以下に添付図面を参照して、本発明に係る遊技媒体管理システムの好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下では、本発明に係る遊技媒体管理システムの概要について図1を用いて説明した後に、本発明に係る遊技媒体管理システムについての実施例を図2〜図8を用いて説明することとする。
まず、本発明に係る遊技媒体管理システムの概要について図1を用いて説明する。図1は、本発明に係る遊技媒体管理システムの概要を示す図である。なお、図1の(A)には、従来技術に係る遊技媒体管理システムを、図1の(B)には、本発明に係る遊技媒体管理システムを、それぞれ示している。
図1の(A)に示すように、従来技術に係る遊技媒体管理システムでは、一般カードや会員カード(以下、単に「カード」と記載する)に関連付けられた持玉数の貸出レートとは異なる貸出レートのパチンコ機で、かかるカードを用いて再プレイできない。
具体的には、従来技術に係る遊技媒体管理システムでは、遊技客が1円レートの持玉数1000玉が関連付けられたカードを持参して4円レートのパチンコ機へ移動して各台装置へカードを挿入した場合、1円レートのカードは受け付けられず、返却されてしまう(図1の(A−1)参照)。
したがって、従来技術に係る遊技媒体管理システムでは、遊技客は1円レートの持玉数が関連付けられたカードを用いて4円レートのパチンコ機で遊技することができない。つまり、持玉か関連付けられたカードのみを利用する一般客は、レート間をまたがって再プレイすることができないこととなる。
そこで、本発明に係る遊技媒体管理システムでは、図1の(B)に示すように、カードには、複数レートの持玉数がレートごとに関連付けることができるようにした。また、本発明に係る遊技媒体管理システムでは、パチンコ機の貸出レートの持玉数が所定数に満たない場合、他の貸出レートの持玉数から乗り入れることによって、再プレイすることができるようにした。
以下では、遊技客が「1円レートの持玉数1000玉」および「4円レートの持玉数0玉」が関連付けられたカードを持参して4円レートのパチンコ機へ移動して各台装置へカードを挿入する場合について説明する。
この場合、4円レートのパチンコ機に併設される各台装置では、まず挿入されたカードを受け付ける(図1の(B−1)参照)。そして、本発明に係る遊技媒体管理システムでは、持玉払出ボタン押下により、持玉によるパチンコ玉の払出指示を受け付けたならば、乗り入れするか否かを判定する。
具体的には、各台装置は、パチンコ機のレート(4円)と同じレートの持玉数を保有しているか否かを判定する。そして、各台装置は、4円の持玉数を保有していない場合に、他のレート(ここでは1円)に関連付けられた持玉数を用いて、乗り入れを行う(図1の(B−2)参照)。
本発明に係る遊技媒体管理システムでは、乗り入れ払出では、払出数を、パチンコ機のレートから他の持玉数のレート(1円)へ換算し、乗入手数料に相当するパチンコ玉数とともに保有する持玉数から減算する。
たとえば、100玉のパチンコ玉の払出を行う際、1円レートから乗り入れて、かつ、乗入手数料を10%とした場合について説明する。この場合、各台装置は、図1の(B−2)に示したように、100玉を1円レートへ換算し(400玉=100玉×4円/1円)、乗入手数料の10%を上乗せして(440玉=400玉+400玉×10%/100)、減算数を算出する。
そして、各台装置は、1円レートの持玉数1000玉から算出した減算数である440玉を減算し、1円レートの持玉数の残数は、560玉(560玉=1000玉−440玉)となる。ここで、一時的に「1円レートの持玉数:560玉、4円レートの持玉数:100玉」となり、ノズルから100玉のパチンコ玉が払出されて、「1円レートの持玉数:560玉、4円レートの持玉数:0玉」となる(図1の(B−3)参照)。なお、1円レートの持玉数から直接減算してパチンコ玉を払出すこととしてもよい。また、パチンコ玉をパチンコ機から払出してもよい。
また、遊技客の獲得したパチンコ玉を計数する各台計数機能を有する各台装置では、計数した持玉数を、パチンコ機のレート(4円)に対応する持玉数としてカードへ関連付ける。
たとえば、図1の(B−4)に示したように、4円レートのパチンコ機に併設される各台装置で持玉数2000玉が計数された場合、挿入されているカードへ4円レートの持玉数として2000玉関連付けられることとなる。これによって、遊技客は、4円レートの持玉数を保有している間は、1円レートから乗り入れを行わずに、4円レートの持玉数によってパチンコ玉を払出すことができる。
