JP5740072B2 - β−1,3−1,6−D−グルカンを用いたストレス緩和剤 - Google Patents
β−1,3−1,6−D−グルカンを用いたストレス緩和剤 Download PDFInfo
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Description
過度のストレスがかかり続けると、上記の状態が持続し、傷害部位治癒遅延や筋肉の萎縮、胃粘膜の傷害、血管の傷害、胸腺の萎縮などを誘引して種々の疾病を引き起こすことになる。特に免疫系への傷害は深刻で、リンパ球の減少、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)の活性低下を余儀なくされ、ウイルスや細菌感染などにさらされることとなる。
一方、自律神経は免疫を担当している器官(胸腺、リンパ節、骨髄、脾臓など)にも分布しており、その影響は大きいと考えられる。また白血球やNK細胞、リンパ球に対しても自律神経系により調節されている。例えば、NK細胞は、交感神経優位な際に分泌されるアドレナリンによりその活性が低下する。グルココルチコイドはリンパ球を衰弱させ、マクロファージの活性も低下させることが知られている。逆に副交感神経優位になるとリンパ球の活性は増大する。このようにストレスによって免疫系が低下することは知られており、多くの疾病を引き起こす原因となっている。しかしながら抗ストレス効果と免疫賦活効果を合わせ持つ食品素材は知られていない。
近年、食習慣の変化、運動不足、過度のストレス、高齢化等の要因により、常習性ストレス者が増加している。ストレス者が増加していることは、厚生労働省の発表している、平成14年患者調査(厚生労働省大臣官房統計情報部人口動態・保険統計課:平成14年患者調査報告(疾病分類学))からも明らかである。
(1) オーレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)に属する微生物に由来する。
(2) 1N水酸化ナトリウム重水溶液を溶媒とする溶液の1H NMRスペクトルが約4.7ppm及び約4.5ppmの2つのシグナルを有する。
(3) 水溶液の30℃、pH5.0、濃度0.5(w/v%)における粘度が200cP(mPa・s)以下である、
を有するβ-1,3-1,6-D-グルカンを含む、ストレス緩和剤を提供する。
(1) オーレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)に属する微生物に由来する。
(2) 1N水酸化ナトリウム重水溶液を溶媒とする溶液の1H NMRスペクトルが約4.7ppm及び約4.5ppmの2つのシグナルを有する。
(3) 水溶液の30℃、pH5.0、濃度0.5(w/v%)における粘度が200cP(mPa・s)以下である、
を有するβ-1,3-1,6-D-グルカンを含む、副交感神経刺激剤及び/又は交感神経抑制剤を提供する。
(1) オーレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)に属する微生物に由来する。
(2) 1N水酸化ナトリウム重水溶液を溶媒とする溶液の1H NMRスペクトルが約4.7ppm及び約4.5ppmの2つのシグナルを有する。
(3) 水溶液の30℃、pH5.0、濃度0.5(w/v%)における粘度が200cP(mPa・s)以下である、
を有するβ-1,3-1,6-D-グルカンを含む、飲食品組成物を提供する。
(I)ストレス緩和剤
