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JP5740896B2 - 解熱鎮痛組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、イブプロフェンに由来する胃障害を抑制すると共に、安定性に優れた解熱鎮痛組成物に関する。
イブプロフェンは、優れた解熱、鎮痛、抗炎症作用を有し、非ステロイド系薬剤として広く用いられており、様々な研究がなされている。特に有効性に関しては、その効果向上を実現する手段として、他の様々な成分との組合せが検討されており、イブプロフェンと、アセトアミノフェン等のアニリン誘導体系解熱鎮痛剤との組合せ(特許文献1〜3:特開昭56−97224号公報,特開平5−246845号公報,特開平5−148139号公報)等の技術が提案されている。
しかしながら、イブプロフェンを経口投与した場合、胃部不快感、胃痛、吐き気等を生じることがあり、副作用として胃腸障害を起こすことが指摘されている。このために、イブプロフェンの経口投与による胃腸障害を抑制させることを目的として、イブプロフェンと、アニリン誘導体系解熱鎮痛剤との組合せによって、有効性に優れ、かつ急性毒性の低減化を図った解熱鎮痛剤(特許文献1,4,5:特開昭56−97224号公報,特開昭56−154416号公報,特開昭59−104315号公報)や、サリチル酸系薬物と併用する技術(特許文献6:特開昭61−134315号公報)や、制酸剤及び/又は粘膜被覆剤と併用する技術(特許文献7:特開昭63−198620号公報)が提案されている。しかしながら、より簡便な方法でイブプロフェンの胃腸障害を抑制する方法が望まれていた。
イブプロフェンによる胃障害の作用機序は、胃の防御機能を司っているプロスタグランジン(PG)の生成抑制や、胃壁細胞への直接刺激によるものと考えられている。このようなことから、イブプロフェンを早く溶解させ、胃内滞留時間を短縮することで、胃に対する作用を軽減し、胃障害を低減するために、イブプロフェンとアセトアミノフェンに、さらにマグネシウム系制酸剤を配合することで、安全性と有効性を両立した技術(特許文献3:特開平5−148139号公報)等が提案されている。しかしながら、イブプロフェンによる胃障害のさらなる抑制効果が望まれていた。
特開昭56−97224号公報 特開平5−246845号公報 特開平5−148139号公報 特開昭56−154416号公報 特開昭59−104315号公報 特開昭61−134315号公報 特開昭63−198620号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、イブプロフェンによる胃障害を抑制し、安定性に優れ、さらに、服用性及び製造性が向上した、解熱鎮痛薬を提供することを目的とする。
上述したように、制酸剤は、イブプロフェンの胃障害を抑制する重要な手段の一つとなっているが、胃内のpHをイブプロフェンの溶解域まで上げるためには相当量の制酸剤、例えば300mg程度の量(ヒトへの1回投与量)が必要であるというのが当業者の一般的な理解である。一方、制酸剤の多量配合は、製剤量を増大させ、その服用性を著しく低下させる。また、イブプロフェンと制酸剤とは著しい配合変化を生ずるため、制酸剤が多量に存在する場合は、安定性が著しく低下する。本発明者らは、イブプロフェンに対して特定量のアセトアミノフェンと、アルミニウム系制酸剤とを併用して配合することで、イブプロフェンによる胃障害を抑制でき、有効性に優れ、製剤の安定性が向上することを知見した。しかも、上記胃障害の抑制効果は、制酸剤の使用量が少なくても得られ、イブプロフェンに対する制酸剤の量を低減することができ、その結果、製剤の安定性がさらに向上し、服用性、製造性にも優れた解熱鎮痛組成物が得られることを見出し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は下記解熱鎮痛組成物を提供する。
[1].(A)イブプロフェン、(B)アセトアミノフェン及び(C)アルミニウム系制酸剤を含有し、(B)/(A)で表される(A)成分に対する(B)成分の配合質量比が0.75以上であり、(C)/(A)で表される(A)成分に対する(C)成分の配合質量比が0.5〜0.8であることを特徴とする解熱鎮痛組成物。
[2].(C)成分が、水酸化アルミニウムである[1]記載の解熱鎮痛組成物。
[3].(A)成分に対する(B)成分の配合質量比が1〜2である[1]又は[2]記載の解熱鎮痛組成物。
[4].(A)成分の配合量が組成物中0.1〜55質量%である[1]〜[3]のいずれか1項記載の解熱鎮痛組成物。
[5].(B)成分の配合量が組成物中11〜55質量%である[1]〜[4]のいずれか1項記載の解熱鎮痛組成物。