このようにすることで、本発明に係る遊技媒体管理システムでは、会員のみならず非会員の遊技客であっても、記録媒体に関連付けられた持玉数の貸出レートとは異なる貸出レートの遊技台での再プレイすること、すなわち、乗り入れ再プレイすることができる。以下では、図1を用いて説明した本発明に係る遊技媒体管理システムについての実施例を詳細に説明する。
図2は、本実施例に係る遊技媒体管理システムの構成を示すブロック図である。同図に示すように、遊技媒体管理システムは、各台装置10と、管理装置20と、貯玉管理装置30とを含んでいる。なお、図2では、各台装置10、管理装置20および貯玉管理装置30の特徴点を説明するために必要な構成要素のみを抜粋して示している。
まず、各台装置10について説明する。図2に示すように、各台装置10は、通信I/F(インターフェース)11と、カードR/W部(リーダ/ライタ)12と、表示操作部13と、記憶部14と、制御部15とを備えている。また、制御部15は、持玉情報取得部15aと、乗入判定部15bと、乗入指示部15cと、持玉払出部15dとをさらに備えており、記憶部14は、持玉情報14aと、設定情報14bとを記憶する。
通信I/F11は、管理装置20またはパチンコ機40との間で通信データの送受信を行う通信デバイスで構成されている。たとえば、通信I/F11は、各台装置10へ挿入されたカードに関連付けられた持玉数を取得する際、カードの識別子(以下、「カードID」と記載する)を管理装置20へ送信する。
カードR/W部12は、遊技客が獲得したパチンコ玉の計数値(以下、「持玉」と記載する)、貯玉およびプリペイド価値(以下、「残額」と記載する)が関連付けられた会員カード、および、持玉や残額が関連付けられた一般カードの発行または受け付けを行う。
たとえば、カードR/W部12は、カードを所有する遊技客が再プレイする場合は、持玉が関連付けられたカードを受け付け、カードIDを読み込み、持玉情報取得部15aへ渡す。
一方、制御部15では、受け付けたカードIDに関連付けられている持玉数を管理装置20から取得し、各台装置10は、持玉数によってパチンコ玉の払出しを行う、すなわち、持玉再プレイすることができる。
さらに、制御部15では、受け付けたカードID(会員カード限定)に関連付けられている貯玉数を管理装置20経由で貯玉管理装置30から取得し、各台装置10は、取得した貯玉数によってパチンコ玉の払出しを行うことによって、カード会員は貯玉再プレイすることとなる。なお、制御部15は、カードIDを貯玉管理装置30へ直接送信して貯玉数を取得することとしてもよい。
また、カードR/W部12には、予め数枚の一般カードが装填されており、非会員の遊技客によってカード返却ボタンが押下された場合に、カードIDに対応付けて持玉数または残額を関連付けた一般カードを排出(発行)する。
一方、カードR/W部12へ会員カードを挿入して遊技を行っているカード会員によってカード返却ボタンが押下された場合には、カードR/W部12は、会員カードのカードIDに対応付けて貯玉数、持玉数、または、残額を関連付けて会員カードを返却する。
なお、本実施例に係る遊技媒体管理システムでは、カードや会員カードのカードIDに関連付けて持玉数や貯玉数を管理することとした。しかし、カードや会員カードの替わりに遊技客の所有する携帯端末を、各台装置10に備える図示しない携帯読取部にタッチされた場合に、携帯端末の識別子であるIDmを読み取ることとしてもよい。
この場合、管理装置20や貯玉管理装置30では、IDmに関連付けて持玉数や貯玉数を管理することとなり、制御部15では、IDmに基づいてIDmに関連付けられている持玉数や貯玉数を取得し、パチンコ玉の払出しを行う。
また、管理装置20や貯玉管理装置30は、IDmの替わりとして携帯端末を一意に識別することができる情報、たとえば、電話番号やメールアドレスに関連付けて持玉数や貯玉数を管理してもよい。
表示操作部13は、遊技客によって挿入されたカードのカードIDに関連付けられた持玉数や貯玉数を貸出レートごとに表示する表示部と、カード返却操作、パチンコ玉の払出指示操作、貯玉操作といった各種操作を受け付ける操作部とを備えている。
たとえば、表示操作部13は、貯玉数によるパチンコ玉の払出指示操作を受け付ける貯玉払出ボタンを備え、払出指示操作によってパチンコ玉の払出とともに貯玉数から払出数が減算され、貯玉数の残数を表示する。また、表示操作部13は、貯玉再プレイ時に用いられる暗証番号入力用のテンキーを備える。
