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JP5639774B2 - 乾燥装置及び液体吐出装置並びに媒体固定方法 - Google Patents

乾燥装置及び液体吐出装置並びに媒体固定方法 Download PDF

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JP5639774B2 JP2010068234A JP2010068234A JP5639774B2 JP 5639774 B2 JP5639774 B2 JP 5639774B2 JP 2010068234 A JP2010068234 A JP 2010068234A JP 2010068234 A JP2010068234 A JP 2010068234A JP 5639774 B2 JP5639774 B2 JP 5639774B2
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Description

本発明は乾燥装置及び液体吐出装置並びに媒体固定方法に係り、特に液体が付与された媒体の乾燥持における媒体保持技術に関する。
従来、汎用の画像形成装置として、固定保持された記録媒体を所定の搬送方向へ搬送させながら、インクジェットヘッドのノズルからカラーインクを吐出させて、該記録媒体上に所望の画像を形成するインクジェット記録装置が知られている。
特許文献1には、圧胴に設けられたグリッパーによって記録媒体の先端部が固定され、該圧胴の回転により記録媒体が搬送される圧胴搬送方式が適用されるインクジェット記録装置が開示されている。このインクジェット記録装置は、記録媒体上に画像を形成する描画部の後段に描画後の記録媒体を乾燥させる乾燥部が設けられ、描画部において記録媒体を搬送する圧胴と乾燥部において記録媒体を搬送する圧胴とが構造上分離されている。また、乾燥部の後段には、乾燥処理後の記録媒体に対して加熱ローラを用いた定着処理が施される定着部が設けられている。
特開2009−241501号公報
しかしながら、特許文献1に開示されたインクジェット記録装置は、乾燥部による乾燥処理の際に記録媒体に歪みが発生することがある。定着部において歪みが生じた記録媒体を加熱ローラでニップすると、この歪みがしわとなってしまう。記録媒体に生じたしわは記録画像の品質を著しく低下させてしまうので、記録媒体におけるしわの発生を防止するための対策が必要である。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、媒体の縁部を固定して乾燥処理を施す際に、当該媒体に生じる歪みが防止されるとともに、定着処理時におけるしわの発生が防止される乾燥装置及び液体吐出装置並びに媒体固定方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る乾燥装置は、媒体の縁部の少なくともいずれか一辺を固定する固定手段と、前記固定手段によって固定された媒体に乾燥処理を施す乾燥処理手段と、前記乾燥処理手段によって乾燥処理が施された媒体に加圧処理を施す加圧手段と、を備え、前記固定手段は、媒体の固定対象の一辺における略中央部を固定する第1の固定部、及び前記第1の固定部より略中央部が固定される媒体の一辺における両端部を固定する第2の固定部を有し、前記乾燥処理手段による乾燥処理時に、前記第1の固定部によって前記媒体の固定対象の一辺における略中央部の少なくとも一部が固定され、前記第2の固定部によって前記媒体の固定対象の一辺における両端部が固定されないことを特徴とする。
本発明によれば、第1の固定部による固定範囲を乾燥処理時に媒体の固定対象の縁部の一辺における中央部の少なくとも一部を含む所定の範囲に限定することで、固定対象の一辺の両端部が開放され、乾燥処理時の媒体に生じる収縮が規制されず、乾燥処理時の媒体における歪みの発生が抑制される。したがって、乾燥処理後に加圧処理が施されても媒体にしわが発生しない。
本発明の実施形態に係る乾燥装置が適用されるインクジェット記録装置の全体構成図 図1に示すインクジェット記録装置に搭載されるインクジェットヘッドの構成例を示す平面透視図 図2に示すインクジェットヘッドの一部拡大図 図2に示すインクジェットヘッドのノズル配置を説明する平面図 図2示すインクジェットヘッドの立体構造を示す断面図 図2に示すインクジェット記録装置のシステム構成を示す要部ブロック図 図1に示すインクジェット記録装置の乾燥部に適用される圧胴の概略構造を示す斜視図 図7に示す圧胴のグリッパーを拡大した拡大図 媒体のx座標を説明する図 図8に示すグリッパーの動作の条件(1),(2)を説明する図 図8に示すグリッパーの動作の条件(3)の一例を説明する図 図8に示すグリッパーの動作の条件(3)の他の例を説明する図 図8に示すグリッパーの動作の条件(3)のさらに他の例を説明する図 記録媒体の受渡時におけるグリッパーの動作を説明する図 本発明の実施形態に係る媒体固定方法の評価結果を示す図
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。以下の説明では、本発明に係る乾燥装置をインクジェット記録装置において描画後の記録媒体を乾燥させる乾燥処理部に適用した例について説明する。
〔インクジェット記録装置の全体構成〕
図1は、本発明の実施形態に係る乾燥装置が乾燥処理部に適用されるインクジェット記録装置の全体構成を示した構成図である。同図に示すインクジェット記録装置10は、色材を含有するインクと該インクを凝集させる機能を有する凝集処理液を用いて、所定の画像データに基づいて記録媒体14の記録面に画像を形成する2液凝集方式の記録装置である。
インクジェット記録装置10は、主として、給紙部20、処理液塗布部30、描画部40、乾燥処理部50、定着処理部60、及び排出部70を備えて構成される。処理液塗布部30、描画部40、乾燥処理部50、定着処理部60の前段に搬送される記録媒体14の受け渡しを行う手段として渡し胴32,42,52,62が設けられるとともに、処理液塗布部30、描画部40、乾燥処理部50、定着処理部60のそれぞれに記録媒体14を保持しながら搬送する手段として、ドラム形状を有する圧胴34,44,54,64が設けられている。
渡し胴32〜62及び圧胴34〜64は、外周面の所定位置に記録媒体14の先端部を挟んで保持するグリッパー80A,80Bが設けられている。グリッパー80Aとグリッパー80Bにおける記録媒体14の先端部を挟んで保持する構造、及び他の圧胴又は渡し胴に備えられるグリッパーとの間で記録媒体14の受け渡しを行う構造が同一であり、かつ、グリッパー80Aとグリッパー80Bは、圧胴34の外周面の圧胴34の回転方向について180°移動させた対称位置に配置されている。
グリッパー80A,80Bにより記録媒体14の先端部を狭持した状態で渡し胴32〜62及び圧胴34〜64を所定の方向に回転させると、渡し胴32〜62及び圧胴34〜64の外周面に沿って記録媒体14が回転搬送される。
なお、図1中、圧胴34に備えられるグリッパー80A,80Bのみ符号を付し、他の圧胴及び渡し胴のグリッパーの符号は省略する。
給紙部20に収容されている記録媒体(枚葉紙)14が処理液塗布部30に給紙されると、圧胴34の外周面に保持された記録媒体14の記録面に、凝集処理液(以下、単に「処理液」と記載することがある。)が付与される。なお、「記録媒体14の記録面」とは、圧胴34〜64の保持された状態における外側面であり、圧胴34〜64に保持される面と反対面である。
その後、凝集処理液が付与された記録媒体14は描画部40に送出され、描画部40において記録面の凝集処理液が付与された領域に色インクが付与され、所望の画像が形成される。
さらに、該色インクによる画像が形成された記録媒体14は乾燥処理部50に送られ、乾燥処理部50において乾燥処理が施されるとともに、乾燥処理後に定着処理部60に送られ、定着処理が施される。乾燥処理及び定着処理が施されることで、記録媒体14上に形成された画像が堅牢化される。このようにして、記録媒体14の記録面に所望の画像が形成され、該画像が記録媒体14の記録面に定着した後に、排出部70から装置外部に搬送される。
以下、インクジェット記録装置10の各部(給紙部20、処理液塗布部30、描画部40、乾燥処理部50、定着処理部60、排出部70)について詳細に説明する。
(給紙部)
給紙部20は、給紙トレイ22と不図示の送り出し機構が設けられ、記録媒体14は給紙トレイ22から一枚ずつ送り出されるように構成されている。給紙トレイ22から送り出された記録媒体14は、渡し胴(給紙胴)32のグリッパー(不図示)の位置に先端部が位置するように不図示のガイド部材によって位置決めされて一旦停止する。
(処理液塗布部)