本発明のストレス緩和剤は、オーレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)に属する微生物に由来するβ-1,3-1,6-D-グルカンを含むものである。このβ-1,3-1,6-D-グルカンは、1N水酸化ナトリウム重水溶液を溶媒とする溶液の1H NMRスペクトルが約4.7ppm及び約4.5ppmの2つのシグナルを有し、かつ水溶液の30℃、pH5.0、濃度0.5(w/v%)における粘度が好ましくは200cP(mPa・s)以下、より好ましくは100cP(mPa・s)以下、さらに好ましくは50cP(mPa・s)以下のものである。上記粘度の下限値は通常10cP(mPa・s)程度であり得る。NMRの測定値は条件の微妙な変化によって変化し、また誤差を伴うことは周知のことであることから、「約4.7ppm」「約4.5ppm」は、通常予測される範囲の測定値の変動幅(例えば±0.2)を含む数値を意味する。
オーレオバシジウム属の微生物が生産するβ-1,3-1,6-D-グルカンは、菌体外に分泌されるために回収が容易であり、また水溶性である点で好ましいものである。オーレオバシジウム属の微生物は、分子量が100万以上の高分子量のグルカンから分子量が数万程度の低分子のグルカンまでを培養条件に応じて生産することができる。
本発明のストレス緩和剤に含まれるβ−1,3−1,6−D−グルカンは、水溶液にしたときの粘度が、オーレオバシジウム属微生物が生産する天然型β−1,3−1,6−D−グルカンより低い。この低粘度β−1,3−1,6−D−グルカンは、0.5%(w/v)水溶液(pH5.0)の30℃における粘度が好ましくは200cP(mPa・s)以下であり、より好ましくは100cP(mPa・s)以下であり、さらに好ましくは50cP(mPa・s)以下であり、よりさらに好ましくは10cP以下である。本発明において、粘度はBM型回転粘度計で測定した値である。
〜90%と推測される。
β−1,3−1,6−D−グルカンは、例えば、これを生産する微生物の培養上清に有機溶媒を添加することにより沈殿物として得ることができる。
上記の高粘度のβ−1,3−1,6−D−グルカンを含む培養液を、常温で攪拌しながら、これにアルカリを添加すると、急激に粘度が低下する。
本発明のストレス緩和剤において、β−1,3−1,6−D−グルカンは、必要に応じて薬学的に許容される担体とともに適当な製剤とすることができる。このような担体として、賦形剤、結合剤、崩壊剤、潤沢剤、付湿剤等が挙げられる。また、酸化防止剤のような慣用の添加剤なども含まれていてよい。
投与対象
本発明のストレス緩和剤は、ストレスに曝されているヒトを含む哺乳動物に好適に投与できる。この中には、ストレス下にある以外は健康なヒトの他に、他の疾患を併発している患者も含まれる。さらに、β−1,3−1,6−D−グルカンは安全な天然成分であることから、ストレスを受け易い生活環境の健常人も予防的に適時又は常時摂取することができる。
上記説明したオーレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)に属する微生物に由来するβ-1,3-1,6-D-グルカンは、副腎交感神経活動の抑制、胃副交感(迷走)神経の亢進、脾臓交感神経活動を抑制することから、交感神経抑制剤及び/又は副交感神経刺激剤として使用することができる。また、交感神経を抑制及び/又は副交感神経を刺激するためストレスを緩和することができ、ストレス緩和剤としても使用することができる。
本発明の飲食品組成物は、上記説明したβ−1,3−1,6−D−グルカンを含む。この飲食品組成物は、β−1,3−1,6−D−グルカンを含むことからストレスを緩和する作用、及び交感神経を抑制し及び/又は副交感神経を刺激しストレスを緩和する作用を有するため、健康食品、機能性食品、又は栄養機能食品又は特定保健用食品のような保健機能食品として好適に使用できる。ここで、本発明における健康食品は、一般に「健康によい」として売られている食品全般、又は消費者が健康に良いと積極的な効果を期待して摂取する医薬品以外の食品を含み、健康補助食品を含む。また、本発明における機能性食品は、生体調節機能を充分に効率よく発現するように設計した食品を含む。
実施例
次に実施例及び試験例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(1-1)β−グルカンの培養生産