なお、表示操作部13での表示や操作を行う構成部品を限定する必要はない。したがって、指やポインティングデバイスなどの押圧感知により入力を受け付け、かつ表示出力も兼ねるタッチパネル式の液晶ディスプレイなどを用いることとしてもよいし、簡素な表示出力を行う7セグメントLEDなどを表示部品として用いることとしてもよい。
ここで、各台装置10の概要構成を説明するために、図3を用いて各台装置10の外観について説明しておく。図3は、遊技客の獲得した遊技媒体を計数する各台計数機能を有する各台装置10の外観図である。なお、同図には、各台装置10が併設されたパチンコ機40を破線で示している。
図3に示すように、各台装置10は、各台装置10の装置状態を所定色のランプの点灯あるいは点滅で表示する状態表示部41と、パチンコ玉の払出のための各種紙幣を受け付ける紙幣挿入部42とを備えている。
また、各台装置10は、貯玉払出操作等を受け付ける表示操作部13を備えている。各台装置10は、会員カードを受け付けて、暗証番号の照合後、表示操作部13に設けられる図示しない貯玉払出ボタンが押下された場合には、会員カードのカードIDに関連付けられた貯玉数から払出数を減算して、パチンコ機40からパチンコ玉を投出する。
また、各台装置10は、パチンコ玉を払い出すノズルを備えた持玉払出部44と、持玉数や貯玉数が関連付けられたカードの受け付け、会員カードの返却、一般カードの発行を行うカードR/W部12とを備えている。なお、カードR/W部12の内部には、数枚の一般カードが収納されているものとする。
さらに、各台装置10は、携帯端末の識別子であるIDmを読み取る携帯読取部45と、獲得玉を計数する玉計数部46と、獲得玉を貯留する玉貯留部47とを備えている。各台装置10は、同図に示すパチンコ機40の下皿48から獲得玉を玉貯留部47へ誘導し、玉計数部46で獲得玉の数量を計数する各台計数機能を有する。玉貯留部47には、持玉数を表示する持玉表示部47aと、持玉の払出しを指示する持玉払出ボタン47bが配置される。
そして、各台装置10は、持玉払出ボタン47bが押下された場合には、玉計数部46で計数された計数値から払出数を減算して、ノズルを備えた持玉払出部44経由でパチンコ機40へパチンコ玉を投出する。持玉を払出す際には、暗証番号の照合は必要ない。なお、持玉払出部44はなくてもよく、その場合は、貯玉と同様にパチンコ機40から持玉を投出するようにしてもよい。
また、パチンコ機40の上皿49には、各台装置10の制御部15と電気的に接続されている玉貸ボタンとカード返却ボタンが設けられており、玉貸ボタンが押下された場合は、所定額に応じた数のパチンコ玉をパチンコ機40から投出する。
この場合、各台装置10は、紙幣挿入部42へ挿入された各種紙幣の残額あるいはカードR/W部12に挿入されたカードに関連付けられた残額から所定額を減算する。カード返却ボタンが押下されると、持玉や残額が関連付けられたカードが、カードR/W部12から返却(排出)される。
なお、本実施例では、各台計数機能と玉貸機能とを兼ね備えた1台の各台装置10に対して本発明を適用した場合について説明したが、各台計数機能を有する第1の各台装置(計数サンド)と、玉貸機能を有する第2の各台装置(CRユニット)とを併設するシステム(ダブルサンド方式)に対して本発明を適用することとしてもよい。
図2の説明に戻り、各台装置10についての説明をつづける。記憶部14は、不揮発性メモリやハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部である。この記憶部14は、カードIDに関連付けて貸出レートごとに持玉数を持玉情報14aとして記憶する。
また、持玉情報14aは、カードIDに関連付けて残額を記憶する。さらに、記憶部14は、乗り入れに関する条件を設定情報14bとして記憶する。なお、持玉情報14aおよび設定情報14bの詳細については後述することとする。
制御部15は、各台装置10の全体制御を行う制御部である。持玉情報取得部15aは、カードR/W部12へ挿入されたカードのカードIDに基づいて持玉情報22aおよび設定情報22bを取得する処理を行う処理部である。また、持玉情報取得部15aは、取得した情報を記憶部14の持玉情報14aおよび設定情報14bへ記憶する処理を併せて行う。