[6].(C)成分の配合量が組成物中3〜33質量%である[1]〜[5]のいずれか1項記載の解熱鎮痛組成物。
].(A)、(B)及び(C)成分が混合されてなる固形製剤であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれか1項記載の解熱鎮痛組成物。
本発明によれば、イブプロフェンによる胃障害を抑制し、有効性の薬学的特性と、製剤の安定性に優れた、解熱鎮痛組成物を提供することができる。さらに、本発明によれば、服用性と、製造性(特別な工夫を要することなく、例えば単層錠等でも製造できる)の製剤的特性とを両立させた解熱鎮痛組成物を提供することができる。
本発明の解熱鎮痛組成物は、(A)イブプロフェン、(B)アセトアミノフェン及び(C)アルミニウム系制酸剤を含有し、(B)/(A)で表される(A)成分に対する(B)成分の配合質量比が0.75以上であり、(C)/(A)で表される(A)成分に対する(C)成分の配合質量比が0.3〜1であるものである。
(A)イブプロフェン
(A)成分のイブプロフェンは、解熱鎮痛成分の一つであり、発熱や頭痛等の症状を抑える解熱鎮痛剤の主要な成分の一つとして使われる薬剤である。本発明においては、イブプロフェン(2−(4−isobutylphenyl)propionic acid)及びその薬学的に許容される塩類を用いることができる。この(A)成分の配合量は、通常組成物中に、通常0.1〜55質量%であり、1.0〜50質量%が好ましく、10〜45質量%がより好ましく、12〜36質量%がさらに好ましい。配合量が多すぎると、打錠障害等に繋がる場合があり、配合量が少なすぎると、投与量が増大し、服用性等に支障が生じる場合がある。また、人に対する投与量は、成人で通常130〜200mg/回とすることが好ましい。130mg/回以上で有効性が十分得られ、200mg/回以下とすることで、副作用の発生が抑制され、人体に安全な解熱鎮痛薬とすることができる。
(B)アセトアミノフェン
(B)成分のアセトアミノフェンも解熱鎮痛成分の一つであり、発熱や頭痛等の症状を抑える解熱鎮痛剤の主要な成分の一つとして使われる薬剤である。本発明においては、イブプロフェンに対して特定量のアセトアミノフェンを配合することで、イブプロフェンに由来する胃障害を抑制することができ、有効性を向上させることができる。(B)成分としては、アセトアミノフェン(N−(4−hydroxyphenyl)acetamide)及びその塩類を用いることができる。(B)成分の配合量としては、(B)/(A)で表される(A)成分に対する(B)成分の配合質量比が0.75以上であり、0.75〜2が好ましく、より好ましくは1〜2である。アセトアミノフェンの配合質量比を0.75以上とすることで、イブプロフェンによる胃障害の抑制効果が向上し、アセトアミノフェンの配合比が高くなるにつれ、その作用は増強する傾向にある。上記比が0.75未満の場合は、この効果が不十分であり、2を超える場合は、胃障害が低減する傾向にあるものの、投与量が増大し、服用性等が悪くなるおそれがある。また、イブプロフェンの有効性は、イブプロフェンに対し任意の量のアセトアミノフェンを組み合わせることで向上するが、イブプロフェンに対するアセトアミノフェンの配合質量比が0.5以上において顕著な相乗効果が認められ、配合比を1:0.75〜2、特に1:1とすることにより相乗効果が最大となる。なお、(B)成分の組成物の配合量は上記配合比に依存するが、通常11〜55質量%であり、14〜45質量%が好ましい。
(C)アルミニウム系制酸剤
制酸剤は、胃酸を中和してpHを上昇させる効果を有するアルカリ剤である。本発明の解熱鎮痛組成物はアルミニウム系制酸剤を必須とする。本発明でいうアルミニウム系制酸剤とは、分子中に塩を形成する多価金属として、実質的にアルミニウムのみを含有する化合物をいう。「実質的にアルミニウムのみを含有する」とは、製造方法や製造環境で混入する他の多価金属は本発明の効果を損なわない範囲で許容されるが、通常、アルミニウム系制酸剤中10質量%以下、好ましくは5質量%以下であることをいう。
本発明で用いられるアルミニウム系制酸剤としては、具体的には以下のものが挙げられる。クムライト、ジヒドロキシアルミニウム・アミノ酢酸塩(アルミニウムグリシネート)、水酸化アルミニウム(水酸化アルミニウムゲル、乾燥水酸化アルミニウムゲル等)、ケイ酸アルミニウム、合成ケイ酸アルミニウム、アルミニウムグリシネート等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。中でも、水酸化アルミニウム、アルミニウムグリシネート、クムライトが好ましく、水酸化アルミニウムがより好ましい。
