重量比率は好ましくは9:1〜1:9であり、より好ましくは9:1〜5:5であり、更に好ましくは8:2〜6:4である。また、ブタンとしてはn−ブタンやiso−ブタンを使用することができる。
また、上記組成に含まれないその他の噴射剤として、二酸化炭素なども使用することができる。
頭髪セット剤として使用する際には、その性能を著しく阻害しない範囲内で添加剤を配合することができ、その含有量は0〜50wt%が好ましい。有効成分の性能を付与し性能を阻害しないためには、その他の添加剤の含有量は好ましくは0.1〜30wt%であり、更に好ましくは0.5〜10wt%であり、最も好ましくは0.5〜5wt%である。
好ましくは、頭髪セット剤組成物が、添加剤の1つとしてシリコーン類を0.1〜10wt%含有する組成が挙げられる。髪にツヤを与え、櫛通りを良くするために、頭髪セット剤組成物はシリコーン類を0.1wt%以上含有することが好ましく、より好ましくは0.2wt%以上であり、更に好ましくは0.3wt%以上であり、最も好ましくは0.5wt%以上である。また、粘度が適度で取り扱いがし易い点及びコストの点から、シリコーン類の含有量は10wt%以下が好ましく、より好ましくは5wt%以下であり、更に好ましくは2wt%以下である。
ここで、シリコーン類とは、有機基が結合したケイ素(オルガノシリコン)と酸素が、化学結合で交互に連なってできた構造をもつポリマーを言う。これらはさらに置換基を有していてもよい。
シリコーン類としては、特に限定されないが、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリジメチルシロキサンアルキレンオキシド共重合体、アミノ変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、エポキシ変性ポリジメチルシロキサン、フッ素変性ポリジメチルシロキサン、アルコール変性ポリジメチルシロキサン、アルキル変性ポリジメチルシロキサン、アルコキシ変性ポリジメチルシロキサン及び環状シリコーンなどが挙げられる。これらは特開2000−336018号公報に記載されている。
ポリジメチルシロキサンとしては、「KF96H−100万」(信越化学工業株式会社)、「SH200」、「BY11−007」、「BY22−029」(いずれも東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)、「TSF451」(東芝シリコーン株式会社)や、「L−45」(日本ユニカー株式会社)として市販されているものが挙げられる。
ポリジメチルシロキサンアルキレンオキシド共重合体としては、「F−178−21」(日本ユニカー株式会社)として市販されているものが挙げられる。
アミノ変性ポリジメチルシロキサンとしては、例えば、アミノエチル基、アミノプロピル基等のアミノアルキル基を有するものが挙げられ、アルキル基や水酸基等の置換基を有していてもよい。置換基のアルキル基としては炭素数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基が好ましい。
これらのアミノ変性ポリジメチルシロキサンは、ジメチルシロキサンと、前記アミノアルキル基を有するシロキサンとを共重合させるか、又はポリジメチルシロキサンを前述のアミノアルキル基を有する化合物で後変性してポリジメチルシロキサン骨格にアミノアルキル基を導入することにより得られる。
アミノ変性ポリジメチルシロキサンの市販品としては、例えば、「USAR SILICONE ALE56」(ユニオン・カーバイド社)、「ABIL9905」(ザ・ゴールドシュミットAG社)、「KF857」、「KF867」、「KF865」(いずれも信越化学工業株式会社)、「SM8702C」(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)、「FZ−3707」(日本ユニカー株式会社)等がある。
ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとしては、例えば、オキシエチレン、オキシプロピレン、オキシブチレン、オキシペンタメチレン、オキシヘキサメチレン、オキシ(2,2−ジメチル)プロピレン等の単量体骨格を有するもの、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリオキシペンタメチレン、ポリオキシヘキサメチレン等の単独重合体骨格又はポリ(オキシエチレンオキシプロピレン)共重合体等の共重合体骨格のオキシアルキレン基を有するものが挙げられる。これらは水酸基やアルキル基等の置換基を有していてもよい。置換基のアルキル基としては炭素数1〜12の直鎖又は分岐のアルキル基が好ましい。特に好ましいのは、重合体骨格のオキシアルキレン基を有するものである。