後掲の表1に示す組成を有する液体培地100mlを500ml容量の肩付きフラスコに入れ、121℃で、15分間、加圧蒸気滅菌を行った後、オーレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pullulans)GM-NH-1A1株(FERM P-19285)を同培地組成のスラントより無菌的に1白金耳植菌し、130rpmの速度で通気攪拌しつつ、30℃で24時間培養することにより種培養液を調製した。
<多糖濃度測定>
多糖濃度は、培養液を数mlサンプリングし、菌体を遠心分離除去した後、その上清に最終濃度が66%(v/v)となるようにエタノールを加えて多糖を沈殿させて回収した後、イオン交換水に溶解し、フェノール硫酸法で定量した。
<置換スルホ含量測定>
同様にして菌体を除去した培養上清にエタノールを最終濃度が66%となるように添加し、β−グルカンを沈殿回収した。その後、再度イオン交換水に溶解し、再度遠心分離後、その上清に最終濃度が0.9%になるように食塩を加えた後、再度66%エタノールでβ−グルカンを回収した。このβ−グルカン回収精製操作を更に2回繰り返し、得られたβ−グルカン水溶液をイオン交換水で透析後、凍結乾燥によりβ−グルカン粉末を得た。
上記のようにして得られた培養液の粘度をBM型回転粘度計(東京計器製)を用いて、30℃、12rpmで測定したところ、1500cP((mPa・s))であった。測定に用いるロータは粘度にあわせて適当なものを選択した。
上記のβ−グルカン水溶液(培養ろ液)を0.3%に希釈後、限外ろ過(UF)膜(分子量カット5万、日東電工社製)を用いて脱塩を行い、最終的にナトリウムイオン濃度を20mg/100mlに落とした後、50%(w/v)クエン酸水溶液によりpHを3.5に調整した。
<硫黄含有量の測定>
また、得られたβ−グルカン水溶液をイオン交換水で透析後、凍結乾燥によりβ−グルカン粉末を得た。本β−グルカンの組成分析結果からS含量は330mg/kgであり、これから計算される置換スルホ酢酸含量は0.12%であった。
<結合状態の確認>
また、脱塩を行った上記培養ろ液について、コンゴーレッド法によって、480nmから525nm付近への波長シフトを確認することができたのでβ−1,3結合を含むグルカンを含有していることが証明された(K. Ogawa, Carbohydrate Research, 67, 527-535 (1978)、今中忠行 監修, 微生物利用の大展開, 1012-1015, エヌ・ティー・エス(2002))。そのときの極大値へのシフト差分はΔ0.48/500μg多糖であった。
<粒度測定>
次に、レ−ザ回折/散乱式粒度分布測定装置(HORIBA製LA−920)を用いて培養液の粒度を測定したところ、粒子としては0.3μmと100μm程度の大きさのところにピ−クが見られた。続いて、超音波を照射しながら、粒度測定を行うと、100μmのピ−クはみるみるうちに消失し、0.3μmのピ−クが増え、最終的に0.3μmのみとなった。超音波照射したときの培養液の粒度分布を図8に示す。
<分子量測定>
また、東ソー社製のトーヨーパールHW65(カラムサイズ75cm×φ1cm、排除分子量250万(デキストラン))を用いて、0.1Mの水酸化ナトリウム水溶液を溶離液としてゲルろ過クロマトグラフィーを行い、溶解β−1,3−1,6−D−グルカンとβ−1,3−1,6−Dグルカンの1次粒子とを含む溶液の分子量を測定したところ、溶解β−1,3−1,6−D−グルカンに由来する2〜30万のピークの低分子画分と、1次粒子に由来する見かけ上50〜250万の高分子画分との二種類が検出された。分子量のマーカーとしてShodex社製のプルランを用いた。
(1)において、アルカリ処理および菌体除去処理により調製された微粒子β−1,3−1,6−D−グルカンを含むβ−1,3−1,6−D−グルカン水溶液に、最終濃度が66%(v/v)となるようにエタノールを添加して、多糖グルカンを沈殿させ、遠心分離法により回収した。次いで凍結乾燥法によりエタノールと水分を除去し、乾燥β−1,3−1,6−D−グルカンを得た。そのときの収率はエタノール沈殿前の全糖濃度と比較して95%以上であった。