(C)成分の配合量は、(C)/(A)で表される(A)成分に対する(C)成分の配合質量比が0.3〜1であり、好ましくは0.5〜0.8である。(C)成分の配合比が0.3未満の場合は、胃障害の抑制効果が低下し、一方、配合比が1を超える場合は、安定性が低下する。一般に、イブプロフェンによる胃障害は、溶解していない固体のイブプロフェンが胃内で滞留し、胃壁に直接接触することが原因の一つと考えられている。制酸剤は、イブプロフェンと同時に投与されると、その制酸効果で胃内の酸を中和し、胃内のpHをイブプロフェンのpKa以上にすることで溶解性を向上し、固体のイブプロフェンと胃壁との接触機会を減らすため、胃障害の抑制効果を有すると考えられる。従って、上記効果には、胃内のpHを上げる十分な量の制酸剤が必要と考えられていた。一方、本発明においては、アルミニウム系制酸剤を用いることで、少量配合した場合でも、胃障害を抑制する効果を有する。また、制酸剤の配合量を少量にすることができるため、イブプロフェンと共に用いても安定性が良好であり、服用性、製造性にも優れる。なお、(C)成分の組成物の配合量は上記配合比に依存するが、通常3〜33質量%であり、6〜26質量%が好ましい。
本発明には、(C)成分のアルミニウム系制酸剤以外の制酸剤を、本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。その他の制酸剤としては、酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、無水リン酸水素カルシウム等が挙げられる。(C)成分以外の制酸剤の配合量は、配合した制酸剤中のアルミニウム以外の金属[M]と、アルミニウム[Al]との、組成物中の含有モル比([M]/[Al])を1未満とする範囲が好ましく、より好ましくは0.6未満、さらに好ましくは0.3未満、特に好ましくは0である。このモル比を1未満とすることで、胃障害の抑制効果がより発揮され、製剤の安定性が特に良好となる。
本発明の解熱鎮痛組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、上記成分以外の任意成分を配合することができる。任意成分としては、結合剤、賦形剤、滑沢剤、香料、矯味剤(甘味料、酸味料等)、色素、安定化剤、コーティング剤、可塑剤、隠蔽剤等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて適量を用いることができる。
具体的には、結合剤としては、澱粉、α化デンプン、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム末、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、プルラン、デキストリン等を用いることができる。賦形剤としては、乳糖、コーンスターチ、タルク、結晶セルロース(セオラス等)、粉糖、マンニトール、軽質無水ケイ酸、L−システイン等を用いることができる。滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレングリコール、タルク、ステアリン酸、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。香料としては、メントール、リモネン、植物精油(ハッカ油、ミント油、ライチ油、オレンジ油、レモン油等)等が挙げられる。甘味料としては、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、ステビア、グリチルリチン酸二カリウム、アセスルファムカリウム、ソーマチン、スクラロース等が挙げられる。酸味料としては、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、乳酸又はそれらの塩等を用いることができる。コーティング剤としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等(商品名:オパドライ、日本カラコン等)を用いることができる。可塑剤としては、ポリエチレングリコール等を用いることができる。隠蔽剤としては、酸化チタン、タルク等を用いることができる。
本発明の解熱鎮痛組成物は固形製剤とすることができ、イブプロフェンと混合しても安定性に優れるため、(A)、(B)及び(C)成分を混合又は均一混合した組成物とすることができる。固形製剤としては、(A)〜(C)成分及び必要に応じて任意成分を混合し、この混合物を打錠機内に充填し、打錠して錠剤として得ることができる。また、造粒機で造粒して顆粒剤、細粒剤とすることもできる。特に、錠剤の場合単層錠等にすることが可能であり、多層錠にした場合でも同一層内に(A)、(B)及び(C)成分を配合することができる。
