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JP5632142B2 - クラッシュボックス - Google Patents

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JP5632142B2 JP2009165625A JP2009165625A JP5632142B2 JP 5632142 B2 JP5632142 B2 JP 5632142B2 JP 2009165625 A JP2009165625 A JP 2009165625A JP 2009165625 A JP2009165625 A JP 2009165625A JP 5632142 B2 JP5632142 B2 JP 5632142B2
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Description

本発明は、クラッシュボックスに関し、具体的には、自動車等の車両に装着されて、衝突時に負荷される衝撃荷重により曲げ変形を連続して生じることによって衝撃エネルギーを吸収する筒状体を有するクラッシュボックスに関する。
近年、自動車の衝突時の衝突安全性の向上が、地球環境保護を目的とする燃費向上を図るための軽量化とともに、積極的に推進されている。衝突安全性の向上を図るため、車体各部の構造や各構造部材の見直しや適正化が推進されているとともに、衝突時に負荷される衝撃荷重により塑性変形を生じることによって衝撃エネルギーを効率的に吸収するための衝撃吸収部材が用いられている。
このような衝撃吸収部材として、旧来から用いられているサイドメンバーやバンパーレインフォースに加えて、近年にはクラッシュボックスも用いられる。クラッシュボックスは、バンパーレインフォースに固定されてサイドメンバーの長手方向の端部に装着され、バンパーレインフォースを介して負荷される衝撃荷重によりその軸方向への座屈を繰り返して蛇腹状に塑性変形することによって、サイドメンバーの損傷を防ぎながら衝撃エネルギーを吸収する筒状体を有する。本出願人も、先に特許文献1により、極めて高い衝撃吸収性能を有するクラッシュボックスに係る特許発明を開示した。
特許文献1に開示されたように、繰り返し座屈して蛇腹状に塑性変形することによって衝撃エネルギーを吸収する構造では、クラッシュボックスに蛇腹状の塑性変形を生じるために一定周期の反力変化(本明細書では「荷重振幅」という)が不可避的に繰り返し発生するので、その反力によって例えばロアークロスメンバー等の強度が小さい構造部材を損傷させるおそれがある。したがって、衝撃吸収部材を低強度の構造部材に装着するために、荷重振幅が小さく、衝撃エネルギーの吸収性能が衝突方向によらずに安定して高い衝撃吸収部材が求められている。
特許文献2、3には、略述すると、小径部と、この小径部に連続して段差状に形成される大径部とを有する金属製の円筒体からなる衝撃吸収部材に係る発明が開示されている。この円筒体は、上述した特許文献1により開示される筒体のように衝撃荷重により座屈を繰り返して蛇腹状に塑性変形するのではなく、一方の端部から軸方向へ向けて負荷される衝撃荷重により小径部と大径部との間に形成される段差部を起点として、円筒体の外壁面の一部が折り返される曲げ変形を連続して発生することによって衝撃エネルギーを吸収する。特許文献2、3により開示された発明によれば、衝撃吸収部材の小型化を図りながら衝撃エネルギーを吸収することが可能であるとされている。
また、特許文献4には、塑性加工可能な直管を部分的に縮径または拡径して段差を介して繋がる小円筒体および大円筒体を形成してなり、段差は円弧角度90°超の円弧状断面からなる小円筒体の折返縁および大円筒体の折返縁を連続して形成され、軸方向斜めから衝撃が加えられても、なお大円筒体に対する小円筒体の没入を確保して、塑性変形による衝撃エネルギーの吸収を達成できるバンパー支持型の衝撃吸収部材に係る発明が開示されている。
特許文献5には、互いに径が異なる第1の円筒体および第2の円筒体が、それらの端部が合わされた状態で同軸的に一体化されてなり、軸方向の変形により、衝突時の反力が小さく、かつ部材変形時の反力変化が小さく、衝突する方向によらず安定した性能を発揮して衝突エネルギーを吸収する衝撃吸収部材に係る発明が開示されている。
さらに、特許文献6には、塑性加工可能な直管を部分的に縮径または拡径し、互いに向かい合う中間端縁を環状段差部により結んだ外径の異なる小円筒体および大円筒体からなり、環状段差部は小円筒体の中間端縁から折り返した円弧状断面の小円筒体と、大円筒体の中間端縁から折り返した円弧状断面の大円筒体とを結んだ断面構造を有し、外径が大円筒体の内径よりも大きい圧入管部を小円筒体に設けることによって、車両の軽重、衝突時の速度の違いに基づいて適切な変位−荷重特性を設定できる塑性変形を利用した衝撃吸収部材に係る発明が開示されている。
特許第3912422号明細書 特開2001−47952号公報 特開2001−138841号公報 特開2004−51084号公報 特開2001−241478号公報 特開2003−327062号公報
本発明者らの検討結果によれば、特許文献2〜6により開示された発明の衝撃吸収部材は、いずれも、反力の変化は小さいものの、衝撃吸収部材をなす円筒体の軸方向から偏った方向への衝撃荷重(本明細書では「偏荷重」という)が作用すると、衝撃吸収部材全体が大きく屈曲する曲がり変形が早期に発生し、衝撃エネルギーの吸収性能が著しく低下し易いことが判明した。
