JP5742309B2 - 静電荷像現像用トナーの製造方法 - Google Patents
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Description
溶融混練粉砕法におけるこのような問題点を改善する方法として、溶融混練粉砕法に代わって、懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法などの重合法による製造方法が提案されている。
乳化重合凝集法は、重合性単量体の重合とトナー粒子の造粒とを製造工程内で行うため、別途製造した結着樹脂を用いて造粒する溶解懸濁法に比べてトナー製造に要するエネルギーが小さい利点があり、また、小粒径トナーを調整し易く、粒度分布や粒径の制御が行い易い。
その目的を達成するため、オフセット防止剤としてワックスが使用されている。しかしながら、トナー中のワックス含有量には限界があり、過剰に使用するとトナーからの漏れ
出しが発生し、耐ブロッキング性を悪化させてしまう。その為、ワックスによる低温定着性の改良には限界がある。
これら結晶性ポリエステル樹脂を、相溶性の悪い非晶性樹脂に分散含有させた場合、たとえば非晶性樹脂がスチレン系樹脂の場合、結晶性ポリエステル成分の分散ドメインが充分に小さく分散しないため、得られたトナーは結晶性樹脂の欠点である脆性や現像時に部材への付着性が発現したり、また加熱時の弾性が急激に低下するために、定着の温度幅が非常に小さくなったりする問題があった。
これら結晶、非晶性ポリエステル樹脂をそれぞれ水中に微小に分散したものを混合する場合は、非晶性ポリエステル樹脂を水中に分散するのに過大なエネルギーや有機溶剤の助力が必要となるのでコストが高くなり、分散助剤にアルカリを使用すると、加水分解により性能が劣化するなどの問題があった。さらに、この非晶性ポリエステル樹脂が良好な定着性を得るように分子量を設計するのに従来多く使用されてきた錫系触媒には環境を汚染する欠点があり、良好な定着性を補佐して安全な樹脂が得られていない現状である。
1.少なくとも結着樹脂、着色剤及びワックスを含むトナーであって、該結着樹脂がエステル部分の炭素数が18以上、22未満の長鎖(メタ)アクリル酸エステル(A)と22以上の長鎖(メタ)アクリル酸エステル(B)との共重合体を含み、A、Bのトナー中の含有量の質量比a/bが1/10以上、10以下であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
2.トナーの融点(Tm)が、50℃≦Tm≦65℃であることを特徴とする前記1に記載の
静電荷像現像用トナー。
3.少なくとも結着樹脂、着色剤及びワックスを含むトナーの製造方法において、該結着樹脂が、エステル部分の炭素数が18以上、22未満の長鎖(メタ)アクリル酸エステル(A)と22以上の長鎖(メタ)アクリル酸エステル(B)のA,Bからそれぞれ選ばれる少なくとも1種を共重合する第1工程、第1工程において得られた共重合体の存在下にビニル系単量体を共重合する第2工程を経て製造され、該第1工程で共重合されるA、Bの
添加量をそれぞれa、bとしたときの質量比a/bが1/10以上、10以下であることを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
4.第1工程に供する長鎖(メタ)アクリル酸エステル(A)及び(B)が、水中で高圧機械乳化されてなるものであることを特徴とする前記3に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
5.少なくとも第2工程の共重合時に、ラジカル重合開始剤を用いることを特徴とする前記3又は4に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