このようなオキシアルキレン基を有する変性ポリジメチルシロキサンの製造方法としては、例えば、ジメチルシロキサンと、オキシアルキレン基を有するシロキサンとを共重合させる方法や、ポリジメチルシロキサンを前記オキシアルキレン基を有する化合物で後変性して、ポリジメチルシロキサン骨格にオキシアルキレン基を導入する方法等がある。
ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとして最も好ましくは、ジメチルシロキサンと、前記重合体骨格のオキシアルキレン基を有するシロキサンとを共重合させて得たものである。
ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの市販品としては、例えば、「KF945A」、「KF351A」、「KF354A」(信越化学工業株式会社)、「SH3771C」、「SH3749」(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)、「L−7602C」、「L−720」(日本ユニカー株式会社)、「SF1066」(ゼネラル・エレクトリックス・カンパニー)などがある。
メチルフェニルポリシロキサンとしては、「KF56」(信越化学工業株式会社)、「SH556」(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)、「FZ−209」(日本ユニカー株式会社)などが市販されている。
エポキシ変性ポリジメチルシロキサンとしては、「X−60−164」(信越化学工業株式会社)、「PS922」(チッソ株式会社)、「L−9300」(日本ユニカー株式会社)などが市販されている。
フッ素変性ポリジメチルシロキサンとしては、「X−22−820」(信越化学工業株式会社)、「PS182」(チッソ株式会社)などが市販されている。
アルコール変性ポリジメチルシロキサンとしては、「KF851」(信越化学工業株式会社)、「FM4411」(チッソ株式会社)、「FZ−3722」、「F−235−21」(日本ユニカー株式会社)などが市販されている。
アルキル変性ポリジメチルシロキサンとしては、「KF410」、「KF−413」(信越化学工業株式会社)、「PS130」、「PS137」(チッソ株式会社)などが市販されている。
アルコキシ変性ポリジメチルシロキサンとしては、「PS912」(チッソ株式会社)、「FZ−3701」(日本ユニカー株式会社)などが市販されている。
環状シリコーンとしては、「SH244」、「SH245」、「SH246」(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)などが市販されている。
これらのシリコーン類は1種類を単独で用いてもよいし2種類以上を併用してもよい。
本発明の頭髪セット剤組成物に配合しうる添加剤としては、他に、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、半極性界面活性剤、高級アルコール、水溶性高分子、カチオン性高分子、アニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分子、油分、パール化剤、懸濁剤等が挙げられる。
これら配合してもよい成分について以下に例示するが、これらに限定されるものではない。
アニオン界面活性剤としては、例えば、α−オレフィンスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、パラフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸塩、N−アシル−β−アラニン塩、N−アシルグルタミン酸塩、アシルメチルタウリン塩等の洗浄剤組成物に常用されているものを用いうる。これらのアニオン界面活性剤の対イオンとしては、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどが挙げられる。アニオン界面活性剤は1種類を単独で用いてもよいし2種類以上を併用してもよい。