乗入判定部15bは、持玉払出ボタン47b押下によって持玉の払出指示を受け付けた場合に、乗り入れするか否かの判定処理を行う処理部である。具体的には、乗入判定部15bは、持玉情報14aおよび設定情報14bに基づいてパチンコ機40の貸出レートと同じレートの持玉数が払出数に満たない場合に、乗り入れすると判定する。
また、乗入判定部15bは、持玉情報14aおよび設定情報14bに基づいて乗入元のレート(以下、「乗入元レート」と記載する)を決定する。なお、乗入判定処理の詳細については後述することとする。
乗入判定部15bは、乗り入れすると判定した場合、その旨を表示操作部13へ報知し、表示操作部13から乗入許諾操作を受け付けたならば、乗入指示部15cへ乗入元レートとともに乗入指示を渡す処理を併せて行う。また、乗入判定部15bは、乗り入れしないと判定した場合、パチンコ機40の貸出レートと同じレートの持玉だけを用いてパチンコ玉を払出すよう持玉払出部15dへ指示する。
乗入指示部15cは、乗入判定部15bからの乗入指示を受け付けたならば、管理装置20の持玉情報更新部23bへ乗入元レートとともに乗入指示要求を送信する処理を行う処理部である。また、乗入指示部15cは、持玉情報更新部23bから持玉情報の更新完了通知を受信したならば、乗り入れしてパチンコ玉を払出すよう持玉払出部15dへ指示する。
持玉払出部15dは、乗り入れするか否かの指示を受け付けた場合、指示に基づいてパチンコ玉の払出処理を行う処理部である。また、持玉払出部15dは、パチンコ玉が払出された貸出レートに対応する持玉数の残数を表示操作部13へ表示する処理を併せて行う。
なお、遊技客の獲得したパチンコ玉を計数する各台計数機能を有する場合の各台装置10によって構成するよう説明したが、各台装置10にパチンコ玉を計数する機能は必ずしもある必要はない。
つぎに、管理装置20の構成について説明する。管理装置20は、通信I/F21と、記憶部22と、制御部23とを備えている。また、制御部23は、持玉情報送信部23aと、持玉情報更新部23bと、貯玉指示部23cとをさらに備えており、記憶部22は、持玉情報22aと、設定情報22bとを記憶する。
通信I/F21は、LANカード等の通信デバイスで構成されており、LAN(Local Area Network)等のネットワーク経由で、各台装置10、貯玉管理装置30および遊技店内に設置された各種機器との間のデータ送受信を行う。たとえば、通信I/F21は、各台装置10からカードIDとともに乗入指示要求を受信する。
記憶部22は、不揮発性メモリやハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部である。この記憶部22は、カードIDに関連付けて貸出レートごとに持玉数を持玉情報22aとして記憶する。
また、持玉情報22aは、カードIDに関連付けて残額を記憶する。さらに、記憶部22は、乗り入れに関する条件を設定情報22bとして記憶する。なお、持玉情報22aおよび設定情報22bの詳細については後述することとする。
持玉情報送信部23aは、持玉情報取得部15aからカードIDを受け付けたならば、カードIDに関連付けられた持玉情報22aおよび設定情報22bを検索し、各台装置10へ送信する処理を行う処理部である。
持玉情報更新部23bは、乗入指示部15cから受信したカードIDおよび乗入元レートに基づいて持玉情報22aを更新し、正常に更新が完了したならば、更新完了通知を各台装置10へ送信する処理を行う処理部である。なお、持玉情報更新部23bは、乗り入れしない持玉払出処理時や、持玉計数時にも、持玉情報22aを更新する。
貯玉指示部23cは、遊技店の閉店後の処理として、持玉情報22aに記憶される会員の持玉数を、貯玉へ移行するよう貯玉管理装置30の貯玉処理部33aへ指示を送信する処理を行う処理部である。具体的には、貯玉指示部23cは、持玉情報22aから会員のカードIDを検索し、該当する持玉情報22aを貯玉移行指示とともに貯玉処理部33aへ送信する。
つづいて、貯玉管理装置30の構成について説明する。貯玉管理装置30は、通信I/F31と、記憶部32と、制御部33とを備えている。また、制御部33は、貯玉処理部33aをさらに備えており、記憶部32は、貯玉情報32aを記憶する。
通信I/F31は、LANカード等の通信デバイスで構成されており、LAN等のネットワーク経由で、各台装置10、管理装置20および遊技店内に設置された各種機器との間のデータ送受信を行う。たとえば、通信I/F31は、管理装置20から持玉情報22aとともに貯玉移行指示を受信する。