6.第1工程において得られた長鎖(メタ)アクリル酸エステル共重合体が、結着樹脂中、1質量%以上、50質量%以下含まれることを特徴とする前記3乃至5のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
湿式法としては、懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶融懸濁法等の方法が挙げられる。
懸濁重合法としては、通常、結着樹脂モノマーに着色剤、ワックスを溶解させた後、そのモノマー溶液を水性媒体中で機械的せん断力によりモノマー滴として懸濁させ、重合を行って得られる。
らに得られた凝集粒子を熟成させてトナー粒子を製造する方法である。
溶融懸濁法としては、通常、溶媒中に結着樹脂、ワックス等を溶解して油相を得、その油相を水系媒体中に油滴として懸濁させた後、溶媒を除去して得られる。
これら長鎖(メタ)アクリル酸エステルA,Bの共重合体を含むことによって、トナーの融点を低温定着に最適な点に設計することができる。また、これらの共重合体においては、2種の長鎖(メタ)アクリル酸エステルの炭素数が異なる為に、アルキル鎖が噛み合いながら結晶構造が形成される。そのため、定着媒体へのアンカー効果が発生し、定着強度が向上すると考えられる。
鎖(メタ)アクリル酸エステル(B)のトナー中の含有量をbとすると、その質量比a/bが1/10以上、10以下であることが、低温定着、保存安定性及びアンカー効果の3者を
得るためには必須である。
含有量の比a/bは9以下が好ましく、さらに8以下が好ましく、6以下がさらに好まし
く、4以下が特に好ましい。また、1/9以上が好ましく、さらに1/5以上が好ましく
、1/2以上がさらに好ましい。添加量の比が小さすぎると十分な低温定着性が得られな
い傾向があり、大きすぎると保存安定性が悪化する傾向がある。
本発明に用いる長鎖(メタ)アクリル酸エステルA、Bは、直鎖でも分岐していても良く、不飽和でも良い。
さらに、本発明の長鎖(メタ)アクリル酸エステルにおいて、エステル部分の炭素数が12以上の成分が50質量%以上であることが、結晶化によるトナー融点の最適化に好ましい傾向がある。エステル部分の炭素数が小さすぎると、低融点となり耐ブロッキング性に劣る傾向がある。
り測定することが可能である。
また、本発明の長鎖(メタ)アクリル酸エステルにおいて、長鎖アクリル酸エステルが少なくとも含まれていることが好ましい。長鎖アクリル酸エステルが含まれると、三級水素の引き抜きによるグラフトポリマーが生成しやすくなり、他の重合体との相溶性が高まり、均一なトナーが得られる傾向がある。
単量体としては長鎖(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸ヘプタデシル、アクリル酸ヘキサデシル、アクリル酸ヘプタデシル、アクリル酸テトラデシル、アクリル酸ドリデシル、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ヘプタデシル、メタクリル酸ヘキサデシル、メタクリル酸ヘプタデシル、メタクリル酸テトラデシル、メタクリル酸ドリデシル、メタクリル酸ドデシル等が挙げられる。
えばグリシジルメタクリレート、メチロールアクリルアミド、アクロレイン等を用いることも可能である。中でもラジカル重合性の二官能性重合性単量体が好ましく、ジビニルベンゼン、ヘキサンジオールジアクリレートが特に好ましい。これら多官能性重合性単量体は、単独で用いても複数種類を混合して用いてもよい。
を共重合する第2工程を経て製造されることが好ましい。
第1工程は、単量体(長鎖(メタ)アクリル酸エステル)溶液を調製し、この単量体溶液を水系媒体(例えば、界面活性剤水溶液)中に油滴分散させた後、この系を重合処理することにより、樹脂粒子の分散液を調製するものである。また、必要に応じて単量体にワックス等の結晶性物質を溶解させて単量体溶液を調整してもよい。
第2工程は、第1工程で得られた共重合体の分散液に、さらに単量体(ビニル系単量体)を添加し、該共重合体の存在下で単量体を重合処理することにより、樹脂粒子を形成するものである。