カチオン界面活性剤としては、例えば、長鎖アルキル基含有4級アンモニウム塩が好ましい。長鎖アルキル基としては炭素数6〜24のものが好ましい。長鎖アルキル基含有4級アンモニウム塩としては例えば、セチルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、ベヘニルトリメチルアンモニウム塩、セチルジメチルベンジルアンモニウム塩、ステアリルジメチルベンジルアンモニウム塩、ベヘニルジメチルベンジルアンモニウム塩などの長鎖が一つのものや、ジセチルジメチルアンモニウム塩、ジステアリルトリメチルアンモニウム塩、ジベヘニルトリメチルアンモニウム塩、ジセチルメチルベンジルアンモニウム塩、ジステアリルメチルベンジルアンモニウム塩、ジベヘニルメチルベンジルアンモニウム塩などの長鎖が二つのものや、トリセチルメチルアンモニウム塩、トリステアリルメチルアンモニウム塩、トリベヘニルメチルアンモニウム塩などの長鎖が三つのものが挙げられる。なかでも長鎖が一つ又は二つのものが好ましく、長鎖が一つのものが更に好ましい。これらは1種類を単独で用いてもよいし2種類以上を併用してもよい。
両性界面活性剤としては、例えば、アミノ酢酸ベタイン、イミダゾリウムベタイン、スルホベタイン、アミドプロピルベタインなどベタイン基と長鎖アルキル基を含有するもの等が挙げられる。これらは1種類を単独で用いてもよいし2種類以上を併用してもよい。
ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテルや脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸ジエタノールアミドなどが挙げられる。これらは1種類を単独で用いてもよいし2種類以上を併用してもよい。
半極性界面活性剤としては、例えば、ラウラミンオキシド(ラウリルジメチルアミンオキシド)が挙げられる。このような界面活性剤は一般に市販されており、そのまま使用することができる。これらは1種類を単独で用いてもよいし2種類以上を併用してもよい。
水溶性高分子としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等が挙げられる。これらは1種類を単独で用いてもよいし2種類以上を併用してもよい。
高級アルコールは長鎖のアルキル基及び水酸基を有する化合物であれば特に限定されないが、アルキル基の炭素数が6〜24で、直鎖又は分岐アルキル基であるものが好ましい。高級アルコールは水酸基を二つ以上有するものでもよいが、好ましくは水酸基を一つのみ有するものであり、例えば、オクチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールなどが挙げられる。なかでもセチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールが好ましい。これらは1種類を単独で用いてもよいし2種類以上を併用してもよい。
カチオン性高分子としては、例えば、カチオン変性セルロースエーテル誘導体、ポリジメチルジアリルアンモニウムハライド、ジメチルジアリルアンモニウムハライドとアクリルアミドのコポリマー等が挙げられる。これらは1種類を単独で用いてもよいし2種類以上を併用してもよい。
アニオン性高分子としては、例えば、アクリル酸誘導体(ポリアクリル酸及びその塩、アクリル酸−アクリルアミド−アクリル酸エチル共重合体及びその塩等)、メタクリル酸誘導体、クロトン酸誘導体等が挙げられる。これらは1種類を単独で用いてもよいし2種類以上を併用してもよい。
ノニオン性高分子としては、例えば、アクリル酸誘導体(アクリル酸ヒドロキシエチル−アクリル酸メトキシエチル共重合体、ポリアクリルアミド等)、ビニルピロリドン誘導体(ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体等)が挙げられる。これらは1種類を単独で用いてもよいし2種類以上を併用してもよい。
両性高分子としては、例えば、塩化ジメチルジアリルアンモニウム誘導体(アクリルアミド−アクリル酸−塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、アクリル酸−塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体等)等が挙げられる。これらは1種類を単独で用いてもよいし2種類以上を併用してもよい。
油分としては、例えば、オリーブ油、ホホバ油、流動パラフィン、脂肪酸アルキルエステル油等が挙げられる。これらは1種類を単独で用いてもよいし2種類以上を併用してもよい。
パール化剤としては、例えば、ジステアリン酸エチレングリコールなどの脂肪酸エチレングリコール等が挙げられる。これらは1種類を単独で用いてもよいし2種類以上を併用してもよい。