より具体的には、錠剤を調製する場合は、例えば以下の方法が挙げられる。(A)イブプロフェンと(B)アセトアミノフェンの粉体混合物と、必要に応じて、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、トウモロコシデンプン、マンニトール、乳糖等の賦形剤とを造粒機に仕込み、ヒドロキシプロピルセルロース水溶液を噴霧し造粒し、得られた造粒物に、(C)制酸剤を混合する。この場合、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、トウモロコシデンプン、マンニトール、乳糖等の賦形剤、ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤を混合してもよい。得られた混合物を打錠機で打錠することにより、錠剤を得ることができる。また、得られた錠剤を、ポリビニルアルコール等を含むコーティング剤により、錠剤表面をコーティングし、コーティング錠とすることもできる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない場合は、各成分の量は純分換算した量である。
[実施例1〜11、参考例1〜4、比較例1〜14]
表1〜5に示す成分及び配合割合で、各成分を混合し組成物を調製し、下記方法に従って胃障害の抑制効果を評価した。また、下記方法で錠剤を調製し、安定性の評価を行った。
<胃障害抑制効果の評価>
各実施例及び比較例の組成質量比の成分を、懸濁液としてラットに投与し、4時間後、胃を摘出して胃障害を評価した。実験方法の詳細は以下の通りである。
(1)動物
SD系雄性ラットの5週齢を1週間予備飼育し、1晩絶食(20〜24時間、水は自由摂取)後、試験に供した。各実施例、参考例及び比較例につき10匹用いた。
(2)試料(懸濁液)
ラットに対する試料の投与量を10mL/kgとし、イブプロフェンの投与量として130mg/kgとなるよう試料の調製を行った。
試料の調製は参考例1では下記の方法であり、その他の例はイブプロフェン650mgアセトアミノフェン及び制酸剤の質量比が表1〜5となる量、また、アラビアゴムが5w/mL%となるように適宜調製した。
i)イブプロフェン650mg、アセトアミノフェン650mg、乾燥水酸化アルミニウムゲル200mg及びアラビアゴム2.5gを量り採り、乳鉢で混合した。
ii)混合した粉体に精製水を加えて懸濁し、50mLとした。
(3)試料の投与
試料の投与量を10mL/kgとして投与した。
具体的には、あらかじめ測定しておいたラットの体重にあわせた量(ラット体重200g:2mL)の懸濁液を、ラット用経口投与ゾンデを装着したディスポーサブル注射筒にとり、強制経口投与した。経口投与後も絶食は継続した。
(4)胃障害性評価
1)経口投与4時間後、エーテル麻酔下で胃を摘出した。胃摘出直後、ゾンデにて胃内に生理食塩水10mLを注入し、1質量%ホルマリン溶液に1時間以上入れて固定した。
2)ホルマリンにて固定終了後、胃の大湾を切り開き、内容物を生理食塩水にて洗い流し、胃を濾紙に広げて張り付け、潰瘍の長さ(mm)の合計(n=10)を測定した。下記評点に従って評価した結果を表1〜5に併記する。
評点
◎:10mm未満
○:20mm未満
△:40mm未満
×:40mm以上
<安定性>
表1〜5に記載の配合質量比に従い、イブプロフェンとアセトアミノフェンの粉体総量500gと、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC・LH31、信越化学工業(株)製)100gを流動層造粒機(MP−01、(株)パウレック製)に仕込み、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L、日本曹達(株)製)6質量%水溶液600gを噴霧し造粒した。
造粒した粉体を750μmの篩で篩過し、その500gに、配合比率相当の制酸剤、及び、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース100g、さらに、ステアリン酸マグネシウム0.5質量%(外割り)で均一に混ざるよう混合し、ロータリー打錠機(クリーンプレス12HUK、(株)菊水製作所製)にて、イブプロフェンを65mg含む錠剤を調製した。参考例1の錠剤(1錠)の組成を下記に示す。その他の例はイブプロフェン65mg、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース59mg、ヒドロキシプロピルセルロース9.36mg、ステアリン酸マグネシウム0.5質量%(外割り)を固定し、アセトアミノフェン及び制酸剤の質量比が表1〜5となる量に適宜調製した。
錠剤(1錠)組成(参考例1)
(mg)
イブプロフェン 65
アセトアミノフェン 65