鎖(メタ)アクリル酸エステル(A)の添加量をa、22以上の長鎖(メタ)アクリル酸
ステル(B)添加量をbとすると、その添加量の質量比a/bが1/10以上、10以下であ
ることが、低温定着、保存安定性及びアンカー効果の3者を得るためには必須である。
添加量の質量比a/bは9以下が好ましく、8以下がさらに好ましく、6以下が特に好ま
しく、4以下が最も好ましい。また、a/bは好ましくは1/9以上であり、1/5以上が特に好ましく、1/2以上がさらに好ましい。添加量の比が小さすぎると十分な低温定着性
が得られない傾向があり、大きすぎると保存安定性が悪化する傾向がある。
本発明に用いる長鎖(メタ)アクリル酸エステル共重合体の100℃における貯蔵弾性率は、105Pa以下であることが好ましい。また、104Pa以下であることがさらに好ましい。貯蔵弾性率が高すぎると、低温定着の効果が得られない場合がある。
本発明の結着樹脂の製造工程である第1工程に供する長鎖(メタ)アクリル酸エステルは、必要に応じ、溶融後、水及び界面活性剤等と混合し、高圧機械乳化を行なうことが好ましい。また、高圧機械乳化は、ワックスと共に行ってもよい。高圧機械乳化を行うことで、長鎖(メタ)アクリル酸エステルやワックスの分散体の径を小さくすることができる。重合前の分散体の径が小さくなることで、分散体の比表面積が大きくなり、グラフト反応が進行しやすい傾向がある。
本発明に用いる高圧機械乳化に用いる装置は特に限定されないが、ポンプ圧が5MPa以
上、さらに好ましく10MPa以上の装置を用いることが好ましい。
また、高圧機械乳化は長鎖(メタ)アクリル酸エステル及びワックスの融点以上の温度にて乳化を行なうことが好ましい。乳化温度が低すぎると、分散体の粒径が小さくなりにくい傾向がある。
本発明の第2工程における重合時間は、第2工程に供する単量体や乳化剤等の添加方法等によって適宜調整することができ、特に限定されないが、重合後の残存する単量体が1質量%未満となるまで重合を行うことが好ましい。また、重合は、第1工程で得られた重合体の融点以上の温度で行うことが好ましい。
特に、過酸化水素及び有機重合開始剤は、結着樹脂を得る第2工程においては、水素引き抜きによるグラフト反応が起こりやすいケトンパーオキサイド、及び過酸化水素を含むハイドロパーオキサイドが好ましい。さらには、過酸化水素を含むハイドロパーオキサイドが最も好ましい。
本発明では、必要に応じて公知の連鎖移動剤を使用することができる。連鎖移動剤の具体的な例としては、t−ドデシルメルカプタン、2−メルカプトエタノール、ジイソプロピルキサントゲン、四塩化炭素、トリクロロブロモメタン等があげられる。連鎖移動剤は単独または2種類以上の併用でもよく、重合性単量体に対して通常は0〜5質量%用いられる。
その他、反応系には、pH調整剤、重合度調節剤、消泡剤等を適宜添加することができる。
本発明において、結着樹脂を乳化重合で重合する場合、用いる乳化剤としては公知のものが使用できるが、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤の中から選ばれる一種又は二種以上の乳化剤を併用して用いることができる。
系染顔料、マゼンタはキナクリドン、モノアゾ系染顔料、シアンはフタロシアニンブルーをそれぞれ用いるのが好ましい。着色剤は、重合体一次粒子100質量部に対して3質量部以上、20質量部以下となるように用いることが好ましい。
本発明のトナーは、懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法などの何れの重合法で製造してもよく、特に限定されない。
うち、2価以上の多価の金属カチオンを有する無機塩が好ましい。
凝集に要する時間は装置形状や処理スケールにより最適化されるが、トナーの粒径が目的とする粒径に到達するためには、前記した所定の温度で通常、少なくとも30分以上保持することが望ましい。所定の温度へ到達するまでの昇温は、一定速度で昇温しても良いし、段階的に昇温することもできる。