懸濁剤としては、例えば、ポリスチレン乳化物等が挙げられる。これらは1種類を単独で用いてもよいし2種類以上を併用してもよい。
その他の成分として、動植物の天然エキス及びその誘導体、クエン酸、乳酸等の有機酸、塩化ナトリウム等の無機塩、可溶化剤(エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等)、保湿剤(グリセリン、ソルビトール、マルチトール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ヒアルロン酸等)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、殺菌剤、防腐剤、キレート剤、香料、色剤、高級脂肪酸、増粘剤、金属封鎖剤(エデト酸塩等)、pH調整剤、起泡増進剤等の1種又は2種以上を本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合できる。
<頭髪化粧料用水系組成物>
本発明のブロックポリマーは、頭髪化粧料用水系組成物にも好適に使用することができ、この場合の好ましい配合組成は以下の通りである。
本発明のブロックポリマー 0.1〜20wt%
水 40〜99wt%
エタノール 0〜40wt%
添加剤 0〜50wt%
本発明の頭髪化粧料用水系組成物において、本発明のブロックポリマーは0.1〜20wt%含有することが好ましい。即ち、セット力を十分なものとするためにはブロックポリマー含有量は0.1wt%以上が好ましく、より好ましくは1wt%以上であり、更に好ましくは2wt%以上である。また、粘度が適度で取り扱いがし易い点及びコストの点から、ブロックポリマー含有量は20wt%以下が好ましく、より好ましくは10wt%以下であり、更に好ましくは5wt%以下である。
ポリマーを溶解する効果のある水の量は、通常40〜99wt%の範囲とするのが好ましい。セット力を十分なものとするためには、水の含有量は99wt%以下が好ましく、粘度が適度で取り扱いがし易い点及びコストの点から、40wt%以上が好ましい。
また、疎水性の高いものを含んでいる場合には、エタノールを使用することにより溶解性を高めることができる。エタノールの含有量は通常40wt%以下が好ましい。揮発性有機溶媒を低減する目的においては、エタノール含量は少ない方が好ましく、より好ましくは30wt%以下であり、更に好ましくは20wt%以下であり、特に好ましくは10wt%以下であり、最も好ましくは5wt%以下である。
頭髪化粧料用水系組成物として使用する際には、その性能を著しく阻害しない範囲内で添加剤を配合することができ、その含有量は0〜50wt%が好ましい。有効成分の性能を付与し性能を阻害しないためには、その他の添加剤の含有量は好ましくは0.1〜30wt%であり、更に好ましくは0.5〜10wt%であり、最も好ましくは0.5〜5wt%である。
好ましくは、頭髪化粧料用水系組成物が、添加剤の1つとしてシリコーン類を0.1〜10wt%含有する組成が挙げられる。髪にツヤを与え、櫛通りを良くするために、頭髪化粧料用水系組成物はシリコーン類を0.1wt%以上含有することが好ましく、より好ましくは0.2wt%以上であり、更に好ましくは0.3wt%以上であり、最も好ましくは0.5wt%以上である。また、粘度が適度で取り扱いがし易い点及びコストの点から、シリコーン類の含有量は10wt%以下が好ましく、より好ましくは5wt%以下であり、更に好ましくは2wt%以下である。
ここで、シリコーン類とは、有機基が結合したケイ素(オルガノシリコン)と酸素が、化学結合で交互に連なってできた構造をもつポリマーを言う。これらはさらに置換基を有していてもよい。
また、本発明の頭髪化粧料用水系組成物に配合しうる添加剤としては、他に、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、半極性界面活性剤、高級アルコール、水溶性高分子、カチオン性高分子、アニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分子、油分、パール化剤、懸濁剤等が挙げられる。
シリコーン類及びその他の添加剤の具体的な例は、既述の頭髪セット剤組成物に使用し得る例として挙げたものと同様である。
<化粧料用洗浄剤組成物>
本発明のブロックポリマーは、化粧料用洗浄剤組成物にも好適に使用することができ、この場合の好ましい配合組成は以下の通りである。
本発明のブロックポリマー 0.1〜20wt%
水 40〜99wt%
界面活性剤 1〜40wt%
添加剤 0〜50wt%
