JP5747472B2 - ターボ形圧縮機 - Google Patents
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Description
そこで、かかる騒音を低減する手段として、特許文献1〜3が提案されている。
特許文献2の排気ターボ過給機は、吸気騒音を抑制しかつ騒音の外部への放出を防止するために、吸気サイレンサを備えたものである。
特許文献3の圧縮機は、低騒音化を実現するために、シュラウド壁のうち、羽根車の入口部の外周側に位置する部分に多数の小径穴を設けたものである。
特許文献1は、羽根入口側が流体音(騒音)の発生源である場合に、出口側の形状を変更しても効果が小さい。また、入口側の角部を面取りしたとしても羽根車の羽根の一部分を削除するため、圧力比など、コンプレッサ性能に悪影響を与える。
特許文献2は、新たな部品(吸気サイレンサ)の設置が必要となり、経済効率上および組立効率上好ましくない。
特許文献3は、シュラウド壁の内面に周方向に多数の小径穴を設ける必要があり、シュラウド壁の構造が複雑となりシュラウド壁を一体化できない問題点があった。
前記ハウジングは、前記羽根車の半径方向外端を囲むシュラウド壁を有しており、
該シュラウド壁は、前記羽根車を構成する羽根の上流側外方端に対向する軸方向位置に、周方向に延びる第1スリットを有し、
該第1スリットの幅の間に前記上流側外方端が位置するように、前記第1スリットの軸方向位置が設定されており、
前記ハウジングは、前記シュラウド壁に囲まれた気体流路内の気体を、該気体流路の下流側から上流側へ循環させる循環流路を有しており、
前記循環流路は、前記第1スリットの下流側に設けられた下流側開口と、前記第1スリットの上流側に設けられた上流側開口と、前記シュラウド壁より外側に設けられた中空円形の連通流路とからなり、
前記第1スリット、前記下流側開口、及び前記上流側開口の3つは、異なる軸方向位置で前記連通流路と連通している、ことを特徴とするターボ形圧縮機が提供される。
前記下流側開口は、前記副羽根の上流側先端部に対向する軸方向位置に、周方向に延びる第2スリットである。
従って、通常運転時において、コンプレッサ性能に悪影響を与えることなく、サージングによる騒音を低減することができる。
この図において、10は本発明によるターボ形圧縮機に相当する遠心式圧縮機、20は遠心式タービン、30は軸受ハウジングである。
なお、連結軸26は、この例ではタービンインペラ22と一体に成形されているが、本発明はこれに限定されず、別体であってもよい。
また、本発明によるターボ形圧縮機は、過給機用の遠心式圧縮機に限定されず、その他の遠心式圧縮機、又は軸流式圧縮機であってもよい。
以下、本発明によるターボ形圧縮機が過給機用の遠心式圧縮機である場合について説明する。
この図において、遠心式圧縮機10のハウジング14は、羽根車12(コンプレッサインペラ)の半径方向外端を囲むシュラウド壁15を有している。
羽根車12の半径方向外端とシュラウド壁15との間には、隙間が設けられ、互いに干渉しないようになっている。
シュラウド壁15で囲まれるシュラウド壁15の内側空間は、気体1(空気)が外部から流入する気体流入路である。
なお、ロータ部12aと複数の羽根13は、一体に成形されていることが好ましい。
なお、羽根13はこの構成に限定されず、主羽根13aのみであってもよい。
第1スリット16の幅(軸方向長さ)は、主羽根13aの羽根入口側で発生する圧力変動の範囲、例えば1〜5mmであるのがよい。また、第1スリット16の深さ(半径方向深さ)は、主羽根13aの羽根入口側で発生する圧力変動を緩和できる深さ、例えば1〜5mmであるのがよい。
この例において、ハウジング14は、羽根車12で圧縮された気体を羽根車12の上流に循環させる循環流路17を有している。
下流側開口17aは、シュラウド壁15の上述した軸方向位置Aの下流側に設けられ、上流側開口17bは、シュラウド壁15の軸方向位置Aの上流側に設けられている。また、連通流路17cは、ハウジング14のシュラウド壁15より外側に設けられた中空チャンバであり、下流側開口17aと上流側開口17bを連通している。
また、下流側開口17aは、この例では、周方向に360度延びる全体として環状の凹溝であるが、周方向に断続的に延びる円弧状の凹溝であってもよく、単なる孔(円形、矩形、楕円形等)であってもよい。
下流側開口17aの幅(軸方向長さ)は、低流量時に下流から上流への循環流量を増して、サージ線を小流量側に移動できる範囲、例えば1〜5mmであるのがよい。
また、上流側開口17bは、この例では、周方向に360度延びる全体として環状の凹溝であるが、圧力損失が小さい限り、周方向に断続的に延びる円弧状の凹溝であってもよい。
上流側開口17bの幅(軸方向長さ)は、下流から上流へ循環される流量による圧力損失が小さい範囲、例えば2〜10mmであるのがよい。