記憶部32は、不揮発性メモリやハードディスクドライブといった記憶デバイスで構成される記憶部である。この記憶部32は、会員識別子に関連付けて貸出レートごとに貯玉数を貯玉情報32aとして記憶する。
貯玉処理部33aは、貯玉指示部23cから受信した持玉情報22aのカードIDに対応する貸出レートごとの持玉数を貯玉情報32aに記憶される貸出レートごとの貯玉数へそれぞれ加算することによって貯玉処理を行う処理部である。
なお、管理装置20と貯玉管理装置30とを併設し、管理装置20と貯玉管理装置30とを別々の管理装置で管理するシステムに対して本発明を適用した場合について説明した。しかし、持玉情報22aと貯玉情報32aとを単一の装置で管理する遊技媒体管理システムに対して本発明を適用することとしてもよい。また、持玉情報22aの持玉数に関する情報とプリペイド残額に関する情報とを別々の装置で管理することとしてもよい。
つぎに、本実施例に係る遊技媒体管理システムの構成について図4を用いて説明する。図4は、本実施例に係る遊技媒体管理システムのシステム構成図である。
図4に示すように、遊技店に設置された管理装置20および貯玉管理装置30には、LAN等のネットワーク経由で、島コントローラ50と、島端計数機60と、精算機70と、景品管理装置80と、カード・携帯処理機90とが接続されている。
また、島コントローラ50の配下には、複数組の各台装置10およびパチンコ機40が接続されている。なお、図4には、2台の島コントローラ50のみを示しているが、管理装置20には所定数の島コントローラ50が接続されるものとする。また、各台装置10は、島コントローラ50と各パチンコ機40との間に介在し、一つの島コントローラ50に対して、所定数の各台装置10が接続されるものとする。
さらに、遊技島ごとに貸出レートの異なるパチンコ機40が接続されている。たとえば、図4の左下に示した島コントローラ50には1円レートのパチンコ機40が接続される1円コーナーが、図4の中央下に示した島コントローラ50には4円レートのパチンコ機40が接続される4円コーナーが混在するものとする。なお、管理装置20および貯玉管理装置30については、図2で説明した通りであるので省略することとする。
島コントローラ50は、遊技島に設けられた一群のパチンコ機40および各台装置10を束ねる中継装置である。パチンコ機40は、パチンコ玉を遊技領域に打ち込んで遊技客がパチンコ遊技を行う装置である。
島端計数機60は、遊技島端等に設けられ、遊技客が獲得したパチンコ玉を計数し、計数値をパチンコ玉の貸出レートとともにカードや携帯端末に関連付ける。若しくは、島端計数機60は、計数値および貸出レートをレシートへ印字し、発行する。なお、島端計数機60は、貸出レートごとに設けることとしてもよいし、パチンコ玉を計数する際、関連付ける貸出レートを選択することができることとしてもよい。
精算機70は、紙幣挿入部42に挿入された各種紙幣の残額が会員カードや一般カードに関連付けられている場合に、残額が関連付けられているカードが挿入されると、残額に相当する現金の払出を行う。
また、精算機70は、紙幣挿入部42に挿入された各種紙幣の残額が携帯端末に関連付けられている場合には、携帯端末のタッチを受け付けると、残額に相当する現金の払出を行う。
景品管理装置80は、遊技店内の景品交換カウンタに併設された景品交換用の端末装置であり、図示しない交換玉数管理情報を用いて獲得玉と景品との交換を管理する。なお、交換玉数管理情報は、景品ごとに、景品との交換に要する交換玉数を対応付けた情報である。
ここで、遊技客は、一般カードや会員カードを持参し、カード・携帯処理機90のカード挿入口へ一般カードや会員カードを挿入した場合に、貯玉または計数値に応じた景品を受け取ることができるものとする。また、景品管理装置80では、遊技客がレシートを持参し、持参したレシートに印字された計数値によって景品の交換を行うこともできる。
その際、景品交換カウンタ内の従業員が、遊技客により指定された景品に対応する交換ボタンを押下する。交換ボタンの押下を受け付けた景品管理装置80は、指定された景品に相当する交換玉数を計数値から減算する交換制御を実行する。その後、従業員が手作業によって遊技客に指定された景品を渡すこととなる。なお、特殊景品については、景品管理装置80に接続される図示しない景品払出機から自動で払出すようにしてもよい。