本発明は、従来の技術が有するこの課題に鑑みてなされたものであり、荷重振幅が小さく、偏荷重が作用した場合にも衝撃吸収部材全体が大きく屈曲する曲がり変形の発生を抑制でき、衝突方向によらずに安定した高い衝撃エネルギーの吸収性能を維持することができるクラッシュボックスを提供することを目的とする。
本発明は、金属材料からなる外壁を有する筒状体からなる第1の部分と、この第1の部分の外壁に連続するとともに外側に折れ曲がって形成される折れ曲がり部である第2の部分と、この第2の部分に連続するとともにこの第2の部分の支持部をなす第3の部分とを有し、第1の部分の端部から筒状体の軸方向へ向けて負荷される衝撃荷重によって、第1の部分の外壁が折り返されて形成される折り返し部の長さが増加する曲げ変形を連続して生じることにより衝撃エネルギーを吸収するクラッシュボックスであって、曲げ変形を連続して生じる外壁は、8角形から12角形までのいずれかの多角形の横断面形状を有し、第1の部分は、その外壁のうちで、少なくとも、曲げ変形を連続して生じる範囲に、筒状体の軸方向へ延びて設けられる複数の稜線を有すること、第3の部分は、自動車の構造部材であるロアークロスメンバーに装着されること第1の部分の端部は、バンパーレインフォースメントの後面に接合されること、および、第1の部分および第3の部分が、いずれも、筒状体の軸方向と略平行な方向へ延びて設けられることを特徴とするクラッシュボックスである。
この本発明では、第2の部分が筒状体であることが望ましく、また、第3の部分が筒状体であることが望ましい。
これらの本発明では、複数の稜線のうち筒状体の周方向に隣接する二本の稜線により区画される外壁が、平面、または、筒状体の外側または内側に向けて湾曲した曲面をなすことが望ましい。
これらの本発明では、第1の部分が一の金属材料からなるとともに、第3の部分がこの一の金属材料とは異なる他の一の金属材料からなることが望ましい。この場合に、一の金属材料と、他の一の金属材料とが、それぞれの板厚および/または材質が異なることがさらに望ましい。
これらの本発明では、さらに、第3の部分を支持するとともに折り返し部の外径よりも大きな径の穴を有する支持部材を備えることが望ましい。
また、これらの本発明では筒状体の軸方向への第3の部分の長さが、この軸方向への第1の部分の長さ以上であることがさらに望ましい。
本発明に係るクラッシュボックスによれば、
(A)折り返し量が増加するように折れ曲がり変形を連続して生じるので、荷重振幅が小さいこと、および
(B)外壁が軸方向へ延びる稜線を有するので、例えば特許文献2〜6により開示された円筒体を有する衝撃吸収部材よりも衝撃エネルギーの吸収性能が高く、また、偏荷重が作用した場合にも、衝撃吸収部材全体が大きく屈曲する曲がり変形の発生を抑制でき、衝突方向によらずに安定した高い衝撃エネルギーの吸収性能を維持できること
という優れた効果が奏される。
特に、曲げ変形を連続して生じる外壁が、8角形から12角形までのいずれかの多角形の横断面形状を有することが望ましく、特に正8角形から正12角形までのいずれかの正多角形の横断面形状を有することがさらに望ましい。
このため、本発明によれば、例えば、ロアークロスメンバーに装着することができ、一台あたりの衝撃吸収部材の装着数を増やすことや、例えば軽自動車といったこれまでには衝撃吸収部材を装着できなかった小型の車両にも衝撃吸収部材を装着することが可能になり、これにより、衝撃エネルギーの吸収性能を高めることができる。
図1は、本発明に係るクラッシュボックスの構造の一例を簡略化して示す分解斜視図である。 図2(a)および図2(b)は、いずれも、実施の形態1のクラッシュボックスにより衝撃エネルギーが吸収される状況を模式的に示す説明図であり、図2(c)および図2(d)は、いずれも、実施の形態2のクラッシュボックスにより衝撃エネルギーが吸収される状況を模式的に示す説明図であり、図2(e)は、参考の形態のクラッシュボックスにより衝撃エネルギーが吸収される状況を模式的に示す説明図である。 図3は、円筒体を有する衝撃吸収部材に衝撃荷重が負荷された際の曲げ変形の発生状況を模式的に示す説明図であり、図3(a)は曲げ変形前を示し、図3(b)は曲げ変形時を示し、図3(c)は図3(b)の円筒体をA−A断面で切断して展開して示す。 図4(a)は、本発明に係るクラッシュボックスの筒状体の折り返し変形開始時に折り返し部側からみた横断面の変化状況を示す説明図であり、図4(b)は、筒状体の折り返し変形の進行中の横断面の変化状況を示す説明図であり、図4(c)は、筒状体の稜線と稜線間の外壁とにおける折り返し変形の半径の違いを示す説明図である。 図5(a)および図5(b)は、筒状体の折り返し部の近傍の断面の変形状況を経時的に示す説明図であり、図5(a)は曲げ変形開始前を示し、図5(b)は曲げ変形中を示す。 図6は、金属板を素材として本発明に係るクラッシュボックスを構成する筒状体を製造する方法を模式的に示す説明図である。 図7は、多角形断面化加工の一例を示す説明図である。 図8は、多角形断面化加工の詳細を示す説明図である。 図9は、多角形断面化加工の他の一例を示す説明図である。 図10は、金属管を素材として本発明に係るクラッシュボックスを構成する筒状体を製造する方法を経時的に示す説明図である。 図11は、実施の形態2のクラッシュボックスの構造の一例を、簡略化して示す分解斜視図である。 実施例で行った、衝突試験を模擬した数値解析の条件を示す説明図である。 実施例の結果を示すグラフである。