また、この断面形状は、下流側開口17aから上流側開口17bまで、圧力損失が小さい限りで、漸増又は同一であるのが好ましい。
この例において、第1スリット16の内方端は、シュラウド壁15と面一に開口している。また、この例で、第1スリット16の半径方向外端は、循環流路17の連通流路17cと連通しており、主羽根13aの羽根入口側で発生する圧力変動を第1スリット16を介して循環流路17に伝達するようになっている。
その他の構成は、第1実施形態と同様である。
この例において、シュラウド壁15は、副羽根13bの上流側先端部に対向する軸方向位置に、周方向に延びる第2スリット18を有する。
すなわち、第1スリット16は、シュラウド壁15の主羽根13aの上流側先端部に対向する軸方向位置Aに設けられ、第2スリット18は、シュラウド壁15の副羽根13bの上流側先端部に対向する軸方向位置Bに設けられている。
また、この例で、第2スリット18は、第2実施形態における下流側開口17aを兼ねており、下流側開口17aは省略されている。
その他の構成は、第2実施形態と同様である。
また、主羽根13aと副羽根13bの羽根入口側A,Bで発生する圧力変動を第1スリット16、第2スリット18、及び循環流路17とで効果的に緩和することができる。
本発明によるターボ形圧縮機の第4実施形態では、上述した第2実施形態おいて、第2スリット18を省略する。この場合、ハウジング14に形成された循環流路17は、シュラウド壁15に囲まれた気体流路内の気体を、該気体流路の下流側から上流側へ循環させる。すなわち、循環流路17は、第1スリット16を通して前記気体流路から連通流路17cに流入してきた気体を、前記気体流路において第1スリット16より上流側にある上流側開口17bを通して前記気体流路に戻す。また、一例では、連通流路17cは、軸心Z−Zの方向に関して、第1スリット16から上流側開口17bまで延びている。
第4実施形態における他の構成は、第2実施形態における構成と同じである。
図6は、本発明と従来例の騒音を比較した試験結果を示す図であり、横軸は周波数(Hz)、縦軸は音圧(Pa(RMS))である。また図中の破線は従来例、実線は本発明である。
これに対して、本発明の騒音の音圧(実線)は、200〜1000Hz、及び1600〜1800Hzでは、従来例と同等であるが、1000〜1600Hzにおいて、最大でもおよそ200Pa(RMS)以下であり、ほぼ半減していることがわかる。
しかし、本発明の構成によれば、スリット16をシュラウド壁15の圧力変動する位置に設けることで、圧力変動による気体(空気)の逃げ場ができ、これにより圧力変動が緩和され、騒音が低減されることが実施例により確認された。
従って、通常運転時において、コンプレッサ性能に悪影響を与えることなく、サージングによる騒音を低減することができる。
10 ターボ形圧縮機(遠心式圧縮機)、
12 羽根車(コンプレッサインペラ)、12a ロータ部、
13 羽根、13a 主羽根、13b 副羽根、
14 ハウジング(コンプレッサハウジング)、
15 シュラウド壁、16 第1スリット、
17 循環流路、17a 下流側開口、
17b 上流側開口、17c 連通流路、18 第2スリット、
20 遠心式タービン、22 羽根車(タービンインペラ)、
24 ハウジング(タービンハウジング)、
26 連結軸、30 軸受ハウジング
Claims (2)
- 軸心を中心に回転駆動される羽根車と該羽根車を内部に収容するハウジングとを備え、前記羽根車の回転により気体を圧縮するターボ形圧縮機であって、
前記ハウジングは、前記羽根車の半径方向外端を囲むシュラウド壁を有しており、
該シュラウド壁は、前記羽根車を構成する羽根の上流側外方端に対向する軸方向位置に、周方向に延びる第1スリットを有し、
該第1スリットの幅の間に前記上流側外方端が位置するように、前記第1スリットの軸方向位置が設定されており、
前記ハウジングは、前記シュラウド壁に囲まれた気体流路内の気体を、該気体流路の下流側から上流側へ循環させる循環流路を有しており、
前記循環流路は、前記第1スリットの下流側に設けられた下流側開口と、前記第1スリットの上流側に設けられた上流側開口と、前記シュラウド壁より外側に設けられた中空円形の連通流路とからなり、
前記第1スリット、前記下流側開口、及び前記上流側開口の3つは、異なる軸方向位置で前記連通流路と連通している、ことを特徴とするターボ形圧縮機。 - 前記羽根車は、上流側先端部の軸方向位置が異なる主羽根と副羽根とからなり、
前記下流側開口は、前記副羽根の上流側先端部に対向する軸方向位置に、周方向に延びる第2スリットである、ことを特徴とする請求項1に記載のターボ形圧縮機。
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