本発明の化粧料用洗浄剤組成物において、本発明のブロックポリマーは0.1〜20wt%含有することが好ましい。即ち、すすぎ時のなめらかさや乾燥後の感触を十分なものとするためにはブロックポリマー含有量は0.1wt%以上が好ましく、より好ましくは0.2wt%以上であり、更に好ましくは0.3wt%以上である。また、粘度が適度で取り扱いがし易い点及びコストの点から、ブロックポリマー含有量は20wt%以下が好ましく、より好ましくは5wt%以下であり、更に好ましくは1wt%以下である。
ポリマーを溶解する効果のある水の量は、通常40〜99wt%の範囲とするのが好ましい。すすぎ時のなめらかさや乾燥後の感触及び洗浄性を十分なものとするためには、水の含有量は99wt%以下が好ましく、より好ましくは90wt%以下であり、更に好ましくは80wt%以下であり、最も好ましくは70wt%以下である。粘度が適度で取り扱いがし易い点及びコストの点から、40wt%以上が好ましく、より好ましくは50wt%以上であり、更に好ましくは60wt%以上である。
洗浄性を付与するための界面活性剤量は、通常1〜40wt%の範囲とするのが好ましい。洗浄性を十分なものとするためには、界面活性剤の含有量は1wt%以上が好ましく、より好ましくは5wt%以上が好ましく、更に好ましくは10wt%以上であり、最も好ましくは15wt%以上である。粘度が適度で取り扱いがし易い点及びコストの点から、40wt%以下が好ましく、より好ましくは30wt%以下であり、更に好ましくは20wt%以下である。
界面活性剤の種類としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、半極性界面活性剤が挙げられる。なかでも、洗浄剤の主成分としては洗浄力の優れたアニオン界面活性剤を含むことが好ましい。
化粧料用洗浄剤組成物中のアニオン界面活性剤の含有量は、好ましくは5〜20wt%であり、より好ましくは5〜15wt%であり、更に好ましくは7〜13wt%である。
アニオン界面活性剤としては、例えば、α−オレフィンスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、パラフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸塩、N−アシル−β−アラニン塩、N−アシルグルタミン酸塩、アシルメチルタウリン塩等の洗浄剤組成物に常用されているものを用いうる。これらのアニオン界面活性剤の対イオンとしては、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどが挙げられる。なかでも、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩が好適に用いられる。アニオン界面活性剤は1種類を単独で用いてもよいし2種類以上を併用してもよい。
両性界面活性剤は泡立ちを助ける効果があるため、アニオン界面活性剤と併用することが好ましい。化粧料用洗浄剤組成物中の両性界面活性剤の含有量は、好ましくは1〜10wt%であり、より好ましくは3〜10wt%であり、更に好ましくは3〜8wt%である。
両性界面活性剤としては、例えば、アミノ酢酸ベタイン、イミダゾリウムベタイン、スルホベタイン、アミドプロピルベタインなどベタイン基と長鎖アルキル基を含有するもの等が挙げられる。なかでも、アルキルアミドプロピルベタイン等が好適に用いられる。これらは1種類を単独で用いてもよいし2種類以上を併用してもよい。
半極性界面活性剤はすすぎ時のなめらかさを向上する効果があるため、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤と共に併用することが好ましい。このとき、化粧料用洗浄剤組成物中の半極性界面活性剤の含有量は、好ましくは0.1〜5wt%であり、より好ましくは0.5〜5wt%であり、更に好ましくは0.5〜3wt%であり、最も好ましくは0.5〜2wt%である。
半極性界面活性剤としては、例えば、ラウラミンオキシド(ラウリルジメチルアミンオキシド)が挙げられ、好適に用いることができる。このような界面活性剤は一般に市販されており、そのまま使用することができる。これらは1種類を単独で用いてもよいし2種類以上を併用してもよい。
カチオン界面活性剤は乾燥後の感触を改善する効果があり、好適に用いることができる。化粧料用洗浄剤組成物中のカチオン界面活性剤の含有量は、好ましくは0〜3wt%であり、より好ましくは0.1〜2wt%であり、更に好ましくは0.2〜1wt%である。