(実施の形態1)
以下、本発明に係るクラッシュボックスを実施するための形態を、添付図面を参照しながら説明する。なお、以降の説明では、本発明に係るクラッシュボックスを構成する筒状体が鋼板からなる場合を例にとる。
図1は、本発明に係るクラッシュボックス1の構造の一例を、簡略化して示す分解斜視図である。
図1に示すように、このクラッシュボックス1は、鋼板からなる外壁2aを有する筒状体2を備える。この筒状体2は、図1中のA−A断面図に示すように、その軸方向に関して、第1の部分3と、第2の部分4と、第3の部分5とを有する。
第1の部分3は、筒状体2の軸方向と略平行な方向へ真っ直ぐに延びて形成される部分である。第2の部分4は、第1の部分3に連続するとともに筒状体2の外壁2aが筒状体2の外側に折れ曲がって形成される折れ曲がり部である。
さらに、第3の部分5は、第2の部分4に連続して筒状体2の軸方向へ延び、さらに、この軸方向と直交する方向であって筒状体2の外側へ延びて外向きフランジ状に形成される。第3の部分5は、第3の部分5を支持するための支持部材である取付け台座6に例えば溶接により接合される際における、筒状体2の支持部をなす部分である。
図1に示す例では、第3の部分5に、筒状体2の軸方向と直交する方向であって筒状体2の外側へ延びる外向きフランジ部5aを設けたが、外向きフランジ部5aを設けずに、第3の部分5における筒状体2の軸方向へ延びる部分を介して、取付け台座6に例えば溶接により接合するようにしてもよい。いずれにしても、第3の部分5は、第2の部分4の支持部をなす部分である。
第3の部分5を支持するための支持部材である取付け台座6には、ロアークロスメンバー7に取り付けるためのボルト8が貫通するための貫通穴6aが設けられるとともに、後述する折り返し部10の外径よりも大きな径の通過穴6bが設けられている。
通過穴6bは、衝撃エネルギーの吸収時における筒状体2の折り返し部10との干渉を防止するための当たり逃げとして、機能する。筒状体2は、外向きフランジ部5aよりも第2の部分4の側に存在する部分を、この通過穴6bに挿入されることによって、外向きフランジ部5aが取付け台座6の表面6cに突き当てられ、外向きフランジ部5aを例えば溶接等の適当な接合手段によって接合することにより、取付け台座6に固定される。
ロアークロスメンバー7には、貫通穴6aが設けられる位置と一致するように同一ピッチでネジ穴7aが設けられる。貫通穴6aとネジ穴7aとを一致させてから、ボルト8をネジ穴7aにねじ込むことによって、取付け台座6がロアークロスメンバー7に脱着自在に締結固定される。取付け台座6のロアークロスメンバー7への取付けは、この締結に代表される機械的手段等の適宜手段により、脱着自在に取付けられていればよい。
筒状体2の第1の部分3の先端3aは、図1において図面を見易くするために二点鎖線により透視状態で示すバンパーレインフォースメント9の後面9aに、例えば溶接等の適宜手段により接合される。なお、図1では、ロアークロスメンバー7およびバンパーレインフォースメント9はいずれも簡略化して示しており、それらの実際の形状を示すものではない。
このクラッシュボックス1は、特許文献2〜6により開示された衝撃吸収部材と同様に、バンパーレインフォースメント9を介して第1の部分3の端部3aから筒状体2の軸方向へ向けて負荷される衝撃荷重によって、折れ曲がり部である第2の部分4を起点として、折れ曲がり部である第2の部分4の近傍の第1の部分3の外壁2aが外側に折り返され、以後、第1の部分3の外壁2aが順次折り返されて折り返し部10の軸方向の長さLが増加する曲げ変形を連続して生じることにより衝撃エネルギーを吸収するものである。
本発明に係るクラッシュボックス1の筒状体2は、その外壁2aのうちで、少なくとも、曲げ変形を連続して生じる範囲に、筒状体2の軸方向へ延びて設けられる複数(図1に示すクラッシュボックス1では8本)の稜線11を有する。すなわち、筒状体2は八角形の横断面形状を有する。
図1に示すクラッシュボックス1は、筒状体2の周方向に隣接する2本の稜線11、11により区画される外壁2a−1、2a−2、2a−3、2a−4、2a−5、2a−6、2a−7、2a−8が平面をなしているが、これとは異なり筒状体2の外側または内側に向けて湾曲した曲面をなしていてもよい。
図1に示すクラッシュボックス1は、筒状体2の軸方向の全域について外壁2aが多角形の横断面形状を有しているが、これに限定されるものではなく、衝撃荷重を入力された際に曲げ変形を連続して生じることによって折り返し部10を形成することとなる外壁2aが、多角形をなしていればよく、折り返し部10を形成することとはならない外壁2aはこの多角形をなしていなくともよい。
例えば、第1の部分3の外壁2aだけが多角形をなしているか、または第1の部分3の外壁2aおよび第2の部分4の外壁2aの双方だけが多角形をなしていればよい。第1の部分3の外壁2aおよび第2の部分4の外壁2aの双方が多角形をなしていることが望ましい。