処理液塗布部30は、給紙胴32から受け渡された記録媒体14を外周面に保持して記録媒体14を所定の搬送方向へ搬送する圧胴(処理液ドラム)34と、処理液ドラム34の外周面に保持された記録媒体14の記録面に処理液を付与する処理液塗布部30と、含んで構成されている。処理液ドラム34を図1における反時計回りに回転させると、記録媒体14は処理液ドラム34の外周面に沿って反時計回り方向に回転搬送される。
図1に示す処理液塗布部30は、処理液ドラム34の外周面(記録媒体保持面)と対向する位置に設けられている。処理液塗布部30の構成例として、処理液が貯留される処理液容器と、処理液容器の処理液に一部が浸漬され、処理液容器内の処理液を汲み上げる汲み上げローラと、汲み上げローラにより汲み上げられた処理液を記録媒体14上に移動させる塗布ローラ(ゴムローラ)と、を含んで構成される態様が挙げられる。
なお、該塗布ローラを上下方向(処理液ドラム34の外周面の法線方向)に移動させる塗布ローラ移動機構を備え、該塗布ローラとグリッパー80A,80Bとの衝突を回避可能に構成する態様が好ましい。
処理液塗布部30により記録媒体14に付与される処理液は、描画部40で付与されるインク中の色材(顔料)を凝集させる色材凝集剤を含有し、記録媒体14上で処理液とインクとが接触すると、インク中の色材と溶媒との分離が促進される。
処理液塗布部30は、記録媒体14に塗布される処理液量を計量しながら塗布することが好ましく、記録媒体14上の処理液の膜厚は、描画部40から打滴されるインク液滴の直径より十分に小さくすることが好ましい。
(描画部)
描画部40は、記録媒体14を保持して搬送する圧胴(描画胴)44と、記録媒体14を描画胴44に密着させるための用紙押さえローラ46と、記録媒体14にインクを付与するインクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yを備えている。
描画胴44の基本構造は先に説明した処理液ドラム34と共通しているが、記録媒体14の先端部を挟持するグリッパー80A,80Bが、周面(図7に符号200を付して図示する。)から突出しないように配置されている点で構造上相違している。描画胴44の詳細な説明は後述することとする。
用紙押さえローラ46は、描画胴44の外周面に記録媒体14を密着させるためのガイド部材であり、描画胴44の外周面に対向し、渡し胴42と描画胴44との記録媒体14の受渡位置よりも記録媒体14の搬送方向下流側であり、且つ、インクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yよりも記録媒体14の搬送方向上流側に配置される。
また、用紙押さえローラ46と記録媒体14の搬送方向における最上流側のインクジェットヘッド48Yとの間には、用紙浮き検出センサ(不図示)が配置されている。該用紙浮き検出センサは、記録媒体14がインクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yの直下に進入する直前の浮き量を検出している。本例に示すインクジェット記録装置10は、用紙浮き検出センサにより検出された記録媒体14の浮き量が所定のしきい値を超える場合には、その旨を報知するとともに記録媒体14の搬送を中断させるように構成されている。
渡し胴42から描画胴44に受け渡された記録媒体14は、グリッパー(符号省略)によって先端が保持された状態で回転搬送される際に、用紙押さえローラ46によって押圧され、描画胴44の外周面に密着する。このようにして、記録媒体14を描画胴44の外周面に密着させた後に、描画胴44の外周面から浮き上がりのない状態で、インクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yの直下の印字領域に送られる。
インクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yはそれぞれ、マゼンダ(M)、黒(K)、シアン(C)、イエロー(Y)の4色のインクに対応しており、描画胴44の回転方向(図1における反時計回り方向)に上流側から順に配置されるとともに、インクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yのインク吐出面(ノズル面)が描画胴44に保持された記録媒体14の記録面と対向するように配置される。なお、「インク吐出面(ノズル面)」とは、記録媒体14の記録面と対向するインクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yの面であり、後述するインクが吐出されるノズル(図4に符号108を付して図示する。)が形成される面である。
また、図1に示すインクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yは、描画胴44の外周面に保持された記録媒体14の記録面とインクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yのノズル面が略平行となるように、水平面に対して傾けられて配置されている。
インクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yは、記録媒体14における画像形成領域の最大幅(記録媒体14の搬送方向と直交する方向の長さ)に対応する長さを有するフルライン型のヘッドであり、記録媒体14の搬送方向と直交する方向に延在するように固定設置される。
インクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yのノズル面(液体吐出面)には、記録媒体14の画像形成領域の全幅にわたってインク吐出用のノズルがマトリクス配置されて形成されている。
記録媒体14がインクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yの直下の印字領域に搬送されると、インクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yから記録媒体14の凝集処理液が付与された領域に画像データに基づいて各色のインクが吐出(打滴)される。
インクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yから、対応する色インクの液滴が、描画胴44の外周面に保持された記録媒体14の記録面に向かって吐出されると、記録媒体14上で処理液とインクが接触し、インク中に分散する色材(顔料系色材)又は不溶化する色材(染料系色材)の凝集反応が発現し、色材凝集体が形成される。これにより、記録媒体14上に形成された画像における色材の移動(ドットの位置ずれ、ドットの色ムラ)が防止される。
また、描画部40の描画胴44は、処理液塗布部30の処理液ドラム34に対して構造上分離しているので、インクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yに処理液が付着することがなく、インクの吐出異常の要因を低減することができる。
なお、本例では、CMYKの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能であり、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
(乾燥処理部)
乾燥処理部50は、画像形成後の記録媒体14を保持して搬送する圧胴(乾燥ドラム)54と、該記録媒体14上の水分(液体成分)を蒸発させる乾燥処理を施す乾燥処理部50を備えている。なお、乾燥ドラム54の基本構造は、先に説明した処理液ドラム34及び描画胴44と共通しているので、ここでの説明は省略する。
乾燥処理部50は、乾燥ドラム54の外周面に対向する位置に配置され、記録媒体14に存在する水分を蒸発させる処理部である。描画部40により記録媒体14にインクが付与されると、処理液とインクとの凝集反応により分離したインクの液体成分(溶媒成分)及び処理液の液体成分(溶媒成分)が記録媒体14上に残留してしまうので、かかる液体成分を除去する必要がある。
乾燥処理部50は、ヒータによる加熱、ファンによる送風、又はこれらを併用して記録媒体14上に存在する液体成分を蒸発させる乾燥処理を施し、記録媒体14上の液体成分を除去するための処理部である。記録媒体14に付与される加熱量及び送風量は、記録媒体14上に残留する水分量、記録媒体14の種類、及び記録媒体14の搬送速度(乾燥処理時間)等のパラメータに応じて適宜設定される。
乾燥処理部50による乾燥処理が行われる際に、乾燥処理部50の乾燥ドラム54は、描画部40の描画胴44に対して構造上分離しているので、インクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yにおいて、熱又は送風によるヘッドメニスカス部の乾燥によるインクの吐出異常の要因を低減することができる。