(1)において得られた培養液(多糖濃度0.5%(5mg/ml))90Lを50%クエン酸水溶液9kgで中和後、濾過助剤(日本製紙ケミカル製粉末セルロ−スKCフロック)を1.8kgプレコートした薮田式濾過圧搾機40D-4を通して、菌体を取り除いた。ろ液を限外濾過スパイラルエレメント(日東電工製NTU3150−S4)で9Lまで濃縮した。本濃縮液を攪拌しながら、エタノール18Lを加え、グルカン/エタノール/水スラリーを得た。スラリーの粘度はBM型粘度計で22mPa・s(30℃)であった。室温で3時間静置し、上澄み液(エタノール/水)約17Lを取り除いた。残ったスラリーの粘度は45mPa・s(30℃)であった。本濃縮スラリー10Lを坂本技研型の噴霧乾燥装置R-3を用いて噴霧乾燥し、360gのβ−1,3−1,6−D−グルカン粉末を得た(回収率80%)。得られたβ−1,3−1,6−D−グルカンの純度はNMRスペクトルの解析の結果、90%以上であった。
なお、得られたβ−1,3−1,6−D−グルカン粉末を1N水酸化ナトリウム重水溶液に溶解させ、NMRスペクトルを測定したところ、1H NMRスペクトルが約4.7ppm及び約4.5ppmの2つのシグナルを得た。また、得られたβ−1,3−1,6−D−グルカン粉末の濃度0.5(w/v%)の水溶液の粘度は200cP以下であった(pH5.0、30℃)。
マウスの拘束ストレスに対する改善効果
低粘度化β―1,3−1,6−グルカンが、拘束により誘発されるストレスを抑制することを以下のようにして確認した。
1) 使用物質
低粘度化処理グルカンとして、上記(3)の項目で得た高純度β―1,3−1,6−グルカン粉末を超純水を用いて、投与量が25mg、50mg、100mg/kgになるよう調製したものを用いた。
Balb/cマウス(雄性、8週齢)を日本クレア(株)から購入し、1週間予備飼育した後に健康なマウスを選択して実験に使用した。本動物実験は、「愛媛大学動物実験指針」並びに「実験動物の飼育および保管などに関する基準」(昭和55年3月総理府告示第6号)に則って計画し、愛媛大学動物倫理委員会の承認を得た後、実施した。
β−グルカンは、毎朝、7日間経口投与した。強制拘束は投与3日目、5日目および7日目の19時から翌朝7時までの12時間行った。強制拘束には100箇所以上の通気孔を開けた50mlのプラスチックチューブを用い、拘束時には傷や痛みを伴わないように留意した。強制拘束中は餌と水の摂取ができないため、拘束コントロール群(水を毎朝経口投与し、強制拘束を行う)とは別に、拘束なしで、餌と水を夜間与えないコントロール群(絶飲食対照群)を置いた。
採取した血液は遠心分離して血漿を分離し、測定まで−20℃以下で保存した。血中コルチコステロン濃度はEIAキット(Diagnostic Systems Laboratories,Inc.,TX,USA)を用いて測定した。
無菌的に摘出した脾臓を培養液(5%ウシ胎児血清および抗生剤を含むRPMI1640)中でホモジナイズしてナイロンメッシュでろ過し、脾臓細胞を分離した。脾臓細胞の一部をマルチウェルプレートに加え、コンカナバリンA(ConA)を10μg/mlとなるように加えて、CO2インキュベーター(37℃、5% CO2)で培養した。48時間後、培養上清を回収し、測定まで−20℃以下で保存した。培養液中のインターロイキン6(IL−6)およびIL−12をそれぞれELISAキット(R&D Systems,Inc.,MN,USAおよびPierce Biotechnology,Inc.,IL,USA)を用いて測定した。
<脾臓重量>
絶飲食対照群の脾臓重量は、正常群と比較して有意に低下していた。また、拘束を繰り返した後の脾臓重量は、正常群および絶飲食対照群と比較して著しく低下した。拘束ストレスによる脾臓重量の低下に対して、β−グルカンは影響を及ぼさなかった。(表2)