なお、稜線11は、多角形を構成する頂点に相当するが、実際のクラッシュボックス1は鋼板の折り曲げ成形やプレス成形等の適宜手段で成形されるため、この頂点に相当する稜線11は横断面で見れば、稜線以外の他の部分に比べて相当程度小さな曲率半径を有する部分である。
クラッシュボックス1を構成する筒状体2は、バンパーレインフォースメント9を介してその一方の端部3aから衝撃荷重Fを筒状体2の軸方向へ負荷されると、折り返し部10の折り返し量(図1における長さL)が増加するように、第1の部分3の外壁2aに曲げ変形を連続して生じることによって、衝撃エネルギーを吸収する。
図2(a)および図2(b)は、いずれも、本発明に係るクラッシュボックス1により衝撃エネルギーが吸収される状況を、模式的に示す説明図である。図2(a)および図2(b)における左図は正面図、中央図は曲げ変形開始時の断面図、右図は曲げ変形終了時の断面図である。
図1、図2(a)および図2(b)に示すように、筒状体2は、バンパーレインフォースメント9を介して端部3aから衝撃荷重Fを筒状体2の軸方向(図1および図2(a)における矢印方向)へ負荷されると、筒状体2は、折り返し部10の折り返し量(図1における長さL)が増加するように、第1の部分3の外壁2aが折り返される曲げ変形(圧縮変形)を連続して生じることによって衝撃エネルギーを吸収する。
このように、本発明に係るクラッシュボックス1による衝撃エネルギーの吸収は、筒状体2の折り返し部10の折り返し量(図1における長さL)が変化するように、筒状体2の第1の部分3の外壁2aに曲げ変形を連続して生じることにより、行われる。このため、本発明に係るクラッシュボックス1では、筒状体2の折り返し部10をなす外壁2aの部分を、異なる複数種の材料により構成すれば、折り返し部4に発生する曲げ変形の挙動を制御することも可能になる。
例えば、第1の部分3が一の鋼板からなるとともに、第3の部分5が、例えば板厚および材質の少なくとも一つが異なることによってこの一の鋼板とは相違する他の一の鋼板からなることが望ましい。
図2(b)は、図2(a)に示す場合において、筒状体2が、第1の部分3および第2の部分4を構成する一の鋼製材料S1と、第3の部分を構成する他の一の鋼製材料S2と、外壁2aにおける曲げ変形を連続して生じる部分に形成され、一の材料S1および他の一の材料S2を接合する接合部12とを有する場合を示す説明図である。
図2(b)に示す場合は、図2(a)に示す場合と同様に、筒状体2は、バンパーレインフォースメント9を介して端部3aから衝撃荷重Fを筒状体2の軸方向(図1および図2(b)における矢印方向)へ負荷されると、筒状体2は、折り返し部10の折り返し量(図1における長さL)が増加するように、外壁2aが折り返される曲げ変形(圧縮変形)を連続して生じることによって衝撃エネルギーを吸収する。
図2(b)に示す場合には、筒状体2が、一の材料S1と他の一の材料S2と接合部12とを有するので、一の材料S1および他の一の材料S2それぞれの板厚や強度を異ならせて設定することにより、折り返し部10における曲げ変形の変形挙動を所望のように制御することができる。
例えば、材料S2の板厚を材料S1の板厚よりも大きく設定すること、あるいは材料S2の強度を材料S1の強度より大きく設定することによって、折り返し部10の折り返し変形が継続している間は、材料S2の変形が抑制されるため、より安定して衝撃エネルギーを吸収することが可能になる。このように、折れ曲がり変形を受けない部分(例えば第3の部分5)には、板厚が大きい材料を用いるか、あるいは強度が高い材料を用いることが望ましい。
この筒状体2は、図1、図2(a)および図2(b)に示すように、多角形の横断面形状(図1、図2(a)および図2(b)では八角形の横断面形状)を有する。すなわち、この筒状体2はその外壁2aに軸方向へ延びる複数本(8本)の稜線11を備える。
筒状体2が複数本の稜線11を備え、多角形の横断面形状を有することによって、筒状体2が円形の横断面形状を有する場合に較べて、折り返し部10において生じる繰り返し変形荷重を高めることができるので、この筒状体2を有するクラッシュボックス1の衝撃吸収性能を高めること、すなわち衝撃エネルギーの吸収量を増加することができる。
また、筒状体2は、多角形の横断面形状を有するので、円形の横断面形状を有する円筒体に比較して、衝突方向によらずに安定した高い衝突エネルギーの吸収性能を発揮することが可能である。
図3は、円筒体13を有する衝撃吸収部材に衝撃荷重が負荷された際の曲げ変形の発生状況を模式的に示す説明図であり、図3(a)は曲げ変形前を示し、図3(b)は曲げ変形時を示し、図3(c)は図3(b)の円筒体13をA−A断面で切断して展開して示す。
円筒体13の一端13aから衝撃荷重Fが負荷された後、円筒体13は以下に列記するように曲げ変形を生じる。
(i)最初に折り返し部である第2の部分13−2を起点として、第2の部分13−2の近傍の第1の部分13−1の外壁が外側に折り返され、以後、第1の部分13−1の外壁が順次裏返しに折り返される。
(ii)この際、第1の部分13−1の各断面は拡大する。すなわち、第1の部分13−1の周長が増大する方向に変形する。
(iii)したがって、この周長の増大によって折り返された部分には周方向への引張力が作用する。
(iv)この反力により、折り返し部の内側の折り返し予定部(曲げ変形を生じていない第1の部分13−1)には周方向への圧縮力が作用する。
