JP5746270B2 - 穴あけ加工を行う工作機械の数値制御装置 - Google Patents
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Description
特許文献1には、被加工物の加工領域を加工順にくいつき部、深部、貫通部と規定して、一定の切り込み量の切削を繰り返して行う工程において、工具の切削送り速度を、深部、くいつき部、貫通部の順に高くなるように設定し、工具の回転速度を、くいつき部及び深部における回転速度よりも、貫通部における回転速度の方が低くなるように設定するといったように、規定した領域の加工開始時にあらかじめ設定した送り速度と主軸回転速度に変更する技術が開示されている。
特許文献3には、脆性材に穴を貫通させる方法において、脆性材内部で貫通点より一定距離離れた特定点に工具の先端が到達したときから貫通点を抜けるまでは、工具を低速に切り替えて前進させることで、脆性材の後面に欠けが発生しないようにする技術が開示されている。
特許文献5には、予め下穴が形成されている工作対象物に対し、主軸によって回転しているタップ工具を挿入離脱しながら、工作対象物に所定の深さ及び径による穴を形成するタップ穴形成加工において、切削に必要なトルクを計算し、回転角加速度を適切に制御することで、主軸モータのトルクを十分に活用させて作業効率を向上させる技術が開示されている。
特許文献2に開示されている技術は、送り速度を所定の間隔ごとに低下させてはいるが、目的が工具に係る応力を減少またはゼロにして、切削工具の曲がった姿勢を復元することとされている。また、主軸回転速度に対する制御については行われていないため、工具への負荷が低減しきれない可能性がある。
特許文献4に開示されている技術は、加工材料内部に領域を設け、領域ごとに送り速度や主軸回転速度を制御するものではあるが、いずれも被加工物に接触した後の送り速度及び主軸回転速度であり、穴あけ加工時の被加工物への接触時の工具への負荷を軽減させることは難しい。
特許文献6に開示されている技術は、被加工物に接触した際の負荷トルクを検知して加工速度を変更するようにしており、いずれも被加工物に接触した後の送り速度や主軸回転速度を変更しているものである。そのため、穴あけ加工時の被加工物への接触時の工具への負荷を軽減させることは難しい。
(第1の実施形態)
図1は、本発明における回転工具を用いた被加工物の加工の様子を側面から見た模式図である。図1(a)は、回転工具14が被加工物12に接触する前の状態を示しており、図1(b)は、回転工具14が接触位置16において被加工物12に接触した直後の状態を示している。図1(a)に示されているように、回転工具14は、被加工物12方向へ進む速度である所定の送り速度と、回転の速度である所定の主軸回転速度を有している。送り速度を有しているため、回転工具14は徐々に被加工物12に近づくこととなり、図1(b)のように被加工物12に接触することとなる。ここで、適切な加工を行うためには、特に接触位置の前後において、回転工具の送り速度と主軸回転速度を各々にとって最適な速度比に応じて滑らかに加速させる必要がある。
G83.9Z_R_F_S_I_J_L_Q_;(_:任意の数値)
(1)現在位置が加工開始時の基準位置Rから任意領域開始位置Iまでの間(領域A1)のとき
本実施形態においては、任意領域内を任意領域開始位置から接触位置までの間と、接触位置から任意領域終了位置までの間に分け、それぞれ回転工具14の現在位置における送り速度比及び主軸回転速度比を算出して、現在位置における送り速度及び主軸回転速度を算出するようにしている。以下詳細に説明する。
G83.9Z_R_F_S_I_J_K_L_Q_P_T_;(_:任意の数値)
(1)現在位置が加工開始時の基準位置Rから任意領域開始位置Iまでの間(領域B1)のとき
本実施形態においては、基準位置Rから任意領域開始位置Iまでの基準送り速度Fに対する速度比L、基準位置Rから任意領域開始位置Iまでの基準主軸回転速度Sに対する速度比Qの指定が省略された場合の、速度比L及び速度比Qを算出するようにしている。
具体的な算出方法としては、穴あけ加工指令開始位置である基準位置Rの直前までに指令されている設定送り速度Fpと、主軸回転速度Spを用いて、以下のように計算する。
また、穴底位置Zに到達後は、被加工物から回転工具を引き抜くため、穴底位置Zから基準位置Rまでの移動を行う。このときの送り速度Fcは基準送り速度Fを使用する。
・(ステップSA1)穴あけ指令コードの解析を行う。