樹脂微粒子として重合体一次粒子のガラス転移温度よりも高いガラス転移温度を有する樹脂微粒子を用いた場合、定着性を損なうことなく、耐ブロッキング性の一層の向上が実現できるので好ましい。該樹脂微粒子の体積平均粒径は、0.02μm以上が好ましく、0.05μm以上が更に好ましい。また、3μm以下、さらに1.5μm以下が好ましい。樹脂微粒子としては、前述の重合体一次粒子に用いられる重合性単量体と同様なモノマーを乳化重合して得られたもの等を用いることができる。
凝集工程で得られた粒子凝集体の安定性を増すために、凝集工程の後の熟成工程において凝集粒子内の融着を行うことが好ましい。熟成工程の温度は、好ましくは重合体一次粒子のTg以上、より好ましくはTgより5℃高い温度以上であり、また、好ましくはTgより80℃高い温度以下、より好ましくはTgより50℃高い温度以下である。また、熟成工程に要する時間は、目的とするトナーの形状により異なるが、重合体一次粒子のガラス転移温度以上に到達した後、通常0.1〜10時間、好ましくは1〜6時間保持するこ
とが望ましい。
重合法で製造されたトナーは、水系溶媒から分離され洗浄、乾燥され、必要に応じて外添処理などが施されて静電荷像現像用トナーに供される。
本発明のトナー母粒子の体積中位径は、3μm以上が好ましく、さらに4μm以上がより好ましい。また、10μm以下が好ましく、さらに9μm以下がより好ましく、7μ以下が更に好ましい。
本発明のトナーには、トナーの流動性向上や帯電制御性向上のために、必要により外添
微粒子を添加することができ、そのような外添微粒子としては、各種無機または有機微粒子の中から適宜選択して使用することができる。
また、外添微粒子は、異なる二種以上を併用することもでき、表面処理されたものと表面処理されていないものを併用することや、異なる表面処理がされたものを併用することもでき、正帯電性のものと負帯電性のものを適宜組み合わせて使用することもできる。
外添微粒子の添加方法としては、ヘンシェルミキサー等の高速攪拌機を用いる方法や、圧縮剪断応力を加えることの出来る装置による方法等が挙げられる。
本発明の外添後のトナーの融点(Tm)は、80℃以下であることが好ましく、70℃以下であることが更に好ましい。また、40℃以上であることが好ましく、50℃以上であることが更に好ましい。融点が本範囲であると低温定着と耐ブロッキング性を両立できる傾向にある。
ましく、10dyn/cm2以上であることが好ましい。
本発明の外添後のトナーの融点(Tm)より100℃高い温度における貯蔵弾性率をG´
(Tm+100℃)とすると、G´(Tm+100℃)は1×105dyn/cm2以下であるこ
とが好ましく、1dyn/cm2以上であることが好ましい。
また、本発明において、50℃における外添後のトナーの貯蔵弾性率をG´(50℃)とすると、G´(50℃)はトナーの固結性のため、1×109dyn/cm2以上であること
が好ましい。
各粒子径及び円形度、電気伝導度、熱特性等は次のように測定した。
1ミクロン未満の体積平均径(MV)を有す粒子の体積平均径(MV)は、日機装株式会社製型式Microtrac Nanotrac150(以下ナノトラックと略す)および同社解析ソフトMicrotrac Particle Analyzer Ver10.1.2-019EEを用い、電気伝導度が0.5μS/cmのイオン交換水を溶媒とし、溶媒屈折率:1.333、測定時間:600秒、測定回数:1回の測定条件で取り扱い説明書に記載された方法で測定した。その他の設定条件は、粒子屈折率:1.59、透過性:透過、形状:真球形、密度:1.04とした。
1ミクロン以上の体積中位径(Dv50)を有す粒子の体積中位径(Dv50)は、ベックマン・コールター社製マルチサイザーIII(アパーチャー径100μm:以下、マルチサイザ