カチオン界面活性剤としては、例えば、長鎖アルキル基含有4級アンモニウム塩が好ましい。長鎖アルキル基としては炭素数6〜24のものが好ましい。長鎖アルキル基含有4級アンモニウム塩としては例えば、セチルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、ベヘニルトリメチルアンモニウム塩、セチルジメチルベンジルアンモニウム塩、ステアリルジメチルベンジルアンモニウム塩、ベヘニルジメチルベンジルアンモニウム塩などの長鎖が一つのものや、ジセチルジメチルアンモニウム塩、ジステアリルトリメチルアンモニウム塩、ジベヘニルトリメチルアンモニウム塩、ジセチルメチルベンジルアンモニウム塩、ジステアリルメチルベンジルアンモニウム塩、ジベヘニルメチルベンジルアンモニウム塩などの長鎖が二つのものや、トリセチルメチルアンモニウム塩、トリステアリルメチルアンモニウム塩、トリベヘニルメチルアンモニウム塩などの長鎖が三つのものが挙げられる。なかでも長鎖が一つ又は二つのものが好ましく、長鎖が一つのものが更に好ましい。これらは1種類を単独で用いてもよいし2種類以上を併用してもよい。
ノニオン界面活性剤は増粘効果を有するため好適に用いることができる。化粧料用洗浄剤組成物中のノニオン界面活性剤の含有量は、好ましくは0〜5wt%であり、より好ましくは0.1〜3wt%であり、更に好ましくは0.2〜1wt%である。
ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテルや脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸ジエタノールアミドなどが挙げられる。これらは1種類を単独で用いてもよいし2種類以上を併用してもよい。
化粧料用洗浄剤組成物として使用する際には、その性能を著しく阻害しない範囲内で添加剤を配合することができ、その含有量は0〜50wt%が好ましい。有効成分の性能を付与し性能を阻害しないためには、その他の添加剤の含有量は好ましくは0.1〜30wt%であり、更に好ましくは0.5〜10wt%であり、最も好ましくは0.5〜5wt%である。
好ましくは、化粧料用洗浄剤組成物が、添加剤の1つとしてシリコーン類を0.1〜10wt%含有する組成が挙げられる。髪にツヤを与え、櫛通りを良くするために、化粧料用洗浄剤組成物はシリコーン類を0.1wt%以上含有することが好ましく、より好ましくは0.2wt%以上であり、更に好ましくは0.3wt%以上であり、最も好ましくは0.5wt%以上である。また、粘度が適度で取り扱いがし易い点及びコストの点から、シリコーン類の含有量は10wt%以下が好ましく、より好ましくは5wt%以下であり、更に好ましくは2wt%以下である。
ここで、シリコーン類とは、有機基が結合したケイ素(オルガノシリコン)と酸素が、化学結合で交互に連なってできた構造をもつポリマーを言う。これらはさらに置換基を有していてもよい。
また、本発明の化粧料用洗浄剤組成物に配合しうる添加剤としては、他に、高級アルコール、水溶性高分子、カチオン性高分子、アニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分子、油分、パール化剤、懸濁剤等が挙げられる。
シリコーン類及びその他の添加剤の具体的な例は、既述の頭髪セット剤組成物で挙げた例と同様である。
以下に実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例に限定されるものではない。
[ブロックポリマーの合成]
<実施例1〜6:本発明ポリマー(1)〜(6)の製造>
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素ガス導入管及び撹拌装置を備えた反応器にエタノール200重量部を仕込み、反応器内を窒素置換した。反応器を80℃に加熱し、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート0.5重量部を投入し攪拌した。表−1の組成Aに記載のモノマー及び溶媒aの均一混合液を1時間かけて反応器に滴下した。滴下終了から3時間加熱攪拌を継続した。
続いてジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートを0.5重量部を投入し攪拌した後、表−1の組成Bのモノマー類及び溶媒bの均一混合液を、この反応器に1時間かけて滴下した。滴下終了から1時間後及び4時間後に、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレートをそれぞれ0.5重量部添加した。その後更に3時間加熱攪拌を継続し、冷却した。