なお、遊技客の所有する携帯端末を会員カードの替わりとする会員(以下、「携帯会員」と記載する)は、景品交換カウンタへ携帯端末を持参して景品の交換を行うことができる。この場合、携帯会員は、景品管理装置80に併設されたカード・携帯処理機90の携帯読取部に携帯端末をタッチすることで、IDmに関連付けられた貯玉または計数値に応じた景品を受け取ることができる。
つぎに、持玉情報22aおよび設定情報22bの詳細について図5〜6を用いて説明する。なお、持玉情報22aと持玉情報14aとは同一の項目を含む構成であり、設定情報22bと設定情報14bとは同一の情報である。まず、図5を用いて設定情報22bを説明し、つづいて、図6を用いて持玉情報22aを説明する。
図5は、設定情報22bの一例を示す図である。図5に示すように、設定情報22bは、「乗入元」項目には「貸出レート」ごとに「手数料」項目と、「優先順位」項目とを含んでおり、さらに、「乗入先」項目は、「レート」項目と、「レート番号」項目とを含んでいる。
「乗入先」項目の「レート」項目は、乗入先すなわちパチンコ機40の貸出レートであり、「乗入先」項目の「レート番号」項目は、貸出レートに対応する番号である。また、列項目の「貸出レート」である1円レート、2円レートおよび4円レートは、乗入元の貸出レートとなる。
なお、各台装置10では、「レート番号」によって併設されるパチンコ機40の貸出レートを認識する。また、「レート番号」ではなく、「レート」によってパチンコ機40の貸出レートを認識することとしてもよい。
貸出レートごとの「手数料」項目は、乗入元レートから乗入先レートへ乗り入れる際の乗入手数料であり、また、乗り入れを許可しない場合は、「乗入不可」と設定する。ここでは、乗入可否について「手数料」項目に設定することとしたが、貸出レートごとに、「乗入可否」項目を設け、設定することとしてもよい。
貸出レートごとの「優先順位」項目は、乗入元レートの優先順である。本実施例に係る遊技媒体管理システムでは、優先順位の高いレートから優先して乗り入れするか否かを判定する。そして、本実施例に係る遊技媒体管理システムでは、当該パチンコ機40の貸出レートと同じレートの持玉数が払出数に満たない場合に、乗り入れ処理が行われることとなる。
つづいて、持玉情報22aの詳細について図6を用いて説明する。図6は、持玉情報22aの一例を示す図である。図6の(A)に示すように、持玉情報22aは、「カードID」項目と、「残額」項目と、貸出レートごとに「持玉数n」項目とを含んでいる。なお、nはレート番号を示す。
「カードID」項目は、会員カードや一般カードの識別子であり、会員カードまたは一般カードを一意に識別することができる情報である。なお、「カードID」項目は、会員を識別する会員識別子であってもよいし、携帯会員の場合は、携帯会員が所有する携帯端末のIDmであってもよい。
「残額」項目は、「カードID」に関連付けられた残額である。「持玉数n」項目は、貸出レートごとの持玉数であり、計数機能付き各台装置10または島端計数機60で計数された遊技客が獲得したパチンコ玉の計数値である。なお、項目名を持玉数1、持玉数2および持玉数3としたが、貸出レートであってもよい。たとえば、1円レート、2円レートおよび4円レートとしてもよい。
ここで、図6の(A)に示したように、1円レート(持玉数1)の持玉数1000玉だけが関連付けられたカード(カードID:001)が4円レートのパチンコ機に併設される各台装置10へ挿入された場合について説明する。また、設定情報22bには、1円レートから4円レートへの乗入手数料が10%、優先順位が3と設定されているとする。
この場合、各台装置10では、まず挿入されたカード(カードID:001)を受け付け、持玉払出ボタン押下により、持玉によるパチンコ玉の払出指示を受け付けたならば、乗り入れするか否かを判定する。
具体的には、各台装置10の乗入判定部15bは、パチンコ機のレート(4円)と同じレートの持玉数(持玉数3、優先順位1)を保有しているか否かを判定する。ここでは、4円の持玉数(持玉数3)が0玉であるので、他のレートから乗り入れすると判定する。
また、乗入判定部15bは、優先順位の高い順にレートの持玉数を検索し、持玉数がパチンコ玉の払出数以上ある場合に、かかるレートを乗入元レートとして決定し、その旨を表示操作部13へ報知する。ここでは、優先順位2の2円レートの持玉が存在しないため、優先順位3の1円レートが乗入元レートとして決定されることとなる。