・(ステップSA2)データの設定を行う。Zに穴底位置、Rに穴あけ加工指令開始位置である基準位置、Fbに穴あけ中の送り速度である基準送り速度、Sbに穴あけ中の主軸回転速度である基準主軸回転速度、Iに任意領域開始位置、Jに任意領域終了位置、Lに基準位置Rから任意領域開始位置Iまでの基準送り速度Fbに対する速度比、Qに基準位置Rから任意領域開始位置Iまでの基準主軸回転速度Sbに対する速度比を設定する。
・(ステップSA4)送り速度比Lを計算する。Fpとして穴あけ加工指令開始位置である基準位置Rの直前までに指令されている設定送り速度を設定し、LとしてFp/Fbの値を設定し、ステップSA5に進む。
・(ステップSA6)主軸回転速度比Qを計算する。Spとして穴あけ加工指令開始位置である基準位置Rの直前までに指令されている設定主軸回転速度を設定し、QとしてSp/Sbの値を設定し、ステップSA7に進む。
・(ステップSA8)現在位置Cが、JからZの間の区間であるかどうかを判定する。区間に含まれている場合(YES)は、ステップSA9に進み、区間に含まれていない場合(NO)は、ステップSA11に進む。
・(ステップSA9)送り速度FcとしてFbの値を設定し、主軸回転速度ScとしてSbの値を設定し、ステップSA10に進む。
・(ステップSA10)現在位置Cが穴底位置Zに到達したかどうかを判定する。到達した場合(YES)はステップSA15に進み、到達していない場合(NO)はステップSA14に進む。
・(ステップSA12)送り速度Fcとして、Fb×((C−I)/(J−I)×(1−L)+L)の値を設定し、主軸回転速度Scとして、Sb×((C−I)/(J−I)×(1−Q)+Q)の値を設定し、ステップSA14に進む。
・(ステップSA13)現在位置CがRからIの間の区間であるものとして、送り速度FcとしてFb×Lの値を設定し、主軸回転速度ScとしてSb×Qの値を設定し、ステップSA14に進む。
・(ステップSA14)現在位置Cに単位時間あたりの移動量ΔFcとして、Fc×1/60000を加算することにより現在位置Cを更新し、ステップSA8に戻る。
・(ステップSA16)現在位置Cに単位時間あたりの移動量ΔFcとして、Fc×1/60000を加算することにより現在位置Cを更新する。
・(ステップSA17)現在位置Cが基準位置Rに到達したかどうかを判定する。到達した場合(YES)は終了し、到達していない場合(NO)はステップSA16に戻る。
・(ステップSB1)穴あけ指令コードの解析を行う。
・(ステップSB2)データの設定を行う。Zに穴底位置、Rに穴あけ加工指令開始位置である基準位置、Fbに穴あけ中の送り速度である基準送り速度、Sbに穴あけ中の主軸回転速度である基準主軸回転速度、Iに任意領域開始位置、Jに任意領域終了位置、Kに接触位置、Lに基準位置Rから任意領域開始位置Iまでの基準送り速度Fbに対する速度比、Qに基準位置Rから任意領域開始位置Iまでの基準主軸回転速度Sbに対する速度比、Pに接触位置の送り速度比、Tに接触位置の主軸回転速度比を設定する。
・(ステップSB4)送り速度比Lを計算する。Fpとして穴あけ加工指令開始位置である基準位置Rの直前までに指令されている設定送り速度を設定し、LとしてFp/Fbの値を設定し、ステップSB5に進む。
・(ステップSB6)主軸回転速度比Qを計算する。Spとして穴あけ加工指令開始位置である基準位置Rの直前までに指令されている設定主軸回転速度を設定し、QとしてSp/Sbの値を設定し、ステップSB7に進む。
・(ステップSB8)現在位置Cが、JからZの間の区間であるかどうかを判定する。区間に含まれている場合(YES)は、ステップSB9に進み、区間に含まれていない場合(NO)は、ステップSB11に進む。
・(ステップSB9)送り速度FcとしてFbの値を設定し、主軸回転速度ScとしてSbの値を設定し、ステップSB10に進む。
・(ステップSB10)現在位置Cが穴底位置Zに到達したかどうかを判定する。到達した場合(YES)はステップSB17に進み、到達していない場合(NO)はステップSB16に進む。
・(ステップSB12)送り速度Fcとして、Fb×((C−K)/(J−K)×(1−P)+P)の値を設定し、主軸回転速度Scとして、Sb×((C−K)/(J−K)×(1−T)+T)の値を設定し、ステップSB16に進む
・(ステップSB14)送り速度Fcとして、Fb×((C−I)/(K−I)×(P−L)+L)の値を設定し、主軸回転速度Scとして、Sb×((C−I)/(K−I)×(T−Q)+Q)の値を設定し、ステップSB16に進む。
・(ステップSB15)現在位置CがRからIの間の区間であるものとして、送り速度FcとしてFb×Lの値を設定し、主軸回転速度ScとしてSb×Qの値を設定し、ステップSB16に進む。