(v)曲げ変形を生じていない第1の部分13−1は、この周方向の圧縮力によって、初期断面よりも折り返し部近傍において縮径変形を生じる。
このように、特許文献2〜6により開示された発明のような円筒体を有する衝撃吸収部材では、衝撃荷重を負荷されて円筒体の軸方向へ圧縮荷重が負荷されると、折り返し部の横断面に一様に圧縮荷重が作用し、折り返し変形は周方向に一様となる。
これに対し、稜線11を有する、多角形の横断面を有する筒状体2を有する本発明に係るクラッシュボックス1は、折り返し変形の状況が、稜線と稜線間とでは異なる。
図4(a)は、本発明に係るクラッシュボックス1の筒状体2の折り返し変形開始時に折り返し部側からみた横断面の変化状況を示す説明図であり、図4(b)は、この筒状体2の折り返し変形の進行中の横断面の変化状況を示す説明図であり、図4(c)は、筒状体2の稜線11と稜線間の外壁2aとにおける折り返し変形の半径の違いを示す説明図である。
図4(a)に示すように、本発明に係るクラッシュボックス1の筒状体2に衝撃荷重Fが負荷されると、図4(b)に示すように、上記(v)項に示す周方向の圧縮力によって外壁2a−1〜2a−8はいずれも断面内側へたわむとともに、8本の稜線11はいずれも鋭角化して尖る。
このため、図4(c)に示すように、稜線11では曲率半径が小さい曲げ変形となるために折り返し変形時に非常に大きな曲げひずみが発生する。一方、外壁2a−1〜2a−8の平面部は大きな曲率半径での曲げとなり、曲げ変形により生じるひずみは、従来の衝撃吸収部材の円筒体13よりも小さくなる。しかし、断面全体では稜線11での大きなひずみ発生の効果が外壁2a−1〜2a−8でのひずみ縮小の影響を上回るため、本発明のように多角形断面化によって円形断面よりもより高い変形荷重が得ることができる。
また、多角形断面として稜線11が存在することによって、偏荷重が作用した場合においても、稜線11の剛性が高く、稜線11が存在せず全周に曲面のみを有する円筒体に比べて、偏荷重による曲げ変形時の倒れ込みが生じ難くなる。
ただし、筒状体2の横断面をなす多角形は、8角形から12角形までのいずれかの多角形であることが望ましい。角数が8角形よりも少ないと、稜線11が曲げ変形前に鋭角に尖り過ぎ、折り返し変形が生じずに座屈および軸圧壊に移行し易いとともに、偏荷重に対して稜線が過度に突っ張った後に折れ曲がりが生じ易い。一方、角数が12角形よりも多いと、稜線11のひずみの集中効果が薄れるとともに、偏荷重に対して稜線11の剛性向上効果が薄れる。
図5(a)および図5(b)は、筒状体2の折り返し部10の近傍の断面の変形状況を経時的に示す説明図であり、図5(a)は曲げ変形開始前を示し、図5(b)は曲げ変形中を示す。
第2の部分4は、図5(a)に示すように曲げ変形の開始と同時に折り返されて、図5(b)に示すように変形する。ただし、以後は第1の部分3のみの折り返し変形が進行する。したがって、多角形化の上述した効果を得るためには、少なくとも第1の部分3が多角形断面であればよい。
このように、本発明に係るクラッシュボックス1の筒状体2は、特許文献2〜6により開示された衝撃吸収部材には存在しない稜線11を有する。この稜線11は、平面や曲面により構成される外壁2a−1〜2a−8よりも曲率半径が極めて小さく、高い剛性を有するため、折り返し部10の繰り返し曲げ変形時にこの稜線11に塑性変形が集中し、これにより、特許文献2〜6により開示された衝撃吸収部材に比較して折り返し曲げ変形時の強度が上昇するので、特許文献2〜6により開示された衝撃吸収部材よりも衝撃エネルギーの吸収量が増加する。
また、この筒状体2は、稜線11を有するので、衝撃エネルギーの吸収量が増加し、かつ偏荷重が作用した場合にも、筒状体2全体が屈曲する曲げ変形が抑制され、衝突方向によらずに安定した高い衝撃エネルギーの吸収性能を維持することができる。
さらに、筒状体2の横断面形状は、正8角形から正12角形のいずれか正多角形の横断面形状を有することが望ましい。これにより、筒状体2の軸方向と平行な方向へ負荷される衝撃荷重によってより確実に折り返し部10に折り返しによる曲げ変形を生じることが可能になるとともに、偏荷重が作用した場合に部材全体が屈曲する変形の抑制効果が大きい。なお、ここで「正多角形」とは、数学的な正多角形を基準として、内角が15%以内のばらつき、辺の長さが15%以内のばらつきを有する多角形を含む。
次に、本発明に係るクラッシュボックス1の製造方法を説明する。本発明に係るクラッシュボックス1は、特定の製造方法には限定されず、上述した特徴を満足するクラッシュボックス1を製造することができる方法により適宜製造されるが、生産性等の観点から好適な製造方法を説明する。
図6は、金属板を素材として本発明に係るクラッシュボックスを構成する筒状体2を製造する方法を模式的に示す説明図である。
図6に示すように、薄鋼板や薄アルミニウム合金板等の素材14に、段階的な深絞り加工(多段絞り加工)を行って円筒状の深絞り成形品15を製造する。その後、この深絞り成形品15に対して、多角形断面化加工を行う。
図7は、この多角形断面化加工の一例を示す説明図である。また、図8は、この多角形断面化加工の詳細を示す説明図である。なお、図8では、図7における上押え治具16および下押え治具17は省略してある。