記録媒体14のコックリングの矯正効果を発揮させるために、乾燥ドラム54の曲率を0.002(1/mm)以上とするとよい。また、乾燥処理後の記録媒体の湾曲(カール)を防止するために、乾燥ドラム54の曲率を0.0033(1/mm)以下とするとよい。
また、乾燥ドラム54の表面温度を調整する手段(例えば、内蔵ヒータ)を備え、該表面温度を50℃以上に調整するとよい。記録媒体14の裏面から加熱処理を施すことによって乾燥が促進され、次段の定着処理時における画像破壊が防止される。かかる態様において、乾燥ドラム54の外周面に記録媒体14を密着させる手段を具備するとさらに効果的である。記録媒体14を密着させる手段の一例として、真空吸着、静電吸着などが挙げられる。
なお、乾燥ドラム54の表面温度の上限については、特に限定されるものではないが、乾燥ドラム54の表面に付着したインクをクリーニングするなどのメンテナンス作業の安全性(高温による火傷防止)の観点から85℃以下(より好ましくは70℃以下)に設定されることが好ましい。
このように構成された乾燥ドラム54の外周面に、記録媒体14の記録面が外側を向くように(すなわち、記録媒体14の記録面が凸側となるように湾曲させた状態で)保持し、回転搬送しながら乾燥処理を施すことで、記録媒体14のシワや浮きに起因する乾燥ムラが確実に防止される。
本例に示す乾燥処理部50において記録媒体14を搬送する乾燥ドラム54は、乾燥処理時において記録媒体14の幅方向の略中央部に配置されたグリッパー80(図中、符号を省略)のみが閉じられ、略中央部以外の位置に配置されたグリッパー80は開放される。すなわち、記録媒体14の幅方向における略中央部のみが固定され、他の部分は固定されずにフリーの状態とされるので、乾燥処理時の記録媒体14の収縮が規制されずに歪みの発生が抑制され、乾燥処理後定着処理において記録媒体14のしわの発生を抑制し得る。なお、本例に示すインクジェット記録装置10は、上記のように乾燥ドラム54のグリッパーは選択的に使用されるが、他の圧胴34,44,64及び渡し胴32,42,52,62はすべてのグリッパーを用いて記録媒体14の先端部が全幅にわたって固定される。
(定着処理部)
定着処理部60は、記録媒体14を保持して搬送する圧胴(定着ドラム)64と、画像形成がされ、さらに、液体が除去された記録媒体14に加熱処理を施すヒータ66と、該記録媒体14を記録面側から押圧する定着ローラ68と、を備えて構成される。なお、定着ドラム64基本構造は処理液ドラム34、描画胴44、及び乾燥ドラム54と共通しているので、ここでの説明は省略する。ヒータ66及び定着ローラ68は、定着ドラム64の外周面に対向する位置に配置され、定着ドラム64の回転方向(図1において反時計回り方向)の上流側から順に配置される。
定着処理部60では、記録媒体14の記録面に対してヒータ66による予備加熱処理が施されるとともに、定着ローラ68による定着処理が施される。ヒータ66の加熱温度は記録媒体の種類、インクの種類(インクに含有するポリマー微粒子の種類)などに応じて適宜設定される。例えば、インクに含有するポリマー微粒子のガラス転移点温度や最低造膜温度とする態様が考えられる。
定着ローラ68は、乾燥させたインクを加熱加圧することによってインク中の自己分散性ポリマー微粒子を溶着し、インクを被膜化させるためのローラ部材であり、記録媒体14を加熱加圧するように構成される。具体的には、定着ローラ68は、定着ドラム64に対して圧接するように配置されており、定着ドラム64との間でニップローラを構成するようになっている。これにより、記録媒体14は、定着ローラ68と定着ドラム64との間に挟まれ、所定のニップ圧でニップされ、定着処理が行われる。
定着ローラ68の構成例として、熱伝導性の良いアルミなどの金属パイプ内にハロゲンランプを組み込んだ加熱ローラによって構成する態様が挙げられる。かかる加熱ローラで記録媒体14を加熱することによって、インクに含まれるポリマー微粒子のガラス転移点温度以上の熱エネルギーが付与されると、該ポリマー微粒子が溶融して画像の表面に透明の被膜が形成される。
この状態で記録媒体14の記録面に加圧を施すと、記録媒体14の凹凸に溶融したポリマー微粒子が押し込み定着されるとともに、画像表面の凹凸がレベリングされ、好ましい光沢性を得ることができる。なお、画像層の厚みやポリマー微粒子のガラス転移点温度特性に応じて、定着ローラ68を複数段設けた構成も好ましい。
また、定着ローラ68の表面硬度は70°以下であることが好ましい。定着ローラ68の表面をより軟質化することで、コックリングにより生じた記録媒体14の凹凸に対して追随効果を期待でき、記録媒体14の凹凸に起因する定着ムラがより効果的に防止される。
図1に示すインクジェット記録装置10は、定着処理部60の処理領域の後段(記録媒体搬送方向の下流側)には、インラインセンサ82が設けられている。インラインセンサ82は、記録媒体14に形成された画像(又は記録媒体14の余白領域に形成されたチェックパターン)を読み取るためのセンサであり、CCDラインセンサが好適に用いられる。
本例に示すインクジェット記録装置10は、インラインセンサ82の読取結果に基づいてインクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yの吐出異常の有無が判断される。また、インラインセンサ82は、水分量、表面温度、光沢度などを計測するための計測手段を含む態様も可能である。かかる態様において、水分量、表面温度、光沢度の読取結果に基づいて、乾燥処理部50の処理温度や定着処理部60の加熱温度及び加圧圧力などのパラメータを適宜調整し、装置内部の温度変化や各部の温度変化に対応して、上記制御パラメータが適宜調整される。
(排出部)
図1に示すように、定着処理部60に続いて排出部70が設けられている。排出部70は、張架ローラ72A,72Bに巻きかけられた無端状の搬送チェーン74と、画像形成後の記録媒体14が収容される排出トレイ76と、を備えて構成されている。
定着処理部60から送り出された定着処理後の記録媒体14は、搬送チェーン74によって搬送され、排出トレイ76に排出される。
〔インクジェットヘッドの構造〕
次に、描画部40に具備されるインクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yの構造の一例について説明する。なお、各色に対応するインクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号100によってインクジェットヘッド(以下、単に「ヘッド」ともいう。)を示すものとする。
図2は、インクジェットヘッド100の概略構成図であり、同図はインクジェットヘッド100から記録媒体の記録面を見た図(ヘッドの平面透視図)となっている。
同図に示すヘッド100は、n個のサブヘッド102‐i(iは1からnの整数)を一列につなぎ合わせてマルチヘッドを構成している。また、各サブヘッド102‐iは、ヘッド100の短手方向の両側からヘッドカバー104,106によって支持されている。なお、サブヘッド102を千鳥状に配置してマルチヘッドを構成することも可能である。
複数のサブヘッドにより構成されるマルチヘッドの適用例として、記録媒体の全幅に対応したフルライン型ヘッドが挙げられる。フルライン型ヘッドは、記録媒体の移動方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に沿って、記録媒体の主走査方向における長さ(幅)に対応して、複数のノズル(図4に符号108を付して図示する。)が並べられた構造を有している。かかる構造を有するヘッド100と記録媒体とを相対的に一回だけ走査させて画像記録を行う、いわゆるシングルパス画像記録方式により、記録媒体の全面にわたって画像を形成し得る。
図3は、ヘッド100の一部拡大図である。同図に示すように、サブヘッド102‐iは、略平行四辺形の平面形状を有し、隣接するサブヘッド間にオーバーラップ部が設けられている。オーバーラップ部とは、サブヘッドのつなぎ部分であり、サブヘッド102‐iの並び方向(図3における左右方向、図4に図示する主走査方向X)に隣接するドットが異なるサブヘッドに属するノズルによって形成される。
図4は、サブヘッド102‐iのノズル配列を示す平面図である。同図に示すように、各サブヘッド102‐iは、ノズル108が二次元状に並べられた構造を有し、かかるサブヘッド102‐iを備えたヘッドは、いわゆるマトリクスヘッドと呼ばれるものである。図4に図示したサブヘッド102‐iは、副走査方向Yに対して角度αをなす列方向W、及び主走査方向Xに対して角度βをなす行方向Vに沿って多数のノズル108が並べられた構造を有し、主走査方向Xの実質的なノズル配置密度が高密度化されている。図4では、行方向Vに沿って並べられたノズル群(ノズル行)は符号110を付し、列方向Wに沿って並べられたノズル群(ノズル列)は符号112を付して図示されている。