ーと略す)を用い、同社アイソトンIIを分散媒として、分散質濃度0.03質量%になるように分散させて測定した。
本発明における「平均円形度」は、以下のように測定し、以下のように定義する。すなわち、トナー母粒子を分散媒(アイソトンII、ベックマンコールター社製)に、5720〜7140個/μLの範囲になるように分散させ、フロー式粒子像分析装置(シスメックス社製、FPIA3000)を用いて、以下の装置条件にて測定を行い、その値を「平均円形度」と定義する。本発明においては、同様の測定を3回行い、3個の「平均円形度」の相加平均値を、「平均円形度」として採用する。
・モード :HPF
・HPF分析量 :0.35μL
・HPF検出個数:8,000〜10,000個
以下は、上記装置で測定され、上記装置内で自動的に計算されて表示されるものであるが、「円形度」は下記式で定義される。
そして、HPF検出個数である8,000〜10,000個を測定し、この個々の粒子の円形度の算術平均(相加平均)が「平均円形度」として装置に表示される。
セイコー電子工業(株)社製熱分析装置DSC220CUを用い、同社の取り扱い説明書に記載された方法で30℃から120℃まで10℃/minの速度で昇温させた際の吸熱曲線のメインピークより、融点・融解熱量・融解ピーク半値幅を測定し、続いて120℃から30℃まで10℃/minの速度で降温させた際の発熱曲線より、結晶化温度・結晶化ピーク半値幅を測定した。
重合体一次粒子分散液のTHF可溶成分を、以下の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
装置:東ソー社製GPC装置 HLC−8020、カラム:ポリマーラボラトリー 社製PL−gel Mixed−B 10μ、溶媒:THF、試料濃度:0.1質量%、検量線:標準ポリスチレン
トナーの損失弾性率、貯蔵弾性率を、以下の条件で測定した。
装置:TA Instruments Japan製ARES、温度条件:30℃から200℃まで4℃/minの速度で昇温プレート:パラレルプレート(直径8mm)、周波数:1Hz、測定歪の初期値:0.1%
測定試料は、トナー約0.25gを熱プレス機(50℃、10kg、5min)を用いて直径約8mm高さ約5mmの円柱状試料に成型した。
ベヘニルアクリレートを100部とし、ステアリルアクリレート100部、20質量%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液(第一工業製薬社製、ネオゲンS20D、以下20%DBS水溶液と略す)11部、脱塩水839部を90℃に加熱して、ホモミキサ
ー(特殊機化工業社製 マークIIfモデル)を用い10分間攪拌した。次いで、90℃加熱下で、高圧乳化機(ゴーリン社製、LAB60−10TBS型)を用いて20MPaの加圧条件で循環乳化を開始し、ナノトラックで粒子径を測定し体積平均粒径(MV)が500nm以下になるまで分散して乳化液A1を作製した。最終粒径(MV)は、335nmであった。
組成をパラフィンワックス(日本精蝋(株),HNP-9、融点82℃)100部、ステアリルアクリレート6.91部、デカグリセリンデカベヘネート(酸価3.2、水酸基価27)3.3部、20%DBS水溶液7.1部、脱塩水255.9部とした以外はA1と同様の方
法で、乳化液A2を作製した。最終粒径(MV)は、225nmであった。
<第1工程>
攪拌装置(3枚翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた反応器に、第2工程で添加するモノマー類であるスチレンとアクリル酸ブチルの和を100部とし、乳化液A1 132.8部、乳化液A2 35.9部、脱塩水331部を仕込
み、攪拌しながら窒素気流下で90℃に昇温した。
2,2'-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩)水溶液を22.5部加え90分間保持
した。