図7に示すように、円筒状の深絞り成形品15のフランジ部15aを、上押え治具16および下押え治具17によりホールドし、多角形断面の内面を有する外周成形工具19を下降することにより深絞り成形品15の外面を成形するとともに、多角形断面の外面を有する内面成形工具19を上昇することにより深絞り成形品15の内面を成形することによって、深絞り成形品15に多角形断面化加工を行う。この多角形断面化加工の際に、図8に示すように、適宜折り返し部4も含めて成形することにより、筒状体2を製造する。
図9は、多角形断面化加工の他の一例を示す説明図である。図9に示す例では、段階的な深絞り加工(多段絞り加工)を行って円筒状の深絞り成形品を製造する際の後段の加工により、多角形断面化を行い、多角形断面化された深絞り成形品15−1に内面成形工具19−1を挿入して深絞り成形品15−1を固定し、外周成形工具18−1を下降することによって、折り返し部4を成形して、筒状体2を製造する。
図10は、金属管20を素材として本発明に係るクラッシュボックスを構成する筒状体2を製造する方法を経時的に示す説明図であって、金属管10の管端の曲げ加工方法を示す。図10(a)は初期状態を示し、図10(b)は中間状態を示し、図10(c)はつば拡げを示し、図10(d)は折り返しを示す。
図10(a)および図10(b)に示すように、初期状態から中間状態において第1の工具21によって1回または複数回に分けて金属管20の管端を折り曲げ、その後、図10(c)に示すように第2の工具22を用いてつば拡げまで完了させて、中間品24とする。
この中間品24を、図7(a)により示す工程に投入して筒状体2を製造してもよいし、あるいは、さらに図10(d)に示すように第3の工具23によって中間品24の管端を折り曲げることによって筒状体2を製造してもよい。
このように、金属管20の管端の曲げ加工の後に多角形断面化加工を行い、筒状体2が製造される。
このようにして、本発明に係るクラッシュボックス1を構成する筒状体2を製造する。そして、この筒状体2を、例えば溶接等の適当な接合手段によって取付け台座6に接合することによって、本発明に係るクラッシュボックス1が製造される。
本発明に係るクラッシュボックス1によれば、
(a)筒状体2が曲げ変形を継続して生じることにより衝撃エネルギーを吸収するため、軸方向への座屈を繰り返して蛇腹状に塑性変形することにより衝撃エネルギーを吸収する公知のクラッシュボックスに比較して、周期的な荷重変化(荷重振幅)が小さい衝撃吸収性能を得ることができ、クラッシュボックスを低強度の部材(例えばロアークロスメンバー)等に装着しても、この部材の損傷に起因した補修費の上昇を、できるだけ抑制することが可能になること、
(b)筒状体2が複数本の稜線11を有し、多角形の横断面形状を有するので、衝撃エネルギーの吸収量を高め、かつ、衝突方向によらず曲げ変形を安定的に継続して発生することができ、安定した高い衝撃エネルギーの吸収性能を発揮できること、および。
(c)筒状体2に形成される折り返し部10は、折り返し変形の際に、取付け台座6の通過穴6bに収容されるため、衝突方向が多少変化する場合であっても、変形状態の変化が小さく安定した吸収性能を発揮することが可能になること
という、極めて優れた効果を奏することができる。
このようにして、本発明によれば、小さな荷重振幅で衝撃エネルギーの吸収性能を高め、特に偏荷重が作用した場合であっても部材全体が大きく屈曲する曲げ変形が抑制され、衝突方向によらず安定した高い衝撃エネルギーの吸収性能を発揮できる。
このため、本発明に係るクラッシュボックスは、例えば、ロアークロスメンバー等の低強度の構造部材に装着することが可能となり、衝撃エネルギーの吸収性能を高めて乗員の安全性を一層高めることができる。
また、本発明によれば、このクラッシュボックスの衝撃エネルギーの吸収効率を高めることができるので、目標とする衝撃エネルギーの値に応じて、筒状体2を構成する外壁2aをなす鋼板の板厚を低減することができ、軽量化を図ることもできる。
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係るクラッシュボックスを説明する。以降の説明では、上述した実施の形態1と相違する部分を説明し、同一の部分については同一の符合を付することにより重複する説明は適宜省略する。
図11は、実施の形態2のクラッシュボックス1−1の構造の一例を、簡略化して示す分解斜視図である。また、図2(c)および図2(d)は、いずれも、実施の形態2のクラッシュボックス1−1により衝撃エネルギーが吸収される状況を、模式的に示す説明図であり、図2(c)および図2(d)における左図は正面図、中央図は曲げ変形開始時の断面図、右図は曲げ変形終了時の断面図である。
このクラッシュボックス1−1が実施の形態1のクラッシュボックス1と相違するのは、クラッシュボックス1のように、第3の部分5が筒状体2の軸方向と直交する方向へ延びて設けられ、かつこの第3の部分5を支持するための支持部材である取付け台座6に、折り返し部10との干渉を防止するための通過穴6bが設けられているのではなく、第3の部分5が第1の部分3と同様に筒状体2の軸方向と略平行な方向へ延びて設けられ、かつ折り返し部10はこの第3の部分5の内部に収容されるために取付け台座6−1に通過穴6bを設ける必要がない点である。