図5は、記録素子単位となる1チャンネル分の液滴吐出素子(1つのノズル108に対応したインク室ユニット)の立体的構成を示す断面図である。同図に示すように、本例のヘッド100は、ノズル108が形成されたノズルプレート114と、圧力室116や共通流路118等の流路が形成された流路板120等を積層接合した構造から成る。ノズルプレート114は、ヘッド100のノズル面114Aを構成し、各圧力室116にそれぞれ連通する複数のノズル108が2次元的に形成されている。
流路板120は、圧力室116の側壁部を構成するとともに、共通流路118から圧力室116にインクを導く個別供給路の絞り部(最狭窄部)としての供給口122を形成する流路形成部材である。なお、説明の便宜上、図5では簡略的に図示しているが、流路板120は一枚又は複数の基板を積層した構造である。
ノズルプレート114及び流路板120は、シリコンを材料として半導体製造プロセスによって所要の形状に加工することが可能である。
共通流路118はインク供給源たるインクタンク(不図示)と連通しており、インクタンクから供給されるインクは共通流路118を介して各圧力室116に供給される。
圧力室116の一部の面(図5おいて天面)を構成する振動板124には、個別電極126及び下部電極128を備え、個別電極126と下部電極128との間に圧電体130がはさまれた構造を有するピエゾアクチュエータ132が接合されている。振動板124を金属薄膜や金属酸化膜により構成すると、ピエゾアクチュエータ132の下部電極128に相当する共通電極として機能する。なお、樹脂などの非導電性材料によって振動板を形成する態様では、振動板部材の表面に金属などの導電材料による下部電極層が形成される。
個別電極126に駆動電圧を印加することによってピエゾアクチュエータ132が変形して圧力室116の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル108からインクが吐出される。インク吐出後、ピエゾアクチュエータ132が元の状態に戻る際、共通流路118から供給口122を通って新しいインクが圧力室116に再充填される。
かかる構造を有するインク室ユニットを図4に示す如く、主走査方向Xと角度βをなす行方向V及び副走査方向Yに対して角度αをなす列方向Wに沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。かかるマトリクス配列において、副走査方向の隣接ノズル間隔をLとするとき、主走査方向については実質的に各ノズル108が一定のピッチP=L/tanθで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。
本例では、ヘッド100に設けられたノズル108から吐出させるインクの吐出力発生手段としてピエゾアクチュエータ132を適用したが、圧力室116内にヒータを備え、ヒータの加熱による膜沸騰の圧力を利用してインクを吐出させるサーマル方式を適用することも可能である。
〔制御系の説明〕
図6は、インクジェット記録装置10の制御系の概略構成を示すブロック図である。インクジェット記録装置10は、通信インターフェース140、システム制御部142、搬送制御部144、画像処理部146、ヘッド駆動部148を備えるとともに、画像メモリ150、ROM152を備えている。
通信インターフェース140は、ホストコンピュータ154から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース140は、USB(Universal Serial Bus)などのシリアルインターフェースを適用してもよいし、セントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用してもよい。通信インターフェース140は、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。
システム制御部142は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置10の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能し、さらに、画像メモリ150及びROM152のメモリコントローラとして機能する。すなわち、システム制御部142は、通信インターフェース140、搬送制御部144等の各部を制御し、ホストコンピュータ154との間の通信制御、画像メモリ150及びROM152の読み書き制御等を行うとともに、上記の各部を制御する制御信号を生成する。
ホストコンピュータ154から送出された画像データは通信インターフェース140を介してインクジェット記録装置10に取り込まれ、画像処理部146によって所定の画像処理が施される。
画像処理部146は、画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号(画像)処理機能を有し、生成した印字データをヘッド駆動部148に供給する制御部である。画像処理部146において所要の信号処理が施され、該画像データに基づいて、ヘッド駆動部148を介してヘッド100の吐出液滴量(打滴量)や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。なお、図6に示すヘッド駆動部148には、ヘッド100の駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
搬送制御部144は、画像処理部146により生成された印字制御用の信号に基づいて記録媒体14(図1参照)の搬送タイミング及び搬送速度を制御する。図6における搬送駆動部156は、図1の圧胴34〜64を回転させるモータや、渡し胴32〜62を回転させるモータ、給紙部20における記録媒体14の送出機構のモータ、排出部70の張架ローラ72A(72B)を駆動するモータなどが含まれ、搬送制御部144は上記のモータのドライバーとして機能している。
画像メモリ(一次記憶メモリ)150は、通信インターフェース140を介して入力された画像データを一旦格納する一次記憶手段としての機能や、ROM152に記憶されている各種プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域(例えば、画像処理部146の作業領域)としての機能を有している。画像メモリ150には、逐次読み書きが可能な揮発性メモリ(RAM)が用いられる。
ROM152は、システム制御部142のCPUが実行するプログラムや、装置各部の制御に必要な各種データ、制御パラメータなどが格納されており、システム制御部142を通じてデータの読み書きが行われる。ROM152は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。また、外部インターフェースを備え、着脱可能な記憶媒体を用いてもよい。
さらに、このインクジェット記録装置10は、処理液付与制御部160、乾燥処理制御部162、及び定着処理制御部164を備えており、システム制御部142からの指示にしたがって、それぞれ、処理液塗布部30、乾燥処理部50、及び定着処理部60の各部の動作を制御する。
処理液付与制御部160は、画像処理部146から得られた印字データに基づいて、処理液付与のタイミングの制御を制御するとともに、処理液の付与量を制御する。また、乾燥処理制御部162は、乾燥処理装置56における乾燥処理のタイミングを制御するとともに、処理温度、送風量等を制御し、定着処理制御部164は、ヒータ66の温度を制御するとともに、定着ローラ68の押圧を制御する。
図1に示したインラインセンサ82を含むインライン検出部166は、インラインセンサ82から出力される読取信号にノズル除去や増幅、波形整形などの所定の信号処理を施す信号処理部を含む処理ブロックである。システム制御部142は、当該インライン検出部により得られた検出信号に基づいて、ヘッド100の吐出異常の有無を判断する。
グリッパー制御部168は、記録媒体14の受け渡しのタイミングに対応して圧胴34,44,54,64のそれぞれに設けられたグリッパー80を動作(開閉)させるグリッパー開閉機構208を制御する。