第1工程の液に、下記のモノマー類・乳化剤溶液の混合物を3.5時間かけて添加した。モノマー類・乳化剤溶液の混合物の滴下開始と同時に、下記の開始剤水溶液1の滴下も開始した。その後、開始剤水溶液2をさらに2時間かけて添加した。その後、攪拌下で内温90℃のまま1時間保持した。
[モノマー類]
スチレン 76.3部
アクリル酸ブチル 23.7部
アクリル酸 1.5部
ヘキサンジオールジアクリレート 1.0部
トリクロロブロモメタン 1.0部
[乳化剤水溶液]
20%DBS水溶液 1.0部
脱塩水 67.3部
[開始剤水溶液1]
8%過酸化水素水溶液 17.2部
8%L−(+)アスコルビン酸水溶液 17.2部
[開始剤水溶液2]
8%L−(+)アスコルビン酸水溶液 14.2部
重合反応終了後冷却し、乳白色の重合体一次粒子分散液C1を得た。これをナノトラックを用いて測定した体積平均粒径(MV)は245nmであった。重量平均分子量(Mw)は、51,000であった。
攪拌装置(ダブルヘリカル翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた混合器に重合体一次粒子分散液C1 80部(固形分)を仕込み、内温26℃として、20%DBS水溶液0.05部(固形分)を加えて均一に混合した。さらに、第一硫酸鉄の5%水溶液(FeSO4・7H2Oとして0.53部)を5分かけて添加し、5分間攪
拌を続けて均一に混合した。続けて、シアン顔料分散液(大日精化社製 EP750)4.4部(固形分)を5分かけて添加して均一に混合した後、脱塩水100部を滴下した。この間、内温は26℃に保った。その後、30分かけて内温54℃に昇温した。ここでマルチサイザーを用いて体積中位粒径(Dv50)を測定したところ、5.1μmであった。その後、重合体一次粒子分散液C1を3分かけて20部(固形分)添加してそのまま30分保持し、続いて20%DBS水溶液6部(固形分)を添加してから、50分かけて95℃に昇温して60分保持した。
ここで得られたケーキをステンレス製バットに高さ20mmとなる様に敷き詰め、40℃に設定された送風乾燥機内で48時間乾燥する事により、トナー母粒子E1を得た。
8μmであり、フロー式粒子分析装置で測定した平均円形度は0.981であった。トナーE1に含まれる長鎖(メタ)アクリル酸エステルA及びBの質量比を、トナー中の結着樹脂をソックスレー抽出後加水分解し、GC及びGC-MSにて分析を行ったところ、質量比a/bは1.05であった。また、長鎖(メタ)アクリル酸エステル共重合体は結着樹脂100
部に対して19.97部含有されていた。
協立理工株式会社サンプルミルKR−3内に、トナー母粒子E1 100部を投入し、
続いて体積平均一次粒径80nmのコロイダルシリカ2.04部、体積平均一次粒径30nmの大粒径シリカ0.36部を添加し計5分間攪拌・混合した。その後、アルミナ処理をした体積平均一次粒径250nmのチタニア粒子0.30部、体積平均一次粒径10nmの小粒径シリカ0.76部を添加して計6分間攪拌・混合し、篩別する事により現像用トナーF1を得た。
<乳化液A3の調製>
ベヘニルアクリレートを100部とし、パラフィンワックス(日本精蝋(株),HNP-9、融点82℃)25部、20%ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液(第一工業製薬社製、ネオゲンS20D、以下20%DBS水溶液と略す)1.1部、脱塩水359部を9
0℃に加熱して、ホモミキサー(特殊機化工業社製 マークIIfモデル)を用い10分間攪拌した。次いで、90℃加熱下で、高圧乳化機を用いて20MPaの加圧条件で循環乳化を開始し、ナノトラックで粒子径を測定し体積平均粒径(MV)が500nm以下になるまで分散して乳化液A1を作製した。最終粒径(MV)は、246nmであった。
第2工程で添加するモノマー類であるスチレンとアクリル酸ブチルの和を100部とし、乳化液A3 194.8部、脱塩水197部を仕込み、攪拌しながら窒素気流下で90℃に昇温し、その後、攪拌を続けたままトリクロロブロモメタン1部及び0.5%V-50水