*はP<0.05で拘束ストレスコントロール群との間に有意差あり
One-way ANOVA検定で有意な差異が認められたものについて、さらにFishers Protected LSDによる多重検定群間検定を行った。
血中コルチコステロン濃度は、拘束ストレスによって正常群と比較して有意に上昇した。また、絶飲食によっても上昇する傾向が認められた。これに対して、β−グルカン投与群では、血中コルチコステロン濃度の上昇を抑制する傾向が認められ、β−グルカン50mg/kg投与群では、拘束コントロール群および絶飲食対照群と比較して有意な血中コルチコステロン濃度の低下が見られた。(図1)
摘出した脾臓から分離した脾臓細胞から分泌されるIL−12およびIL−6は拘束ストレスによって著しく低下した。これに対してβ−グルカン投与群はIL−12およびIL−6の拘束ストレスによる低下を抑制し、β−グルカン100mg/kg投与群ではIL−12の分泌量は拘束コントロール群と比較して有意に上昇していた。しかしながら、この低下抑制効果は、正常群および絶飲食対照群の高い分泌量には及ばなかった。(図2および図3)
脾臓リンパ球のNK活性は、拘束ストレスによって著しく低下した。β−グルカン(50mg/kgおよび100mg/kg)投与によって、拘束ストレスによるNK活性の低下は有意に抑制された。(表3)
エフェクター細胞/ターゲット細胞 = 100 : 1
*はP<0.05で拘束ストレスコントロール群との間に有意差あり
One-way ANOVA検定で有意な差異が認められたものについて、さらにFishers Protected LSDによる多重検定群間検定を行った。
ストレスに関係する自律神経系(交感神経及び副交感神経)に対するβ−グルカンの作用を検討するためにラットを用いて副腎及び脾臓を支配する交感神経と胃を支配する副交感(迷走)神経の活動を電気生理学的に測定した。
1) 使用物質
低粘度化処理グルカンとして、上記(3)の項目で得た高純度β―1,3−1,6−グルカン粉末を60℃に熱した水に溶解し、室温にまで冷却して十二指腸内に投与した。
実験には12時間毎の明暗周期(8時〜20時まで点灯)下に24℃の恒温動物室にて1週間以上飼育した体重約300gのWistar系雄ラットを使用した。餌(オリエンタル酵母、MF)及び水は自由摂食させた。
自律神経の活動を検討するために、3時間絶食後明期の中間期にurethane(1g/kg、ip)麻酔下で開腹し、副腎と脾臓を支配する交感神経と胃を支配する副交感神経を銀電極で釣り上げ、既述の方法(○文献1−10参照)にて神経活動を測定した。尚、手術開始から測定終了までチューブを気管に挿入して気道を確保し、保温装置にて体温(ラット直腸温)を35.0±0.5℃に保つようにした。
○文献1−10
文献1:Yamano T. et al. Neurosci. Lett. 313:78-82, 2001.
文献2:Niijima A. et al. Auton. Neurosci.:Basic & Clin. 97:99-102, 2002.
文献3:Nagai K. et al. Exp. Biol. Med. (Maywood) 228:1138-1145, 2003.
文献4:Shen J. et al. Neurosci. 380:289-294, 2005.
文献5:Shen J. et al. Neurosci. 383:188-193, 2005.
文献6:Tanida M. et al. Am. J. Physiol. 288:R447-455, 2005.
文献7:Tanida M, et al. Brain Res. 1058: 44-55, 2005.
文献8:Tanida M. et al. Neurosci. Lett. 398:102-106, 2006.
文献9:Tanida M. et al. Neurosci. Lett. 389:109-114, 2005.
文献10:Yamano T. et al. Life Sci. (in press) 2006.