本例に示すインクジェット記録装置10は、ユーザインターフェース170を具備し、該ユーザインターフェース170は、オペレータ(ユーザ)が各種入力を行うための入力装置172と、表示部(ディスプレイ)174を含んで構成される。入力装置172には、キーボード、マウス、タッチパネル、ボタンなど各種形態を採用し得る。オペレータは、入力装置172を操作することにより、印刷条件の入力、画質モードの選択、付属情報の入力・編集、情報の検索などを行うことができ、入力内容や検索結果など等の各種情報は表示部174の表示を通じて確認することができる。この表示部174はエラーメッセージなどの警告を表示する手段としても機能する。
パラメータ記憶部180は、インクジェット記録装置10の動作に必要な各種制御パラメータが記憶されている。システム制御部142は、制御に必要なパラメータを適宜読み出すとともに、必要に応じて各種パラメータの更新(書換)を実行する。
媒体情報取得部182は、記録媒体14の種類、厚みなどの記録媒体14に関する情報を取得する。記録媒体情報取得の具体例として、記録媒体14が収容されるストッカーに付与された情報記憶体(バーコードやICチップ)から読み出す態様や、入力装置172を介してオペレータによって入力される態様などが挙げられる。
インク量判断部184は、画像データに基づいて記録媒体14上に付与されるインク量を判断する。グリッパー制御部168は、システム制御部142を介してインク量判断部184から取得されたインク量に基づいてグリッパーの開閉制御を変更するように、グリッパー開閉機構208を動作させる。
〔グリッパー開閉制御の説明〕
次に、乾燥処理部50に具備される乾燥ドラム54に設けられたグリッパー80の開閉動作について詳細に説明する。
(乾燥ドラムの構造)
図7は、乾燥ドラム54の概略構成を示す斜視図であり、図8は図7の一部拡大図である。図7に示すように、乾燥ドラム54の周面200は記録媒体14の先端部を固定するためのグリッパー80が設けられる2つの凹部202と、該2つの凹部202によって区画された記録媒体14の裏側を支持する2つの記録媒体支持領域204(ドットハッチを付して図示した部分)と、を備えている。2つの凹部202は、回転軸206について対称となる乾燥ドラム54の周方向について180°ずらした位置に配置されている。なお、図示の都合上、2つの凹部202のうち一方のみを図示するとともに、2つの記録媒体支持領域204のうち一方のみを図示する。
2つの凹部202のそれぞれについて、記録媒体支持領域204の軸方向の全幅に対応する長さにわたって並べられた複数のグリッパー80が設けられ、かつ、該複数のグリッパー80を支持し、複数のグリッパー80を開閉動作させるグリッパー開閉機構208が設けられている。各グリッパー80は略L字形状を有し、記録媒体14を固定する(挟持する)ための爪部81と、爪部81を支持する支持部(不図示)とを含んで構成されている。グリッパー80の爪部81と爪台210との間に記録媒体14の先端部が挿入されると、グリッパー開閉機構208はグリッパー80を閉じるように(爪部81と爪台210との間隔を狭めるように)動作し、グリッパー80の爪部81と爪台210との間に記録媒体14の先端部をはさんで固定する。
グリッパー80を開閉させるグリッパー開閉機構208は、グリッパー80を支持するグリッパーベース(不図示)と、該グリッパーベースが連結される開閉シャフト212と、乾燥ドラム54に対して開閉シャフト212を回転可能に支持するシャフトブランケット214と、開閉シャフト212とカムフォロア216とを連結させる開閉アーム218と、を有して構成されている。カムフォロア216及び開閉アーム218は乾燥ドラム54の側面220の外側に設けられている。なお、図7では、1つの凹部202についてグリッパー開閉機構208は1つだけ図示されているが、後述するように、各グリッパーを選択的に開閉する構造の一態様として、1つの凹部202に複数のグリッパー開閉機構208を具備することや、各グリッパーと複数のグリッパー開閉機構との連結機構を具備することも可能である。
本例に示すグリッパー開閉機構208は、不図示の駆動源(モータ)の動作に応じてカムフォロア216が所定のカム曲線に沿って移動し、開閉アーム218に連結された開閉シャフト212が回転し、開閉シャフト212の回転に応じてグリッパー80は開閉動作をするように構成されている。
乾燥ドラム54のグリッパー80の爪部81は、乾燥ドラム54の前段の渡し胴52のグリッパーの爪部間の隙間に入り込むように構成されている。渡し胴52のグリッパーに先端部を固定された記録媒体14が、渡し胴52と乾燥ドラム54との記録媒体14の受渡部に到達すると、記録媒体14の先端をくわえた渡し胴52のグリッパーの爪部間に乾燥ドラム54のグリッパー80の爪部81が入り込み、乾燥ドラム54のグリッパー80が閉じられると渡し胴52のグリッパーが開かれ、記録媒体14は渡し胴52から乾燥ドラム54へ受け渡される。
本例に示すグリッパー開閉機構208は、複数のグリッパー80のそれぞれを選択的に開閉させることができるように構成されている。グリッパー80の選択構造の構成例として、2本の開閉シャフト(開閉シャフト212A及び開閉シャフト212B)と、それぞれに連結されたカムフォロア(カムフォロア216A及びカムフォロア216B)と、を含み、それぞれのカムフォロア216A,216Bに対応したカム曲線(カム曲線A及びカム曲線B)が決められている構成が挙げられる。カム曲線Aは、記録媒体14を前段の渡し胴52から受け取ってから、後段の渡し胴62へ受け渡すまでの全域に渡り記録媒体14をくわえた状態になるように構成される。
一方、カム曲線Bは、記録媒体14を渡し胴52から受け取った際には記録媒体14をくわえた状態になるが、その後、乾燥ドラム54に支持された状態で一旦記録媒体14を離し、さらに、後段の渡し胴62へ記録媒体14を受け渡す際に再び記録媒体14をくわえた状態になるように構成される。各グリッパーは開閉シャフト212A,212Bのうちのいずれか一方と連結されるように構成される。
図8は、中央部の2つのグリッパーが閉じられ、他のグリッパーが開かれている状態が図示されている。
(グリッパーの開閉制御の説明)
図9は乾燥ドラム54の軸方向(記録媒体14の搬送方向と直交する幅方向)をx軸としたときの記録媒体14の座標を表す図である。以下の説明では、記録媒体の幅方向をx方向として、記録媒体14の幅方向における中央位置(中点)を原点O、記録媒体14の全幅を2×L、記録媒体14の幅方向における一方の端部(図中左側の端部)のx座標を−L、他方の端部(図中右側の端部)のx座標を+Lとし、記録媒体14の幅方向の位置及び範囲を−L<x<Lの範囲のx座標で表すこととする。
図9に示す−L/10<x<L/10の範囲は、記録媒体の幅方向における中央部であり、−L<x<(−9×L)/10の範囲、及び(9×L)/10<x<+Lの範囲は、記録媒体14の幅方向における両端部である。なお、以下の説明において、これらを単に「記録媒体の中央部」又は「中央部」、「記録媒体の両端部」又は「両端部」と記載することがある。
図10〜図14は、乾燥ドラム54に具備されるグリッパー80の開閉動作を模式的に図示した平面図である。図10〜図14では、閉じられるグリッパーは黒抜きで図示され、開かれるグリッパーは白抜きで図示されている。なお、図10〜図14に図示されないグリッパー(例えば、グリッパー80‐5とグリッパー80‐7との間等)が設けられていてもよい。本例に示す乾燥ドラム54は、以下に示す条件(1)〜(3)を満たすように乾燥処理時のグリッパー80の開閉が制御される。
条件(1):−L/10<x<L/10を満たす範囲に位置するグリッパーは閉じられる。当該範囲に複数のグリッパーが存在する場合は、少なくともいずれか1つが閉じられる。図10に示す中央位置(原点)Oから等間隔の位置にあるグリッパー80‐1,80‐2は当該範囲に位置するものであり、これらのいずれか一方又は両方が閉じられる。
条件(2):−L<x<(−9×L)/10、及び(9×L)/10<x<Lを満たす位置に属するグリッパーは開かれる。図10に示す記録媒体14の両端部に位置するグリッパー80‐7,80‐8は両方とも開かれる。
条件(3):固定範囲の長さSは、S<2×L×0.2を満たす。つまり、固定範囲の長さは記録媒体14の全幅の20%未満となっている。中央部のグリッパー80‐1,80‐2以外のグリッパーの開閉は、乾燥対象の条件に応じて適宜決められる。図11に示す例は中央部のグリッパー80‐1が閉じられ、グリッパー80‐2が開かれる場合であり、グリッパー80‐1の位置から(2×L×0.2)の範囲に位置するグリッパー80‐3及びグリッパー80‐5は条件(3)を満たしている。