乾燥水酸化アルミニウムゲル 19.5
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 59(26+33)
ヒドロキシプロピルセルロース 9.36
合計 217.86
ステアリン酸マグネシウム0.5質量%(外割り)
上記で調製した錠剤を50℃,75%RH条件下で、シャーレにて保存し、2日後の外観変化を観察した。下記評点に従って評価した結果を表1〜5に併記する。
評点
◎:全く変色なし
○:ほとんど変色なし
△:やや変色あり
×:かなり変色あり
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Figure 0005740896
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<有効性(ランダール・セリット法)>
実施例、比較例13及びイブプロフェン単独について有効性(ランダール・セリット法)の評価を行った。
各例の組成比の成分を、懸濁液として右後脚を起炎したラットに投与、2時間後の痛み閾値を測定する。実験方法の詳細は以下の通りである。
(1)動物
SD系雄性ラットの5週齢を1週間予備飼育し、1晩絶食(17〜20時間、水は自由摂取)後、試験に供した。各例につき10匹用いた。
また、動物は、試験前にトレーニングとして、疼痛閾値の測定を2日間で3回行った。さらに、起炎前に疼痛閾値の測定を行い(疼痛閾値i)、疼痛閾値が60〜120程度の動物を選択し、試験に供した。
(2)試料
ラットに対する試料の投与量を10mL/kgとし、イブプロフェンの投与量として13mg/kgとなるよう試料の調製を行う。
試料の調製は実施例では下記の方法であり、その他の例はイブプロフェン65mg、アセトアミノフェン及び制酸剤の質量比が表1〜4となる量、また、アラビアゴムが5w/mL%となるように適宜調製した。
i)イブプロフェン65mg、アセトアミノフェン65mg、乾燥水酸化アルミニウムゲル35mg及びアラビアゴム2.5gを量り採り、乳鉢で混合した。
ii)混合した粉体に精製水を加えて懸濁し、50mLの懸濁液を得た。
(3)起炎
ビール酵母4gを生理食塩水で20gとし、分散させた。この液0.1mLをラット右後肢足蹠(そくせき)に皮下投与した。
起炎から2時間後、疼痛閾値測定装置にて、起炎したラット右後脚の疼痛閾値を測定した。
(4)試料の投与
懸濁液の投与量を、10mL/kgとして投与した。また、薬物を含まない試料(アラビアゴムのみ含む)を調製し、コントロールとした。
起炎から2時間後の疼痛閾値を測定した後、あらかじめ測定しておいたラットの体重にあわせた量(例:ラット体重200g:2mL)の懸濁液を、ラット用経口投与ゾンデを装着したディスポーサブル注射筒にとり、強制経口投与した。経口投与後も絶食は継続した。
(5)疼痛閾値評価
試料の経口投与から1時間後、疼痛閾値測定装置で起炎したラットの右後脚の疼痛閾値を測定した(疼痛閾値ii)。得られた結果から、下記式にて抑制率を算出した。
抑制率(%)=
[(平均疼痛閾値ii)−(コントロール群の平均疼痛閾値ii)]/[(コントロール群の平均疼痛閾値i)−(コントロール群の平均疼痛閾値ii)]×100
疼痛閾値i:起炎前の疼痛閾値の測定
実施例の抑制率:85.4%
実施例の抑制率:58.7%
比較例13の抑制率:43.5%
イブプロフェンのみの抑制率:37.8%
上記の結果から、実施例及びは高い有効性を有していることが示された。

Claims (7)

  1. (A)イブプロフェン、(B)アセトアミノフェン及び(C)アルミニウム系制酸剤を含有し、(B)/(A)で表される(A)成分に対する(B)成分の配合質量比が0.75以上であり、(C)/(A)で表される(A)成分に対する(C)成分の配合質量比が0.5〜0.8であることを特徴とする解熱鎮痛組成物。
  2. (C)成分が、水酸化アルミニウムである請求項1記載の解熱鎮痛組成物。
  3. (A)成分に対する(B)成分の配合質量比が1〜2である請求項1又は2記載の解熱鎮痛組成物。
  4. (A)成分の配合量が組成物中0.1〜55質量%である請求項1〜3のいずれか1項記載の解熱鎮痛組成物。
  5. (B)成分の配合量が組成物中11〜55質量%である請求項1〜4のいずれか1項記載の解熱鎮痛組成物。
  6. (C)成分の配合量が組成物中3〜33質量%である請求項1〜5のいずれか1項記載の解熱鎮痛組成物。
  7. (A)、(B)及び(C)成分が混合されてなる固形製剤であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の解熱鎮痛組成物。
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