図11に示すように、このクラッシュボックス1−1における第2の部分4は、第1の部分3に連続するとともに筒状体2の外壁2aが筒状体2の外側に折れ曲がって形成される折れ曲がり部である。そして、第3の部分5は、第2の部分4に連続するとともに筒状体2の軸方向と略平行な方向へ延びて設けられる。第3の部分5の端部5aは、取付け台座6−1の表面6cに突き当てられて、例えば溶接等の適当な接合手段によって取付け台座6に接合される。
筒状体2の軸方向への第3の部分5の長さは、筒状体2の軸方向への折り返し部10の長さの最大値よりも大きく設定されているので、折り返し部10が取付け台座6−1と干渉することがない。このため、取付け台座6−1には通過穴6bが設けられていない。
図2(c)に示すように、このクラッシュボックス1−1は、上述したクラッシュボックス1と同様に、バンパーレインフォースメント9を介して第1の部分3の端部3aから筒状体2の軸方向へ向けて負荷される衝撃荷重によって、最初に折れ曲がり部である第2の部分4を起点として、第2の部分4の近傍の第1の部分3の外壁2aが順次折り返されて形成される折り返し部10の軸方向の長さLが増加する曲げ変形を連続して生じることにより衝撃エネルギーを吸収するものである。
クラッシュボックス1を構成する筒状体2は、バンパーレインフォースメント9を介してその他方の端部3bから衝撃荷重Fを筒状体2の軸方向へ負荷されると、折り返し部10の折り返し量(図11における長さL)が増加するように、外壁2aに曲げ変形を連続して生じることによって、衝撃エネルギーを吸収する。
このクラッシュボックス1−1による衝撃エネルギーの吸収は、筒状体2の折り返し部10の折り返し量(図11における長さL)が変化するように、筒状体2の外壁2aに曲げ変形を連続して生じることにより、行われる。このため、このクラッシュボックス1−1においても、筒状体2の折り返し部10をなす外壁2aの部分を、異なる複数種の材料により構成すれば、折り返し部4に発生する曲げ変形の挙動を制御することができる。
例えば、第1の部分3が一の鋼板からなるとともに、第3の部分5が、例えばこの一の鋼板とは板厚および材質の少なくとも一つが異なることによってこの一の鋼板とは相違する他の一の鋼板からなることが望ましい。
図2(d)は、図2(c)に示す場合において、筒状体2が、第1の部分3および第2の部分4を構成する一の鋼製材料S1と、第3の部分5を構成する他の一の鋼製材料S2と、外壁2aにおける曲げ変形を連続して生じる部分に形成され、一の材料S1および他の一の材料S2を接合する接合部12とを有する場合を示す説明図である。
図2(d)に示す場合には、筒状体2が、一の材料S1と他の一の材料S2と接合部12とを有するので、一の材料S1および他の一の材料S2それぞれの板厚や強度を異ならせて設定することにより、折り返し部10における曲げ変形の変形挙動を所望のように制御することができる。例えば、材料S2の板厚を材料S1の板厚よりも大きく設定すること、あるいは材料S2の強度を材料S1の強度より大きく設定することによって、折り返し部10の折り返し変形が継続している間は、材料S2の変形が抑制されるため、より安定して衝撃エネルギーを吸収することが可能になる。
本発明に係るクラッシュボックス1−1によれば、上述したクラッシュボックス1と同様の効果を奏することができるとともに、取付け台座6−1に通過穴6bを設ける必要がないため、クラッシュボックス1−1の取付け部付近の剛性の低下を抑制することができるとともに、取付け台座6−1の製造コストを低下することができる。
参考の形態
次に、参考の形態に係るクラッシュボックスを説明する。図2(e)は、参考の形態のクラッシュボックス1−2により衝撃エネルギーが吸収される状況を、模式的に示す説明図であり、図2(e)における左図は正面図、中央図は曲げ変形開始時の断面図、右図は曲げ変形終了時の断面図である。
このクラッシュボックス1−2は、実施の形態1のクラッシュボックス1の変形例として位置付けられるものであって、図2(e)に示すように、第2の部分4の構造を簡素化し、L字状に屈曲する曲げ部として第2の部分4を構成するものである。
この場合、第2の部分4の内法R1よりも、取付け台座6の通過穴6bよりも若干大きい適正な寸法に設定することにより、クラッシュボックス1と同様の曲げ変形を継続して発生することができる。
本発明を、実施例を参照しながら、さらに具体的に説明する。
本実施例では、本発明に係るクラッシュボックスの効果をさらに説明するため、下記の要領で衝突試験を模擬した数値解析を行った。
図1および図2(a)を参照しながら説明した本発明に係るクラッシュボックスであって筒状体2の横断面形状が正12角形(内角:150°)である本発明例のクラッシュボックス1と、横断面形状が円形であること以外は本発明例のクラッシュボックス1と同じ構成を有する比較例の衝撃吸収部材とに、図12に示すように、筒状体2の端部3aに剛体壁25を筒状体2の軸方向へ16km/hの速度で衝突させた場合の変形挙動を、FEM数値解析を行うことにより解析し、筒状体2の変位量が80mmとなるまでに筒状体2に負荷される荷重の履歴を求めた。
また、剛体壁(バリア)25の傾斜角度θを0度とした、筒状体2の軸方向に対して垂直な場合と、剛体壁25の傾斜角度θを10度とした場合とを検討した。
なお、この解析では、筒状体2に取付け台座6を固定し、取付け台座6の位置は常に不変であるとするとともに、取付け台座6は常に回転しないものとした。