また、図12に示す例は中央部のグリッパー80‐2が閉じられ、グリッパー80‐1が開かれる場合であり、グリッパー80‐2の位置から(2×L×0.2)の範囲に位置するグリッパー80‐4及びグリッパー80‐6は条件(3)を満たしている。中央部のグリッパー80‐1,80‐2の両方が閉じられる場合は、グリッパー80‐1の位置から+x方向に(2×L×0.2)の範囲、及びグリッパー80‐2の位置から−x方向に(2×L×0.2)の範囲に位置するグリッパーが条件(3)を満たす。例えば、図13に示すようにグリッパー80‐3,80‐4が両方とも条件(3)を満たす場合がある。図14は、記録媒体14の受渡時におけるグリッパー80‐1〜80‐8の状態を模式的に図示した平面図である。記録媒体14の受け渡しが行われるときは、すべてのグリッパー80‐1〜80‐8は閉じられている。なお、図示されていないグリッパーが設けられている場合にも、記録媒体14の受渡時における当該不図示のグリッパーは閉じられている。
このように、乾燥処理時には、記録媒体14の固定を中央部の少なくとも一部を含み、かつ、乾燥対象の条件を満たすように決められた所定の範囲に限定することで縁部がフリーの状態となり、乾燥処理時の記録媒体14の歪みが抑えられる。一方、記録媒体14の受渡時には記録媒体14の全幅が固定されることで、記録媒体14の受け渡しのミスや受渡時の位置ずれが防止される。
ここで、グリッパーの開閉制御が記録媒体14の受渡時から乾燥処理時に切り替わるタイミングは、乾燥ドラム54のグリッパーが記録媒体14を受け取った位置から、乾燥ドラム54の回転角度が3°から20°進行したタイミングである。また、乾燥処理時から記録媒体14の受渡時に切り換わるタイミングは、乾燥ドラム54のグリッパーが記録媒体14を受け渡す位置よりも、乾燥ドラム54の回転角度に換算して3°から20°前に乾燥ドラム54のグリッパーが位置するタイミングである。
中央部及び両端部以外のグリッパー80‐3〜80‐6の開閉を決める乾燥対象の条件の一例として、「記録媒体14の厚み」が挙げられる。一般に、厚みが大きい記録媒体14は歪みが発生しにくく、定着処理後のしわが発生しにくい。一方、記録媒体14の厚みが大きくなるに従い大きな固定力が必要となる。したがって、使用される記録媒体14の厚みが大きくなったときには使用されるグリッパーの数を増やして固定力を増加させても、定着処理後にしわが発生する可能性が低くなるので、記録媒体14の厚みに応じて固定に使用されるグリッパーの数を決めるとよい。
かかる態様において、記録媒体14の厚みごとに使用されるグリッパーと定着処理後のしわの発生の有無との関係を実験等によって求めて記憶しておき、使用される記録媒体14の厚み情報を取得すると、該厚みに対応してグリッパー80‐3〜80‐6の中から1つ又は複数が選択されるように構成することが可能である。さらに、加熱による歪みが発生しにくい(しわになりにくい)種類の記録媒体14を用いる場合には、記録媒体14の材料に応じて固定に使用されるグリッパーを選択してもよい。なお、記録媒体14の厚み等の情報は、図6の媒体情報取得部182によって取得される。
また、中央部及び両端部以外のグリッパー80‐3〜80‐6の開閉を決める乾燥対象の条件の一例として、「画像の内容」が挙げられる。記録媒体14のしわはインクが付与される部分とインクが付与されていない部分との差による歪みによって引き起こされるので、単位面積あたりのインクの付与量によってグリッパー80‐3〜80‐6の中から1つ又は複数を選択するように構成してもよい。なお、記録媒体14へのインク付与量は、図6のインク量判断部184により行われる。
単位面積あたりのインクの付与量を求める例として、所定サイズを有する複数の領域(例えば50mm×50mm)に記録媒体14を区画し、画像データから領域ごとのインク付与量を求める態様が挙げられる。例えば、領域ごとのインク付与量が所定のしきい値より小さい領域の個数の割合をN、領域ごとのインク付与量が所定のしきい値より大きい領域の個数の割合をNとしたとき(但し、N+N=1)、NとNの差の絶対値(|N−N|)が小さくなるほど、使用するグリッパーの数を減らすこととする。
ここで、領域ごとのインク付与量を求めるには、入力画像データ(RGBデータ)から求めてもよいし、インク量データ(CMYKデータ)から求めてもよいし、ドットデータ(CMYKのドットデータ)から求めてもよい。
(実験例)
次に、記録媒体14の厚みをパラメータとして、記録媒体14の固定に使用されるグリッパーの構成と、定着処理後のしわの発生との関係を求めた評価実験について説明する。かかる評価実験では、図1に示すインクジェット記録装置10(描画部40)を用いて、所定の記録媒体上にベタ画像を形成し、該記録媒体へのしわの入り方を評価した。使用した記録媒体は「OKトップコート+(王子製紙社製)」の菊半サイズであり、厚み(紙厚)は104(g/m)と127(g/m)の二種類を用いた。インク付与量は21μm×21μmあたり5ピコリットルである。
図15は、該評価実験の結果である。同図に示すように、記録媒体14の厚みが104(g/m)の場合、中央の2本のグリッパーのみを使用すると(図10参照)、定着処理後の記録媒体14にしわの発生はなく、画像強度も良好である。また、中央の2本を含む4本のグリッパーを使用すると(図13参照)、定着処理後の記録媒体14の一部にしわが発生するものの、当該しわは画像品質上許容されるものである。なお、画像強度は良好である。一方、すべてのグリッパーを用いると(図14参照)、画像強度は良好であるものの、定着処理後の記録媒体14に画像品質上許容されないしわが発生する。また、定着処理を施さない場合は、すべてのグリッパーを使用してもしわは発生しないものの、画像強度が大きく低下してしまう。
記録媒体14の厚みを大きくして127(g/m)とすると、中央の2本を含む4本のグリッパーを使用しても、定着処理後の記録媒体14にしわは発生せず、画像強度も良好である。一方、すべてのグリッパーを用いると、定着処理後の記録媒体14に発生するしわは軽度であるものの、当該しわは画像品質を劣化させてしまう。
上記の如く構成されたインクジェット記録装置10によれば、乾燥処理部50の乾燥処理時は記録媒体14の先端部の固定を幅方向の中央部の少なくとも一部を含む所定の範囲に限定することで、縁部が固定されずにフリーとなるので乾燥処理における記録媒体14の歪みが抑制され、定着処理後の記録媒体14のしわの発生が抑制される。一方、乾燥処理部50の前段の渡し胴52から記録媒体14が受け渡されるとき、及び後段の渡し胴62へ記録媒体を受け渡すときには、すべてのグリッパーを用いて記録媒体14を固定することで受け渡しのミスや受渡時における記録媒体14の位置ずれが防止される。
さらに、記録媒体14の厚みやインクの付与量に応じて使用されるグリッパーの数、位置を適宜選択することで、定着処理後のしわの発生と記録媒体14の位置ずれとを防止することが可能である。
〔変形例〕
(グリッパーの配置)
本例では、乾燥ドラム54のグリッパー80の構成例として、歯抜け構造(他の圧胴34,44,64及び渡し胴32,42,52,62に具備されたグリッパーの配置ピッチよりも大きい配置ピッチを持つ部分が存在する構造)を例示したが、他の圧胴34,44,64及び渡し胴32,42,52,62のグリッパーの配置に対応して等間隔にグリッパーを配置してもよい。等間隔に複数のグリッパーを配置した場合は、乾燥処理時に使用されないグリッパーが存在することになる。
(記録媒体のサイズ変更)
乾燥ドラム54のグリッパー配置を他の圧胴34,44,64及び渡し胴32,42,52,62と共通化した場合には、記録媒体14のサイズに応じて使用されるグリッパー80が適宜変更される。例えば、使用可能なすべてのサイズについて幅方向の中央を基準とすることで、中央部のグリッパー(図10〜図14のグリッパー80‐1,80‐2)はすべてのサイズで共通になるように配置することが可能である。また、グリッパー80ごとに開閉を制御することで、記録媒体14のサイズごとに使用されるグリッパー80を選択することが可能となる。
(記録媒体の固定方法)
本例では、グリッパー80により記録媒体14の先端部を挟持する態様を例示したが、該グリッパー80に代わり、当該グリッパー80の配置位置に対応して爪台210(図7,8参照)に吸着穴を備え、該吸着穴に負圧を発生させて記録媒体14の先端部を固定するように構成してもよい。
(記録媒体の搬送方式)
本例では、記録媒体14の搬送方式として圧胴搬送方式を例に挙げて説明したが、本発明はベルト搬送など他の搬送方式にも適用可能である。本発明は、記録媒体14の先端部(又は後端部)のみを固定し、他の部分は固定されない搬送方式に特に効果を発揮する。
〔他の装置構成への適用例〕
上記の実施形態では画像形成装置の例として、インクジェット記録装置を説明したが、本発明の適用範囲は写真プリントやポスター印刷などのいわゆるグラフィック印刷の用途に限定されず、レジスト印刷装置、電子回路基板の配線描画装置、微細構造物形成装置など、画像として把握できるパターンを形成し得る工業用途の装置も包含する。
また、乾燥処理部50を乾燥処理装置として構成する態様の他にも、乾燥処理部50及び定着処理部60を具備する乾燥定着装置として構成することも可能である。