溶液を22.5部加え、ヘキサンジオールジアクリレートを0.5部とした以外は重合体一次粒子分散液C1の製造方法と同様に重合体一次粒子分散液C2を得た。ナノトラックを
用いて測定した体積平均粒径(MV)は263nmであった。重量平均分子量(Mw)は、40,000であった。
攪拌装置(ダブルヘリカル翼)、加熱冷却装置、濃縮装置、及び各原料・助剤仕込み装置を備えた混合器に重合体一次粒子分散液C2 80部(固形分)を仕込み、内温26℃として、20%DBS水溶液0.05部(固形分)を加えて均一に混合した。さらに、第一硫酸鉄の5%水溶液(FeSO4・7H2Oとして0.53部)を5分かけて添加し、5分間攪
拌を続けて均一に混合した。続けて、シアン顔料分散液(大日精化社製 EP750)4.4部(固形分)を5分かけて添加して均一に混合した後、脱塩水100部を滴下した。この間、内温は26℃に保った。その後、43分かけて内温51℃に昇温し、更に46分かけて54℃まで昇温した。ここでマルチサイザーを用いて体積中位粒径(Dv50)を測定したところ、5.2μmであった。その後、重合体一次粒子分散液C2を5分かけて20部(固形分)添加してそのまま30分保持し、続いて20%DBS水溶液6部(固形分)を10分かけて添加してから、60分かけて95℃に昇温して30分保持した以外はトナー母粒子E1の製造方法と同様にトナー母粒子E2を得た。マルチサイザーIIIを用いて測
定したトナー母粒子E2の体積中位粒径(Dv50)は5.5μmであり、フロー式粒子分析装置で測定した平均円形度は0.976であった。
<現像用トナーF2の製造>
現像用トナーF1と同じ製造方法で現像用トナーF2を得た。
組成をベヘニルアクリレート100部とし、ステアリルアクリレート400部、20%DBS水溶液5.5部、脱塩水1990部とした以外はA1と同様の方法で、乳化液A4を
作製した。最終粒径(MV)は、210nmであった。
<重合体一次粒子分散液C3の調製>
乳化液A1の代わりに乳化液A4を224.7部とし、乳化液A2を50.4部とし、水の量を226部とし、第2工程のヘキサンジオールジアクリレートを0.5部とした以外はC1と同様の方法で、重合体一次粒子分散液C3を得た。体積平均粒径(MV)は2
07nmであり、重量平均分子量(Mw)は、41,800であった。
重合体一次粒子分散液C1の代わりにC3を用い、40分かけて内温50℃に昇温し、更に50分かけて54℃まで昇温した以外はE1と同様の方法でトナー母粒子E3を得た。体積中位粒径(Dv50)は5.3μmであり、フロー式粒子分析装置で測定した平均円形度は0.970であった。
リル酸エステル共重合体は結着樹脂100部に対して30.0部含有されていた。
<現像用トナーF3の製造>
トナー母粒子E1の代わりにE3を用いた以外はF1と同様の方法で現像用トナーF3
を得た。
組成をベヘニルアクリレート100部とし、ステアリルアクリレート900部、20%DBS水溶液11部、脱塩水4140部とした以外はA1と同様の方法で、乳化液A5を作
製した。最終粒径(MV)は、190nmであった。
乳化液A1の代わりに乳化液A5を224.7部とした以外はC3と同様の方法で、重
合体一次粒子分散液C4を得た。体積平均粒径(MV)は218nmであり、重量平均分子量(Mw)は、48,900であった。
重合体一次粒子分散液C1の代わりにC4を用い、40分かけて内温50℃に昇温し、更に70分かけて54℃まで昇温した以外はE1と同様の方法でトナー母粒子E4を得た。体積中位粒径(Dv50)は5.1μmであり、フロー式粒子分析装置で測定した平均円形度は0.972であった。
トナーE4に含まれる長鎖(メタ)アクリル酸エステルA及びBの質量比を、実施例1と同様に分析を行ったところ、質量比a/bは9.22であった。また、長鎖(メタ)アク