<副腎交感神経活動測定のためのβ−グルカン投与量の決定>
10ngから10mgまでのβ−グルカンを十二指腸内投与し副腎交感神経活動(Adrenal sympathetic nerve activity、ASNA)の測定を行った実際のデータとそれを投与前値を100%とした5分間毎の平均活動量として表したものである。1μg(=1000ng)から10mgの広範囲の投与量で副腎交感神経活動が低下し、投与35分後までにもっとも著明に低下したのは10μgのβ−グルカンを投与した時であった。そこで、最も効果の強かった10μgを十二指腸内に投与したときの副腎交感神経の活動変化について検討した。
10μgのβ−グルカンおよび対照実験として行った溶媒である水を、それぞれ、十二指腸内投与した時の実際の副腎交感神経活動の変化について検討した。対照水投与時には殆ど神経活動に変化は認められなかったが、10μgのβ−グルカンの十二指腸内投与により副腎交感神経活動が著明に低下することが認められた。これらのデータを、投与前の神経活動を100%として5分毎の平均活動量として示したものを図4に示す。
0.1μgから10μgまでの量のβ−グルカンを十二指腸内投与した時の実際の胃副交感神経活動(Gastric Vagal Nerve Activity、GVNA)の変化について測定した。0.1μgのβ−グルカン投与は胃副交感神経活動をやや低下させたが、1μgと10μgのβ−グルカンの十二指腸内投与は胃副交感神経活動を著明に増加させた。そこで、この内最も効果の強かった1μgのβ−グルカンの胃副交感神経活動に対する作用を水投与作用とともに各3匹ずつのラットを用いて検討した。
1μgのβ−グルカンおよび対照実験として行った溶媒である水を、それぞれ、十二指腸内投与した時の実際の胃副交感(迷走)神経活動の変化について検討した。図5にはその時の実際の測定データと投与前の神経活動を100%として5分毎の平均活動量として示したものを示す。
0.1μgから10μgのβ−グルカンの十二指腸内投与後の脾臓交感神経活動(Splenic Sympathetic Nerve Activity、SSNA)の変化について測定した。0.1μg、1μg、10μgと投与量に依存してβ−グルカンは脾臓交感神経活動を抑制した。そこで、3匹ずつのラットを用いて脾臓交感神経活動に対する10μgのβ−グルカンおよび水の十二指腸内投与効果について検討した。
10μgのβ−グルカンおよび対照実験として行った溶媒である水を、それぞれ、十二指腸内投与した時の実際の脾臓交感神経活動の変化について検討した。その結果を図6に示す。
処方例1(クッキー)
粉末β−1,3−1,6−D−グルカン 1重量%
殺菌乳酸菌末 0.2重量%
カテキン 1重量%
クッキー 残量
処方例2(サプリメント)
粉末β−1,3−1,6−D−グルカン 10重量%
コラーゲンペプチド 42重量%
ヒアルロン酸 0.06重量%
殺菌乳酸菌末 1重量%
ビタミンC 10重量%
ビタミンB2 0.03重量%
ビタミンB6 0.03重量%
賦形剤(デンプンなど) 残量
処方例3(サプリメント)
粉末β−1,3−1,6−D−グルカン 1重量%
コラーゲンペプチド 42重量%
ヒアルロン酸 0.06重量%
ビタミンC 10重量%
ビタミンB2 0.03重量%
ビタミンB6 0.03重量%
ナイアシン 0.15重量%
賦形剤(デンプンなど) 残量
処方例4(ドリンク剤)
β−1,3−1,6−D−グルカン水溶液
(0.2重量%β‐グルカン水溶液) 61.5重量%
殺菌乳酸菌末 0.03重量%
ミルクオリゴ糖 0.8重量%
ラクトフェリン 0.09重量%
甘味料(スクラロース) 0.03重量%
クエン酸 0.22重量%
香料 0.37重量%
水 残部
処方例5(ドリンク剤)
β−1,3−1,6−D−グルカン水溶液
(0.2重量%β‐グルカン水溶液) 61.5重量%
殺菌乳酸菌末 0.03重量%
テアニン 0.8重量%
GABA 0.09重量%
甘味料(スクラロース) 0.03重量%
クエン酸 0.22重量%
香料 0.37重量%
水 残部
処方例6(ドリンク剤)
粉末β−1,3−1,6−D−グルカン
(オーレオバシジウム属由来) 0.2重量%
紅花エキス 7%
イチョウ葉エキス 7%
高麗人参エキス 7%
ザクロエキス 1%
天草エキス 3.5%
桂皮エキス 3.5%
陳皮エキス 3.5%
ウコンエキス 2.1%
生姜エキス 1%
ハチミツ 3%
水 残部
Claims (1)
- 以下の(1)〜(3)の性質:
(1) オーレオバシジウム・プルランスGM-NH-1A1株又はオーレオバシジウム・プルランスGM-NH-1A2株に由来する;
(2) 1N水酸化ナトリウム重水溶液を溶媒とする溶液の1H NMRスペクトルが約4.7ppm及び約4.5ppmの2つのシグナルを有する;
(3) 水溶液の30℃、pH5.0、濃度0.5(w/v%)における粘度が200cP(mPa・s)以下である、
を有するβ-1,3-1,6-D-グルカンを含む、ストレス状態における血中コルチコステロン低下剤。
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