以上の実施例1〜6で合成されたポリマー(1)〜(6)について、ポリマー固形分20重量%のエタノール溶液において粘度と透過率を測定すると共に、酸価を測定した。
粘度の測定は、B型粘度計を用い、ローターNo.2を使用して30rpm、25℃で実施した。
透過率の測定は、1cmセル、波長550nm、比較対照液としてエタノールを使用したときの透過率を分光光度計にて実施した。
酸価の測定は、ポリマーを100gの蒸留水に溶解又は分散させたものを、0.1N水酸化カリウム水溶液にて滴定し、ポリマー1g当たりの水酸化カリウム必要量を求めた。
これらの測定結果を表−1に記載した。
<比較例1〜3:比較例ポリマー(7)〜(9)の製造>
モノマー組成を表−2に記載の組成にした以外は、実施例1と同様にしてポリマー(7)〜(9)を合成した。
以上の比較例1〜3で合成されたポリマー(7)〜(9)について、実施例1と同様にして粘度、透過率、酸価を測定した。
なお、ポリマー(7)においては、20重量%のエタノール溶液が相分離した。
その他の結果を表−2に記載した。
[性能評価]
ポリマー(1)〜(6)、(8)、(9)を使用し、酸価(実測値)と等モルの水酸化カリウムで中和したポリマー中和液を作成した。ポリマー濃度を5重量%、溶媒はエタノール及び蒸留水を使用し、エタノール/蒸留水=1/2(重量比)とした。
本ポリマー中和液を用いて、下記評価を実施した。評価結果を表−3に記載した。
<カールリテンション>
23cm、2gのくせのない毛束に、調製したポリマー中和液を2g塗布し、直ちに直径2cmのカーラーに巻き付けた。次に毛束をカーラーからはずして、毛束の見かけの長さ(L0)を測定した。次にこの毛束を、30℃、湿度80%の恒温恒湿槽に吊るし、3時間後に取り出し再び毛束の見かけの長さ(L1)測定した。得られた測定値から次式に基づいてセット力を算出した。
セット力(%)=100×(23−L0)/(23−L1)
算出されたセット力の数値により、カールリテンションを下記基準で評価した。
3 セット力が80%以上100%以下
2 セット力が70%以上80%未満
1 セット力が50%以上70%未満
0 セット力が0%以上50%未満
<柔軟性>
23cm、2gのくせのない毛束に、調製したポリマー中和液を1g塗布し乾燥させた。毛束を曲げたときの硬さから、柔軟性を下記基準で評価した。
3 何回曲げても硬さを維持している。
2 曲げたことにより硬さは落ちるが形は維持されている。
1 折れてしまうが若干形は維持されている。
0 折れてしまいその後は硬さを全く保持していない。脆い。
<ベタツキのなさ>
柔軟性を評価した毛束をそのまま続いて用い、手で触ったときのベタツキ度合いからベタツキのなさを、下記基準で評価した。
3 全くベタツキを感じない。
2 わずかにベタツキが感じられる。
1 ベタツキを感じる。
0 ベタツキが激しい。
<毛先のなめらかさ>
ベタツキのなさを評価した毛束をそのまま続いて用い、毛先を手で触ったときのゴワツキのなさ、なめらかさを、下記基準で評価した。
3 全くゴワツキを感じない。なめらか。
2 少しゴワツキが感じられる。
1 ゴワツキを感じる。
0 ゴワツキが激しい。
<フレーキングのなさ>
毛先のなめらかさを評価した毛束をそのまま続いて用い、手で毛束を擦り合わせたときのフレーキング状態を目視で観察し、下記基準で評価した。
3 全くフレーキングがみられない。
2 わずかにフレーキングがみられる。
1 フレーキングが多い。
0 激しくフレーキングがみられる。
<指通りの良さ>
フレーキングのなさを評価した毛束をそのまま続いて用い、毛束に指を通した時の抵抗のなさを、下記基準で評価した。
3 ほとんど抵抗を感じない。
2 若干抵抗を感じるものの毛先まで指がなめらかに通る。
1 抵抗を感じ、毛先まで指が通りにくい。
0 抵抗を感じ、毛先まで指が通らない。
以上の結果から、次のことが分かる。
比較例のブロックポリマーは、特に指通りの良さが劣り、カールリテンション、その他の性能と指通りの良さとの両立は難しいことが分かる。
これに対して、本発明のブロックポリマーは連結モノマーを介した分岐構造であるため、酸価が高くても均一で低粘度な溶液を与え、且つ、カールリテンション、柔軟性、指通りの良さに優れ、ベタツキやフレーキングのない頭髪化粧料用組成物を与えることができる。
また、ポリマー(3)〜(6)は、アルキルアクリレートを組成Aに有することから、柔軟性に優れている。
更には、ポリマー(6)はアルコキシアルキルアクリレートを組成Aに有することから、特に毛先のなめらかさに優れている。