それぞれの筒状体2は、外壁が270MPa級の1.2mm厚の鋼板からなる外壁2aにより構成されるとともに、その全長が100mmであるとした。さらに、本発明に係るクラッシュボックス1の筒状体2の外径(多角形に外接する円の直径)は45mmとし、比較例の衝撃吸収部材の筒状体の外径は45mmとした。
結果を、図13と表1にまとめて示す。
図13は、荷重の変化を示すグラフであり、図13(a)には、傾斜角度θが0度である剛体壁25を用いた場合(正突)で、横断面形状が円形である比較例と、横断面形状が12角形である本発明例とを対比して示し、図13(b)には、傾斜角度が10度である剛体壁25を用いた場合(斜突)で、横断面形状が円形である比較例と、横断面形状が12角形である本発明例とを対比して示す。
また、表1には、単位質量当たりの吸収エネルギーEAを比較して示す。
Figure 0005632142
図13(a)のグラフから、本発明例は、比較例に比べ、荷重が大きくなり、衝撃エネルギの吸収量が増大することがわかる。
また、表1に示すように、正突の場合、本発明例の単位質量当たりの吸収エネルギは、比較例に比べ7%程度増大する。
さらに、図13(b)は、傾斜角度が10度の斜突において、比較例の円形部材が大きく倒れた60mm圧下までの荷重変化を比較したグラフであるが、このグラフから、12角形の横断面形状を有する筒状体2を備えるクラッシュボックス1では、10度傾斜した剛体壁25による偏荷重が作用した場合において、円形の横断面形状を有する筒状体2を備える衝撃吸収部材1よりも倒れが生じ難く、優れた衝撃エネルギーの吸収特性を維持できることがわかる。なお、表1に示すように、角度10°の斜突の場合、本発明例の単位質量当たりの吸収エネルギーは、比較例に比べて22%程度増大する。
1、1− 本発明に係るクラッシュボックス
1−2 参考の形態のクラッシュボックス
2 筒状体
2a、2a−1、2a−2、2a−3、2a−4、2a−5、2a−6、2a−7、2a−8 外壁
3 第1の部分
3a 先端
4 第2の部分
5 第3の部分
5a 外向きフランジ部
6、6−1 取付け台座
6a 貫通穴
6b 通過穴
6c 表面
7 ロアークロスメンバー
7a ネジ穴
8 ボルト
9 バンパーレインフォースメント
9a 後面
10 折り返し部
11 稜線
12 接合部
13 円筒体
13a 一端
13−1 第1の部分
13−2 第2の部分
14 素材
15,15−1 深絞り成形品
15a フランジ部
16 上押え治具
17 下押え治具
18、18−1 外周成形工具
19、19−1 内面成形工具
20 金属管
21 第1の工具
22 第2の工具
23 第3の工具
24 中間品
25 剛体壁

Claims (8)

  1. 金属材料からなる外壁を有する筒状体からなる第1の部分と、該第1の部分の外壁に連続するとともに外側に折れ曲がって形成される折れ曲がり部である第2の部分と、該第2の部分に連続するとともに該第2の部分の支持部をなす第3の部分とを有し、前記第1の部分の端部から前記筒状体の軸方向へ向けて負荷される衝撃荷重によって、前記第1の部分の外壁が折り返されて形成される折り返し部の長さが増加する曲げ変形を連続して生じることにより衝撃エネルギーを吸収するクラッシュボックスであって、
    前記曲げ変形を連続して生じる前記外壁は、8角形から12角形までのいずれかの多角形の横断面形状を有し、
    前記第1の部分は、前記外壁のうちで、少なくとも、前記曲げ変形を連続して生じる範囲に、前記筒状体の軸方向へ延びて設けられる複数の稜線を有すること、
    前記第3の部分は、自動車の構造部材であるロアークロスメンバーに装着されること
    前記第1の部分の端部は、バンパーレインフォースメントの後面に接合されること、および
    前記第1の部分および前記第3の部分は、いずれも、前記筒状体の軸方向と略平行な方向へ延びて設けられること
    を特徴とするクラッシュボックス。
  2. 前記第2の部分は筒状体である請求項1に記載されたクラッシュボックス。
  3. 前記第3の部分は筒状体である請求項1または請求項2に記載されたクラッシュボックス。
  4. 前記複数の稜線のうち前記筒状体の周方向に隣接する二本の稜線により区画される前記外壁は、平面、または、前記筒状体の外側または内側に向けて湾曲した曲面をなす請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載されたクラッシュボックス。
  5. 前記第1の部分は一の金属材料からなるとともに、前記第3の部分は該一の金属材料とは異なる他の一の金属材料からなる請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載されたクラッシュボックス。
  6. 前記一の金属材料と、前記他の一の金属材料とは、それぞれの板厚および/または材質が異なる請求項5に記載されたクラッシュボックス。
  7. さらに、前記第3の部分を支持するとともに前記折り返し部の外径よりも大きな径の穴を有する支持部材を備える請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載されたクラッシュボックス。
  8. 前記筒状体の軸方向への前記第3の部分の長さは、該軸方向への前記第1の部分の長さ以上である請求項に記載されたクラッシュボックス。
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