そして、乗入判定部15bは、表示操作部13から遊技客による乗入許諾操作を受け付けたならば、管理装置20の持玉情報更新部23bへカードIDおよび乗入元レートとともに乗入指示要求を送信する。
一方、持玉情報更新部23bは、払出数を、パチンコ機のレートから乗入元レート(1円)へ換算して、乗入手数料に相当するパチンコ玉数とともに保有する持玉数から減算して、持玉情報22aを更新する。
ここでは、100玉のパチンコ玉の払出を行うとすると、乗入元レートは1円レートと決定されたので、払出数を換算すると、400玉=100玉×4円/1円となる。また、1円レートから4円レートへの乗入手数料は10%であるので、乗入手数料の10%を上乗せして減算数を算出すると、減算数は440玉=400玉+400玉×10%/100となる。
そして、持玉情報更新部23bは、1円レートの持玉数1000玉から算出した減算数である440玉を減算し、1円レート(持玉数1)の持玉数を、560玉と更新する(図6の(B)参照)。同時に、各台装置10は、パチンコ機から100玉(4円レート)を払出す。
その後、遊技客がパチンコ機40で特賞に入賞する等によってパチンコ玉を獲得した場合に、各台装置10は、遊技客の獲得したパチンコ玉を計数し、計数した計数値を、パチンコ機のレート(4円)に対応する持玉数としてカードへ関連付ける。
たとえば、図6の(C)に示したように、4円レートのパチンコ機に併設される各台装置で持玉数2000玉が計数された場合、挿入されているカード(カードID001)へ4円レートの持玉数(持玉数3)として2000玉関連付けられることとなる。これによって、遊技客は、4円レートの持玉数を保有している間は、1円レートから乗り入れを行わずに、4円レートの持玉数によってパチンコ玉を払出すことができる。
つぎに、本実施例に係る遊技媒体管理システムが実行する処理について図7、図8を用いて説明する。まず、遊技媒体管理システムが実行する乗入処理について図7を用いて説明する。図7は、各台装置10および管理装置20が実行する乗入処理手順の概要を示すシーケンス図である。
図7に示すように、カードR/W部12は、持玉数が関連付けられたカードが挿入されたならば(ステップS101)、カードのカードIDの読み込みを行う(ステップS102)。そして、持玉情報取得部15aは、読み込んだカードIDとともに持玉情報の取得要求を持玉情報送信部23aへ送信する(ステップS103)。
一方、管理装置20の持玉情報送信部23aは、持玉情報取得部15aから受信したカードIDに対応する持玉情報22aと設定情報22bとを、持玉情報取得部15aへ送信する(ステップS104)。
そして、乗入判定部15bは、持玉払出ボタン押下により、持玉によるパチンコ玉の払出指示を受け付けたならば(ステップS105)、乗り入れするか否かを判定する乗入判定処理を行う(ステップS106)。なお、乗入判定処理の詳細については、図8を用いて後述することとし、ここでは、乗入判定部15bで乗り入れすると判定され、その旨が表示操作部13に報知された場合について説明する。
乗入判定部15bは、ステップS106の乗入判定処理で乗り入れすると判定され、その後、表示操作部13から遊技客による乗入許諾操作を受け付けたならば(ステップS107)、乗入指示部15cは、以下の処理を行う。
乗入指示部15cは、カードIDおよび乗入元レートとともに乗入指示要求を管理装置20の持玉情報更新部23bへ送信する(ステップS108)。
一方、持玉情報更新部23bは、乗入指示要求を受信したならば、受信したカードIDおよび乗入元レートに基づいて持玉情報22aを更新し(ステップS109)、更新完了通知を乗入指示部15cへ送信する(ステップS110)。
そして、各台装置10の乗入指示部15cが更新完了通知を受信したならば、持玉払出部15dは、所定の払出数のパチンコ玉を投出し(ステップS111)、各台装置10および管理装置20が実行する一連の乗入処理を終了する。
つづいて、各台装置10の乗入判定部15bが実行する乗入判定処理(図7のステップS106)の詳細について図8を用いて説明する。図8は、各台装置10が実行する乗入判定処理手順の概要を示すフローチャートである。
図8に示すように、乗入判定部15bは、持玉情報14aを検索し、カードR/W部12で読み込んだカードに関連付けられた持玉数があるか否かを判定する(ステップS201)。