<付記>
上記に詳述した実施形態についての記載から把握されるとおり、本明細書では以下に示す発明を含む多様な技術思想の開示を含んでいる。
(発明1):媒体の縁部の少なくともいずれか一辺を固定する固定手段と、前記固定手段によって固定された媒体に乾燥処理を施す乾燥処理手段と、前記乾燥処理手段によって乾燥処理が施された媒体に加圧処理を施す加圧手段と、を備え、前記固定手段は、前記乾燥処理手段による乾燥処理時に前記媒体の固定対象の一辺における略中央部の少なくとも一部を含む所定の範囲を固定する第1の固定部を具備することを特徴とする乾燥装置。
本発明によれば、第1の固定部による固定範囲を乾燥処理時に媒体の固定対象の縁部の一辺における中央部の少なくとも一部を含む所定の範囲に限定することで、固定対象の一辺の両端部が開放され、乾燥処理時の媒体に生じる収縮が規制されず、乾燥処理時の媒体における歪みの発生が抑制される。したがって、乾燥処理後に加圧処理が施されても媒体にしわが発生しない。
「媒体の固定対象の縁部の一辺における略中央部」とは、該一辺の長さを二等分する中点を含み、該中点から両端部に向かって該一辺の全長の1/10の長さの範囲が含まれる。すなわち、固定対象との辺をx軸とし、該中点を原点とし、一方の全長をLとしたときに、−L/10<x<L/10の範囲を少なくとも含む領域を「媒体の固定対象の縁部の一辺における略中央部」とすることができる。
第1の固定部による固定範囲の一例として、固定対象の一辺の全長の20%未満の長さを有する範囲が挙げられる。かかる範囲は、略中央部の少なくとも一部が含まれていればよい。
(発明2):発明1に記載の乾燥装置において、前記固定手段は、前記加圧処理手段による加圧処理時に前記第1の固定部により固定される媒体の固定対象の一辺の両端部を固定する一方、前記乾燥処理手段による乾燥処理時に前記媒体の固定対象の一辺の両端部を固定しないように動作する第2の固定部を具備することを特徴とする。
かかる態様における「両端部」とは、媒体の固定対象の縁部の一辺における中点を原点とし、一方の全長をLとしたときに、−L<x<(−9×L)/10の範囲及び(9×L)/10<x<Lの範囲とすることができる。
(発明3):発明1又は2に記載の乾燥装置において、前記第1の固定手段は、固定範囲を可変させる構造を有し、前記媒体の厚み情報を取得する媒体情報取得手段と、前記取得された媒体の厚みが相対的に大きくなる場合は前記第1の固定部の固定範囲を広げる一方、前記媒体の厚みが相対的に小さくなる場合は前記第1の固定部の固定範囲を相対的に狭めるように、前記第1の固定部による固定範囲を制御する固定範囲制御手段と、を備えたことを特徴とする。
かかる態様によれば、媒体の厚みが大きくなるに従い第1の固定部によって大きな固定力を作用させることができ、乾燥処理時における媒体の位置ずれが防止される。一方、厚みが大きい媒体は乾燥処理による歪みが発生しにくいため、乾燥処理による歪みの発生は懸念されない。
(発明4):発明1乃至3のいずれかに記載の乾燥装置において、前記乾燥処理手段による乾燥処理領域において媒体を搬送する搬送手段を備え、前記搬送手段への媒体が受け渡されるとき及び、前記搬送手段から媒体を受け渡すときに、前記媒体は、第1の固定部によって固定対象の一辺の略中央部の少なくとも一部を含む所定の範囲が固定されるとともに、前記第2の固定部によって固定対象の一辺の両端部が固定されることを特徴とする。
かかる態様によれば、媒体の受渡時における受け渡しのミスや媒体の位置ずれが防止される。
(発明5):発明1乃至4のいずれかに記載の乾燥装置において、前記第1の固定部は、前記媒体の固定範囲に対応して少なくとも1つのグリッパーが配置された構造を有し、かつ、前記第2の固定部は、前記媒体の固定範囲に対応して少なくとも1つのグリッパーが配置された構造を有し、前記複数のグリッパーの中から使用されるグリッパーを選択する選択手段を備えたことを特徴とする。
かかる態様におけるグリッパーは、爪部と爪部を支持する支持部を具備する構造を有し、該爪部と爪台との間隔を可変させることで、媒体の固定、非固定を切り換える態様が可能である。
(発明6):発明5に記載の乾燥装置において、前記選択手段は、前記媒体の受渡時は使用されるグリッパーとして前記複数のグリッパーのすべてを選択し、前記媒体の乾燥処理時は使用されるグリッパーとして前記複数のグリッパーの中から前記媒体の固定対象の一辺における略中央部の少なくとも一部を含む所定範囲に位置するグリッパーを選択することを特徴とする。
かかる態様において、媒体の受渡時はすべてのグリッパーが選択される態様が好ましい。
(発明7):媒体の縁部の少なくともいずれか一辺を固定する固定手段と、前記固定手段によって固定された媒体に液体を付与する液体付与手段と、前記液体付与手段によって液体が付与され媒体に乾燥処理を施す乾燥処理手段と、前記乾燥処理手段によって乾燥処理が施された媒体に加圧処理を施す加圧手段と、を備え、前記固定手段は、前記乾燥処理手段による乾燥処理時に前記媒体の固定対象の一辺における略中央部の少なくとも一部を含む所定の範囲を固定する第1の固定部を具備することを特徴とする液体吐出装置。
本発明に係る液体吐出装置は、インクジェットヘッドからインクを吐出させて記録媒体上に画像を形成するインクジェット記録装置が含まれる。
(発明8):発明7に記載の液体吐出装置において、前記第1の固定部は、固定範囲を可変可能な構造を有し、前記媒体に付与される液体の付与量が規定されるデータを取得するデータ取得手段と、前記取得されたデータに基づいて決められた液体の付与量に応じて、前記付与量が相対的に大きくなると前記第1の固定部の固定範囲が相対的に大きくなるように、前記第1の固定部による固定範囲を可変させる固定範囲可変手段と、を備えたことを特徴とする。
かかる態様によれば、媒体に付与される液体量に応じて固定範囲を可変させるので、乾燥処理対象の条件に応じた好ましい媒体の固定切り換えが行われる。
(発明9):発明8に記載の液体吐出装置において、前記媒体の液体付与量を複数の領域に分割した領域ごとに判断する付与量判断手段を備え、前記固定範囲可変手段は、前記判断された領域ごとの付与量に応じて前記第1の固定部による固定範囲を可変させることを特徴とする。
かかる態様において、領域ごとの付与量と所定のしきい値とを比較して、該しきい値よりも付与量が小さい領域の数によって第1の固定部による固定範囲を可変させる態様が好ましい。
(発明10):媒体の縁部の少なくともいずれか一辺を固定する固定工程と、前記固定された媒体に乾燥処理を施す乾燥処理工程と、前記乾燥処理工程によって乾燥処理が施された媒体に加圧処理を施す加圧工程と、を含み、前記乾燥処理工程における乾燥処理時に前記媒体の固定対象の一辺における略中央部の少なくとも一部を含む所定の範囲を固定することを特徴とする媒体固定方法。
本発明において、媒体の受渡時は固定対象の一辺を全長にわたって固定する態様が好ましい。
10…インクジェット記録装置、48,48M,48K,48C,48Y,200…インクジェットヘッド、54…乾燥ドラム、56…乾燥処理装置用、80…グリッパー、168…グリッパー制御部、182…媒体情報取得部、184…インク量判断部、208…グリッパー開閉機構

Claims (16)

  1. 媒体の縁部の少なくともいずれか一辺を固定する固定手段と、
    前記固定手段によって固定された媒体に乾燥処理を施す乾燥処理手段と、
    前記乾燥処理手段によって乾燥処理が施された媒体に加圧処理を施す加圧手段と、
    を備え、
    前記固定手段は、媒体の固定対象の一辺における略中央部を固定する第1の固定部、及び前記第1の固定部より略中央部が固定される媒体の一辺における両端部を固定する第2の固定部を有し、
    前記乾燥処理手段による乾燥処理時に、前記第1の固定部によって前記媒体の固定対象の一辺における略中央部の少なくとも一部が固定され、前記第2の固定部によって前記媒体の固定対象の一辺における両端部が固定されないことを特徴とする乾燥装置。
  2. 前記略中央部は、媒体の固定対象の一辺を二等分する中点を含み、前記中点から両端部に向かってそれぞれ前記固定対象の一辺の長さの十分の一の長さを有することを特徴とする請求項1に記載の乾燥装置。
  3. 請求項1又は2に記載の乾燥装置において、
    前記固定手段は、前記加圧手段による加圧処理時に前記第1の固定部により固定される媒体の固定対象の一辺の両端部を、前記第2の固定部により固定するように第2の固定部を動作させることを特徴とする乾燥装置。
  4. 媒体の縁部の少なくともいずれか一辺における略中央部の少なくとも一部を含む所定の範囲を固定する第1の固定部を具備する固定手段と、
    前記固定手段によって固定された媒体に乾燥処理を施す乾燥処理手段と、