リル酸エステル共重合体は結着樹脂100部に対して30.0部含有されていた。
トナー母粒子E1の代わりにE4を用いた以外はF1と同様の方法で現像用トナーF4
を得た。
上記現像用トナーF1〜4を用い、下記の通り、画質評価を行った。結果を表1にまとめて記載する。
得られたトナーを、印刷速度210mm/s、非磁性一成分、保証枚数10000枚(5%印字時)で現像ゴムローラー、金属ブレード、帯電ローラー(PCR)で帯電する有機感光体、ベルト転写、熱定着方式を用いたベルト定着機を搭載したフルカラープリンタを用いて、標準紙(OKIエクセレントホワイト)に対して印字率5%で、6000枚の連続印字を行った。
◎(良好) :△E<0.8
○(わずかに発生):0.8≦△E<1.2
×(発生) :1.2≦△E
付着量200%(付着量0.7〜0.8mg/cm2)の未定着のトナー像を担持した記録紙(OKIエクセレントホワイト)を用意し、加熱ローラの表面温度を100℃から200℃まで5℃刻みで変化させ、定着ニップ部に搬送し、243mm/secの速度で排出されたときの定着状態を観察した。定着時に加熱ローラにトナーのオフセットあるいは用紙巻き付きが生じず、定着後の記録紙上のトナーが十分に記録紙に接着している温度領域を定着温度領域とする。定着機は熱定着方式を用いたベルト定着機を使用して、シリコーンオイルの塗布なしで評価した。
記録紙(OKIエクセレントホワイト)への未定着トナーの付着量200%(付着量0.7〜0.8mg/cm2)の定着紙を使って、折り曲げ法より折り曲げ強度を評価する。評価方法は、定着後の記録紙上のトナー定着範囲が内側になるように軽く折って、おもり(2Kg、接触面円盤直径9cm)を使って折り目の上にゆっくり1往復する。更に定着紙を開き、布(フェルト)で包んだおもり(2Kg、接触面円盤直径9cm)を使って、折り目の上にゆっくり2往復させ、折り目の幅を1〜10十段階で評価する。
1〜6:折り曲げ強度不足
7〜10:折り曲げ強度可
○(実用可):折り曲げ強度可の温度範囲が20℃以上
×(使用不可):折り曲げ強度可の温度範囲が20℃未満
現像用トナー10gを内径3cm、高さ6cmの円筒形の容器に入れ、20gの荷重をのせ、温度50℃、湿度40%の環境下に24時間放置した後、トナーを容器から取り出し、上から荷重をかけることで凝集の程度を確認した。
◎(良好):500g未満の荷重で崩れる。
○(実用可):1000g未満の荷重で崩れる。
×(使用不可):凝集しており、1000g以上の荷重をかけないと崩れない。
Claims (4)
- 少なくとも結着樹脂、着色剤及びワックスを含むトナーの製造方法において、該結着樹脂が、エステル部分の炭素数が18以上、22未満の長鎖(メタ)アクリル酸エステル(A)と22以上の長鎖(メタ)アクリル酸エステル(B)のA,Bからそれぞれ選ばれる少なくとも1種を共重合する第1工程、第1工程において得られた共重合体の存在下にビニル系単量体を共重合する第2工程を経て製造され、該第1工程で共重合されるA、Bの添
加量をそれぞれa、bとしたときの質量比a/bが1/10以上、10以下であることを特徴
とする静電荷像現像用トナーの製造方法。 - 第1工程に供する長鎖(メタ)アクリル酸エステル(A)及び(B)が、水中で高圧機械乳化されてなるものであることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 少なくとも第2工程の共重合時に、ラジカル重合開始剤を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
- 第1工程において得られた長鎖(メタ)アクリル酸エステル共重合体が、結着樹脂中、1質量%以上、50質量%以下含まれることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法。
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