・(ステップSB16)現在位置Cに単位時間あたりの移動量ΔFcとして、Fc×1/60000を加算することにより現在位置Cを更新し、ステップSB8に戻る。
・(ステップSB18)現在位置Cに単位時間あたりの移動量ΔFcとして、Fc×1/60000を加算することにより現在位置Cを更新する。
・(ステップSB19)現在位置Cが基準位置Rに到達したかどうかを判定する。到達した場合(YES)は終了し、到達していない場合(NO)はステップSB18に戻る。
14 回転工具
16 接触位置
20 数値制御装置
22 数値制御部
24 サーボ制御部
26 サーボモータ
Claims (4)
- 回転工具を移動させる送り軸および前記回転工具を回転駆動させる主軸を有し、前記回転工具で被加工物に穴を形成する穴あけ加工を行う工作機械の数値制御装置において、
前記被加工物と前記回転工具とが最初に接触する接触位置を含み、前記回転工具の加工方向で前記接触位置の前後に任意領域を設定する任意領域設定手段と、
前記回転工具を移動させる前記送り軸の現在位置を更新する手段と、
前記回転工具の前記現在位置が前記任意領域内にあるとき、前記送り軸の送り速度および前記主軸の主軸回転速度を、前記回転工具の前記現在位置に応じて加速させる速度変更手段と、
を有することを特徴とする数値制御装置。 - 穴あけ加工の終了位置である穴底位置、穴あけ加工指令開始位置、前記任意領域の終了位置以降の穴あけ加工中の穴あけ送り速度となる基準送り速度、前記任意領域の終了位置以降の穴あけ加工中の穴あけ主軸回転速度となる基準主軸回転速度、前記任意領域の開始位置、前記任意領域の終了位置、前記穴あけ加工指令開始位置から前記任意領域の開始位置までの前記送り軸の送り速度より前記基準送り速度が大きくなるように規定された任意送り速度比、前記穴あけ加工指令開始位置から前記任意領域の開始位置までの前記主軸の主軸回転速度より前記基準主軸回転速度が大きくなるように規定された任意主軸回転速度比を指令する指令手段と、
前記任意領域内において、前記任意送り速度比から前記回転工具の前記現在位置における前記送り軸の送り速度比を算出し、前記任意主軸回転速度比から前記主軸の主軸回転速度比を算出する速度比算出手段とを有し、
前記速度変更手段は、前記送り速度比および前記主軸回転速度比から前記現在位置における前記送り速度および前記主軸回転速度を算出することを特徴とする請求項1記載の数値制御装置。 - 前記指令手段は、更に前記任意領域内における前記回転工具と前記被加工物とが最初に接触する接触位置、前記接触位置における前記送り軸の送り速度が前記基準送り速度より小さくかつ前記穴あけ加工指令開始位置から前記任意領域の開始位置までの前記送り軸の送り速度より大きくなるように規定された接触位置送り速度比、前記接触位置における前記主軸の主軸回転速度が前記基準主軸回転速度より小さくかつ前記穴あけ加工指令開始位置から前記任意領域開始位置までの前記主軸の主軸回転速度より大きくなるように規定された接触位置主軸回転速度比を指令し、
前記速度比算出手段は、前記任意領域の開始位置から前記接触位置までの前記現在位置において、前記任意送り速度比及び前記接触位置送り速度比から第1送り速度比を算出し、前記任意主軸回転速度比及び前記接触位置主軸回転速度比から第1主軸回転速度比を算出し、前記接触位置から前記任意領域の終了位置までの前記現在位置において、前記接触位置送り速度比から第2送り速度比を算出し、前記接触位置主軸回転速度比から第2主軸回転速度比を算出し、
前記速度変更手段は、前記任意領域の開始位置から前記接触位置までの前記現在位置において、前記第1送り速度比および前記第1主軸回転速度比から前記現在位置の前記送り速度および前記主軸回転速度、および前記接触位置から前記任意領域の終了位置までの前記現在位置において、前記第2送り速度比および前記第2主軸回転速度比から前記現在位置の前記送り速度および前記主軸回転速度を算出することを特徴とする請求項2記載の数値制御装置。 - 前記任意送り速度比と前記任意主軸回転速度比の少なくとも一方の指令が省略された場合、前記速度比算出手段は、前記穴あけ加工指令開始位置の直前までに指令されている設定送り速度と前記基準送り速度、前記穴あけ加工指令開始位置の直前までに指令されている設定主軸回転速度と前記基準主軸回転速度により、前記任意送り速度比と前記任意主軸回転速度比を算出することを特徴とする請求項2又は3に記載の数値制御装置。
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