    前記乾燥処理手段によって乾燥処理が施された媒体に加圧処理を施す加圧手段と、
    前記媒体の厚み情報を取得する媒体情報取得手段と、
    前記第1の固定部による固定範囲を制御する固定範囲制御手段と、
    を備え、
    前記固定手段は、前記乾燥処理手段による乾燥処理時に、前記第1の固定部によって前記媒体の固定対象の一辺における略中央部の少なくとも一部を含む所定の範囲を固定し、
    前記固定範囲制御手段は、前記取得された媒体の厚みが相対的に大きくなる場合は前記第1の固定部の固定範囲を広げる一方、前記媒体の厚みが相対的に小さくなる場合は前記第1の固定部の固定範囲を相対的に狭めるように、前記第1の固定部による固定範囲を制御することを特徴とする乾燥装置。
  5. 請求項4に記載の乾燥装置において、
    前記固定手段は、前記加圧手段による加圧処理時に前記第1の固定部により固定される媒体の固定対象の一辺の両端部を固定する第2の固定部を具備することを特徴とする乾燥装置。
  6. 請求項1、2、3又は5に記載の乾燥装置において、
    前記乾燥処理手段による乾燥処理領域において媒体を搬送する搬送手段を備え、
    前記搬送手段への媒体が受け渡されるとき及び、前記搬送手段から媒体を受け渡すときに、前記媒体は、第1の固定部によって固定対象の一辺の略中央部の少なくとも一部を含む所定の範囲が固定されるとともに、前記第2の固定部によって固定対象の一辺の両端部が固定されることを特徴とする乾燥装置。
  7. 請求項1、2、3、5又は6に記載の乾燥装置において、
    前記第1の固定部は、前記媒体の固定範囲に対応して少なくとも1つのグリッパーが配置された構造を有し、かつ、前記第2の固定部は、前記媒体の固定範囲に対応して少なくとも1つのグリッパーが配置された構造を有し、
    前記複数のグリッパーの中から使用されるグリッパーを選択する選択手段を備えたことを特徴とする乾燥装置。
  8. 請求項7に記載の乾燥装置において、
    前記選択手段は、前記媒体の受渡時は使用されるグリッパーとして前記複数のグリッパーのすべてを選択し、前記媒体の乾燥処理時は使用されるグリッパーとして前記複数のグリッパーの中から前記媒体の固定対象の一辺における略中央部の少なくとも一部を含む所定の範囲に位置するグリッパーを選択することを特徴とする乾燥装置。
  9. 媒体の縁部の少なくともいずれか一辺を固定する固定手段と、
    前記固定手段によって固定された媒体に液体を付与する液体付与手段と、
    前記液体付与手段によって液体が付与され媒体に乾燥処理を施す乾燥処理手段と、
    前記乾燥処理手段によって乾燥処理が施された媒体に加圧処理を施す加圧手段と、
    を備え、
    前記固定手段は、媒体の固定対象の一辺における略中央部を固定する第1の固定部、及び前記第1の固定部より略中央部が固定される媒体の一辺における両端部を固定する第2の固定部を有し、
    前記乾燥処理手段による乾燥処理時に、前記第1の固定部によって前記媒体の固定対象の一辺における略中央部の少なくとも一部が固定され、前記第2の固定部によって前記媒体の固定対象の一辺における両端部の固定が固定されないことを特徴とする液体吐出装置。
  10. 媒体の縁部の少なくともいずれか一辺を固定する固定手段と、
    前記固定手段によって固定された媒体に液体を付与する液体付与手段と、
    前記液体付与手段によって液体が付与され媒体に乾燥処理を施す乾燥処理手段と、
    前記乾燥処理手段によって乾燥処理が施された媒体に加圧処理を施す加圧手段と、
    を備え、
    前記固定手段は、前記乾燥処理手段による乾燥処理時に前記媒体の固定対象の一辺における略中央部の少なくとも一部を含む所定の範囲を固定する第1の固定部、及び前記加圧手段による加圧処理時に前記第1の固定部により固定される媒体の固定対象の一辺の両端部を固定する一方、前記乾燥処理手段による乾燥処理時に前記媒体の固定対象の一辺の両端部を固定しないように動作する第2の固定部を具備することを特徴とする液体吐出装置。
  11. 媒体の縁部の少なくともいずれか一辺における略中央部の少なくとも一部を含む所定の範囲を固定し、固定範囲を可変させる構造を有する第1の固定部を具備する固定手段と、
    前記固定手段によって固定された媒体に液体を付与する液体付与手段と、
    前記液体付与手段によって液体が付与され媒体に乾燥処理を施す乾燥処理手段と、
    前記乾燥処理手段によって乾燥処理が施された媒体に加圧処理を施す加圧手段と、
    前記媒体の厚み情報を取得する媒体情報取得手段と、
    前記第1の固定部による固定範囲を制御する固定範囲制御手段と、
    を備え、
    前記第1の固定は、前記乾燥処理手段による乾燥処理時に前記媒体の固定対象の一辺における略中央部の少なくとも一部を含む所定の範囲を固定し、
    前記固定範囲制御手段は、前記取得された媒体の厚みが相対的に大きくなる場合は前記第1の固定部の固定範囲を広げる一方、前記媒体の厚みが相対的に小さくなる場合は前記第1の固定部の固定範囲を相対的に狭めるように、前記第1の固定部による固定範囲を制御することを特徴とする液体吐出装置。
  12. 媒体の縁部の少なくともいずれか一辺における略中央部の少なくとも一部を含む所定の範囲を固定し、固定範囲を可変させる構造を有する第1の固定部を具備する固定手段と、
    前記固定手段によって固定された媒体に液体を付与する液体付与手段と、
    前記液体付与手段によって液体が付与され媒体に乾燥処理を施す乾燥処理手段と、
    前記乾燥処理手段によって乾燥処理が施された媒体に加圧処理を施す加圧手段と、
    前記媒体に付与される液体の付与量が規定されるデータを取得するデータ取得手段と、
    前記第1の固定部による固定範囲を可変させる固定範囲可変手段と、
    を備え、
    前記第1の固定は、前記乾燥処理手段による乾燥処理時に前記媒体の固定対象の一辺における略中央部の少なくとも一部を含む所定の範囲を固定し、
    前記固定範囲可変手段は、前記取得されたデータに基づいて決められた液体の付与量に応じて、前記付与量が相対的に大きくなると前記第1の固定部の固定範囲が相対的に大きくなるように、前記第1の固定部による固定範囲を可変させることを特徴とする液体吐出装置。
  13. 請求項12に記載の液体吐出装置において、
    前記媒体の液体付与量を複数の領域に分割した領域ごとに判断する付与量判断手段を備え、
    前記固定範囲可変手段は、前記判断された領域ごとの付与量に応じて前記第1の固定部による固定範囲を可変させることを特徴とする液体吐出装置。
  14. 媒体の縁部の少なくともいずれか一辺を固定する固定工程と、
    前記固定された媒体に乾燥処理を施す乾燥処理工程と、
    前記乾燥処理工程によって乾燥処理が施された媒体に加圧処理を施す加圧工程と、
    を含み、
    前記固定工程は、前記媒体の固定対象の一辺の略中央部を固定する状態、又は前記媒体の固定対象の一辺の略中央部と両端部とを固定する状態を含み、
    前記乾燥処理工程における乾燥処理時に、前記媒体の固定対象の一辺の略中央部における少なくとも一部を固定し、前記固定対象の一辺における両端部を固定しないことを特徴とする媒体固定方法。
  15. 媒体の縁部の少なくともいずれか一辺を固定する固定工程と、
    前記固定された媒体に乾燥処理を施す乾燥処理工程と、
    前記乾燥処理工程によって乾燥処理が施された媒体に加圧処理を施す加圧工程と、
    を含み、
    前記乾燥処理工程における乾燥処理時に前記媒体の固定対象の一辺における略中央部の少なくとも一部を含む所定の範囲が固定され、前記媒体の固定対象の一辺の両端部が固定されず、
    前記加圧工程における加圧処理時に前記媒体の固定対象の一辺における略中央部の少なくとも一部を含む所定の範囲が固定され、前記媒体の固定対象の一辺の両端部が固定されることを特徴とする媒体固定方法。
  16. 媒体の縁部の少なくともいずれか一辺を固定する固定工程と、
    前記固定された媒体に乾燥処理を施す乾燥処理工程と、
    前記乾燥処理工程によって乾燥処理が施された媒体に加圧処理を施す加圧工程と、
    前記媒体の厚み情報を取得する媒体情報取得工程と、
    を含み、
    前記乾燥処理工程における乾燥処理時に前記媒体の固定対象の一辺における略中央部の少なくとも一部を含む所定の範囲を固定し、
    前記取得された媒体の厚みが相対的に大きくなる場合は固定範囲を広げる一方、前記媒体の厚みが相対的に小さくなる場合は固定範囲を相対的に狭めるように、固定範囲を可変させることを特徴とする媒体固定方法。
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