そして、乗入判定部15bは、持玉数なしであった場合(ステップS201,Yes)、設定情報14bに設定された優先順位の高い順に持玉数があるか否かを判定するため、現在の判定優先順位を次に高い2と設定する(ステップS202)。
つづいて、乗入判定部15bは、判定優先順位であるレートの持玉数があるか否かを判定し(ステップS203)、持玉数ありと判定された場合(ステップS203,Yes)、乗り入れすると判定する(ステップS204)。
そして、乗入判定部15bは、乗入元レートとともに乗り入れする旨を表示操作部13へ報知して(ステップS205)、各台装置10が実行する一連の乗入判定処理を終了する。
一方、乗入判定部15bは、ステップS201で、持玉数がありの場合には(ステップS201,No)、乗り入れしないと判定し(ステップS208)、一連の移行判定処理を終了する。
また、乗入判定部15bは、ステップS203で、判定優先順位であるレートの持玉数がないと判定された場合(ステップS203,No)、次の優先順位があるか否かを判定する(ステップS206)。
そして、乗入判定部15bは、ステップS206で、次の優先順位があると判定された場合(ステップS206、Yes)、次の優先順位を判定優先順位へ設定し(ステップS207)、ステップS203へ処理を移行する。一方、乗入判定部15bは、ステップS206で、次の優先順位がないと判定された場合(ステップS206、No)、ステップS208へ処理を移行する。
このように、本実施例に係る遊技媒体管理システムは、記録媒体の識別子に関連付けて遊技客が保有する遊技媒体の数を示す持玉数を遊技媒体の貸出レートごとに記憶し、記録媒体の識別子を各台装置が取得し、取得された記録媒体の識別子に基づいて記憶される持玉数を各台装置が取得し、取得された持玉数に基づいて遊技媒体の払出を各台装置が行い、当該各台装置の貸出レートに対応する持玉数が所定の払出数に満たない、かつ、所定の条件を満たす場合に、他の貸出レートに対応する持玉数に基づいて遊技媒体の払出を行うよう乗入を指示することとした。
このようにすることで、本実施例に係る遊技媒体管理システムによれば、非会員の遊技客であっても、記録媒体に関連付けられた持玉数の貸出レートとは異なる貸出レートの遊技台での再プレイすること、すなわち、乗り入れ再プレイすることができる。
なお、上述した実施例では、乗入判定処理を各台装置10で行うこととしたが、他の装置、たとえば、管理装置20や島コントローラ50で行うこととしてもよい。また、持玉情報22aを管理装置20で更新/管理することとしたが、他の装置、たとえば、島コントローラ50や各台装置10で管理することとしてもよい。
また、上述した実施例では、乗入元から乗入先への乗入手数料を設定して、乗入手数料に相当するパチンコ玉数を持玉数から減算することとした。しかし、管理装置20等で、カードIDに関連付けて乗り入れの履歴を取得し、乗り入れ履歴によって乗入手数料を変更可能にしてもよい。
たとえば、4円レートのパチンコ機40で再プレイする際、1円レートから乗り入れ、その後、2円レートのパチンコ機40で再プレイする際、4円レートから乗り入れた場合には、乗入手数料を5%に設定する。
また、上述した実施例では、1回の払出ごとに乗入手数料を徴収していたが、所定乗り入れ数によって手数料を設定してもよい。たとえば、同一カードで再プレイ中に、10回乗り入れが行われた後は、乗入手数料は無料にする等の設定をする。
また、上述した実施例では、表示操作部13は、遊技客によって挿入されたカードのカードIDに関連付けられた持玉数や貯玉数を貸出レートごとに表示することとした。しかし、各台装置では、各レートの持玉数を所定の基準となるレートに基づいて換算し、合算した値を表示することとしてもよい。
たとえば、4円レートのパチンコ機40で再プレイする際には、カードIDに関連付けられた各レートの持玉数を、すべて4円レートに換算し、各レートの換算値の合計を表示する。これによって、遊技客は、4円レートのパチンコ機40で再プレイすることが可能なパチンコ玉数を瞬時に視認することができる。
また、上述した実施例では、パチンコ遊技に適用する例を説明したが、パチスロ遊技を対象としてさらに含めた場合、または、パチスロ遊技のみを対象とした場合にも同様に適用することができる。なお、ここでは、パチンコ店に本発明を適用する例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ゲームセンタ等の遊技施設にも同様に適用することができる。